JP3266727B2 - 磁性体の応力測定方法 - Google Patents
磁性体の応力測定方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁性体の応力測定方法、
特に、磁性体の応力−磁気特性を利用してその磁性体の
応力を測定する方法の改良に関する。
特に、磁性体の応力−磁気特性を利用してその磁性体の
応力を測定する方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種応力測定方法としては、出
力信号における磁性体の応力情報を含む高調波成分の分
布変化、即ち、2種類の高調波成分の出力比を測定値と
する方法が知られている(特開昭61−201126号
公報参照)。
力信号における磁性体の応力情報を含む高調波成分の分
布変化、即ち、2種類の高調波成分の出力比を測定値と
する方法が知られている(特開昭61−201126号
公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来法に
よると、前記出力比が応力変化に対して一つのピークを
持つ曲線を描くように変化するため、ピーク値の両側で
は磁性体の応力が異なるにも拘らず同一出力比が測定さ
れることがあり、正確さに欠ける、という問題がある。
よると、前記出力比が応力変化に対して一つのピークを
持つ曲線を描くように変化するため、ピーク値の両側で
は磁性体の応力が異なるにも拘らず同一出力比が測定さ
れることがあり、正確さに欠ける、という問題がある。
【0004】本発明は前記に鑑み、磁性体の応力を、そ
の応力情報を含む高調波成分の実効値またはひずみ率、
したがって量として検知することにより正確な応力測定
を行うことのできる前記応力測定方法を提供することを
目的とする。
の応力情報を含む高調波成分の実効値またはひずみ率、
したがって量として検知することにより正確な応力測定
を行うことのできる前記応力測定方法を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る磁性体の応
力測定方法は、励磁コイルを用いて測定対象である磁性
体に、その磁性体の保磁力を超える交流磁界を付与し
て、検知コイルに前記磁性体を介し交流起電力を誘起さ
せ、その交流起電力の波形において、前記磁性体の応力
情報を含む高調波成分として第3,第5,第7および第
9調波成分を選定し、それら第3,第5,第7および第
9調波成分の実効値E 3 ,E 5 ,E 7 ,E 9 の和である
実効値Ev1を測定量とすることを特徴とする。
力測定方法は、励磁コイルを用いて測定対象である磁性
体に、その磁性体の保磁力を超える交流磁界を付与し
て、検知コイルに前記磁性体を介し交流起電力を誘起さ
せ、その交流起電力の波形において、前記磁性体の応力
情報を含む高調波成分として第3,第5,第7および第
9調波成分を選定し、それら第3,第5,第7および第
9調波成分の実効値E 3 ,E 5 ,E 7 ,E 9 の和である
実効値Ev1を測定量とすることを特徴とする。
【0006】本発明に係る磁性体の応力測定方法は、励
磁コイルを用いて測定対象である磁性体に、その磁性体
の保磁力を超える交流磁界を付与して、検知コイルに前
記磁性体を介し交流起電力を誘起させ、その交流起電力
の波形において、前記磁性体の応力情報を含む一つ以上
の高調波成分のひずみ率Kを測定量とすることを特徴と
する。
磁コイルを用いて測定対象である磁性体に、その磁性体
の保磁力を超える交流磁界を付与して、検知コイルに前
記磁性体を介し交流起電力を誘起させ、その交流起電力
の波形において、前記磁性体の応力情報を含む一つ以上
の高調波成分のひずみ率Kを測定量とすることを特徴と
する。
【0007】
【作用】前記のように実効値Ev1またはひずみ率Kを
