JP3267614B2 - カルボキシメチルアミロースに結合させた結合メンバーを使用するイオン捕獲アッセイ - Google Patents

カルボキシメチルアミロースに結合させた結合メンバーを使用するイオン捕獲アッセイ

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 1.発明の分野 本発明は広義には結合アッセイの装置及び方法の分野
に係わる。特に本発明は、均一イムノアッセイを実施す
る際に有効な新規の装置に係わる。
2.従来技術 体液または他の材料中に存在し得る問題の物質または
臨床上重要な物質の存在及び/または濃度を判定するア
ッセイにおいて、種々の分析方法及び装置が一般に使用
されている。かかる物質は一般に“被分析物質(analyt
es)”と称されており、これには例えば、抗体、抗原、
薬物、ホルモンなどを挙げることができる。
イムノアッセイ法は、該生物に対して病原性または外
来性の抗原が存在すると、これに応答して抗体が産生さ
れる旨の高等生物の免疫機構を利用している。かかる抗
体及び抗原、即ち免疫反応物質は相互に結合し、それに
よって高度に特異的な反応機構を生成するが、この機構
をin vitroで使用して生物試料中の特定の抗原の存在
または濃度を判定することができる。
少なくとも1種の免疫反応物質を検出可能な成分で標
識して分析的に同定可能とした、免疫反応物質を使用す
るイムノアッセイ法が幾つか公知である。例えば“サン
ドイッチ”または“2部位(two−site)”法は、1つ
の抗原と2つの抗体とで3要素結合体を形成することを
含む。かかる方法において結合体の形成を検出する便宜
的な方法では、標識抗体と、結合体を容易に単離し得る
ように固相支持体に結合させた非標識抗体とを用いる。
この例では、固相に付着した標識抗体の量が試験試料中
の被分析物質の量に正比例する。
別の方法として“競合アッセイ”を挙げることができ
る。競合アッセイの1つの例では、捕獲機構はここでも
不溶性固相に結合させた抗体を使用するが、(標識抗体
ではなくてむしろ)標識被分析物質が試験試料中に存在
する被分析物質と、固定抗体への結合において競合す
る。同様に、固定被分析物質が問題の被分析物質と標識
抗体に対して競合することもできる。これらの競合アッ
セイにおいては、捕獲された標識試薬の量は、試料中に
存在する被分析物質の量と反比例する。
多大な有用性にも係わらず、上記アッセイ法には欠点
がある。第1に、液体試験試料と可溶性または不溶性ア
ッセイ試薬とが不均一反応混合液となるときには、反応
速度が抑制され得る。全ての試薬が可溶性である液相反
応、即ち均一反応混合液と比較し、不均一反応混合液
は、反応混合液中で不溶性固相系と、試験試料中の遊離
被分析物質と、可溶性標識試薬と、新たに形成された不
溶性結合体とが平衡に達するのにより長時間インキュベ
ートすることが必要となり得る。第2に、抗体を固相に
吸着させるなどして、結合メンバーを固相に付着させる
慣用方法では、固相が被分析物質以外の物質とも容易に
結合し得る。これは非特異的結合と称され、陽性結果の
検出を妨害し得る。第3に、慣用の固定方法において
は、固相試薬に固定されている結合メンバーの量が製造
バッチごとに異なり得る。
結合アッセイに使用するための固相装置の製造に関し
て言えば、被分析物質の存在を、固相(例えば浸漬片、
試験ストリップ、流通パッド(flow−throguh pad)、
濾紙、ファイバーマトリックスまたは他の固相材料)に
結合された、標識試薬及び/または相補的結合メンバー
に結合した被分析物質の存在によって示す、多数のアッ
セイ装置及び方法がある。このような特異的結合反応で
は、標識試薬が固相に固定されているものと遊離したま
まのものとに分配される結果となる。典型的には、試験
試料中の被分析物質の存在または量は、標識試薬が固相
に固定された程度によって示される。
特異的結合アッセイを実施する上で多孔質試験ストリ
ップを使用することもよく知られている。サンドイッチ
アッセイ法においては、試験試料を試験ストリップの一
部分に添加し、ストリップ材料中を毛管作用によって移
動させる。検出または測定すべき被分析物質は、流体試
験試料の成分としてまたはストリップに別個に添加する
ことができる溶出即ちクロマトグラフィー溶剤によっ
て、試験ストリップ材料中を移動する。それによって被
分析物質は、被分析物質に特異的な結合メンバーが固定
されている試験ストリップ上の検出ゾーンまで輸送され
る。検出ゾーン内に被分析物質が結合した程度は、試験
ストリップ内に取り込まれているかまたはストリップに
別個に添加することができる標識被分析物質特異的結合
メンバーによって測定することができる。
上記原理に基づく装置の例としては、以下の特許及び
特許出願に記載のものを挙げることができる。Deutsch
らは米国特許第4,094,647号、第4,235,601号及び第4,36
1,537号に、定量的クロマトグラフィー試験ストリップ
装置を記載している。該装置は、溶液を毛管作用によっ
て輸送し得る材料を含む。ストリップの種々の領域また
はゾーンが結合アッセイを実施するのに必要な試薬を含
んでおり、被分析物質がかかるゾーンに到達するかまた
はそれを通過すると検出可能なシグナルを生成する。こ
のデバイスは、化学アッセイや、抗原及び相補的抗体間
の結合反応によって代表される結合アッセイに適してい
る。
続いてDeutschらの装置の多数の変形が開示されてい
る。例えば、Tomら(米国特許第4,366,241号)は、固定
された特異的結合メンバーを含む免疫吸着ゾーン(immu
nosorbing zone)を有する吸湿性支持体を開示してい
る。試験試料を免疫吸着ゾーンに添加し、この免疫吸着
ゾーンにおいてアッセイ結果を読取る。
Wengら(米国特許第4,740,468号及び第4,879,215号)
もまた、結合アッセイを実施するための試験ストリップ
装置及び方法を記載している。該装置は、問題の被分析
物質を含むと推定される試験試料と、被分析物質に結合
する標識特異的結合メンバーとを含む試験溶液に使用さ
れる。アッセイは、標識結合メンバーに結合する固定第
2結合メンバーと、未結合の標識結合メンバーをアッセ
イ系から除去する固定被分析物質類縁体とを必要とす
る。Greenquistら(米国特許第4,806,311号及び第4,80
6,312号)は、Wengらのものに類似の、結合アッセイを
実施するための層状アッセイデバイスを記載しており、
ここでは、被分析物質類縁体のような第1固定試薬を使
用して未結合物質を反応混合液から除去してから、反応
混合液を後続の検出層に通す。
Rosenstein(欧州特許公開第0 284 232号)及びCampb
ellら(米国特許第4,703,017号)は、色素を含むリポソ
ームからなる着色粒子を好ましい検出可能標識とする、
特異的結合アッセイを実施するアッセイ方法及び装置を
記載している。Baharら(米国特許第4,868,108号)は、
試験試料がその中を輸送される複数ゾーンを含む支持体
と酵素/基質検出手段とを使用する、特異的結合アッセ
イを実施するアッセイ方法及び装置を記載している。Ei
singerら(米国特許第4,943,522号)は、試験試料が毛
管作用によって輸送される複数ゾーンを含む大孔側方流
動膜(large pored lateral flow membrane)を使
用する、特異的結合アッセイを実施するアッセイ方法及
び装置を記載している。
Ullmanら(欧州特許出願第87309724.0号;公開第0 27
1 204号)は、前出のWengらの特許(米国特許第4,740,4
68号及び第4,879,215号)に関連している。Ullmanら
は、被分析物質類縁体と被分析物質を含むと推定される
試験試料とを含む試験溶液の調製を記載している。試験
溶液を、2つ並んだ結合部位を有する吸湿性材料に接触
させる。第1結合部位は、被分析物質及び被分析物質類
縁体に結合し得る特異的結合対メンバーを含んでおり、
第2結合部位は、第1結合部位において結合しなかった
被分析物質類縁体を結合し得る。
Cerny E.(国際出願第PCT/US85/02534号:公開第WO
86/03839号)は、試験試料及び標識試験物質を含む試験
溶液を、測定可能な拡散パターンを与える固相を通して
拡散させる結合アッセイを記載している。得られた拡散
パターンの直径は、標識試験物質単独の拡散パターンの
直径よりも大きい。
Zukら(米国特許第4,956,275号)は、センサー装置に
よって被分析物質を検出する方法及び装置を記載してい
る。被分析物質関連シグナルをセンサー装置によってア
ッセイ装置の2カ所以上で測定し、測定値間の数学的関
係によってある値(例えば差、比、勾配など)を得、こ
れを既知量の被分析物質を含む標準値と比較する。
Hochstrasser(米国特許第4,059,407号)は、流体中
の被分析物質の半定量的測定のために生物試料中に浸漬
し得る浸漬片装置を開示している。被分析物質の半定量
的測定は、被分析物質の量の増加に応じて検出可能な色
(即ち陽性結果)を与える一連の試薬含有パッドを使用
して行われる。米国特許第3,802,842号、第3,915,639号
及び第4,689,309号もまた浸漬片装置の領域で重要であ
る。
Grubbら(米国特許第4,168,146号)は、抗原特異的抗
体を共有結合によってストリップに固定する、多孔質試
験ストリップ材料の使用を開示している。試験ストリッ
プを、抗原を含むと推定される溶液中に浸漬し、溶液を
試験ストリップ中で毛管作用により移動させる。抗原が
試験ストリップを移動するとき、固定されている抗原特
異的抗体に結合する。次いで、蛍光物質または酵素標識
を共有結合させた第2の抗原特異的抗体でストリップを
濡らすことにより、抗原の存在を判定する。定量試験
は、結合抗原を含むストリップの長さを測定することに
より行うことができる。かかる試験ストリップの変形と
して、米国特許第4,435,504号は2つの酵素指示薬系を
使用するものを開示しており、米国特許第4,594,327号
は、空気/液体界面に隣接するストリップの領域で赤血
球細胞を凝固させる結合剤を全血試料に添加することを
開示しており、また米国特許第4,757,004号は、試験ス
トリップに沿って移動する流体の前面の形状を制御する
手段を開示している。アッセイ原理は、Zuk et al.,E
nzyme Immunochromatography−A Quantitative Imm
unoassay Requiring No Instrumentation,Clinical
Chemistry,31(7):1144−1150,1985に更に記載され
ている。
ストリップタイプの診断装置の別の例としては以下の
ものを挙げることができる。Swansonら(欧州特許公開
第088 636号)は、間隔を開けて連続的に並べた所定数
の反応ゾーンを含む流体浸漬性固体媒体を含む、被分析
物質の定量分析のための装置を記載している。反応ゾー
ンは、被分析物質と反応して検出可能なシグナルを生成
し得る試薬を含む。検出可能なシグナルを生成したゾー
ンの数が多いほど、試験試料中の被分析物質中の被分析
物質の量は多いとされる。Freisenら(米国特許第4,86
1,711号)は、試料が通過すべき幾つかの機能セクター
を含むシート状診断装置を記載している。少なくとも1
つのセクターは、被分析物質または被分析物質結合体に
対して生物学的親和性を有する固定試薬を含んでいる。
Gordonら(米国特許第4,956,302号)は、被分析物
質、試験試料及び/または溶出溶剤を該デバイス中で単
一方向に移動させ、それによって試薬含有ゾーンまたは
検出ゾーンと順次接触させることを特徴とする試験スト
リップ装置を記載している。Gordonら(米国特許第4,96
0,691号)は、被分析物質、試験試料及び/または溶出
溶剤を試薬含有ゾーン及び検出ゾーンに所定の順序で導
くための1つ以上の境界付き経路を含む装置を記載して
いる。
被分析物質を試験溶液から取り出すために種々の結合
方法が使用されている。Bolzら(米国特許第4,020,151
号)は、試験試料中の抗原または抗体の定量化のための
固相アッセイを記載している。試料抗原または抗体をア
ニオン交換樹脂のような固相支持体表面に直接吸着さ
せ、次いで支持体を、試料抗原または抗体に対して免疫
的反応性を示す標識特異的結合メンバーに暴露する。
Schickら(米国特許第4,145,406号)は、タンパク質
に非特異的に結合するイオン交換吸着剤の使用を記載し
ている。Marshallら(米国特許第4,211,763号)は、タ
ンパク質を結合して凝集体を形成するアニオン交換樹脂
を使用する、甲状腺機能を測定する方法を記載してい
る。Tabbら(米国特許第4,362,697号)は、増強物質と
してビニルピロリドンのコポリマーを使用する試験装置
を記載している。Giegelら(米国特許第4,517,288号)
は、被分析物質特異的結合メンバーを多孔質媒体に吸着
または免疫学的に結合し、次いで被分析物質を多孔質媒
体に適用することが必要なリガンドアッセイを実施する
方法を記載している。
他のアッセイ方法は、補助的な特異的結合メンバーの
使用を含む。Tanswellら(米国特許第4,642,930号)
は、抗原を3種のレセプターと一緒にインキュベートす
ることにより多価抗原の存在を判定する方法を記載して
いる。3種のレセプターは、第1及び第3レセプターが
抗原に結合し、固体支持体に結合された第2レセプター
が第1レセプターに特異的に結合するものである。Valk
irsら(米国特許第4,727,019号)は、Tanswellらのごと
く、抗レセプター(例えばアビジン)を多孔質メンバー
上に固定し、標的リガンドに結合させたレセプター(例
えばビオチンに結合させた被分析物質特異的抗体)に結
合する、リガンド−レセプターアッセイの方法及び装置
を記載している。Woltersら(米国特許第4,343,896号)
は、検出可能な結合体を生成または完成するために補助
の特異的結合メンバーを使用すること、即ち検出可能な
被分析物質−結合メンバー結合体を完成するために結合
アッセイにおいて第3の抗体を使用することを記載して
いる。W.Georghegan(米国特許第4,880,751号)は、選
択したIgG分子のF(c)部分を帯電表面に吸着させる
ことにより免疫吸着マトリックスを作製する方法を記載
している。Parikhら(米国特許第4,298,685号)は、ビ
オチンと抗被分析物質抗体の結合体を、アビジンが固定
された不活性支持体と一緒に使用することを記載してい
る。アビジン成分及びビオチン成分の特異的結合によっ
て抗体を不活性支持体上に固定することができる。
別の分離方法としては、磁性固相の使用、重合技術、
及び未結合の被分析物質とは異なる特性を有する被分析
物質結合体の形成を挙げることができる。Ullmanら(米
国特許第4,935,147号)は、帯電非磁性懸濁粒子を液体
媒質から、粒子を帯電磁性粒子及び化学試薬と接触させ
ることにより分離する方法を記載している。化学試薬
は、磁性粒子と非磁性粒子との間で非特異的結合を形成
して磁性凝集体を生成する。反応容器に磁場勾配を印加
し、凝集体を容器の一方の側に集め、次いで液体媒質を
デカントする。
Longoriaら(米国特許第4,948,726号)は、抗原分子
と抗体分子を反応させ、個々の分子のイオン電荷とは異
なる固有のイオン電荷を示す抗原/抗体結合体を形成す
ることを含むアッセイ方法を記載している。濾紙マトリ
ックスを、抗原/抗体結合体に対する固有の親和性にお
いて選択する。Milburnら(米国特許第4,959,303号)
は、試験試料由来の抗原及び該抗原に特異的な抗体を、
抗原が抗体に結合したときにその抗体が支持体に結合す
るのに十分な条件でインキュベートする。
Vandekerckhove(米国特許第4,839,231号)は、ま
ず、ポリアクリルアミド電気泳動ゲルのようなゲル中で
標的タンパク質を分離または単離し、次いで、単離タン
パク質を固定用の被膜支持体の表面に移送することを含
む、2段階タンパク質固定方法を記載している。被膜支
持体は、(負電荷基を有する)化学的に不活性な支持体
材料を(正電荷基を有する)ポリビニルピリジンまたは
ポリブレンの溶液と接触させることにより作製される。
正電荷ポリマーが支持体材料の負電荷基とイオン結合を
形成し得ることにより、支持体上に不溶性ポリマー薄膜
が形成される。
Monjiら(米国特許第4,780,409号)は、試験溶液の温
度または塩濃度を適当なレベルに調整すると該溶液から
沈殿する感温性または感塩性(salt−sensitive)ポリ
マーに結合させた反応物質を記載している。Marshall
(米国特許第4,530,900号)は、可溶性ポリマーに結合
させた反応物質を記載しており、該ポリマーは溶液から
取り出すために不溶性にされ、濾過または遠心によって
試験溶液から物理的に取り出される。Marshallは、反応
物質−ポリマー結合体を不溶性にするために、溶液のpH
を低下させるかまたはMonjiらのごとく塩を加えるかの
2つの手段を開示している。Marshallは更に、不溶化し
た結合体を沈殿させ、試験溶液から取り出し、最後に再
度可溶化して第2の溶液を形成してから、被分析物質を
検出することを記載している。
従来技術の再検討から理解されるように、試験ストリ
ップ分野は極めて活発である。所応のアッセイを実施す
るのに操作ステップを僅かしたまたは全く必要としない
装置、比較的未熟な者でも使用し得る装置、及びアッセ
イ実施方法の変化に最小限にしか影響されない結果を与
える装置に対する要求が高まっている。得られた検出シ
グナルを観察するのが容易であること、及び検出部位に
固定されたいかなるシグナル物質をも、検出部位を通過
したシグナル物質から区別することが容易であることも
考慮される。更に、“汎用”装置、即ち装置の製造時に
使用される試薬ではなくてアッセイ実施時に使用される
試薬によって使用可能性が規定されるアッセイ装置を製
造し得る装置製造フォーマットが長い間追究されてい
る。
発明の概要 本発明は、試験試料中の被分析物質の存在または量を
判定するための新規の結合アッセイ法を提供する。該ア
ッセイは、ポリマーアニオン、例えばカルボキシメチル
アミロースに結合した第1結合メンバーを含む捕獲剤
と、検出可能な標識を有する第2結合メンバーを含む指
示薬と、ポリマーカチオン性物質からなる反応部位を含
む固相材料とを必要とする。捕獲剤及び指示薬の特異的
結合メンバーは、サンドイッチアッセイ、競合アッセイ
または間接アッセイにおいて被分析物質と一緒に結合体
を形成し、それによって試験試料中の被分析物質の存在
または量に比例して検出可能な結合体を形成するように
選択される。
固相を捕獲剤及び試験試料と接触させると、固相のポ
リマーカチオンが捕獲剤のポリマーアニオンを引き付け
且つそれに結合し、従って捕獲剤及びその結合体が固相
上に固定される。次いで固相を指示薬と接触させると、
指示薬が、試験試料中に存在する被分析物質の量に応じ
た量で固定されている捕獲剤またはその結合体に結合す
る。一般的には、固相に付着した指示薬を検出し、試験
試料中の被分析物質の存在または量を判定する。或い
は、未結合のままの指示薬を検出することもできる。
本発明によって更に、特異的結合アッセイに使用する
ための汎用固相装置の製造が可能になる。種々の被分析
物質に対するアッセイ法において、通常の流通装置及び
試験ストリップ装置に見られる特定の被分析物質のみを
結合し得る固定結合メンバーではなく、アニオン性また
はカチオン性捕獲ポリマーの所定のゾーンを含む同じ固
相材料を使用することができる。
捕獲剤の特異的結合メンバー成分はハプテンまたは高
分子とすることができる。帯電捕獲剤によって、混合液
を反対の電荷を有する固相と接触させることにより反応
結合体を反応混合液から取り出すことができる。均一ア
ッセイ及び分離反応が可能になる。実質的に全ての結合
アッセイ(サンドイッチアッセイ、競合アッセイ、間接
アッセイ、補助特異的結合メンバー使用のアッセイ、阻
害アッセイなど)を、本発明の新規の捕獲剤及びイオン
捕獲法を使用するよう適合させることができる。
本発明は、特異的結合アッセイ分野に2つの主要な進
歩をもたらす:a)液相反応(liquid phase kinetic
s)を使用することにより被分析物質及びアッセイ試薬
特異的結合メンバーの均一混合液から結合体が容易に形
成される、及びb)イオン捕獲法によって固体支持体上
に固定され得る結合体の数が増大する。液相反応の有益
性を求めないならば、本発明は更に、吸収、吸着または
共有結合以外の方法によって結合メンバーを固相上に固
定する有効な方法を提供する。
本発明の新規の捕獲剤は、分離操作に使用することも
できる。試料から分離すべき被分析物質を含む液体試料
を捕獲剤と混合し、反応させ、帯電した被分析物質/捕
獲剤結合体を形成する。特異的結合反応に次いで、溶液
を、新たに形成された結合体を引き付け、そこに結合
し、そして液体試料から分離する、反対の電荷を有する
固相に接触させる。
発明の詳細 本発明のアッセイ方法及び試薬は種々のイムノアッセ
イ形式に使用することができる。しかしながら、本発明
はイムノアッセイに制限されることはない。被分析物質
とアッセイ試薬との間の特異的結合反応を使用する任意
のアッセイを実施することができる。
定義 以下の定義が本発明に適用可能である。
本明細書における“特異的結合メンバー(specific
binding member)”なる用語は、特異的結合対、即ち
一方の分子が化学的または物理的手段によって第2の分
子に特異的に結合する2つの異なる分子のメンバーを指
す。特異的結合対の相補的メンバーは、リガンド及びレ
セプターと称することもできる。抗原及び抗体というよ
く知られた特異的結合対の例のほかに、以下のものを特
異的結合対の例として挙げることができる:ビオチンと
アビジン、炭水化物とレクチン、相補的ヌクレオチド配
列(標的核酸配列を検出するためのDNAハイブリダイゼ
ーションアッセイに使用されるプローブ及び捕獲核酸配
列を含む)、相補的ペプチド配列(組換え法によって形
成されたものを含む)、エフェクター分子とレセプター
分子、ホルモンとホルモン結合タンパク質、補酵素(en
zyme cofactors)と酵素、酵素阻害物質と酵素など。
更に、特異的結合対は、元の特異的結合メンバーの類縁
体であるメンバーを含み得る。例えば、被分析物質と共
通の少なくとも1つのエピトープを有する限りは、被分
析物質の誘導体またはフラグメント(被分析物質類縁
体)を使用することができる。免疫反応性特異的結合メ
ンバーとしては、抗原、ハプテン、抗体、及び組換えDN
A法またはペプチド合成によって形成されるものを含む
これらの結合体を挙げることができる。抗体は、モノク
ローナルもしくはポリクローナル抗体、キメラ抗体、組
換えタンパク質、またはこれらの混合物もしくはフラグ
メント、並びに抗体と他の特異的結合メンバーとの混合
物であり得る。かかる抗体の製造及び特異的結合メンバ
ーとして使用する上でのそれらの適合性の詳細は当業者
にはよく知られている。
本明細書における“ハプテン”なる用語は、抗体に結
合することはできるが、担体タンパク質に結合しないと
抗体形成を誘導できない部分抗原または非タンパク質結
合メンバーを指す。
本明細書における“試験試料”なる用語は、実質的に
全ての液体試料を指す。試験試料は、体液、例えば血
液、唾液、涙(ocular lens fluid)、脊髄液(cereb
ral spinal fluid)、汗、尿、乳、腹水、粘液、滑
液、腹膜液、羊水など任意の所望の供給源から得ること
ができる。液体試験試料は、血液から血漿を調製した
り、粘性液体を希釈するなど、使用前に前処理を行なう
ことができる。前処理方法としては、分離、濾過、蒸
留、濃縮、妨害性成分の不活性化、試薬の添加を挙げる
ことができる。体液のほかに、水、食品などの他の液体
試料を使用することもできる。更に固体試験試料は、液
体媒質に変換すれば、それを使用することができる。
本明細書における“被分析物質(analyte)”なる用
語は、本発明によって試験試料中で検出すべき、または
それから分離すべき物質を指す。被分析物質は、その天
然の特異的結合メンバーが存在するかまたはその特異的
結合メンバーを調製し得る任意の物質であり得る。更
に、被分析物質は2種以上の特異的結合メンバーに結合
し得る。“被分析物質”としては、抗原性物質、ハプテ
ン、抗体、及びこれらの組合せを挙げることもできる。
このような被分析物質としては、限定的ではないが、タ
ンパク質、ペプチド、アミノ酸、ホルモン、ステロイ
ド、ビタミン、治療目的で投与されるもの及び不正に投
与されるものを含む薬物、細菌、ウイルス、及び、これ
らの物質の代謝物またはそれに対する抗体を挙げること
ができる。
本明細書における“被分析物質類縁体”なる用語は、
被分析物質に特異的な結合メンバーと交差反応する物質
を指すが、被分析物質類縁体は結合メンバーと、被分析
物質自体より高度にまたは低度に反応し得る。被分析物
質類縁体は、それが問題の被分析物質と共通の少なくと
も1つのエピトープ部位を有する限りは、変性被分析物
質及び被分析物質分子のフラグメントまたは合成部分で
あり得る。
本明細書における“標識”なる用語は、特異的結合メ
ンバーに直接または間接的に結合し、目視または装置に
よって検出可能なシグナルを生成し得る任意の物質を指
す。本発明に使用するのに適当な種々の標識としては、
色原体;触媒;蛍光化合物;化学ルミネセンス化合物;
放射性標識;金属及び被金属コロイド粒子、色素粒子、
酵素もしくは基質、または有機ポリマーラテックス粒子
を含む直接可視標識;シグナル生成物質を含むリポソー
ムまたは他のビヒクルなどを挙げることができる。
標識として使用するのに適した多数の酵素が米国特許
第4,275,149号のカラム19〜23に記載されており、この
特許の開示内容は参照により本明細書の一部を構成する
ものとする。例えば、本発明に有効な酵素/基質シグナ
ル生成系は、酵素としてアルカリ性ホスファターゼを、
基質としてニトロブルーテトラゾリウム−5−ブロモ−
4−クロロ−3−インドリルホスフェートまたはその誘
導体もしくは類縁体を含む。
別のシグナル生成系においては、標識を蛍光化合物と
することができるが、この場合、検出可能なシグナルを
生成するために標識の酵素作用は必要でない。フルオレ
セン、フィコビリタンパク質、ローダミン並びにこれら
の誘導体及び類縁体といった蛍光分子が、この系の標識
として使用するのに適している。
本発明の特に好ましい実施態様においては、可視検出
可能な着色粒子を指示薬の標識成分として使用し、他の
シグナル生成試薬を添加する必要なしに、試料中の被分
析物質の存在または濃度を着色度から直接読取ることが
できる。着色粒子として使用される材料は、米国特許第
4,313,734号及び第4,373,932号に記載のごとく、金のよ
うなコロイド金属及び色素粒子であり、この特許の開示
内容は参照により本明細書の一部を構成するものとす
る。セレンコロイド粒子のような非金属コロイド粒子の
調製及び使用が米国特許第4,954,452号に開示されてお
り、この特許の開示内容は参照により本明細書の一部を
構成するものとする。イムノクロマトグラフィーにおけ
るコロイド粒子標識の使用は、本出願人による1987年7
月13日出願の同時係属米国特許出願第072,459号に開示
されており、この特許の開示内容は参照により本明細書
の一部を構成するものとする。標識として使用する有機
ポリマーラテックス粒子は、本出願人による1988年9月
23日出願の同時係属米国特許出願第248,858号に開示さ
れており、この特許の開示内容は参照により本明細書の
一部を構成するものとする。
本明細書における“シグナル成分成分”なる用語は、
被分析物質または他のアッセイ試薬と反応し、被分析物
質の存在または量を示すと共に目視または装置によって
検出可能な反応生成物またはシグナルを生成し得る任意
の物質を指す。本明細書における“シグナル生成系”な
る用語は、所望の反応生成物またはシグナルを生成する
ために使用される一群の反応試薬を指す。例えば、1種
以上のシグナル生成成分を使用し、標識と反応させて検
出可能なシグナルを生成することができる。例えば標識
が酵素であるならば、該酵素を1種以上の基質または追
加酵素と反応させて検出可能な反応生成物を生成するこ
とにより、検出可能なシグナルが増幅される。
本明細書における“指示薬”なる用語は、標識に結合
しているかまたは標識に結合する特異的結合メンバーを
指す。指示薬は検出可能なシグナルを、試験試料中の被
分析物質の量に関係するレベルで生成する。一般に指示
薬は、固相材料に捕獲させてから検出または測定する
が、未結合の指示薬を測定してアッセイ結果を判定する
こともできる。
指示薬の特異的結合メンバーは、サンドイッチアッセ
イにおいては被分析物質、競合アッセイにおいては捕獲
剤、また検出可能な複合体を完成するためには補助特異
的結合メンバーに結合し得る。前述したように、標識に
よって指示薬は、試験試料中の被分析物質の存在または
量に関係する検出可能なシグナルを生成することができ
る。指示薬の特異的結合メンバー成分によって、標識
は、被分析物質、補助特異的結合メンバーまたは捕獲剤
に間接的に結合される。特定の標識の選択は限定的では
なく、標識は、例えば着色有機ポリマーラテックス粒子
によって生成される可視検出可能なシグナルのような単
独で検出可能なシグナル、または酵素/基質シグナル生
成系のような1つ以上の追加シグナル生成成分と併用し
て検出可能なシグナルを生成し得る。標識または特異的
結合メンバーを変えることにより種々の指示薬を形成す
ることができる。選択には検出すべき被分析物質及び所
望の検出手段を考慮する必要があることは当業者には理
解されよう。
上述したように、標識はアッセイの過程で特異的結合
メンバーに結合することができる。例えばビオチニル化
抗被分析物質抗体は標識ストレプトアビジン分子と反応
することができる。結合メンバー及び標識を適当に組み
合わせて使用することができる。
本明細書における“捕獲剤(capture reagent)”な
る用語は、帯電物質に結合した被標識特異的結合メンバ
ーを指す。成分の結合は実質的に不可逆的であり、共有
結合を含み得る。特異的結合メンバーは、帯電物質への
結合が結合メンバーの結合部位を妨害しない限りは、ハ
プテンまたは小ペプチドのような小分子であり得る。捕
獲剤の結合メンバー成分は、サンドイッチアッセイにお
いては被分析物質に、競合アッセイにおいては指示薬ま
たは被分析物質に、または、それ自体も被分析物質に特
異的である補助特異的結合メンバーに特異的である。
捕獲剤の帯電物質成分としてはアニオン性及びカチオ
ン性のモノマーまたはポリマーを挙げることができる。
例えばアニオン性ポリマーとしては、ポリグルタミン酸
(PGA)、アニオン性タンパク質もしくは誘導タンパク
質(例えばアルブミン)、アニオン性多糖(例えばヘパ
リンまたはアルギン酸)、ポリアスパラギン酸、ポリア
クリル酸、及び、特異的結合反応に適当なpH(例えばpH
4〜10)で正味負電荷を有するポリアミノ酸を挙げるこ
とができる。更に、特異的結合メンバーを1つ以上の帯
電モノマーまたはポリマーに結合し、捕獲剤に伴なう正
味電荷を増大することができる。
本発明の新規の捕獲剤を使用し、被分析物質及び/ま
たは指示薬を他のアッセイ試薬及び残りの試験試料成分
から実質的に分離することにより、検出可能なシグナル
の観察が容易になる。最も有利な使用においては、捕獲
剤を試験試料及びアッセイ試薬と均一反応混合液中で反
応させる。所望の特異的結合メンバー結合体を形成した
後、捕獲剤を含む結合体を、均一反応混合液を捕獲剤の
電荷とは反対の電荷を有する固相に接触させることによ
り均一反応混合液から取り出す。
本発明の1つの実施態様においては、選択した特異的
結合メンバーを、一般式: 〔式中、nは約10〜約500であり;zは約1〜約6であり;
WはH+、Na+、K+、Li+、H+NR3のごときアミン塩及びその
誘導体から選択され;Xは、特異的結合メンバーとポリマ
ーの化学結合を可能にする反応基を有する実質的に任意
の反応基または部分である〕 で表される1つ以上の活性化アニオン性ポリマー分子及
びその結合ベースに結合することにより、負電荷を有す
る捕獲剤を作製することができる。“X"は、アミン反応
基もしくは部分、チオール反応基もしくは部分、また
は、−A−SH〔ここでAはスペーサーアームである〕で
表されるチオール基もしくは部分であり得る。例えば、
アミノ基を有する特異的結合メンバーを、アミン反応性
部分を有する活性化PGAアニオン性分子に結合すること
ができる。アミン反応性部分によって、活性化ポリマー
を特異的結合メンバー上のアミノ基へ結合することがで
きる。アミン反応性部分としては、限定的ではないが、
式: 〔式中、mは2または3であり、R'は硫黄安定剤であ
り、R"は脂肪族またはアリール基である〕 で表されるものを挙げることができる。硫黄安定剤とし
ては、限定的ではないが、2−ピリジル基、4−ピリジ
ル基及び5−ニトロ−2−ピリジル基を挙げることがで
きる。“A"は、限定的でなはいが、炭素、窒素、硫黄及
び酸素原子鎖並びにこれらの組合せ、例えばポリエーテ
ル、ポリメチレン及びポリアミドを含む約1〜約30個の
原子からなるスペーサー、或いはフェニルチオカルバミ
ルのような芳香族スペーサーを表わす。
或いは、チオール基を有する特異的結合メンバーを、
チオール反応性部分を有する活性化ポリマーに結合する
こともできる。チオール反応性部分としては、限定的で
はないが、式: 〔式中、Aは前述のごとき約1〜約30個の原子からなる
スペーサーである〕 で表されるものを挙げることができる。更に別の態様に
おいては、チオール反応基を有する特異的結合メンバー
を、−A−SHのようなチオール部分を有する活性化ポリ
マーと結合することができる。
典型的には後記実施例の負電荷を有する捕獲剤は、所
望の特異的結合メンバーを、修飾末端アミノ基を有する
活性化PGA分子と反応させることにより形成した。簡単
に述べると、修飾方法は、1)PGAを溶剤(例えばジオ
キサン、ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロ
リジノン及びジメチルスルホキシドのような水混和性非
プロトン性溶剤)中に溶解し;2)滴定カルボン酸当たり
約1当量のプロトン吸収剤(例えば4−メチル モルホ
リン)を加え;3)約2〜約100モル過剰量のアミノ反応
性変性剤(例えばジメチルホルムアミド中に溶解した1,
4−フェニレンジイソチオシアネート)を加え;4)混合
液を反応させ;及び5)未反応のアミン反応性変性剤を
除去することを含む。適当なプロトン吸収剤としては、
例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたは水酸化
リチウムといったアルカリ金属水酸化物や、4−メチル
モルホリン及びトリエチルアミンといった第三級アミン
を挙げることができる。
アニオン性ポリマー分子または特異的結合メンバー
は、1つ以上のアミノ、カルボキシルまたはチオール基
を含むか、またはアミノ、カルボキシルまたはチオール
基を取込むことにより活性化することができ、それによ
って特異的結合メンバーをアニオン性ポリマー分子と化
学的に架橋し得る。“活性化種(activated specie
s)”とは、架橋または他の活性化剤の取込みにより反
応基を含んだ特異的結合メンバー及びアニオン性ポリマ
ー分子を指す。アミン反応性変性剤は、特異的結合メン
バーまたはアニオン性ポリマー分子を“活性化”する、
即ち特異的結合メンバーまたはアニオン性ポリマー分子
を化学的架橋に対処するために使用されるサブクラスの
試薬である。活性化剤としては、チオラン(例えば2−
イミノチオラン)、スクシンイミジルメルカプトアセテ
ート(例えばN−スクシンイミジル−S−アセチルメル
カプトアセテート)、及び後でチオールに還元されるジ
スルフィド化合物といったチオール導入剤を挙げること
ができる。チオール導入剤を使用し、後でチオール反応
性基と反応させるために、特異的結合メンバー及び固相
材料を活性化することができる。
アミン反応性変性剤としては、限定的ではないが、特
異的結合メンバーとアニオン性ポリマー分子との化学的
架橋を可能にする二官能性架橋剤またはカップリング
剤、例えば無水コハク酸類縁体、イミノチオラン類縁
体、ホモ二官能剤及びヘテロ二官能剤を挙げることがで
きる。ホモ二官能剤の例は式X−A−X〔ここでXはア
ミン反応性基であり、Aは約1〜約30個の原子からなる
スペーサーである〕で表すことができる。ヘテロ二官能
剤の例は式X−A−Y〔ここでXはアミン反応性基であ
り、Yはチオール反応性部分、チオール部分またはチオ
ール前駆体であり、Aは前述のごとき約1〜約30個の原
子からなるスペーサーである〕で表すことができる。タ
ンパク質の活性部位にシステイン残基を有するタンパク
質特異的結合メンバーは、カップリング剤を添加するこ
とによりその活性が低下され得るので、タンパク質をカ
ップリング剤と反応させる前に、活性部位にあるシステ
イン残基を当分野において周知の手段によって保護する
必要がある。
本明細書における“カップリング剤”なる用語は、二
官能性架橋剤またはカップリング剤、即ちスペーサーに
よってつながれている2つの反応基または“末端”を含
む分子を包含する。反応性末端は、限定的ではないが、
アミノ反応性末端(例えばN−ヒドロキシスクシンイミ
ド(NHS)活性エステル、イミドエステル、アルデヒ
ド、エポキシド、ハロゲン化スルホニル、イソシアネー
ト、イソチオシアネート及びハロゲン化ニトロアリー
ル);及びチオール反応性末端(例えばピリジルジスル
フィド、マレイミド、チオフタルイミド、及び活性ハロ
ゲン)を含む種々の官能基のいずれかとし得る。ヘテロ
二官能性架橋剤は2つの異なる反応性末端、例えばアミ
ノ反応性末端とチオール反応性末端とを有するが、ホモ
二官能剤は2つの同種の反応性末端を有しており、それ
には例えば、スルフヒドリル含有化合物を架橋し得るビ
スマレイミドヘキサン(BMH)及びNHSホモ二官能性架橋
剤(例えばジスクシンイミジルスベラート(DSS)並び
に水溶性類縁体)、スルホ−NHSエステル〔Pierce 198
9 Handbook and General Catalog;Pierce,Rockfor
d、IL〕を挙げることができる。
他の市販のホモ二官能性架橋剤としては、限定的では
ないが、例えばジメチルアジピミデートジヒドロクロリ
ド(DMA)、ジメチルピメリミデートジヒドロクロリド
(DMP)及びジメチルスベリミデートジヒドロクロリド
(DMS)といったイミドエステルを挙げることができ
る。イミノチオラン類付置体は一般式: 〔式中、Aは約1〜約5個の原子からなるスペーサー〕 で表わされ、例えば2−イミノチオラン(Traut試薬)
である。
本発明に使用するのに適した市販のヘテロ二官能剤と
しては、限定的ではないが、マレイミド−NHS活性エス
テルカップリング剤、例えばm−マレイミドベンゾイル
−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS);ス
クシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロ
ヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC);スクシンイ
ミジル 4−(p−マレイミドフェニル)ブチレート
(SMPB)及び、スルホスクシンイミジル誘導体を含むそ
の誘導体(例えばスルホスクシンイミジス 4−(N−
マレイミド−メチル)シクロヘキサン−1−カルボキシ
レート(スルホーSMCC));m−マレイミドベンゾイル−
スルホスクシンイミドエステル(スルホ−MBS)及びス
ルホスクシンイミジル 4−(p−マレイミドフェニ
ル)ブチレート(スルホ−SMPB)(Pierce)を挙げるこ
とができる。他の適当なヘテロ二官能剤としては、N−
スクシンイミジルブロモアセテート及びN−スクシンイ
ミジル(4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート(SI
AB)といった市販の活性ハロゲン−NHS活性エステルカ
ップリング剤や、スルホスクシンイミジル(4−ヨード
アセチル)アミノベンゾエート(スルホ−SIAB)(Pier
ce)といったスルホスクシンイミジル誘導体を挙げるこ
とができる。別のグループのカップリング剤としては、
N−スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)プ
ロピオネート(SPDP)(Pierce)といったヘテロ二官能
性チオール切断性剤を挙げることができる。
更に別のグループのカップリング剤としては、本出願
人による同時係属米国特許出願第254,288号(1988年10
月11日出願)及び第114,930号(1987年10月30日出願)
に記載の長鎖ヘテロ二官能性カップリング剤を挙げるこ
とができる。これら2つの特許出願の開示内容は参照に
より本明細書の一部を構成するものとする。長鎖ヘテロ
官能性カップリング剤としては、スペーサーが式: 〔式中、アミノ酸は、直鎖状の3〜10個の炭素原子を有
