JP3264579B2 - クラミジア・トラコマチス血清型の鑑別法 - Google Patents
クラミジア・トラコマチス血清型の鑑別法Info
- Publication number
- JP3264579B2 JP3264579B2 JP04911694A JP4911694A JP3264579B2 JP 3264579 B2 JP3264579 B2 JP 3264579B2 JP 04911694 A JP04911694 A JP 04911694A JP 4911694 A JP4911694 A JP 4911694A JP 3264579 B2 JP3264579 B2 JP 3264579B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- bases
- seq
- sequence
- primer
- chlamydia
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
Description
応(PCR)を利用したクラミジア・トラコマチス微生物
の検出法および/または血清型の鑑別法およびそれに使
用するプライマー並びに上記PCRによる増幅生産物に
関するものである。
ミジアは球菌様微生物であって、宿主細胞の空胞内で増
殖する。クラミジア科は単一の属としてクラミジア属を
含み、この属は4つの種、すなわちクラミジア・トラコ
マチス(Chlamydia trachomatis)、クラミジア・シッ
タシ(Chlamydia psittaci)、クラミジア・ニューモニ
エ(Chlamydia pneumoniae)およびクラミジア・ペコー
ラム(Chlamydia pecorum)を含んでいる。クラミジア
・トラコマチスは、病原疫学的に幅広いスペクトルを持
った微生物であり、その病原性からトラコーマや尿道
炎、子宮頸管炎などを起こす生物型、鼠径リンパ肉芽腫
症を起こす生物型があるが、前者は、血清型で12型
(A、B、BA、C、D、E、F、G、H、I、J、
K)、後者は、3型(L1、L2、L3)に型別されて
いる。クラミジア外膜は宿主細胞との吸着や抗原として
の点から注目され、また、界面活性剤であるザルコシル
により不溶性画分として比較的簡単に得られることから
研究が進んでいる。クラミジア外膜複合体は数種類の蛋
白質とリポ多糖体および脂質を含む。特に分子量約40,0
00前後の蛋白質は量的に最も多く、主要外膜蛋白質と呼
ばれている。
ノ酸配列から4領域に血清型に関連した変異がみられ変
異ドメイン(variable domain:VDI〜VDIV)と
呼び、クラミジア・トラコマチス血清型の違いや免疫学
的特異性が決定されているのはこの領域とされている
(ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(J.Bccterio
l.)169巻3879−3885頁、インフェクション
・アンド・イミュニティ(Infect.Immun.)57巻10
40−1049頁参照)。
として現在最も信頼度が高いものは、分離培養法であ
る。しかし、この方法は判定までに数日の日数を要し、
しかも操作、判定に熟練を要するという欠点がある。P
CR法は、微量のDNAを高倍率で増幅できるので、最
近感染症の病原体の検出に利用されている。
の分類は、抗血清もしくはモノクローナル抗体を用いた
ものが行われている(感染症学雑誌65巻447−45
0頁およびザ・ジャーナル・オブ・インフェクシャス・
ディジージズ(J.Infect.Dis.)152巻791−80
0頁)。しかし、これらの方法はクラミジア菌株を分離
培養により増殖しなければならず、相当の時間が必要と
なり操作が繁雑である。また、ジャーナル・オブ・クリ
ニカル・マイクロバイオロジー(J.Clin.Microbiol.)
29巻1333−1338頁に、その培養継代を2継代
以下で型別がおこなえるマイクロタイター・セル・カル
チャー法(Microtiter Cell Culture Method)が報告さ
れているが、いずれにしても培養しなければいけないこ
とには変わりはない。
コードしている遺伝子の配列については、ヌクレイック
・アシッズ・リサーチ(Nucleic Acids Res.)17巻8
366頁、同誌18巻1061頁、3414頁、613
6頁、FEMSマイクロバイオロジー・レタース(FEMS
Microbiol.Lett.)42巻185−190頁、ジャーナ
ル・オブ・バクテリオロジー(J.Bacteriol.)168巻
1277−1282頁、ジーン(Gene)101巻159
−160頁等に報告されている。
素処理により得られる消化物の電気泳動パターンの解析
からクラミジア・トラコマチス血清型を分類する方法に
ついては、ザ・ジャーナル・オブ・インフェクシアス・
ディジージズ(J.Infect.Dis.)163巻1103−11
07頁、ジャーナル・オブ・クリニカル・マイクロバイ
オロジー(J.Clin.Microbiol.)29巻1132−11
36頁、同誌31巻1060−1065頁、FEMSマ
イクロバイオロジー・レタース(FEMS Microbiol.Let
t.)83巻73−78頁、セクシャリー・トランスミッ
テッド・デイジージズ(Sex Transm Dis)19巻303
−308頁に記載があるが、すべての報告は7〜10%
のポリアクリルアミドゲルを用いたもので銀染色を行っ
たものもあり若干操作的にわずらわしさがある。この発
明は、上記のような方法ではなくクラミジア・トラコマ
チス血清型の鑑別法を提供しようとしてなされたもので
ある。
下記のものを提供するものである。 (1)下記配列(CTM−1)(配列番号:1) 5'−TTG CGA TCC TTG CAC CAC T
T−3' で示されるヌクレオチドまたは上記配列に(イ)5'側の
端から1または2個の塩基を削除すること、(ロ)3'側
の端から1または2個の塩基を削除するか、または端に
−Gもしくは−GGを付加すること、(ハ)両端以外の1
または2個の塩基をA、C、G、Tから選ばれた他の塩
基に置き換えることの少なくとも1つの変更を加えて得
られる誘導体。 (2)下記配列(CTM−8)(配列番号:2) 5'−GCT CGA GAC CAT TTA ACT C
C−3' で示されるヌクレオチドまたは上記配列に(イ)5'側の
端から1または2個の塩基を削除すること、(ロ)3'側
の端から1または2個の塩基を削除するか、または端に
−Aもしくは−AAを付加すること、(ハ)両端以外の1
または2個の塩基をA、C、G、Tから選ばれた他の塩
基に置き換えることの少なくとも1つの変更を加えて得
られる誘導体。 (3)下記配列(CTM−4)(配列番号:3) 5'−GGT GAC TTT GTT TTC GAC C
G−3' で示されるヌクレオチドまたは上記配列に(イ)5'側の
端から1または2個の塩基を削除すること、(ロ)3'側
の端から1または2個の塩基を削除するか、または端に
−Tもしくは−TGを付加すること、(ハ)両端以外の1
または2個の塩基をA、C、G、Tから選ばれた他の塩
基に置き換えることの少なくとも1つの変更を加えて得
られる誘導体。 (4)下記配列(CTM−7)(配列番号:4) 5'−CTC CAA TGT AGG GAG TGA A
C−3' で示されるヌクレオチドまたは上記配列に(イ)5'側の
端から1または2個の塩基を削除すること、(ロ)3'側
の端から1または2個の塩基を削除するか、または端に
−Aもしくは−ATを付加すること、(ハ)両端以外の1
または2個の塩基をA、C、G、Tから選ばれた他の塩
基に置き換えることの少なくとも1つの変更を加えて得
られる誘導体。 (5)(1)〜(4)のいずれかの化合物からなるプラ
イマー。 (6)(イ)(1)と(2)、(ロ)(1)と(4)、(ハ)
(3)と(2)、および(ニ)(3)と(4)からなる群
から選ばれる順方向プライマーと逆方向プライマーの組
合せであるペアプライマー。
主要外膜蛋白をコードする遺伝子の変異ドメインI〜IV
の内、変異ドメインI〜IIIを含む標的配列に、ペアプ
ライマー(イ)〜(ニ)のいずれか1種とDNAポリメラー
ゼを加え、熱変性・アニーリング・伸長サイクルを適用
することを特徴とする、ポリメラーゼ連鎖反応による塩
基配列の増幅法。 (8)(6)のペアプライマー(イ)〜(ハ)のいずれ
かを用いて最初の増幅を行った後、(ロ)〜(ニ)のう
ち、最初の増幅で用いたペアプライマーより内側のペア
プライマーを用いてNested PCRを行うことを特徴と
するポリメラーゼ連鎖反応による塩基配列の増幅法。 (9)最初の増幅に(イ)、Nested PCRに(ニ)のペア
プライマーを用いる増幅法。 (10)(7)〜(9)のいずれかの増幅法による増幅
生産物であるヌクレオチド。
を含む疑いのある試料に(7)〜(10)のいずれかの
増幅法を適用し、増幅生産物であるヌクレオチドを検索
することを特徴とする、クラミジア・トラコマチス微生
物の外膜蛋白遺伝子の検出法。 (12)さらに、増幅生産物であるヌクレオチドを制限
酵素Alu I、EcoR V、Hind III、Taq IおよびH
haIを用いて消化し、その消化物のDNA断片のサイズ
を解析し比較することを特徴とする、クラミジア・トラ
コマチス微生物血清型の鑑別法。 (13)消化物を4%アガロースゲル電気泳動法に供
し、消化物を相互にまたは主要外膜蛋白質遺伝子を用い
て得た増幅生産物の消化物と比較してDNA断片のサイ
ズを解析し比較するものである、(12)の鑑別法。
レオチドのうち、配列番号:1〜配列番号:4のヌクレオ
チドは、クラミジア・トラコマチス(Clamydia tracho
matis)の外膜蛋白をコードする遺伝子の一部をなすもの
である。クラミジア・トラコマチスには少なくとも15
種類の血清型(A、B、Ba、C、D、E、F、G、H、
I、J、K、L1、L2、L3)が知られているが、こ
のクラミジア・トラコマチスの外膜蛋白をコードしてい
る遺伝子配列には4つの変異ドメインI〜IVが存在す
る。その4つの変異ドメインのうちI〜IIIを含む領域
の遺伝子を増幅し、その増幅領域の配列の違いから制限
酵素を用い消化物を得ることにより、例えばその消化物
の電気泳動パターンの比較分析により、増幅生産物の切
断パターンの違いからクラミジア・トラコマチスの迅速
な血清型の鑑別が可能であることを見い出した。
微生物の検出および血清型鑑別法について説明する。こ
の発明の1つの特徴は、クラミジア・トラコマチス微生
物の遺伝子の一部を増幅させた後、増幅領域に3つの変
異ドメインが存在することから、増幅生産物を適当な制
限酵素により処理を行い、消化物を電気泳動に供し、そ
の切断パターンを比較解析することによりクラミジア・
トラコマチスに生物の血清型を高感度にまた迅速に鑑別
し得ることである。
・リアクション法(Polymerase Chain Reaction法、以
下PCR法)(PCR反応による塩基配列の増幅は、特
開昭61−274697号公報、特開昭62−281号
公報、サカイら(Sakai,et al.)サイエンス(Scienc
e)239巻487−491頁等参照)により容易に行
うことができる。たとえば自動増幅装置を用いて、例え
ば緩衝液のような適当な媒質の中で鋳型DNA、各塩
基、プライマーおよびDNAポリメラーゼを温度変換サ
イクルにかける等の当技術で知られた方法により行うこ
とができる。
量の増幅生産物を得るために、2回目のPCR、すなわ
ち、Nested PCRを行うことを含み、このNested PC
Rに用いられるプライマーをも提供するものである。Ne
sted PCRは一般にPCR法による検査の検出感度を
上昇させるために用いられる手段である。例えば、検体
の1回目の増幅生産物が一定量より少ないために、その
増幅生産物のDNA断片(バンド)はアガロースゲルを
エチジウムブロマイドで染色する方法では観察されず、
陰性と判定される。そこで、1回目のPCR生産物を鋳
型として、2回目のPCRを行い、エチジウムブロマイ
ド染色で観察できる量とし検出感度を上げるためにNest
ed PCRが行われる。
−1、CTM−4、CTM−7、CTM−8のヌクレオ
チドはクラミジア・トラコマチスの外膜蛋白遺伝子の一
部をなすものである。CTM−1およびCTM−4プラ
イマーは順方向のプライマーであり、CTM−1はCT
M−4より外側のプライマーである。CTM−8および
CTM−7は逆方向プライマーであり、CTM−7はC
TM−8より内側のプライマーである。PCR反応に用
いられ得るペアプライマーは、(イ)(CTM−1と
8)、(ロ)(CTM−1と7)、(ハ)(CTM−4
と8)および(ニ)(CTM−4と7)である。Nested
PCRに用いられるプライマーは、一般に1回目のプ
ライマーがアニーリングするよりも、標的配列の内側の
配列にアニーリングするプライマーが用いられる。1回
目のPCRにペアプライマー(イ)を用いれば、Neste
d PCRには、(ロ)、(ハ)または(ニ)のいずれで
も用いることができるが、1回目のPCRに(ロ)また
は(ハ)を用いれば、Nested PCRには(ニ)を用いる
ことになる。これらのプライマーは、例えばDNA合成
機を用いて、当技術で知られた方法により合成すること
ができる。合成したプライマーは、例えば高速液体クロ
マトグラフィーのような精製手段により精製するのが好
ましい。
である。 (1)0.5mlの遠心管に下記組成の反応液を入れる。必
要ならば、ミネラル・オイル(例えばシグマ社M−35
16)で覆う。 (組成) 鋳型DNAを含む試料 0.5μMの順方向プライマー 0.5μMの逆方向プライマー 10mMトリス・HCl(pH8.3) 50mM KCl 1.5mM MgCl2 0.001%ゼラチン 25〜250μMの各dNTP 1.25−2.5単位DNAポリメラーゼ 上記組成は適宜変更することができる。例えばマグネシ
ウム濃度はdNTPの全濃度を0.5−2.5mM超える濃
度が好ましい。dNTP濃度は高すぎるとDNAポリメ
ラーゼが誤まったdNTPをとり込む可能性が増加す
る。DNAポリメラーゼが高すぎると非特異的な産物が
増えるが、低すぎると産物の収率が低下する。DNAポ
リメラーゼとしては、耐熱性のものが好ましく、例えば
パーキン・エルマー・シータス社、ストラタジーン社、
ニュー・イングランド・バイオラブス社等から販売され
ているTaqDNAポリメラーゼ[テルムス・アクアチク
ス(Thermus aquaticus)から得たものまたはこれを大腸
菌で発現させたもの]が適当である。
・オイルを用いなくとも反応溶液の蒸発を防げるものが
よい。)をセットし、熱変性段階、アニーリング段階お
よび伸長段階からなるサイクルを20サイクル以上、好
ましくは30サイクル以上行なう。これを1回のPCR
反応または増幅という。熱変性温度は通常90−95
℃、アニーリング温度は通常40−60℃、伸長温度は
通常70〜75℃が適当であるが、アニーリング温度は
プライマーの長さとGC含量により異なる。アニーリン
グ温度は、通常Tm℃[但し、Tm℃=4×(G+C)+2
×(A+T)]からTm−20℃が適当であり、Tm−5℃
前後が好ましい。自動増幅装置は、例えばパーキン・エ
ルマー・シータス社から販売されている。
泳動法のような分離手段により分離し、DNA断片であ
るバンドとして検出される。アガロースゲルは0.2〜
0.6%のものを使用するが、好ましくは、0.4%アガ
ロースゲルを用いる。また、生産物はマーカーとのバン
ドの長さの比較によりクラミジア・トラコマチス由来の
DNA断片であるか確認することができる。なお、電気
泳動後のDNA断片は、エチジウム・ブロマイドで染色
し、紫外線照射することにより観察できる。
異なる制限酵素により消化すると、クラミジア・トラコ
マチス微生物の血清型に応じて異なる消化物を生じ、そ
れによって血清型の鑑別が可能である。例えば、生産物
を、Alu Iで消化すると、クラミジア・トラコマチス
微生物の血清型A/K、B/D、Ba、C、E、F、
G、H/I/L3、J、L1、L2の11パターンに電
気泳動パターンが分かれ各血清型の鑑別が可能である
(図1)。制限酵素AluIで識別できない血清型BとD
は制限酵素EcoR Vの処理でBは消化されないがDが
消化されることにより識別される(図2)。また、血清
型A/KおよびH/I/L3は制限酵素Alu Iにより
消化された断片の一番大きいものが前群のほうがわずか
に大きいことで識別できる。しかし、非常に似たパター
ンを示す。これら5つの血清型の識別は、制限酵素Hin
d III、TaqIとHhaIによる消化パターンの比較によ
り識別できる(図3および表1)。以上の操作により、
上記の制限酵素を用いPCR産物を処理し、その消化パ
ターンを観察することにより、これらクラミジア・トラ
コマチス微生物の15血清型を鑑別することができる。
な試剤および器具をまとめてキットにしておくのが便利
である。このようなキットは、下記のものの中から選ば
れたものを含むことができる。(1)順方向プライマー、
(2)逆方向プライマー、(3)緩衝液、(4)KCl、(5)
MgCl2、(6)ゼラチン、(7)4種類のdNTP、(8)D
NAポリメラーゼ、(9)遠心管、(10)発色試薬(例え
ばエチジウム・ブロマイド)、(11)制限酵素(4種)、
等。検体としては、細胞、組織、粘膜、これらの破砕
物、粘液、血液、滲出液、培地等を挙げることができ
る。
に説明するが、実施例はこの発明を制限するものではな
い。 実施例1(プライマーの合成) アプライド・バイオシステムズ・ジャパン株式会社モデ
ル391PCR−MATE EPNDAシンセサイザー
を使用し、同社のオペレーターズマニュアルに従って塩
基の結合と脱保護を行い、プライマーCTM−1(配列
番号:1)、CTM−8(配列番号:2)、CTM−4
(配列番号:3)およびCTM−7(配列番号:4)を
合成した。
物) 使用したクラミジア・トラコマチス微生物15血清型細
胞は、国立予防衛生研究所において継代培養されている
標準株、A/G−17/OT,B/TW−5/OT,B
a/AP−2/OT,C/TW−3/OT,D/UW−
3/Cx,E/UW−5/Cx,F/UW−6/Cx,G
/UW−57/Cx,H/UW−4/Cx,I/UW−1
2/Ur,J/UW−36/Cx,K/UW−31/C
x,L1/440/Bubo,L2/434/Bubo,L3
/404/Buboである。
HeLa細胞および検体からのDNA抽出) 実施例2に記載した15種類のクラミジア・トラコマチ
スに感染した各々のHeLa細胞を、ラバーポリスマン
で剥がし、ウログラフィン不連続密度勾配法によりクラ
ミジア基本小体を粗精製した。その粗精製液および検体
溶液を、100μg/mlのプロテイナーゼKを含む緩
衝液[10mMトリス・HCl(pH8.0)、0.5%
SDS]中に加え、55℃60分間反応させた。その
後、フェノール/クロロホルム抽出を施行し、エタノー
ル沈殿を行い滅菌水に再懸濁させた。その溶液の一部を
実施例4記載のPCR反応の鋳型DNA試料とした。
ーCTM−1(配列番号:1)およびCTM−8(配列
番号:2)を使用した。PCRの反応は、タカラ・ジー
ン・アンプ(商標)PCR試薬キット、アンプリタック
(商標)DNAポリメラーゼ(TaKaRa Gene Amp
(商標)ReagentKit with AmpliTaq(商標)DNA
(Polymerase)を使用して行った。PCR混合液とし
ては、1×反応緩衝液[10mM トリス・HCl(pH8.
3)、50mM KCl;1.5mM MgCl2、0.001%
ゼラチン]、250μMずつのデオキシヌクレオシド3
−リン酸混合液(dATP、dTTP、dCTP、dGT
P)、0.5μMのCTM−1およびCTM−8、1.2
5単位のTaq DNAポリメラーゼを含ませた全量50
μlとした。鋳型DNAとしては、クラミジア培養物ま
たは実施例3の溶液を用いた。PCR温度条件は、94
℃で3分間の長い変性過程の後、94℃の変性30秒、
55℃のアニーリング30秒、72℃の伸長60秒を3
5サイクル行った。最終サイクルの後、72℃の長い伸
長を7分間行った。PCR反応終了後、PCR生産物を
分析するまで4℃で保存した。
気泳動に供し十分なPCR生産物が得られていない場合
(バンドが薄いとき)、制限酵素処理後の切断断片の観
察が不可能となることが多い。そこで、PCR生産物の
増量をはかるために、実施例4で得られたPCR産物を
鋳型DNAとしプライマーCTM−4(配列番号3)と
CTM−7(配列番号4)を用いnested PCRを行っ
た。PCR反応液組成および反応条件はPCRサイクル
を25とした以外は実施例4と同じ条件で行った。
施例7で行う制限酵素処理反応液の一部に全体の6分の
1量の6×ゲル・ローディング緩衝液[0.25%(w/
v)プロモフェノールブルー、0.25%(w/v)キシレ
ンシアノール、30%(w/v)グリセリン]を混合し、
4%アガロースゲル[NuSieve(商標)3:1アガロ
ース]に負荷した。電気泳動[条件:100V、40〜
60分泳動(Mupid−2(商標)、コスモバイオ)]
後、エチジウム・プロマイド染色しUVトランスイルミ
ネーターを使用してDNA断片を観察し、ポラロイドカ
メラにより写真を撮った。
物血清型の鑑別) 得られたクラミジア・トラコマチスのPCR生産物を5
種の制限酵素によって消化することにより、その血清型
の鑑別ができた。制限酵素Alu I、EcoR V、Hind
III、Taq IおよびHhaIを使用した。PCR産物10
μlを取り、それぞれの酵素の緩衝液を加え、至適温度
(37℃および65℃)で反応させた。その後、2μlの
6×ゲル・ローデイング緩衝液を加え、電気泳動により
分析を行った。
(配列番号:1)およびCTM−8(配列番号:2)を
用いて実施例4に記載と同様にして1回目のPCR反応
を行い、そのPCR産物の1μlをNested PCRの鋳
型としてプライマーCTM−4(配列番号:3)および
CTM−7(配列番号:4)を用いて実施例5に記載と
同様にしてNested PCRを行い、得られた生産物を制
限酵素Alu Iで消化すると、クラミジア・トラコマチ
ス微生物の血清型A/K、B/D、Ba、C、E、F、
G、H/I/L3、J、L1、L2の11パターンに電
気泳動パターンが分かれ各血清型の鑑別が可能である
(図1)。制限酵素AluIで識別できない血清型BとD
は制限酵素EcoR Vの処理でBは消化されないがDが
消化されることにより識別される(図2)。また、血清
型A/KおよびH/I/L3は制限酵素Alu Iにより
消化された断片の一番大きいものが前群のほうがわずか
に大きいことで識別できる。しかし、非常に似たパター
ンを示す。これら5つの血清型の識別は、制限酵素Hin
d III、TaqIとHhaIによる消化パターンの比較によ
り識別できた(図3および表1)。以上の分析結果を図
1、図2、図3および表1に示す。
ラコマチス微生物血清型の鑑別) クラミジア感染症が疑われた患者から実際にクラミジア
・トラコマチスが分離培養され、モノクローナル抗体に
より血清型が決定された臨床検体から直接実施例3記載
の方法によりDNAを抽出した。次いで、実施例4およ
び5記載の方法によりPCR反応を行い、実施例7の方
法により血清型の鑑別を行った結果、マイクロトラック
法の結果と良く一致していた。
施例7の電気泳動写真である。
実施例7の電気泳動写真である。
切断パターンを示す実施例7の電気泳動写真である。
Claims (2)
- 【請求項1】 クラミジア・トラコマチスの全血清型の
主要外膜蛋白遺伝子の検出方法であって、クラミジア属
微生物を含む疑のある試料について、上記微生物の主要
外膜蛋白遺伝子の一部をポリメラーゼ連鎖反応にて増幅
可能である下記プライマー1を用いて増幅し増幅生産物
を得、ついで上記増幅生産物の一部をポリメラーゼ連鎖
反応にて増幅可能である下記プライマー2を用いて増幅
し最終増幅生産物を得、上記最終増幅生産物を検索する
こと、および、上記プライマー1が、 下記配列(配列番号:1) 5'−TTG CGA TCC TTG CAC CAC TT−3' で示されるヌクレオチドまたは上記配列に (イ)5'側の端から1または2個の塩基を削除するこ
と、 (ロ)3'側の端から1または2個の塩基を削除するか、
または端に−Gもしくは−GGを付加すること、 (ハ)両端以外の1または2個の塩基をA、C、G、Tか
ら選ばれた他の塩基に置き換えることの少なくとも1つ
の変更を加えて得られる誘導体;および 下記配列(配列番号:2) 5'−GCT CGA GAC CAT TTA ACT CC−3' で示されるヌクレオチドまたは上記配列に (イ)5'側の端から1または2個の塩基を削除するこ
と、 (ロ)3'側の端から1または2個の塩基を削除するか、
または端に−Aもしくは−AAを付加すること、 (ハ)両端以外の1または2個の塩基をA、C、G、Tか
ら選ばれた他の塩基に置き換えることの少なくとも1つ
の変更を加えて得られる誘導体からなり、 上記プライマー2が、 下記配列(配列番号:3) 5'−GGT GAC TTT GTT TTC GAC CG−3' で示されるヌクレオチドまたは上記配列に (イ)5'側の端から1または2個の塩基を削除するこ
と、 (ロ)3'側の端から1または2個の塩基を削除するか、
または端に−Tもしくは−TGを付加すること、 (ハ)両端以外の1または2個の塩基をA、C、G、Tか
ら選ばれた他の塩基に置き換えることの少なくとも1つ
の変更を加えて得られる誘導体;および 下記配列(配列番号:4) 5'−CTC CAA TGT AGG GAG TGA AC−3' で示されるヌクレオチドまたは上記配列に (イ)5'側の端から1または2個の塩基を削除するこ
と、 (ロ)3'側の端から1または2個の塩基を削除するか、
または端に−Aもしくは−ATを付加すること、 (ハ)両端以外の1または2個の塩基をA、C、G、Tか
ら選ばれた他の塩基に置き換えることの少なくとも1つ
の変更を加えて得られる誘導体からなることを特徴とす
る方法。 - 【請求項2】 クラミジア・トラコマチスの血清型を鑑
別する方法であって、請求項1に記載の最終増幅生産物
を、制限酵素Alu I、EcoR V、Hind III、Taq I
およびHhaIを用いて消化し、その消化物を相互に比較
することを特徴とする方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04911694A JP3264579B2 (ja) | 1994-03-18 | 1994-03-18 | クラミジア・トラコマチス血清型の鑑別法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP04911694A JP3264579B2 (ja) | 1994-03-18 | 1994-03-18 | クラミジア・トラコマチス血清型の鑑別法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07255499A JPH07255499A (ja) | 1995-10-09 |
JP3264579B2 true JP3264579B2 (ja) | 2002-03-11 |
Family
ID=12822100
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP04911694A Expired - Fee Related JP3264579B2 (ja) | 1994-03-18 | 1994-03-18 | クラミジア・トラコマチス血清型の鑑別法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3264579B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6649618B2 (en) | 2000-07-18 | 2003-11-18 | Bayer Aktiengesellschaft | Substituted amidoalkyl-uracils and their use |
US7348341B2 (en) | 2000-05-31 | 2008-03-25 | Astrazeneca Ab | Chemical compounds |
US8334295B2 (en) | 2007-06-29 | 2012-12-18 | Korea Research Institute Of Chemical Technology | Pyrimidine derivatives as HIV reverse transcriptase inhibitors |
US8354421B2 (en) | 2007-06-29 | 2013-01-15 | Korea Research Insitute Of Chemical Technology | HIV reverse transcriptase inhibitors |
-
1994
- 1994-03-18 JP JP04911694A patent/JP3264579B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
Infection Immunity,1989,Vol.57,No.4,p.1040−1049 |
Journal of Clinical Microbiology,1992,Vol.30,No.5,p.1098−1104 |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7348341B2 (en) | 2000-05-31 | 2008-03-25 | Astrazeneca Ab | Chemical compounds |
US6649618B2 (en) | 2000-07-18 | 2003-11-18 | Bayer Aktiengesellschaft | Substituted amidoalkyl-uracils and their use |
US8334295B2 (en) | 2007-06-29 | 2012-12-18 | Korea Research Institute Of Chemical Technology | Pyrimidine derivatives as HIV reverse transcriptase inhibitors |
US8354421B2 (en) | 2007-06-29 | 2013-01-15 | Korea Research Insitute Of Chemical Technology | HIV reverse transcriptase inhibitors |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07255499A (ja) | 1995-10-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Baily et al. | Detection of Brucella melitensis and Brucella abortus by DNA amplification | |
JP2607496B2 (ja) | カンピロバクター検出用プローブ | |
JPH11503921A (ja) | 種の同定のための普遍的標的 | |
Kahane et al. | Evidence that the novel microorganism ‘Z’may belong to a new genus in the family Chlamydiaceae | |
EP0336412A2 (en) | Synthetic oligonucleotides useful for the determination of Chlamydia trachomatis in a biological sample | |
CN112094847B (zh) | 幽门螺旋杆菌检测用核酸适配体与筛选检测方法及用途 | |
CA2553286C (en) | Method for detecting pathogenic mycobacteria in clinical specimens | |
WO2010062897A1 (en) | Methods and compositions to detect clostridium difficile | |
Fries et al. | Detection of untreated mycobacteria by using polymerase chain reaction and specific DNA probes | |
JP3264579B2 (ja) | クラミジア・トラコマチス血清型の鑑別法 | |
EP0739987A2 (en) | Oligonucleotides for detecting Salmonella species and detection process using the same | |
LISBY et al. | Search for Mycobacterium paratuberculosis DNA in tissue from patients with sarcoidosis by enzymatic gene amplification | |
JPS6188900A (ja) | 媒質中の所定微生物、特にレギオネラの検出用プロ−ブおよび検出方法 | |
JP3264514B2 (ja) | クラミジアの検出法 | |
JP3525259B2 (ja) | ペクチネータス属菌の検出 | |
JPH05276999A (ja) | カンピロバクター属細菌検出用オリゴヌクレオチド、カンピロバクター属細菌の検出法及び検出用試薬キット | |
US6518020B1 (en) | Haemobartonella PCR methods and materials | |
CN105154438B (zh) | 对蜂房哈夫尼亚菌g5907,g5908,g5913,g5916特异的核苷酸及其应用 | |
JP2007159533A (ja) | ウエルシュ菌検出用プライマーおよび方法 | |
CN105112406B (zh) | 对蜂房哈夫尼亚菌g5897,g5898,g5900特异的核苷酸及其应用 | |
JP3264608B2 (ja) | クラミジア属微生物種の同定法 | |
Kaltwasser et al. | Enzymatic DNA amplification (PCR) in the diagnosis of extrapulmonary Mycobacterium tuberculosis infection | |
RU2289627C2 (ru) | СПОСОБ И НАБОР ДЛЯ ОБНАРУЖЕНИЯ ДНК БАКТЕРИИ ЗАБОЛЕВАНИЯ ЛАЙМСКОГО БОРРЕЛИОЗА-Borrelia burgdorferi | |
JP2004081054A (ja) | 腸管出血性大腸菌ベロトキシン検出のためのプライマーおよびそれを用いた腸管出血性大腸菌の同定法 | |
JP2902054B2 (ja) | ヒト型結核菌の検出方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081228 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091228 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091228 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101228 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101228 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111228 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121228 Year of fee payment: 11 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |