JP3260890B2 - ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜およびその製造法 - Google Patents

ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜およびその製造法

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JP3260890B2
JP3260890B2 JP4103293A JP4103293A JP3260890B2 JP 3260890 B2 JP3260890 B2 JP 3260890B2 JP 4103293 A JP4103293 A JP 4103293A JP 4103293 A JP4103293 A JP 4103293A JP 3260890 B2 JP3260890 B2 JP 3260890B2
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宜文 岡本
満男 飯村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なミクロ構造を有す
るポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と
いう)多孔質膜およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】PTFE製多孔質膜は耐熱性、耐薬品
性、潤滑性、低摩擦性、電気絶縁性等の種々の特性に優
れており、例えば、濾過膜、電池用隔膜、電気絶縁材
料、人工血管等広範な分野で利用されている。
【0003】PTFE多孔質膜の製造法としては、特公
昭42−13560号公報や特公昭51−18991号
公報に記載された延伸法が知られている。この延伸法は
PTFE粉末と液状潤滑剤の混和物をフィルム状に成形
し、次いでこのフィルムを延伸して多孔質化するもので
あり、延伸後には、通常、PTFEの融点以上の温度で
加熱することにより焼成し多孔質膜の強度アップを図っ
ている。
【0004】上記公報に記載された方法の改良法とし
て、PTFE粉末と液体潤滑剤の混和物を成形し、次い
でこの成形物を延伸して多孔質化した後、熱収縮自由な
状態で327℃以上の温度で加熱して焼成し、その後再
度延伸する方法(特公昭52−26786号公報)や、
数平均分子量が1000万以上のPTFE粉末と液体潤
滑剤の混和物を成形し、次いでこの成形物を延伸し、そ
の後熱収縮防止状態で327℃以上の温度で加熱して焼
成する方法(特開昭60−104319号公報)も知ら
れている。これら両法は前者が約1500オングストロ
ーム以下、後者が約0.2μm以下の特に微細な孔を有
する多孔質膜を得るために開発されたものである。
【0005】これら延伸法によって得られるPTFE多
孔質膜は、例えば、特公昭51−18991号公報にお
いて紹介されているように、多数の結節(結節は延伸方
向に直交する方向に配向している)と、延伸方向に沿っ
て配向され且つ結節相互を連結する多数の繊維から成る
ミクロ構造を有することが知られている。そして、これ
ら多孔質膜における繊維の配向方向は表面部分と内部で
同じである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、PTFE多
孔質膜を濾過膜として用い、異なる成分の濾別、濃縮、
分画等を行う場合、処理量をいかに多くするかはコスト
の点から重要な問題である。
【0007】処理量は濾過膜の孔径を大きくすることあ
るいは濾過膜の単位面積当たりの孔数の大幅な増加によ
りで達成できると考えられる。しかし、前者の方法は濾
別、濃縮、分画機能の低下が不可避的であり、採用は困
難である。また、後者の方法は理論的には妥当性を有す
るが、既知のPTFE多孔質膜に比べ単位面積当たりの
孔数の大幅に増加した濾過膜を工業的に製造し得る技術
が未だ開発されていないのが現状である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は従来技術の有
する上記問題を解決するため鋭意研究の結果、従来のP
TFE多孔質膜とは異なるミクロ構造を有する膜によれ
ば、濾別、濃縮、分画等の機能を低下させることなく、
処理量を高レベルにできることを見出し、本発明を完成
するに至ったものである。
【0009】即ち、本発明に係るPTFE多孔質膜は結
節と、結節相互を連結する繊維から成るPTFE多孔質
膜であり、表面部分における繊維の配向方向と内部にお
ける繊維の配向方向が異なることを特徴とするものであ
る。
【0010】本発明に係るPTFE多孔質膜の表面およ
び内部のミクロ構造は走査型電子顕微鏡(Scanni
ng Electron Microscope、以
下、「SEM」という)を用い倍率約2000〜300
00倍で観察することにより知ることができる。PTF
E多孔質膜の表面をSEMにより観察することは既によ
く行われており、本発明に係るPTFE多孔質膜の表面
(この面は多孔質膜の一方の面あるいはその反対面のい
ずれでもよい)のミクロ構造の観察も従来と同様にして
行うことができ、特殊な操作を要しない。一方、内部の
ミクロ構造は、例えば、予め多孔質膜に切り欠きを入
れ、多孔質膜表面に粘着テープを貼着し、その後該テー
プを剥離し、この際に多孔質膜の表面部分を同時に剥離
することにより内部を露出させ、これを観察することに
より知ることができる。剥離により除去する表面部分の
厚さは通常約3〜30μmである。
【0011】図1は本発明に係るPTFE多孔質膜の表
面部分のミクロ構造の実例を示すSEM写真であり、図
2は内部のミクロ構造の実例を示すSEM写真である。
図1および図2から本発明に係るPTFE多孔質膜は表
面部分、内部のいずれにおいても多数の結節と、隣接す
るあるいは近くの結節相互を連結する多数の繊維からな
り、更に、繊維と繊維の間の空隙が微細孔であるミクロ
構造を有していることが判る。
【0012】そして、図1と図2の対比から、表面部分
における繊維の配向方向と内部における繊維の配向方向
が異なっていることも判る。この実例では表面部分にお
ける繊維の配向方向と内部における繊維の配向方向はほ
ぼ直交している(繊維の配向方向が約90°異なる)。
このように表面部分と内部における繊維の配向方向が異
なることが本発明に係る多孔質膜の最大の特徴であり、
かようなミクロ構造は従来のPTFE多孔質膜と全く異
なる新規なものである。また、この例に示す多孔質膜に
おいては表面部分における結節の大きさが内部における
結節の大きさに比べ巨大であることも判る。
【0013】かようなミクロ構造を有するPTFE多孔
質膜によれば、何故、濾別、濃縮、分画等の機能を維持
して処理量を増加できるのかは未だ解明されていない
が、実施例に示される如く、その効果が確認された。
【0014】次に、本発明に係るPTFE多孔質膜の製
造法について述べる。この方法は結晶化熱が18J/g
以下のPTFE粉末と液状潤滑剤の混和物をフィルム状
に成形し、次いでこのフィルムを一軸延伸し、その後該
延伸方向の寸法を規制するかあるいは全収縮させない範
囲で収縮させながらPTFEの融点以上の温度に加熱し
て焼成し、次に前記延伸方向と直交する方向に延伸する
ことを特徴とするものである。
【0015】本発明に係る方法には結晶化熱が18J/
g以下のPTFE粉末を用いる必要がある。結晶化熱が
18J/gよりも大きなPTFE粉末を用いると、表面
部分と内部の繊維の配向方向の異なる多孔質膜を得るこ
とができない。
【0016】PTFE粉末の結晶化熱は示差走査熱量計
(Defferential Scanning Ca
lorimeter、以下、「DSC」という)により
測定できることは既に知られている。従って、本発明に
おいてもこの方法によりPTFE粉末の結晶化熱を測定
できる。例えば、PTFE粉末約10mgを採取して精
秤し、これを試料として初期設定温度200℃、昇温速
度10℃/min、最高到達温度380℃、降温速度1
0℃/min、降温最終温度200℃の温度条件で図3
に示すようなDSC曲線をチャート紙に採る。そして、
このDSC曲線から常法に従ってピーク面積(J)を算
出し、その後、ピーク面積を試料重量(g)で除するこ
とにより結晶化熱(J/g)を求めることができる。
【0017】また、本発明においてはPTFE粉末とし
て粒径が0.25μm以上の一次粒子から得られる二次
粒子を用いることが好ましい。液状潤滑剤と混和して成
形するPTFE粉末は「ファインパウダー」とも呼ば
れ、このファィンパウダーはテトラフルオロエチレンを
水中で乳化重合させることによりPTFEの一次粒子を
生成させ、次いでこの一次粒子を凝析や高速攪拌により
二次粒子化し、次いで水と分離し、更にこれを乾燥して
製造される。そして、本発明においては上記したように
このファィンパウダーとして粒径が0.25μm以上の
一次粒子を二次粒子化させたものを使用することが好ま
しい。
【0018】なお、二次粒子としてのファインパウダー
を得るのに用いた一次粒子の粒径は、例えば、二次粒子
を約10000倍の倍率でSEM観察することにより求
めることができる。PTFEの一次粒子(この粒子は球
状体乃至楕円体である)の長径および短径を求め、長径
と短径を合計した値を「2」で除して一次粒子径とす
る。
【0019】本発明の方法においては、先ず、PTFE
粉末と液状潤滑剤の混和物がフィルム状に成形される。
混和物の成形は押出および/または圧延によるが、他の
成形方法、例えば、圧縮等を付加的に行ってもよい。こ
の工程において重要なことはPTFE粉末として上記し
たように結晶化熱が18J/g以下のものを用いること
であり、その他の点は従来から行われているPTFEの
ペースト成形と同様であってよい。
【0020】従って、液状潤滑剤としてはPTFE粉末
を濡らすことができ、成形後の適当な段階に抽出や蒸発
により除去できるものが使用でき、その具体例としては
流動パラフィン、ナフサ、ホワイトオイル等の炭化水素
油、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アルコ
ール類、ケトン類、エステル類、シリコーンオイル、フ
ルオロクロロカーボンオイル、界面活性剤を含む水等が
挙げられる。
【0021】この際のPTFE粉末と液状潤滑剤との混
和の割合は他の添加剤の有無等によっても変わ得るが、
通常、PTFE粉末100重量部に対し、液状潤滑剤5
〜50重量部である。
【0022】また、PTFE粉末と液状潤滑剤に加え、
種々の添加剤、例えば、着色のための顔料、圧縮に対す
る強度の向上、耐摩耗性の向上等のためにカーボンブラ
ック、グラファイト、シリカ粉、ガラス粉、金属粉、金
属酸化物粉、金属硫化物粉等を混和することもできる。
【0023】このようにして混和物をフィルム状に成形
した後、これを一軸延伸する。延伸はPTFEの融点よ
りも低い温度であれば限定されないが、作業性の点から
は約50〜250℃が好ましい。なお、この成形物は液
状潤滑剤を含有しているので、延伸に先立ち、抽出法、
加熱法あるいはこれらを組み合わせた方法により該潤滑
剤を除去しておくことができる。勿論、延伸を加熱条件
下で行う場合には延伸時に液状潤滑剤を蒸発除去させて
もよく、あるいは延伸後に除去するようにしてもよい。
【0024】フィルム状成形物を一軸延伸する際の延伸
率は表面部分と内部における繊維の配向方向の異なる多
孔質膜を得るために、30〜300%が好ましく、50
〜250%がより好ましいことが判明している。この一
軸延伸によりフィルムは多孔質化するが、この段階では
そのミクロ構造は何ら特異ではない。即ち、この一軸延
伸フィルムは、従来の延伸PTFE多孔質膜と同様に多
数の結節とこれら結節を連結する多数の繊維から成り
(繊維と繊維の間の空隙が微細孔である)、繊維は延伸
方向に沿って配向(延伸方向と同方向に配向)し、この
繊維の配向方向は表面部分と内部とで何ら異なることな
く同じである。
【0025】かようにして多孔質化されたフィルム状物
は次いで加熱により焼成される。加熱温度はPTFEの
融点以上であればよいが、フィルム状物の変質防止等の
ためには340〜410℃が好ましい。焼成時間は温
度、フィルム厚さ、加熱方法等により変わり得るが、通
常、約1〜10分である。
【0026】延伸されたフィルムは加熱により延伸方向
の寸法が延伸前の寸法まで収縮する性質があるが、この
焼成は延伸されたフィルム状物の延伸方向の寸法が変化
しないように規制するか、あるいは全収縮(延伸前の寸
法まで収縮)させないように収縮させながら行う。収縮
させながら行う場合の収縮の程度は、一軸延伸時の延伸
率、目的とする多孔質膜の孔径等に応じて変わり得る
が、60%以下が好ましい。この収縮率(%)は焼成前
の寸法L0 (フィルム状物を多孔質化させるために行っ
た一軸延伸時における延伸方向の寸法)と、焼成後の寸
法L1 に基づき下記の数1により算出される値である。
【0027】
【数1】
【0028】上記のように延伸方向の寸法を規制あるい
は全収縮させないようにして焼成すると、表面部分は溶
融により結節および繊維が共に消滅し実質的に無孔構造
となり、一方、内部は繊維長さが若干短くなり微細孔の
孔径が小さくなる傾向があるものの結節と結節相互を連
結する繊維から成り、且つ繊維が延伸方向に沿って配向
しているという基本的なミクロ構造は変化せずに保存さ
れる。ただし、焼成時に前記収縮率が60%を越えるよ
うな場合には、内部においても結節および繊維が激減乃
至消滅してしまい、次工程での延伸を行っても表面部分
と内部の繊維の配向の異なる多孔質膜を得ることが困難
になるので、この点には充分注意する必要がある。
【0029】焼成されたフィルム状物の表面が上記した
ように実質的に無孔構造であることは、該フィルム表面
をSEMにより観察することによって確認でき、また、
該フィルム状物を濾過膜として液体の透過試験を行うと
フラックス(液透過量)が実質的に「0」であることか
らも確認できる。
【0030】本発明の方法においては次いで焼成フィル
ムが前記一軸延伸時の延伸方向に直交する方向に延伸さ
れる。この延伸もPTFEの融点以下好ましくは80〜
300℃の温度条件下で行う。延伸率は特に限定されな
いが、通常、約50〜500%である。
【0031】そして、この延伸により、表面部分には多
数の結節と、これら結節相互を連結する多数の繊維が再
形成され、該表面部分は再び多孔質構造(繊維と繊維の
間の空隙が微細孔である)となる。そして、この表面部
分の繊維は延伸方向(即ち、焼成後の延伸時における延
伸方向)に沿って配向している。一方、内部のミクロ構
造は微細孔の径が拡大すること以外は殆ど変化しない。
その結果、表面部分と内部における繊維の配向方向は異
なるものとなり、目的とする多孔質膜が得られる。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。
【0033】実施例1 粒径0.51μmの一次粒子を二次粒子化したPTFE
粉末(結晶化熱12.6J/g、平均粒径450μm)
100重量部に対し、33重量部の流動パラフィンを均
一に混合し、この混和物を圧力20kg/cm2 の条件
で圧縮予備成形し、次いで押出成形により直径20mm
のロッド状とし、これを金属製圧延ロールにより圧延し
て厚さ150μmの長尺フィルム状とし、トリクロロエ
チレン中に浸漬して流動パラフィンを抽出除去する。
【0034】このフィルム状物を温度200℃で長尺方
向に延伸率が100%になるように一軸延伸する。次
に、その長尺方向の寸法が変化しないように規制して温
度355℃で5分間加熱することにより焼成する。そし
て、その後温度150℃で幅方向(長尺方向に直交する
方向)に延伸率が200%なるように延伸し厚さ約80
μmの多孔質膜を得た。
【0035】この多孔質膜の表面および内部のミクロ構
造をSEMにより観察した写真を図1および2(倍率は
いずれも10000倍)として示す。内部の観察は多孔
質膜の一方の表面に粘着テープ(日東電工社製、商品名
No. 375)を貼着した後この粘着テープを剥離し、テ
ープ剥離時に多孔質膜の表面部分を同時に剥離(剥離厚
さ約10μm)することにより内部を露出させて行っ
た。なお、多孔質膜の粘着テープ貼着面には、該テープ
の貼着に先立ちナイフにより切り欠きを入れておいたの
で、表面部分の剥離は容易に行うことができた。
【0036】図1および図2からこの多孔質膜のミクロ
構造は、多数の結節と、これら結節相互を連結する繊維
から成り、表面部分においては繊維が焼成後における延
伸方向(図中の矢印X方向)に沿って配向し、内部にお
いては焼成前における延伸方向(図中の矢印Y)に沿っ
て配向しており、表面部分と内部における繊維の配向方
向がほぼ直交するものであることが判る。
【0037】この多孔質膜を濾過膜とし、粒径0.10
5μmのスチレンラテックスを100ppmの濃度で含
む水を差圧380mmHgで透過させて、ラテックス除
去率を測定したところ、92%であった。また、AST
M−F317−72に規定される方法でエタノールフラ
ックスを測定したところ、3.8ml/cm2 ・min
であった。
【0038】実施例2 粒径0.42μmの一次粒子を二次粒子化したPTFE
粉末(結晶化熱15.2J/g、平均粒径480μm)
を用いること以外は実施例1と同様にして多孔質膜(厚
さ約80μm)を得た。
【0039】この多孔質膜のミクロ構造も図1および図
2に示すのと同様に、多数の結節と、これら結節相互を
連結する繊維から成り、表面部分においては繊維が焼成
後における延伸方向(図中の矢印X方向)に沿って配向
し、内部においては焼成前における延伸方向(図中の矢
印Y)に沿って配向しており、表面部分と内部における
繊維の配向方向がほぼ直交するものであった。
【0040】この多孔質膜について実施例1と同様な試
験を行ったところ、ラテックス除去率は61%、フラッ
クスは4.0ml/cm2 ・minであった。
【0041】実施例3 粒径0.30μmの一次粒子を二次粒子化したPTFE
粉末(結晶化熱17.0J/g、平均粒径480μm)
を用いること以外は実施例1と同様にして多孔質膜(厚
さ約80μm)を得た。
【0042】この多孔質膜のミクロ構造も図1および図
2に示すのと同様に、多数の結節と、これら結節相互を
連結する繊維から成り、表面部分においては繊維が焼成
後における延伸方向(図中の矢印X)に沿って配向し、
内部においては繊維が焼成前における延伸方向(図中の
矢印Y)に沿って配向しており、表面部分と内部におけ
る繊維の配向方向がほぼ直交するものであった。
【0043】この多孔質膜について実施例1と同様な試
験を行ったところ、ラテックス除去率は50%、フラッ
クスは4.2ml/cm2 ・minであった。
【0044】実施例4 一軸延伸時における延伸率を180%とすること、およ
び一軸延伸時における延伸方向の寸法を30%収縮させ
ながら焼成を行うこと以外は以外は実施例1と同様に作
業して多孔質膜(厚さ約80μm)を得た。
【0045】この多孔質膜も図1および図2に示すのと
同様に、多数の結節と、結節相互を連結する繊維から成
り、表面部分においては繊維が焼成後における延伸方向
(図中の矢印X)に沿って配向し、内部においては繊維
が焼成前における延伸方向(図中の矢印Y)に沿って配
向しており、表面部分と内部における繊維の配向方向が
ほぼ直交するものであった。
【0046】この多孔質膜について実施例1と同様な試
験を行ったところ、ラテックス除去率は71%、フラッ
クスは4.4ml/cm2 ・minであった。
【0047】実施例5 一軸延伸時における延伸率を230%とすること、およ
び一軸延伸時における延伸方向の寸法を50%収縮させ
ながら焼成を行うこと以外は以外は実施例1と同様に作
業して多孔質膜(厚さ約90μm)を得た。
【0048】この多孔質膜も図1および図2に示すのと
同様に、多数の結節と、結節相互を連結する繊維から成
り、表面部分においては繊維が焼成後における延伸方向
(図中の矢印X)に沿って配向し、内部においては繊維
が焼成前における延伸方向(図中の矢印Y)に沿って配
向しており、表面部分と内部における繊維の配向方向が
ほぼ直交するものであった。
【0049】この多孔質膜について実施例1と同様な試
験を行ったところ、ラテックス除去率は81%、フラッ
クスは3.2ml/cm2 ・minであった。
