JP3260680B2 - バタフライ弁 - Google Patents
バタフライ弁Info
- Publication number
- JP3260680B2 JP3260680B2 JP35011897A JP35011897A JP3260680B2 JP 3260680 B2 JP3260680 B2 JP 3260680B2 JP 35011897 A JP35011897 A JP 35011897A JP 35011897 A JP35011897 A JP 35011897A JP 3260680 B2 JP3260680 B2 JP 3260680B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- valve body
- seat ring
- resin
- valve
- outer shell
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Lift Valve (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する分野】この発明は、耐食性を有する偏心
形大口径弁の弁本体及びシートリング並びにその製造方
法に関する。
形大口径弁の弁本体及びシートリング並びにその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、腐食性を有する流体を取り扱うバ
タフライ弁は、ステンレス鋼、ニッケル合金等の金属材
料が、また弾性材料としては、フッ素ゴム、フッ素樹脂
などが、流体通過部分である弁本体、弁体、弁棒及びシ
ートリングに適宜使用されており、特公昭55−149
38号公報、実公昭62−2362号公報等に開示され
ている。しかしながら、これらの材料は、一般的に高価
であり、また市場性、加工性に問題があった。
タフライ弁は、ステンレス鋼、ニッケル合金等の金属材
料が、また弾性材料としては、フッ素ゴム、フッ素樹脂
などが、流体通過部分である弁本体、弁体、弁棒及びシ
ートリングに適宜使用されており、特公昭55−149
38号公報、実公昭62−2362号公報等に開示され
ている。しかしながら、これらの材料は、一般的に高価
であり、また市場性、加工性に問題があった。
【0003】特公昭55−14938号公報に開示され
たバタフライ弁は、図6,7に示すように弁本体(1)内
に横断面形状が略コ字状でその外周部に突縁(3)を形成
し、内周部に横向きの舌状部(4)を形成した四弗化エチ
レン樹脂等の材料からなるシートリング(2)を備え、該
シートリング(2)の内周面の舌状部(4)を弁体の外周エ
ッジ部(11)に接触させるとともに、コ字状部分が嵌合す
る凹部(6)を側面に形成したシートリング押え(5)の外
より側面にダブリング(7)を当接し、さらにロードリン
グ(8)を螺着し、押ネジ(9)により圧着せしめて、シー
トリング(2)の突縁(3)を弁本体(1)に締め付けて固定
している。更に、前記舌状部(4)には、別体のステンレ
ス鋼からなるシートリング定着溝付きリング(10)を遊嵌
させて、シートリング(2)の収縮を制限するようにして
いる。実公昭62−2362号公報に開示されたバタフ
ライ弁は、図8に示すように本体(11)の内面に蟻溝状の
シートリング定着用の凹部(13)を形成し、該凹部(13)か
ら本体内面に亘ってΩ状の条体(17)を配設し、該条体(1
7)内にシール材(12)を挿入し、シール材(12)の背面側か
ら樹脂(14)を充填し、条体(17)の両端部はゴムライニン
グ(15)の端部と傾斜重合面(16)で積層するか接着してい
る。
たバタフライ弁は、図6,7に示すように弁本体(1)内
に横断面形状が略コ字状でその外周部に突縁(3)を形成
し、内周部に横向きの舌状部(4)を形成した四弗化エチ
レン樹脂等の材料からなるシートリング(2)を備え、該
シートリング(2)の内周面の舌状部(4)を弁体の外周エ
ッジ部(11)に接触させるとともに、コ字状部分が嵌合す
る凹部(6)を側面に形成したシートリング押え(5)の外
より側面にダブリング(7)を当接し、さらにロードリン
グ(8)を螺着し、押ネジ(9)により圧着せしめて、シー
トリング(2)の突縁(3)を弁本体(1)に締め付けて固定
している。更に、前記舌状部(4)には、別体のステンレ
ス鋼からなるシートリング定着溝付きリング(10)を遊嵌
させて、シートリング(2)の収縮を制限するようにして
いる。実公昭62−2362号公報に開示されたバタフ
ライ弁は、図8に示すように本体(11)の内面に蟻溝状の
