JP3267088B2 - 内燃機関の蒸発燃料処理装置 - Google Patents

内燃機関の蒸発燃料処理装置

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JP3267088B2
JP3267088B2 JP02962495A JP2962495A JP3267088B2 JP 3267088 B2 JP3267088 B2 JP 3267088B2 JP 02962495 A JP02962495 A JP 02962495A JP 2962495 A JP2962495 A JP 2962495A JP 3267088 B2 JP3267088 B2 JP 3267088B2
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    • F02M25/08Engine-pertinent apparatus for adding non-fuel substances or small quantities of secondary fuel to combustion-air, main fuel or fuel-air mixture adding fuel vapours drawn from engine fuel reservoir
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/0025Controlling engines characterised by use of non-liquid fuels, pluralities of fuels, or non-fuel substances added to the combustible mixtures
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関の蒸発燃料処理
装置に関し、特に、車両に搭載された燃料タンクから蒸
発する蒸発燃料の量の多少に係わらず、適正に蒸発燃料
をキャニスタ内に吸着することができる内燃機関の蒸発
燃料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、内燃機関においては、内燃機関
の停止中に燃料タンクや気化器等の燃料貯蔵部から蒸発
する蒸発燃料(以後HCという)が大気に放出されない
ようにする蒸発燃料処理装置(エバポシステム)が備え
られている。このエバポシステムは、燃料貯蔵部から流
れてくるベーパ(HCと空気の混合気体)中のHCをキ
ャニスタに吸着させておき、空気は大気中に逃がすと共
に、機関運転中の所定時期に吸入負圧を利用してこのキ
ャニスタに吸着されたHCをベーパとして吸気側に吸い
込ませる(パージさせる)ものである。このようなキャ
ニスタには、車両走行後の駐車時の温度差によるベーパ
の濃度拡散による大気中へのHCの散逸を小さくするた
めに、キャニスタの大気連通孔、あるいは主キャニスタ
と副キャニスタを備える分割式キャニスタにあってはそ
の連通部に、一般的に絞りが設けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、燃料タ
ンクから蒸発するベーパ量は、燃料タンクを搭載した車
両の運転状態、気温、燃料の給油時等によって異なる。
そして、燃料の給油時には燃料タンク内の燃料が攪拌さ
れるためにベーパの発生量が非常に多くなり、燃料タン
ク内の圧力も高まる。この状態でベーパがキャニスタに
送られると、キャニスタには絞りがあるために、ベーパ
の流量抵抗が大きくなり、キャニスタや燃料タンク内の
圧力が増大し、この圧力上昇により給油ガンが停止する
ため、給油できなくなるという問題点があった。
【0004】そこで、本発明は前記従来の内燃機関の蒸
発燃料処理装置における課題を解消し、キャニスタにお
けるベーパ流量を制御することにより、ベーパの大気へ
の排出低減と、燃料タンク内の過度の圧力上昇防止とを
両立させることができる内燃機関の蒸発燃料処理装置を
提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発
明の内燃機関の蒸発燃料処理装置の第1の形態は、燃料
タンクで発生した蒸発燃料が大気に放出されないように
吸着し、機関稼働時に吸着した蒸発燃料を機関の吸気通
路に戻すように機能する内燃機関の蒸発燃料処理装置で
あって、燃料タンクからのベーパが流入するタンクポー
トと吸気通路にベーパを排出するパージポート、および
大気に連通する大気ポートとを備えており、タンクポー
トとパージポートと、大気ポートとの間に吸着部材が内
蔵されたキャニスタと、このキャニスタの大気ポート側
の所定部位に設けられて、このキャニスタの大気開放面
積を弁の開度によって変更する電磁開閉弁と、この電磁
開閉弁の開度を制御する制御手段、及び、燃料タンクの
内圧を検出し、検出値を制御手段に入力する内圧検出セ
ンサとを備え、制御手段は燃料タンクの内圧の検出値に
応じて、この内圧が所定値になるように電磁開閉弁をフ
ィードバック制御すると共に、燃料タンクへの給油状態
を検出した時には、電磁開閉弁の開度が所定値となるよ
うに電磁開閉弁を制御することを特徴としている。
【0006】前記目的を達成する本発明の内燃機関の蒸
発燃料処理装置の第2の形態は、燃料タンクで発生した
蒸発燃料が大気に放出されないように吸着し、機関稼働
時に吸着した蒸発燃料を機関の吸気通路に戻すように機
能する内燃機関の蒸発燃料処理装置であって、燃料タン
クからのベーパが流入するタンクポートと吸気通路にベ
ーパを排出するパージポート、および大気に連通する大
気ポートとを備えており、タンクポートとパージポート
と、大気ポートとの間に吸着部材が内蔵されたキャニス
タと、このキャニスタの大気ポート側の所定部位に設け
られて、このキャニスタの大気開放面積を弁の開度によ
って変更する電磁開閉弁と、この電磁開閉弁の開度を制
御する制御手段、及び、燃料タンクからのベーパ量を演
