JP3262621B2 - シリコン酸化膜の形成方法 - Google Patents

シリコン酸化膜の形成方法

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JP3262621B2
JP3262621B2 JP05077493A JP5077493A JP3262621B2 JP 3262621 B2 JP3262621 B2 JP 3262621B2 JP 05077493 A JP05077493 A JP 05077493A JP 5077493 A JP5077493 A JP 5077493A JP 3262621 B2 JP3262621 B2 JP 3262621B2
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  • Formation Of Insulating Films (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリコン酸化膜の形成
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、VLSIの高集積化,大容量化に
伴い、それに使用されるゲート酸化膜をはじめとするシ
リコン酸化膜も薄膜化している。また、シリコン酸化膜
では
【0003】
【外1】 Naなどのアルカリ汚染やFe,Cu,Ni,Crなどの
重金属汚染が少なく、
【0004】高信頼性で絶縁破壊耐圧の高いシリコン酸
化膜が要求されている。特に、素子の微細化に伴い、従
来は問題にならなかったレベルの汚染や、その他の要因
による電荷トラップ,界面準位密度,表面準位などが顕
著にデバイス特性に影響を与えることが問題になってき
ている。
【0005】
【外2】 ところで、Na,K,Caなどのアルカリ金属イオ
ンは酸化膜中では、
【0006】可動イオンとして振る舞い、酸化膜に電界
が印加されることにより酸化膜中を容易に移動し、これ
により酸化膜中の電荷の分布が変化する。このため、M
OS (金属/酸化膜/シリコン)デバイスにおいては、
閾値電圧が不安定となる原因となる。
【0007】また、このような可動イオンがシリコン表
面に存在すると、正常な酸化膜の成長を阻害し、絶縁耐
圧の低い酸化膜が形成されてしまう。また、Fe,Cu,
Ni,Crなどの重金属は酸化などの熱処理により、シリ
コン中へ拡散し、結晶欠陥の原因となる。特に、酸化性
雰囲気中においてはOSF(酸素誘起積層欠陥)発生の最
大の原因となる。これらの結晶欠陥はPN接合の逆方向
耐圧を大幅に劣化させ、リーク電流を増加させる要因と
なる。
【0008】さらに重金属がシリコン表面に存在する
と、シリコン酸化膜の成長を阻害し、絶縁耐圧の低下と
信頼性の低下を引き起こす。また、シリコン酸化膜中に
電荷トラップが存在すると、酸化膜自身の絶縁破壊耐圧
の劣化や、MOS構造におけるホットキャリア耐性の劣
化などの問題も発生する。
【0009】また、酸化膜界面の界面準位や表面準位が
存在すると、微小なリーク電流や、ホットキャリア耐性
の劣化および閾値電圧の変動を招来し、バイポーラデバ
イスにおいては電流増幅率の低下やリーク電流の増大を
引き起こす。
【0010】したがって、これらの問題に対処するため
ゲッタリング技術として、塩素,塩酸,トリクロロエチ
レンを含む酸化性雰囲気でのシリコン酸化膜の形成が行
われ
【0011】
【外3】 できた。この技術によればNaなどのアルカリイオン
はClにより、NaClの
【0012】ごとき塩化物の形で電気的に不活性にする
とともに、蒸気圧の高い物質に変化させることで蒸発さ
せてしまう効果があることが報告されている(電気化学
1973年 41巻 466頁〜475頁,ジャーナル・オブ・エ
レクトロケミカル・ソサエティー 1972年 119巻 388
頁〜392頁(J.Electrochemical Society,119,p.38
8〜392,1972),ジャーナル・オブ・エレクトロケミカ
ル・ソサエティー1972年 119巻 223頁〜225頁(J.E
lectrochemical Society,119,p.223〜225,1972),
ジャーナル・オブ・エレクトロケミカル・ソサエティー
1975年122巻 436頁〜439頁(J.Electrochemical
Society,122,p.436〜439,1975))。