シートリング定着用の凹部(13)を形成し、該凹部(13)か
ら本体内面に亘ってΩ状の条体(17)を配設し、該条体(1
7)内にシール材(12)を挿入し、シール材(12)の背面側か
ら樹脂(14)を充填し、条体(17)の両端部はゴムライニン
グ(15)の端部と傾斜重合面(16)で積層するか接着してい
る。
【0004】特公昭55−14938号公報に開示のバ
タフライ弁にあっては、常温から極低温域流体において
も、シートリング(2)の材料の線膨張係数がシートリン
グ押え(5)、シートリング定着溝付きリング(10)のそれ
より大きいので、シートリング(2)は内径方向に縮まら
ないようになっている。しかしながら、シートリングを
含むシートリング押え、シートリング定着溝付きリング
に隣接する部材の多くは薄肉形状であり、これらを精密
に切削加工することはきわめて困難であった。また、実
公昭62−2362号公報に開示のバタフライ弁にあっ
ては、凹部(13)の加工精度が重要であり、特に弁軸周辺
はより加工が困難である。また、条体(17)は凹部(13)内
に配設するために湾曲部と筒状部とに分割されており、
両部の接合が困難であると共に、筒状部の端部はゴムラ
イニング(15)の端部に傾斜重合面(16)で接合されるた
め、接合部からの流体の浸食も問題であった。
タフライ弁にあっては、常温から極低温域流体において
も、シートリング(2)の材料の線膨張係数がシートリン
グ押え(5)、シートリング定着溝付きリング(10)のそれ
より大きいので、シートリング(2)は内径方向に縮まら
ないようになっている。しかしながら、シートリングを
含むシートリング押え、シートリング定着溝付きリング
に隣接する部材の多くは薄肉形状であり、これらを精密
に切削加工することはきわめて困難であった。また、実
公昭62−2362号公報に開示のバタフライ弁にあっ
ては、凹部(13)の加工精度が重要であり、特に弁軸周辺
はより加工が困難である。また、条体(17)は凹部(13)内
に配設するために湾曲部と筒状部とに分割されており、
両部の接合が困難であると共に、筒状部の端部はゴムラ
イニング(15)の端部に傾斜重合面(16)で接合されるた
め、接合部からの流体の浸食も問題であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、従来のバ
タフライ弁にみられた前記した問題を解決し、特にシー
トリング定着溝の加工を容易にすると共に、シートリン
グの定着固定が安定し、流体の漏洩を確実に防止できる
ようにすることを課題とする。
タフライ弁にみられた前記した問題を解決し、特にシー
トリング定着溝の加工を容易にすると共に、シートリン
グの定着固定が安定し、流体の漏洩を確実に防止できる
ようにすることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に第一の発明が採った手段は、円筒状の流体通路を貫設
した剛性材料からなる弁本体内に、円板状の弁体をその
中心を弁棒に対して偏心させて回転自在に軸支し、弁本
体の内周面に弁体の外周縁が圧接するシートリングを定
着してなる偏心形バタフライ弁において、弁本体の両端
面、内周面、弁棒挿通部及びシートリング定着溝を耐食
性の樹脂からなる樹脂ライニング層で被覆し、弁本体両
端面及び内周面に抜止溝を形成し、樹脂ライニング層を
該抜止溝に投錨状態で定着し、樹脂ライニング層を最内
部を弁本体と親和性のある金属皮膜とし、最外部をフッ
素樹脂被膜とし、両皮膜の間に両皮膜に親和性を有する
被膜を配した複数の異なる被膜で構成し、シートリング
を耐食性の樹脂からなる外殻と該外殻内に挿入される弾
性体並びに外殻内に弁本体外部から注入され外殻をシー
トリング定着溝に抜止状態で係合する樹脂充填材とで構
成し、該シートリングの外殻をフッ素樹脂で形成したこ
とを特徴とする。
に第一の発明が採った手段は、円筒状の流体通路を貫設
した剛性材料からなる弁本体内に、円板状の弁体をその
中心を弁棒に対して偏心させて回転自在に軸支し、弁本
体の内周面に弁体の外周縁が圧接するシートリングを定
着してなる偏心形バタフライ弁において、弁本体の両端
面、内周面、弁棒挿通部及びシートリング定着溝を耐食
性の樹脂からなる樹脂ライニング層で被覆し、弁本体両
端面及び内周面に抜止溝を形成し、樹脂ライニング層を
該抜止溝に投錨状態で定着し、樹脂ライニング層を最内
部を弁本体と親和性のある金属皮膜とし、最外部をフッ
素樹脂被膜とし、両皮膜の間に両皮膜に親和性を有する
被膜を配した複数の異なる被膜で構成し、シートリング