算するベーパ量演算手段とを備え、制御手段は演算され
たベーパ量に基づいて電磁開閉弁の弁の開度を制御する
ことを特徴としている。
【0007】第2の形態の内燃機関の蒸発燃料処理装置
においては、給油検出手段により制御手段が給油中であ
ることを検出した場合には、電磁開閉弁の弁の開度を大
きくすることができる。 また、以上の内燃機関の蒸発燃
料処理装置においては、電磁開閉弁は非通電時に所定開
度Aを有するように構成され、制御手段は機関停止かつ
非給油時に電磁開閉弁に対して非通電とすることができ
る。
【0008】
【作用】本発明の内燃機関の蒸発燃料処理装置の第1の
形態によれば、燃料タンクの内圧の検出値に応じて、こ
の内圧が所定値になるように電磁開閉弁がフィードバッ
ク制御されると共に、燃料タンクへの給油状態が検出さ
れた時には、電磁開閉弁の開度が所定値となるように電
磁開閉弁が制御される。一方、本発明の内燃機関の蒸発
燃料処理装置の第2の形態によれば、演算されたベーパ
量に基づいて電磁開閉弁の弁の開度が制御され、給油中
であることが検出された場合には、電磁開閉弁の弁の開
度が大きくされる。 このような制御により、燃料タンク
内のベーパ濃度が低い場合には、キャニスタに設けられ
電磁開閉弁による大気開放面積が小さいので、燃料タ
ンクからのベーパはキャニスタ内の吸着部材に吸着され
る。一方、燃料タンク内のベーパ濃度が高くなって燃料
タンクの内圧が増大した場合には、キャニスタに設けら
れた電磁開閉弁による大気開放面積が大きくなるので、
燃料タンクからの大量のベーパはキャニスタ内の吸着部
材の前後差圧を増大させることなくキャニスタを吹き抜
け、ベーパ中のHCがキャニスタに吸着される。この結
果、燃料タンク内圧が適正に保たれ、大気中へのHCの
排出が低減できる。
【0009】
【実施例】以下添付図面を用いて本発明の実施例を詳細
に説明するが、本発明の実施例には、キャニスタの大気
側の開口面積をベーパの圧力だけで機械的に制御する第
1の形態の内燃機関の蒸発燃料処理装置20と、キャニ
スタの大気側の開口面積を電気的に制御する第2の形態
の内燃機関の蒸発燃料処理装置30とがある。
【0010】図1は本発明の第1の実施例の構成を示す
ものであり、第1の形態の蒸発燃料処理装置20を備え
た電子制御式内燃機関1が概略的に示されている。図1
において、内燃機関1の吸気通路2にはスロットル弁1
8が設けられており、このスロットル弁18の軸には、
スロットル弁18の開度を検出するスロットル開度セン
サ19が設けられている。このスロットル開度センサ1
9の下流側の吸気通路2にはサージタンク3があり、こ
のサージタンク3内には吸気の圧力を検出する圧力セン
サ17が設けられている。更に、サージタンク3の下流
側には、各気筒毎に燃料供給系から加圧燃料を吸気ポー
トへ供給するための燃料噴射弁7が設けられている。
【0011】ディストリビュータ4には、その軸が例え
ばクランク角(CA)に換算して720 ゜CA毎に基準位置検出
用パルス信号を発生するクランク角センサ5及び30゜CA
毎に基準位置検出用パルス信号を発生するクランク角セ
ンサ6が設けられている。これらクランク角センサ5,
6のパルス信号は、燃料噴射時期の割込要求信号、点火
時期の基準タイミング信号、燃料噴射量演算制御の割込
要求信号等として作用する。これらの信号は制御回路1
0の入出力インタフェース102に供給され、このうち
クランク角センサ6の出力はCPU103の割込端子に
供給される。
【0012】また、内燃機関1のシリンダブロックの冷
却水通路8には、冷却水の温度を検出するための水温セ
ンサ9が設けられている。水温センサ9は冷却水の温度
THWに応じたアナログ電圧の電気信号を発生する。この
出力は制御回路10のA/D変換器101に供給されて
いる。排気マニホルド11より下流の排気系には、排気
ガス中の3つの有害成分HC,CO,NOxを同時に浄
化する三元触媒コンバータ12が設けられている。ま
た、排気マニホルド11の下流側であって、触媒コンバ
ータ12の上流側の排気パイプ14には、空燃比センサ
の一種であるO2 センサ13が設けられている。O2
ンサ13は排気ガス中の酸素成分濃度に応じて電気信号
を発生する。すなわち、O2 センサ13は空燃比が理論
空燃比に対してリッチ側かリーン側かに応じて、異なる
出力電圧を制御回路10の信号処理回路111を介して
A/D変換器101に供給する。また、入出力インタフ
ェース102には図示しないキースイッチのオン/オフ
信号が供給されるようになっている。
【0013】ここで、燃料タンク21から蒸発するペー
バが大気中に逃げるのを防止する蒸発燃料処理装置20
は、チャコールキャニスタ22、及び電気式パージ流量
制御弁(VSV)26を備えている。チャコールキャニ
スタ22は燃料タンク21の上底とベーパ捕集管25で
結ばれ、燃料タンク21から蒸発するベーパを吸着す
る。このベーパ捕集管25の途中には、燃料タンク21
内のベーパの圧力が所定圧以上になった時に開くタンク
内圧制御弁23が設けられている。この内圧制御弁23
にはスイッチが取り付けられており、内圧制御弁23の
開閉状況は入出力インタフェース102に入力されるよ
うになっている。VSV26は、チャコールキャニスタ
22に吸着されたベーパを吸気通路2のスロットル弁1
8の下流側に戻すベーパ還流管27の途中に設けられた
電磁開閉弁であり、制御回路10からの電気信号を受け
て開閉する。このVSV26は吸気通路2に流入させる
ベーパ量をデューティ制御することが可能である。
【0014】キャニスタ22には、ベーパ捕集管25に
接続するタンクポート31、ベーパ還流管27に接続す
るパージポート32、ベーパを吸着する活性炭33、お
よび大気ポート34が一般的に設けられている。そし
て、大気ポート34と活性炭33との間には大気室35
が設けられている。この実施例では、キャニスタ22の
大気室35に、大気ポート34とは別に流量制御弁40
が設けられている。
【0015】流量制御弁40はそのハウジング41内が
ダイアフラム42によってダイアフラム室43と第2大