する置換または未置換のアミノ酸であり;nは1〜10であ
り;Rはアルキル、シクロアルキル、アルキル−シクロア
ルキルまたは芳香族カルボキシル環である〕 で表わされるマレイミド−NHS活性エステル剤を挙げる
ことができる。アルキル−シクロアルキルなる用語は、
アルキル基がシクロアルキルをマレイミドまたはカルボ
ニル基に結合している、シクロアルキル環構造に結合し
ているアルキル基を含む。アルキルなる用語は、直鎖ま
たは分枝鎖アルキル基、好ましくは1〜6個の炭素原子
を有する低級アルキル基を含む。
スペーサーが存在する場合、スペーサーは、非反応性
であり、安定であり、且つそれと一緒に使用される非分
析物質または他の特異的結合メンバーに非結合性である
任意の分子鎖とすることができる。スペーサーの長さは
変化させることができ、単一原子の大きさから、米国特
許出願第254,288号及び第114,930号に記載の大きさまた
はそれ以上の範囲とすることができる。
アミン反応性変性剤、チオール導入剤または他の活性
化剤の選択は限定的ではないが、当業者は、診断アッセ
イに使用される特定のアニオン性ポリマー分子及び特異
的結合メンバーと一緒に使用するのに適したまたは好ま
しい物質が判るであろう。従って、所与のアッセイに使
用されるカップリング剤または活性化剤は通常は経験的
に決定されることが当業者には理解されるであろう。
ヘテロ官能剤の適当なチオール反応性部分としては、
限定的ではないが、式: で表されるものを挙げることができる。
適当なチオール前駆体部分としては、限定的ではない
が、式: で表わされるものを挙げることができる。
適当なアミン反応性部分としては、限定的ではない
が、式: 〔式中、mは2または3であり、R'は前述のごとき硫黄
安定化剤であり、R"は脂肪族またはアリール基である〕 で表わされるものを挙げることができる。
本発明の更に別の実施態様においては、アミン反応性
基を有する特異的結合メンバー(例えば活性化特異的結
合メンバー)を、アニオン性ポリマー分子の末端アミノ
基に結合することができる。簡単に述べると、結合方法
の例は、1)PGAを溶剤(例えばジオキサン、ジメチル
ホルムアミド、1−メチル−2−ピロリジノン及びジメ
チルスルホキシドのような水混和性非プロトン性溶剤)
中に溶解し;2)滴定カルボン酸当たり約1当量のプロト
ン吸収試薬(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
もしくは水酸化リチウムのようなアルカリ金属水酸化物
または4−メチル モルホリンもしくはトリエチルアミ
ンのような第三級アミン)を加え;3)約2〜約100モル
過剰量のアミン反応性特異的結合メンバー(例えばホス
ゲン活性化フェニルシクリジンまたはフェニルシクリジ
ン−4−クロロホルメート)を加え;4)混合液を反応さ
せ;及び5)未反応のアミン反応性特異的結合メンバー
を除去することを含む。特異的結合メンバー上の適当な
アミン反応性基の例としては、限定的ではないが、 〔式中、Aは前述のごとき約1〜約30個の原子からなる
スペーサーであり、mは2または3であり、R'は硫黄安
定化剤であり、R"は脂肪族またはアリール基である〕 を挙げることができる。
負電荷を有する捕獲剤の調製剤は、アミノ基を有する
特異的結合メンバー(SBM)とアミノ反応性部分を有す
る活性化PGAとを反応させることを含む。得られる反応
及び反応生成物は以下のように表わすことができる。
本発明の更に別の実施態様においては、捕獲剤に使用
するのに好ましいアニオン性ポリマーは、種々のイムノ
アッセイ構成における特定の効力から、カルボキシメチ
ルアミロール(CMA)である。CMAを含む捕獲剤の優れた
効力は、カチオン性固相に対するCMA捕獲剤の親和力(a
vidity)がより高いことに起因し得る。このことは、指
示薬のカチオン性固相への非特異的結合をブロックする
ためにポリアニオンを使用する2ステップサンドイッチ
アッセイ形式においては特に有利である。
本明細書における“補助特異的結合メンバー”なる用
語は、捕獲剤及び指示薬の特異的結合メンバーのほか
に、アッセイに使用される特異的結合対のメンバーを指
す。例えば或るアッセイにおいては、補助特異的結合メ
ンバーが被分析物質を、被分析物質だけでは結合できな
い第2特異的結合メンバーに結合させることができる
し、また阻害アッセイにおいては、補助特異的結合メン
バーが基準結合メンバーとなり得る。1つのアッセイに
1種以上の補助特異的結合メンバーを使用することがで
きる。
本明細書における“固相”なる用語は、不溶性である
かまたは後続反応によって不溶性にし得る任意の物質を
指す。固相は、その固有電荷及び捕獲剤を引き付ける能
力において選択し、例えばメチル化ウール、ナイロン、
及び正電荷を有する特殊ガラスとすることもできる。或
いは、捕獲剤の帯電物質とは反対の電荷を有する帯電物
質で固相を前処理して電荷を保持せしめることができ
る。例えば、アニオン性物質を特異的結合メンバーに結
合して捕獲剤を形成し、カチオン性物質を固相に適用し
てそこに把持させてもよいし、この逆でもよい。
天然材料、合成材料または合成変性された天然材料を
カチオン性物質として使用することができる。第三級及
び第四級アンモニウム化合物及びアンモニウム化合物の
誘導体を含む広範な特許ポリカチオンが入手可能であ
る。このようなポリカチオン性材料としては、限定的で
はないが、ヘキサジメトリンブロミド(Polybrene(登
録商標);Sigma Chemical Company,St.Louis,MO)、G
AFQuat(商標)第四級アンモニウム化合物(GAF Corpo
ration,Wayne,NJ,07470)、ジエチルアミノエチル−デ
キストラン(Sigma)、Merquat−100(登録商標)化合
物(ジメチルジアリルアンモニウムクロリドのカチオン
性ホモポリマー;Calgon Corporation,Pittsburgh,PA)
及び水溶性セルロース誘導体、例えばジアリルジメチル
アンモニウムクロリド−ヒドロキシエチルセルロースポ
リマー(Celquat(登録商標)L−200ポリマー第四級ア
ンモニウム化合物及びCelquat(登録商標)H−100ポリ
マー化合物、National Starch & Chemical Corpor
ation,Bridgewater,NJ,08807)を挙げることができる。
ジメチルジアリルアンモニウムクロリドのカチオン性
ホモポリマー及び窒素含有量が約2%以上(対イオンは
除く)の他のポリカチオン性物質は、アッセイ過程で洗
浄させる固相を製造する上で特に有利であることが意外
にも見いだされた。このようなポリカチオン性物質を使
用して適当に帯電した固相を製造すると、反対の電荷を
有する捕獲剤を引き付け且つ保持する能力を失うことな
く、固相の操作性をさらに向上することができる。窒素
含有量が約5%以上(対イオンは除く)のポリカチオン
性物質はより好ましく、窒素含有量が約10%以上(対イ
オンは除く)の物質は最も好ましいことが判った。
イオン捕獲法に基づくアッセイ装置は多数の形状を有
することができるが、そのうちの幾つかは固相として選
択する材料に依存する。種々の装置の実施態様におい
て、固相は、ポリマーもしくはガラスのビーズ、微粒
子、磁性粒子、チューブ、シート、プレート、スライ
ド、ウェル、テープ、試験管、層状フィルムなど、また
は固有の電荷を有するかもしくは帯電物質を保持し得る
他の任意の材料を含み得る。
本発明の新規のイオン捕獲装置は、任意の適当な多孔
質材料でできた固相を含む。“多孔質”とは、試験試料
が毛管作用または吸上作用によって容易に通過し得る材
料を指し、吸湿性及び非吸湿性の両固相材料を含む。例
えば固相としては、1種以上のアッセイ試薬を含む1つ
以上の層を有する流通アッセイ(flow−through assa
y)装置に使用するためのファイバーガラス、セルロー
スもしくはナイロンパッド;浸漬及び読取りアッセイ用
の浸漬片;吸上もしくは毛管作用のための試験ストリッ
プ(例えば濾紙、ニトロセルロース、ポリエチレン);
または当業者には周知の他の多孔質もしくは連続細孔材
料(例えばPorex Technologies Corporation,Fairbur
n,Georgia,USAによって製造されているようなポリエチ
レンシート材料)を挙げることができる。
天然材料、合成材料または合成変性した天然材料を、
多糖を含む固相として使用することができ、例えば紙の
ようなセルロース材料;セルロースアセテート及びニト
ロセルロースのようなセルロース誘導体;シリカ;塩化
ビニル、塩化ビニル−プロピレンコポリマー、及び塩化
ビニル−酢酸ビニルコポリマーといった多孔質ポリマー
マトリックス中に均一に分散された、不活化アルミナ、
ケイ藻土、MgSO4といった無機材料または他の無機微粉
砕材料;天然(例えば綿)または合成(例えばナイロ
ン)の布;多孔質ゲル(例えばシリカゲル、アガロー
ス、デキストラン及びゼラチン);ポリマーフィルム
(例えばポリアクリルアミド)などを挙げることができ
る。固相は、適当な強度を有するかまたは支持体によっ
て強度を与えるべきであるが、支持体は検出可能なシグ
ナルの生成を妨害すべきでない。
流通アッセイ装置に好ましい固相材料としては、多孔
質ファイバーガラス材料もしくは他のファイバーマトリ
ックス材料のような濾紙、及びポリエチレンパッドのよ
うな等方性多孔質材料を挙げることができる。使用する
材料の厚さは、主にアッセイする試料または被分析物質
の特性、例えば試験試料の流動性に基づいて選択され
る。
固相の固有電荷を変化または増強するため、帯電物質
を固相材料に直接適用することもできるし、微粒子に適
用し、次いでそれを固相支持体材料に保持させることも
できる。或いは、カラム内に保持することにより、被膜
微粒子を単独で帯電固相として使用することもできる。
“保持”とは、固相支持体材料上または内の粒子が支持
体内の他の位置に実質的に移動できないことを意味す
る。粒子は任意の適当なタイプの粒子材料から当業者に
よって選択され得るが、その例としては、ポリスチレ
ン、ポリメチルアクリレート、ポリプロピレン、ラテッ
クス、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニト
リル、ポリカーボネート、ガラスまたは同様の材料から
なるものを挙げることができる。粒径は限定的ではない
が、平均粒径が使用される支持体材料の平均孔径より小
さいのが好ましい。
典型的には、本発明のイオン捕獲原理を使用する新規
の試験ストリップ及び流通装置は、被分析物質、試験試
料及び/または溶出溶剤を該装置に単一方向で移動さ
せ、それによって試薬含有ゾーンまたは検出ゾーンと順
次接触させることを特徴とする。或いは、本発明の新規
の装置は、被分析物質が試料添加部位から試薬含有ゾー
ンまたは検出ゾーンまで放射状に移動するように構成す
ることもできる。別の実施態様においては、新規装置
は、被分析物質、試験試料及び/または溶出溶剤が試薬
含有ゾーン及び検出ゾーンを所定の順序で通過するよう
導く1つ以上の境界付き経路を含むことができる。
イオン捕獲試薬の使用 本発明の開示によれば、捕獲剤が、アニオン性ポリマ
ーのような帯電物質に結合させた被分析物質特異的結合
メンバーを含むサンドイッチアッセイを実施することが
できる。捕獲剤を、被分析物質を含むと推定される試験
試料と、標識被分析物質特異的結合メンバーを含む指示
薬に接触させる。試薬は、同時に混合するかまたは1種
ずつもしくは組み合わせて順次加え、均一な反応混合液
を形成する。
サンドイッチアッセイ例においては、結合反応によっ
て捕獲剤/被分析物質/指示薬の結合体が形成される。
得られた結合体を均一反応混合液の過剰なアッセイ試薬
及び試験試料から、捕獲剤と反対の固有電荷を有するか
または反対の電荷を有する物質を保持する固相、例えば
カチオン性ポリマーによって取り出す。イオン捕獲アッ
セイにおいては、反対の電荷を有する固相が捕獲剤/被
分析物質/指示薬結合体を、アニオン性ポリマー/カチ
オン性ポリマーの相互作用によって引き付け且つ結合す
る。次いで、固相に保持された結合体を、固相の試薬を
調査することにより検出する。被分析物質が試料中に存
在したならば、固相上に標識が存在する。固相上の標識
の量は試料中の被分析物質の量に比例する。サンドイッ
チアッセイに固有の唯一の重要な制約条件は、被分析物
質が十分な大きさを有すると共に、少なくとも2つの特
異的結合メンバーの結合を可能にする適当に配置された
エピトープを有することである。他のサンドイッチアッ
セイは、被分析物質を指示薬及び/または捕獲剤に結合
するために1種以上の補助特異的結合メンバーを含むこ
とができる。
更に本発明を使用して競合アッセイを実施することが
できる。競合アッセイ例においては、可溶性捕獲剤はこ
こでも、アニオン性ポリマーのような帯電物質に結合さ
せた特異的結合メンバーを含む。捕獲剤を、試験試料
と、シグナル生成化合物を用いて標識してある第2結合
メンバーを含む指示薬とに、順次または同時に接触させ
る。捕獲剤と被分析物質とが指示薬への結合において競
合する(例えば捕獲剤と被分析物質とは標識抗原を競合
する抗体である)か、または指示薬と被分析物質とが捕
獲剤への結合において競合し得る(例えば指示薬は、捕
獲剤の抗体成分への結合において抗原の被分析物質と競
合する標識抗原である)。競合結合または置換反応は均
一混合液中で起こり、捕獲剤/被分析物質結合体及び捕
獲剤/指示薬結合体を形成する。
得られた結合体を過剰なアッセイ試薬及び試験試料か
ら、反応混合液を反対の電荷を有する固相と接触させる
ことにより取り出す。捕獲剤結合体は、反対の電荷を有
するポリマーの相互作用によって固相上に保持される。
固相上に保持されている結合体は、指示薬の標識によっ
て検出することができる。競合アッセイにおいては、固
相に付着する標識の量は試料中の被分析物質の量と反比
例する。従って、陽性試験試料は陰性シグナルを生成す
る。競合アッセイは、小さなペプチドまたはハプテンの
ような、特異的結合相手を結合するための単一エピトー
プを有する小分子の被分析物質の存在を判定するために
使用するのが有利である。他の競合アッセイは、被分析
物質を指示薬及び/または捕獲剤に結合するために1種
以上の補助特異的結合メンバーを含むことができる。
例えば、テオフィリンに対するアッセイにおいては、
抗テオフィリン抗体(モノクローナルまたはポリクロー
ナルいずれでも)をアニオン性ポリマーに結合して可溶
性捕獲剤を形成し、標識テオフィリン(即ち指示薬)と
試験試料中の非標識テオフィリンとの間で前記抗体への
結合を競合させることができる。インキュベートした
後、均一混合液を、カチオン性ポリマー被膜を保持する
固相と接触させる。捕獲剤と固相の反対の電荷を有する
イオン種間の引力が、反応混合液から免疫結合体を分離
するのに有用である。次いで指示薬のシグナルを検出す
ることができる。この例においては、試験試料中のテオ
フィリンレベルが増加すると、固相に関連するシグナル
生成は減少する。
更に本発明は、基準抗原の検出を阻害することにより
抗体を測定するような阻害アッセイに使用することがで
きる。例えば、捕獲剤が抗体/アニオン性ポリマー結合
体を含み、指示薬が標識抗体を含むことができる。被分
析抗体を含むと推定される試験試料を、イオン捕獲反応
によって固相上に固定され得る検出可能なサンドイッチ
結合体を捕獲剤及び指示薬と一緒になって形成し得る基
準抗原と混合する。被分析体の濃度が増加すると基準抗
原が固定サンドイッチ結合体を完成する可能性が低下す
るので、捕獲剤による抗原取込みの阻害の程度は試験試
料中の抗体の量に比例する。
一般に、一旦被分析物質とアッセイ試薬の間で結合体
を形成したら、反対の電荷を有する固相を分離機構とし
て使用する。即ち、均一反応混合液を固相と接触させる
と、新たに形成された結合体が固相上に、固相と捕獲剤
とが有する反対の電荷の相互作用によって保持される。
使用者が液相反応に執着しないならば、捕獲剤を固相上
に予め固定し、捕獲部位を形成することもできる。
本発明は更に、液体試料から物質を分離するために使
用することもできる。例えば、単に被分析物質を試験試
料から分離する目的で、指示薬を用いずに、捕獲剤及び
固相を使用することができる。更に、捕獲剤を、捕獲剤
とは反対の電荷を有する可溶性の第2帯電物質と接触す
ることができる。第2帯電物質は、試料を固相材料と接
触させる前は固相上に保持されていないが、捕獲剤を引
き付けてそれに付着し、得られたアッセイ結合体が、反
対の電荷を有する固相上に保持される。
帯電状態の捕獲剤及び被分析物質(及び/または指示
薬)の結合体を反対の電荷を有する固相と接触させると
き、結合体を反応混合液から分離する効率は、反対の電
荷を有するイオン種の引力によって支配される。イオン
引力は、捕獲剤と反対の電荷を有する固相とに複数のポ
リカチオン及びポリアニオン種が含まれるときは特に、
抗原に対する抗体の免疫学的引力より大きいように選択
される。更なる利点は、“イオン捕獲”法によって妨害
物質の固相への非特異的な吸着が最小限に抑制され、優
れた分析精度を与えることである。従ってイオン捕獲法
によって、高度に特異的な分離、最少の非特異的結合、
及び高い感受性を有するアッセイを実施することができ
る。
本発明の1つの実施態様においては、指示薬への非特
異的結合の遮断薬を添加すると、シグナル対ノイズ比を
増加する結果となることが見い出された。非特異的結合
遮断薬は、アッセイに使用する捕獲剤が特異的結合メン
バーに結合したポリアニオン性物質を含む場合でさえ遊
離ポリアニオンとし得ることが意外にも判明した。遊離
または未結合のポリアニオンが存在すると、捕獲剤の固
相への固定が妨害または少なくとも低減されることが予
期されていた。しかしながら、非特異的結合遮断薬は、
ポリアニオン性捕獲剤のポリカチオン性固相への結合を
低下するよりも、指示薬の固相への非特異的な直接結合
を阻害することにおいてより有効であることが判った。
適当な非特異的遮断薬としては、限定的ではないが、デ
キストラン硫酸、ヘパリン、カルボキシメチルデキスト
ラン、カルボキシメチルセルロース、ペントサンポリス
ルフェート、イノシトールヘキサスルフェート及びβ−
シクロデキストリンスルフェートを挙げることができ
る。
指示薬に加えるポリアニオン性非特異的結合遮断薬の
量は、捕獲剤中に含まれるポリアニオン性物質の量より
多くし得ることもまた判明した。遊離ポリアニオン性非
特異的結合遮断薬は、指示薬に、捕獲剤中に使用される
ポリアニオン性物質の量の40,000倍の量で添加し得るこ
とが判った。一般に、指示薬に加えるポリアニオン性遮
断薬の好ましい量は、捕獲剤中に使用されるポリアニオ
ン性物質の量の50〜14,000倍の量である。2ステップサ
ンドイッチアッセイにおいては、指示薬に加えるポリア
ニオン性遮断薬の好ましい量は、捕獲剤に含まれるもの
の1000〜2000倍の量である。
問題の被分析物質の各々に対して適当な使用範囲を決
定することができる。例えば、デキストラン硫酸を指示
薬に遊離ポリアニオン性非特異的結合遮断薬として加え
る、甲状腺刺激ホルモン(TSH)を検出するアッセイに
おいては、遊離ポリアニオンの適量は捕獲剤の233〜19,
000倍または約0.1〜8%デキストラン硫酸の範囲であっ
た。下記の表に示すように、好ましい非特異的結合遮断
薬及び好ましい非特異的結合遮断薬の量は、各被分析物
質に対して最適化することができる。
更に、ポリアニオン性非特異的結合遮断薬を分離剤
(separate raegent)としてアッセイに加えることも
できるし、捕獲剤中、補助結合メンバー中、緩衝剤中、
またはアッセイに使用される或る種の他の試薬中の遊離
ポリアニオンとして含めることもできることが判明し
た。例えば、遊離ポリアニオンを捕獲剤中に含める場
合、それは、試験試料自体もしくは他のアッセイ試薬中
に含まれていたり装置製造過程で混入した妨害物質を中
和することによりシグナル対ノイズ比を増大し得る。下
記の表は、種々の被分析物質に好ましい非特異的結合遮
断薬の量を示しており、ここでは、遊離ポリアニオンが
捕獲剤自体に含まれている。
問題の被分析物質及び所望のアッセイ構成に従い、好
ましい非特異的結合遮断薬並びにその濃度の最適化及び
別のアッセイ試薬の成分として含めるか否かは、多大な
実験をせずとも結合アッセイの当業者によって実施し得
る経験的技術によって選択される。唯一の公知の例にお
いては、ジゴキシン競合アッセイの捕獲剤に0.005%デ
キストラン硫酸を使用すると、非特異的結合遮断薬の添
加により、捕獲剤と固相との結合が阻害される。
イオン捕獲アッセイ装置 上述したように、イオン捕獲アッセイ装置は、ガラス
スライド、磁性粒子、試験管及びプラスチックウェルと
いった不透過性固相を含み得る。しかしながら、イオン
捕獲アッセイ全体を多孔質固相材料内で実施し得ること
も見い出された。本発明のイオン捕獲アッセイ装置は特
に、被分析物質を含む溶液または液体が通過し得る任意
の適当な、吸収性、吸着性、浸透性(imbibing)、吸湿
性、非吸水性、等方性または毛管特性を有する材料(即
ち多孔質材料)を含む。溶液は、吸引、水圧、空気圧、
吸湿、重力、毛管力、またはこれらの組合せによって多
孔質材料中を引上げまたは押上げられ得る。
使用し得るアッセイ装置としては、限定的ではない
が、慣用のクロマトグラフィーカラム、液体流が実質的
に直線形である細長い多孔質材料ストリップ、液体流が
直線形または放射状であるシート、パッド状多孔質材
料、または多層シートもしくはパッドを含む装置を挙げ
ることができる。本発明の新規の装置は、試験ストリッ
プ及び流通装置の製造を含む。しかしながら、簡潔化の
ために以下の説明は試験ストリップ装置に的を絞るが、
装置ゾーンの説明は、ストリップタイプ及び層状流通タ
イプの両装置に適用され得る。当業者には、本発明が流
通装置形式に適用可能であることが理解されよう。
試験ストリップの製造に有利に使用される1つの固相
多孔質材料はニトロセルロースである。特に膜状固相材
料を使用する場合は、被分析物質と指示薬の間で制御さ
れた再現可能な結合反応が起こるよう、液体を固相に流
し始める前に試験試料と指示薬を混合する。或いは、試
験装置は更に、細長ストリップと流体流通接触しており
且つ必要によっては指示薬を含む前混合添加パッドを含
んでもよい。添加パッドの材料は、試験試料を指示薬と
前混合する能力において選択すべきである。例えば、ニ
トロセルロースを固相として使用するならば、親水性ポ
リエチレン材料またはガラスファイバー濾紙が適当な添
加パッド材料である。或いは、ガラスファイバー濾紙の
ような固相材料を使用するならば、指示薬を細長ストリ
ップの試料添加部位または添加部位より下流の別の部位
に可逆的に固定することができる。更に別の装置及び方
法においては、指示薬を、別個の試薬溶液としてまたは
試験試料及び/または捕獲剤と順次にまたは同時に装置
に加えることができる。
別の実施態様においては、試験ストリップまたは流通
装置を、種々の試薬ゾーン及び検出ゾーンを形成すべく
拡散性試薬または固定試薬を含む連続多孔質材料片で製
造することができる。更に別の実施態様においては、試
験ストリップを、被分析物質が一方の材料から他方の材
料へと移動し得るように種々の材料が流体流通接触して
いるような1種以上の固相材料で製造することができ
る。異なる材料は異なる拡散性または固定アッセイ試薬
を含むことができ、個々の材料は、細長ストリップまた
は流通パッド装置に組み立てられる。更に別の実施態様
においては、装置の2つ以上のゾーンが一部重なり合っ
ている。例えば、試料添加ゾーンは拡散性アッセイ試薬
(例えば指示薬、捕獲剤など)を含み、それが被分析物
質と反応して結合体または反応生成物を形成し、それが
装置内または装置上の他のゾーンに続けて移動すること
ができる。別の実施態様においては、試料添加ゾーンは
固定アッセイ試薬(例えば保護剤とは反対の電荷を有す
るポリマー)を含み、それが、捕獲剤または捕獲剤結合
体を検出のために固定することができる。ここでも、捕
獲剤結合体に直接または間接的に結合し、更にそれが、
反対の電荷を有する固相材料によって固定されることに
より固定される種々の形式に本発明が適用可能であるこ
とは、当業者には容易に理解されよう。
a.添加パッド 試験ストリップ装置に添加パッドを使用する場合、そ
れは、試験試料または溶出溶剤が添加パッドから多孔質
材料へと通過または移動し得るように、近位端部と称さ
れる多孔質材料の一端と流体流通接触している。流体流
通接触は、添加パッドが多孔質材料と物理的に接触して
いてもよいし、パッドとストリップとの間で流体が流れ
得る中間スペース(intervening space)または追加材
料によってパッドが多孔質材料から分離していてもよ
い。実質的に全ての添加パッドが多孔質材料と一部重な
り合い、試験試料が添加パッドの実質的に全ての部分を
通って細長ストリップの近位端部に到達することができ
る。或いは、添加パッドの一部分のみが細長ストリップ
材料と重なり合ってもよい。添加パッドは、試験試料及
び/または溶出溶剤を細長ストリップまで移送し得ると
共に、細長ストリップの全収容容積と等しいかまたはそ
れより多い量の試験試料及び/または溶出溶剤を吸収し
得る任意の材料とすることができる。
添加パッドに使用するのに好ましい材料としては、ニ
トロセルロース、多孔質ポリエチレンパッド及びガラス
ファイバー濾紙を挙げることができる。パッド材料は、
被分析物質及びアッセイ試薬との相容性においても選択
される必要があり、例えばガラスファイバー濾紙は、ヒ
ト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)アッセイ装置に使用
するのに好ましい添加パッド材料であることが判明し
た。
更に、添加パッドは、拡散可能にまたは拡散不可能に
そこに結合された1種以上のアッセイ試薬を含むことが
できる。添加パッドに含み得る試薬としては、限定的で
はないが、指示薬、補助結合メンバー、試験試料前処理
薬及びシグナル生成系成分を挙げることができる。例え
ばイオン捕獲装置の好ましい実施態様においては、製造
中に指示薬を添加パッド内に予め付着させる。このこと
で、装置を使用する前に試験試料を指示薬と結合する必
要は排除される。添加パッド中でアッセイ試薬を独立さ
せることで相互作用性試薬は別々に維持され、製造工程
は容易になる。例えば指示薬は添加パッド中に乾燥状態
で保持され、試験試料または溶出溶剤と接触すると、指
示薬が再構成及び拡散され、それによって装置中を移動
することができる。更に別の実施態様においては、拡散
性指示薬を、試験ストリップ材料自体の添加パッドと該
試験ストリップ上の検出ゾーンとの間の位置に置く。別
の実施態様においては、拡散性指示薬を、多孔質試験ス
トリップ材料の検出ゾーンに置き、アッセイ反応によっ
て検出ゾーンに固定されなかった指示薬は検出ゾーンを
通過して行く。
好ましいイオン捕獲装置においては、添加パッドが試
験試料を受取り、試験試料によって添加パッドが濡れる
ことで少なくとも2つの機能が果たされる。第1に、パ
ッドに含まれる所定量の試薬が溶解または再構成され
る。第2に、試験試料及び新たに溶解された試薬が多孔
質材料まで移送され始める。添加パッドは、試験試料と
アッセイ試薬とに対し、最初の混合部位及び反応部位と
しての第3の機能をも果たし得る。
別の好ましい実施態様においては、添加パッドは指示
薬及び捕獲剤の両方を乾燥形態で含む。試験試料を添加
するとアッセイ試薬が再構成され、それによって被分析
物質と反応し、電荷を帯びた指示薬/被分析物質/捕獲
剤結合体が形成される。次いで結合体は、続いて検出ゾ
ーン内に固定されているポリマー材料と反応するため、
添加パッドから多孔質試験ストリップ材料まで移動す
る。検出ゾーンでは、ポリマー材料は捕獲剤とは反対の
電荷を有する。或いは、指示薬または捕獲剤のいずれか
を、多孔質試験ストリップ材料の添加パッドと検出ゾー
ンとの間に含めることもできる。捕獲剤結合体は、捕獲
剤が検出ゾーン内を移動する前にまたはそれと同時に形
成されるのが好ましい。
本発明の別の実施態様においては、ゼラチンを使用し
て添加パッドの全部または一部を閉じ込める。このよう
な封入は典型的には、添加パッドをゼラチンで被覆する
ことにより行なわれる。この被覆の効果は、添加パッド
に含まれる試薬の安定性を増大することである。被覆さ
れた添加パッドに試験試料を添加するとゼラチンが溶解
し、それによって、予め付着されていたアッセイ試薬が
再度水和される。本発明の別の実施態様においては、試
薬含有添加パッドを乾燥または凍結乾燥し、装置の貯蔵
寿命を増大する。凍結乾燥した添加パッドは、空気乾燥
した添加パッドより強力なシグナルを生成することが判
明した上に、凍結乾燥添加パッドはより長い期間安定性
を維持した。
別の好ましい実施態様においては、本発明のアッセイ
装置は、濾過手段を追加することにより更に改良するこ
とができる。濾過手段は、添加パッドの上方または添加
パッドと多孔質材料の間に置かれた別個の材料とするこ
とができる。或いは、添加パッド材料はその濾過能力に
おいて選択することができる。濾過手段としては、所定
の寸法より大きい粒子またはセルを試験試料から除去す
るために使用される任意のフィルターまたはトラッピン
グ装置とすることができる。例えばフィルター手段は、
全血試料から赤血球を除去し、血漿を多孔質材料に移送
するために使用される。かかるフィルター手段は、米国
特許第4,477,575号に開示されており、この特許は参照
により本明細書の一部を構成するものとする。必要によ
っては、フィルター手段は、粒子または妨害物質を試験
試料から除去するための1種以上の試薬を含むことがで
きる。
本発明の別の変形態様は、添加パッドと多孔質材料と
の間に設置されるかまたは添加パッド上に重ねて設置さ
れる1つ以上の追加多孔質材料層の使用を含む。かかる
追加パッドまたは層は、添加パッドへのまたは添加パッ
ドからの試験試料の流量を制御する手段として作用し得
る。このような流量制御は、添加パッド内での試験試料
と試薬の反応に長時間のインキュベーションが所望され
る場合に好ましい。或いはかかる層は、試験試料が添加
されるまで添加パッド試薬から隔絶されるのが好ましい
追加アッセイ試薬を含むことができる。流量制御層は更
に、未反応のアッセイ試薬が多孔質材料へ到達するのを
防止する役割をも果たす。
b.多孔質試験ストリップ材料 本発明の新規のイオン捕獲装置に使用される多孔質材
料は、被分析物質を含む溶液が吸上作用によってその中
を輸送され得る、任意の適当な吸収性、多孔性または毛
管作用を有する材料とすることができる。試験ストリッ
プ装置に好ましい1つの多孔質材料はニトロセルロース
である。しかしながら、ニトロセルロースを使用する場
合、任意の添加パッドの材料は、試験試料と1種以上の
アッセイ試薬とを前混合し得る能力において選択すべき
である。ニトロセルロース膜を通る流体流は層状であ
り、多孔質材料内で試験試料と添加パッド試薬を最初に
混合し得るようなより不規則な流れは起こらない。ニト
ロセルロースを多孔質材料として使用する場合、Porex
(登録商標)親水性ポリエチレン材料またはガラスファ
イバー濾紙が、添加パッド内での試験試料とアッセイ試
薬との混合及び反応を可能にする添加パッドとして使用
するのに適当である。特に好ましい多孔質材料はガラス
ファイバー濾紙である。
多孔質ストリップ材料の特定の寸法は、関与する試験
試料の寸法、アッセイ態様、シグナルを検出及び測定す
る手段などに従って便宜的に決定される。例えば寸法
は、流体移動速度、多孔質材料によって吸収され検出部
位までまたはそこを通して輸送される試験試料の量を調
整するよう選択される。
上述のごとく、結合アッセイにおける検出ゾーンは、
典型的には、帯電ポリマーを多孔質材料の所定の場合に
直接または間接的に結合することにより形成される。直
接結合方法としては、吸着、吸収及び共有結合を挙げる
ことができる。間接結合方法としては、帯電試薬が結合
された不溶性微粒子を使用し、該粒子が多孔質支持体材
料内または上に保持及び固定される方法を挙げることが
できる。試薬を微粒子に結合する手段は、共有結合及び
非共有結合、即ち付着、吸収または吸着を含む。イオン
捕獲剤は微粒子に共有結合によって結合するのが好まし
い。
1種以上の試薬を微粒子に結合し、次いでそれを多孔
質材料内に固定することも本発明の範囲内にある。例え
ば、検出可能な反応生成物が酵素/基質シグナル生成系
中で拡散するのを減速または防止するため、基質を多孔
質材料内に固定することができる。基質は、当分野にお
いて良く知られた方法によって多孔質材料に直接結合す
ることで固定することもできるし、多孔質材料中及び/
または上に堆積された不溶性微粒子に共有結合すること
により固定することもできる。
粒径は、使用する多孔質材料のタイプ及び粒子を製造
する材料のタイプに応じて変化させることができる。例
えばガラスファイバー多孔質材料においては、ガラス及
びポリスチレン粒子は、多孔質材料の細孔内に捕捉また
は固定され且つ移動流体に直面したときに動かされない
のに十分な寸法であるべきである。同じガラスファイバ
ーマトリックスにおいて、ラテックス粒子はそれ自体が
ガラスファイバーに未知の機構によって予想外に付着す
るが故に、はるかに小さいラテックス粒子を使用するこ
とができる。孔径に依存するガラス及びプラスチック粒
子とは違い、ラテックス粒子は孔径に無関係であり、多
孔質材料の孔径がロットごとに変動しても、装置の性能
に悪影響を及ぼさない。その結果、1つの特に好ましい
結合アッセイ装置は、捕獲剤が結合されガラスファイバ
ー多孔質材料中に分配されたラテックス粒子を使用す
る。微粒子または他の試薬の多孔質材料マトリックス上
または内の分配は、当業者には周知のごとき試薬プリン
ティング法(reagent printing techniques)によっ
て行なうことができる。
イオン捕獲剤、シグナル生成成分または試薬被覆微粒
子は、多孔質材料上または内に単独でまたは種々の組合
せで堆積することができる。またこれらは、種々の形状
の検出または測定部位を生成すべく多様な構成で堆積す
ることができる。例えば試薬を、多孔質ストリップ材料
全体の面積より実質的に小さい面積を有する個別部位と
して堆積することができる。
或いは、実質的に全多孔質材料を含む捕獲部位または
検出部位を形成するように実質的に均一に、試薬を多孔
質材料全体に分配することもできる。この場合、一定長
の検出部位に沿ったシグナル生成の度合い、または多孔
質材料の近位端部から検出可能なシグナルまでの距離
は、試験試料中の被分析物質の量に関係する。被分析物
質の量は、得られた信号の長さまたは距離を較正標準試
料に認められるものと比較することにより決定すること
ができる。
別の実施態様においては、試薬を小幅の縞として分配
することができる。試薬を均一に分配するのはなくて小
幅縞を使用すると、多孔質材料上の検出可能なシグナル
の像を鮮明化するよう作用する。更に、多孔質材料の長
さに沿って1つ以上の小幅縞を平行に分布することがで
きる。このとき、各縞内の試薬を異なる被分析物質に対
するものとし、多重分析アッセイ装置を形成することが
できる。被分析物質の移動の長さまたは距離を測定する
装置に加え、被分析物質の測定、即ち定量化を助けるた
め、一定尺度の適当な符号、数値または文字を多孔質材
料上に印刷することができる。
別の実施態様においては、試薬を多孔質材料の一端に
もう一端よりも少ない量で分配する。競合結合アッセイ
において、捕獲剤をこのように濃度勾配を持つよう分配
することで、指示薬が被分析物質によって捕獲剤の結合
部位からより迅速に変位するが故に、多孔質材料の分配
がより少ない端部でより高い感度を得ることができる。
別の実施例においては、適当な捕獲剤及びシグナル生
成試薬を、限定的ではないが、アッセイ終了時に検出可
能なシグナルを表示する数値、文字、ドット及び符号、
例えば“+/−”、“%”などを含む、検出に便利な任
意のパターンに分配することができる。必要によって
は、1つの試薬の反応が検出可能パターンの一部分を完
成し、第2の反応が検出可能パターンの別の部分を完成
するよう、アッセイ試薬を材料中に一部重なり合った態
様で取り込ませた反応マトリックスを製造することがで
きる。例えば、一方の反応が“十字形”の縦部分を完成
し、第2の反応が十字形の横部分を完成することができ
る。或いは、模様の一部分はアッセイ実施前に可視また
は検出可能であって、単一反応によって模様全体が完成
される。一般には、縦部分のみの完成は陰性のアッセイ
結果を示し、検出可能な模様の両部分の完成は陽性のア
ッセイ結果を示す。任意のパターンまたは模様を使用す
ることができるが、模様の一部形成は陽性以外のアッセ
イ結果を示し、模様の完全な形成は陽性のアッセイ結果
を示すようにしてもよい。このような方法及び装置が米
国特許第4,916,056号に記載されており、該特許の開示
内容は参照により本明細書の一部を構成するものとす
る。
更に別の実施態様においては、多孔質材料のおおよそ
近位端部からおおおそ遠位端部まで一定の間隔を置いて
多孔質ストリップ材料の幅を横切る一連の平行棒状に、
はしご様の捕獲部位を形成するように試薬を分配するこ
とができる。小幅縞構成のように、棒部及び中間のスペ
ースは、多孔質材料上に生成されたシグナルの像を鮮明
にするよう作用する。シグナルを検出し得る棒部の数を
カウントし、試験試料中の被分析物質の量と相関させる
ことができる。棒部を相互に近付けて並べると、装置の
分析感度は低下するが、より多量の被分析物質を測定す
ることができる。また、棒部をより離して並べることに
より、感度を徐々に高めることができる。被分析物質に
対するより高い限界感度(discrimination sensitivit
y)が濃度範囲の上限で要求されるか下限で要求される
かに従い、多孔質材料の種々の部分で感度を変えること
も本発明の範囲内にある。平行棒状構成の別の変形態様
は、捕獲部位及び検出部位内の試薬が異なる被分析物質
に対するものであって、多重分析アッセイ装置を形成す
る、複数の捕獲剤または反応試薬の使用を含む。
固相の特定の寸法は便宜的に決定されるものであり、
関与する試験試料のサイズ、アッセイ方法、及びシグナ
ルを検出及び測定する手段に依存する。例えば寸法は、
流体移動速度及び固相に吸収される試験試料の量を調整
するように選択することができる。
所定量のアッセイ試薬を装置内に組込み、使用者によ
る追加操作の必要を低減または回避することができる。
従って、1種以上の試薬を装置内に組込むことは本発明
の範囲内にある。例えば、検出可能な反応生成物が酵素
/基質シグナル生成系内で拡散するのを減速または防止
するため、基質を試験ストリップ内に固定することがで
きる。基質は、当分野においてよく知られた方法によっ
て試験ストリップ上または中に固定することもできる
し、試験ストリップ中及び/または上に堆積された不溶
性微粒子に共有結合することにより固定することもでき
る。試験試料または溶出溶剤と接触するまで試薬が反応
しない限りは、1種以上のアッセイ試薬を装置上の任意
の所与の試薬ゾーンまたは部位に存在させることができ
る。
上述の種々のシグナル表示フォーマットまたはパター
ンには更に、アッセイ試薬の効力、アッセイの終了また
はアッセイの適正実施を確証するようなアッセイ対照を
組込むこともできる。このような対照は当業者にはよく
知られている。アッセイの終了を示す試薬(例えば試験
試料の装置中の移動が完了したことをシグナルで示すア
ッセイ終了指示薬)を試験ストリップ装置の遠位端部に
有することも本発明の範囲内にある。例えばアッセイ終
了は、試験溶液、吸上液またはシグナル生成成分と接触
したとき、対照部位の変色によって示すことができる。
試験水溶液と接触したときに変色する試薬としては、Cu
SO4、Co(NO3などの脱水遷移金属塩などを挙げるこ
とができる。緩衝吸上液のpHに応答するpH指示染料を選
択することもできる。例えばフェノールフタレインは、
pH範囲が8.0〜10.0の吸上溶液と接触すると、透明から
濃ピンクに変色する。
試験試料を添加部位に添加するかまたは添加部位を試
験試料中に浸漬することにより、試験試料を試験ストリ
ップに接触させることができる。放射状の捕獲部位及び
結合体回収部位を有するシート状装置においては、試料
を中央添加部位に添加する。試料を固相に接触させる前
に、試料を、指示薬、捕獲剤、緩衝剤または吸上剤(即
ち固相を通して試験試料を輸送するのを促進する物質)
といった追加試薬と混合してもよい。別の実施態様にお
いては、試験試料を、捕獲部位の上流に位置する試験ス
トリップの部分に添加し、1種以上の追加試薬を、試験
試料添加部位の上流に位置する試験ストリップの別の部
分に添加する。
更に別の実施態様においては、装置は、捕獲部位の下
流または下方に位置する追加吸収材料を含む。吸収材料
は、固相上にある捕獲部位及び検出部位を通過する試験
試料及び指示薬の量を増大するよう作用し得る。
少量の非水性または粘性試験試料を装置に添加する場
合、アッセイ試薬及び試験試料が該装置中を容易に移動
するように、吸上液、好ましくは緩衝吸上液を使用する
必要があり得る。水性試験試料を使用する場合、吸上液
は一般に必要ではないが、吸上液を使用して流動性を向
上したり試験試料のpHを調整することができる。イムノ
アッセイにおいては、吸上液は典型的には約5.5〜約10.
5、より好ましくは約6.5〜約9.5のpHを有する。pHは、
特異的結合メンバーと被分析物質との間で有意なレベル
の結合親和性を維持するように選択される。しかしなが
ら指示薬の標識成分が酵素である場合には、pHは、酵素
シグナル生成系における発色のために有意な酵素活性を
維持するよう選択されねばならない。適当な緩衝液とし
ては、限定的ではないが、ホスフェート、カーボネー
ト、バルビタール、ジエチルアミン、トリス(ヒドロキ
シメチル)−アミノメタン(Tris)、2−アミノ−2−
メチル−1−プロパノールなどを挙げることができる。
吸上液及び試験試料は、試験装置と接触させる前に混合
してもよいし、添加パッドに別々に接触させてもよい。
c.流通アッセイ装置 通常の流通アッセイ装置は、問題の被分析物質を固定
するために非拡散性の特異的結合メンバーが固定されて
いる試料接触表面を含む少なくとも実質的に平面状の層
を有する。該層は、結合アッセイの実施に際して装置を
使用するとき、第1表面と接触した試験試料の少なくと
も一部が該第1表面を通過してそれと反対側の第2表面
に到達するように配置されている。
典型的には流通装置は、第1層を通過した流体を吸収
するための第2層または吸収手段を含んでおり、吸収手
段は、第1層の第2表面と直接接触しているか、または
第2表面を通過した流体が吸収手段に輸送されるのに十
分に接近している。変形装置においては、吸収手段は第
1層から間隔を置いて設置されており、後で2つの層を
相互に押し付けることにより第1層の第2表面に接触す
ることができる。
必要によっては、流通装置は、装置を使用する際に試
験試料が濾過手段を通過してから第1表面と接触するよ
うに第1層に関して配置されている濾過手段を含むこと
ができる。更に第1層からの流体の流量を調整するため
に、第1層と吸収手段の間に流量制御手段を設置するこ
ともできる。第1層と吸収手段の間に逆流制御手段を設
置し、吸収手段から第1層へのシグナル生成物質の移動
を防止することもできる。
流通装置は、装置を使用する際に試料流体がアッセイ
試薬層を通過してから第1表面と接触するように第1層
に関して配置された1つ以上のアッセイ試薬層を含むこ
ともできる。アッセイ試薬は一般には、試験試料を試薬
層に添加することにより再度可溶化され、そうすると試
薬は、被分析物質またはアッセイ装置内に収容されてい
る他の試薬と更に反応することができる。他の実施態様
は、フィルター層またはフィルター/試薬併存層を含み
得る。更に別の装置は、着脱可能なフィルター及び/ま
たは試薬層を含み得る。
本発明の新規の流通アッセイ装置は、反対の電荷を有
する捕獲剤及びその結合体を非特異的に結合し固定する
ために帯電ポリマーが設置されている接触表面を含む。
該装置は、上述の1つ以上の他の装置の層と組み合わせ
た1つの層、即ち第1層で構成される。例えば、被分析
物質がアッセイ試薬と接触してから流通装置のイオン捕
獲表面と接触するように、1つ以上の前反応層が指示薬
及び捕獲剤を含み得る。
流通アッセイ装置または試験ストリップアッセイ装置
において、指示薬または捕獲剤のような1種以上のアッ
セイ試薬は、アッセイ実施中に装置に添加することもで
きる。しかしながら本発明の好ましい実施態様は、必要
な全てのアッセイ試薬をアッセイ装置に組み込んであ
り、試験試料及び場合によっては吸上液または溶出溶剤
のみを装置に添加するだけでよい。
本発明は更に、結合アッセイを実施するキットをも提
供する。例えば本発明のキットは、試薬が取り込まれた
アッセイ装置を含むことができ、必要によっては、装置
内または上には組み込まれていない上述のごとき吸上液
及び/または試験試料前処理試薬を含むこともできる。
当業者には周知の他のアッセイ成分、例えば緩衝剤、安
定剤、洗浄剤、非特異的結合阻害剤、細菌阻害剤などを
アッセイ装置及び吸上液中に存在させることもできる。
実施例 以下の実施例は、本発明の新規の材料を製造し且つか
かる材料を使用してアッセイ作業を実施する好ましい方
法を示す。しかしながら、これらの実施例は説明のため
のものであり、請求の範囲によってのみ規定される本発
明の範囲を制限するものではない。
実施例1 癌胎児性抗原(CEA)のサンドイッチアッセイ a.抗CEA抗体−PGA捕獲剤の調製 以下の一連のステップは、抗体/ポリグルタミン酸
(PGA)結合体、即ち抗体/アニオン性ポリマー捕獲剤
の調製に使用される化学機構を説明するものである。
検出可能アニオン性ポリマーの調製:PGAのナトリウム
塩(1g;7.14×10-5モル;平均分子量(MW)14,000;Sigm
a)を、以下のように変更したTsukadaら〔JNCI;73;721
−729,1984〕の方法によって、3−(2−ピリジル−ジ
チオ)プロピオニル−PGA(PDP−PGA)に変換した。チ
オプロピルセファロース6B単離前に、PDP−PGAを遊離ス
ルフヒドリルに還元することはせず、代わりに、PDP−P
GAを0.1Mリン酸ナトリウム及び1mM EDTA(pH6.5)中に
溶解し、チオプロピルセファロース6B(60ml;30g;Pharm
acia Chemicals,Uppsala,Sweden)と一緒に撹拌した。
透析及び凍結乾燥後、PDP−PGA結合体が収率24%で得ら
れた(0.244g;1.72×10-5モル)。
後続の化学反応の間ジスルフィドを確実に維持するた
め、チオピリジル基を5−チオ−2−ニトロベンゾエー
ト(TNB)保護基と交換した。100モル過剰量の1,4−ジ
チオトレイトール(MW154.2)を、0.1Mリン酸ナトリウ
ム(4.0ml;pH7)中にPDP−PGA(20mg;1.42×10-6モル)
を溶解した溶液に加え、40℃で1時間反応させた。混合
液を5.0mM酢酸ナトリウム、0.14M NaCl及び1.0Mm EDTA
(pH5.5)を用いて10mlに希釈し、2000分子量カットオ
フ(MWCO)チューブにおいて希釈緩衝液に透析した。続
いて蒸留水に透析してから凍結乾燥した。チオプロピル
−PGA(HS−PGA)の収量は13.5mgであった。HS−PGA(1
3.5mg)を0.1Mリン酸ナトリウム(pH7.0;9.6×10-7
ル)中に溶解し、10モル過剰量の5,5'−ジチオビス(2
−ニトロ安息香酸)(DTNB)と室温で1時間反応させ
た。この混合液を0.1Mリン酸ナトリウム(pH7)で10ml
に希釈し、2000MWCOチューブにおいて希釈緩衝液に透析
した。続いて蒸留水に透析し、凍結乾燥し、5−(2−
ニトロ安息香酸ジチオ)プロピニル−PGA(TNB−PGA;8.
5mg;6.07×10-7モル)を生成した。
各捕獲剤抗体に結合したアニオン性ポリマー分子の数
を追跡するため、TNB保護PGAをフルオレセンのエチレン
ジアミン誘導体で標識した。TNB−PGA(8.5mg)を乾燥
N−Nジメチル−ホルムアミド(20ml)中に溶解し、90
モル過剰量のN−メチルモルホリン(MW101.15)で処理
し、温度を0℃に下げ、90モル過剰量のイソブチルクロ
ロホルメート(MW136.58)を加えることにより、TNB−P
GAをエチレンジアミン誘導フルオレセン(EDA−F;MW53
2)をローディングした。上記反応は0℃で1時間実施
した。混合液を室温に暖め、30モル過剰量のEDA−Flを
加え、撹拌しながら室温で一晩反応させた。混合液を0.
1Mリン酸ナトリウム(pH7.0)で10mlに希釈し、2000MWC
Oチューブおいて希釈緩衝液に透析した。続いて蒸留水
に透析し、凍結乾燥し、TNB−PGA/EDA−Fl結合体(7.8m
g;5.6×10-7モル)を得た。
TNB−PGA−EDA−Fl(7.8mg)を0.1Mリン酸ナトリウム
(3.0ml;pH7.0)中に溶解し、100モル過剰量の1,4−ジ
チオトレイトールを用いて40℃で1時間処理することに
より、TNB基を除去した。反応は、紫外/可視分光計に
おいてピークが334nmから412nmにシフトすることでモニ
ターした。材料を蒸留水で10mlに希釈し、2000MWCOチュ
ーブにおいて蒸留水に透析した。凍結乾燥すると、チオ
プロピル−PGA/EDA−Fl(HS−PGA/EDA−Fl;8.4mg)が得
られた。この時点で、紫外/可視走査を行なってPGA1分
子当たりのフルオレセンの数(即ちローディング)を決
定した。この調製物においては、PGA1分子当たり0.81フ
ルオレセンの値が算出された。
抗体活性化:モノクローナル抗体である抗CEA抗体
を、Tsukadaら〔JNCI:73;721−729,1984〕の方法によっ
てマレイミド活性化した。但し、抗体濃度は1mg/mlと
し、150モル過剰量のN−スクシンイミジルm−(N−
マレイミド)ベンゾエート(SMBE,MW314.3;Sigma)を使
用した。3〜5個のマレイミド基を抗CEA抗体に導入す
るには、150モル過剰量が必要であることが実験的に判
明した。Mearesらの遠心法〔Analytical Biochemistr
y:1142;68−78,1984〕を使用し、3mlシリンジカラムに
おいてSephadex G−50/80(Sigma)を用いてクリーン
アップを行なった。Liuら〔Biochemistry:18;690−696,
1979〕の滴定法を使用して1抗体当たりのマレイミドの
数を決定した。この抗体活性化において1抗体当たり4.
6のマレイミドが導入されたことが判明した。
次いで、チオプロピル−フルオレセン標識PGAをマレ
イミド誘導抗体と反応させ、癌胎児性抗原イオン捕獲イ
ムノアッセイに適した抗体/PGA結合体を得た。0.1Mリン
酸ナトリウム(1.0〜2.0ml;pH7.0)中にマレイミド活性
化抗体(1.0mg;6.25×10-9モル)を含む溶液のpHを1.0N
HClを用いて6.5に調整した。次いで、0.1Mリン酸ナト
リウム(100μl)中の10モル過剰量のHS−PGA/EDA−Fl
(約1.0mg)を活性化抗体調製液に加えた。室温で静か
に撹拌しながら一晩結合させた。混合液を0.1Mリン酸ナ
トリウム(pH7.0)で10mlに希釈し、50,000MWCOチュー
ブにおいて0.001Mリン酸ナトリウム(pH7.0)に透析
し、凍結乾燥した。乾燥物質を蒸留水(0.25ml)中に再
溶解し、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によっ
てA280に最大ピークを有する画分を得た。クロマトグラ
フィーは、Bio−Sil TSK250(Bio−Rad Laboratorie
s,Richmond,California)300mm×7.5mmカラムにおいて5
0mM硫酸ナトリウム、20mMリン酸ナトリウム及び0.3M Na
Cl(pH6.8)を用いて1ml/分で溶出することで実施し
た。
ウシIgG標準物質を用いたBio−Rad's Bradfordアッ
セイによって、最大ピークのタンパク質含有量を測定し
た。該ピークは、5.97×10-7モルのタンパク質(IgG MW
160,000)に相当する95.5μg/mlのタンパク質を含んで
いた。紫外/可視を走査し494nmにおける吸収を測定す
ることにより、この画分は更に、抗体1分子当たり3.6
のフルオレセンに相当する2.12×10-6モルのフルオレセ
ンを含んでいることが判った。PGA1分子当たり0.81のフ
ルオレセンがあることが判っていることから、各抗体に
4.4個のPGA分子が結合していることになる。ピーク画分
を凍結し、後でアッセイに使用した。
上記化学機構の重要点は、各ポリマーアニオンと抗体
との間に結合部位が1個だけ存在することである。2者
間の唯一の共有結合によって、複数の活性化基を有する
ポリマーアニオンを使用した場合に起こり得る分子間及
び分子内架橋が阻止される。
上記捕獲剤の別の例としては、アニオン性固相材料と
併用するためにカチオン性誘導抗体を形成することもで
きる。
b.固相の調製 使い捨て流通材料の固相繊維質マトリックスを第四級
ポリマー化合物で被覆し、固相に正電荷を与えた。水溶
性セルロース誘導体であるCelquat(登録商標)L−200
ポリマー化合物を使用した。Celquat(登録商標)L−2
00ポリマー化合物の1%水溶液(50μl)を固相材料に
塗布し、次いで、300mM NaCl,50mM Tris及び0.1% NaN3
を含む希釈剤(75μl;pH7.5)で洗浄した。
c.指示薬の調製 指示薬は、アルカリ性ホスファターゼと、捕獲剤にお
いて特定された抗体とは別のエピトープに結合する抗CE
A抗体フラグメントとで構成した。アルカリ性ホスファ
ターゼで標識した抗CEA抗体フラグメントは、50mM Tri
s,50mM NaCl,1.0mM MgCl2,0.1mM ZnCl2,5.0mM酒石酸ナ
トリウム,0.5%ウシ皮膚ゼラチン及び3%マウス血清を
含む緩衝液中に置いた。
d.イムノアッセイ方法−CEA測定 指示薬(70μl)を反応ウェルに入れた。次いで、緩
衝捕獲剤(50mM Na2SO4,20mMリン酸ナトリウム及び300m
M NaClの緩衝液,pH6.8中に抗CEA/PGA結合体を含む溶液2
0μl)をウェルに加えた。CEAを含む標本35μlをウェ
ルに加え、均一免疫反応混合液を34.5℃で20分間インキ
ュベートした。このアッセイでは、各々がAbbott Labo
ratories CEA酵素イムノアッセイキットからのCEA較正
物質である4種類の標本を試験した。各反応混合液のア
リコート(100μl)を固相材料に添加し、次いで75μ
lの希釈液で3回洗浄した。最後に、指示薬と反応させ
るため、酵素基質(100mM AMP,1.0mM MgCl2,0.1% NaN
3及び4.0mMテトラミソール,pH10.3中に1.2mM 4−メチル
ウンベリフェリル−ホスフェートを含む溶液70μl)を
34.5℃で加え、生じた蛍光量を測定した。アッセイの用
量−応答結果を表1に示す。この結果から、CEA試験試
料濃度が増加すると、それに対応して捕獲剤/被分析物
質/指示薬の結合体の形成が増加し、従って固相に付着
する検出可能な標識の量が増加したことが判る。
実施例2 マウス免疫グロブリンの競合阻害アッセイ a.IgG−PGA捕獲剤の調製 以下の方法に従って水溶性カルボジイミド剤(1−エ
チル−3−(3−ジメチルアミノ−プロピル)カルボジ
イミド;EDCI)を使用し、プロテインAアフィニティー
精製マウスモノクローナル免疫グロブリンGを負電荷を
有するPGAに結合した。
フルオレセン標識PGA(10mg;Fl−PGA)を、リン酸緩
衝塩水溶液(PBS;75mM KH2PO4及び300mM NaCl,pH7.2)
中に抗体(4.8mg/ml)を含む氷冷溶液に加えた。この溶
液に、新たに調製した氷冷EDCI溶液(100μl;10mg/ml)
を加え、得られた反応混合物を継続的に撹拌しながら2.
5時間かけて室温まで暖めた。更に新たに調製した氷冷E
DCI溶液(50μl;100mg/ml)を反応混合液に急速撹拌し
ながら加えた。反応混合液を更に1.5時間撹拌した。次
いで混合液を、Spherogel TSK−Gガードカラム(2.15
cm×7.5cm;Beckman Instruments,Inc.,Fullerton,CA,9
2634)を取り付けたSpherogel TSK−3000SWGカラム
(2.15cm×30cm)を使用したゲル濾過クロマトグラフィ
ーによって画分化した。カラムを流量5ml/分のPBSで溶
出した。抗体のF1−PGA結合体中の蛍光を定量すること
により、かかるプールのPGA/抗体比を決定した。結果を
表2に示す。
b.固相の調製 多孔質繊維マトリックス材料を第四級アンモニウムポ
リマー化合物(GAFQuat(商標)755N第四級アンモニウ
ム化合物;GAF Corporation)で被覆して固相を形成し
た。0.5%GAFQuat(商標)第四級アンモニウム化合物の
水溶液(50μl)を材料表面に塗布し、次いで水(75μ
l)で洗浄した。
c.指示薬の捕獲剤への結合 指示薬としての、ヒツジ抗マウス免疫グロブリンに結
合させたアルカリ性ホスファターゼ(Jackson ImmunoR
esearch Laboratories,Inc.;West Grove,PA,19390)
を、1%魚ゼラチンを含むTris緩衝塩水溶液〔25mMトリ
ス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及び100mM NaCl,
pH7.5〕で希釈した。捕獲剤としてのPGA/マウスモノク
ローナル抗体結合体(表2のプールI)も同様に処理し
た。各々200μlの各試薬を一連の試験管に入れ、37℃
で30分間インキュベートした。反応混合液のアリコート
(75μl)を固相に添加し、直後に、各々150μlのTri
s緩衝塩水溶液で3回洗浄した。最後に、酵素基質(100
mM AMP,1mM MgCl2,0.1% NaN3及び4mMテトラミソール、
pH10.3中に1.2mM 4−メチルウンベリフェリルホスフェ
ートを含む溶液70μl)を物質に32.7℃で加え、生じた
蛍光量を測定した。実験結果を表3及び4にまとめて示
す。
d.マウスIgGの競合阻害アッセイ 捕獲剤及び指示薬を上述のごとく調製した。全ての試
薬を、1%魚ゼラチンを含むTris緩衝塩水溶液で希釈し
た。指示薬はストック溶液の1000倍に希釈し、捕獲剤は
10μg/mlに希釈した。一連の試験管において、各々150
μlの適正に希釈した指示薬、捕獲剤及びマウスモノク
ローナル抗体を混合した。混合液を37℃で30分間インキ
ュベートした。混合液のアリコート(75μl)を固相に
添加し、即座に、各々150μlのTris緩衝塩水溶液で3
回洗浄した。次いで、酵素基質(100mM AMP,1mM MgCl2,
0.1% NaN3及び4.0mMテトラミソール,pH10.3中に1.2mM
4−メチルウンベリフェリルホスフェートを含む溶液70
μl)を固相に32.7℃で加え、生じた蛍光量を測定し
た。マウスIgGの競合阻害アッセイを示すこの実施例の
結果を表5に示す。結果から、マウスモノクローナル抗
体濃度が増加すると、これに対応して捕獲剤/指示薬結
合体の形成が低下し、従って固相に付着する検出可能な
標識の量が減少したことが判る。
実施例3 ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)のサンドイッチア
ッセイ a.捕獲剤の調製 以下の方法に従って、高い負電荷を有するアルブミン
誘導体を調製し、抗hCG抗体に結合して、捕獲剤を形成
した。
負電荷を有するタンパク質誘導体を形成するためのウ
サギ血清アルブミンの修飾:ウサギ血清アルブミン(RS
A)を長時間スクシニル化し、Jouらの方法〔Methods i
n Enzymology:Vol.92,Part E;257−276,Academic Pr
ess,1983〕によってパラ−アゾベンゼンスルホネートに
結合した。リン酸緩衝塩水溶液(PBS,14ml,pH8.0)中の
2%RSAを、パラ−ジオキサン(2.28ml)中の5%無水
コハク酸と混合した。1.0N NaOHを加えることによりpH
を8に維持した。反応混合液を室温で30分間撹拌した。
塩酸ヒドロキシルアミンを加え(0.6g)、適量の5N NaO
Hを加えることにより溶液のpHを9.5に調整した。混合液
を水に透析し、得られたSUC65−RSAを、以下の反応に従
ってパラ−アゾベンゼンスルホネートに結合した。
1N HCl(0.8ml)中にパラ−アゾベンゼンスルホン酸
(0.15mmol,26mg)を含む懸濁液を氷浴中で冷却し、1N
NaNO2(0.2ml)を用いて30分間急速撹拌しながら処理し
た。得られたジアゾニウム塩溶液を、氷冷したSUC65−R
SA溶液に、急速撹拌しながら滴下して加えた。1.0N NaO
Hを加えることにより反応混合液のpHを11に維持した。
暗赤色の反応混合液を撹拌し、1時間かけて室温まで暖
めてから、水に長時間透析した。得られたSp−SUC65−R
SAアニオン性誘導タンパク質は、使用するまで冷蔵保管
した。
抗hCG F(ab')フラグメントの調製:アフィニティ
ー精製したヤギ抗hCG抗体から、Nisonoffらの方法〔Arc
h.Biochem.Biophy.:89;230−244,1960〕に従って抗hCG
F(ab')フラグメントを調製した。リン酸緩衝塩水溶
液(pH7.2)中のアフィニティー精製抗体溶液の一部
を、酢酸を加えることによりpH4に酸性化した。この時
点で好ましい抗体濃度は1mg/mlであった。ペプシンを、
終濃度20μg/まで加えた。混合液を37℃で一晩インキュ
ベートシタ。6.0N NaOHを加えて反応混合液のpHを7.5に
することで反応を停止した。消化抗体フラグメント溶液
を20mg/mlに濃縮した。Spherogel TSK−Gガードカラ
ム(2.15cm×7.5cm)を取り付けたSpherogel TSK−300
0SWGカラム(2.15cm×30cm)を使用したゲル濾過高性能
液体クロマトグラフィーによって、F(ab')フラグ
メントを精製した。
抗hCG TNB−Fab'フラグメントの調製:Parhamら〔J.Im
munol.Method:53:133−173,1982〕及びBrennanら〔Scie
nce:229:81−83,1985〕の方法の改良法に従い、抗hCG F
ab'フラグメントを調製し、チオール反応性形態に誘導
した。20mM EDTAを含む0.1M NaAsO2の溶液(158μl)
を、PBS中の微量の125I−F(ab')を含むヤギF(a
b')(ヤギ抗ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン抗体フラグ
メント,16mg/ml)の溶液1.28mlに、撹拌しながら加え
た。0.1Mシステイン−HCl(158μl)を加えることによ
り還元的切断反応を開始した。反応混合液に窒素を重層
し、撹拌しながら37℃で1時間インキュベートした。次
いで、19mgの5,5'−ジチオビス−(2−ニトロ安息香
酸)を加えることにより反応を停止した。室温で一晩撹
拌した後、混合液を、PBSで予め平衡化しておいたPD−1
0カラム(Pharmacia Inc.,Piscataway,NJ)においてク
ロマトグラフィー処理し、更にサイズ排除高性能液体ク
ロマトグラフィーカラム〔Spherogel TSK−Gガードカ
ラム(2.15cm×7.5cm)を取り付けたSpherogel TSK−2
000SWGカラム(2.15cm×30cm)〕においてクロマトグラ
フィー処理した。CX−10限外濾過装置(Millipore Cor
p.,Bedford,MA)を使用し、Fab'の精製チオニトロベン
ゾエート誘導体(TNB−Fab')を7.9mg/mlに濃縮した。
抗hCG TNB−Fab'フラグメントのSp−SUC65−RSAへの
結合:1Mジチオトレイトール(DTT;86μl)溶液を、37.
5mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl及び2.0mM EDTA(pH
6.8)中にSp−SUC65−RSA(2.2mg/ml)を含む溶液(4.2
ml)に加えた。混合液を37℃で3時間、次いで室温で一
晩インキュベートした。得られた反応混合液を、Sephad
ex(商標)G−25(Pharmacia Inc.)を充填し、75mM
リン酸ナトリウム、300mM NaCl及び2.0mM EDTA(pH6.
8)で予め平衡化しておいた2.5cm×20cmカラムにおいて
クロマトグラフィー処理した。還元したSp−SUC65−RSA
(0.48mg/ml)のプールフラクション2mlを抗hCG TNB−F
ab'(0.15ml;7.9mg/ml)と混合した。混合液を室温で一
晩撹拌した。次いで反応混合液を100mMヨード酢酸(107
μl)で処理し、室温で1時間撹拌した。Spherogel TS
K−Gガードカラム(2.15cm×7.5cm)を取り付けたSphe
rogel TSK−3000SWGカラム(2.15cm×30cm)を使用し
たサイズ排除高性能液体クロマトグラフィーによって、
Fab'−Sp−SUC65−RSA結合体を精製した。
抗hCG抗体のSp−SUC65−RSAへの結合:N,N−ジメチル
ホルムアミド中に30mMスクシンイミジル4−(N−マレ
イミド−メチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレ
ートを含む溶液(27μl)を、PBS中にアフィニティー
精製ヤギ抗hCG抗体(3mg/ml)を含む溶液2.25mlに加え
た。得られた反応混合液を室温で1時間撹拌し、次い
で、75mMリン酸ナトリウム、300mM NaCl及び2.0mM EDTA
(pH6.8)で予め平衡化しておいたPD−10カラムにおい
てクロマトグラフィー処理した。修飾抗体(1.6mg/ml)
のプールフラクション1.8mlを、3mlのDTT還元Sp−SUC65
−RSA(0.48mg/ml)と混合した。室温で一晩撹拌した
後、100mMヨード酢酸(0.25ml)を加え、室温で1時間
撹拌することにより、反応を停止した。上述のごときサ
イズ排除高性能液体クロマトグラフィーによって、抗体
−Sp−SUC65−RSA結合体を精製した。
b.指示薬の調製 指示薬は、25mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメ
タン,100mM NaCl,1mM MgCl2,0.1mM ZnCl2,0.07%NaN3
び1%魚ゼラチンを含むアッセイ緩衝液pH7.5中の(抗h
CG抗体を過ヨウ素酸素活性化アルカリ性ホスファターゼ
に結合することにより調製した)アルカリ性ホスファタ
ーゼ−ヤギ抗hCG抗体結合体からなった。
c.hCGのサンドイッチイムノアッセイ方法 イオン捕獲イムノアッセイ方法は、実質的に実施例2
に記載の方法に従って調製した固相と、指示薬(アルカ
リ性ホスファターゼ−ヤギ抗hCG抗体結合体)と、上記
実施例3aで調製した2種類の捕獲剤(ヤギ抗hCG Fab'−
Sp−SUC65−RSA及びヤギ抗hCG IgG−Sp−SUC65−RSA)
のうちいずれか1種と、精製hCG標準液とを使用した。
全ての試薬をアッセイ緩衝液で(力価曲線によって決定
されるように)適正に希釈した。同量(750μl)の指
示薬及びhCG試料溶液を一連の試験管に入れた。37℃で3
0分間インキュベートした後、各インキュベート混合液
のアリコート125μlを別々の試験管中で同量の捕獲剤
と混合した。得られた混合液を30分間インキュベートし
た。次いで、アッセイ混合液(75μl)を各固相材料に
加えた。次いで固相材料を各々150μlの洗浄用緩衝液
〔25mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン,100mM
NaCl,1.0mM MgCl2,0.1mM ZnCl2及び0.07% NaN3;pH7.
5〕で3回洗浄した。酵素基質(100mM AMP,1.0mM MgC
l2,0.1% NaN3及び4.0mMテトラミソール,pH10.3中に1.2
mM 4−メチルウンベリフェリルホスフェートを含む溶液
70μl)を固相材料に加えた。生じた蛍光量を32.7℃で
測定した。実験結果を表6にまとめて示す。結果から、
hCG試験試料濃度が増加すると、それに対応して捕獲剤
/被分析物質/指示薬結合体の形成が増加し、従って固
相に付着する検出可能な標識の量が増加したことが判
る。
実施例4 hCGの間接サンドイッチイオン捕獲イムノアッセイ 間接イオン捕獲イムノアッセイは、実質的に上記実施
例2に記載のごとく調製した固相と、アルカリ性ホスフ
ァターゼ−ヒツジ抗マウスIgG結合体〔Jackson Immuno
Research Laboratories,Inc.〕の指示薬と、実施例3
に記載のごときヤギ抗hCG F(ab')−Sp−SUC65−RSA
の捕獲剤と、マウスモノクローナル抗hCG抗体の補助特
異的結合メンバー〔ImmunoSearch;Thomas River,NJ,08
753〕と、精製hCG標準液とを使用した。補助特異的結合
メンバーは、被分析物質及び指示薬に結合するよう使用
した。全ての試薬をアッセイ緩衝液で適正に希釈した。
同量(150μl)の指示薬、hCG試料溶液及び補助特異的
結合メンバーを一連の試験管に入れた。37℃で5分間イ
ンキュベートした後、各試験管にそれぞれ150μlの捕
獲剤を加えた。得られた混合液を5分間インキュベート
した。次いでアッセイ混合液(200μl)をそれぞれ調
製した固相材料に加えた。次いで上記実施例3に記載し
たのと同様に、固相材料を洗浄用緩衝液で洗浄し、酵素
基質溶液で処理した。生じた蛍光量を32.7℃で測定し
た。アッセイ結果を表7にまとめて示す。結果から、hC
G試験試料濃度が増加すると、それに対応して捕獲剤/
被分析物質/補助特異的結合メンバー/指示薬結合体の
傾城が増加し、従って固相に付着する検出可能な標識の
量が増加したことが判る。
実施例5 2つの補助特異的結合メンバーを使用するhCGの間接サ
ンドイッチイオン捕獲イムノアッセイ このイオン捕獲イムノアッセイは、実質的に実施例2
に記載の方法に従って調製した固相と、アルカリ性ホス
ファターゼ−ヒツジ抗マウスIgG結合体〔Jackson Immu
noResearch Laboratories,Inc.〕の指示薬と、マウス
モノクローナル抗hCG抗体の補助特異的結合メンバー〔I
mmunoSearch;Thomas River,NJ,08753〕と、精製hCG標
準溶液とを使用した。更に、アフィニティー精製ヤギ抗
hCG抗体の第2補助特異的結合メンバーと、ウサギ抗ヤ
ギIgG−Sp−SUC65−RSAの捕獲剤をも使用した。捕獲剤
は、上記実施例3に記載の方法に従ってアフィニティー
精製ウザギ抗ヤギIgG〔Cappel;Cochranville,PA,1933
0〕をSp−SUC65−RSAに結合することにより調製した。
全ての試薬をアッセイ緩衝液で適正に希釈した。同量
(100μl)の指示薬、hCG試料溶液及び第1補助特異的
結合メンバーを一連の試験関に入れた。インキュベーシ
ョン(37℃で10分間)後、第2補助特異的結合メンバー
(100μl)を加え、インキュベーションを続行した(3
7℃で更に5分間)。最後に、各試験管に捕獲剤(100μ
l)を加えた。得られた混合液を5分間インキュベート
した。次いでアッセイ混合液(200μl)をそれぞれ調
製した固相材料に加えた。次いで上記実施例3に記載し
たのと同様に、固相材料を洗浄用緩衝液で洗浄し、酵素
基質溶液で処理し、蛍光量を測定した。アッセイ結果を
表8にまとめて示す。結果から、hCG試験試料濃度が増
加すると、それに対応して捕獲剤/補助特異的結合メン
バー/被分析物質/補助特異的結合メンバー/指示薬結
合体の形成が増加し、従って固相に付着する検出可能な
標識の量が増加したことが判る。
実施例6 抗プロゲステロン抗体のイオン捕獲イムノアッセイ a.PGA標識ヤギ抗マウス捕獲剤の調製 以下の一連のステップは、抗体/ポリグルタミン酸結
合体の調製に使用される化学機構を説明するものであ
る。
PGA−ナトリウム塩の遊離酸形態への変換:PGAのナト
リウム塩(200mg;1.47×10-5モル;平均MW13,600;Sigm
a)を60mlの水中でカチオン交換樹脂(AG50W−X8;13g;B
io−Rad,Richmond,CA)と一緒に3時間撹拌した。上清
をデカントし、濾過し、蒸発させ、収率80%で白色粉末
状の遊離酸形態のPGA(137mg;平均MW11,620)を得た。
イソシオシアネート−PGA(ITC−PGA)の調製:ジメ
チルホルムアミド(DMF;2ml)中に遊離酸形態のPGA(65
mg;5.6×10-6モル)を含む溶液に、トリエチルアミン
(100μl;7.2×10-4モル)及び1,4−フェニレンジイソ
チオシアネート(110mg;5.7×10-4モル;Aldrich Chemi
cal Company,Milwaukee,WI)を加えた。室温で一晩撹
拌した後、酢酸(100μl;1.7×10-3モル)を加え、次い
で反応混合液を蒸発させた。残渣に塩化メチレン(25m
l)を加え、2時間撹拌してから混合液を濾過し、白色
粉末状のITC−PGA(101mg)を得た。
ITC−PGA(295μg;2.5×10-8モル;20%DMF/0.1Mリン
酸ナトリウム40μl,pH7.0中)を、ヤギ抗マウスIgG(20
0μg;1.25×10-9モル;Sigma;0.1Mリン酸ナトリウム40μ
l,pH7中)の緩衝溶液に加え、PGA標識ヤギ抗マウス捕獲
剤を形成した。室温で2日間撹拌してから、0.1M Tris
(20μl;pH7.4)を加え、得られた混合液を、使用する
まで2〜8℃で保管した。
b.抗プロゲステロン抗体のイムノアッセイ 抗プロゲステロン抗体イオン捕獲イムノアッセイで
は、実施例1に記載のごとき第四級ポリマー化合物で被
覆した固相材料を使用した。60μlの試料を反応ウェル
に入れた。試料は、リン酸緩衝塩水溶液(PBS:50mMリン
酸ナトリウム、99mM NaCl,0.1% NaN3,pH7.4)中にモノ
クローナル抗プロゲステロン抗体を0、5、50、100、2
50及び500ng/mlの濃度で含む溶液からなった。次に、20
μlのPBSを反応ウェルに加え、更に緩衝指示薬として
アルカリ性ホスファタアーゼで標識したプロゲステロン
(50mM Tris,pH7.4,150mM NaCl,1% NaN3,1mM MgCl2,0.
1mM ZnCl2及び1%BSAからなるTris緩衝液中3μg/ml)
20μlを加えた。混合液を34.5℃で10分間インキュベー
トした後、捕獲剤を加えた(20μl;上記ストック溶液を
PBSで1/100に希釈したPGA標識ヤギ抗マウス抗体)。混
合液を34.5℃で更に10分間インキュベートした。混合液
の100μlアリコートを固相材料に添加し、次いで各75
μlの希釈液で3回洗浄した。最後に、酵素基質溶液
(100mM AMP,1mM MgCl2,0.1%NaN3及び4.0mMテトラミソ
ール,pH10.3中に1.2mM 4−メチルウンベリフェリルホス
フェートを含む溶液70μl)を固相に加え、生じた蛍光
量を測定した。実験結果を表9に示す。結果から、抗プ
ロゲステロン試験試料濃度が増加すると、それに対応し
て捕獲剤/被分析物質/指示薬結合体の形成が増加し、
従って固相に付着する検出可能な標識の量が増加したこ
とが判る。
実施例7 プロゲステロンの間接競合イオン捕獲イムノアッセイ 実質的に実施例1に記載の方法に従って固相を調製し
た。PBS中の種々の濃度のプロゲステロンの試料60μl
を、プロゲステロン標識アルカリ性ホスファター指示薬
(実施例4のTris緩衝液中0.4μg/ml)20μl及び補助
特異的結合メンバーとしてのマウス抗プロゲステロン抗
体(PBS中0.3μg/ml)20μlと混合した。混合液を34.5
℃で10分間インキュベートした後、上記実施例6に記載
のごとく、PGA標識ヤギ抗マウス抗体捕獲剤20μlを加
えた。得られた混合液を34.5℃で更に10分間インキュベ
ートした。混合液の100μlアリコートを固相材料に添
加し、次いで希釈液で3回洗浄した。最後に、酵素基質
溶液(100mM AMP,1mM MgCl2,0.1% NaN3及び4.0mMテト
ラミソール,pH10.3中に1.2mM 4−メチルウンベリフェリ
ルホスフェートを含む溶液70μl)を固相に加え、生じ
た蛍光量を測定した。アッセイ結果を表10に示す。結果
から、プロゲステロン試験試料濃度が増加すると、それ
に対応して捕獲剤/補助特異的結合メンバー/指示薬結
合体の形成が減少し、従って固相に付着する検出可能な
標識の量が減少したことが判る。
実施例8 アニオン性捕獲剤形成のためのポリ−L−グルタミン酸
の活性化 以下の一連のステップは、負電荷を有する捕獲剤を形
成するためのタンパク質−PGA結合体のバルク調製に使
用される化学機構を説明するものである。
a.PGAナトリウム塩の遊離酸形態への変換 PGAのナトリウム塩(100mg;7.35×10-6モル;平均MW1
3,600;Sigma)を、水素形態カチオン交換樹脂(50当量
/グルタメート残基;AG50W−X8;Bio−Rad)と一緒に一
晩撹拌した。樹脂は予め蒸留水で膨潤及び洗浄し、最終
的に蒸留水中に再懸濁させておいた(20ml/7乾燥重量ビ
ーズ)。上清を除去し、凍結乾燥すると、収率90%で白
色粉末状の遊離酸形態のPGA(PGAFA)(80mg;平均MW11,
620)が得られた。遊離酸形態は、有機溶剤中で可溶性
とするために使用した。
b.ITC−PGAFAの調製 PGAFAを溶剤中に溶解した(DMF中10mg/ml)。この溶
液にプロトン吸収剤(4−メチル モルホリン)を、滴
定可能遊離カルボン酸当たり約1当量の量で加えた。次
いで、約100モル過剰量のアミン反応性修飾剤(溶解す
るのに十分なDMF中の1,4−フェニレンジイソチオシアネ
ート〔DITC〕)を溶液に加えた。反応混合液を室温で一
晩撹拌した。反応混合液を回転蒸発してほぼ乾固し、塩
化メチレン(25ml)を加えてITC−PGAFAを沈澱させた。
凝集沈澱物を遠心し、塩化メチレン及び未反応のDITCを
除去した。沈澱/遠心過程を、検出可能なDITCが実質的
に残留しなくなるまで繰り返した。DITCは、塩化メチレ
ン中で展開するシリカスライドにおける薄層クロマトグ
ラフィーを使用しても検出した。ITC−PGAFAは起点に残
り、DITCは溶剤前線と共に移動する。残りの固体を真空
乾燥し、黄色粉末状のITC−PGAFAを得た。
c.ITCをタンパク質に結合することによる捕獲剤の調製 (タンパク質に対して約1〜約20モル過剰量の)ITC−P
GAFAを0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液pH8.5中に、容積を
出来る限り小さく維持して溶解した。必要に応じてpHを
8.5に調整した。所望のタンパク質をこの溶液に加え、3
7℃で一晩インキュベートした。次いで調製液を、1〜2
mgタンパク質の調製に対しては分析用TSK 400 Bio−Rad
カラム(7.5×300mm,流量1ml/分)、また2〜10mgタン
パク質の調製に対してはTSK 4000 Beckmanカラム(31.5
×300mm,流量5ml/分)におけるHPLCを使用して画分化し
た。溶出緩衝液は、0.1Mリン酸ナトリウム及び0.3M NaC
l,pH6.8を含んだ。画分を試験し、適当に混合した。種
々の結合比における種々のタンパク質の結合効率を決定
できるように、タンパク質を含むかかるフラクションの
アミノ酸含有量を測定した。測定の結果を表11に与え
る。
表11の第1列は、種々の捕獲剤を形成するために反応
に使用したタンパク質の量を示しており、第2列は、第
1列のタンパク質と反応させた活性化ITC−PGAFAのモル
過剰量を示しており、第3列は、平均分子量40,000及び
反復グルタメート残基数305を基準にアミノ酸分析する
ことにより計算された、反応によって1抗体当たりに結
合したPGA鎖の数を示しており、第4列は、反応に使用
した活性化PGAのモル過剰量を基準にしたPGA鎖の置換効
率の計算値を示す。
実施例9 テオフィリンイオン捕獲競合アッセイ:抗原捕獲形式 a.テオフィリン捕獲剤の調製 テオフィリン−ブチラート(10mg:MW280.29;3.57×10
-5モル)を塩化メチレン(3.0ml)中に溶解することに
よりテオフィリンを活性化した。3モル過剰量のジシク
ロヘキシルカルボジイミド(22mg:MW206.3)及び3モル
過剰量のN−ヒドロキシスクシンイミド(12.3mg;MW11
5.09)を加え、反応混合液を室温で一晩撹拌した。混合
液を濾過してジシクロヘキシルウレアを除去し、回転蒸
発乾固し、10mgのN−スクシンイミジルテオフィリン−
ブチラート(テオフィリン−ブチラート−oSu)を得
た。
ポリグルタミン酸の遊離酸(NH2−PGAFA;1.4mg;MW11,
798;1.19×10-7モル)をDMF(0.5ml)及びNMM(1.1mg;M
W101.15;1.07×10-5モル)中に溶解した。テオフィリン
−ブチラート−oSu(10mg;1mg/0.5mlDMF)を加え、反応
混合液を室温で一晩撹拌した。pH7.0の0.1Mリン酸ナト
リウム緩衝液に透析することにより、未結合のテオフィ
リンを除去した。得られた捕獲剤のテオフィリン含有量
を分析すると、1PGA鎖当たり3.9個のテオフィリン分子
が結合していることが判った。次いで、抗テオフィリン
抗体と結合し得るテオフィリン−PGA捕獲剤を、25mM Tr
is,100mM NaCl,1mM MgCl2,0.1mM ZnCl2,0.1% NaN3及び
1%魚ゼラチンを含むアッセイ緩衝液,pH7.2で3μg/ml
に希釈した。
b.固相の調製 ファイバーマトリックスを第四級ポリマー化合物で被
覆し、正電荷を有する固相を得た。水溶性セルロース誘
導体であるCelquat(登録商標)L−200ポリマー化合物
を使用した。10mM NaCl(50μl)を含むCelquat(登録
商標)L−200ポリマー化合物(50μl)の0.5%水溶液
を固相材料に添加した。
c.指示薬の調製 指示薬は、実質的に実施例3.bに記載の方法に従って
調製した、アルカリ性ホスファターゼ及び抗テオフィリ
ン抗体の結合体からなった。指示薬をアッセイ緩衝液で
(力価曲線によって決定されるように)適正に希釈し0.
17μg抗体/mlを得た。
d.イムノアッセイ方法 指示薬(200μl)を一連の反応試験管に入れた。テ
オフィリン標準溶液(200μl;テオフィリン−ブチラー
トを50mM Tris,300mM NaCl及び0.1% NaN3,pH7.2を用い
て0.6、1.2、2.5、4.9、9.9、99.2及び992μg/mlに希釈
した溶液)を各試験管に加えた。混合液を37℃で10分間
インキュベートした。捕獲剤(200μl)を各試験管に
加え、反応混合液を37℃で10分間インキュベートした。
各反応混合液のアリコート(200μl)を固相材料に添
加し、希釈液(75μl)で1回洗浄した。酵素基質(70
μl;100mM AMP,1.0mM MgCl2,0.1% NaN3及び4.0mMテト
ラミソール,pH10.3中に1.2mM 4−メチルウンベリフェリ
ル−ホスフェートを含む溶液)を32℃で加えて指示薬と
反応させ、生じた蛍光量を測定した。アッセイ結果を表
12に示す。結果から、テオフィリン類縁体試験試料濃度
が増加すると、それに対応して捕獲剤/指示薬結合体の
形成が減少し、従って固相に付着する検出可能な標識の
量が減少したことが判る。
実施例10 フェニルシクリジンイオン捕獲競合アッセイ:抗原捕獲
形式 a.フェニルシクリジン捕獲剤の調製 4−ヒドロキシ−フェニルシクリジン(1.1mg;MW259.
37;4.24×10-6モル)をテトラヒドロフラン(THF;0.5m
l)中に溶解した。ベンゼン中10%ホスゲンを1/2ml加え
た(130モル過剰量)。室温で2.5時間反応させた。溶剤
を窒素流下に蒸発させ、フェニルシクリジン−4−クロ
ロホルメートの残渣を得た。
フェニルシクリジン−4−クロロホルメート(1.1m
g)をTHF(0.5ml)中に溶解した。これに、1−メチル
−2−ピロリジノン(0.5ml)中に溶解したNH2−PGAFA
(1.7mg;MW11,798;1.19×10-7モル)を加えた。室温で
一晩反応させ、回転蒸発乾固した。生成物を0.1Mリン酸
ナトリウム(1.5ml,pH7.0)中に溶解した。沈澱物を濾
過し、不透明な水性濾液を透明になるまで塩化メチレン
で抽出した。抗フェニルシクリジン抗体と結合し得るフ
ェニルシクリジン−PGA捕獲剤を、実施例9に記載のご
ときアッセイ緩衝液で5μg/mlに希釈した。
b.固相の調製 実質的に実施例9に記載の方法に従って固相を調製し
た。
c.指示薬の調製 指示薬は、アルカリ性ホスファターゼ及び抗フェニル
シクリジン抗体の結合体からなった。指示薬を、実施例
9に記載のごときアッセイ緩衝液で1/250に希釈した。
d.イムノアッセイ方法 指示薬(140μl)を、既知量のフェニルシクリジン
(ヒト尿中0.0、25、60、120、250及び500ng/ml)を含
む一連の試料(各々50μl)と混合し、混合液を32℃で
10分間インキュベートした。フェニルシクリジン−PGA
捕獲剤(100μl)を加え、反応混合物を10分間インキ
ュベートした。各反応混合液のアリコート(200μl)
を固相試料に添加した。次いで固相を2回洗浄した。酵
素基質(70μl;実施例9に記載のもの)を加え、生じた
蛍光量を測定した。アッセイ結果を表13に示す。結果か
ら、フェニルシクリジン試験試料濃度が増加すると、そ
れに対応して捕獲剤/指示薬結合体の形成が減少し、従
って固相に付着する検出可能な標識の量も低下したこと
が判る。
実施例11 ジゴキシンイオン捕獲競合アッセイ:抗原捕獲形式 a.ジゴキシン−IgG−PGA捕獲剤の調製 実質的に実施例8.cに記載の方法に従って、ジゴキシ
ン−IgG−PGA捕獲剤を調製した。但し、以下の点を変更
した。ITC−PGA(5mg;1.25×10-7モル:0.1Mリン酸ナト
リウム1.0ml,pH8.5中)をウサギIgGジゴキシン(1mg;6.
25×10-9モル;0.1Mリン酸ナトリウム及び0.3M NaCl 1.4
493ml,pH8.5中)の緩衝溶液に加えて捕獲剤を形成し
た。溶液を撹拌し、37℃で一晩インキュベートした。次
いで調製液を、BioSil 400(Bio−Rod 300mg×7.5mmの
ゲル濾過カラム)において0.1Mリン酸ナトリウム及び0.
3M NaCl,pH6.8を1ml/分で溶出するHPLCによって画分化
した。抗ジゴキシン抗体に結合し得るジゴキシン−IgG
−PGA捕獲剤を、実施例9に記載のごときアッセイ緩衝
液で3μg/mlに希釈した。
b.固相の調製 実質的に実施例9に記載の方法に従って固相を調製し
た。
c.指示薬の調製 指示薬は、アルカリ性ホスファターゼ及びマウス抗ジ
ゴキシン抗体の結合体〔ImmunoSearch;Emeryville,Cali
fornia 94608〕からなった。指示薬を、実施例9に記
載のごときアッセイ緩衝液で33.3ng/mlに希釈した。
d.イムノアッセイ方法 指示薬(200μl)を、既知量のシゴキシン(正常ヒ
ト血清中0.5、1.0、2.5、5.0及び50.0ng/ml)を含む一
連の試料(各々200μl)と混合した。混合液を37℃で1
5分間インキュベートした。ジゴキシン−IgG−PGA捕獲
剤(200μl)を加え、反応混合液を15分間インキュベ
ートした。各反応混合液のアリコート(200μl)を固
相材料に添加し、次いで洗浄した。酵素基質(70μl;実
施例9に記載のもの)を加え、生じた蛍光量を測定し
た。アッセイ結果を表14に示す。結果から、ジゴキシン
試験試料濃度が増加すると、それに対応して捕獲剤/指
示薬結合体の形成が減少し、従って固相に付着する検出
可能な標識の量も減少したことが判る。
実施例12 ジゴキシンイオン捕獲競合アッセイ:抗体捕獲形式 a.指示薬の調製 指示薬は、アルカリ性ホスファターゼ及びジゴキシン
の結合体〔ImmunoSearch〕からなった。指示薬を、実施
例9に記載のごときアッセイ緩衝液で1/100に希釈し
た。
b.イムノアッセイ方法 抗ジゴキシン−PGA捕獲剤(200μl,実質的に実施例8.
cに記載の方法に従って調製したもの)を、実施例11に
記載のごとき既知量のジゴキシンを含む一連の試料(各
々200μl)と混合した。混合液を37℃で15分間インキ
ュベートした。指示薬(200μl)を加え、反応混合液
を15分間インキュベートした。各反応混合液のアリコー
ト(200μl)を固相(実施例9に記載のごとく調製し
たもの)に添加し、次いで洗浄した。酵素基質(70μl;
実施例9に記載のもの)を加え、生じた蛍光量を測定し
た。アッセイ結果を表15に示す。結果から、ジゴキシン
試験試料濃度が増加すると、それに対応して捕獲剤/指
示薬結合体の形成が減少し、従って固相に付着する検出
可能な標識の量も減少したことが判る。
実施例13 別のhCGイオン捕獲サンドイッチアッセイ a.捕獲剤の調製 実質的に上記実施例8.cに記載の方法に従って抗hCG抗
体−PGA捕獲剤を調製した。
b.固相の調製 ファイバーマトリックスを緩衝液(80μl;300mM NaC
l,50mM Tris及び0.1% NaN3を含む溶液,pH7.5)で濡ら
した。マトリックスを、Celquat(登録商標)L−200ポ
リマー化合物の0.5%水溶液(50μl;10mM NaClを含む)
を用いて被覆し、次いで緩衝液で2回目の洗浄を行なっ
た。
c.指示薬の調製 指示薬は、アルカリ性ホスファターゼ及びヤギ抗hCG
抗体の結合体(実質的に実施例3.bに記載の方法に従っ
て調製したもの)からなった。指示薬を、25mM Tris,10
0mM NaCl,1mM MgCl2,0.1mM ZnCl2,0.1% NaN3,5%ヤギ
血清及び1%魚ゼラチンを含むアッセイ緩衝液,pH7.2で
(力価曲線によって決定されるように)適正に希釈し
た。
d.イムノアッセイ方法 指示薬(140μl)を、ヒト正常血清中に既知量のhCG
を含む一連の試料(50μl)と混合した。混合液を31〜
32℃で10分間インキュベートした。抗hCG抗体−PGA捕獲
剤(100μl)を加え、反応混合液を10分間インキュベ
ートした。各反応混合液のアリコート(200μl)を固
相材料に添加して、次いで洗浄した。酵素基質(70μl;
実施例9に記載のもの)を加え、生じた蛍光量を測定し
た。アッセイ結果を表16に示す。結果から、hCG試験試
料濃度が増加すると、それに対応して捕獲剤/被分析物
質/指示薬結合体の形成が増加し、従って固相に付着す
る検出可能な標識の量も増加したことが判る。
実施例14 2ステップhCGアッセイ用イオン捕獲流通装置 a.固相の調製 試験試料添加パッド(ガラスファイバーマトリック
ス)を、種々の濃度のMerquat−100(登録商標)ポリマ
ーアンモニウム化合物水溶液,100mM Tris,100mM塩化ナ
トリウム,0.1%魚ゼラチン,0.1%スクロース及び0.1%
アジ化ナトリウムを用いて処理した。添加パッドを乾燥
し、吸収剤材料層上に重ねた。実質的に同じ方法で、Ce
lquat(登録商標)L−200ポリマー化合物で処理した流
通固相装置を製造した。使用直前に添加パッドをMerqua
t−100(登録商標)第四級アンモニウムポリマー化合物
(ジメチルジアリルアンモニウムクロリドのカチオン性
ホモポリマー,水中0.5%)で処理することにより、別
の装置を製造した。
b.指示薬の調製 指示薬は、1% Brij(登録商標)−35ポリオキシエ
チレン(23)ラウリルエーテル(Sigma),100mM Tris,5
00mM NaCl,1mM MgCl2,0.1mM ZnCl2,0.1% NaN3及び0.5
%脱脂粉乳,pH7.2で希釈した、ヤギ抗β−hCG抗体及び
アルカリ性ホスファターゼの結合体であった。指示薬
は、使用前に0.22μmフィルターで濾過した。
別の指示薬の調製においては、非特異的結合遮断薬と
して硫酸デキストラン(MW5,000)またはヘパリンを含
めた。遮断薬は、標識抗体の非被分析物質への結合を阻
害することにより信号雑音比を増大するために使用し
た。
c.捕獲剤の調製 実質的に上記実施例8.cに記載の方法に従って、モノ
クローナル抗β−hCG抗体−PGA捕獲剤を調製した。結合
反応混合液を5mlずつ、ゲル濾過クロマトグラフィーカ
ラム(2.4×54cm,流量0.4ml/分)において画分化した。
溶出液は、0.1Mリン酸ナトリウム,0.3M NaCl及び0.05
% NaN3,pH8.5を含んだ。ポリマーアニオン/抗体結合
体を、25mM Tris,100mM NaCl,1mM MgCl2,0.1mM ZnCl2,
0.1% NaN3,10%正常マウス血清及び1%魚ゼラチン,pH
7.2で希釈した。捕獲剤は、使用前に0.22μmフィルタ
ーで濾過した。
d.イムノアッセイ方法 捕獲剤(80μl)を、正常ヒト血清中に既知量のhCG
を含む同量の試験試料と混合した。混合液を約31〜32℃
で約12分間インキュベートした。特異的結合反応の結
果、捕獲剤/被分析物質結合体が形成された。
各反応混合液(80μl)を流通装置に添加し、次いで
Tris緩衝塩水溶液(75μl)で洗浄した。次いで指示薬
(50μl)を固相に添加し、12分間インキュベートし
た。次いで固相を2回洗浄した。
酵素基質(70μl;100mM AMP,0.01% EDTA,0.1% NaN
3及び4.0mMテトラミソール,pH10.3中に1.2mM 4−メチル
ウンベリフェリル−ホスフェートを含む溶液)を加え、
生じた蛍光量を測定した。結果を表17〜19に示す。結果
から、hCG試験試料濃度が増加すると、それに対応して
捕獲剤/被分析物質/指示薬結合体の形成が増加し、従
って固相に付着する検出可能な標識の量も増加したこと
が判る。またこの結果から、指示薬中に非特異的結合遮
断薬を含めることにより、信号雑音比が向上することが
判る。更に、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドの
カチオン性ホモポリマーは、装置を2回以上洗浄する2
ステップアッセイに使用する固相の製造に好ましいポリ
マーカチオンであり、例えばMerquat−100(登録商標)
アンモニウムポリマー化合物は窒素含有量が約10%(対
イオンは除く)であり、Celquat(登録商標)H−100ポ
リマー化合物の窒素含有量は約1%(対イオンは除く)
である。
実施例15 甲状腺刺激ホルモン(TSH)アッセイ用イオン捕獲流通
装置 a.固相の調製 実質的に実施例14.aに記載の方法に従って、添加パッ
ド(ガラスファイバーマトリックス)を、Merquat−100
(登録商標)ポリマーアンモニウム化合物の水溶液で処
理した。次いでパッドを吸収材料層上に重ね、流通固相
装置を完成した。
b.指示薬の調製 指示薬は、1% Brij(登録商標)−35ポリオキシエ
チレン(23)ラウリルエーテル,1%魚ゼラチン,100mM T
ris,500mM NaCl,1mM MgCl2,0.1mM ZnCl2,0.1% NaN3
び0.5%脱脂粉乳,pH7.2で希釈した、ヤギ抗β−hCG抗体
及びアルカリ性ホスファターゼの結合体であった。指示
薬は、使用前に0.22μmフィルターで濾過した。非特異
的結合遮断薬として硫酸デキストラン(0.5%,MW5,00
0)を加えた。
c.捕獲剤の調製 プロテインA精製モノクローナル抗TSH抗体をカルボ
キシメチルアミロース(CMA;Polysciences,Inc.,Warrin
gton,PA)に結合することにより捕獲剤を調製した。結
合は、実質的に以下の方法に従って、水溶性カルボジイ
ミド剤(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)カルボジイミド;EDCI)を使用して行った。
結合混合液は、抗体溶液(2ml;MES緩衝液[25mM 2−
(N−モルホリノ)エタンスルホン酸]pH5.5中1mg/m
l)及びCMA(1.6ml;MES緩衝液中10mg/ml)を含んでい
た。この溶液に、新たに調製したEDCI溶液(40μl;MES
緩衝液中100mg/ml)を撹拌しながら加えた。反応混合液
を室温で40分間撹拌した。25%グリシン溶液(67μl)
を加えることにより反応を停止し、次いで生成物を、TS
KガードカラムSW(2.15×7.5cm;Anspec Co.,Ann Arbo
r,Michigan)を取り付けたTSKゲルG4000SWカラム(2.15
cm×30cm)を使用したゲル濾過クロマトグラフィーによ
って画分化した。カラムはPBS(0.1Mリン酸ナトリウム,
0.3M NaCl及び0.05%アジ化ナトリウム,pH6.8)で溶出
した。精製した抗体/CMA捕獲剤を、50mM Tris,300mM Na
Cl,1%ウシ血清アルブミン,2.5%魚ゼラチン及び0.1%
NaN3を含む希釈液pH7.5で希釈した。
d.イムノアッセイ方法 捕獲剤(30μl)及びTris緩衝塩水溶液(100μl;500
mM Tris,300mM NaCl及び0.1% NaN3)を、正常ヒト血清
中に既知量のhCGを含む試験試料(50μl)と混合し
た。反応混合液を約33〜34℃で約10分間インキュベート
した。特異的結合反応の結果、捕獲剤/被分析物質結合
体が形成された。
各反応混合液のアリコート(140μl)を固相装置に
添加し、次いでTris緩衝塩水溶液(150μl)で洗浄し
た。指示薬(70μl)を装置に添加し、約10分間インキ
ュベートした。次いで装置を緩衝液(各100μl)で2
回洗浄した。酵素基質(70μl;100mM AMP,0.01% EDTA,
0.1% NaN3及び4.0mMテトラミソール,pH10.3中に1.2mM
4−メチルウンベリフェリル−ホスフェートを含む溶
液)を加え、生じた蛍光量を測定した。
アッセイ結果を表20に示す。結果から、試験試料中の
TSH濃度が増加すると、それに対応して捕獲剤/被分析
物質/指示薬結合体の形成が増加することが判った。従
って、被分析物質の濃度が増加すると、固相に付着する
検出可能な標識の量も増加した。またこの結果から、Me
rquat−100(登録商標)ポリマーアンモニウム化合物を
ポリアクリル酸またはカルボキシメチルアミロースと組
み合わせると、装置を1回以上洗浄または操作する2ス
テップアッセイに有利に使用される固相及び捕獲剤が提
供されることが判った。
e.TSH捕獲効率 放射性ヨウ素化TSHを実施例15.dに記載のごとくアッ
セイに使用すると、TSHは、ポリアスパラギン酸及びポ
ルグルタミン酸結合抗体よりもCMA結合抗体に効率的に
結合することが判った。抗体のポリアニオンへの結合
は、実質的に上記方法(実施例15.c)に従って実施し
た。アッセイ終了時に蛍光量を測定した後、固相材料上
に捕獲されたTSHの放射能を、シンチレーション分析計
(Auto−Logic,Abbott Laboratories,North Chicago,
IL)によって測定した。この結果を表20(a)に示す。
実施例16 1ステップhCGアッセイ用オン捕獲流通装置 a.固相の調製 実質的に上記実施例14.aに記載の方法に従って、ファ
イバーガラスマトリックスを、Merquat−100(登録商
標)ポリマーアンモニウム化合物の水溶液で処理した。
次いでパッドを吸収材料層上に重ね、装置を完成した。
b.指示薬の調製 指示薬は、3.33% Brij(登録商標)−35ポリオキシ
エチレン(23)ラウリルエーテル,5mM Tris,1mM MgCl2,
0.1mM ZnCl2,0.1% NaN3及び0.5%魚ゼラチン,pH7.2で
希釈した、アルカリ性ホスファターゼに結合したヤギ抗
β−hCG抗体であった。指示薬は、使用前に0.2μmフィ
ルターで濾過した。別の指示薬調製物においては、被特
異的結合遮断薬としてカルボキシメチルセルロース(MW
250,000)またはカルボキシメチルデキストランを含め
た。
c.捕獲剤の調製 実質的に上記実施例15.cに記載の方法に従って、モノ
クローナル抗hCG抗体−PGA捕獲剤を調製した。ポリマー
アニオン/抗体結合体を、3.33% Brij(登録商標)−3
5ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル,5mM Tri
s,500mM NaCl,1mM MgCl2,0.1mM ZnCl2,0.1% NaN3及び
0.5%魚ゼラチン,pH7.2で希釈した。酵素基質は、100mM
AMP,0.01% EDTA,0.1% NaN3及び4.0mMテトラミソール
溶液,pH10.3中に1.2mM 4−メチルウンベリフェリル−ホ
スフェートを含む溶液であった。
d.イムノアッセイ方法 捕獲剤(50μl)、指示薬(55μl)及び試料希釈緩
衝液(35μl;使用前に0.22μmフィルターで濾過した、
75%正常ウシ血清,25%正常ヤギ血清及び0.2% NaN3
を、正常ヒト血清中に既知量のhCGを含む試験試料(30
μl)と混合した。混合液を約33〜34℃で約14分間イン
キュベートした。特異的結合反応の結果、捕獲剤/被分
析物質/指示薬結合体が形成された。
各反応混合液のアリコート(110μl)を固相装置に
添加し、次いでTris緩衝塩水溶液(75μl)で2回洗浄
した。酵素基質(65μl)を加え、生じた蛍光量を測定
した。
アッセイ結果を表20に示す。結果から、hCG試験試料
濃度が増加すると、それに対応して捕獲剤/被分析物質
/指示薬結合体の形成が増加し、従って、固相に付着す
る検出可能な標識の量も増加したことが判る。またこの
結果から、指示薬中に非特異的結合遮断薬として遊離ポ
リアニオン性基質を含めると、捕獲剤がポリマーアニオ
ン/抗体結合体であっても、信号雑音比が向上すること
が判る。
実施例17 hCGサンドイッチアッセイ用イオン捕獲試験ストリップ a.固相の調製 ニトロセルロースのストリップ(孔径5μm;Schleich
er & Schuell;Dassel,Germany)の中央部分の長方形
ゾーンを、0.05% Merquat−100(登録商標)ポリマー
アンモニウム化合物及び10mM Trisの水溶液で処理し、
正電荷に帯電した捕獲または検出ゾーンを形成した。
b.指示薬の調製 指示薬は、マウスモノクローナル孔hCG抗体で被覆し
たセレンコロイド粒子で製造した。指示薬を、50mM Tr
is,2%ラクトース,2%カゼイン,1%ヤギ血清及び1%マ
ウス血清を含むアッセイ緩衝液pH8.4で(力価曲線によ
って決定されるように)適正に希釈した。
c.捕獲剤の調製 実質的に上記実施例15.cに記載の方法に従って1−エ
チル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジ
イミドを使用し、ヤギβ−hCG抗体をポリ−L−グルタ
ミン酸に結合した。次いで捕獲剤を指示薬と同じ希釈液
で適正に希釈した。
d.イムノアッセイ方法 指示薬(50μl)を同容量の捕獲剤と混合した。混合
液を、ヒト正常尿中に既知量のhCGを含む一連の試料
(0、50、100及び250mIU/ml;各々150μl)と混合し
た。得られた反応混合液を室温で5分間インキュベート
した。特異的結合反応の結果、捕獲剤/被分析物質/指
示薬結合体が形成された。
各反応混合液(250μl)を、調製したニトロセルロ
ースストリップの一端に添加した。混合液は、ストリッ
プ中を捕獲ゾーンに浸透し、更に該ゾーンを通過した。
捕獲剤及びその結合体が捕獲ゾーンに保持され、そこ
で、保持された捕獲剤に結合している指示薬によって、
試験試料中の被分析物質の量及び試験試料中の被分析物
質の存在が示された。0mIU/mlの試験試料では捕獲ゾー
ンは着色しなかった。50、100及び250mIU/mlの試験試料
では捕獲ゾーンが視認し得る着色を示した。
実施例18 hCGアッセイ用イオン捕獲試験ストリップ装置 a.固相の調製 ニトロセルロースのストリップ(孔径5μm;Schleich
er & Schuell)の中央部分の長方形ゾーンを、1%
Celquat(登録商標)L−200ポリマー化合物で処理し、
正電荷に帯電した捕獲ゾーンを形成した。0.5インチ/
秒の速度で動く#29ゲージ試験管(MICRO Inc.,Elmhur
st,NY)を使用し、カチオン性ポリマーを流量0.05ml/分
で分配した。
b.指示薬の調製 指示薬は、マウスモノクローナル抗hCG抗体で被覆し
たセレンコロイド粒子で製造した。指示薬を、50mM Tr