を耐食性の樹脂からなる外殻と該外殻内に挿入される弾
性体並びに外殻内に弁本体外部から注入され外殻をシー
トリング定着溝に抜止状態で係合する樹脂充填材とで構
成し、該シートリングの外殻をフッ素樹脂で形成したこ
とを特徴とする。
【0007】又、第二の発明は、円筒状の流体通路を貫
設した剛性材料からなる弁本体内に、円板状の弁体をそ
の中心を弁棒に対して偏心させて回転自在に軸支し、弁
本体の内周面に弁体の外周縁が圧接するシートリングを
定着し、弁本体の両端面、内周面、弁棒挿通部及びシー
トリング定着溝を耐食性の樹脂からなる樹脂ライニング
層で被覆し、弁本体両端面及び内周面に抜止溝を形成
し、樹脂ライニング層を該抜止溝に投錨状態で定着し、
樹脂ライニング層を最内部を弁本体と親和性のある金属
皮膜とし、最外部をフッ素樹脂被膜とし、両皮膜の間に
両皮膜に親和性を有する被膜を配した複数の異なる被膜
で構成し、シートリングを耐食性を有したフッ素樹脂か
らなる外殻と該外殻内に挿入される弾性体並びに樹脂充
填材とで構成した偏心形バタフライ弁であって、前記弁
本体内周面に形成したシートリング定着溝に挿入される
フッ素樹脂製の外殻を弁体の外周縁に当接しつつ、弁本
体外方から外殻内に樹脂充填材を加圧注入し硬化させ
て、シートリング定着溝に抜止状態で係合させるように
したことを特徴とする偏心形バタフライ弁のシートリン
グ製造方法である。
設した剛性材料からなる弁本体内に、円板状の弁体をそ
の中心を弁棒に対して偏心させて回転自在に軸支し、弁
本体の内周面に弁体の外周縁が圧接するシートリングを
定着し、弁本体の両端面、内周面、弁棒挿通部及びシー
トリング定着溝を耐食性の樹脂からなる樹脂ライニング
層で被覆し、弁本体両端面及び内周面に抜止溝を形成
し、樹脂ライニング層を該抜止溝に投錨状態で定着し、
樹脂ライニング層を最内部を弁本体と親和性のある金属
皮膜とし、最外部をフッ素樹脂被膜とし、両皮膜の間に
両皮膜に親和性を有する被膜を配した複数の異なる被膜
で構成し、シートリングを耐食性を有したフッ素樹脂か
らなる外殻と該外殻内に挿入される弾性体並びに樹脂充
填材とで構成した偏心形バタフライ弁であって、前記弁
本体内周面に形成したシートリング定着溝に挿入される
フッ素樹脂製の外殻を弁体の外周縁に当接しつつ、弁本
体外方から外殻内に樹脂充填材を加圧注入し硬化させ
て、シートリング定着溝に抜止状態で係合させるように
したことを特徴とする偏心形バタフライ弁のシートリン
グ製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】この発明の好ましい実施の形態
を、以下に詳細に説明する。図1〜5は、この発明を適
用した偏心形バタフライ弁(100)を示しており、該バタ
フライ弁(100)は流体と接触する部分がフッ素樹脂で被
覆されており、腐食性の流体を取り扱う仕様に適してい
る。図1,2を参照して、バタフライ弁(100)は、円筒
状の流体通路を貫設した弁本体(101)、円板状の弁体(10
2)、弁棒(103)から構成され、弁本体(101)の内周面に
は、シートリング(104)が定着される。図3に示すよう
に、流過する流体と接触する弁本体(101)の内周面及び
弁棒挿通部には、腐食性の流体に対して耐食性の高い樹
脂からなる樹脂ライニング層(105)が施される。該樹脂
ライニング層を構成する樹脂としては、例えば4フッ化
エチレン・オレフィン共重合体(ETFE)のフッ素樹
脂、或は4フッ化エチレン・パーフロロアルコキシ基共
重合体(PFA)、ポリビニリデンフロライド(PVD
F)、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体
(FEP)等が好適である。
を、以下に詳細に説明する。図1〜5は、この発明を適
用した偏心形バタフライ弁(100)を示しており、該バタ
フライ弁(100)は流体と接触する部分がフッ素樹脂で被
覆されており、腐食性の流体を取り扱う仕様に適してい
る。図1,2を参照して、バタフライ弁(100)は、円筒
状の流体通路を貫設した弁本体(101)、円板状の弁体(10
2)、弁棒(103)から構成され、弁本体(101)の内周面に
は、シートリング(104)が定着される。図3に示すよう
に、流過する流体と接触する弁本体(101)の内周面及び
弁棒挿通部には、腐食性の流体に対して耐食性の高い樹
脂からなる樹脂ライニング層(105)が施される。該樹脂
ライニング層を構成する樹脂としては、例えば4フッ化
エチレン・オレフィン共重合体(ETFE)のフッ素樹
脂、或は4フッ化エチレン・パーフロロアルコキシ基共
重合体(PFA)、ポリビニリデンフロライド(PVD
F)、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体
(FEP)等が好適である。
【0009】シートリング(104)は、断面略三角形状で
底面を開放した筒状の外殻(106)と、該外殻(106)内に挿
入され外殻に弾性を付与する弾性体(107)及び外殻(106)
を所定の三角形状に維持する樹脂充填材(108)とからな
る。弁本体(101)の内周面には、該シートリングを装
入、保持する断面略三角形のシートリング定着溝(109)
が形成される。該シートリング定着溝(109)は、弁本体
の内方に向かって開放される。該シートリング定着溝(1
09)の内周面も、前記弁本体(101)の内周面を被覆する樹
脂ライニング層(105)で被覆されている。シートリング
(104)は、樹脂充填材(108)が充填されていない状態で、
外殻(106)と弾性体(107)をシートリング定着溝(109)内
に挿入した後、弁本体の外面からシートリング定着溝の
底面に連通している樹脂注入孔(110)を介して樹脂を充
填し、硬化させ樹脂充填材(108)を外殻(106)内に作出す
る。樹脂充填材(108)の充填により外殻(106)は三角形状
に維持され、シートリング定着溝(109)内に投錨状に係
止して抜け出しが阻止されることとなる。樹脂注入孔(1
10)の外端はプラグ(111)で閉塞される。樹脂注入孔(11
0)は、対称位置に複数個形成し、一方の注入孔に対して
他方を排気孔とするのが好ましい。
底面を開放した筒状の外殻(106)と、該外殻(106)内に挿
入され外殻に弾性を付与する弾性体(107)及び外殻(106)
を所定の三角形状に維持する樹脂充填材(108)とからな
る。弁本体(101)の内周面には、該シートリングを装
入、保持する断面略三角形のシートリング定着溝(109)
が形成される。該シートリング定着溝(109)は、弁本体
の内方に向かって開放される。該シートリング定着溝(1
09)の内周面も、前記弁本体(101)の内周面を被覆する樹
脂ライニング層(105)で被覆されている。シートリング
(104)は、樹脂充填材(108)が充填されていない状態で、
外殻(106)と弾性体(107)をシートリング定着溝(109)内
に挿入した後、弁本体の外面からシートリング定着溝の
底面に連通している樹脂注入孔(110)を介して樹脂を充
填し、硬化させ樹脂充填材(108)を外殻(106)内に作出す
る。樹脂充填材(108)の充填により外殻(106)は三角形状
に維持され、シートリング定着溝(109)内に投錨状に係
止して抜け出しが阻止されることとなる。樹脂注入孔(1
10)の外端はプラグ(111)で閉塞される。樹脂注入孔(11
0)は、対称位置に複数個形成し、一方の注入孔に対して
他方を排気孔とするのが好ましい。
【0010】シートリング(104)の外殻(106)は、4フッ
化エチレン樹脂(PTFE)又は4フッ化エチレン・パー
フロロアルコキシ基共重合体(PFA)のフッ素樹脂、或
は4フッ化エチレン・オレフィン共重合体(ETFE)、
4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体(FE
P)等で形成される。外殻(106)内に挿入される弾性体(1
07)は、弾性ゴム例えばフッ素ゴム(FKM)、シリコ
ンゴム(Si)等の耐薬品性、高反発弾性のゴムからな
る。又、樹脂充填材(108)は、例えば熱硬化性エポキシ
樹脂、又は常温硬化性樹脂等で形成される。
化エチレン樹脂(PTFE)又は4フッ化エチレン・パー
フロロアルコキシ基共重合体(PFA)のフッ素樹脂、或
は4フッ化エチレン・オレフィン共重合体(ETFE)、
4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合体(FE
P)等で形成される。外殻(106)内に挿入される弾性体(1
07)は、弾性ゴム例えばフッ素ゴム(FKM)、シリコ
ンゴム(Si)等の耐薬品性、高反発弾性のゴムからな
る。又、樹脂充填材(108)は、例えば熱硬化性エポキシ
樹脂、又は常温硬化性樹脂等で形成される。
【0011】弁本体(101)の内周面への樹脂ライニング
層(105)の形成は、特に口径500ミリ以上の大口径弁
に好適である。弁本体材質は、鋳鉄等の炭素鋼であり、
耐食性が乏しいため弁本体両端面、内周面、弁棒挿通部
及びシートリング定着溝を所定寸法に加工した後、その
表面をブラスト処理し樹脂ライニング層の密着性を高め
るために、金属溶射、例えばニッケル・クロム系のもの
