JP3259788B2 - 無機分散型発光素子 - Google Patents

無機分散型発光素子

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JP3259788B2
JP3259788B2 JP03542093A JP3542093A JP3259788B2 JP 3259788 B2 JP3259788 B2 JP 3259788B2 JP 03542093 A JP03542093 A JP 03542093A JP 3542093 A JP3542093 A JP 3542093A JP 3259788 B2 JP3259788 B2 JP 3259788B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、無機分散型発光素子
の改良に関し、さらに詳しくは、蛍光体の発行輝度が高
く、しかもすぐれた拡散反射性を有すると共に、薄肉化
が可能な無機分散型発光素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、無機分散型発光素子は、自動車
用計器や計測機器の指針、文字盤および装飾用などの用
途に広く用いられており、従来の無機分散型発光素子
(フラット型)は図5に示したような基本構造を有して
いる。
【0003】すなわち、図5に示した従来の無機分散型
発光素子(フラット型)は、脱炭素鋼やステンレス鋼な
どに代表される金属素地1上に、白色系のホーロー釉か
らなる絶縁反射層2、蛍光体粒子3bをホーロー3a中
に分散せしめた蛍光体発光層3、ホーローなどからなる
蛍光体保護層4、ITOフィルムなどの透明導電膜5、
ホーローなどからなる保護絶縁層6および白色に着色し
た塗装層7を順次形成することにより構成されている。
【0004】そして、透明導電膜5に設けた電極(図示
せず)と、金属素地1に設けた電極(図示せず)とを、
エナメル線などにより電気的に連結し、電源から電圧を
印加することにより、蛍光体発光層3に電界を生じ、蛍
光体が発光するようになっている。
【0005】しかるに、上記の構造からなる従来の無機
分散型発光素子は、蛍光体発光層3のバインダーとして
透湿性がきわめて低いホーロー質の材料を使用してお
り、このホーロー質材料の選択の幅が有機分散型発光素
子に比較して狭いことから、一般に初期輝度が低いた
め、例えば無機分散型発光素子を計器の文字盤として適
用する場合、蛍光体を発光させない昼間の明るい雰囲気
においては、蛍光体の発光のみで観察視認を行うには輝
度が不十分であった。
【0006】したがって、昼間の明るい雰囲気での視認
は、むしろ無機分散型発光素子の表面からの拡散反射を
利用するのが好ましく、このために発光部分の保護機能
を有する塗装層7を、一般に白色に着色することによっ
て、さらに拡散反射機能が付与されている。
【0007】しかしながら、白色塗料を用いる塗装層7
の形成においては、蛍光体の非発光時の拡散反射性を十
分なものにするために、塗装層7の膜厚を100μ以上
と厚肉化する必要があり、このように塗装層7を厚肉化
すると、逆に蛍光体発光時に発光部分からの光が塗装層
7を透過する際の減衰が大きくなって、輝度が著しく低
下してしまうことから、無機分散型発光素子の駆動条件
をより高電圧、または高周波数にしなければならず、無
機分散型発光素子自体の信頼性および耐久寿命の低下を
招くという問題があった。
【0008】また、白色絶縁反射層2を形成する場合に
は、蛍光体発光層3への電界の印加を増加するために誘
電率が高く、また拡散反射層としての作用を発揮させる
白色系のホーロー釉が主として用いられていたが、この
ホーロー釉を用いて形成されるホーロー膜の膜厚は、ど
うしても約30μ以上の厚肉とならざるを得ないため、
これ以上の薄肉化が困難であった。
【0009】なお、ホーロー釉の代わりに、例えばアル
ミナゾルを用いて白色絶縁反射層2を形成することも考
えられるが、アルミナ単独の膜は一般に密着性がゆる
く、無機分散型発光素子の拡散反射層としての機能が不
十分であり、また特に厚肉化が困難で無理に厚肉化しよ
うとすると焼成時に剥離などの問題を生じる。
【0010】さらに、従来の無機分散型発光素子におい
ては、金属素地1上にホーロー質の絶縁反射層2を形成
する場合に、ホーローの焼成に600〜800℃もの高
温を必要とするため、金属素地1からのイオン性不純物
が侵入して白色絶縁反射層2が着色し、この着色により
発光輝度の低下が招かれるという問題もあった。
【0011】さらにまた、蛍光体発光層3で使用する蛍
光体粒子3bの粒径は、通常10〜30μの範囲が工業
的に得られやすく、しかも発光輝度の点からも望ましい
とされていることから、この蛍光体粒子3bを十分被覆
することのできるバインダ3aとしては、従来から透明
系のホーロー釉が用いられていたが、この場合の蛍光体
発光層3の焼成時にも500〜700℃の高温を必要と
するため、上記白色絶縁反射層2の焼成時に加えて二度
もの高温の熱履歴を受けて、白色絶縁反射層2および蛍
光体発光層3が著しく着色し、発光輝度の低下がさらに
大きくなるという問題があった。
【0012】なお、蛍光体発光層3のバインダ3aとし
て、例えばゾルゲル法で形成したアルミナ膜を用いるこ
とによって、焼成温度を低くし、着色を軽減することも
考えられるが、ゾルゲル法によるアルミナ被膜の形成で
は1回の成膜工程でせいぜい1μ程度の被膜しか形成で
きず、1回の工程で肉厚の膜を得ようとする場合には膜
にひび割れや剥離を生じるため、蛍光体粒子3bを完全
に被覆した蛍光体発光層3を形成するには、数多くの成
膜工程を繰り返す必要があり、プロセス的、工業的に不
利であるという問題を包含していた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上述した
従来の無機分散型発光素子が有する問題点を解決すべく
検討した結果、達成されたものである。
【0014】したがって、この発明の目的は、蛍光体の
発光輝度が高く、しかもすぐれた拡散反射性を有すると
共に、薄肉化が可能な無機分散型発光素子を提供するこ
とにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明の無機分散型発光素子は、金属素地の表
面に、無機質バインダ中に蛍光体粒子を分散させた蛍光
体発光層および透明導電膜を順次形成すると共に、前記
金属素地と前記透明導電膜とを電気的に連結した無機分
散型発光素子において、前記透明導電膜の表面に、アル
ミナ・シリカ膜からなる塗装層を形成したことを特徴と
する(第1発明)。
【0016】また、この発明の無機分散型発光素子は、
請求項1記載の無機分散型発光素子であって、前記金属
素地と前記透明導電膜の間に、アルミナ・シリカ膜から
なる白色絶縁反射層を形成したことを特徴とする。
【0017】さらに、この発明の無機分散型発光素子
は、請求項1又は請求項2記載の幹分散型発光素子であ
って、前記蛍光体発光層の無機質バインダが、アルミナ
・シリカ膜からなることを特徴とする。
【0018】
【作用】この発明の上記第1発明の構成からなる無機分
散型発光素子は、塗装層をアルミナ・シリカ膜で形成す
ることによって、塗装層の膜厚を10μ程度と薄くして
も、十分な白色拡散性が得られ、昼間の明るい雰囲気に
おけるすぐれた拡散反射性を確保できると共に、蛍光体
発光時のすぐれた透過性および高い発光輝度を確保する
ことができる。
【0019】また、請求項2の発明の無機分散型発光素
子は、白色絶縁反射層をアルミナ・シリカ膜で形成する
ことによって、白色絶縁反射層の膜圧を10μ程度と薄
くしても、十分な白色拡散性が得られるばかりか、白色
絶縁反射層の焼成温度を従来よりも低く設定することが
可能であり、イオン性不純物の白色絶縁反射層への侵入
による着色を防止して、発光体発光時の発光輝度を高め
ることができる。
【0020】さらに、請求項3の発明の無機分散型発光
素子は、蛍光体発光層の無機質バインダをアルミナ・シ
リカ膜で形成することによって、蛍光体発光層の焼成温
度を従来よりも低く設定することが可能であり、イオン
性不純物の白色絶縁反射層および蛍光体発光層への侵入
による着色を防止して、蛍光体発光時の発光輝度をさら
に高めることができるばかりか、この場合には白色絶縁
反射層の形成を省略し、蛍光体発光層に白色絶縁反射層
の機能を兼備させることが可能であり、無機分散型発光
素子自体の膜圧を一層薄肉化することができる。
【0021】加えて、蛍光体発光層の無機質バインダを
アルミナ・シリカ膜で形成する場合には、蛍光体発光層
に拡散反射層としての機能を兼備させるさせることが可
能であり、塗装層を省略するか、または塗装層を無色透
明に形成することによって、薄肉化やコストの低減を期
待することができる。
【0022】したがって、この発明の無機分散型発光素
子によれば、高い発光輝度およびすぐれた拡散反射性を
得ることができ、しかも薄肉化が可能で、製造工程も簡
易化することができることから、コストの大幅な低減を
図ることが可能である。
【0023】
【実施例】以下、図面を参照しつつ、この発明の無機分
散型発光素子の実施例について具体的に説明する。
【0024】図1はこの発明の無機分散型発光素子(フ
ラット型)の第1実施例を示す断面説明図、図2は同じ
く第2実施例を示す断面説明図、図3は同じく第3実施
例を示す断面説明図、図4はこの発明の無機分散型発光
素子を計器用の指針として適用した例を示す断面説明図
である。
【0025】図1に示した第1実施例において、この発
明の無機分散型発光素子(フラット型)は、金属素地1
0の表面に、ホーロー質白色絶縁反射層20、ホーロー
中に蛍光体を分散させた蛍光体発光層30、蛍光体保護
層40、透明導電膜50、保護絶縁層60および塗装層
70を順次形成してなり、図示していないが前記金属素
地10に設けた電極と、前記透明導電膜50に設けた電
極とを、エナメル線などを介して電源に電気的に連結す
ることにより構成されている。
【0026】そして、金属素地10は基板状の脱炭素鋼
またはステンレス鋼からなり、この金属素地10は、ホ
ーロー質白色絶縁反射層20の形成に先立ち、予めその
表面にサンドプラスト処理またはニッケル処理が施され
ることによって、ホーロー質白色絶縁反射層20との密
着性が改良されていることが望ましい。
【0027】本第1実施例においては、ホーロー質白色
絶縁反射層20として、蛍光体発光層30への電界の印
加を増加するために誘電率が高く、また反射層としての
作用を発揮させる白色系のホーロー釉が用いられている
が、必ずしも白色とする必要はなく、透明のホーロー膜
であっても使用することができる。
【0028】また、蛍光体発光層30には、無機質バイ
ンダ31としてのホーロー中に、硫化亜鉛などの蛍光体
粒子32が分散されたものが用いられている。蛍光体発
光層30のホーロー(31)中に分散せしめる蛍光体粒
子32の含有量は、50重量%以上、とくに60〜80
重量%の高濃度とすることができ、これによって発光輝
度の向上および輝度分布の均一化が図られている。
【0029】蛍光体保護層40は、蛍光体発光層30と
外部との絶縁および素子を保護する機能を果たすために
必要に応じて設けられ、通常は透明または白色のホーロ
ー釉からなる透明系または白色系のホーロー膜が用いら
れるが、場合によってはシリカゾルを用いたシリカ膜を
用いることもできる。
【0030】透明導電膜50は、例えばITO膜(酸化
インジウムにスズを添加したもの)などを、蒸着やスパ
ッタリングすることなどにより形成されている。
【0031】保護絶縁層60は、透明導電膜50を保護
すると共に、外部との絶縁のために、必要に応じて設け
られたものであり、シリカ膜などの無機質膜などにより
形成することができる。
【0032】そして、本第1実施例においては、最外層
の塗装層70として、従来の白色塗料に代え、アルミナ
・シリカ混合ゾルからなるアルミナ・シリカ膜が、ゾル
ゲル法により形成されていることを特徴とする。
【0033】すなわち、塗装層70は、無機分散型発光
素子を点灯しない非発光時に、外部光を素子面で反射さ
せることにより視認性を補助すると共に、発光部分を保
護するために設けられるものであるが、本第1実施例に
おける上記アルミナ・シリカ膜からなる塗装層70は、
その膜厚を10μ程度と薄くしても、十分な白色拡散性
を発揮し、昼間の明るい雰囲気におけるすぐれた拡散反
射性を確保できるばかりか、蛍光体発光時のすぐれた光
透過性および高い発光輝度を確保することができる。
【0034】したがって、本第1実施例の態様によれ
ば、白色拡散性を確保するために、塗装層70の膜厚を
100μ以上としていた従来の白色塗料を用いる場合に
比較して、無機分散型発光素子自体の膜厚を著しく薄肉
化することが可能であり、しかも十分な高輝度および白
色拡散性を得ることができる。
【0035】次に、上記第1実施例に示した無機分散型
発光素子の製造方法について説明する。
【0036】まず、金属素地10を準備し、この金属素
地10上に白色ホーロー釉を塗布し、乾燥、仮焼成およ
び焼成することにより、白色絶縁反射層20を形成す
る。
【0037】次に、白色絶縁反射層20上に、蛍光体を
分散させたホーロー釉を塗布し、乾燥、仮焼成および焼
成することにより、蛍光体発光層30を形成する。
【0038】次いで、蛍光体発光層30上に、透明なホ
ーロー釉を塗布し、乾燥、仮焼成および焼成することに
より、蛍光体保護層40を形成する。
【0039】さらに、蛍光体保護層40上に、ITO膜
などを蒸着またはスパッタリングすることにより、透明
導電膜50を形成し、この透明導電膜40および金属素
地10の適宜個所に電極を形成する。
【0040】また、必要に応じて透明導電膜50上に保
護絶縁層60を形成するために、シリカゾルを塗布し、
乾燥する。
【0041】そして、透明導電膜50または保護絶縁層
60上に、白色のアルミナ・シリカゾルをデッイッピン
グなどで塗布し、焼成することにより塗装層70を形成
することにより、本第1実施例の無機分散型発光素子が
完成する。
【0042】ここで、代表的なアルミナ・シリカゾルの
調整および焼成条件を説明すれば下記のとおりである。
【0043】まず、アルミナゾルの出発原料としてアル
ミニウムトリイソプロポキシド[具体的に例示すれば
(iso-C3 7 O)3 Al:120g、水:100g、
35%塩酸水溶液:1.3g]を、またシリカゾルの出
発原料としてテトラエトキシシラン[具体的に例示すれ
ば(C2 5 O)4 Si:25g、エチルアルコール:
37.6g、水:23.5g、35%塩酸水溶液:0.
3g]を用意し、それぞれ加水分解する。
【0044】アルミニウムトリイソプロポキシドの加水
分解は、水および塩酸水溶液を60℃で撹拌しつつ、ア
ルミニウムトリイソプロポキシドを徐々に添加してさら
に2時間撹拌することにより、またテトラエトキシシラ
ンの加水分解は、エチルアルコールの半量とテトラエト
キシシランとを予備混合したものと、残りのすべてを予
備混合したものとをさらに混合し、2時間撹拌を続ける
ことにより行う。
【0045】次に、このようにして加水分解したアルミ
ナゾルとシリカゾルとを5:2の重量比で混合し、アル
ミナ・シリカゾルを調整する。
【0046】そして、このアルミナ・シリカゾルを、透
明導電膜50または保護絶縁層60上にディッピングな
どの手段で塗布し、これを300℃の温度で約30分間
焼成することにより、目的とするアルミナ・シリカ膜
(塗装層70)を形成することができる。
【0047】このアルミナ・シリカ膜の形成に際して
は、アルミナ・シリカゾルの粘度やディッピング時の引
上げ速度を調整することによって、アルミナ・シリカ膜
の膜厚を数μから約30μの範囲に設定することが可能
であり、約10μの膜厚にすることによっても、十分な
白色拡散性を達成することができるために、無機分散型
発光素子自体の膜厚をかなり減少することが可能となる
のである。
【0048】かくして得られる無機分散型発光素子は、
エナメル線などを介して電源から電極へ電圧を印加する
ことにより、蛍光体発光層30に電界を生じ、蛍光体粒
子32が発光することになる。
【0049】また、蛍光体粒子を発光させない昼間の明
るい雰囲気、つまり非発光時においては、塗装層70の
拡散反射性によって、十分な観察視認性を確保すること
ができる。
【0050】次に、図2に示した第2実施例は、白色絶
縁反射層20として、上記白色ホーロー釉の代わりに、
アルミナ・シリカ混合ゾルからなるアルミナ・シリカ膜
を、ゾルゲル法により形成した点が、上記第1実施例と
相違している。
【0051】そして、本第2実施例においては、上記第
1実施例の塗装層70と同様に、アルミナ・シリカゾル
を、金属素地10上にディッピングなどの手段で塗布
し、これを300℃の温度で約30分間焼成することに
より、白色絶縁反射層20を形成することができ、アル
ミナ・シリカゾルの粘度やディッピング時の引上げ速度
を調整することによって、アルミナ・シリカ膜の膜厚を
数μから約30μの範囲に設定することが可能であり、
約10μの膜厚にすることによっても、十分な絶縁性お
よび白色拡散性を達成することができるために、無機分
散型発光素子自体の膜厚をかなり減少することが可能と
なるのである。
【0052】そればかりか、本第2実施例においては、
白色絶縁反射層20の焼成温度を従来のホーロー質の場
合よりも低く設定することが可能であり、イオン性不純
物の白色絶縁反射層20への侵入による着色を防止し
て、蛍光体発光時の発光輝度をさらに高めることができ
る。
【0053】また、図3に示した第3実施例は、蛍光体
発光層30の無機質バインダ31として、上記白色また
は透明のホーロー釉の代わりに、アルミナ・シリカ混合
ゾルからなるアルミナ・シリカ膜を、ゾルゲル法により
形成した点、および白色絶縁反射層20の形成を省略
し、蛍光体発光層30に白色絶縁反射層20の機能を兼
備させた点が、上記第1実施例および第2実施例と相違
している。
【0054】なお、本第3実施例における塗装層70
は、上記第1実施例と同様にアルミナ・シリカ膜からな
っていても良いが、上記第2実施例と同様に塗装層70
を省略するか、または塗装層70を無色透明な材料から
形成することもできる。
【0055】すなわち、本第3実施例は、蛍光体発光層
30の無機質バインダ31を白色のアルミナ・シリカ膜
で形成することによって、この蛍光体発光層30自体に
白色拡散反射層としての機能を兼備させたため、塗装層
70を白色に形成せずとも、十分な白色拡散性を確保す
ることができるのである。
【0056】そして、本第3実施例においては、上記第
1実施例の塗装層70または上記第2実施例の白色絶縁
反射層20と同様に、所定量の蛍光体粒子を分散させた
アルミナ・シリカゾルを、金属素地10上にディッピン
グなどの手段で塗布し、これを300℃の温度で約30
分間焼成することにより、蛍光体発光層30を形成する
ことができ、アルミナ・シリカゾルの粘度やディッピン
グ時の引上げ速度を調整することによって、アルミナ・
シリカ膜の膜厚を1回の成膜工程で約30μ以上、つま
り蛍光体粒子32を十分に被覆し得る膜厚にすることが
可能である。
【0057】したがって、本第3実施例の態様によれ
ば、従来よりも低い焼成温度で蛍光体発光層30を形成
することにより、従来のホーロー質の白色絶縁反射層お
よび蛍光体発光層を形成する場合のように、二度もの高
温の熱履歴を受けて、白色絶縁反射層20および蛍光体
発光層30がイオン性不純物の侵入により著しく着色
し、発光輝度が低下する不具合を解消することができ、
蛍光体発光時の発光輝度および非発光時の白色拡散性を
さらに高めることができるばかりか、さらには白色絶縁
反射層20の形成を省略し、蛍光体発光層30に白色絶
縁反射層20の絶縁反射機能を兼備させることが可能で
あり、無機分散型発光素子自体の膜厚を一層薄肉化する
ことが可能である。
【0058】なお、上述においては、白色絶縁反射層2
0、蛍光体発光層30の無機質バインダ31および塗装
層70のいずれかをアルミナ・シリカ膜により形成した
実施例を説明したが、アルミナ・シリカ膜の代わりに例
えば白色ホーロー質膜などの白色系の無機質材料からな
る膜を形成した場合には、各層の膜厚減少をある程度犠
牲にせざるを得ないものの、アルミナ・シリカ膜の場合
とほぼ同様の輝度および拡散反射性の改良効果を得るこ
とができる。
【0059】また、図4は、上述の第1〜第3実施例で
説明したこの発明の無機分散型発光素子を、計器用の指
針として適用した例を示している。
【0060】すなわち、図4において、この発明の無機
分散型発光素子からなる指針80は、細長い円柱状に形
成されており、その断面図から明らかなように、金属素
地10として線状金属芯材10を用い、その表面に、上
記第1〜第3実施例の場合と同様に、白色絶縁反射層2
0、蛍光体発光層30、蛍光体保護層40、透明導電膜
50、保護絶縁層60および塗装層70を順次形成され
ている。
【0061】そして、上記構造の無機分散型発光素子か
らなる指針80は、電源からの通電で蛍光体発光層30
に電界を生じせしめることにより蛍光体が発光するた
め、例えば車両用の計器において、夜間のみ点灯しその
視認性を向上した指針として有効に利用することができ
る。
【0062】なお、この指針80の場合も、上記と同様
に、白色絶縁反射層20、蛍光体発光層30の無機質バ
インダおよび塗装層70のいずれかをアルミナ・シリカ
膜により形成することによって、上記第1〜3実施例の
場合と同様に高輝度、すぐれた白色拡散性、薄肉化、生
産性向上などの効果を得ることができる。
【0063】以下に、試験例を挙げて、この発明の構成
および効果をさらに詳述する。
【0064】[試験例1] 金属素地(芯材)の準備 金属素地として表面をサンドプラスト処理した厚み1.
0mmのステンレス鋼板を準備した。
【0065】白色絶縁反射層の形成 白色絶縁反射層形成溶液として、次の組成のものを準備
した。
【0066】 低融点ガラス 東芝硝子社製 GSP220A533 30g 分散媒 α−ターピネオール 15g バインダーポリマー イソブチルメタクリレート 0.15g 上記溶液を撹拌、混合後、これに上記ステンレス鋼板を
浸漬し、1.5mm/sec の速度で引上げ、1時間自然乾
燥した後、380℃のオーブン中で窒素ガス雰囲気下に
10分仮焼成後、さらにオーブンの温度を750℃に上
げて10分焼成することにより、膜厚が50μの透明保
護層を形成した。
【0067】蛍光体発光層の形成 蛍光体発光層形成溶液として、次の組成のものを準備し
た。
【0068】 蛍光体 シルバニア製 729 42.0g 低融点ガラス 東芝硝子社製 GSP220A524 18.0g 分散媒 α−ターピネオール 19.0g バインダーポリマー イソブチルメタクリレート 0.2g 上記溶液を撹拌、混合後、これに上記白色絶縁反射層を
形成したステンレス鋼板を浸漬し、1.5mm/sec の速
度で引上げ、1時間自然乾燥した後、380℃のオーブ
ン中で窒素ガス雰囲気下に10分仮焼成後、さらにオー
ブンの温度を680℃に上げて10分焼成することによ
り、膜厚が40μの蛍光体発光層を形成した。
【0069】蛍光体保護層の形成 蛍光体保護層形成溶液として、次の組成のものを準備し
た。
【0070】 低融点ガラス 東芝硝子社製 GSP220A524 60.0g 分散媒 α−ターピネオール 28.0g バインダーポリマー イソブチルメタクリレート 0.3g 上記溶液を撹拌、混合後、これに上記蛍光体発光層を形
成したステンレス鋼板を浸漬し、上記蛍光体発光層の形
成と全く同条件で、膜厚が30μの透明保護層を形成し
た。
【0071】透明導電膜の形成 下記条件のマグネトロスパッタリング法により、蛍光体
保護層上にITO膜を形成した。
【0072】ベーク条件:200℃、1時間 スパッタリング時間:10分 雰囲気(Ar)流量:20CCM 真空度:9×10-6Toor(スパッタリング時:約1×1
-3Toor)。
【0073】保護絶縁層の形成 シリカゾルとしてテトラエトキシシランを出発原料とし
水を加水分解したものを用い、これに上記透明導電膜を
形成したステンレス鋼板を浸漬し、1.5mm/sec の速
度で引上げ、100℃で1時間乾燥した後、300℃の
オーブン中で窒素ガス雰囲気下に10分焼成することに
より、膜厚が0.3μの保護絶縁層を形成した。このと
きに表面は完全な絶縁状態となった。
【0074】塗装層の形成 本文中に記載の方法に準じて調整したアルミナゾルとシ
リカゾルとを5:2の重量比で混合したアルミナ・シリ
カゾルに、上記保護絶縁層を形成したステンレス鋼板を
浸漬し、1mm/sec の速度で引上げた後、300℃のオ
ーブン中で窒素ガス雰囲気下に30分焼成することによ
り、膜厚が10μの塗装層を形成した。
【0075】電極の形成 電極形成部分を剥離し、ステンレス鋼板の一部に電極を
設けると共に、ITO膜にエナメル線を巻いて、簡易電
極とすることにより、この発明の無機分散型発光素子を
完成した。
【0076】この無機分散型発光素子を周囲光のもとに
観察したところ、内部の発光部分の色は全く判別でき
ず、完全に白色の外観を呈していた。
【0077】また、ITO膜上の電極と、金属素地の電
極との間に、交流電界を印加したところ、内部光はほと
んど減衰することなく、表面から外部へ放射した。
【0078】さらに、塗装層の一部を剥離し、塗装層部
分および剥離部分から外部へ放射する光量を比較したと
ころ、塗装層部分は剥離部分の80%以上の輝度を確保
していた。
【0079】一方、比較のために、上記アルミナ・シリ
カ膜からなる塗装層の代わりに、通常使用されているス
プレー式白色塗料を用いて膜厚が100μ以上の塗装層
を形成したものに、上記と同様の交流電界を印加したと
ころ、本試験例のものに比べて輝度の減衰率が50%と
劣っていた。
【0080】[試験例2]上記試験例1において、白色
ホーロー質の代わりに、上記塗装層を形成したものと同
様のアルミナ・シリカ混合ゾルを用い、上記塗装層の場
合とほぼ同条件で膜厚が10μの白色絶縁反射層を形成
すると共に、上記試験例1におけるアルミナ・シリカ膜
からなる塗装層の形成を省略した以外は同様の条件によ
り、無機分散型発光素子を得た。
【0081】一方、比較のために、上記試験例1におけ
る塗装層の形成を省略した以外は同様にして、比較用の
無機分散型発光素子を得た。
【0082】これら2種類の無機分散型発光素子につい
て、金属素地の電極との間に、200V、400Hzの
正弦波交流電界を印加したところ、前者の発光輝度は約
40cd/m2 とすぐれていたのに対し、後者の発光輝
度は約20cd/m2 と劣るものであった。
【0083】[試験例3]上記試験例1において、蛍光
体発光層の無機質バインダとして、上記塗装層を形成し
たものと同様のアルミナ・シリカ混合ゾルを用い、上記
塗装層の場合とほぼ同条件で膜厚が40μの蛍光体発光
層を形成すると共に、上記試験例1におけるアルミナ・
シリカ膜からなる塗装層の形成を省略した以外は同様の
条件により、無機分散型発光素子を得た。
【0084】一方、比較のために、上記試験例1におけ
る塗装層の形成を省略した以外は同様にして、比較用の
無機分散型発光素子を得た。
【0085】これら2種類の無機分散型発光素子につい
て、金属素地の電極との間に、200V、400Hzの
正弦波交流電界を印加したところ、前者の発光輝度は約
30cd/m2 とすぐれていたのに対し、後者の発光輝
度は約20cd/m2 と劣るものであった。
【0086】また、蛍光体非発光時の周囲光による拡散
反射性を比較した結果、前者はきわめて良好であったの
に対し、後者は蛍光体層の色付きによる視認性低下が見
られた。
【0087】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の無機分
散型発光素子によれば、高い発光輝度およびすぐれた拡
散反射性を得ることができ、しかも薄肉化が可能で、製
造工程も簡易化することができることから、コストの大
幅な低減を図ることが可能であり、例えば自動車用計器
や計測機器の文字盤や指針などとして広く用いることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の無機分散型発光素子(フラッ
ト型)の第1実施例を示す断面説明図である。
【図2】図2は同じく第2実施例を示す断面説明図であ
る。
【図3】図3は同じく第3実施例を示す断面説明図であ
る。
【図4】図4はこの発明の無機分散型発光素子を計器用
の指針として適用した例を示す断面説明図である。
【図5】図5は従来の無機分散型発光素子(フラット
型)の一例を示す断面説明図である。
【符号の説明】
10 金属素地 20 白色絶縁反射層 30 蛍光体発光層 31 無機質バインダ 32 蛍光体粒子 40 蛍光体保護層 50 透明導電膜 60 保護絶縁層 70 塗装層 80 指針
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−97397(JP,A) 特開 昭60−254594(JP,A) 特開 平2−132791(JP,A) 特開 平1−216544(JP,A) 特開 平4−289691(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 33/00 - 33/28

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属素地の表面に、無機質バインダ中に
    蛍光体粒子を分散させた蛍光体発光層および透明導電膜
    を順次形成すると共に、前記金属素地と前記透明導電膜
    とを電気的に連結した無機分散型発光素子において、前
    記透明導電膜の表面に、アルミナ・シリカ膜からなる塗
    装層を形成したことを特徴とする無機分散型発光素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の無機分散型発光素子であ
    って、前記金属素地と前記透明導電膜の間に、アルミナ
    ・シリカ膜からなる白色絶縁反射層を形成したことを特
    徴とする無機分散型発光素子。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の幹分散型発
    光素子であって、前記蛍光体発光層の無機質バインダ
    が、アルミナ・シリカ膜からなることを特徴とする無機
    分散型発光素子。
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