is,2%ラクトース,2%カゼイン,1%ヤギ血清及び1%マ
ウス血清を含むアッセイ緩衝液pH8.4で(力価曲線によ
って決定されるように)適正に希釈した。
c.捕獲剤の調製 実質的に上記実施例8.cに記載の方法に従って、抗β
−hCG抗体をポリ−グルタミン酸に結合した。
d.アッセイ装置の製造 パッド状吸収材料(孔径40μガラスファイバー材料;L
ydall Inc.,Hamptonville,NC)に、Tris緩衝塩水溶液
(0.1M Tris,0.9% NaCl,pH7.8),1.0%カゼイン中に捕
獲剤(20μg/ml)及び指示薬(抗体濃度0.024mg/ml,セ
レン濃度0.3mg/ml)を含む混合液を浸漬させることによ
り、指示薬パッドまたは試験試料添加パッドを製造し
た。次いでパッドを空気乾燥した。試験試料添加パッド
とニトロセルロースストリップを接触させ、少なくとも
捕獲ゾーンからはずれたニトロセルロースストリップの
端部で添加パッドが一部重なり合うようにパッドとニト
ロセルロースとを二層化することにより、試験ストリッ
プ装置を構築した。
e.イムノアッセイ方法 正常ヒト尿中に既知量のhCGを含む試験試料(0、50
及び250mIU/ml;各々50μl)をアッセイ装置の試験試料
添加パッドに添加するか、または添加パッドを試験試料
中に浸漬した。試験試料、再可溶化されたアッセイ試薬
及びこれらの結合体は添加パッドからニトロセルロース
ストリップに浸透し、更にその中を移動した。室温で5
分後、特異的結合反応及びイオン捕獲反応によって捕獲
剤/被分析物質/指示薬結合体が形成され、それが試験
ストリップの捕獲ゾーンに固定された。未結合の指示薬
及び試験試料成分は捕獲ゾーンを通過した。0mIU/ml試
験試料は捕獲ゾーンに検出可能なシグナルを生成しなか
った。50mIU試験試料は、捕獲ゾーンに僅かに検出可能
な可視シグナルを生成した。250mIU/ml試験試料は、捕
獲ゾーンに明らかな検出可能な可視シグナルを生成し
た。アッセイ結果は、均一特異的結合反応が固相試験ス
トリップ装置において反応する間、3成分結合体を形成
し得ることを示している。
実施例19 フェニルシクリジン(PCP)アッセイ用イオン捕獲試験
ストリップ装置 a.固相の調製 細長いニトロセルロースストリップ(幅3mm)の中央
部分の長方形ゾーンを、0.5% Merquat−100(登録商
標)ポリマーアンモニウム化合物で処理し、正電荷に帯
電した捕獲ゾーンを形成した。
b.指示薬の調製 指示薬は、PCP抗体で被覆したセレンコロイド粒子で
製造した。
c.捕獲剤の調製 実質的に上記実施例10.aに記載の方法に従って、PCP
抗原をポリ−グルタミン酸に結合した。
d.アッセイ装置の調製 吸収材料(Whatman PD075ガラスファイバーフィルタ
ー;Whatman Speciality Papers,Clifton,NJ)に試薬
(2.5mg/ml;0.01M Tris中の4%カゼイン,4%スクロー
ス,1%ポリエチレングリコール〔MW15,000〜25,000〕を
浸漬させることにより、アッセイ試薬パッド(幅3mm)
または試験試料添加パッドを調製した。次いでパッドを
空気乾燥した。添加パッドとニトロセルロースとを、試
薬パッドがニトロセルロースの一端と約1mm重なり合う
ように組み立てた。
e.イムノアッセイ方法 捕獲剤(15μl)と、蒸留水で既知倍率に希釈したPC
P(1:10,1:100、1:1000、1:10000)を含む同容量の試験
試料とを混合した。混合液を試験試料添加パッドに添加
した。混合液をパッド及びストリップを通して少なくと
も10〜5分間移動させた。競合結合反応の結果、捕獲剤
/指示薬結合体及び指示薬/被分析物質結合体が形成さ
れた。試験試料中の被分析物質の量が増加するにつれ
て、捕獲剤/指示薬結合体の量は減少した。高分子電解
質反応の結果、捕獲剤/指示薬結合体が試験ストリップ
の捕獲ゾーン内に固定された。未結合の指示薬及び未反
応の試験試料成分、並びに指示薬/被分析物質結合体は
捕獲ゾーンを通過した。アッセイ結果から、試験試料中
のPCPの量が高いほど、捕獲ゾーンにおいて検出可能な
シグナルは少なくなることが判った。更にアッセイ結果
から、固相試験ストリップ層において均一な特異的結合
反応が起こり得ることが判った。
実施例20 hCGアッセイ用イオン捕獲流通装置 a.固相の調製 ガラスファイバーフィルター材料を、0.125% Celqua
t(登録商標)L−200ポリマー第四級アンモニウム化合
物の水溶液で処理し、正電荷に帯電した捕獲ゾーンを形
成した。次いでガラスファイバーフィルターを、帯電検
出ゾーンを含む層を通過する過剰な試薬及び試験試料を
吸い取るよう作用する第2吸収材料層上にセットした。
b.指示薬の調製 指示薬は、アフィニティー精製ヤギ抗β−hCG抗体で
被覆した金コロイド粒子で製造した。蒸留水(510ml)
中に塩化金(100mg)を含む溶液を加熱して沸騰し、1
%クエン酸ナトリウム(8.0ml)と混合した。溶液の色
が黄色から暗赤色に変化したとき(約3分後)加熱を止
めた。水道水の流れにさらすことにより溶液を室温に冷
ました。得られた金コロイドの一部(10ml)に150mmol
のホウ酸緩衝液(pH9.0)を滴定してpH7.0に調整した。
50μlのヤギ抗β−hCG抗体(9mg/ml)を金コロイド
に加え、室温で1分間混合した。次いで混合液を10%ウ
シ血清アルブミン(300μl)で処理し、14,000rpmで1
分間遠心した。指示薬として使用するため、コロイド/
抗体混合液の底層(約320μl)を回収した。
c.捕獲剤の調製 実質的に上記実施例6及び8に記載の方法に従って、
精製モノクローナル抗hCG抗体をITC−PGAを用いて修飾
した。
d.イムノアッセイ方法 全ての試薬を、50mM Tris,150mM NaCl,pH7.5及び3%カ
ゼインを含むアッセイ緩衝液で適正に希釈した。正常ヒ
ト尿中に既知量のhCG(0、25、50、100及び250mIU/ml
を含む試験試料(50μl)を同容量の指示薬と混合し、
混合液を室温で5分間インキュベートした。次いで捕獲
剤(50μl)を混合液に加えた。得られた混合液を、緩
衝液(80μl)で予め濡らしておいた固相に移した。次
いで流通装置を緩衝液で2回濯いだ。hCGを含む反応混
合液を受容した装置においては視認し得る紫色が検出さ
れたが、0mIU/ml試験試料は捕獲ゾーンにおいて検出可
能なシグナルを生成しなかった。hCG濃度の増加に伴っ
て、捕獲ゾーンのシグナルはより濃くなった。
実施例21 イオン捕獲使用の競合ジゴキシンアッセイ a.固相の調製 試験試料添加パッド(ガラスファイバーマトリック
ス)を、種々の濃度のMerquat−100(登録商標)ポリマ
ーアンモニウム化合物水溶液,100mM Tris,100mM塩化ナ
トリウム,0.1%魚ゼラチン,0.1%スクロース及び0.1%
アジ化ナトリウムを用いて被覆した。添加パッドを乾燥
し、吸収材料層上に重ねて流通装置を作製した。
b.指示薬の調製 50mM Tris,100mM NaCl,1mM MgCl2,0.1mM ZnCl2,0.1%
NaN3及び0.1%ウシ血清アルブミン,pH7.5で希釈したジ
ゴキシンジアルデヒド及びアルカリ性ホスファターゼの
結合体であった。
c.捕獲剤の調製 第1捕獲剤として、1,4−フェニレン ジイソチオシ
アネート活性化ポリ−L−アスパラギン酸(ITC−PAA)
に結合したヤギ抗ジゴキシン抗体を、実質的に上記実施
例8.cに記載の方法に従って調製した。ポリ−L−グル
タミン酸に加えて、ポリ−L−アスパラギン酸を使用し
た。
第2捕獲剤は、実質的に上記実施例15.cに記載の結合
方法に従って、EDCIを使用してポリ−L−アスパラギン
酸に結合したウサギ抗ヤギIgG抗体で作製した。被分析
物質特異的補助結合メンバー(ヤギ抗ジゴキシン抗体)
をこの捕獲剤と一緒に使用し、被分析物質を固相に結合
した。1つの実施態様においては、捕獲剤は、予め形成
した負電荷を有する抗ヤギ抗体及びヤギ抗ジゴキシン抗
体の結合体であった。第1及び第2捕獲剤の両方を、使
用前に、50mM Tris,50mM NaCl,0.1% NaN3及び0.1%ウ
シ血清アルブミン,pH7.5を用いて適正に希釈した。
d.イムノアッセイ方法 第1捕獲剤、即ち直接捕獲系を使用するアッセイにお
いては、捕獲剤(60μl)を、既知量のジゴキシンを含
む試験試料(18μl)と混合した。反応混合液を約33〜
34℃で約10分間インキュベートした。特異的結合反応の
結果、捕獲剤/被分析物質結合体が形成された。次いで
指示薬(60μl)を反応混合液に加え、混合液を更に約
11分間インキュベートした。特異的結合反応の結果、試
験試料中に存在する被分析物質の量に比例して捕獲剤/
指示薬結合体が形成された。各反応混合液の一部(80μ
l)を固相に添加し、次いでTris緩衝塩水溶液(75μ
l)で2回洗浄した。酵素基質(70μl;100mM AMP,0.01
% EDTA,0.1% NaN3及び4.0mMテトラミソール,pH10.3中
に1.2mM 4−メチルウンベリフェリル−ホスフェートを
含む溶液)を加え、生じた蛍光量を測定した。
第2捕獲剤を使用する間接アッセイにおいては、予め
形成した捕獲剤/補助結合メンバー結合体(50μl)
と、指示薬(55μl)と、ジゴキシン試験試料(25μ
l)とを、試料希釈緩衝液(91μl)と混合した。混合
液を約9分間インキュベートした。特異的結合反応の結
果、捕獲剤/補助特異的結合メンバー/被分析物質結合
体及び捕獲剤/補助結合メンバー/指示薬結合体が、試
験試料中に存在する被分析物質の量に比例して形成され
た。反応混合液のアリコート(180μl)を固相に添加
し、次いでTris緩衝塩水溶液(75μl)で2回洗浄し
た。酵素基質(70μl)を加え、生じた蛍光量を測定し
た。アッセイ結果を表22に示す。結果から、ジゴキシン
試験試料濃度が増加すると、それに従って指示薬を含む
結合体の形成が減少することが判った。即ち、試験試料
中のジゴキシンが増加すると、固相に付着する検出可能
な標識の量は低下した。
実施例22 全T3(トリヨードチロニン)競合アッセイ用イオン捕獲
流通装置 a.固相の調製 試験試料添加パッド(ガラスファイバーマトリック
ス)を、種々の濃度のCelquat(登録商標)L−200ポリ
マー第四級アンモニウム化合物またはMerquat−100(登
録商標)ポリマーアンモニウム化合物水溶液,100mM Tri
s,100mM塩化ナトリウム,0.1%魚ゼラチン、0.1%スクロ
ース及び0.1%アジ化ナトリウムを用いて被覆した。添
加パッドを乾燥し、吸収材料層上に重ねて個々のアッセ
イ装置を作製した。
b.指示薬の調製 指示薬は、50mM Tris,100mM NaCl,1.0mM MgCl2,0.1mM
ZnCl2及び1.0%ウシ血清アルブミン,pH7.5で希釈し
た、T3及びアルカリ性ホスファターゼの結合体であっ
た。被特異的結合遮断薬として硫酸デキストラン(MW5,
000)を含めた。遮断薬は、標識抗体の非被分析物質へ
の結合を阻害することにより信号雑音比を増大するため
に使用した。
c.捕獲剤の調製 捕獲剤として、抗T3抗体を、ポリアスパラギン酸(PA
A−抗T3抗体)、ポリアクリル酸(PAcA−抗T3抗体)ま
たはカルボキシメチルセルロース(CMA−抗T3抗体)ア
ニオン性ポリマー分子と結合した結合体を、実質的に実
施例15.cのEDCI結合法に従って、但し捕獲剤のクロマト
グラフィー濾過は行わずに作製した。捕獲剤を、800mM
Tris,50mM NaCl,0.1% NaN3,0.01%フロセミド,0.1%Tw
een−20,1.0%ウシ血清アルブミン及び0.08mg/mlヤギIg
G,pH7.4で希釈した。
d.イムノアッセイ方法 捕獲剤(50μl)を、既知量の全T3を含む同容量の試
験試料及び試料希釈緩衝液(150μl)と混合した。反
応混合液を約15分間インキュベートした。特異的結合反
応の結果、捕獲剤/被分析物質結合体が形成された。
次いで各反応混合液(150μl)を固相に添加した。
更に指示薬(60μl)を固相に添加し、8分間インキュ
ベートした。装置を2回洗浄した。酵素基質(50μl)
を加え、生じた蛍光量を測定した。
別のアッセイ形式においては、指示薬を添加する前に
固相を洗浄した。更に別のアッセイ形式においては、捕
獲剤と試験試料を混合し、インキュベートしてから、指
示薬を添加し、更にインキュベートしてから、反応混合
液のアリコートを固相に添加した。
捕獲剤と反対の電荷を有する固相との高分子電解質相
互作用の結果、捕獲剤及び捕獲剤結合体が固相装置上に
固定された。酵素基質(70μl;100mM AMP,0.01% EDTA,
0.1% NaN3及び4.0mMテトラミソール,pH10.3中に1.2mM
4−メチルウンベリフェリル−ホスフェートを含む溶
液)を加え、生じた蛍光量を測定した。
各アッセイにおいて、結果から、全T3試験試料濃度が
増加すると、それに対応して捕獲剤/被分析物質結合体
の形成が増加し、従って、固相に付着する検出可能な標
識の量が減少したことが判る。更にこの結果から、指示
薬中に非特異的結合遮断薬として硫酸デキストランを含
めることにより、信号雑音比が向上することが判る。
実施例23 イオン捕獲サンドイッチアッセイによるHIV−1抗p24抗
体の検出 ガラスファイバーマトリックスをポリカチオン性基質
で被覆し、該マトリックスを吸収材料上に重層すること
により、固相装置を作製した。ポリアニオン性基質を精
製組換えp24抗原に共有結合することにより捕獲剤を調
製した。指示薬は、アルカリ性ホスファターゼと、被分
析物質特異的補助特異的結合メンバーによって被分析抗
体に結合する抗ビオチン抗体、即ちビオチニル化p24抗
原との結合体であった。酵素基質は4−メチルウンベリ
フェリル−ホスフェートであった。
捕獲剤を試験試料と反応させて捕獲剤/被分析物質結
合体を形成し、過剰な試薬及び試験試料成分を除去し、
反対の電荷を有する固相に通すことにより結合体を固定
した。次いで、捕獲された被分析物質の量を、補助特異
的結合メンバー、指示薬及び酵素基質を順次加えること
により判定した。
実施例24 処理対照を含むイオン捕獲装置 別の実施態様においては、実施例17の固相反応マトリ
ックスを、2種類のアッセイ試薬をマトリックス内に一
部重なり合った態様で取み込んで検出ゾーンを形成する
ように製造した。一方の試薬の反応によって検出可能パ
ターンの一部分が完成され、第2の試薬の反応によって
検出可能パターンの別の部分が完成された。
例えばアニオン性ポリマー(例えばポルグルタミン
酸)を、“十字”形の縦棒を形成するように固相に添加
した。アニオン性ポリマーは、ポリマーカチオンに結合
した被分析物質特異的結合メンバーを含む反対の電荷を
有する捕獲剤に引き付けられ且つそれに結合した。捕獲
剤、被分析物質、及び被分析物質に特異的な指示薬の反
応の結果、検出可能な結合体が縦棒部分に固定された。
被分析物質の反応を含まない処理対照反応ゾーンは、
十字形検出ゾーンの横棒の形状に形成した。被分析物質
を含む結合体を形成しなかった指示薬と反応し且つそれ
に固定する試薬を使用した。
例えば指示薬が、アフィニティー精製ヤギ抗β−hCG
抗体で被覆した金コロイド粒子であるならば、十字形検
出ゾーンの横棒は、ヤギ抗β−hCG抗体に直接結合する
特異的結合メンバー、例えばウサギ抗ヤギ抗体を含む。
試験試料中に被分析部質が存在してもしなくても、検出
可能な標識が横棒部分に固定された。
本発明の概念は、反対の電荷を有する固相材料と捕獲
剤を使用することにより全ての分離技術または均一結合
アッセイ(標識のシグナル生成能力が結合反応の間に変
化しない)に同等に適用可能であることは当業者には理
解されよう。本明細書に詳述した実施態様は、高分子電
解質反応及びアッセイに制限されるものではなく、単な
る例にすぎない。本発明の説明は、記載した特定の実施
態様に本発明を制限するものではなく、上述の、そして
以下の請求の範囲に記載のごとき本発明の主旨及び範囲
内で全ての均等物及び主題を包含するものとする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ベリー,ダニエル・エス アメリカ合衆国、イリノイ・60048、リ バテイビル、デス・プレインズ・ドライ ブ・16247 (72)発明者 ジヨウ,イー−ハー アメリカ合衆国、イリノイ・60048、リ バテイビル、スプリングヘイブン・ドラ イブ・917 (72)発明者 ストロウプ,ステイーブン・デナム アメリカ合衆国、イリノイ・60048、リ バテイビル、ルーズベルト・ドライブ・ 606 (56)参考文献 特開 平3−44399(JP,A) 特開 平2−168162(JP,A) 特表 昭60−500548(JP,A) 米国特許4121975(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/543 G01N 33/531 G01N 33/547

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試験試料中の被分析物質の存在または量を
    判定するアッセイ方法であって、 a)(i)カルボキシメチルアミロースポリアニオンに
    結合した第1結合メンバーを含む捕獲剤、 (ii)第2結合メンバー及び検出可能な標識を含む指示
    薬、及び (iii)ポリマーカチオン性物質からなる反応部位を含
    む固相材料 とを与えるステップであって、前記第1及び第2特異的
    結合メンバーが、サンドイッチアッセイ、競合アッセイ
    または間接アッセイにおいて被分析物質と一緒に結合体
    を形成し、それによって該試験試料中の被分析物質の存
    在または量に応じて検出可能な結合体を形成し得る結合
    メンバーから選択され、 b)前記固相を前記捕獲剤、前記指示薬及び試験試料と
    接触させ、それによって前記固相のポリマーカチオンが
    前記捕獲剤のポリマーアニオンを引き付け且つそれに結
    合し、従って前記捕獲剤及びその結合体が固定され、ま
    た前記指示薬が、試験試料中に存在する被分析物質の量
    に応じて固定された前記捕獲剤に結合するステップと、 c)前記固相に付着した指示薬を検出し、試験試料中の
    被分析物質の存在または量を判定するステップ とからなる方法。
  2. 【請求項2】更に、非特異的結合遮断薬を添加すること
    を含む請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】前記非特異的結合遮断薬が、別個の試薬で
    あるかまたは前記指示薬もしくは前記捕獲剤からなる群
    から選択されるメンバー内に含まれている請求項2に記
    載の方法。
  4. 【請求項4】前記非特異的結合遮断薬が未結合ポリマー
    アニオン性物質である請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記未結合ポリマーアニオン性物質が、硫
    酸デキストラン、ヘパリン、カルボキシメチルデキスト
    ラン、カルボキシメチルセルロース、ペントサンポリス
    ルフェート、イノシトールヘキサスルフェート及びβ−
    シクロデキストリンスルフェートからなる群から選択さ
    れる請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】前記ポリマーカチオン性物質が、約2%以
    上の窒素含有量を有する請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】前記ポリマーカチオン性物質を、アッセイ
    実施直前に前記固相と接触させる請求項1に記載の方
    法。
  8. 【請求項8】更に、試験試料と前記捕獲剤とを混合して
    反応混合液を形成し、前記反応混合液を前記固相と接触
    させるステップを含む請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】更に、補助特異的結合メンバーを添加し、
    間接アッセイにおいて前記補助特異的結合メンバーが、
    被分析物質に結合し得ると共に、前記指示薬または前記
    捕獲剤からなる群から選択されるメンバーにも結合し得
    ることを含む請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】更に、試験試料、前記捕獲剤及び前記指
    示薬を混合して反応混合液を形成し、前記反応混合液を
    前記固相と接触させるステップを含む請求項1に記載の
    方法。
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