【0013】また、重金属に対しても塩化物を形成し、
電気的に不活性にする効果があることが知られている。
また、絶縁耐圧に対しても効果があることが報告されて
いる(ジャーナル・オブ・エレクトロケミカル・ソサエ
ティー 1985年 132巻 12番3052頁〜3053頁(J.Ele
ctrochemical Society,vol.132,No.12,p.3052〜305
3,1985))。これらの技術では数%〜数十%の流量%の
塩素,塩化水素ガス,トリクロロエチレンを酸素ととも
に流しながら酸化を行うものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】塩素や塩化水素ガスを
作用しながら、MOSデバイスのドレイン領域およびフ
ローティングゲート電極の形成を用いる酸化では、通常
これらの薬品はガスで供給されるため、酸化を行う酸化
炉のプロセスチューブの位置までステンレス配管等の配
管により反応チューブ内に導入してやる必要がある。
【0015】通常、塩素および塩化水素ガスは有毒であ
る上、腐食性が著しく高い。このため、ガスの取扱いに
は細心の注意を必要とする。万が一、これらのガスが漏
洩した場合は、重大な事故につながる危険性がある。ま
た、これらの腐食性のガスの配管には加圧ガスであり、
その毒性,腐食性を考慮すれば非常に高価なステンレス
配管を使用せざるを得ない。
【0016】また、ガスを用いるため、ボンベボックス
や種々の安全上、防災上の施設が必要となる上、ガスボ
ンベの交換には常に危険が伴う。また、配管を耐腐食性
のステンレスにしても、塩素ガスや塩化水素ガスに対し
て時間の経過とともに徐々に腐食が進行することは否定
できず、このような場合、塩素または塩化水素ガス中に
重金属の不純物を含んだものをプロセスチューブ内に送
ることになる。すなわち、いかに塩素または塩化水素ガ
スに高純度のものを使用してもユースポイントにおける
純度は低くなり、これにより本来、塩素または塩化水素
添加酸化の持っている効果を十分に発揮することができ
ない。
【0017】このような問題を回避するためには、取扱
いの比較的容易な有機塩素化合物の使用が考えられる。
しかし、有機塩素化合物については種々の化合物が考え
られる。したがって、一般に有機塩素化合物であれば蒸
気塩素または塩化水素の代用として使用できるとは言い
難い。例えば、有機塩素化合物であるトリクロロエチレ
ンは従来から油脂洗浄に用いられているが、近年、その
有毒性が指摘されており、発ガン性および土中に侵入し
た場合の水質汚染の点から、その使用に対しては厳しく
規制されており、使用が非常に困難になっている。
【0018】また、最近ではこれらの有機塩素が成層圏
のオゾン層を破壊し、環境破壊につながることから有機
塩素の使用を制限する動きもある。有機塩素は空気中で
は安定な物質であるため、空気中に放出されても分解し
にくい。一般に、トリクロロエチレンの代替物質として
ドライクリーニング溶剤や油脂洗浄に用いられているメ
チルクロロフォルムなどは、空気中で半減するのに約6
年を要する。これらのガスが成層圏に達するには約10年
を要するといわれており、なお、20〜25%が成層圏に達
する。
【0019】これらの有機塩素は紫外線により塩素ラジ
カルとなり、連鎖反応的にオゾン層を破壊する。1個の
塩素ラジカルは10000個のオゾンを破壊する能力があ
る。したがって、これらの有機塩素を用いるに当たって
は、水質汚染,オゾン層破壊などの環境破壊を起こしに
くく、なおかつ有毒性が低く、さらに良好な電気特性が
得られるような物質を選定することが必要である。
【0020】本発明は上述したような点に鑑み、環境破
壊を起こさずに界面特性,絶縁特性の優れた高品質のシ
リコン酸化膜の形成方法の提供を目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
し、目的を達成するため、単結晶シリコン基板を酸化性
雰囲気とトランス1,2ジクロロエチレンの混合雰囲気
により熱酸化し、シリコン酸化膜を形成する工程におい
て、トランス1,2ジクロロエチレンを熱酸化における
初期段階のみに添加し、その後の熱酸化においてはトラ
ンス1,2ジクロロエチレンを添加しないことを特徴と
する。
【0022】
【作用】本発明の形成方法により形成されたシリコン酸
化膜は、酸化中にトランス1,2ジクロロエチレンが酸
化性雰囲気中の酸素と380℃以上で、C22Cl2+2O2
→2HCl+2CO2なる反応を生じ、酸化炉内でHCl
が形成されるためシリコ
【0023】
【外4】 ン基板付近に存在するNaなどのアルカリイオンおよ
びFe,Cu,Ni,Cr
【0024】などの重金属は塩化物となり、電気的に不
活性化されるか、塩化物として蒸気圧が高くなり蒸発し
てしまうので、これらの不純物による電気的な悪影響を
取り除くことができる。
【0025】さらに、これらの影響を除去することによ
り酸化中の不純物の存在に起因する結晶欠陥などの2次
的な悪影響をも除去することができる。その結果とし
て、シリコン酸化膜の絶縁破壊耐圧を著しく向上できる
とともに、比較的低電界から中電界で絶縁破壊を生じ、
信頼性で問題となる絶縁破壊不良を除去することができ
る。
【0026】また、トランス1,2ジクロロエチレンと
酸素との熱分解により得られたCl原子がシリコン酸化
膜とシリコン基板界面に存在する未結合で電気的に活性
なシリコン原子の未結合手を終端し、電気的に不活性に
するため界面準位密度および表面準位密度を著しく低減
することができる。
【0027】通常、トランス1,2ジクロロエチレン
は、常温では液体であり、非反応性ガスをバブリングす
ることにより、容易に酸化炉内に導入することができ
る。さらにトランス1,2ジクロロエチレンは、取扱い
には注意を要するものの、塩素または塩化水素に比すれ
ば格段に毒性が低く、また常温では腐食性も小さく、安
定している。このため、配管はテフロン等などでよく、
また、ソース自体をユースポイントの近くに設置するこ
とができるため、取扱いが容易でかつ安全性が非常に高
い。
【0028】また、環境保護の面からもトランス1,2
ジクロロエチレンは、オゾン層破壊の程度を示す指標で
あるODP(Ozone Depletion Potential)が0.0001以
下であり、空気中に放出された場合の半減に要する分解
時間は4日と短い。したがって、成層圏に達する確率は
ほぼ0である。
【0029】また、トランス1,2ジクロロエチレンの
ごとき薬品は蒸気圧がやや高く、分類によれば可燃性が
あるため、本発明に示す用途以外の油脂洗浄などに使用
することは極めて難しく、その使用量は本発明のごとき
用途を考えれば大きいとはいえず、このことからも環境
破壊を引き起こすことはほとんどない。
【0030】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。
【0031】図1は本発明の一実施例の半導体製造装置
の概要図を示し、これは、ホットウォール型横型電気炉
を用いた場合を示す。図1において、1はヒーター、2
はプロセスチューブ、3はカンチレバー、4はキャッ
プ、5はボート、6はシリコンウェーハ、7は予備室用
ヒーター、8は予備室、9は恒温槽、10はバブラー、11
は温度センサー(サーモウェル)、12はトランス1,2ジ
クロロエチレン、13は温度検出器、14はマイクロコンピ
ュータ、15は温度コントローラ、16〜19は流量制御素子
である。
【0032】ここで、トランス1,2ジクロロエチレン
(Trans 1,2−C22Cl2)は純度99.99999%のもの
を用い、これを合成石英製のバブラー10に充填したもの
を使用する。このバブラー10内にはサーモウェルが設置
してあり、ここに温度センサー11を設置できるようにな
っている。
【0033】バブラー10は恒温槽9内に設置されてお
り、サーモウェル内に設置された温度センサー11で検出
された温度は温度検出器13で電気信号に変換され、温度
コントローラ15で適温に制御されるようにフィードバッ
ク管理されており、20±0.5℃以内に温度管理されてい
る。バブリングは窒素ガスをキャリアガスとして用い
る。
【0034】図2はトランス1,2ジクロロエチレンの
温度(横軸)に対する蒸気圧(縦軸)の関係を示す特性図で
あり、温度と蒸気圧は比例している。これにより、温度
とキャリアガスの流量からトランス1,2ジクロロエチ
レン12の発生量が決定される。この関係はマイクロコン
ピュータ14により記憶,演算され、恒温槽9の温度が変
化した場合、直ちにキャリアガスの流量制御素子(マス
フローコントローラー)19にフィードバックされ、常に
発生量は一定に制御される。
【0035】本実施例ではキャリアガスに窒素N2を用
い、500cc/分でバブリングした。このとき、トランス
1,2ジクロロエチレン12の発生量は746mg/分とな
る。このトランス1,2ジクロロエチレン12を含んだキ
ャリアガスは23〜25℃の常温中で、酸素ガス300cc/分
と混合され、900℃に加熱保持された予備室8に導入さ
れる。
【0036】この予備室8の反応室は高純度合成石英で
形成されている。この予備室8でトランス1,2ジクロ
ロエチレン12は酸素O2と反応し、熱分解を生じ、HCl
と炭素ガスになる。この後、熱分解により生じたHCl
は反応室内に導入される。この反応室において酸化性雰
囲気である酸素11700cc/分および水素6000cc/分と混
合される。
【0037】ここで、酸素はトランス1,2ジクロロエ
チレンとの反応に寄与するとともに、水素H2とも燃焼
反応を生じ、酸化性雰囲気としては水蒸気が発生する。
もちろん、本実施例のごとき予備室を用いず、直接反応
室内でトランス1,2ジクロロエチレンと酸素ガス1200
0cc/分,水素6000cc/分と混合してもよい。
【0038】図3はトランス1,2ジクロロエチレンを
添加した酸化の温度,ガス,処理時間のシーケンスを示
す図である。酸化温度は900℃であり、酸化時間は8分3
0秒である。トランス1,2ジクロロエチレンは必ず酸
素ガスとともに導入しなければならない。もし酸素の量
が不足した場合は、反応により猛毒のホスゲンが発生す
ると同時に、炭素が析出するので必ずトランス1,2ジ
クロロエチレンに対し十分な量の酸素を供給する必要が
ある。ただし、本実施例では予備室8にトランス1,2
ジクロロエチレン12導入時に、反応に十分な酸素を供給
しているので問題ない。この処理により単結晶シリコン
上には膜厚20nmのシリコン酸化膜が成長する。
【0039】図4は本実施例により形成した膜厚20nmの
シリコン酸化膜を絶縁膜に持つMOS型容量のシリコン
酸化膜中の固定電荷密度を示す特性図である。横軸には
トランス1,2ジクロロエチレン添加量(重量%)、縦軸
には固定電荷密度をプロットしている。トランス1,2
ジクロロエチレン添加量0重量%は、従来のパイロフェ
ニック水蒸気酸化を意味している。図4の特性図からわ
かるように、固定電荷密度はトランス1,2ジクロロエ
チレンの添加とともに減少し、2.5〜5重量%の範囲で
最も減少し、その後は漸次増加する。しかし、いずれの
添加量においても従来のパイロジェニック水蒸気酸化に
比べ低く、膜中に固定電荷の少ない良好なシリコン酸化
膜が形成されていることがわかる。
【0040】図5はトランス1,2ジクロロエチレンの
添加量(重量%)に対する界面準位の変化を示した特性図
である。横軸にはシリコンバンドギャップ内のエネルギ
ー分布、縦軸に界面準位密度をとってある。この特性図
からわかるように、界面準位密度は5〜7.5重量%で最
も低くなることがわかる。
【0041】図6はTDDB(Time Dependent Diele
ctric Breakdown:経時絶縁破壊)特性の結果から、偶
発不良率Aと初期不良率Bのトランス1,2ジクロロエ
チレン添加量依存性を示す特性図である。横軸にはトラ
ンス1,2ジクロロエチレン添加量(重量%)、縦軸に不
良率(%)をとってある。ここで、偶発不良率Aは長期信
頼性を確保する上で最も重要な要因の1つであり、その
発生は不純物によるウィークスポットの発生によるもの
とされる。図6からトランス1,2ジクロロエチレン添
加量2.5〜7.5重量%で最も不良率が低くなることがわか
る。
【0042】図7は絶縁破壊に至る電荷量(QBD:Carg
e to Breakdown)のトランス1,2ジクロロエチレン添
加量依存性を示した特性図である。横軸にはトランス
1,2ジクロロエチレン添加量(重量%)、縦軸に絶縁破
壊に至る電荷量をとってある。ここで、絶縁破壊に至る
電荷量が大きいほど信頼性の高いシリコン酸化膜が得ら
れる。図7から絶縁破壊に至る電荷量はトランス1,2
ジクロロエチレン添加量の増加とともに大きくなってい
ることがわかる。これらのトランス1,2ジクロロエチ
レンによる界面特性,絶縁破壊特性の改善を、図8のト
ランス1,2ジクロロエチレン添加酸化の機構を示す図
を用いて説明する。
【0043】トランス1,2ジクロロエチレンは酸素と
混合され熱分解した後、HClとなる。Si(シリコン)基
板21はシリコン酸化膜形成前にはウェーハ洗浄を受ける
が、通常これらの洗浄によりシリコン表面には0.7〜1.3
nm程度の薄い自然酸化膜22が形成される。この自然酸化
膜22は洗浄中の不純物(主として重金属)23を含み、膜質
としては良いとはいえない(図8(A))。
【0044】すなわち、不純物23を含んだ上、シリコン
未結合手を多数含んだ不完全なシリコン酸化膜24である
といえる(図8(B))。
【0045】このまま、このシリコン基板21上に従来の
パイロジェニックス水蒸気酸化で酸化膜を形成すると、
形成された酸化膜は自然酸化膜22中の不純物23を取り込
んだ酸化膜となり、絶縁破壊耐圧および界面特性の良好
なものが得られにくい。これに対し、トランス1,2ジ
クロロエチレンを添加することで(図8(C))、分解反応
により生じたHClが酸化の初期の段階で、シリコン基
板21の表面の汚染物質を含んだ自然酸化膜22をエッチン
グするとともに、自然酸化膜22中の重金属,アルカリイ
オン等をゲッタリングする(図8(D))。
【0046】この自然酸化膜23をジャストエッチした状
態で、酸化反応がエッチング反応に対し支配的となり、
非常に清浄なシリコン基板21上に清浄なシリコン酸化膜
24が形成される(図8(E))。
【0047】このとき、ほぼ自然酸化膜23がジャストエ
ッチされるトランス1,2ジクロロエチレンの添加量
は、自然酸化膜厚が0.7〜0.9nmの場合、2.5〜7.5重量%
となることを発明者らは見出した。これ以上、過剰にト
ランス1,2ジクロロエチレンを添加した場合、逆にH
Clによるシリコン基板のオーバーエッチが生じ、シリ
コン基板の表面荒れ25を発生し、界面特性,絶縁破壊特
性ともに劣化する(図8(F))。もちろん、自然酸化膜厚
が厚い場合には、最適添加量はさらに多くなることはい
うまでもない。
【0048】図9は自然酸化膜厚が1.1〜1.3nmの場合の
TDDB特性の偶発不良率のトランス1,2ジクロロエ
チレン添加量依存性を示した特性図である。横軸にはト
ランス1,2ジクロロエチレン添加量(重量%)、縦軸に
偶発不良率(%)をとってある。自然酸化膜厚が0.7〜0.9
nmの場合、偶発不良率が最低になるのは5重量%付近で
あったが、この場合、10重量%でも不良率は低下してい
る。この結果は発明者らの検討結果を裏づけている。
【0049】また、発明者らの検討によれば、トランス
1,2ジクロロエチレンは酸化処理の当初から酸化処理
の終了まで添加してもよいが、シリコン酸化膜の特性を
決定しているのは酸化の初期の段階であることがわかっ
た。このため、トランス1,2ジクロロエチレンを添加
し、自然酸化膜がエッチングされ、酸化が5nm程度進行
すれば、もはやトランス1,2ジクロロエチレンの効果
は顕著ではなくなる。
【0050】もちろん、雰囲気中に存在する重金属やア
ルカリイオンのゲッタリングに対しては、トランス1,
2ジクロロエチレンは依然効果を発揮すると考えられる
が、シリコン基板表面での反応への寄与分は小さいた
め、トランス1,2ジクロロエチレンの添加を酸化が5
nmまで進行するまでに限定することができる。これによ
り、トランス1,2ジクロロエチレンの使用量を著しく
抑制することが可能となる。
【0051】図10は酸化初期にのみトランス1,2ジク
ロロエチレン添加を行うシリコン酸化膜形成の温度,ガ
ス,処理時間のシーケンスを示す図である。また図11
は、このように酸化膜が5nmまで成長する間のみトラン
ス1,2ジクロロエチレンを添加した(本実施例の場
合、約100秒間)場合のMOS型容量の絶縁不良率のトラ
ンス1,2ジクロロエチレン添加濃度依存性を示した特
性図である。横軸にトランス1,2ジクロロエチレン添
加量(重量%)、縦軸に不良率(%)を示す。この図からわ
かるように、酸化の初期のみトランス1,2ジクロロエ
チレンを添加した場合でもトランス1,2ジクロロエチ
レンの添加とともに不良率は低下しており、本形成方法
の有効性が示されている。なお、本実施例では、酸化性
雰囲気をパイロジェニック水蒸気雰囲気としたが、乾燥
酸素雰囲気中においても同様の効果が得られることはい
うまでもない。
【0052】なお、本発明において有機塩素のオゾン層
破壊の危険性を指摘しており、本発明のトランス1,2
ジクロロエチレンについては、ODPが0.0001以下であ
りオゾン層破壊を起こしにくいことを示しているが、本
発明のごとき酸化用途においては薬品は密閉した石英バ
ブラー中に貯蔵され、なおかつ使用に際しては380℃以
上の温度で酸素と反応し、C22Cl2+2O2→2HCl
+2CO2の形に完全に分解され、その際生じたHClは
水スクラバーなどにより完全に除去できるため、環境破
壊のおそれは極めて低い。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるシリ
コン酸化膜の形成方法によりトランス1,2ジクロロエ
チレンの使用量を著しく低減して、製造コストとともに
ライン作業者や地球環境に対する危険性を極めて低く
し、高信頼性で絶縁破壊耐圧の高いシリコン酸化膜を形
成することができ、そして、形成したシリコン酸化膜を
使用した半導体装置では、高絶縁耐圧,高信頼性,低界
面準位密度,高い耐ホットキャリア性および低リーク電
流などの特徴を持つため、より一層高性能かつ微細な半
導体集積回路を実現することができる。
【0054】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の半導体製造装置の概要図で
ある。
【図2】トランス1,2ジクロロエチレンの温度に対す
る蒸気圧の関係を示す特性図である。
【図3】トランス1,2ジクロロエチレンを添加した酸
化の温度,ガス,処理時間のシーケンスを示す図であ
る。
【図4】本発明の一実施例により形成したMOS型容量
のシリコン酸化膜中の固定電荷密度を示す特性図であ
る。
【図5】トランス1,2ジクロロエチレンの添加量に対
する界面準位の変化を示す特性図である。
【図6】TDDB特性より求めた偶発不良率と初期不良
率のトランス1,2ジクロロエチレン添加量依存性を示
す特性図である。
【図7】絶縁破壊に至る電荷量のトランス1,2ジクロ
ロエチレン添加量依存性を示す特性図である。
【図8】トランス1,2ジクロロエチレン添加酸化の機
構を示す図である。
【図9】自然酸化膜厚に対するTDDB特性の偶発不良
率のトランス1,2ジクロロエチレン添加量依存性を示
す特性図である。
【図10】酸化初期にのみトランス1,2ジクロロエチ
レン添加を行うシリコン酸化膜形成の温度,ガス,処理
時間のシーケンスを示す図である。
【図11】酸化初期にのみトランス1,2ジクロロエチ
レンを添加して形成したシリコン酸化膜の絶縁不良率の
特性図である。
【符号の説明】
1…ヒーター、 2…プロセスチューブ、 3…カンチ
レバー、 4…キャップ、 5…ボート、 6…シリコ
ンウェーハ、 7…予備室用ヒーター、 8…予備室、
9…恒温槽、 10…バブラー、 11…温度センサー、
12…トランス1,2ジクロロエチレン、 13…温度検
出器、 14…マイクロコンピュータ、 15…温度コント
ローラ、 16,17,18,19…流量制御素子、 21…Si
(シリコン)
【外5】 基板、22…自然酸化膜、23…Naなどのアルカリ
イオンまたはFeなどの重金属不純物、 24…シリコン
酸化膜、 25…シリコン表面荒れ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 21/316

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単結晶シリコン基板を酸化性雰囲気とト
    ランス1,2ジクロロエチレンの混合雰囲気により熱酸
    化し、シリコン酸化膜を形成する工程において、前記トランス1,2ジクロロエチレンを 前記熱酸化にお
    ける初期段階のみに添加し、その後の熱酸化においては
    前記トランス1,2ジクロロエチレンを添加しないこと
    を特徴とするシリコン酸化膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 前記トランス1,2ジクロロエチレンの
    酸化雰囲気中の酸素に対する含有量は、シリコン基板上
    の自然酸化膜厚が0.5〜1nmの範囲では2.0〜8.0重量%
    であり、シリコン基板上の自然酸化膜厚が1.0〜1.4nmの
    範囲では2.0〜14重量%であることを特徴とする請求項
    1記載のシリコン酸化膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 前記トランス1,2ジクロロエチレンの
    添加はシリコン酸化膜厚が5nmに成長するまで添加し、
    以後は添加を行わないことを特徴とする請求項1または
    2記載のシリコン酸化膜の形成方法。
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