測定量とすると、磁性体の応力を高精度で測定すること
ができ、したがって微小応力変化を正確に検知すること
ができる。
測定量とすると、磁性体の応力を高精度で測定すること
ができ、したがって微小応力変化を正確に検知すること
ができる。
【0008】
【実施例】先ず、本発明に係る応力測定方法の原理につ
いて説明する。
いて説明する。
【0009】図1において、発振器1に接続された励磁
コイル2と、検知コイル3とに磁性体としての軟磁性金
属線4が挿通され、その金属線4には所定の引張り荷重
が付与される。
コイル2と、検知コイル3とに磁性体としての軟磁性金
属線4が挿通され、その金属線4には所定の引張り荷重
が付与される。
【0010】発振器1を作動させて励磁コイル2により
金属線4に、その金属線4の保磁力Hcを超える、直流
磁界成分を含まない交流磁界Hを付与すると、検知コイ
ル3には金属線4を介し正負対称の交流起電力V2 が誘
起される。
金属線4に、その金属線4の保磁力Hcを超える、直流
磁界成分を含まない交流磁界Hを付与すると、検知コイ
ル3には金属線4を介し正負対称の交流起電力V2 が誘
起される。
【0011】ここで、交流起電力V2 は[数1]に示す
ように、
ように、
【0012】
【数1】 と表わされる。ただし、φは磁束、tは時間、αは係
数、Iは金属線4の磁化の強さ、Hは交流磁界の強さで
ある。
数、Iは金属線4の磁化の強さ、Hは交流磁界の強さで
ある。
【0013】また交流磁界Hは[数2]に示すように、
【0014】
【数2】 と表わされる。ただし、Hmは交流磁界の振幅、f0 は
周波数、ψ0 は位相角である。
周波数、ψ0 は位相角である。
【0015】ここで、[数2]を時間tについて微分す
ると、[数3]に示すように、
ると、[数3]に示すように、
【0016】
【数3】 となる。
【0017】そこで、[数3]のdH/dtを[数1]
に代入すると、交流起電力V2 は[数4]に示すよう
に、
に代入すると、交流起電力V2 は[数4]に示すよう
に、
【0018】
【数4】 と表わされる。
【0019】軟磁性金属線4の磁化過程においては、図
2、線aで示すような磁化曲線が得られるので、[数
4]は瞬間磁化率dI(H)/dHを用いて[数5]に
示すように、
2、線aで示すような磁化曲線が得られるので、[数
4]は瞬間磁化率dI(H)/dHを用いて[数5]に
示すように、
【0020】
【数5】 と表わされる。
【0021】この交流起電力V2 は、その波形が図3に
示すようにひずみ波であることから高調波成分を含んで
いる。この場合、交流磁界Hは前記のように直流磁界成
分を含まないので、交流起電力V2 の前記高調波成分
は、原理上、奇数調波成分のみからなり、偶数調波成分
を含むことはない。
示すようにひずみ波であることから高調波成分を含んで
いる。この場合、交流磁界Hは前記のように直流磁界成
分を含まないので、交流起電力V2 の前記高調波成分
は、原理上、奇数調波成分のみからなり、偶数調波成分
を含むことはない。
【0022】前記高調波成分は瞬間磁化率dI(H)/
dHに依存し、またその瞬間磁化率dI(H)/dHは
金属線4の応力に依存する。したがって高調波成分は金
属線4の応力情報を含んでいる。
dHに依存し、またその瞬間磁化率dI(H)/dHは
金属線4の応力に依存する。したがって高調波成分は金
属線4の応力情報を含んでいる。
【0023】そこで、交流起電力V2 の波形をスペクト
ルアナライザを用い周波数解析して基本波成分と高調波
成分とに分け、一つ以上の高調波成分の実効値Ev1,
Ev2またはひずみ率Kを金属線4の応力測定量とす
る。
ルアナライザを用い周波数解析して基本波成分と高調波
成分とに分け、一つ以上の高調波成分の実効値Ev1,
Ev2またはひずみ率Kを金属線4の応力測定量とす
る。
【0024】例えば、高調波成分が第3,第5,第7,