【0050】比較例1 結晶化熱22J/g、平均粒径500μmのPTFE粉
末を用いること以外は実施例1と同様に作業して多孔質
膜を得た。この多孔質膜のミクロ構造を実施例と同様に
して観察したところ、内部には焼成前の延伸方向に沿っ
て配向した繊維が認められるものの、表面には繊維がほ
とんど認められず、また、形成された孔も粗大なもので
あった。
【0051】この多孔質膜について実施例1と同様な試
験を行ったところ、ラテックス除去率は2%、フラック
スは2.1ml/cm2 ・minであった。
【0052】比較例2 実施例1と同様にしてPTFE粉末と流動パラフィンの
混合、圧縮予備成形、押出成形、圧延、流動パラフィン
の抽出除去および長尺方向への一軸延伸を行う。次い
で、温度150℃で幅方向に延伸率が200%になるよ
うに延伸、その後両方向の寸法が変化しないように規制
して温度350℃で5分間加熱することにより焼成し、
厚さ約90μmの多孔質膜を得た。
【0053】この多孔質膜のミクロ構造を実施例と同様
にして観察したところ、表面と内部で同じであり、多数
の結節と、結節相互を連結する多数の繊維から成り、且
つ繊維は結節から放射状に伸びていることが確認され
た。
【0054】この多孔質膜について実施例1と同様な試
験を行ったところ、ラテックス除去率は38%、フラッ
クスは4.7ml/cm2 ・minであった。
【0055】
【発明の効果】本発明は上記のように構成され、表面部
分と内部における繊維の配向方向が異なるミクロ構造を
しているので、濾過機能に優れているばかりでなく、単
位時間当たりの処理量も大きいという利点がある。ま
た、本発明の製造法によれば、この新規なミクロ構造を
有する多孔質膜を容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るPTFE多孔質膜の表面部分に
おける配向された繊維の形状を示すSEM写真である。
【図2】 本発明に係るPTFE多孔質膜の内部におけ
る配向された繊維の形状を示すSEM写真である。
【図3】 本発明に用いるPTFE粉末の結晶化熱を求
めるためのDSC曲線である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特公 昭52−26786(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 9/24,9/00,9/28

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結節と結節相互を連結する繊維から成る
    ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜であり、表面部分
    における繊維の配向方向と内部における繊維の配向方向
    が異なることを特徴とするポリテトラフルオロエチレン
    多孔質膜。
  2. 【請求項2】 結晶化熱が18J/g以下のポリテトラ
    フルオロエチレン粉末と液状潤滑剤の混和物をフィルム
    状に成形し、次いでこのフィルムを一軸延伸し、その後
    該延伸方向の寸法を規制するかあるいは全収縮させない
    範囲で収縮させながらポリテトラフルオロエチレンの融
    点以上の温度に加熱して焼成し、次に前記延伸方向と直
    交する方向に延伸することを特徴とするポリテトラフル
    オロエチレン多孔質膜の製造法。
  3. 【請求項3】 粒径が0.25μm以上の一次粒子から
    形成したポリテトラフルオロエチレンの二次粒子粉末を
    用いる請求項2記載のポリテトラフルオロエチレン多孔
    質膜の製造法。
JP4103293A 1993-03-02 1993-03-02 ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜およびその製造法 Expired - Lifetime JP3260890B2 (ja)

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