を施す。これは鋳鉄とニッケル・クロム系金属との親和
性が高いことに基づいている。次いで、10%カーボン
繊維入りフッ素樹脂を施し、最後に純フッ素樹脂層を施
して、樹脂ライニング層を形成する。このように、隣接
する各層の材質の密着性を考慮することにより、樹脂ラ
イニング層の密着性を高め、製品の耐食性を向上するこ
とができると共に、弁本体内周面の流体仕様に応じた流
体の透過性、耐摩性の向上が可能となる。尚、複数のラ
イニング材質及び膜厚等は、上記に限定されるものでは
ない。材質としては、ニッケル・クロム系金属の他ブラ
スト処理等を用いることができる。また、カーボン繊維
入りフッ素樹脂に代って、ガラス繊維等を用いてもよ
い。金属溶射層の厚みは、50から150μmが好適で
あり、最も好ましくは100μmである。カーボン繊維
入りフッ素樹脂層の厚みは、200から600μmが好
ましく、純フッ素樹脂層の厚みは50から150μmが
好ましい。
層(105)の形成は、特に口径500ミリ以上の大口径弁
に好適である。弁本体材質は、鋳鉄等の炭素鋼であり、
耐食性が乏しいため弁本体両端面、内周面、弁棒挿通部
及びシートリング定着溝を所定寸法に加工した後、その
表面をブラスト処理し樹脂ライニング層の密着性を高め
るために、金属溶射、例えばニッケル・クロム系のもの
を施す。これは鋳鉄とニッケル・クロム系金属との親和
性が高いことに基づいている。次いで、10%カーボン
繊維入りフッ素樹脂を施し、最後に純フッ素樹脂層を施
して、樹脂ライニング層を形成する。このように、隣接
する各層の材質の密着性を考慮することにより、樹脂ラ
イニング層の密着性を高め、製品の耐食性を向上するこ
とができると共に、弁本体内周面の流体仕様に応じた流
体の透過性、耐摩性の向上が可能となる。尚、複数のラ
イニング材質及び膜厚等は、上記に限定されるものでは
ない。材質としては、ニッケル・クロム系金属の他ブラ
スト処理等を用いることができる。また、カーボン繊維
入りフッ素樹脂に代って、ガラス繊維等を用いてもよ
い。金属溶射層の厚みは、50から150μmが好適で
あり、最も好ましくは100μmである。カーボン繊維
入りフッ素樹脂層の厚みは、200から600μmが好
ましく、純フッ素樹脂層の厚みは50から150μmが
好ましい。
【0012】樹脂ライニング層(105)の角部は、所要の
アールを付与して、ライニングの亀裂を防止するととも
に、角部からの剥離、摩耗等を防止することが好まし
い。また、弁本体内周面や端面に蟻溝状の抜止溝(112)
を形成し、該抜止溝(112)内に樹脂ライニング層を嵌入
させて、投錨効果により樹脂ライニング層の剥離を防止
する。樹脂ライニング層を弁本体の両端面において抜止
溝に嵌入、固定したのは、バルブ配設時にガスケットを
介してフランジに接続されるので、樹脂ライニング層(1
05)が剥離する危険性は少ないが、配設時に角部が損傷
される危険を避けるためである。
アールを付与して、ライニングの亀裂を防止するととも
に、角部からの剥離、摩耗等を防止することが好まし
い。また、弁本体内周面や端面に蟻溝状の抜止溝(112)
を形成し、該抜止溝(112)内に樹脂ライニング層を嵌入
させて、投錨効果により樹脂ライニング層の剥離を防止
する。樹脂ライニング層を弁本体の両端面において抜止
溝に嵌入、固定したのは、バルブ配設時にガスケットを
介してフランジに接続されるので、樹脂ライニング層(1
05)が剥離する危険性は少ないが、配設時に角部が損傷
される危険を避けるためである。
【0013】シートリング(104)は、外殻(106)をフッ素
樹脂で最終形状とほぼ同形に成形加工し、弾性体(107)
を挿入した状態で、ほぼ半円形状に変形させつつ、シー
トリング定着溝(109)に挿入する。この状態では、シー
トリング(104)の真円度は出ておらず、且不安定な定着
状態にあるが、弁体(102)を閉鎖することにより、シー
トリングは所定位置に安定し、且真円が出た状態とな
る。そこで、樹脂注入孔より樹脂を注入して外殻(106)
内に樹脂充填材(108)を形成する。樹脂充填材(108)の形
成によって、シートリング(104)は内径方向に向かって
変位し、弁体外周縁に圧接されると共に、外殻(106)は
シートリング定着構内において、外方に拡大され、シー
トリング定着溝(109)の内面に圧接して抜け止め状態と
なる。樹脂は、シートリング定着溝(109)内に充満し、
更に全ての間隙内にも充分に満たされ、且樹脂が硬化す
るまで、加圧が持続される。かくして、シートリング
は、シートリング定着構内に固定され、弁体を閉鎖した
