JP3265125B2 - 気体放電型表示装置およびその駆動方法 - Google Patents

気体放電型表示装置およびその駆動方法

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JP3265125B2 JP16384994A JP16384994A JP3265125B2 JP 3265125 B2 JP3265125 B2 JP 3265125B2 JP 16384994 A JP16384994 A JP 16384994A JP 16384994 A JP16384994 A JP 16384994A JP 3265125 B2 JP3265125 B2 JP 3265125B2
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  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)
  • Control Of Indicators Other Than Cathode Ray Tubes (AREA)
  • Control Of Gas Discharge Display Tubes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は例えばテレビおよび広
告表示盤の画像表示に用いる中間調表示可能な気体放電
型表示装置およびその駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の気体放電型表示パネル等の気体放
電型表示装置は、絶縁基板上に抵抗体および電極体を持
つストライプ状の陽極群とこの陽極群に平行したストラ
イプ状の補助陽極群とを設け、前記陽極群を絶縁体層で
覆い、前記陽極群および前記補助陽極群に対して、透光
性(透明)のガラス基板等の絶縁基板上に設けたストラ
イプ状のリセット陰極とこれに平行した陰極群とを直交
して対向配置し、隔壁により前記陽極群と前記陰極群と
のそれぞれの対向空間に放電セルを形成するとともに前
記補助陽極と前記リセット陰極とこれに平行する陰極群
との対向空間に前記放電セルと連通する補助放電セルを
形成し、前記放電セル内で前記陽極の電極体の少なくと
も一部が前記絶縁体層から露出するように放電孔を設け
た構成になっている(特公昭60−253131号公報
参照)。
【0003】この気体放電型表示装置は、パルスメモリ
型であって図7に示すように、マトリックス配線回路
で、行方向には1行のリセット陰極Rと、N行の陰極群
1 〜KN がそれぞれ設けられ、列方向にはM列の陽極
群A1 〜AM と、L列の補助陽極群H1 〜HL とがそれ
ぞれ設けられている。図8にそのタイムチャートを示
す。これらの図を用いて、画像表示する場合の動作を説
明する。
【0004】まず、最初に期間t1 において、補助陽極
群H1 〜HL とリセット陰極Rにそれぞれ逆相のパルス
を印加し、補助陽極群H1 〜HL とリセット陰極Rとの
間でリセット放電を起こさせる。しかし、1回のパルス
の印加では安定したリセット放電が起こり難いので、期
間t1 の間に複数回、パルスを印加してリセット放電を
安定に起こさせる。
【0005】つぎに、走査の期間t3 において、補助陽
極群H1 〜HL と陰極K1 にそれぞれパルスを、表示放
電セルに対応する陽極群A1 〜AM に書き込みパルス
(ハイレベルのパルス;非書き込みの場合はローレベ
ル)を印加すると、リセット放電による残留荷電粒子の
ために、補助陽極群H1 〜HL と陰極K1 との間で補助
放電が安定して起こり、さらにこの補助放電に誘発され
て前記表示放電セルでの主放電が安定して行われる。
【0006】この表示放電セルの主放電の維持動作は、
期間t3 の主放電による残留荷電粒子が十分存在してい
る期間t6 において、再び陰極K1 に維持パルスを印加
することにより、前記表示放電セルで主放電を再び起こ
すようにして成される。同様に、期間t8 ,t10,…に
おいて、陰極K1 に維持パルスを印加し続ける限り、表
示放電セルの主放電が継続し、維持動作が行われる。
【0007】つぎに、走査の期間t5 において、補助陽
極群H1 〜HL と陰極K2 にそれぞれパルスを、表示放
電セルに対応する陽極群A1 〜AM に書き込みパルス
(ハイレベルのパルス;非書き込みの場合はローレベ
ル)を印加すると、補助陽極群H 1 〜HL と陰極K1
の間の補助放電による残留荷電粒子のために、補助陽極
群H1 〜HL と陰極K2 との間で補助放電が安定して起
こり、さらにこの補助放電に誘発されて陰極K2 と前記
表示放電セルに対応する陽極群A1 〜AM との間に、前
記表示放電セルでの主放電が安定して行われる。
【0008】この表示放電セルの主放電の維持動作は、
期間t5 の主放電による残留荷電粒子が十分存在してい
る期間t8 において、再び陰極K2 に維持パルスを印加
することにより、前記表示放電セルで主放電を再び起こ
すようにして成される。同様に期間t10,t12,…にお
いて、陰極K2 に維持パルスを印加し続ける限り、表示
放電セルの主放電が継続し、維持動作が行われる。
【0009】さらに、以上の動作を行方向に続く陰極K
3 ,K4 ,…に順次走査して一画面の画像を形成する。
このとき期間t3 に続くt5 ,t7 ,…の補助放電は、
一つ前の補助放電による残留荷電粒子の助けによって引
き継がれる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなパルスメモリ型の気体放電型表示パネルでは、維持
動作において、表示放電セルの主放電を継続させるため
に、残留荷電粒子が十分に存在している内(短期間)
に、陰極群K1 〜KN に何回も維持パルスを印加しなけ
ればならない。そのため、維持パルスの印加期間中に
は、放電電流と同時に、気体放電型表示装置の電極間容
量等からなる容量性負荷に対し、維持パルスによる充電
電流が何回も多量に流れ、大幅な電力消費を持たらす問
題があった。
【0011】また、補助陽極群H1 〜HL と陰極K1
の間の補助放電を安定に行うためには、まず、この補助
放電の前に補助陽極群H1 〜HL とリセット陰極Rとの
間のリセット放電を先行させねばならない。そのため陰
極K1 と隣接してリセット陰極Rを設けなければならな
いので、気体放電型表示装置の構造が複雑になるという
問題があった。
【0012】また、補助陽極H1 〜HL のパルス電圧を
短期間に立ち上げねばならないが、気体放電型表示装置
内部に形成された浮遊容量のために前記パルス電圧の立
上りが鈍化すると言う理由で、補助陽極H1 〜HL の外
部回路に放電電流制限用の抵抗器を設けることができな
い。そのため、補助陽極H1 〜HL に直接前記パルス電
圧を印加しているが、このようにすると動作時間ととも
に放電電流が加速度的に上昇し、補助放電の消費電力が
大きく、動作寿命が短くなるという問題があった。
【0013】さらに、補助陽極群H1 〜HL と陰極K2
との間の補助放電を安定に行うために、一つ前の補助陽
極群H1 〜HL と陰極K1 との補助放電の残留荷電粒子
を利用するというように、常に前の行の補助放電により
つぎの行の補助放電を安定化するというようになされる
ので、補助放電は陰極K1 ,K2 ,…の走査順に、間断
なく連続して行われねばならない。そのため画面表示の
中間調表示を行う方法は上述した補助放電の送りの順番
に規制された方法しか取り得ないために、後述するよう
に高輝度、低消費電力化が困難となり、維持放電の電流
の最大値が非常に大きくなるので、パネルに電流供給す
る電源の体積、重量、コストが非常に大きくなるという
問題があった。
【0014】この発明の目的は、気体放電型表示装置の
構造が簡単で、長寿命にすることができる気体放電型表
示装置およびその駆動方法を提供することである。この
発明の他の目的は、気体放電型表示装置を高輝度、低消
費電力にすることができる気体放電型表示装置およびそ
の駆動方法を提供することである。この発明のさらに他
の目的は、気体放電型表示装置に電流供給する電源を小
型、軽量、低コストにする気体放電型表示装置およびそ
の駆動方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の気体放電
型表示装置は、透光性絶縁基板上に、ストライプ状のア
ドレス電極群と、誘電体層と、前記アドレス電極群に対
して直交して対向配置したストライプ状の陰極群とを順
次重ねて設け、絶縁基板上に、抵抗体群および電極体群
を持つストライプ状の陽極群と絶縁層とを順次重ねて設
け、前記アドレス電極群に対して前記誘電体層および前
記絶縁層を介して前記陽極群を直交して対向配置し、隔
壁により前記陰極群と前記陽極群とのそれぞれの対向空
間を包囲する放電セルを形成し、前記放電セル内で前記
陽極の前記電極体の少なくとも一部が前記絶縁層から露
出するように放電孔を設けた気体放電型表示装置であっ
て、 前記アドレス電極と前記陽極との間の書き込み放電
によって生じた電荷が少なくとも前記アドレス電極と前
記陽極の交点の近傍の前記陰極の周辺の前記誘電体層表
面に蓄積するように前記陰極群を配置している。
【0016】請求項2記載の気体放電型表示装置の駆動
方法は、請求項1記載の気体放電型表示装置を駆動する
気体放電型表示装置の駆動方法であって、陽極群の各陽
極に走査パルスをそれぞれ印加する際に、書き込みする
放電セルに対応するアドレス電極群の各アドレス電極に
書き込みパルスを印加して書き込み放電を行い、前記陽
極群の各陽極と前記書き込みする放電セルに対応するア
ドレス電極群の各アドレス電極との交差部における陰極
周辺の誘電体層表面にいったん書き込み電荷を蓄積し、
続いて前記陰極に維持電圧を印加して、前記書き込み電
荷を前記誘電体表面上から前記陰極に補助放電として放
電させることにより、この補助放電に誘発されて前記陽
極と前記陰極との間に書き込みした放電セルの主放電を
起こさせ、前記維持電圧が印加される期間前記主放電状
態を持続させて、前記書き込みした放電セルの放電発光
を成し、一画像を表示することを特徴とする。
【0017】請求項3記載の気体放電型表示装置の駆動
方法は、請求項2記載の気体放電型表示装置の駆動方法
における一画像が1サブフィールドの画像であり、1サ
ブフィールド期間に1サブフィールドの画像を表示する
ように成し、画面表示の1フィールド周期内に複数個の
サブフィールド期間を設け、前記1フィールド周期内に
前記1サブフィールドの画像を複数回表示することによ
り前記画面表示の中間調表示を行うフィールド内時間分
割法による気体放電型表示装置の駆動方法であって、1
サブフィールドの書き込み周期を前記画面表示の1フィ
ールド周期と等しくすることを特徴とする。
【0018】
【作用】請求項1、請求項2記載の構成によれば、パル
スを用いることなく、一度の維持電圧を陰極に印加する
ことにより維持放電が継続できるので、気体放電型表示
装置の電極間容量等からなる容量性負荷に対する消費電
力が低減でき、また書き込み放電時に、誘電体層への電
荷の蓄積により誘電体層の表面の電位が上昇すること
で、書き込み放電での放電電流が自動的に制御され、高
電位の誘電体層表面の電荷により放電するので安定な補
助放電が得られ、リセット陰極が不要となるので、補助
放電の消費電力が小さく、動作寿命が長く、気体放電型
表示装置の構造が簡単になる。さらに、別の補助放電の
残留荷電粒子の助けによらず、安定した補助放電が単独
に行えるので、画面表示の中間調表示を行う場合、請求
項3のように実効放電期間を長くとることができ、気体
放電型表示装置の高輝度、低消費電力化が図れ、また維
持放電の電流を一定にできるので、気体放電型表示装置
に電流供給する電源の容量を小さくできる。
【0019】
【実施例】以下、この発明の一実施例について、図面を
用いて説明する。この発明の気体放電型表示装置の駆動
方法を行うための気体放電型表示装置は、図2に示すよ
うに、透光性絶縁基板である透光性(透明)のガラス基
板1上に、ストライプ状のアドレス電極2群と、誘電体
層3と、ストライプ状の陰極4群とを順次重ねて設け、
絶縁基板5上に、抵抗体6a群および電極体6b群を持
つストライプ状の陽極6群と、絶縁層7とを順次重ねて
設け、アドレス電極2群に対して、誘電体層3および絶
縁層7を介して陽極6群を直交して対向配置し、隔壁8
により陰極4群と陽極6群とのそれぞれの対向空間を包
囲する放電セル9を形成し、放電セル9内で陽極6の電
極体6bの少なくとも一部が絶縁層7から露出するよう
に放電孔10を設け、少なくとも陰極4周辺の誘電体層
3表面に電荷が蓄積するようにアドレス電極2群に対し
て陰極4群を直交して対向配置した構成の気体放電表示
パネルになっており、放電セル9内にはヘリウム、ネオ
ン、アルゴン、キセノン、クリプトンの放電用希ガスの
内の少なくとも1種類の希ガスが封入されている。
【0020】また図3に示すように、この気体放電型表
示装置は、マトリックス配線回路で、行方向には、N行
の陰極4群として陰極K1 〜KN が、N行の陽極6群と
して陽極A1 〜AN がそれぞれ設けられ、列方向には、
M列のアドレス電極2群としてアドレス電極T1 〜TM
がそれぞれ設けられている。この気体放電型表示装置を
用いたこの発明の駆動方法を実施例を説明するために、
図1にそのタイムチャートを示す。
【0021】これらの図を用いて、画像表示する場合の
動作を説明する。先ず期間t1 において、陽極A1 に走
査パルスVS を印加し、表示放電セル$1 に対応するア
ドレス電極T$1に書き込みパルス−VW を印加すると、
交点A$1で書き込み放電が起こり、交点A$1近傍の陰極
1 周辺の誘電体層3表面に正の電荷が蓄積され、交点
$1近傍の陰極K1 周辺の誘電体層3表面の電位は正の
高い値(VT )に保たれ、自動的に放電が停止する。こ
の書き込み放電は微弱であり、放電発光は非常に弱い。
【0022】続いて期間t2 において、陰極K1 に維持
電圧−VM を印加すると、前記正の高い電位の誘電体層
3表面に蓄積された正の電荷が、陰極K1 に向かって補
助放電を起こし、この放電に誘発されて、前記陽極A1
から抵抗体6a,電極体6bを通じて陰極K1 に放電電
流が流れ、表示放電セル$1 の主放電が起こる。この主
放電は、陰極K1 に維持電圧−VM を印加し続けている
間持続し、表示放電セル$1 の放電発光が行われ、維持
電圧−VM の印加を止めると停止する。
【0023】つぎに期間t9 において、陽極A2 に走査
パルスVS を印加し、表示放電セル$2 に対応するアド
レス電極T$2に書き込みパルス−VW を印加すると、交
点A $2でに書き込み放電が起こり、交点A$2近傍の陰極
2 周辺の誘電体層3表面に正の電荷が蓄積され、交点
$2近傍の陰極K2 周辺の誘電体層3表面の電位は正の
高い値(VT )に保たれ、自動的に放電が停止する。こ
の書き込み放電は微弱であり、放電発光は非常に弱い。
【0024】続いて期間t10において、陰極K2 に維持
電圧−VM を印加すると、前記正の高い電位の誘電体層
3表面に蓄積された正の電荷が、陰極K2 に向かって補
助放電を起こし、この放電に誘発されて、陽極A2 から
抵抗体6a,電極体6bを通じて陰極K2 に放電電流が
流れ、表示放電セル$2 の主放電が起こる。この主放電
は、陰極K2 に維持電圧−VM を印加し続けている間持
続し、表示放電セル$ 2 の放電発光が行われ、維持電圧
−VM の印加を止めると停止する。
【0025】同様の動作を陽極A3 ,A4 ,…について
順次走査することにより、気体放電型表示装置内の全て
の表示放電セルの放電発光を起こさせ、一画像を表示を
終了する。以上のこの実施例の説明では、陽極A1 の走
査の書き込み期間t1 に引き続いて、陽極A2 の走査の
書き込み期間をt9 にとった場合を説明したが、陽極A
2の走査の書き込み期間をt1 を除くt9 以外の期間に
した場合も同様の効果が得られる。
【0026】なお、図1のように、t1 からt8 の期間
をあけてあり、この期間にも書き込みパルスVW が存在
しているが、それは、8ビット、つまり256段の階調
表示を行うためである。つまり、例えばt1 での放電
は、全体の1/2期間、t2 での放電は全体の1/4期
間、t3 での放電は全体の1/8期間、t4 での放電は
全体の1/16期間、t5 での放電は全体の1/32期
間、t6 での放電は全体の1/64期間、t7 での放電
は全体の1/128期間、t8 での放電は全体の1/2
56期間というように、放電期間を設定しており、期間
1 では陽極A1に走査パルスVS が加えられたが、t
2 〜t8 では、他のいずれかの陽極において走査パルス
S が印加され、それぞれt3 〜t9 以後維持パルスが
印加されることで、それぞれ全体の1/2期間、1/4
期間、1/8期間、1/16期間、1/32期間、1/
64期間、1/128期間、1/256期間、放電が継
続することになる。1つの陽極A1 について見れば、t
1 で放電が始まってから全体の1/2期間が経過後に2
回目の走査パルスVS と維持パルス−VM とが逐次印加
されて1/4期間の放電が行われ、その後3回目の走査
パルスVS と維持パルス−VM とが逐次印加されて1/
8期間の放電が行われ、その後4回目の走査パルスVS
と維持パルス−VM とが逐次印加されて1/16期間の
放電が行われ、その後5回目の走査パルスVS と維持パ
ルス−VM とが逐次印加されて1/32期間の放電が行
われ、その後6回目の走査パルスVS と維持パルス−V
M とが逐次印加されて1/64期間の放電が行われ、そ
の後7回目の走査パルスVS と維持パルス−VM とが逐
次印加されて1/128期間の放電が行われ、その後8
回目の走査パルスVS と維持パルス−VM とが逐次印加
されて1/256期間の放電が行われ、以上がちょうど
1フィールド期間に行われ、これらの8回の放電を選択
することにより、256段の階調表示が可能である。陽
極A2 については、t9 から上記と同様の放電が行われ
る。以下の陽極A3 ,A4 についても同様である。
【0027】そして、各陽極A1 〜AN の全部について
1/2期間の放電を行わせて生成される画像を1サブフ
ィールドの画像と称し、同様に各陽極A1 〜AN の全部
について1/4期間の放電を行わせて生成される画像を
1サブフィールドの画像と称し、同様にして1/256
期間の放電を行わせる1サブフィールドの画像まで、合
わせて8サブフィールドの画像で1フィールドの画像を
形成している。なお、t2 〜t8 ,t10〜t16の書き込
みパルスVW はいずれも、いずれかの陽極の前フィール
ドのいずれかのサブフィールドの走査パルスVS で書き
込みが行われるものである。
【0028】つぎに、この発明の特徴を効果的に生かす
応用例として、前記一画像を表示する走査の期間を1サ
ブフィールドとし、一画面を表示する1フィールド周期
内に、明るさの異なった画像を表示するサブィールド、
つまりサブフィールド期間の異なるサブフィールドを複
数回繰り返すことによって、中間調の一画面を表示する
テレビ画像の中間調表示について説明する。
【0029】図4(a)の動作図は、1サブフィールド
の書き込み周期を画面表示の1フィールド周期と等しく
するフィールド内時間分割法の中間調表示方式を示すも
のであって、画像表示が500TV本、階調数が256
階調、1フィールド周期が1/60秒、1フィールドを
サブフィールド期間の異なる8個のサブフィールド(例
えば、1フィールドの1/2、1/4、1/8、1/1
6、1/32、1/64、1/128、1/256)で
形成し、各サブフィールド毎に書き込みと維持の動作を
順次に行っている。この場合、サブフィールド期間の全
体を放電時間とし、サブフィールド期間の長さを1フィ
ールドの1/2、1/4、1/8というように、等比級
数的に減少させ、放電させるサブフィールドを選択する
ことで、256段の階調表示を実現している。
【0030】このような動作方式について、まず、1フ
ィールド周期内の実効放電期間を検討した。1フィール
ド周期内の実効放電期間は1フィールド周期から書き込
み期間を引いたものである。書き込みパルスの幅を4μ
秒とすると、1フィールド周期内の実効放電期間は10
6 /60(μ秒)−4(μ秒)×8(サブフィールド
数)=16634(μ秒)となる。
【0031】これと比較するために、図7に示す従来の
装置について、上記と同様なことを調べた。図5(a)
はその動作図で、1サブフィールドの書き込み周期を画
像表示の1サブフィールド周期と等しくするフィールド
内時間分割法の中間調表示方式を示すものであって、画
像表示が500TV本、階調数が256階調、1フィー
ルド周期が1/60秒、1フィールドをサブフィールド
期間の等しい8個のサブフィールドで形成し、各サブフ
ィールド毎に書き込みと維持の動作を順次に行ってい
る。この場合、1番目のサブフィールド期間内の放電時
間(書き込み時間と維持時間の和)を1としたときに、
2番目のサブフィールド期間内の放電時間を1/2と
し、3番目のサブフィールド期間内の放電時間を1/4
とし、以下、等比級数的に放電時間を短くし、放電させ
るサブフィールドを選択することで、例えば256段の
階調表示を実現している。書き込みおよび維持パルスの
周期は、1/60(秒)/500(TV本)/8(サブ
フィールド)=4(μ秒)となり、1/60(秒)/4
(μ秒)/8(サブフィールド)=500(個)≧12
8(個)×N(回)(N:整数)からN=3(回)とな
るので、1フィールド周期に入れることができる最大の
書き込みパルス数と維持パルス数の和は(28 −1)
(個)×3(回)=765(個)となる。したがって、
書き込みおよび維持パルスのデューティを理論的な最大
値である1/2とすると、1フィールド周期内の実効放
電期間は4(μ秒)×1/2(デューティ)×765
(個)=1530(μ秒)となる。
【0032】以上の比較結果から、この発明の実施例で
は、従来例に比較して、1フィールド周期内の実効放電
期間が16634(μ秒)/1530(μ秒)=約10
倍まで増やすことができる。このことから、維持放電の
実効電力は、放電電流と実効放電期間の積で表されるの
で、同じ電力を投入すると、この発明の放電電流は、従
来例に比較して1/10まで減らすことができる。
【0033】実験によると、放電電流Idと輝度Bの関
係は図6の曲線Bに、放電電流Idと発光効率ηの関係
は図6の曲線ηに示すようになり、放電電流Idが減少
すると発光効率ηが上がる。実験結果では、放電電流I
dを1/10まで減らすことはできなかったが、放電電
流Idを1/5に減らすと発光効率ηが2.5倍になっ
た。したがって、放電電流Idを1/5に減らし放電時
間を5倍にすると、放電による消費電力が変わらず、輝
度を2.5倍にすることができる。
【0034】つぎに、この発明の場合と従来例の場合と
で、気体放電型表示装置の電極間容量等からなる容量性
負荷に対する電力比率を調べた。この発明の実施例の場
合は維持期間の電圧印加回数が、サブフィールド数に等
しく8(回)であり、従来例の場合は、それが維持パル
ス数と等しく、(765−8)=757(回)となるの
で、前記容量性負荷に対する電力比率は8/757=約
1/95となる。したがって、この発明の実施例では、
消費電力が小さくなり、かつ実効輝度が高い256階調
の画像表示ができる。
【0035】さらに、1フィールド周期内での維持放電
電流の変化について検討した。図4(a)に示すよう
に、この発明の実施例によるサブフィールドの配列で
は、補助放電の動作が従来例のようにリセット放電や先
行する補助放電の助けを借りることなく単独で安定に行
えるので、1サブフィールドの書き込み周期を画面表示
の1フィールド周期と等しくするフィールド内時間分割
法の中間調表示方式を用い、1フィールドをサブフィー
ルド期間の異なる8個のサブフィールドで形成し、各サ
ブフィールド毎に書き込みと維持の動作を順次に行って
いるので、各走査線での各サブフィールドの放電維持期
間が連続し、走査線毎に書き込み期間のずれでもって混
在しているので、全サブフィールドの放電維持期間が重
なって存在する。そのため、どの期間をとってみても表
示容量が変わらないので、図4(b)に示すように、1
フィールド期間内の維持放電電流が一定になる。したが
って、維持放電電流を供給する電源の電力容量は平均的
に必要な電力を賄えるものでよい。
【0036】これと比較するために、図7に示す従来の
装置について、上記と同様なことを調べた。図5(a)
に示すように、従来例によるサブフィールドの配列で
は、補助放電の動作が単独に行えないので、先行する補
助放電の助けを借りその間近につぎの補助放電を起こさ
せているために、1サブフィールドの書き込み周期を画
像表示の1サブフィールド周期と等しくするフィールド
内時間分割法の中間調表示方式を用い、1フィールドを
サブフィールド期間の等しい8個のサブフィールドで形
成し、各サブフィールド毎に書き込みと維持の動作を順
次に行っているので、各走査線での各サブフィールドの
放電維持期間が離散し、走査線毎に書き込み期間のずれ
の分だけ僅かに重なるが、各サブフィールド毎の放電維
持期間がほぼ独立に存在する。そのため、各サブフィー
ルド毎の表示容量が変化するので、図5(b)に示すよ
うに、1フィールド期間内の維持放電電流が各サブフィ
ールド毎に大きく変化する。この場合、1フィールド期
間内の最大維持放電電流は平均維持放電電流の約4倍に
なる。したがって、維持放電電流を供給する電源の電力
容量は平均的に必要な電力の約4倍の量を賄えるものに
しなければならない。
【0037】なお、階調表示は、上記実施例では、8ビ
ットで256段であったが、これにかぎることはない。
また、透明絶縁基板については、透明であれば、ガラス
基板に限らず、セラミック基板でも可能である。
【0038】
【発明の効果】この発明の気体放電型表示装置およびそ
の駆動方法によれば、パルスを用いることなく、一度の
維持電圧を陰極に印加することにより維持放電が継続で
きるので、気体放電型表示装置の電極間容量等からなる
容量性負荷に対する消費電力が低減でき、また書き込み
放電時に、誘電体層への電荷の蓄積により誘電体層の表
面の電位が上昇することで、書き込み放電での放電電流
が自動的に制御され、高電位の誘電体層表面の電荷によ
り放電するので安定な補助放電が得られ、リセット陰極
が不要となるので、補助放電の消費電力が小さく、動作
寿命が長く、気体放電型表示装置の構造が簡単になる。
さらに、別の補助放電の残留荷電粒子の助けによらず、
安定した補助放電が単独に行えるので、画面表示の中間
調表示を行う場合、請求項3のように実効放電期間を長
くとることができ、気体放電型表示装置の高輝度、低消
費電力化が図れ、また維持放電の電流を一定にできるの
で、気体放電型表示装置に電流供給する電源の容量を小
さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例における気体放電型表示装
置の駆動方法において、画像を表示する場合のタイムチ
ャートである。
【図2】この発明の一実施例における気体放電型表示装
置の斜視図である。
【図3】同じく気体放電型表示装置で画像を表示する場
合のマトリックス配線回路図である。
【図4】この発明の一実施例における気体放電型表示装
置の駆動方法において、画面の中間調表示をする場合の
動作を示す概略図である。
【図5】従来の気体放電型表示装置で画面の中間調表示
をする場合の動作を示す概略図である。
【図6】この発明の一実施例における気体放電型表示装
置の放電電流と輝度および発光効率との特性を示す特性
図である。
【図7】従来の気体放電型表示装置で画像を表示する場
合のマトリックス配線回路図である。
【図8】同じく気体放電型表示装置で画像を表示する場
合のタイムチャートである。
【符号の説明】
1 ガラス基板(透光性絶縁基板) 2 アドレス電極 3 誘電体 4 陰極 5 絶縁基板 6 陽極 7 絶縁層 8 隔壁 9 放電セル 10 放電孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤原 伸也 大阪府高槻市幸町1番1号 松下電子工 業株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−236734(JP,A) 特開 平6−243787(JP,A) 特開 平3−226941(JP,A) 特開 昭49−120582(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 17/49 G09G 3/20 641 G09G 3/28 G09G 3/282

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光性絶縁基板上に、ストライプ状のア
    ドレス電極群と、誘電体層と、前記アドレス電極群に対
    して直交して対向配置したストライプ状の陰極群とを順
    次重ねて設け、絶縁基板上に、抵抗体群および電極体群
    を持つストライプ状の陽極群と絶縁層とを順次重ねて設
    け、前記アドレス電極群に対して前記誘電体層および前
    記絶縁層を介して前記陽極群を直交して対向配置し、隔
    壁により前記陰極群と前記陽極群とのそれぞれの対向空
    間を包囲する放電セルを形成し、前記放電セル内で前記
    陽極の前記電極体の少なくとも一部が前記絶縁層から露
    出するように放電孔を設けた気体放電型表示装置であっ
    て、 前記アドレス電極と前記陽極との間の書き込み放電によ
    って生じた電荷が少なくとも前記アドレス電極と前記陽
    極の交点の近傍の前記陰極の周辺の前記誘電体層表面に
    蓄積するように前記陰極群を配置した気体放電型表示装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の気体放電型表示装置を駆
    動する気体放電型表示装置の駆動方法であって、 陽極群の各陽極に走査パルスをそれぞれ印加する際に、
    書き込みする放電セルに対応するアドレス電極群の各ア
    ドレス電極に書き込みパルスを印加して書き込み放電を
    行い、前記陽極群の各陽極と前記書き込みする放電セル
    に対応するアドレス電極群の各アドレス電極との交差部
    における陰極周辺の誘電体層表面にいったん書き込み電
    荷を蓄積し、続いて前記陰極に維持電圧を印加して、前
    記書き込み電荷を前記誘電体表面上から前記陰極に補助
    放電として放電させることにより、この補助放電に誘発
    されて前記陽極と前記陰極との間に書き込みした放電セ
    ルの主放電を起こさせ、前記維持電圧が印加される期間
    前記主放電状態を持続させて、前記書き込みした放電セ
    ルの放電発光を成し、一画像を表示することを特徴とす
    る気体放電型表示装置の駆動方法。
  3. 【請求項3】 一画像が1サブフィールドの画像であ
    り、1サブフィールド期間に1サブフィールドの画像を
    表示するように成し、画面表示の1フィールド周期内に
    複数個のサブフィールド期間を設け、前記1フィールド
    周期内に前記1サブフィールドの画像を複数回表示する
    ことにより前記画面表示の中間調表示を行うフィールド
    内時間分割法による気体放電型表示装置の駆動方法であ
    って、1サブフィールドの書き込み周期を前記画面表示
    の1フィールド周期と等しくすることを特徴とする請求
    項2記載の気体放電型表示装置の駆動方法。
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