第9調波成分である場合、その実効値Ev1は、第3,
第5,第7,第9調波成分の実効値をそれぞれE3 ,E
5 ,E7 ,E9 とすると、[数6]に示すように、
第9調波成分である場合、その実効値Ev1は、第3,
第5,第7,第9調波成分の実効値をそれぞれE3 ,E
5 ,E7 ,E9 とすると、[数6]に示すように、
【0025】
【数6】 と表わされる。この実効値Ev1の演算には演算器が用
いられる。
いられる。
【0026】また或調波成分が金属線4の応力情報を十
分に、且つ正確に含んでいる場合には、その調波成分の
みの実効値Ev2を応力測定量として用いてもよい。こ
の場合には、検知コイル3に、前記調波成分に対応した
狭帯域フィルタを接続することによって前記実効値Ev
2を出力させることができる。
分に、且つ正確に含んでいる場合には、その調波成分の
みの実効値Ev2を応力測定量として用いてもよい。こ
の場合には、検知コイル3に、前記調波成分に対応した
狭帯域フィルタを接続することによって前記実効値Ev
2を出力させることができる。
【0027】またひずみ率Kは、基本波成分の実効値を
E1 とすると、[数7]に示すように、
E1 とすると、[数7]に示すように、
【0028】
【数7】 と表わされる。このひずみ率Kの演算には演算器が用い
られる。
られる。
【0029】一方、金属線4の磁気特性は、その金属線
4が置かれている状態の変化に伴って変化する、つま
り、金属線4の瞬間磁化率dI(H)/dHは、その金
属線4に対する引張り荷重が大から小に変化すると、図
2,線c→線b→線aのように大から小に変化し、その
結果、周期関数であるV2 (t)が変化するので高調波
成分の実効値も変化する。
4が置かれている状態の変化に伴って変化する、つま
り、金属線4の瞬間磁化率dI(H)/dHは、その金
属線4に対する引張り荷重が大から小に変化すると、図
2,線c→線b→線aのように大から小に変化し、その
結果、周期関数であるV2 (t)が変化するので高調波
成分の実効値も変化する。
【0030】したがって、前記のように高調波成分の実
効値Ev1,Ev2またはひずみ率Kを測定量とするこ
とによって、図4,5に示すように金属線4の微小応力
変化を正確に測定することができる。
効値Ev1,Ev2またはひずみ率Kを測定量とするこ
とによって、図4,5に示すように金属線4の微小応力
変化を正確に測定することができる。
【0031】以下、具体例について説明する。
【0032】繊維強化プラスチック板(以下、FRP板
と称す)の疲労による内部損傷の有無およびその内部損
傷の程度を判断すべく、軟磁性金属線としての非晶質金
属線を埋設したFRP板を次のような方法で製作した。
図6に示すように、直径6μmのカーボン繊維よりなる
8枚のクロス51 〜58 を、相隣る両クロス51 ,5 2
等のカーボン繊維の配向性が45°変化するように積層
し、また第1のクロス51 と第2のクロス52 との間、
および第7のクロス57 と第8のクロス58 との間に、
それぞれ直径120μmの多数の非晶質金属線4を0.
3mmピッチで並列させて配設した。非晶質金属線4の組
成はFe66.5Si8.5 B12Co11Cr2(数値は原子
%)、保磁力Hcは0.6エルステッドである。
と称す)の疲労による内部損傷の有無およびその内部損
傷の程度を判断すべく、軟磁性金属線としての非晶質金
属線を埋設したFRP板を次のような方法で製作した。
図6に示すように、直径6μmのカーボン繊維よりなる
8枚のクロス51 〜58 を、相隣る両クロス51 ,5 2
等のカーボン繊維の配向性が45°変化するように積層
し、また第1のクロス51 と第2のクロス52 との間、
および第7のクロス57 と第8のクロス58 との間に、
それぞれ直径120μmの多数の非晶質金属線4を0.