気室44に仕切られており、ダイアフラム室43は密閉
され、第2大気室44はキャニスタ22の大気室35に
連通されている。そして、第2大気室44内には第2の
大気ポート45が設けられている。この第2の大気ポー
トの一端は大気に開放されているが、他方はダイアフラ
ム42によって封止されている。従って、第2の大気ポ
ート45は通常は第2大気室44を大気に開放しておら
ず、ダイアフラム42がダイアフラム室43側に移動し
た時だけ第2大気室44を大気に開放するようになって
いる。
【0016】以上のような構成において、図示しないキ
ースイッチがオンされると、制御回路10が通電されて
プログラムが起動し、各センサからの出力を取り込み、
燃料噴射弁7やその他のアクチュエータを制御する。制
御回路10は、例えばマイクロコンピュータを用いて構
成され、前述のA/D変換器101,入出力インタフェ
ース102,CPU103,信号処理回路111の他
に、ROM104,RAM105,キースイッチのオフ
後も情報の保持を行うバックアップRAM106,クロ
ック(CLK) 107等が設けられており、これらはバス1
13で相互に接続されている。この制御回路10におい
て、ダウンカウンタ, フリップフロップ, 及び駆動回路
を含む噴射制御回路110は燃料噴射弁7を制御するた
めのものである。
【0017】次に、以上のように構成された実施例の蒸
発燃料処理装置20におけるキャニスタ22の動作につ
いて説明する。燃料タンク21においてHCが発生し、
燃料タンク21内のベーパ(HCと空気の混合気体)の
圧力が高まると、ベーパはベーパ捕集管25に流れ出
し、内圧制御弁23を経てタンクポート31からキャニ
スタ22に入り、HCは活性炭33に吸着され、空気は
吸着されずに大気ポート34から大気に放出される。燃
料タンク21からのベーパ量が多くなり、大気ポート3
4からの放出では間に合わなくなると、キャニスタ22
の大気室35内の圧力が上昇する。大気圧室35内の圧
力が上昇すると、第2大気室44内の圧力も上昇し、ダ
イアフラム42をダイアフラム室43側に移動させる。
すると、第2の大気ポート45が大気に連通するので、
キャニスタ22の大気室35内の空気は第2大気室44
と第2の大気ポート45を通じて大気に放出されるの
で、大気室35内の圧力が低下して圧力の上昇がなくな
る。
【0018】従って、燃料タンク21内の圧力は、キャ
ニスタ22の流量制御弁40の流量特性を調整すること
により、所定の圧力に抑えることができる。図2は流量
制御弁40のダイアフラム42の前後差圧に対する流量
特性を示すものである。ダイアフラム42の前後差圧が
大きくなると、つまり、燃料タンク21の内圧が高くな
ると、流量制御弁40の流量は多くなる特性をもってい
る。従って、燃料タンク21内の内圧が上昇した場合
は、その圧力に応じて流量制御弁40を流れる流量が増
大するので、燃料タンク21の内圧の上昇を抑えること
ができる。
【0019】図3はキャニスタ22内を流れるベーパの
流量を、車両の運転状態と共に比較して示すものであ
る。この図から分かるように、キャニスタ22内を流れ
るベーパの流量は、給油時が最も多く、次がパージ中で
あり、駐車時と走行時のベーパの2つは小さい。前述の
実施例の内燃機関の蒸発燃料処理装置20によれば、給
油時には燃料タンク21の圧力が上昇すると第2の大気
ポート45が大気に開放されるので、従来から備えられ
ている大気孔34と合わせてキャニスタ22から空気を
十分速く逃がすことができ、キャニスタ22内を流れる
ベーパ量の増大に対応することができる。
【0020】図4は本発明の第2の実施例の構成を示す
ものであり、第1の形態の蒸発燃料処理装置20におい
て使用されるキャニスタ22の構成を示している。この
実施例では、第1の実施例のキャニスタ22と同じ構成
部材には同じ符号を付してその説明を省略する。第2の
実施例のキャニスタ22が、第1の実施例のキャニスタ
22と異なる点は、大気ポート34の下流側にバッファ
キャニスタ24が接続されている点である。このため、
第1の実施例における流量制御弁40に設けられた第2
の大気ポート45もバッファキャニスタ24に接続され
ている。流量制御弁40の構造は第1の実施例と同じで
ある。バッファキャニスタ24の内部にも活性炭36が
設けられており、バッファキャニスタ24の大気開放側
には断面積の大きな第3の大気ポート37が設けられて
いる。
【0021】この実施例の内燃機関の蒸発燃料処理装置
ではキャニスタ22の大気ポート34が絞られているの
でHCの拡散が少なく、HCの大気への漏れが少ない。
活性炭33中のベーパの拡散速度は非常にゆっくりであ
り、また、拡散が問題となるのは車両の停車中である
が、このときにはベーパの流量も少なく、燃料タンク2
1内の圧力上昇が少ないので、空気は大気ポート34か
らバッファキャニスタ24に入り、第3の大気ポート3
7から大気に放出される。車両の走行中や給油中のよう
に、燃料タンク21からキャニスタ22に入るベーパ量
が多くなると、大気ポート34の流量抵抗のために大気
室35内の圧力が上昇し、流量制御弁40のダイアフラ
ム42を押し下げる。この結果、大気室35内の空気が
流量制御弁40を通過してバッファキャニスタ24に入
り、第3の大気ポート37から大気に放出される。この
結果、キャニスタ22の大気室35、即ち、燃料タンク
21の内圧が低下する。
【0022】図5は第2の実施例における流量制御弁4
0のダイアフラム42の前後差圧に対する流量特性を示
すものである。この実施例でもダイアフラム42の前後
差圧が大きくなると、つまり、燃料タンク21の内圧が
高くなると、流量制御弁40の流量は多くなる特性をも
っている。従って、この図から燃料タンク21内の内圧
が上昇した場合は、その圧力に応じて流量制御弁40を
流れる流量が増大するので、燃料タンク21の内圧の上
昇を抑えることができることが分かる。
【0023】図6は本発明の第3の実施例の構成を示す
ものであり、第2の形態の蒸発燃料処理装置30を備え
た電子制御式内燃機関1が概略的に示されている。な
お、図6に示す構成部材は図1において説明した構成部
材と共通する部分が多いので、第1の実施例と同じ構成
部材には同じ符号を付してその説明を省略し、異なる部
分のみを説明する。
【0024】第3の実施例には、第2の実施例と同様
に、キャニスタ22の大気開放側にバッファキャニスタ
24が設けられている。第2の実施例では、バッファキ
ャニスタ24は絞られた大気ポート34と流量制御弁4
0の第2の大気ポート45を介して接続されていたが、
この実施例のバッファキャニスタ24は、断面積の大き
な連絡管38を通じてキャニスタ22に接続されてい
る。そして、この連絡管38の途中には弁の開度によっ
て連絡管38を流れる空気量を調節することができる流
量制御弁である電磁開閉弁50が設けられている。この
電磁開閉弁50としては、公知のデューティ制御VS
V、リニアソレノイド弁、ロータリーバルブ等を使用す
ることができる。
【0025】この電磁開閉弁50の弁の開度は、電磁弁
制御装置60からの制御信号によって制御される。電磁
弁制御装置60には燃料タンク21に設けられた内圧セ
ンサ28からの圧力検出信号、図示しない車両の運転席
近傍にある燃料タンク21の蓋(リッド)を開けるため
のリッドオープナ15に設けられた給油検出スイッチ1
6からの給油信号、および制御回路10からの吸気温度
信号、運転時間信号や、イグナイタスイッチ信号等が入
力される。このため、制御回路10には図示しないイグ
ナイタや吸気温センサからの信号が入力されている。
【0026】図7は、図6に示した電磁弁制御装置60
の電磁開閉弁50の開度制御手順の一例を示すフローチ
ャートである。ステップ701では制御回路10から入
力される大気温度tを読み込み、続くステップ702で
は給油中か否かを給油検出スイッチ16からの給油信号
によって判定する。給油中でない場合はステップ704
に進み、給油中である場合はステップ703において給
油時のベーパ量Vfの演算を行う。給油時のベーパ量V
fの演算は、図9(b) に示す車両の運転状態をパラメー
タとした気温−ベーパ量特性の線図の符号f(給油中の
特性)で示す特性を補間することによって求めることが
できる。ステップ703において給油時のベーパ量Vf
を補間演算によって求めた後はステップ708に進み、
給油時の電磁開閉弁の開度Tを、図9(c)に示すベーパ
発生量と電磁開閉弁開度の特性を補間することによって
求める。
【0027】一方、ステップ702において給油中でな
いと判定した時はステップ704に進み、車両が走行中
か否かを判定する。車両が走行中でない場合はステップ
706に進み、走行中の場合はステップ705に進んで
車両走行時のベーパ量Vrの演算を行う。走行時のベー
パ量Vrの演算は、図9(b) に示す車両の運転状態をパ
ラメータとした気温−ベーパ量特性の線図の符号r(走
行中の特性)で示す特性を補間することによって求める
ことができる。ステップ705において走行時のベーパ
量Vrを補間演算によって求めた後はステップ708に
進み、走行時の電磁開閉弁の開度Tを、図9(c) に示す
ベーパ発生量と電磁開閉弁開度の特性を補間することに
よって求める。
【0028】更に、ステップ704において走行中でな
いと判定した時はステップ706に進み、車両が駐車中
か否かを判定する。車両が駐車中でない場合はステップ
708に進み、大気温度tに応じた電磁開閉弁50の開
度Tを演算する。ステップ708に進む場合は車両が停
車中のアイドリング時等である。また、駐車中の場合は
ステップ707に進んで車両駐車時のベーパ量Vpの演
算を行う。駐車時のベーパ量Vpの演算は、図9(b) に
示す車両の運転状態をパラメータとした気温−ベーパ量
特性の線図の符号p(駐車中の特性)で示す特性を補間
することによって求めることができる。ステップ707
において駐車時のベーパ量Vpを補間演算によって求め
後はステップ708に進み、駐車時の電磁開閉弁50
の開度Tを、図9(c) に示すベーパ発生量と電磁開閉弁
開度の特性を補間することによって求める。
【0029】なお、電磁開閉弁50の開度Tは、燃料タ
ンク21の内圧が所定圧力範囲内に入るようにベーパ量
と電磁開閉弁の開度を予め測定しておき、データベース
として電磁弁制御装置60の中のメモリに記憶しておけ
ば良い。なお、ベーパ量は、燃料温度、ベーパ温度等の
パラメータを使用しても求めることができる。以上のよ
うにベーパ量に応じて電磁開閉弁50の開度Tを制御す
ることにより、精密にベーパの流量制御ができるので、
燃料タンク21の内圧がタンク強度、給油性能を満足す
る範囲内で最大になるように流量を絞ることができる。
このため、キャニスタ22を流れるベーパの流速が遅く
なるので、キャニスタ22の吸着能力(WC)が向上す
る。図9(a) はこのベーパ流速とキャニスタ22の吸着
能力との関係を示すものである。この図から分かるよう
に、ベーパの流速が遅いほど、キャニスタの吸着能力が
向上する。
【0030】図8は図7で説明した電磁弁制御装置60
の電磁開閉弁50の開度制御手順の他の例を示すフロー
チャートである。ステップ801では制御回路10から
入力される大気温度tを読み込み、続くステップ802
では大気温度tに基づいたベーパ発生量で電磁開閉弁5
0の基本開度Tを演算する。電磁開閉弁50の基本開度
Tは、図9(c) に示すベーパ発生量と電磁開閉弁開度の
特性を補間することによって求める。
【0031】そして、ステップ803において給油中か
否かを給油検出スイッチ16からの給油信号によって判
定する。給油中でない場合はステップ806に進み、給
油中である場合はステップ804において給油時のベー
パ量Vfの演算を行う。給油時のベーパ量Vfの演算
は、図9(b) の気温−ベーパ量特性の線図の符号f(給
油中の特性)で示す特性を補間して求める。そして、続
くステップ805において、補間演算した給油時のベー
パ量Vfに応じて電磁開閉弁50の開度Tの増量係数K