ときに、弾性体(107)の弾性で確実なシール作用を達成
することができる。樹脂の注入は、樹脂注入孔のネジ部
に透明な高圧樹脂パイプを接続して行うのが好ましい。
これにより、樹脂の注入速度、注入度合い等を目視で確
認することができる。注入した樹脂の硬化後、パイプを
取り外し、プラグ(111)を螺入して樹脂注入孔を閉止す
る。
樹脂で最終形状とほぼ同形に成形加工し、弾性体(107)
を挿入した状態で、ほぼ半円形状に変形させつつ、シー
トリング定着溝(109)に挿入する。この状態では、シー
トリング(104)の真円度は出ておらず、且不安定な定着
状態にあるが、弁体(102)を閉鎖することにより、シー
トリングは所定位置に安定し、且真円が出た状態とな
る。そこで、樹脂注入孔より樹脂を注入して外殻(106)
内に樹脂充填材(108)を形成する。樹脂充填材(108)の形
成によって、シートリング(104)は内径方向に向かって
変位し、弁体外周縁に圧接されると共に、外殻(106)は
シートリング定着構内において、外方に拡大され、シー
トリング定着溝(109)の内面に圧接して抜け止め状態と
なる。樹脂は、シートリング定着溝(109)内に充満し、
更に全ての間隙内にも充分に満たされ、且樹脂が硬化す
るまで、加圧が持続される。かくして、シートリング
は、シートリング定着構内に固定され、弁体を閉鎖した
ときに、弾性体(107)の弾性で確実なシール作用を達成
することができる。樹脂の注入は、樹脂注入孔のネジ部
に透明な高圧樹脂パイプを接続して行うのが好ましい。
これにより、樹脂の注入速度、注入度合い等を目視で確
認することができる。注入した樹脂の硬化後、パイプを
取り外し、プラグ(111)を螺入して樹脂注入孔を閉止す
る。
【0014】バタフライ弁は、弁体の中心が弁棒に対し
て偏心した二重偏心弁であり、弁開放時に弁体がシート
リングには当接しない構造であるため、仮にシートリン
グの交換が必要になった場合においても、外殻(106)、
弾性体(107)、樹脂充填材(108)を刃物で切断して、容易
に現場で交換することが可能である。弁体(102)は、弁
本体(101)に比較して形状が単純で且小型軽量であるた
め、耐食性が高くフッ素樹脂ライニングを必要としない
ステンレス鋼等の高級材質で形成する。しかしながら、
弁本体と同一の材料を用いて形成し、フッ素樹脂ライニ
ングを施したものとしても良いことは勿論である。
て偏心した二重偏心弁であり、弁開放時に弁体がシート
リングには当接しない構造であるため、仮にシートリン
グの交換が必要になった場合においても、外殻(106)、
弾性体(107)、樹脂充填材(108)を刃物で切断して、容易
に現場で交換することが可能である。弁体(102)は、弁
本体(101)に比較して形状が単純で且小型軽量であるた
め、耐食性が高くフッ素樹脂ライニングを必要としない
ステンレス鋼等の高級材質で形成する。しかしながら、
弁本体と同一の材料を用いて形成し、フッ素樹脂ライニ
ングを施したものとしても良いことは勿論である。
【0015】
【発明の効果】この発明によれば、次のような効果を奏
することができる。
することができる。
【0016】1.弁本体両端面及び内周面等の流体と接
触する部分の全てに、フッ素樹脂ライニングを施し、ま
たシートリングはその外殻をフッ素樹脂で構成してある
ので、腐食性流体の仕様条件に的確に対応することが可
能となり、従来の弁のように高級なステンレス鋼、ニッ
ケル鋼等の材料を使用する必要がないため、大幅なコス
ト低減を図ることができると共に、加工が容易となる利
点がある。
触する部分の全てに、フッ素樹脂ライニングを施し、ま
たシートリングはその外殻をフッ素樹脂で構成してある
ので、腐食性流体の仕様条件に的確に対応することが可
能となり、従来の弁のように高級なステンレス鋼、ニッ
ケル鋼等の材料を使用する必要がないため、大幅なコス
ト低減を図ることができると共に、加工が容易となる利
点がある。
【0017】2.シートリングは、反発弾性のないフッ
素樹脂製の外殻の内部にゴム等の弾性体を挿入してある
ので、耐食性を確保しつつ充分な弾性を得ることができ
る。
素樹脂製の外殻の内部にゴム等の弾性体を挿入してある
ので、耐食性を確保しつつ充分な弾性を得ることができ
る。
【0018】3.シートリングの内径方向への突出(抜
けだし)防止は、シートリングに外部から樹脂を充填し
て、シートリング定着構内に抜止状態で係合することに
より達成されており、シートリング、弁本体並びに樹脂
の三者が互いに接着していないので、シートリングの交
換を容易に行うことができる。
けだし)防止は、シートリングに外部から樹脂を充填し
て、シートリング定着構内に抜止状態で係合することに
より達成されており、シートリング、弁本体並びに樹脂
の三者が互いに接着していないので、シートリングの交
換を容易に行うことができる。
【0019】4.弁本体両端面、内周面を被覆する樹脂
ライニング層が、端部及び中間部において弁本体に抜止
状態で定着されているので、ライニング層の内径方向へ
の収縮を防止できると共に、ライニング層の剥離や損傷
を防止することができる。
ライニング層が、端部及び中間部において弁本体に抜止
状態で定着されているので、ライニング層の内径方向へ
の収縮を防止できると共に、ライニング層の剥離や損傷
を防止することができる。
【0020】5.フッ素樹脂ライニング層を、複数の異
なった被膜で構成することにより、密着性、耐摩耗性並
びに流体透過性のきわめて高いライニング層を得ること
ができる。
なった被膜で構成することにより、密着性、耐摩耗性並
びに流体透過性のきわめて高いライニング層を得ること
ができる。
【図1】この発明にかかるバタフライ弁の外観斜視図
【図2】同横断平面図
【図3】図2、A部分の拡大断面図
【図4】シートリング挿入途中を示す断面図
【図5】樹脂充填材の充填状態を示す断面図
【図6】従来のバタフライ弁の一例を示す断面図
【図7】同一部の拡大断面図
【図8】従来のバタフライ弁の他の例を示す断面図
(100)バタフライ弁 (101)弁本体 (102)弁体 (103)弁棒 (104)シートリング (105)樹脂ライニング層 (106)外殻 (107)弾性体 (108)樹脂充填材 (109)シートリング定着溝 (110)樹脂注入孔 (111)プラグ (112)抜止溝
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−81576(JP,A) 実開 昭60−77858(JP,U) 実開 平7−38823(JP,U) 実開 昭64−57463(JP,U) 実開 昭60−62660(JP,U) 実開 昭60−188284(JP,U) 実開 昭60−62664(JP,U) 実開 平4−95368(JP,U) 特公 昭59−8703(JP,B1) 実公 平2−45561(JP,Y2) 実公 昭62−2362(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16K 1/16 - 1/226 F16K 27/02
Claims (2)
- 【請求項1】円筒状の流体通路を貫設した剛性材料から
なる弁本体内に、円板状の弁体をその中心を弁棒に対し
て偏心させて回転自在に軸支し、弁本体の内周面に弁体
の外周縁が圧接するシートリングを定着してなる偏心形
バタフライ弁において、弁本体の両端面、内周面、弁棒
挿通部及びシートリング定着溝を耐食性の樹脂からなる
樹脂ライニング層で被覆し、弁本体両端面及び内周面に
抜止溝を形成し、樹脂ライニング層を該抜止溝に投錨状
態で定着し、樹脂ライニング層を最内部を弁本体と親和
性のある金属皮膜とし、最外部をフッ素樹脂被膜とし、
両皮膜の間に両皮膜に親和性を有する被膜を配した複数
の異なる被膜で構成し、シートリングを耐食性の樹脂か
らなる外殻と該外殻内に挿入される弾性体並びに外殻内
に弁本体外部から注入され外殻をシートリング定着溝に
抜止状態で係合する樹脂充填材とで構成し、該シートリ
ングの外殻をフッ素樹脂で形成したことを特徴とする偏
心形バタフライ弁。 - 【請求項2】円筒状の流体通路を貫設した剛性材料から
なる弁本体内に、円板状の弁体をその中心を弁棒に対し
て偏心させて回転自在に軸支し、弁本体の内周面に弁体
の外周縁が圧接するシートリングを定着し、弁本体の両
端面、内周面、弁棒挿通部及びシートリング定着溝を耐
食性の樹脂からなる樹脂ライニング層で被覆し、弁本体
両端面及び内周面に抜止溝を形成し、樹脂ライニング層
を該抜止溝に投錨状態で定着し、樹脂ライニング層を最
内部を弁本体と親和性のある金属皮膜とし、最外部をフ
ッ素樹脂被膜とし、両皮膜の間に両皮膜に親和性を有す
る被膜を配した複数の異なる被膜で構成し、シートリン
グを耐食性を有したフッ素樹脂からなる外殻と該外殻内
に挿入される弾性体並びに樹脂充填材とで構成した偏心
形バタフライ弁であって、前記弁本体内周面に形成した
シートリング定着溝に挿入されるフッ素樹脂製の外殻を
弁体の外周縁に当接しつつ、弁本体外方から外殻内に樹
脂充填材を加圧注入し硬化させて、シートリング定着溝
に抜止状態で係合させるようにしたことを特徴とする偏
心形バタフライ弁のシートリング製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35011897A JP3260680B2 (ja) | 1997-12-04 | 1997-12-04 | バタフライ弁 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35011897A JP3260680B2 (ja) | 1997-12-04 | 1997-12-04 | バタフライ弁 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11166636A JPH11166636A (ja) | 1999-06-22 |
JP3260680B2 true JP3260680B2 (ja) | 2002-02-25 |
Family
ID=18408365
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35011897A Expired - Fee Related JP3260680B2 (ja) | 1997-12-04 | 1997-12-04 | バタフライ弁 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3260680B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE60029838T2 (de) | 2000-06-05 | 2007-08-30 | Ohmi, Tadahiro, Sendai | Ventil mit integrierten öffnung |
-
1997
- 1997-12-04 JP JP35011897A patent/JP3260680B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11166636A (ja) | 1999-06-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9291274B1 (en) | Valve body and seal assembly | |
US4218067A (en) | Multi-ply sealing rings | |
US6312024B1 (en) | Threaded assembly of metal tubes designed to contain a corrosive fluid | |
TWI789323B (zh) | 用於密封地結合相對流體導管端口之環形襯墊及形成一高純度流體接頭之方法 | |
US5158305A (en) | Pressure-energized two-element seal | |
US4505290A (en) | Valve seat assembly and valve | |
JPH09242875A (ja) | 圧力作動型密封リング | |
JPS59217063A (ja) | プラグ弁 | |
FR2758377A1 (fr) | Bague d'etancheite coaxiale | |
US4195815A (en) | Bidirectional valve for cryogenic fluids | |
US4418889A (en) | Fire safe seat for a valve | |
JPS585571A (ja) | 蝶形弁 | |
JP3260680B2 (ja) | バタフライ弁 | |
TW202206725A (zh) | 動態金屬密封件 | |
KR20210123100A (ko) | 초저온용 스프링 에너자이저 씰 | |
JP3227431B2 (ja) | バタフライ弁のシートリング | |
JPH0138376Y2 (ja) | ||
JP2698332B2 (ja) | ボール弁の弁座 | |
JP3238130B2 (ja) | バタフライ弁のシートリング | |
JPS59175677A (ja) | バタフライ弁の弁シ−ト | |
EP2472159A1 (en) | Flange seal | |
JP3051050B2 (ja) | バタフライ弁のシートリング | |
JP3086783B2 (ja) | バタフライ弁の弁体 | |
JPH029185Y2 (ja) | ||
JPH0960739A (ja) | 合成樹脂製ボール弁 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |