JP3264552B2 - 有機高分子絶縁性膜による金属表面の保護被覆処理方法 - Google Patents

有機高分子絶縁性膜による金属表面の保護被覆処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電解重合法を用いて金
属表面に膜厚数100nm〜数1000nmの極めて均
一な有機高分子絶縁性膜を形成することにより、該金属
表面に優れた耐食性を付与し、さらにその後塗装に供さ
れたときに優れた塗膜密着性を備えた前処理皮膜の形成
が可能な、新規な金属表面の保護被覆処理方法に関す
る。
【0002】
【従来技術】金属表面を種々の環境から保護するために
該表面に有機高分子膜を形成させる方法は、塗装に代表
されるように古くから行われている。しかし、これらの
塗膜を直接金属表面に形成したのでは充分な耐食性、密
着性が得られないことから、一般にはりん酸塩処理(鉄
鋼、亜鉛系めっき材料)、クロメート処理(鉄鋼、ステ
ンレス鋼、亜鉛系めっき材料、アルミ系材料)等の無機
皮膜の形成を経由して行われる。
【0003】一方、これらの無機皮膜はりん酸塩皮膜に
おいては単独では耐食性に乏しく、しかも対象素材が限
定されること、クロメート皮膜においては6価クロムの
溶出等による公害問題を内包している。そこで、近年で
は有機複合鋼板のような素材製造段階において予め有機
高分子膜を形成させた表面処理済み金属材料が台頭して
きた。これは、主に亜鉛系めっき鋼板上にクロメート皮
膜を形成後、1μm程度の有機高分子膜をコーティング
するものであるが、従来材に比べて次のようなメリット
を有する。すなわち、優れた1次防錆性(素材メーカ
ーからユーザーニ渡るまでの防錆性)を有するために従
来材のような防錆油の塗布が必要ないこと(公害問題か
ら溶剤系脱脂剤の使用が不可となってきているので意義
は大きい)、従って外観を重視しない用途にはそのまま
使用可能であること、表面は有機物であることから指
紋などの汚れが付着しにくくユーザーサイドのハンドリ
ングがよいこと、プレス成形性に優れること、直接
塗装が可能なこと等である。従って、これらの表面処理
鋼板においては、ユーザーサイドにおける素材から製品
に至る工程を大幅に軽減することができる。
【0004】しかし、これらの有機高分子膜の形成方法
は従来の塗装と同様「塗布−焼付け乾燥」といった物理
的な方法により行われているので、対象素材の表面粗さ
が少なくとも2〜5μmであることを考慮すると、高々
1μm程度の膜厚では十分均一な被覆膜が形成されてい
るとは言い難い(過度に厚膜化すると溶接性、電着塗装
性、加工性が劣化する)。さらに、焼付け工程において
は溶剤等の揮発による被覆膜の収縮や素材との熱膨張率
の差から、ピンホールやワレなどに代表される多くの欠
陥を有している。従って、金属表面との密着性と耐食性
付与の目的から、前述のようにクロメート前処理が不可
欠であるが、このことからもクロム溶出による公害問題
が完全に解決されたとは言い難い。これらの現状を踏ま
えて、昨今における有機複合表面処理鋼板の開発目標と
して次の4点が挙げられており、このような要求を満た
し得るものとして種々の有機高分子組成物が提案されて
いる。 より耐食性が優れていること 該鋼板上に形成される塗膜との密着性を損なわないこ
と より焼付け乾燥温度が低いこと できればクロメート処理を行わないこと 有機高分子組成物が水系であること(有機溶剤撤廃の
方向性から)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明ではか
かる技術的背景の下に、ピンホール、ワレ等の膜欠陥が
無く、被覆膜厚が均一な有機高分子絶縁性薄膜を金属表
面に直接的に形成することにより、該金属表面を腐食環
境等から保護し、さらにその後の塗装塗膜形成時に高い
密着性を付与するための金属表面保護被覆前処理方法を
提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは以上の問題
点を踏まえ鋭意研究を重ねた結果、金属表面上に有機高
分子被覆膜の形成方法として、従来のような物理的膜形
成法の代わりに、電解重合法を用いて、有機高分子の過
酸化電位以上の電位により陽極電解処理を行い、有機高
分子絶縁性膜形成することにより上記問題点を解決でき
ることがわかり本発明を完成させた。
【0007】すなわち、本発明は、モノマーとして複素
環式化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物を無
機支持電解質を含有する電解液に溶解させた液に、金属
表面を接触させて陽極電解処理を行うことにより、該金
属表面に有機高分子膜を形成する際に、有機高分子の過
酸化電位以上の電位により陽極電解処理を行い、有機高
分子絶縁性膜を形成させることを特徴とする有機高分子
絶縁性膜による金属表面の保護被覆処理方法を提供す
る。なお、本明細書における過酸化電位とは、次ぎのよ
うに定義される。すなわち、本発明におけるモノマー系
をある電位E以下で陽極電解重合すると膜は導電性を示
すが、この導電性高分子は電気化学的に活性なため、電
解液中である酸化還元電位範囲内(すなわち、酸化側の
上限電位はE)で走査を行うと(アニオンのドーブ、脱
ドープによる)可逆的な酸化還元電流ピークが検出され
るが、酸化側の電位限界Eをこえて走査すると電流ピー
クがみられなくなり非可逆となる。このときの電位Eを
過酸化電位と定義する。また、ここでいう電位とは電気
化学的ポテンシャルを意味することから、陽極−陰極間
の電圧ではなく、水素標準電極、飽和カロメル電極、A
g/AgCl電極等の参照電極に対する電位をいう。
【0008】以下、本発明の構成を詳述する。本発明に
おいて対象となる金属は、主として鉄系合金、亜鉛系め
っき材、アルミニウム系合金であり、その他ニッケル、
コバルト、クロム、スズ、銅及びそれらによるめっき材
も本発明は適用可能である。
【0009】本発明の有機高分子膜形成用の化合物とし
て、複素環式化合物から選ばれる1種又は2種以上の化
合物が用いられる。モノマーとしての複素環式化合物と
しては、具体的には電解重合可能なピロール、チオフェ
ン、フラン、カルバゾール、ピリダジンが用いられ、特
にピロール、ピロール誘導体、チオフェン、及びチオフ
ェン誘導体が好ましい。ピロール誘導体の具体例として
は、メチル、エチル等のアルキルピロール、ジアルキル
ピロールが挙げられ、またチオフェン誘導体具体例とし
ては、メチル、エチル等のアルキルチオフェン、ジアル
キルチオフェンが挙げられる。
【0010】本発明では、無機支持電解質を含有する電
解液が用いられる。無機支持電解質としては、電解液に
十分な導電性を付与できるものであればよく、例えば塩
素イオン、過塩素酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、
フッ素錯イオン、炭酸イオン、重炭酸イオンからなる酸
もしくはそれらのアルカリ金属塩、もしくはアルカリ金
属の水酸化物等から選ばれる1種または2種以上の化合
物をそれぞれ0.001〜1.0mol/L含有するも
のであればよい。
【0011】また、電解液の溶媒は使用されるモノマー
系により選択されるべきで、例えばピロールの場合では
制限が少なく水を初めとして、メタノールやエタノール
等のプロトン性有機溶媒、あるいはジメチルフォルムア
ミド、ベンゾニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼ
ン、プロピレンカーボネート、無水酢酸等の非プロトン
性有機溶媒が利用可能で、一方チオフェンの場合は選択
範囲が狭くアセトニトリル、プロピレンカーボネート等
の非プロトン性有機溶媒を用いるのが好ましい。
【0012】次に、本発明における電解重合法について
述べる。本発明における電解重合法は、無機支持電解質
を含有する電解液にモノマーとして複素環式化合物から
選ばれる1種または2種以上の化合物を溶解させて、そ
の中で被処理金属を陽極電解することにより、金属表面
においてモノマーを酸化重合することにより、直接的に
有機高分子絶縁膜を形成する方法である。
【0013】電解液に溶解させるモノマーとして複素環
式化合物もしくはその誘導体から選ばれる1種又は2種
以上の化合物の濃度は0.001〜1.0mol/Lが
好ましい。電解重合時の温度は−20〜60℃まで広い
範囲で可能なので特に限定しないが、通常は常温で十分
である。
【0014】この電解重合法はそのままでは均一被覆膜
を得るには不十分である。何故なら、電解重合法は主に
導電性高分子の合成方法として発達してきていることか
らもわかるように、析出高分子膜の多くが導電性を有す
るからである。この結果、電流密度分布による(陽極−
陰極極間距離の小さい部分では電流密度大、逆に大きい
部分では電流密度小となる)析出膜の形成速度の差異
が、電解初期から終了にかけて変化せず、析出被覆膜は
不均一なものとなる。この問題を回避するためには析出
被覆膜の導電性が低いことが望ましい。すなわち、電解
初期には電流密度の大きな部分から局部的析出が起こっ
ても、析出被覆膜の導電性が低ければその部分の電気抵
抗が増大することにより電流の流れは未被覆の部分に移
動し、それに応じて電流密度分布が最終的に均一な被覆
膜厚が得られる方向に変化するのである。
【0015】以上により本発明において金属表面に形成
される有機高分子被覆膜は絶縁性でなければならない
が、これはさらに次のような理由にもよる。被覆膜が導
電性であることは耐食性にも悪影響を及ぼす。通常、金
属の腐食はアノード反応としての金属の溶出とカソード
反応としての水素発生あるいは溶存酸素の還元が金属表
面において同時に起こることに起因する。従って、有機
高分子被覆膜は金属表面を環境から遮断することによ
り、これらの反応を阻止するものであるが、被覆膜が導
電性である場合は後者のカソード反応が金属表面のみで
はなく被覆表面でも起こり得るため環境からの遮断能力
が半減するのである。
【0016】従って、本発明において形成される被覆膜
は絶縁性でなくてはならないため、電解重合時の電位
(過酸化電位)を規制した。すなわち、一般に電解重合
液中にて被処理金属を過酸化電位以上にまで陽極分極す
ると図1(ピロールの場合)に示されるような電位−電
流曲線が得られるが、0.9V付近に見られる第1ピー
クが電解重合による被覆膜析出を示しており、このピー
ク付近の電位で電解すると得られる被覆膜は前述のよう
に電気化学的酸化還元に対して可逆的な挙動を示し、導
電性となる。一方、1.1V付近に第2ピークが見られる
が(過酸化電位)、これは第1ピークまでに得られた導
電性高分子の二重結合の破壊を示しており、少なくとも
この第2ピーク以上の電位で電解すると1度重合された
(導電状態の)高分子被覆膜は過酸化状態となって不活
性化し、電気化学的酸化還元に対しても非可逆となり、
絶縁性の被覆膜に変化するのである。一方、電解重合法
を用いて絶縁性の被覆膜を得るには、他にフェノールを
塩基性メタノール中で電解する(ポリフェニレンオキシ
ドが成膜される)等の方法があるが、形成される有機高
分子系と電解重合液組成、重合方法が限定されるためあ
まり一般的な方法とはいえず、しかもこれらの方法は本
発明による方法とは異なり析出物そのものが絶縁性を示
すために高々100nm程度の膜厚しかえられず、また
膜厚の制御が非常に困難である。
【0017】重合させるための電解法には、電位走引電
解法、定電位電解法、定電流電解法、交流電解法がある
が、本発明においては実際に印加される電位範囲が図1
に示すような過酸化ピーク(第2ピーク)電位以上の電
位であれば特に限定はない(矢印で示される範囲が本発
明における電解電位の請求範囲)。また、このときの電
位の上限については特に規定しないが、過度に高い電位
では電解液の溶媒が酸化分解する可能性があるため(水
系溶媒においては酸素発生)、得られる被覆膜に支障の
無い程度に適時上限を選択すべきである。ところで、被
覆膜が絶縁性であると電解による被覆膜形成に伴い被処
理金属表面の抵抗が上昇し、ついには電流が流れなくな
る。これをもって、被覆膜の形成は終了するが、このと
きの膜厚は目的により制御可能であることが好ましい。
これは、支持電解質の選択、2種類以上のモノマーの組
合せ、あるいは重合電位の選択により可能である。これ
は、本発明による絶縁性有機高分子膜の形成は重合(導
電性膜形成)とその後の過酸化状態への移行(導電性膜
の絶縁化)といった2つのプロセスにより行われるの
で、重合電位、電解液組成の選択はこれら2つの反応の
比率を制御することに相当する。すなわち、低い重合電
位による電解、もしくは逆に高い酸化電位を有する電解
液組成(図1のピークが高電位側にあるような組成)に
おいては高膜厚のものが得られ、高い重合電位による電
解、もしくは低い酸化電位を有する電解液組成において
は低膜厚のものが得られる。
【0018】本発明で有機高分子絶縁性膜を形成させる
工程を次に示す。 すなわち、素材→脱脂→水洗→純水洗→電解重合→水洗
→純水洗→(乾燥) ただし、乾燥は水分を蒸発除去するだけなので、自然放
置でもよい。
【0019】本発明の方法では被覆膜の構成要素はモノ
マーであるためにその単位構造はnmオーダーであり、
既に述べた従来の被覆法のように予め高分子化した有機
組成物を物理的に被覆するよりも、被覆膜は該金属表面
によく追随し、膜欠陥がなく、均一な膜厚のものが得ら
れることから、公害問題を内在するクロメート処理等の
前処理を行うことなく、より耐食性及び密着性の高い保
護被覆膜が得られる。しかも、高分子化は被覆と同時に
行われるためにその後の工程は物理的に付着する電解重
合液の洗浄と乾燥だけでよく、前述の被覆方法のように
高温度での焼付けを必要としない。さらに、従来の有機
高分子被覆では塗工上板物にしか適用が困難であるが、
本発明の方法によれば形状物に対しても可能であるメリ
ットも有する。また、電解重合法による有機高分子被覆
膜は該金属表面に直接形成され、しかも薄膜であるため
に素材外観を変化させることがなく、特に金属特有の美
麗な光沢を生かしたクリア塗装下地としてより好適であ
る。
【0020】
〔被覆膜の表面状態の観察〕
走査電子顕微鏡:T−20、日本電子製 〔絶縁性の評価〕 導電率の測定:pA/DC Voltage Sour
ce Model−4140B、横川ヒューレットパッ
カード製 (絶縁膜の両端に0.5Vの直流電圧を印加したときの
電流を測定)
【0021】〔塗膜密着性試験方法〕試験片にアミラッ
ク1000(関西ペイント製メラミンアルキッド系塗
料)を塗装バーにより目標膜厚20μmで塗装し、12
0℃で30分間焼付を行った後、碁盤目試験(塗装面に
NTカッターにて1mm角100個のゴバン面を切り、
セロハンテープ剥離を行った後の塗膜残存数で評価)で
評価した。
【0022】 〔試験片作製工程〕 素材 ↓ 脱脂:日本パーカライジング(株)製ファインクリーナー4360を濃度 2%で建浴し、温度60℃に加温して2分間浸漬 ↓ 水洗:水道水流しかけ ↓ 純水洗:脱イオン水を流しかけ ↓ 電解重合:脱イオン水を用いて実施例表記の溶液を調製後、20分間窒素 バブリングを行い溶存している空気を除去。 重合時の温度は常温(25℃)とし、対極にもSUS304を 使用した。 ↓ 水洗:水道水流しかけ ↓ 純水洗:脱イオン水を流しかけ ↓ 乾燥:ドライヤーで温風乾燥
【0023】実施例1 絶縁性のポリピロール被覆膜を以下に示すモノマー、支
持電解質を含有した水溶液中にて、ポリピロールの過酸
化電位を越える1.5V(Ag/AgClに対する電
位)で定電位電解することにより鏡面研磨ステンレス
(SUS304)板上に形成した。 ピロールモノマー 0.25mol/L NaHCO3 0.20mol/L
【0024】実施例2 以下に示すモノマーと支持電解質を含有する水溶液を用
いて実施例1と同様の方法でポリピロール被覆膜を形成
した。 ピロールモノマー 0.25mol/L Na2CO3 0.20mol/L
【0025】実施例3 以下に示すモノマーと支持電解質を含有する水溶液を用
いて実施例1と同様の方法でポリピロール被覆膜を形成
した。 ピロールモノマー 0.25mol/L NaOH 0.20mol/L N−メチルピロール 1.0mmol/L
【0026】実施例4 実施例1の試験片について塗膜密着性試験を行ったとこ
ろ全く剥離が認められなかった。
【0027】比較例1 実施例1と同様の電解重合液、素材を用いて、電解電位
をポリピロールの過酸化電位以下の0.8V(Ag/A
gClに対する電位)で定電位電解を行い、ポリピロー
ル被覆膜を形成した。
【0028】比較例2 従来の物理的塗布法により有機高分子膜を形成させた例
として、鏡面研磨ステンレス(SUS304)板上にパ
ーレン4523(日本パーカライジング製水系アクリル
ーエポキシコーティング剤)を塗装バーにより目標膜厚
1μmでコーティングし、最高到達温度100℃で5秒
間焼付けた。
【0029】比較例3 鏡面研磨ステンレス(SUS304)板上にパルクロム
283(日本パーカライジング製塗装下地用塗布型クロ
メート薬剤)をロールコーターによりクロム付着量が5
0mg/m2となるように塗布し最高到達温度100℃
で5秒間焼付けた。さらに、実施例4と同様の塗装を施
し塗膜密着性を評価したところ全く剥離が認められなか
った。
【0030】実施例、比較例から次のことが言える 図2に実施例1、2、3の電解時間に対する被覆膜厚
の変化を示すが、ある時間を越えると被覆膜厚の増加は
停止し、一定値に近付く。 図3に示した比較例1では被覆膜厚は時間とともに直
線的に増加し、実施例においては絶縁性の被覆膜が、比
較例においては導電性の被覆膜が形成されている。 図2における実施例2、3から、それぞれ支持電解
質、及び2種類のモノマーの混合により、形成される被
覆膜の膜厚を制御することが可能である。 以上の結果のうち代表的なものを表1にまとめたが、
それぞれの被覆膜のSEM観察結果から実施例1ではピ
ンホール等の欠陥が認められず極めて平滑な被覆膜が観
察されるのに対して、比較例1では凸凹が激しく、比較
例2ではピンホール、亀裂などの欠陥の多い被覆膜とな
った。 電解重合法における比較(実施例と比較例1の比較)
では比較例の導電率がきわめて大きいことがわかる。従
って、本発明による電解重合方法を用いることにより、
金属表面に極めて膜厚が均一でかつ高絶縁性を有する有
機高分子保護被覆膜を得ることができる。 さらに、実施例4と比較例3の比較から本発明による
方法は、従来より塗装下地として用いられているクロメ
ート処理と同等の塗膜密着性が得られる。
【0031】
【発明の効果】本発明の方法により電位を一定以上に制
御することにより高絶縁性で、かつピンホール、ワレ等
の膜欠陥がない均一な被覆膜が形成される。この結果得
られた被覆膜は耐食性および塗膜密着性において優れて
いる。特に、金属表面との密着性、重合膜と有機樹脂被
覆(塗装等)膜との密着性が優れている。また、重合時
間が長くなると膜厚はある一定の値となり膜厚管理が容
易で、しかも支持電解質の選択および複数のモノマーの
組合せにより目的膜厚を広い範囲で選択することが可能
(これは重合電位の制御でも可能)である。
【0032】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】ピロールモノマー0.25mol/L、支持電
解質としてNaOH0.25mol/Lを含有する水溶
液中における陽極分極曲線を示す図。
【図2】実施例1、2及び3における電解時間と被覆膜
厚との関係を示す図。
【図3】比較例1における電解時間と被覆膜厚との関係
を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 9/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】モノマーとして複素環式化合物から選ばれ
    る1種又は2種以上の化合物を無機支持電解質を含有す
    る電解液に溶解させた液に、金属表面を接触させて陽極
    電解処理を行うことにより、該金属表面に有機高分子膜
    を形成する際に、有機高分子の過酸化電位以上の電位に
    より陽極電解処理を行い、有機高分子絶縁性膜を形成さ
    せることを特徴とする有機高分子絶縁性膜による金属表
    面の保護被覆処理方法。
  2. 【請求項2】前記複素環式化合物がピロール、ピロール
    誘導体、チオフェン及びチオフェン誘導体から選ばれる
    1種又は2種以上の化合物である請求項1記載の方法。
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