を演算してステップ812に進む。
【0032】一方、ステップ803において給油中でな
いと判定した時はステップ806に進み、車両が走行中
か否かを判定する。車両が走行中でない場合はステップ
809に進み、走行中の場合はステップ807に進んで
車両走行時のベーパ量Vrの演算を行う。走行時のベー
パ量Vrの演算は、図9(b) に示す車両の運転状態をパ
ラメータとした気温−ベーパ量特性の線図の符号r(走
行中の特性)で示す特性を補間することによって求め
る。ステップ807において走行時のベーパ量を演算に
よって求めた後はステップ808に進み、補間演算した
走行時のベーパ量Vrに応じて電磁開閉弁50の開度T
の増量係数Kを演算してステップ812に進む。
【0033】更に、ステップ806において走行中でな
いと判定した時はステップ809に進み、車両が駐車中
か否かを判定する。車両が駐車中でない場合はステップ
812に進み、駐車中の場合はステップ810に進んで
車両走行時のベーパ量Vpの演算を行う。駐車時のベー
パ量Vpの演算は、図9(b) に示す車両の運転状態をパ
ラメータとした気温−ベーパ量特性の線図の符号p(駐
車中の特性)で示す特性を補間することによって求め
る。ステップ810において駐車時のベーパ量Vpを補
間演算によって求め後はステップ811に進み、駐車
時の電磁開閉弁50の開度T増量係数Kを演算してステ
ップ812に進む。
【0034】以上のようにして、車両の運転状態に応じ
た電磁開閉弁50の開度Tの増量係数Kを演算した後
は、ステップ802において演算された電磁開閉弁50
の基本開度Tをステップ812でT=T×Kによって補
正する。この増量係数Kは1以上の数であり、ステップ
805,808,および811で演算されない時は1で
ある。
【0035】この実施例では、電磁開閉弁50の開度T
の増量係数Kは、燃料タンク21の内圧が所定圧力範囲
内に入るようにベーパ量と電磁開閉弁の開度を予め測定
しておき、データベースとして電磁弁制御装置60の中
のメモリに記憶しておけば良い。このような方法によっ
ても、ベーパ量に応じて電磁開閉弁50の開度Tを制御
でき、精密にベーパの流量制御ができるので、燃料タン
ク21の内圧がタンク強度、給油性能を満足する範囲内
で最大になるように流量を絞ることができ、キャニスタ
22の吸着能力(WC)が向上する。
【0036】図10は本発明の第4の実施例の構成を示
すものであり、第2の形態の蒸発燃料処理装置30の要
部の構成を示している。この実施例では内燃機関1の図
示は省略し、既出の構成部材と同じ構成部材には同じ符
号を付してある。この実施例では、電磁弁制御装置60
は、燃料タンク21に設けられた内圧センサ28からの
タンク内圧検出信号に応じて電磁開閉弁50の開度をフ
ィードバック制御するようになっている。即ち、電磁弁
制御装置60は、内圧センサ28によって検出されたタ
ンク内圧が高い時には電磁開閉弁50の開度を大きくす
ることによって、燃料タンク21の内圧が一定になるよ
うに制御する。この制御手順を図11のフローチャート
を用いて説明する。
【0037】ステップ1101ではまず、内圧センサ2
8によって検出されたタンク内圧Pを読み込む。続くス
テップ1102では、読み込んだ内圧Pが燃料タンク2
1の基準内圧値Poより大きいか否かを判定する。そし
て、P>Poの場合はステップ1103に進んで流量制
御弁50の開度Tを所定開度ΔTだけ増大させる。一
方、ステップ1102においてP≦Poの場合はステッ
プ1104に進み、流量制御弁50の開度Tを所定開度
ΔTだけ減少させる。このように、タンク内圧Pをフィ
ードバック制御することにより、燃料タンク21の内圧
は常に基準値に保たれる。
【0038】図12は本発明の第5の実施例の構成を示
すものであり、第2の形態の蒸発燃料処理装置30の要
部の構成を示している。この実施例では内燃機関1の図
示は省略し、既出の構成部材と同じ構成部材には同じ符
号を付してある。この実施例では、電磁弁制御装置60
には、燃料タンク21に設けられた内圧センサ28から
の圧力検出信号、図示しない車両の運転席近傍にある燃
料タンク21の蓋(リッド)を開けるためのリッドオー
プナ15に設けられた給油検出スイッチ16からの給油
信号、および制御回路10からの吸気温度信号、運転時
間信号や、イグナイタスイッチ信号等の運転状態パラメ
ータが入力される。
【0039】第5の実施例は、第4の実施例におけるフ
ィードバック制御の給油時の制御遅れを少なくするよう
にしたものである。つまり、給油時のベーパ量は駐車中
や走行中に比べて非常に多いので、第4の実施例のよう
に、燃料タンク21に設けられた内圧センサ28からの
タンク内圧検出信号に応じて電磁開閉弁50の開度をフ
ィードバック制御するのでは、制御の遅れにより燃料タ
ンク21の内圧がオーバーシュートし、所定圧力を大き
く越える場合がある。
【0040】第5の実施例はこの制御遅れを防ぐための
ものであり、この制御手順を図13のフローチャートを
用いて説明する。なお、この実施例では、電磁開閉弁5
0は内圧センサ28以外に、給油信号、気温等によって
制御される。ステップ1300ではまず、内圧センサ2
8によって検出されたタンク内圧Ptを読み込む。続く
ステップ1301では給油状態か否かを判定する。ステ
ップ1301で給油状態と判定した場合はステップ13
02に進んで給油継続中か否かを判定し、給油状態でな
いと判定した場合はステップ1308に進んで車両が走
行中か否かを判定する。
【0041】まず、給油状態の場合について説明する。
ステップ1301で給油状態と判定した場合はステップ
1302において給油継続中か否かを判定する。ステッ
プ1302において給油継続中でないと判定した状態
は、給油開始直後を示している。この時はステップ13
03に進んで気温を読み込み、続くステップ1304で
気温に応じた流量制御弁50の給油時の初期開度Tを演
算する。この初期開度Tは電磁弁制御装置60のメモリ
に記憶させた図14に示す気温−開度特性を補間するこ
とによって求めることができる。
【0042】このようにして、流量制御弁50の給油時
の初期開度Tが演算された後は、次にステップ1302
に進んで来た時には給油継続中であると判定され、ステ
ップ1305に進む。ステップ1305ではステップ1
300で検出したタンク内圧Ptの、給油時の目標内圧
Pfとの大小を判定し、Pt>Pfの場合はステップ1
306で流量制御弁50の開度Tを所定開度ΔTfだけ
増大させ、Pt≦Pfの場合はステップ1307で開度
Tを所定開度ΔTfだけ減少させるフィードバック制御
を行う。
【0043】次に、走行中の場合について説明する。車
両が走行中の場合はステップ1301で給油状態でない
と判定し、ステップ1308で走行中であると判定して
ステップ1309に進む。ステップ1309ではステッ
プ1300で検出したタンク内圧Ptの、走行時の目標
内圧Prとの大小を判定し、Pt>Prの場合はステッ
プ1310で流量制御弁50の開度Tを所定開度ΔTr
だけ増大させ、Pt≦Prの場合はステップ1311で
開度Tを所定開度ΔTrだけ減少させるフィードバック
制御を行う。
【0044】最後に給油状態でない駐車中の場合につい
て説明する。この場合はステップ1301で給油状態で
ないと判定し、ステップ1308で走行中でないと判定
してステップ1312に進む。ステップ1312ではス
テップ1300で検出したタンク内圧Ptの、駐車時の
目標内圧Ppとの大小を判定し、Pt>Ppの場合はス
テップ1313で流量制御弁50の開度Tを所定開度Δ
Tpだけ増大させ、Pt≦Ppの場合はステップ131
4で開度Tを所定開度ΔTpだけ減少させるフィードバ
ック制御を行う。
【0045】このように、第5の実施例では、燃料タン
ク21の内圧が駐車中、走行中のそれぞれの目標内圧に
フィードバック制御することができ、給油時は制御遅れ
なく給油時の目標内圧に制御することができる。図15
は本発明の第6の実施例の構成を示すものであり、第2
の形態の蒸発燃料処理装置30の要部の構成を示してい
る。この実施例では内燃機関1の図示は省略し、既出の
構成部材と同じ構成部材には同じ符号を付してある。
【0046】この実施例では車両の駐車中のベーパ流量
は、図3で説明したように非常に小さいので、駐車中の
ベーパ量は一定と考えて流量制御弁50の開度Tを一定
にするように制御している点が前述の実施例と異なる。
従って、この実施例では流量制御弁50のベーパ量に応
じた開度制御は給油時と、走行時のみについて行う。そ
して、この給油時と、走行時の流量制御弁50のベーパ
量に応じた開度制御については既に前述の実施例におい
て説明したので、この実施例ではその説明を省略し、駐
車時のみの制御について説明する。
【0047】第6の実施例の電磁弁制御装置60には、
図示しない燃料タンクに設けられた内圧センサからの圧
力検出信号、図示しない車両の運転席近傍にある燃料タ
ンクの蓋(リッド)を開けるためのリッドオープナ15
に設けられた給油検出スイッチ16からの給油信号、お
よび制御回路10からの吸気温度信号、運転時間信号
や、イグナイタスイッチ信号等の運転状態パラメータが
入力される他に、車両のイグニッションスイッチ29の
オンオフ信号が入力されるようになっている。給油検出
スイッチ16とイグニッションスイッチ29は共に、車
両に搭載されたバッテリ39に接続されている。
【0048】そして、この実施例では、電磁弁制御装置
60は、リッドオープナ15が開かれるか、イグニッシ
ョンスイッチ29がオンとなった時にバッテリ39に接
続されるので、この時に電磁開閉弁50の開度を制御し
てタンクの内圧を所定値以内に抑えるように動作する。
一方、この実施例では、車両の駐車時で給油中でない時
には給油検出スイッチ16がオフ状態にあるので、イグ
ニッションスイッチ29がオフされると、電磁弁制御装
置60がバッテリ39に接続されなくなり、電磁弁制御
装置60の電源がオフになる。この実施例では、電磁弁
制御装置60の電源がオフになった時の電磁開閉弁50
の開度が図16(a) に示すように所定開度Mになるよう
に設定されている。
【0049】従って、この実施例ではイグニッションス
イッチ29がオフされた時には電磁弁制御装置60への
通電が絶たれるが、電磁開閉弁50は所定開度Mに保持
されるので、燃料タンク内圧は所定値に抑えられる。ま
た、このときは電磁弁制御装置60がオフ状態であるの
で、バッテリ39の電源負荷が低減できる。更に、この
実施例ではキャニスタ22のチェックのために、イグニ
ッションスイッチ29がオンされた直後に、一度電磁開
閉弁50の開度を0にしている。なお、電磁開閉弁50
の開度特性としては、図16(b) に示すように、電磁弁
制御装置60の電源がオフになった時の電磁開閉弁50
の開度を所定開度Nになるように設定し、電圧の上昇と
共にこの開度を直線的に増大させるような設定でも良
い。一般的にはベーパ発生量は駐車時が最も小さいの
で、駐車中の電磁開閉弁50の開度を最小になるように
設定すれば良い。
【0050】図17は本発明の第7の実施例の構成を示
すものであり、第1の形態の蒸発燃料処理装置20にお
けるキャニスタ22の構成を示している。この実施例で
も既出の構成部材と同じ構成部材には同じ符号を付して
ある。第7の実施例のキャニスタ22には、図17(a)
に示すように、ベーパ捕集管25に接続するタンクポー
ト31、ベーパ還流管27に接続するパージポート3
2、ベーパを吸着する活性炭33、および大気ポート3
4が一般的に設けられている。そして、大気ポート34
と活性炭33との間には大気室35が設けられている。
この実施例では、キャニスタ22の大気室35内に、流
量制御弁として機能するベーパ経路分割弁70が設けら
れている。この実施例のキャニスタ22では、ベーパ経
路分割弁70が水平面に対して垂直の方向に設けられて
いる。
【0051】図17(b) はこのベーパ経路分割弁70を
取り出し、その中央部分で縦に2つに分割してその構造
を示すものである。ベーパ経路分割弁70は、図17
(b) に示すように、大気室35内を水平面に対して垂直
な方向に仕切る仕切板71を備えており、この仕切板7
1には水平方向に平行に延びた2ヵ所の凹部72が設け
られている。各凹部72の水平方向には仕切板71に垂
直な側壁73が形成されており、各側壁73の端部と各
凹部72の上端部との間は斜面74で接続されている。
そして、各凹部72の長手方向の両端部は、仕切板71
に垂直な三角形状の側壁75で塞がれている。また、各
斜面74には窓76が穿設されており、各凹部72の裏
面側の窓76の周囲には開閉弁77が設けられている。
【0052】開閉弁77はゴムまたは樹脂等の軽量の材
質で形成された板状のものであり、窓76の寸法よりも
大きく、各窓76の上縁部側の斜面74の裏側にこの開
閉弁77の一辺が固着されている。従って、この開閉弁
77は、通常の状態では斜面74の裏面に自重で張りつ
いており、各窓76を裏面側から封止している。また、
仕切板71の所定箇所には、小さな通気孔78が少なく
とも1個穿設されている。この実施例では通気孔78は
4ヵ所に設けられており、4つの通気孔78の合計の断
面積は、図1で説明した従来のキャニスタ22に設けら
れる大気ポート34の断面積にほぼ等しくなっている。
更に、仕切板71の裏面側には、凹部72の裏面に取り
付けられた開閉弁77を保護するためのカバー80が設
けられており、このカバー80には複数個の通気孔79
が穿設されている。
【0053】以上のように構成されたベーパ経路分割弁
70を備えたキャニスタ22では、燃料タンクにおける
ベーパの発生が少ない時には、HCが活性炭33に吸着
された空気は仕切板71に穿設された通気孔78を通っ
て大気ポート34から大気中に放出される。一方、燃料
タンクからのベーパ量が多くなり、通気孔78からの空
気の放出が間に合わなくなると、キャニスタ22のベー
パ経路分割弁70の上流側の大気室35内の圧力が上昇
する。大気圧室35内の圧力が上昇すると、この圧力で
開閉弁77が押されて凹部72の裏面側から図17(a)
に点線で示すように離れ、窓76が開口する。すると、
この窓76を通じてキャニスタ22のベーパ経路分割弁
70の上流側の大気室35が大気に連通するので、キャ
ニスタ22の大気室35内の空気は、点線で示すように
窓76と大気ポート34を通じて大気に放出され、大気
室35内の圧力が低下して圧力の上昇がなくなる。大気
室35内の圧力が低下すると、開閉弁77は自重で再び
凹部72の裏面側に張りつき、窓76を封止する。従っ
て、この実施例でも燃料タンク内の圧力を所定の圧力に
抑えることができる。
【0054】図18は本発明の第7の実施例の変形実施
例のキャニスタ22の構造を示す断面図である。この実
施例ではキャニスタ内に上下に分割された活性炭33
A,33Bがあり、これらの活性炭33A,33Bは中
継室46によって接続されている。そして、活性炭33
Bの大気側に図17で説明したベーパ経路分割弁70が
設けられている。また、ベーパ経路分割弁70と大気ポ
ート34との間にはバッファ活性炭47が設けられてい
る。
【0055】この変形例のキャニスタ22では、給油時
以外はベーパ経路分割弁70の通気孔78を通じて空気
が大気側に放出され、バッファ活性炭47がバッファキ
ャニスタの役目を果たす。従って、パージ時に大気側の
バッファ活性炭47と活性炭33Bから優先的にパージ
が行われ、常にクリーンな状態が保持され、かつ、ベー
パ吸着時において大気側のバッファ活性炭47と活性炭
33Bとは小さな通気孔78でしか連絡されていないの
で、ベーパ拡散が発生しにくい。よって、新たにベーパ
吸着をしても、大気ポート34よりベーパの吹き抜けを
防止することができる。
【0056】更に、給油時においては、ベーパ経路分割
弁70の開閉弁77がベーパの圧力で開き、開口面積の
大きなベーパ経路を確保するため、通気抵抗を増大させ
ることなく僅かなHCを含むベーパが常にクリーンに保
持されているバッファ活性炭47に流れ、HC吸着後の
クリーンな空気のみを大気に放出する。よって、給油時
においてもキャニスタ22のベーパ吸着能力を向上させ
ることができる。
【0057】なお、このベーパ経路分割弁70のキャニ
スタ22内における設置位置は、吹き抜け性能上のバッ
ファ活性炭47の容量にて決まり、中継室46から大気
ポート34までの間のキャニスタ内に適宜設置すること
ができる。
【0058】
【発明の効果】以上2つの形態を用いて説明したよう
に、本発明の内燃機関の蒸発燃料処理装置によれば、燃
料タンク内のベーパ濃度が低い場合には、キャニスタの
大気開口面積が小さく抑えられるので大気へのHCの排
出量を抑えることができ、燃料タンク内のベーパ濃度が
高い場合には、キャニスタの大気開口面積を大きくして
キャニスタ内の吸着部材の前後差圧を増大させることな
く大量のベーパに含まれるHCを吸着することができる
ので、ベーパの大気への排出低減と、燃料タンク内の過
度の圧力上昇防止とを両立させることができるという効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の内燃機関の蒸発燃料処
理装置を内燃機関と共に示す全体構成図である。
【図2】流量制御弁のダイアフラムの前後差圧と流量制
御弁の流量特性を示す線図である。
【図3】車両の運転状態とキャニスタ流量との関係を示
す説明図である。
【図4】本発明の第2の実施例の内燃機関の蒸発燃料処
理装置において使用されるキャニスタの構成を示す断面
図である。
【図5】図4のキャニスタにおける活性炭の前後差圧と
燃料蒸気の流量特性を示す線図である。
【図6】本発明の第3の実施例の内燃機関の蒸発燃料処
理装置を内燃機関と共に示す全体構成図である。
【図7】図6の内燃機関の蒸発燃料処理装置における電
磁開閉弁の開度制御手順の一例を示すフローチャートで
ある。
【図8】図7のフローチャートの変形実施例のフローチ
ャートである。
【図9】(a) はキャニスタにおけるベーパ流速とキャニ
スタの稼働効率との関係を示す線図、(b) は気温とベー
パ流量との関係を示す線図、(c) はベーパ発生量と電磁
開閉弁の開度の関係を示す線図である。
【図10】本発明の第4の実施例の内燃機関の蒸発燃料
処理装置の構成を示す構成図である。
【図11】図10の内燃機関の蒸発燃料処理装置におけ
る電磁開閉弁の開度の制御手順を示すフローテャートで
ある。
【図12】本発明の第5の実施例の内燃機関の蒸発燃料
処理装置の構成を示す構成図である。
【図13】図12の電磁開閉弁の動作手順を示すフロー
チャートである。
【図14】図12のフローチャートにおける給油時の開
度の初期値を気温に応じて決める際の気温と電磁開閉弁
の開度との関係を示す線図である。
【図15】本発明の第6の実施例の内燃機関の蒸発燃料
処理装置の構成を示す構成図である。
【図16】(a) は第6の実施例における電磁開閉弁の電
圧と開度との関係の一例を示す線図、(b) は第6の実施
例における電磁開閉弁の電圧と開度との関係の別の例を
示す線図である。
【図17】(a) は本発明の第7の実施例の内燃機関の蒸
発燃料処理装置の構成を示す構成図、(b) は(a) に示し
たキャニスタに内蔵された流量調節弁の構成の詳細を、
流量調節弁を縦方向に2つに割って示す斜視図である。
【図18】本発明の第7の実施例の変形実施例のキャニ
スタの構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1…内燃機関 2…吸気通路 10…制御回路 15…リッドオープナ 16…給油検出スイッチ 20…第1の形態の蒸発燃料処理装置 21…燃料タンク 22…キャニスタ 23…流量スイッチ 24…バッファキャニスタ 25…ベーパ捕集管 26…電気式パージ流量制御弁(VSV) 27…パージ通路 (ベーパ還流管) 28…内圧センサ 29…イグニッションスイッチ 30…第2の形態の蒸発燃料処理装置 31…タンクポート 32…パージポート 33…活性炭 34…大気ポート 35…大気室 36…活性炭 37…第3の大気ポート 38…連絡管 40…流量制御弁 41…ハウジング 42…ダイアフラム 43…ダイアフラム室 44…第2大気室 45…第2大気ポート 46…中継室 47…バッファ活性炭 50…電磁開閉弁 60…電磁弁制御装置 70…ベーパ経路分割弁 71…仕切板 74…斜面 76…窓 77…開閉弁 78…通気孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−151022(JP,A) 特開 平7−27025(JP,A) 実開 平4−42258(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 25/08 311 F02M 25/08 F02M 37/00 301

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料タンクで発生した蒸発燃料が大気に
    放出されないように吸着し、機関稼働時に吸着した蒸発
    燃料を機関の吸気通路に戻すように機能する内燃機関の
    蒸発燃料処理装置であって、 前記燃料タンクからのベーパが流入するタンクポートと
    前記吸気通路にベーパを排出するパージポート、および
    大気に連通する大気ポートとを備えており、前記タンク
    ポートとパージポートと、前記大気ポートとの間に吸着
    部材が内蔵されたキャニスタと、 このキャニスタの大気ポート側の所定部位に設けられ
    て、このキャニスタの大気開放面積を弁の開度によって
    変更する電磁開閉弁と、この電磁開閉弁の開度を制御する制御手段、及び、 前記燃料タンクの内圧を検出し、検出値を前記制御手段
    に入力する内圧検出センサ とを備え、前記制御手段は燃料タンクの内圧の検出値に応じて、こ
    の内圧が所定値になるように前記電磁開閉弁をフィード
    バック制御すると共に、前記燃料タンクへの給油状態を
    検出した時には、前記電磁開閉弁の開度が所定値となる
    ように前記電磁開閉弁を制御する ことを特徴とする内燃
    機関の蒸発燃料処理装置。
  2. 【請求項2】 燃料タンクで発生した蒸発燃料が大気に
    放出されないように吸着し、機関稼働時に吸着した蒸発
    燃料を機関の吸気通路に戻すように機能する内燃機関の
    蒸発燃料処理装置であって、 前記燃料タンクからのベーパが流入するタンクポートと
    前記吸気通路にベーパを排出するパージポート、および
    大気に連通する大気ポートとを備えており、前記タンク
    ポートとパージポートと、前記大気ポートとの間に吸着
    部材が内蔵されたキャニスタと、 このキャニスタの大気ポート側の所定部位に設けられ
    て、このキャニスタの大気開放面積を弁の開度によって
    変更する電磁開閉弁と、 この電磁開閉弁の開度を制御する制御手段、及び、 前記燃料タンクからのベーパ量を演算するベーパ量演算
    手段とを備え、 前記制御手段は演算されたベーパ量に基づいて前記電磁
    開閉弁の弁の開度制御 することを特徴とする内燃機関の
    蒸発燃料処理装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の内燃機関の蒸発燃料処
    理装置であって、前記制御手段には前記燃料タンクへの給油を判断する給
    油検出手段が接続されており、 前記制御手段が給油中であることを検出した場合には、
    前記電磁開閉弁の弁の開度を大きくする ことを特徴とす
    る内燃機関の蒸発燃料処理装置。
  4. 【請求項4】 請求項1から3の何れか1項に記載の内
    燃機関の蒸発燃料処理装置であって、前記電磁開閉弁 は非通電時に所定開度Aを有するように
    構成され、前記制御手段は機関停止かつ非給油時に前記
    電磁開閉弁に対して非通電とすることを特徴とする内燃
    機関の蒸発燃料処理装置。
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