JP3256109B2 - 光電式エンコーダ - Google Patents

光電式エンコーダ

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JP3256109B2
JP3256109B2 JP24586895A JP24586895A JP3256109B2 JP 3256109 B2 JP3256109 B2 JP 3256109B2 JP 24586895 A JP24586895 A JP 24586895A JP 24586895 A JP24586895 A JP 24586895A JP 3256109 B2 JP3256109 B2 JP 3256109B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、発光素子と受光
素子を用いて、移動体の移動速度,移動方向等の移動情
報を検出する光電式エンコーダに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光電式エンコーダとしては、特公
平3−76428号公報に記載のものがある。この光電
式エンコーダは、図5に示すように、相対向する発光素
子と受光素子との間を通過すると共に、移動方向に一定
ピッチP毎に形成された1/2ピッチP幅の複数のスリ
ットY1,Y2,…を有する移動体Yを備えている。上記発
光素子からの光が移動体YのスリットY1,Y2,…を通過
して、その通過光を受光素子により検出する。上記受光
素子は、移動体Yの移動速度,移動方向を検出できるよ
うに、スリットY1,Y2,…の配列方向に1/4ピッチP
毎に配置された1/4ピッチP幅のフォトダイオードP
D1〜PD4を有している。そして、上記フォトダイオー
ドPD1,PD3の対の両受光量を表わす信号を比較する
と共に、フォトダイオードPD2,PD4の対の両受光量
を表わす信号を比較して、90度位相が異なる2つの移
動情報を表わす信号を得る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記光電式
エンコーダでは、図6に示すように、上記発光素子とし
て、フォトダイオードPD1〜PD4上の放射強度分布Z
で示される特性を有する発光ダイオード1を用いている
ため、フォトダイオードPD1,PD3の対とフォトダイ
オードPD2,PD4の対の受光量にばらつきが生じると
いう欠点がある。したがって、上記発光ダイオード1か
らの光の光軸に近いフォトダイオードPD2,PD3で
は、受光量が多くなり、フォトダイオードPD2,PD3
の外側に配置されているフォトダイオードPD1,PD4
では、受光量が少なくなるので、フォトダイオードPD
1,PD3の対とフォトダイオードPD2,PD4の対の各受
光量を表わす信号にばらつきが生じて、第1,第2の比
較器の移動情報を表わす信号が安定せず、移動体Yの移
動情報が正確に得られないという問題がある。
【0004】そこで、この発明の目的は、発光素子の指
向性,経年変化および使用環境の変化等に係わらず、移
動体の移動情報を正確に検出できる光電式エンコーダを
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の光電式エンコーダは、相対向させて配置
された発光素子と受光素子との間に、複数のスリットが
形成された移動体を通過させて、上記移動体の移動情報
を検出する光電式エンコーダにおいて、上記移動体の上
記複数のスリットは、移動方向に一定ピッチ毎に略1/
2ピッチ幅で夫々形成されたものであり、上記受光素子
は、上記スリットの配列方向の幅が略1/2ピッチに形
成された4個の第1受光部と、上記スリットの配列方向
の幅を略1ピッチの整数倍にして、上記スリットを通過
した光を受光する面積が略一定になるようにかつ上記発
光素子の放射強度分布の中心を含む位置に形成された少
なくとも1つの第2受光部とを有し、上記4個の第1受
光部からの受光量を表わす信号と上記第2受光部からの
受光量を表わす信号とを比較して、上記移動体の移動情
報を表わす信号を得るようにした光電式エンコーダであ
って、上記4個の第1受光部を、上記発光素子からの光
の光軸を通る上記スリットの配列方向の直線に沿った領
域およびその直線に直交しかつ上記発光素子からの光の
光軸を通る直線に沿った領域をあけるように上記発光素
子からの光の光軸を通る点に対して放射状に配置すると
共に、上記受光素子の上記第2受光部を、上記発光素子
からの光の光軸を通る上記スリットの配列方向の直線に
沿った領域に配置したことを特徴としている。
【0006】上記請求項1の光電式エンコーダによれ
ば、上記発光素子と受光素子との間を移動体が移動する
と、発光素子から受光素子への光が移動体のスリットを
断続的に通過する光を受けて、受光素子の4個の第1受
光部と少なくとも1つの第2受光部は、上記通過光を夫
々検出して、受光量を表わす信号を出力する。このと
き、上記発光素子の第1受光部を略1/2ピッチ幅に形
成しているので、第1受光部からの受光量を表わす信号
は、移動体のスリットが1ピッチ分移動する時間が一周
期となる。一方、上記発光素子の放射強度分布の中心を
含む位置に形成された第2受光部からの受光量を表わす
信号は、スリットの移動に係わらず、スリットを通過し
た光を受光する面積が略一定となる。つまり、上記第2
受光部を長辺が略1ピッチの整数倍の略長方形状にした
場合、発光素子からのスリットを通過した通過光を受光
する面積は、スリットの移動に係わらず、常に全受光面
積の略半分となり、スリットの移動に対して受光量が常
に略一定になるのである。そして、上記第2受光部から
の受光量を表わす信号を基準信号として、その基準信号
と第1受光部からの受光量を表わす信号とを比較して、
スリットが1ピッチ分移動したときの時間が一周期の移
動情報を表わす信号を得る。こうして得た移動情報を表
わす信号の周期に基づいて、移動体の移動速度を求め
る。また、例えば一方の第1受光部に対して他方の第1
受光部をスリットの配列方向に略3/4ピッチずらして
配置することによって、一方の第1受光部からの受光量
を表わす信号に対して他方の第1受光部からの受光量を
表わす信号は、移動体の移動方向に応じて位相が進み遅
れする。この第1受光部からの受光量を表わす信号の位
相差によって、移動体の移動方向を求める。このように
して、上記移動体の移動情報を検出するとき、効率低
下,温度上昇および経年変化等により発光素子の放射強
度が低下しても、受光素子の第1,第2受光部からの受
光量を表わす信号は、夫々相対的にレベルが低下するた
め、安定した移動情報を表わす信号を得ることができ
る。したがって、使用環境の変化や発光素子の経年変化
等に係わらず、移動体の移動情報を正確に検出すること
ができる。また、簡単な構成で温度特性,素子劣化を補
償でき、複雑な補償回路を設ける必要がない。
【0007】また、請求項2の光電式エンコーダは、請
求項1の光電式エンコーダにおいて、上記第1受光部か
らの受光量を表わす信号と上記第2受光部からの受光量
を表わす信号とを比較して、上記移動体の移動情報を表
わす信号を出力する比較回路を備えたことを特徴として
いる。
【0008】上記請求項2の光電式エンコーダによれ
ば、上記比較回路によって、上記移動体の移動情報を表
わす信号を得ることができる。
【0009】また、請求項3の光電式エンコーダは、請
求項2の光電式エンコーダにおいて、上記受光素子と上
記比較回路を同一半導体基板上に形成したことを特徴と
している。
【0010】上記請求項3の光電式エンコーダによれ
ば、上記受光素子と比較回路を同一半導体基板上に形成
することによって、この光電式エンコーを小型化できる
と共に、部品点数を軽減して、コストを低減することが
できる。
【0011】また、請求項4の光電式エンコーダは、請
求項1の光電式エンコーダにおいて、上記受光素子の上
記第1受光部が複数個であり、上記複数の第1受光部を
2つの集合に分けて、一方の集合の上記第1受光部に対
して他方の集合の上記第1受光部を上記スリットの配列
方向に略3/4ピッチずらして夫々配置したことを特徴
としている。
【0012】上記請求項4の光電式エンコーダによれ
ば、一方の第1受光部からの受光量を表わす信号に対し
て他方の第1受光部からの受光量を表わす信号の位相が
移動体の移動方向に応じて略90度進み遅れする。した
がって、上記受光量を表わす信号の位相差によって、移
動体の移動方向を求めることができる。
【0013】また、請求項5の光電式エンコーダは、請
求項4の光電式エンコーダにおいて、上記複数の第1受
光部を上記発光素子からの光の光軸に対して略対称に配
置したことを特徴としている。
【0014】上記請求項5の光電式エンコーダによれ
ば、上記複数の第1受光部を上記光軸に対して略対称に
配置することによって、各第1受光部において上記発光
素子からの光の放射強度分布の状態が略同一となり、発
光素子の放射強度分布による受光量のばらつきをなくす
ことができる。したがって、上記発光素子の指向性に係
わらず、移動体の移動情報をより正確に検出できる。
【0015】また、請求項6の光電式エンコーダは、請
求項4の光電式エンコーダにおいて、上記複数の第1受
光部を、上記発光素子からの光の光軸に沿った平面であ
って、かつ上記スリットの配列方向に垂直な平面に対し
て略対称に配置したことを特徴としている。
【0016】上記請求項6の光電式エンコーダによれ
ば、上記複数の第1受光部を上記平面に対して略対称に
配置することによって、各第1受光部において上記発光
素子からの光の放射強度分布の状態が略同一となり、上
記発光素子の放射強度分布による受光量のばらつきをな
くすことができる。したがって、上記発光素子の指向性
に係わらず、移動体の移動情報をより正確に検出でき
る。
【0017】また、請求項7の光電式エンコーダは、請
求項1の光電式エンコーダにおいて、上記第2受光部を
上記発光素子からの光の光軸に対して略対称に配置した
ことを特徴としている。
【0018】上記請求項7の光電式エンコーダによれ
ば、例えば、1つの第2受光部を上記光軸に対して略対
称に配置することによって、その第2受光部を上記発光
素子の放射強度分布の中心に置くので、スリットの移動
による受光量の変化を低減できる。また、複数の第2受
光部を上記光軸に対して略対称に配置することによっ
て、各第2受光部に対する発光素子からの光の放射強度
分布の状態が略同一となり、上記発光素子の放射強度分
布による受光量のばらつきをなくすことができる。した
がって、上記発光素子の指向性に係わらず、移動体の移
動情報をより正確に検出できる。
【0019】また、請求項8の光電式エンコーダは、請
求項1の光電式エンコーダにおいて、上記第2受光部
を、上記発光素子からの光の光軸に沿った平面であっ
て、かつ上記スリットの配列方向に垂直な平面に対して
略対称に配置したことを特徴としている。
【0020】上記請求項8の光電式エンコーダによれ
ば、例えば、1つの第2受光部を上記平面に対して略対
称に配置することによって、その第2受光部を上記発光
素子の放射強度分布の中心に置くので、スリットの移動
による受光量の変化を低減できる。上記複数の第2受光
部を上記平面に対して対称に配置した場合、各第2受光
部において発光素子からの光の放射強度分布の状態が略
同一となり、上記発光素子の放射強度分布による受光量
のばらつきをなくすことができる。したがって、上記発
光素子の指向性に係わらず、移動体の移動情報をより正
確に検出できる
【0021】
【発明の実施の形態】以下、この発明の光電式エンコー
ダを図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0022】図1はこの発明の実施の形態の光電式エン
コーダの概略平面図であり、この光電式エンコーダは、
発光素子としての発光ダイオード(図示せず)と後述する
受光素子との間を通過する移動体Xに、移動方向に一定
ピッチP毎に1/2ピッチP幅の複数のスリットX1,X
2,X3,…を形成している。
【0023】上記受光素子は、第1受光部としてのフォ
トダイオードPd1〜Pd4と、第2受光部としてのフォト
ダイオードPd5とを有している。上記フォトダイオード
Pd1〜Pd4は、発光ダイオード(図示せず)からの光の光
軸が通る中心Oに対して放射状に配置している。すなわ
ち、上記スリットX1,X2,X3,…の配列方向の一辺が略
1/2ピッチPで他辺が2hの略正方形状のフォトダイ
オードPd1〜Pd4を、フォトダイオードPd1,Pd2を配
列方向に対して直角方向に所定の間隔hを隔てて配置す
ると共に、フォトダイオードPd1に対してフォトダイオ
ードPd3を配列方向に1/4ピッチP隔てて配置し、フ
ォトダイオードPd2に対してフォトダイオードPd4を配
列方向に1/4ピッチP隔てて配置しているのである。
したがって、上記フォトダイオードPd1,Pd2の対とフォ
トダイオードPd3,Pd4の対とは、スリットX1,X2,X3,
…の配列方向に3/4ピッチPずらしていることにな
る。そして、配列方向の長辺が2ピッチPで短辺がhの
略長方形状のフォトダイオードPd5を、フォトダイオー
ドPd1とフォトダイオードPd2との間の領域とフォトダ
イオードPd3とフォトダイオードPd4との間の領域に重
なり、中心Oに対して略対称になるように配置してい
る。なお、上記フォトダイオードPd1〜Pd5は、同一半
導体基板上に夫々電気的に絶縁された状態で形成してい
る。
【0024】図2は上記光電式エンコーダの回路図を示
しており、上記フォトダイオードPd1,Pd2のアノード
をグランドGNDと演算増幅器OP1の非反転入力端子
に夫々接続し、フォトダイオードPd1,Pd2のカソード
を演算増幅器OP1の反転入力端子に夫々接続すると共
に、演算増幅器OP1の出力端子と反転入力端子との間
に帰還抵抗R1を接続している。一方、上記フォトダイ
オードPd3,Pd4のアノードをグランドGNDと演算増
幅器OP2の非反転入力端子に夫々接続し、フォトダイ
オードPd3,Pd4のカソードを演算増幅器OP2の反転入
力端子に夫々接続すると共に、演算増幅器OP2の出力
端子と反転入力端子との間に帰還抵抗R2を接続してい
る。また、上記フォトダイオードPd5のアノードをグラ
ンドGNDと演算増幅器OP3の非反転入力端子に夫々
接続し、フォトダイオードPd5のカソードを演算増幅器
OP3の反転入力端子に夫々接続すると共に、演算増幅
器OP3の出力端子と反転入力端子との間に帰還抵抗R3
を接続している。そして、上記演算増幅器OP1の出力
端子を比較器CP1の非反転入力端子に接続している。
また、上記演算増幅器OP2の出力端子を比較器CP2の
非反転入力端子に接続し、演算増幅器OP3の出力端子
を比較器CP1及びCP2の反転入力端子に接続してい
る。なお、上記演算増幅器OP1〜OP3,帰還抵抗R1〜
R3および比較器CP1,CP2で比較回路を構成してい
る。また、上記比較回路をフォトダイオードPd1〜Pd5
と共に同一半導体基板上に形成している。
【0025】上記構成の光電式エンコーダにおいて、移
動体Xが移動方向のいずれか一方に移動すると、演算増
幅器OP1は、フォトダイオードPd1,Pd2から夫々出力
された光電流信号を加算して増幅し、演算増幅器OP1
の出力端子から略正弦波の出力信号VA(図3(a)に示す)
を出力する。一方、上記演算増幅器OP2は、フォトダ
イオードPd3,Pd4から夫々出力された光電流信号を加
算して増幅し、演算増幅器OP2の出力端子から略正弦
波の出力信号VB(図3(b)に示す)を出力する。また、上
記演算増幅器OP3は、フォトダイオードPd5から出力
された光電流信号を増幅して、演算増幅器OP3の出力
端子から略一定の出力信号Vref(図3(a),(b)に示す)を
出力する。
【0026】そして、上記比較器CP1は、演算増幅器
OP1からの出力信号VAと演算増幅器OP3からの出力
信号Vrefとを比較して、比較器CP1の出力端子から周
期Tの出力信号VoutA(図3(c)に示す)を出力する。一
方、上記比較器CP2は、演算増幅器OP2からの出力信
号VBと演算増幅器OP3からの出力信号Vrefとを比較
して、比較器CP2の出力端子から周期Tの出力信号Vo
utB(図3(d)に示す)を出力する。
【0027】上記フォトダイオードPd1,Pd2の対とフ
ォトダイオードPd3,Pd4の対が互いに略3/4ピッチ
Pずれた位置関係にあるため、図3(a),(b)に示すよう
に、上記出力信号VAに対して出力信号VBは、略3/4
ピッチPに相当する位相遅れがある。したがって、上記
比較器CP1の出力信号VoutAに対して比較器CP2の出
力信号VoutBも、略3/4ピッチPに相当する位相θ遅
れる。
【0028】こうして、上記比較器CP1,CP2の出力
信号VoutA,VoutBより移動体Xの移動速度,移動方向が
得られる。つまり、上記出力信号VoutA,VoutBのいず
れか一方の周期Tに基づいて、移動体Xの移動速度を求
める。また、上記移動体Xの移動方向は、図1において
移動体Xが左方向に移動すると、図3(c),(d)に示すよ
うに、出力信号VoutAに対して出力信号VoutBが略90
度(=θ)位相が遅れる一方、移動体Xが右方向に移動す
ると、出力信号VoutAに対して出力信号VoutBが略90
度位相が進む。したがって、出力信号VoutAに対する出
力信号VoutBの位相の進み遅れによって、移動方向を求
める。
【0029】また、上記フォトダイオードPd5は、1ピ
ッチPの2倍の幅に形成しているので、スリットX1,X
2,X3,…が移動しても、上記発光ダイオードからスリッ
トX1,X2,X3,…を通過した光を受光する面積は略一定
となる。すなわち、上記演算増幅器OP3の出力信号Vr
efは、図3(a),(b)に示すように、全受光面積の半分の
面積(1P×h)に比例した一定のレベルを保つのであ
る。これに対して、上記フォトダイオードPd1,Pd2の
出力信号VAとフォトダイオードPd3,Pd4の出力信号V
Bは、図3(a),(b)に示すように、受光面積(1P×2h)
に比例したピークレベルの略正弦波の出力電圧となる。
【0030】上記光電式エンコーダにおいて、効率低
下、温度上昇、経年変化などにより、発光ダイオード
(図示せず)の放射強度に変化が生じた場合、フォトダイ
オードPd1〜Pd5から出力される光電流信号のレベルが
低下する。例えば、上記フォトダイオードPd1,Pd2の
出力信号VAとフォトダイオードPd5の出力信号Vrefと
が、図4に示すように、夫々出力信号VAXと出力信号V
refXに変化しても、相対的にレベル変化した出力信号V
AXと出力信号VrefXとを比較器CP1により比較するの
で、比較器CP1は、初期の状態と略同一の出力信号Vo
utAを出力する。なお、このことは、比較器CP2の出力
信号VoutBも同様である。
【0031】このように、使用環境の変化や発光素子の
経年変化等に係わらず、上記フォトダイオードPd1,Pd
2とフォトダイオードPd3,Pd4に基づく出力信号Vout
A,VoutBは安定しているので、移動体Xの移動情報を正
確に検出することができる。また、上記光電式エンコー
ダの温度特性および素子の劣化等に対して、複雑な補償
回路なしに補償することができる。
【0032】また、上記フォトダイオードPd1〜Pd4を
発光素子からの光の光軸が通る中心Oに対して略対称に
配置しているので、発光ダイオードの放射強度分布が図
6のような分布Zであっても、フォトダイオードPd1〜
Pd4の受光量が略等しくなり、受光量のばらつきをなく
すことができ、出力信号VoutA,VoutBが安定する。し
たがって、上記発光ダイオード(図示せず)の指向性に係
わらず、移動体Xの移動情報をより正確に検出すること
ができる。
【0033】また、上記受光素子のフォトダイオードP
d5の幅を略2ピッチPにすることによって、発光ダイオ
ードからのスリットX1,X2,X3,…を通過した光を受光
するフォトダイオードPd5の面積を略一定にすることが
でき、スリットX1,X2,X3,…の移動に対して受光量が
常に略一定にすることが容易にできる。
【0034】また、上記受光素子のフォトダイオードP
d5を発光ダイオード(図示せず)からの光の光軸が通る中
心Oに対して略対称に配置することによって、発光ダイ
オードが図6に示す放射強度分布Zを有しても、その放
射強度分布Zの中心にフォトダイオードPd5を置くの
で、フォトダイオードPd5の受光量の変化を低減でき
る。したがって、上記発光ダイオード(図示せず)の指向
性に係わらず、移動体Xの移動情報をより正確に検出す
ることができる。
【0035】さらに、上記受光素子と比較回路を同一半
導体基板上に形成することによって、この光電式エンコ
ーダを小型化できると共に、部品点数を軽減して、コス
トを低減することができる。
【0036】上記実施の形態では、比較回路を受光素子
が形成された同一半導体基板上に形成したが、受光素子
と比較回路を別々の半導体基板上に形成してもよい。ま
た、上記比較回路なしに、受光素子の第1,第2受光部
から受光量を表わす信号を出力するようにしてもよい。
【0037】また、上記受光素子の第1受光部としての
フォトダイオードPd1〜Pd4を発光素子からの光の光軸
に対して略対称に配置したが、第1受光部の数や配置は
これに限らない。例えば、2以上の第1受光部を、発光
素子からの光の光軸に対して略対称に配置してもよい
し、発光素子からの光の光軸に沿った平面であって、ス
リットの配列方向に垂直な平面に対して略対称に配置し
てもよい。なお、上記第1受光部は1つでもよい。
【0038】また、上記受光素子の第1受光部としての
フォトダイオードPd1,Pd2の対とフォトダイオードPd
3,Pd4の対をスリットX1,X2,X3,…の配列方向に略3
/4ピッチPずらして配置したが、複数の第1受光部を
2つの集合に分けて、一方の集合の第1受光部を他方の
集合の第1受光部に対して、スリットの配列方向に適宜
ずらして配置してよい。
【0039】また、上記受光素子の第2受光部としての
フォトダイオードPd5を、移動体XのスリットX1,X2,
X3,…の配列方向に略1ピッチPの2倍の幅に形成した
が、第2受光部を1ピッチPの整数倍の幅に形成してよ
い。また、複数の第2受光部を、発光素子からの光の光
軸に対して略対称に配置してもよいし、発光素子からの
光の光軸に沿った平面であって、かつスリットの配列方
向に垂直な平面に対して略対称に配置してもよい。
【0040】また、上記移動体Xを直線移動させたが、
移動体は、周方向に複数のスリットを配列した円板形状
の回転体でもよい。
【0041】また、上記受光素子の第1,第2受光部の
形状や大きさは、上記実施の形態に限らないのは勿論で
ある。
【0042】
【発明の効果】以上より明らかなように、請求項1の発
明の光電式エンコーダは、移動体が発光素子と受光素子
との間を移動すると、受光素子の4個の第1受光部と第
2受光部は、受光量を表わす信号を夫々出力する。上記
4個の第1受光部からの受光量を表わす信号は、移動体
に一定ピッチ毎に形成された略1/2ピッチ幅のスリッ
トが1ピッチ分を移動する時間を一周期とする一方、発
光素子の放射強度分布の中心を含む位置に形成された第
2受光部からの受光量を表わす信号は、スリットを通過
した光を受光する面積が略一定になる。そして、上記第
2受光部からの受光量を表わす信号を基準信号として、
第1受光部からの受光量を表わす信号と比較することに
よって、移動体の移動情報を表わす信号を得て、この移
動情報を表わす信号の周期に基づいて、移動体の移動速
度を求める。また、例えば一方の第1受光部に対して他
方の第1受光部をスリットの配列方向に略3/4ピッチ
ずらして配置した場合、一方の第1受光部からの受光量
を表わす信号に対して他方の第1受光部からの受光量を
表わす信号は、移動体の移動方向に応じて位相が進み遅
れする。上記各第1受光部からの受光量を表わす信号の
位相差によって、移動体の移動方向を求める。こうし
て、上記移動体の移動情報を検出するとき、効率低下,
温度上昇および経年変化等により発光素子の放射強度が
低下しても、受光素子の第1,第2受光部からの受光量
を表わす信号は、夫々相対的にレベルが低下するので、
安定した移動情報を表わす信号を得ることができる。し
たがって、使用環境の変化や発光素子の経年変化等に係
わらず、移動体の移動情報を正確に検出することができ
る。また、簡単な構成で温度特性,素子劣化を補償で
き、複雑な補償回路を設ける必要がない。上記受光素子
の4個の第1受光部が、上記発光素子からの光の光軸を
通る上記スリットの配列方向の直線に沿った領域および
その直線に直交しかつ上記発光素子からの光の光軸を通
る直線に沿った領域をあけるように上記発光素子からの
光の光軸が通る点に対して放射状に配置されると共に、
上記受光素子の第2受光部が、上記発光素子からの光の
光軸を通る上記スリットの配列方向の直線に沿った領域
に配置されているので、簡単な構成で温度特性,素子劣
化を補償することができる。
【0043】また、請求項2の光電式エンコーダは、請
求項1の光電式エンコーダにおいて、上記第1受光部か
らの受光量を表わす信号と上記第2受光部からの受光量
を表わす信号とを比較して、上記移動体の移動情報を表
わす信号を出力する比較回路を備えたので、上記比較回
路により移動体の移動情報を表わす信号を得ることがで
きる。
【0044】また、請求項3の発明の光電式エンコーダ
は、請求項2の光電式エンコーダにおいて、上記受光素
子と上記比較回路を同一半導体基板上に形成したので、
小型化できると共に、部品点数を軽減して、コストを低
減することができる。
【0045】また、請求項4の発明の光電式エンコーダ
は、請求項1の光電式エンコーダにおいて、上記受光素
子の上記第1受光部が複数個であり、複数の第1受光部
を2つの集合に分けて、一方の集合の第1受光部に対し
て他方の集合の第1受光部を上記スリットの配列方向に
略3/4ピッチずらして配置したので、一方の集合の第
1受光部からの受光量を表わす信号に対して他方の集合
の第1受光部からの受光量を表わす信号の位相が移動体
の移動方向に応じて略90度進み遅れする。したがっ
て、上記受光量を表わす信号の位相差によって、移動体
の移動方向を求めることができる。
【0046】また、請求項5の発明の光電式エンコーダ
は、請求項4の光電式エンコーダにおいて、上記複数の
第1受光部を上記発光素子からの光の光軸に対して略対
称に配置したので、各第1受光部の発光素子からの光の
放射強度分布の状態が略同一となり、発光素子の放射強
度分布による受光量のばらつきをなくすことができる。
したがって、上記発光素子の指向性に係わらず、移動体
の移動情報をより正確に検出することができる。
【0047】また、請求項6の発明の光電式エンコーダ
は、請求項4の光電式エンコーダにおいて、上記複数の
第1受光部を、上記発光素子からの光の光軸に沿った平
面であって、かつ上記スリットの配列方向に垂直な平面
に対して略対称に配置したので、各第1受光部の発光素
子からの光の放射強度分布の状態が略同一となり、発光
素子の放射強度分布による受光量のばらつきをなくすこ
とができる。したがって、上記発光素子の指向性に係わ
らず、移動体の移動情報をより正確に検出することがで
きる。
【0048】また、請求項7の発明の光電式エンコーダ
は、請求項1の光電式エンコーダにおいて、上記第2受
光部を上記発光素子からの光の光軸に対して略対称に配
置したので、例えば1つの第2受光部を発光素子の放射
強度分布の中心に置くことによって、スリットの移動に
対して受光量の変化を低減することができる。また、複
数の第2受光部を上記光軸に対して略対称に配置した場
合、各第2受光部の発光素子からの光の放射強度分布の
状態が略同一となり、発光素子の放射強度分布による受
光量のばらつきをなくすことができる。したがって、上
記発光素子の指向性に係わらず、移動体の移動情報をよ
り正確に検出することができる。
【0049】また、請求項8の発明の光電式エンコーダ
は、請求項1の光電式エンコーダにおいて、上記第2受
光部を、上記発光素子からの光の光軸に沿った平面であ
って、かつ上記スリットの配列方向に垂直な平面に対し
て略対称に配置したので、例えば1つの第2受光部を発
光素子の放射強度分布の中心に置くことによって、スリ
ットの移動に対して受光量の変化を低減することができ
る。また、複数の第2受光部を上記平面に対して略対称
に配置した場合、各第2受光部の発光素子からの光の放
射強度分布の状態が略同一となり、発光素子の放射強度
分布による受光量のばらつきをなくすことができる。し
たがって、上記発光素子の指向性に係わらず、移動体の
移動情報をより正確に検出することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はこの発明の実施の形態の光電式エンコ
ーダの要部平面図である。
【図2】 図2は上記光電式エンコーダの回路図であ
る。
【図3】 図3は上記光電式エンコーダの動作を説明す
る信号波形を示す図である。
【図4】 図4は上記光電式エンコーダの発光ダイオー
ドの放射強度が変化した場合の動作を説明する信号波形
を示す図である。
【図5】 図5は従来の光電式エンコーダの要部平面図
である。
【図6】 図6は上記光電式エンコーダの発光ダイオー
ドの放射強度分布を示す図である。
【符号の説明】
Pd1〜Pd5…フォトダイオード、X…移動体、X1,X2,
X3…スリット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01D 5/00 - 5/62 G01B 7/00 - 7/34 G01B 11/00 - 11/30 G01P 1/00 - 3/80

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相対向させて配置された発光素子と受光
    素子との間に、複数のスリットが形成された移動体を通
    過させて、上記移動体の移動情報を検出する光電式エン
    コーダにおいて、 上記移動体の上記複数のスリットは、移動方向に一定ピ
    ッチ毎に略1/2ピッチ幅で夫々形成されたものであ
    り、 上記受光素子は、上記スリットの配列方向の幅が略1/
    2ピッチに形成された4個の第1受光部と、上記スリッ
    トの配列方向の幅を略1ピッチの整数倍にして、上記ス
    リットを通過した光を受光する面積が略一定になるよう
    にかつ上記発光素子の放射強度分布の中心を含む位置に
    形成された少なくとも1つの第2受光部とを有し、 上記4個の第1受光部からの受光量を表わす信号と上記
    第2受光部からの受光量を表わす信号とを比較して、上
    記移動体の移動情報を表わす信号を得るようにした光電
    式エンコーダであって、 上記4個の第1受光部を、上記発光素子からの光の光軸
    を通る上記スリットの配列方向の直線に沿った領域およ
    びその直線に直交しかつ上記発光素子からの光の光軸を
    通る直線に沿った領域をあけるように上記発光素子から
    の光の光軸を通る点に対して放射状に配置すると共に、 上記受光素子の上記第2受光部を、上記発光素子からの
    光の光軸を通る上記スリットの配列方向の直線に沿った
    領域に配置した ことを特徴とする光電式エンコーダ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光電式エンコーダにお
    いて、上記第1受光部からの受光量を表わす信号と上記
    第2受光部からの受光量を表わす信号とを比較して、上
    記移動体の移動情報を表わす信号を出力する比較回路を
    備えたことを特徴とする光電式エンコーダ。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の光電式エンコーダにお
    いて、上記受光素子と上記比較回路を同一半導体基板上
    に形成したことを特徴とする光電式エンコーダ。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の光電式エンコーダにお
    いて、上記受光素子の上記第1受光部が複数個であり、
    上記複数の第1受光部を2つの集合に分けて、一方の集
    合の上記第1受光部に対して他方の集合の上記第1受光
    部を上記スリットの配列方向に略3/4ピッチずらして
    配置したことを特徴とする光電式エンコーダ。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の光電式エンコーダにお
    いて、上記複数の第1受光部を上記発光素子からの光の
    光軸に対して略対称に配置したことを特徴とする光電式
    エンコーダ。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載の光電式エンコーダにお
    いて、上記複数の第1受光部を、上記発光素子からの光
    の光軸に沿った平面であって、かつ上記スリットの配列
    方向に垂直な平面に対して略対称に配置したことを特徴
    とする光電式エンコーダ。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の光電式エンコーダにお
    いて、上記第2受光部を上記発光素子からの光の光軸に
    対して略対称に配置したことを特徴とする光電式エンコ
    ーダ。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の光電式エンコーダにお
    いて、上記第2受光部を、上記発光素子からの光の光軸
    に沿った平面であって、かつ上記スリットの配列方向に
    垂直な平面に対して略対称に配置したことを特徴とする
    光電式エンコーダ
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