3mmピッチで並列させて配設した。非晶質金属線4の組
成はFe66.5Si8.5 B12Co11Cr2(数値は原子
%)、保磁力Hcは0.6エルステッドである。
【0033】クロス51 〜58 と非晶質金属線4との積
層体6にエポキシ樹脂液を含浸させ、次いで、その積層
体6に180℃、2時間の加熱処理を施してエポキシ樹
脂を硬化させ、これにより、図7に示すように多数の非
晶質金属線4を埋設した、エポキシ樹脂マトリックスと
カーボン繊維とよりなるFRP板7を得た。
層体6にエポキシ樹脂液を含浸させ、次いで、その積層
体6に180℃、2時間の加熱処理を施してエポキシ樹
脂を硬化させ、これにより、図7に示すように多数の非
晶質金属線4を埋設した、エポキシ樹脂マトリックスと
カーボン繊維とよりなるFRP板7を得た。
【0034】この場合、非晶質金属線4の熱膨脹率は
7.3×10-6/℃であり、一方、FRP板7のそれは
4.0×10-6/℃であることからエポキシ樹脂の加熱
硬化後、常温においては、各非晶質金属線4は引張り荷
重を付与された状態に拘束される。また非晶質金属線4
を磁化させると、その金属線4に伸びが生じる、つまり
磁歪現象が発生するが、交流磁界下での磁歪振動現象は
硬化したエポキシ樹脂によって抑制される。
7.3×10-6/℃であり、一方、FRP板7のそれは
4.0×10-6/℃であることからエポキシ樹脂の加熱
硬化後、常温においては、各非晶質金属線4は引張り荷
重を付与された状態に拘束される。また非晶質金属線4
を磁化させると、その金属線4に伸びが生じる、つまり
磁歪現象が発生するが、交流磁界下での磁歪振動現象は
硬化したエポキシ樹脂によって抑制される。
【0035】このFRP板7において、カーボン繊維の
体積分率Vfは58.3%、エポキシ樹脂の体積分率V
fは37.5%、非晶質金属線4の体積分率Vfは4.
2%であった。
体積分率Vfは58.3%、エポキシ樹脂の体積分率V
fは37.5%、非晶質金属線4の体積分率Vfは4.
2%であった。
【0036】図8は応力測定装置81 の一例を示し、そ
の装置81 は次のように構成される。即ち、フェライト
製コア9は、一対の脚部9aと、両脚部9aの一端を連
結する連結部9bとよりコ字形に形成される。連結部9
bに検知コイル3が100ターン(10ターン/mm)巻
装され、その検知コイル3の外周に励磁コイル2が10
0ターン(10ターン/mm)巻装される。励磁コイル2
は発振器1に接続される。また検知コイル3はスペクト
ルアナライザ10に、そのスペクトルアナライザ10は
演算器11にそれぞれ接続される。
の装置81 は次のように構成される。即ち、フェライト
製コア9は、一対の脚部9aと、両脚部9aの一端を連
結する連結部9bとよりコ字形に形成される。連結部9
bに検知コイル3が100ターン(10ターン/mm)巻
装され、その検知コイル3の外周に励磁コイル2が10
0ターン(10ターン/mm)巻装される。励磁コイル2
は発振器1に接続される。また検知コイル3はスペクト
ルアナライザ10に、そのスペクトルアナライザ10は
演算器11にそれぞれ接続される。
【0037】図9は応力測定装置82 の他例を示し、そ
の装置82 は、図8の装置81 におけるスペクトルアナ
ライザ10および演算器11に代えて狭帯域フィルタ1
2が検知コイル3に接続され、その他の構成は図8の装
置81 と同じである。
の装置82 は、図8の装置81 におけるスペクトルアナ
ライザ10および演算器11に代えて狭帯域フィルタ1
2が検知コイル3に接続され、その他の構成は図8の装
置81 と同じである。
【0038】先ず、FRP板7について、引張り−引張
り疲労試験を行って、応力サイクル繰返し数とヤング率
との関係を求めたところ、図10、線dで示す結果を得
た。
り疲労試験を行って、応力サイクル繰返し数とヤング率
との関係を求めたところ、図10、線dで示す結果を得
た。
【0039】この疲労試験条件は、最小引張り荷重3kg
f/mm2 、最大引張り荷重25kgf/mm2 、繰返し周波
数20Hzである。
f/mm2 、最大引張り荷重25kgf/mm2 、繰返し周波
数20Hzである。
【0040】図10、線dにおいて、応力サイクル繰返
し数103 回まではFRP板7は無損傷であるためその
ヤング率は変化しないが、応力サイクル繰返し数が10
3 回を超えると、FRP板7の内部にはクラックが発生
したり、カーボン繊維および非晶質金属線4とエポキシ
樹脂マトリックスとの間に界面剥離等が発生するため、
そのヤング率が下降し始め、このヤング率の下降現象は
応力サイクル繰返し数の増加に伴い略比例的に増進さ
れ、そして応力サイクル繰返し数5×106 回でFRP
板7は破断する。
し数103 回まではFRP板7は無損傷であるためその
ヤング率は変化しないが、応力サイクル繰返し数が10
3 回を超えると、FRP板7の内部にはクラックが発生
したり、カーボン繊維および非晶質金属線4とエポキシ
樹脂マトリックスとの間に界面剥離等が発生するため、
そのヤング率が下降し始め、このヤング率の下降現象は
応力サイクル繰返し数の増加に伴い略比例的に増進さ
れ、そして応力サイクル繰返し数5×106 回でFRP
板7は破断する。
【0041】次に、前記同様のFRP板7について前記
同様の疲労試験を行い、所定の応力サイクル繰返し数毎
に非晶質金属線4の応力を測定した。
同様の疲労試験を行い、所定の応力サイクル繰返し数毎
に非晶質金属線4の応力を測定した。
【0042】非晶質金属線4の応力測定に当っては、図
8に示すようにコア9の両脚部9a端面をFRP板7の
表面に当て、発振器1を、直流磁界成分を含まないサイ
ン波、周波数1kHz、ピーク間電圧、つまり1周期に
おけるピークおよびピーク間の電圧15Vp-p の発振条
件で作動させて励磁コイル2に非晶質金属線4の保磁力
Hcを超える交流磁界Hを付与した。これによりコア9
および非晶質金属線4間に磁路が形成され、検知コイル
3に交流起電力V2 が誘起される。この交流起電力V2
をスペクトルアナライザ10に入力し、次いで演算器1
1より、高調波成分である第3,第5,第7,第9調波
成分の実効値Ev1、即ち、[数8]に示すように、
8に示すようにコア9の両脚部9a端面をFRP板7の
表面に当て、発振器1を、直流磁界成分を含まないサイ
ン波、周波数1kHz、ピーク間電圧、つまり1周期に
おけるピークおよびピーク間の電圧15Vp-p の発振条
件で作動させて励磁コイル2に非晶質金属線4の保磁力
Hcを超える交流磁界Hを付与した。これによりコア9
および非晶質金属線4間に磁路が形成され、検知コイル
3に交流起電力V2 が誘起される。この交流起電力V2
をスペクトルアナライザ10に入力し、次いで演算器1
1より、高調波成分である第3,第5,第7,第9調波
成分の実効値Ev1、即ち、[数8]に示すように、
【0043】
【数8】 を出力させ、これを非晶質金属線4の応力測定量とし
た。
た。
【0044】そして、応力サイクル繰返し数と実効値E
v1との関係を求めたところ、図10、線e1 の結果を
得た。
v1との関係を求めたところ、図10、線e1 の結果を
得た。
【0045】図10、線e1 において、実効値Ev1は
応力サイクル繰返し数が103 回までは一定であり、こ
れによりFRP板7は無損傷であることが判る。そして
応力サイクル繰返し数が103 回を超えると、実効値E
v1は下降し始める。これは、FRP板7内部にクラッ
ク等が発生したため、非晶質金属線4に対する拘束力が
低下し、それに起因して非晶質金属線4の応力が低下す
ると共に交流磁界下での磁歪振動現象に対する抑制が緩
和されたことに因る。このことからFRP板7に内部損
傷が発生したことが判る。
応力サイクル繰返し数が103 回までは一定であり、こ
れによりFRP板7は無損傷であることが判る。そして
応力サイクル繰返し数が103 回を超えると、実効値E
v1は下降し始める。これは、FRP板7内部にクラッ
ク等が発生したため、非晶質金属線4に対する拘束力が
低下し、それに起因して非晶質金属線4の応力が低下す
ると共に交流磁界下での磁歪振動現象に対する抑制が緩
和されたことに因る。このことからFRP板7に内部損
傷が発生したことが判る。
【0046】そして応力サイクル繰返し数が103 回を
超えてさらに増加すると、実効値Ev1は、FRP板7
のヤング率の低下と略同等の勾配を以て低下する。即
ち、実効値Ev1はFRP板7の内部損傷の程度を適確
に物語っている。
超えてさらに増加すると、実効値Ev1は、FRP板7
のヤング率の低下と略同等の勾配を以て低下する。即
ち、実効値Ev1はFRP板7の内部損傷の程度を適確
に物語っている。
【0047】したがって、FRP板7に埋設された非晶
質金属線4の応力を測定することによって、FRP板7
の内部損傷の有無およびその内部損傷の程度を正確に知
ることができる。
質金属線4の応力を測定することによって、FRP板7
の内部損傷の有無およびその内部損傷の程度を正確に知
ることができる。
【0048】図10、線e2 は、図9の応力測定装置8
2 を用い、第3調波成分が非晶質金属線4の応力情報を
十分に、且つ正確に含んでいることから第3調波成分の
実効値Ev2=E3 を非晶質金属線4の応力測定量とし
た場合である。この場合にも、前記実効値Ev1を応力
測定量としたときと同様の結果が得られることが判る。
2 を用い、第3調波成分が非晶質金属線4の応力情報を
十分に、且つ正確に含んでいることから第3調波成分の
実効値Ev2=E3 を非晶質金属線4の応力測定量とし
た場合である。この場合にも、前記実効値Ev1を応力
測定量としたときと同様の結果が得られることが判る。
【0049】図10、線fは、図8の応力測定装置81
を用い、高調波成分、したがって第3,第5,第7,第
9調波成分のひずみ率K、即ち、[数9]に示す、
を用い、高調波成分、したがって第3,第5,第7,第
9調波成分のひずみ率K、即ち、[数9]に示す、
【0050】
【数9】 を非晶質金属線4の応力測定量とした場合である。この
場合にも、前記実効値Ev1,Ev2を応力測定量とし
たときと同様の傾向が見られる。
場合にも、前記実効値Ev1,Ev2を応力測定量とし
たときと同様の傾向が見られる。
【0051】非晶質金属線4を含むFRP板7において
は、応力サイクル繰返し数が103回を超えると、[数
9]の分子側、つまり高調波成分の実効値Ev1は図1
0、線e1 で示すように小さくなり、且つ分母側、つま
り基本波成分の実効値E1 は図11に示すように大きく
なる。
は、応力サイクル繰返し数が103回を超えると、[数
9]の分子側、つまり高調波成分の実効値Ev1は図1
0、線e1 で示すように小さくなり、且つ分母側、つま
り基本波成分の実効値E1 は図11に示すように大きく
なる。
【0052】そのため、応力サイクル繰返し数103 回
を超えたときのひずみ率Kの低下率の方が実効値Ev1
の低下率よりも大きくなり、したがって前記構成のFR
P板7の内部損傷測定に当っては、その測定量としてひ
ずみ率Kを用いた方がより高感度な測定を行うことがで
きる。
を超えたときのひずみ率Kの低下率の方が実効値Ev1
の低下率よりも大きくなり、したがって前記構成のFR
P板7の内部損傷測定に当っては、その測定量としてひ
ずみ率Kを用いた方がより高感度な測定を行うことがで
きる。
【0053】図12は比較例を示し、線g1 は、図3に
示すピーク間電圧Vm1−Vm2を非晶質金属線4の応
力測定量とした場合を示し、また線g2 は第5調波成分
の実効値E5 を非晶質金属線4の応力測定量とした場合
を示す。
示すピーク間電圧Vm1−Vm2を非晶質金属線4の応
力測定量とした場合を示し、また線g2 は第5調波成分
の実効値E5 を非晶質金属線4の応力測定量とした場合
を示す。
【0054】線g1 の場合は、応力サイクル繰返し数1
03 回を境とした折曲点が不明確である。また線g2 の
場合は、応力サイクル繰返し数103 回を境とした折曲
点は明確であるが、一度は下降した実効値E5 が応力サ
イクル繰返し数約7.5×104 回を境に上昇し始め
る、といった変則的な変化を示し、したがって最低実効
値の両側では非晶質金属線4の応力が異なるにも拘ら
ず、同一実効値が測定されることがあり、これではFR
P板7の内部損傷の程度を、例えば応力サイクル繰返し
数約3×104 回以上において正確に知ることができな
い。
03 回を境とした折曲点が不明確である。また線g2 の
場合は、応力サイクル繰返し数103 回を境とした折曲
点は明確であるが、一度は下降した実効値E5 が応力サ
イクル繰返し数約7.5×104 回を境に上昇し始め
る、といった変則的な変化を示し、したがって最低実効
値の両側では非晶質金属線4の応力が異なるにも拘ら
ず、同一実効値が測定されることがあり、これではFR
P板7の内部損傷の程度を、例えば応力サイクル繰返し
数約3×104 回以上において正確に知ることができな
い。
【0055】図13は、従来例に対応する他の比較例を
示し、第3,第5調波成分の実効値E3 ,E5 の比E3
/E5 を非晶質金属線4の応力測定値とした場合を示
す。この場合にも、ピーク値の両側では非晶質金属線4
の応力が異なるにも拘らず同一比E3 /E5 が得られ、
したがって前記同様の不具合を生じる。
示し、第3,第5調波成分の実効値E3 ,E5 の比E3
/E5 を非晶質金属線4の応力測定値とした場合を示
す。この場合にも、ピーク値の両側では非晶質金属線4
の応力が異なるにも拘らず同一比E3 /E5 が得られ、
したがって前記同様の不具合を生じる。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、前記のような特定の手
段を採用することによって、磁性体の応力を高精度で測
定することができ、したがって微小応力変化を正確に検
知することができる。
段を採用することによって、磁性体の応力を高精度で測
定することができ、したがって微小応力変化を正確に検
知することができる。
【図1】応力測定方法の原理図である。
【図2】軟磁性金属線の磁化曲線図である。
【図3】交流起電力V2 の波形図である。
【図4】応力と高調波成分の実効値Ev1,Ev2との
関係を示すグラフである。
関係を示すグラフである。
【図5】応力と高調波成分のひずみ率Kとの関係を示す
グラフである。
グラフである。
【図6】繊維強化プラスチック板において、カーボン繊
維クロスと非晶質金属線との関係を示す説明図である。
維クロスと非晶質金属線との関係を示す説明図である。
【図7】非晶質金属線を埋設した繊維強化プラスチック
板の斜視図である。
板の斜視図である。
【図8】応力測定装置の一例を示す概略図である。
【図9】応力測定装置の他例を示す概略図である。
【図10】応力サイクル繰返し数と、ヤング率、高調波
成分の実効値Ev1,Ev2およびひずみ率Kとの関係
を示すグラフである。
成分の実効値Ev1,Ev2およびひずみ率Kとの関係
を示すグラフである。
【図11】応力サイクル繰返し数と基本波成分の実効値
E1 との関係を示すグラフである。
E1 との関係を示すグラフである。
【図12】応力サイクル繰返し数と、ヤング率、ピーク
間電圧Vm1−Vm2および第5調波成分の実効値E5
との関係を示すグラフである。
間電圧Vm1−Vm2および第5調波成分の実効値E5
との関係を示すグラフである。
【図13】応力サイクル繰返し数と第3,第5調波成分
の実効値の比E3 /E5 との関係を示すグラフである。
の実効値の比E3 /E5 との関係を示すグラフである。
2 励磁コイル 3 検知コイル 4 軟磁性金属線(磁性体) 7 繊維強化プラスチック板 10 スペクトルアナライザ 11 演算器 12 狭帯域フィルタ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−142130(JP,A) 特開 昭50−15583(JP,A) 特開 昭61−162726(JP,A) 特開 昭56−101527(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01L 1/00 G01L 1/12
Claims (5)
- 【請求項1】 励磁コイル(2)を用いて測定対象であ
る磁性体(4)に、その磁性体(4)の保磁力を超える
交流磁界を付与して、検知コイル(3)に前記磁性体
(4)を介し交流起電力を誘起させ、その交流起電力の
波形において、前記磁性体(4)の応力情報を含む高調
波成分として第3,第5,第7および第9調波成分を選
定し、それら第3,第5,第7および第9調波成分の実
効値E 3 ,E 5 ,E 7 ,E 9 の和である実効値Ev1を
測定量とすることを特徴とする磁性体の応力測定方法。 - 【請求項2】 励磁コイル(2)を用いて測定対象であ
る磁性体(4)に、その磁性体(4)の保磁力を超える
交流磁界を付与して、検知コイル(3)に前記磁性体
(4)を介し交流起電力を誘起させ、その交流起電力の
波形において、前記磁性体(4)の応力情報を含む一つ
以上の高調波成分のひずみ率Kを測定量とすることを特
徴とする磁性体の応力測定方法。 - 【請求項3】 前記ひずみ率Kは、前記検知コイル
(3)に接続されたスペクトルアナライザ(10)およ
びそのスペクトルアナライザ(10)に接続された演算
器(11)を介して出力される、請求項2記載の磁性体
の応力測定方法。 - 【請求項4】 前記ひずみ率Kは、基本波成分の実効値
E1 と、第3,第5,第7および第9調波成分の実効値
E3 ,E5 ,E7 ,E9 に基づいて求められる、請求項
2または3記載の磁性体の応力測定方法。 - 【請求項5】 前記磁性体(4)は、繊維強化プラスチ
ック板(7)に埋設されると共に引張り荷重を付与され
ている軟磁性金属線である、請求項1,2,3または4
記載の磁性体の応力測定方法。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00677194A JP3266727B2 (ja) | 1994-01-26 | 1994-01-26 | 磁性体の応力測定方法 |
EP95300469A EP0666470B1 (en) | 1994-01-26 | 1995-01-26 | Stress measurement of magnetic materials, and FRP and adhesive members with such material for defect detection |
DE69520608T DE69520608T2 (de) | 1994-01-26 | 1995-01-26 | Messung der Zugspannung eines magnetischen Materials und Fehlererkennung in von magnetischem Material versehenen faserverstärkten Kunststoffstrukturen und Klebeelementen |
US08/381,687 US5640088A (en) | 1994-01-26 | 1995-01-26 | Process for measuring stress of magnetic materials, FRP member whose internal damage is detectable, and adhesive layer forming adhesive member whose internal defection is detectable |
US08/815,471 US6127822A (en) | 1994-01-26 | 1997-03-11 | Adhesive member for forming an adhesive layer between two members and capable of detecting an internal defect in the adhesive layer |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00677194A JP3266727B2 (ja) | 1994-01-26 | 1994-01-26 | 磁性体の応力測定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07209099A JPH07209099A (ja) | 1995-08-11 |
JP3266727B2 true JP3266727B2 (ja) | 2002-03-18 |
Family
ID=11647444
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP00677194A Expired - Fee Related JP3266727B2 (ja) | 1994-01-26 | 1994-01-26 | 磁性体の応力測定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3266727B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8250928B2 (en) * | 2008-07-09 | 2012-08-28 | The Boeing Company | Measurement of strain in an adhesively bonded joint including magnetostrictive material |
EA030754B1 (ru) * | 2013-12-13 | 2018-09-28 | Федеральное государственное автономное образовательное учреждение высшего образования "Национальный исследовательский технологический университет "МИСиС" | Датчик измерения механических напряжений |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS535946B2 (ja) * | 1973-06-07 | 1978-03-03 | ||
JPS56101527A (en) * | 1980-01-17 | 1981-08-14 | Yazaki Corp | Measuring device of stress |
JPS61162726A (ja) * | 1985-01-11 | 1986-07-23 | Toyota Central Res & Dev Lab Inc | 応力検出装置 |
JP3197925B2 (ja) * | 1991-11-25 | 2001-08-13 | 本田技研工業株式会社 | Frp部材の疲労破壊事前検出方法 |
-
1994
- 1994-01-26 JP JP00677194A patent/JP3266727B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07209099A (ja) | 1995-08-11 |
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LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |