JP3255892B2 - 磁粉探傷法および磁粉探傷装置 - Google Patents
磁粉探傷法および磁粉探傷装置Info
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Description
し、さらに、詳細には、強磁性材料を磁化し、割れなど
の欠陥の部分に生じる磁気の乱れを検知することにより
材料の欠陥を検出する方法である磁粉探傷法およびその
方法の実施に使用する磁粉探傷装置に関する。
る欠陥を検出する方法として、被探傷材を磁化し、欠陥
部よりの漏れ磁束に磁粉を吸引させて生じる磁粉模様を
観察することにより欠陥を検出する方法である磁粉探傷
法は広く使用されている。
磁性材である被探傷材51上に磁石52を載置し、被探
傷材51を磁石52で磁化して表面近傍の欠陥53の部
分に現れる漏れ磁束54に磁粉55を吸引させて磁粉模
様を生じさせ、微小欠陥を可視化させる方法であり、J
IS G0565−1992に規定された方法は、磁粉
を被探傷面に空気とともに吹き付けるか、または、磁粉
を均一に分散させた検査液を被探傷面上に静かに流し
て、漏れ磁束が生じている部分に現れる磁粉模様を肉眼
にて直接観察する方法(以下「JISの磁粉探傷法」と
いう)である。
欠陥の検出に使用した場合、漏れ磁束が小さくて磁粉を
吸引する磁力が弱いので、空気あるいは液体とともに磁
粉を流すと、その流れの慣性力のために漏れ磁束部位に
磁粉を吸引しにくく、被探傷材を磁化しながら連続的に
磁粉を流す必要があり、目視で判断できる状態にするに
は時間がかかるという欠点がある。また、被探傷面が傾
斜していると、検査液の重力のために磁粉の移動速度が
速くなり、漏れ磁束に磁粉を吸引するのが困難になり、
特に、被探傷面が鉛直方向であると、洩れ磁束に磁粉を
吸引させるのにかなりの熟練を要する。さらに、被探傷
面が予め十分に清掃されていないと、被探傷面と磁粉模
様とのコントラストがつきにくくなるので、探傷前に被
探傷面を予め十分に清掃しておかなければならないとい
う煩わしい作業が必要であり、探傷作業後には磁粉や液
体の除去と清掃作業が必要である。その上、磁粉の再使
用が不可能であり、経済的に不利である。そして、被探
傷面に凹凸があると、磁粉が凹部に溜まり、疑似模様が
欠陥と誤判断される可能性がある。
は、図10(a)に模式的に示すように、磁粉を分散さ
せた検査液56を密閉された可撓性容器57に封入し、
非導電性弾性薄膜58を被探傷材に押しつけ、欠陥部の
漏洩磁束による磁粉模様を非導電性弾性薄膜58上に画
かせて、この磁粉模様を容器57の透明部59を通して
観察する方式のもの(以下「従来の磁粉探傷法1」とい
う)が記載されている。この従来の磁粉探傷法1は、漏
れ磁束の大きい大型欠陥を対象とする場合には適用する
ことが可能である。しかし、一般構造物の微小欠陥の検
出に適用するのは困難である。というのは、従来の磁粉
探傷法1もJISの磁粉探傷法と同じく、磁粉を吸引す
る漏れ磁束の磁力が小さく、図10(b)に示すよう
に、被探傷材60の表面の微小欠陥61に対応して生じ
る洩れ磁束の磁力の及ぶ範囲の検査液中に分散した磁粉
を凝集し、凝集物62を生じさせても、その凝集量が少
ないので、探傷前に透明部59から見た状態を示す図1
0(c)と、磁粉の凝集物62による磁粉模様63を透
明部59から見た状態を示す図10(d)との差異はそ
れほど明瞭でなく(磁粉模様63がうすくて判別しにく
く)、欠陥の検出が困難である。そこで、検査液中の磁
粉の濃度を高めると、凝集磁粉量は多くなるが、検査液
自体が磁粉により黒ずむなど、磁粉の凝集部分と他の部
分とのコントラストがつきにくくなる。また、連続的に
探傷する場合は、直前の探傷による磁粉の凝集物を再度
均一に分散させなければ、明確な磁粉模様を得ることは
できないが、密閉容器57内の液体を流動化させること
は難しく、液体と磁粉の相対的な動きを液体の流れによ
り生じさせることも困難である。さらに、凹凸のある面
を探傷する際、非導電性弾性薄膜58が可撓性を有する
としても、凸部に接触する容器の検査液の高さ(H)が
減少し、磁粉模様にバラツキが生じ、欠陥の検出感度が
低下する。
は、図11(b)に示すように、透明可撓性薄膜64と
白色可撓性薄膜65からなる可撓性ベルト66内の空間
に磁粉を含有する検査液67を封入し、図11(a)に
示すように、この可撓性ベルト66を3本の遊動輪68
と1本の駆動輪69との間に架け渡し、磁化電極70に
よって被探傷材71を連続的に磁化し、無限軌道を構成
する可撓性ベルト66を被探傷材71に接触させつつ磁
粉探傷する構成のもの(以下「従来の磁粉探傷法2」と
いう)が記載されている。しかし、この従来の磁粉探傷
法2は、可撓性容器が可撓性ベルトに代わっただけで、
上記した従来の磁粉探傷法1と同様の欠点を有してい
る。
有するこのような問題点に鑑みてなされたものであっ
て、その目的は、微小欠陥の検出感度の大きな磁粉探傷
法および磁粉探傷装置を提供することにある。また、微
小欠陥の有無の判定が容易な磁粉探傷法および磁粉探傷
装置を提供することにある。また、短時間で微小欠陥を
検出しうる磁粉探傷法および磁粉探傷装置を提供するこ
とにある。さらに、本発明の目的は、微小欠陥の検出作
業を簡単に、しかも低コストで行いうる磁粉探傷法およ
び磁粉探傷装置を提供することにある。そして、本発明
の目的は、被探傷面の表面形態の影響を受けることな
く、被探傷面の設置角度に関係なく、微小欠陥を検出し
うる磁粉探傷法および磁粉探傷装置を提供することにあ
る。
に本発明は、いずれか一方の面側にマイクロカプセルに
相当する大きさの直径を有する多数の小室を備え、且つ
これらの小室に磁粉を分散させた分散媒を封入してなる
磁気シートを採用し、探傷前にすべての小室内の磁粉を
磁石で吸引して磁気シートの一方の面側に移動させ、こ
の磁気シートの探傷面を被探傷材の被探傷面に当接し、
被探傷材を磁化手段で磁化すると、被探傷材の表面また
は表面直下に存在する微小欠陥に起因して生じる漏れ磁
束の磁力により磁粉は瞬時に小室内を泳動し、磁気シー
トの探傷面に一定の磁粉模様を形成する。この磁粉模様
を観察することにより、微小欠陥を高感度で検出するこ
とができる。
を磁化手段で磁化し、被探傷材の表面または表面近傍に
存在する磁束の通過を妨げる欠陥により該欠陥直上の空
間に漏れ磁束を生じさせ、該洩れ磁束で磁粉を吸引する
ことにより形成される磁粉模様に基づいて欠陥を検出す
る磁粉探傷法において、いずれか一方の面側にマイクロ
カプセルに相当する大きさの直径を有する多数の小室を
備え且つこれらの小室に磁粉を分散させた分散媒(水、
白灯油又はアルコール類等)を封入してなる磁気シート
を準備し、該磁気シートによる探傷前にすべての小室内
の磁粉を磁石で吸引して磁気シートの一方の面側に移動
させ、この磁気シートの探傷面を被探傷材の被探傷面に
当接し、次いで、磁気シートを被探傷材から引き離し、
探傷面側のシートに画かれた磁粉模様を観察して欠陥を
検出することを特徴としている。次に、磁気シート、本
発明による微小欠陥検出法、本発明の作用・効果、本発
明の実施形態について説明する。 (1)磁気シート 磁気シートとは、図1(a)に示すように、2枚の透明
シート1a、1b間に多数の小室2を有し、この小室2
内に微細な磁粉3(図では多数の微細な磁粉が凝集する
ことにより黒い塊で表されている)を分散させた白色分
散媒4を封入したものであり、一方のシート1bに磁粉
模様消去用磁石5を当接させつつ矢示方向に移動させる
ことにより小室内の磁粉3を一方のシート1b側に一様
に移動させ、その結果、他方のシート1a側の小室2内
には磁粉3が存在しない状態にされ、シート1aを観察
しても、図1(b)に示すように、何も見えない。次い
で、図1(c)に示すように、シート1aに磁石ペン6
を当接させつつ紙面直角方向に移動させると、小室2内
の磁粉3が吸引されてシート1a側に移動し、図1
(d)に示すように、シート1aに瞬時に磁粉模様7を
画くことができる。 (2)微小欠陥の検出 係る構成の磁気シートを用いて、本発明によれば、以下
のようにして欠陥を検出することができる。 a.探傷前に小室内の磁粉を探傷面とは反対側の面に移
動させた場合 図2(a)に示すように、シート1aに当接させつつ消
去用磁石5を矢示方向に移動させると、小室内の磁粉3
はシート1a側に移動してシート1b側の小室には磁粉
が存在しなくなり、図2(b)に示すように、シート1
bを観察しても何も見えない。次いで、図2(c)にす
ように、この磁気シートのシート1b側を被探傷材8上
に載置し、適切な磁化手段で被探傷材8を磁化すると、
被探傷材8の表面近傍に欠陥9が存在する場合、その部
分に生じる洩れ磁束により小室2内のシート1a側にあ
る磁粉3の一部がシート1b側に吸引されて、図2
(d)に示すように、欠陥9に対応した磁粉模様10が
シート1b側に現れるのを観察できる。
傷前に小室内の磁粉を探傷面とは反対側の面に移動させ
ておいても、欠陥に対応して生じる漏れ磁束が大きく、
磁粉模様が明瞭に現れやすくなるので、欠陥の判定が比
較的容易である。 b.探傷前に小室内の磁粉を探傷面側に移動させた場合 微小欠陥を検出する場合、その漏れ磁束は僅かであり、
磁粉を極力被探傷面側に近づけておくことが好ましい。
そこで、図3(a)に示すように、消去用磁石5をシー
ト1bに当接させて矢示方向に移動させると、磁粉3は
磁石5の磁力で吸引されてシート1b側に移動するが、
小室2外に出ることはできないため、小室2の側面に多
くの磁粉が溜まった状態になり、このシート1bを観察
すると、図3(b)に示すように、全体的に灰色を呈す
る状態が見られる。
気シートのシート1b側を探傷面側として被探傷材8上
に載置し、適切な磁化手段で被探傷材8を磁化すると、
被探傷材8に欠陥9が存在する場合、欠陥9を挟んでそ
の両側でN極、S極が形成されるが、欠陥9が微小なも
のである場合、N極−S極は極めて接近し、そのため、
欠陥9の部分に生じる漏れ磁束の磁束密度は大きくな
り、しかも、磁束の移動がないので、欠陥9直上の小室
2a内にある磁粉のほぼ全量は欠陥9側に引き寄せら
れ、欠陥9直上の小室2aに隣接する小室2b、2c内
にある磁粉は、小室2a側に引き寄せられるので、図3
(c)に示すように、小室2b、2cの探傷面側には、
磁粉が存在しない領域11が存在するようになる。
と、図3(d)およびその部分拡大図である図3(e)
に示すように、欠陥に対応する中央部には、黒色の磁粉
模様12が見られ、この黒色の部分の周囲には白色の部
分13が存在する様子を観察することができる。このよ
うに、欠陥の存在を知らせる「色のコントラスト」が大
きくなるので、目視で容易に微小欠陥の存在を判定でき
るようになる。 (3)本発明の作用・効果 本発明の磁粉探傷法の作用・効果を次に説明する。
検出感度 磁粉は小室内を移動するのみであり、被探
傷面の凹凸や粗さなどの表面形態の影響を受けることな
く、被探傷面が傾斜している場合の重力の影響も極小で
あり、磁粉は欠陥部に生じる漏れ磁束による磁力により
吸引されて、欠陥に対応した磁粉模様を呈するので、欠
陥の検出感度が大きい。なお、湾曲部位や凹凸のある面
での欠陥の検査を容易にするためには、磁気シートは可
撓性のあるものが好ましい。 欠陥の判定の容易さ
図3に関して説明したように、本発明の磁粉探傷法に
よる磁粉模様は、中心部に黒色の部分があり、その周囲
に白色の部分があるという顕著な特徴を有しており、色
のコントラスト(白枠効果)による視覚に訴える効果が
大きく、欠陥の判定が容易である。その場合、欠陥の大
きさに比較して小室が大きすぎると、色のコントラスト
が現れにくくなるので、小さい方が好ましいが、小さ過
ぎると小室の製造コストが高くなるだけでなく、小室内
に含まれる磁粉の量が少なくなり、色のコントラストが
小さくなるという不都合が生じる。そのため、小室の直
径は、5〜1000μm(いわゆる、マイクロカプセル
相当の大きさ)が好ましい。
傷材に接する面)とは反対側のシートの色を白色にすれ
ば、コントラストがつきやすく、磁粉模様を観察しやす
くなるので好ましい。
説明したが、磁粉は、必ずしも黒色である必要はなく、
分散媒とのコントラストが大きくなるような色であれば
よい。また、磁粉は蛍光色を発するものを使用すること
もできる。 欠陥検出時間 磁粉が漏れ磁束の磁力により吸引
されて小室内を移動することにより見られる磁粉模様は
瞬時に形成されるので、欠陥の検出時間が極めて短い。 作業性 探傷前に被探傷材の表面を予め清浄化す
るために特別の処理をする必要はなく、表面の錆を落と
す程度の処理をするだけで、明瞭に形成される磁粉模様
により欠陥を誤検出することもなく、確実に欠陥を検出
することができる。また、探傷後に検査液や磁粉をふき
取る作業のような余分な作業をする必要はない。 コスト 磁粉は汚染することなく繰り返し使用す
ることができるので、欠陥検出のための作業コストが安
く、経済的である。 結果の記録 欠陥の存在を示す磁粉模様は、黒
と白のコントラストにより明瞭に表されるので、磁気シ
ートの観察面(探傷面)を複写したり、写真撮影するこ
とにより、欠陥の観察結果を正確に長期間記録保管する
ことができる。 (4)他の実施形態 連続式欠陥検出方式 本発明の磁粉探傷法の他の実施形態として、いずれか一
方の面側にマイクロカプセルに相当する大きさの直径を
有する多数の小室を備え、且つこれらの小室に磁粉を分
散させた分散媒を封入してなる磁気シートを探傷面側が
外側になるように回転体の外周に取り付け、磁粉模様消
去用磁石を上記磁気シートの探傷面側または反探傷面側
に当接し、回転体に取り付けられた磁気シートの探傷面
を被探傷材の被探傷面に当接させながら回転体を被探傷
材上を連続的に回転移動させることにより、探傷面側の
シートに画かれた磁粉模様を観察して欠陥を検出し、次
いで、磁粉模様消去用磁石で磁粉模様を消去する処理を
連続して行うこともできる。この方式によれば、欠陥の
検出レベルの要求水準に応じて、探傷前に磁粉模様消去
用磁石により磁気シートの探傷面側または反探傷面側に
小室内の磁粉を移動させておき、回転体に取り付けた磁
気シートの探傷面を被探傷材の被探傷面に当接させなが
ら回転体を被探傷材上を連続的に回転移動させることに
より、磁気シートへの磁粉模様の形成と消去を連続して
行い、広範囲の領域で連続的に欠陥を検出することがで
きる。 連続式欠陥検出方式による磁粉探傷装置 連続的に被探傷面の欠陥を検出する方式の磁粉探傷装置
としては、以下のような磁粉探傷装置を使用することが
できる。
プセルに相当する大きさの直径を有する多数の小室を備
え、且つこれらの小室に磁粉を分散させた分散媒を封入
してなる磁気シートを探傷面側が外側になるように回転
体の外周に取り付け、磁粉模様消去用磁石を上記磁気シ
ートの探傷面側または反探傷面側に当接し、被探傷材の
磁化手段を上記回転体とともに被探傷材上を移動可能に
配し、回転体に取り付けられた磁気シートの探傷面を被
探傷材の被探傷面に当接させながら回転体を被探傷材上
を連続的に回転移動させることにより、磁気シートへの
磁粉模様の形成と磁粉模様の消去を連続的に行うことを
特徴とする磁粉探傷装置を使用することができる。
セルに相当する大きさの直径を有する多数の小室を備
え、且つこれらの小室に磁粉を分散させた分散媒を封入
してなる磁気シートを、被探傷材に当接する第一回転体
と被探傷材から離間した第二回転体に探傷面側が外側に
なるように巻き付け、被探傷材の磁化手段を上記第一お
よび第二回転体とともに被探傷材上を移動可能に配し、
第一回転体に巻き付けられた磁気シートの探傷面を被探
傷材の被探傷面に当接させながら回転体を被探傷材上を
連続的に回転移動させることにより、第一回転体に巻き
付けられた磁気シートを第二回転体に巻き取りつつ磁気
シートへの磁粉模様の形成を連続的に行うことを特徴と
する磁粉探傷装置を使用することができる。この磁気シ
ート巻取式磁粉探傷装置によれば、第二回転体に巻き取
った磁気シートを探傷後に解析することにより、磁気シ
ートに集約された広範囲の領域の欠陥情報(磁粉模様)
に応じて適切な欠陥対策を採ることができる。
プセルに相当する大きさの直径を有する多数の小室を備
え、且つこれらの小室に磁粉を分散させた分散媒を封入
してなる磁気シートを、被探傷材に当接する第一回転体
と被探傷材から離間した第二回転体に探傷面側が外側に
なるように無端状に巻き付け、磁粉模様消去用磁石を上
記磁気シートの探傷面側または反探傷面側に当接し、被
探傷材の磁化手段を上記第一および第二回転体とともに
被探傷材上を移動可能に配し、第一回転体に巻き付けら
れた磁気シートの探傷面を被探傷材の被探傷面に当接さ
せながら回転体を被探傷材上を連続的に回転移動させる
ことにより、第一回転体と第二回転体に磁気シートを無
端状に巻き付け、磁気シートへの磁粉模様の形成と磁粉
模様の消去を連続的に行うことを特徴とする磁粉探傷装
置を使用することができる。この磁気シート無端状巻付
式磁粉探傷装置において、さらに被探傷材に当接する第
三回転体を有し、第一回転体と第二回転体と第三回転体
に磁気シートを無端状に巻き付ける方式であれば、シー
トの回転時のすべりによる磁粉模様のブレがなく、より
欠陥の判定が容易になる。 シートの材質 磁気シートを構成する2枚のシートが透明可撓性薄膜で
あれば、被探傷材に接しないシートの方から、被探傷材
に接するシートの探傷面側に形成される磁粉模様を透視
することができる。
説明する。 (1)バッチ式磁粉探傷装置 図4は本発明に係る磁粉探傷装置の一実施例を示し、図
4(a)はその断面図、図4(b)は図4(a)の磁気
シートの探傷面側を示す平面図である。図4(a)にお
いて、14は電磁石、15は被探傷材、16は磁気シー
ルドを形成する極く薄い塗膜である。探傷面側のプラス
チック製のシート17aと反探傷面側のゴム製のシート
17bとの間に小室(図1〜図3参照)を多数有し、こ
の小室内に分散媒により微細な多数の磁粉を分散させた
磁気シート18が塗膜16上に載置されている。塗膜1
6は必ずしも必要なものではないが、欠陥部の洩れ磁束
を減衰させないために、欠陥検出(磁粉模様の明瞭度)
の要求レベルに応じて設けることができる。19は多数
のスプリング20のばね力により磁気シート18を被探
傷材15側に押圧する押圧材であり、リブ21により電
磁石14に固定支持されている。
いて、被探傷材15の表面に存在する微小欠陥22を検
査した結果、探傷面側のシート17aには、図4(b)
に示すような明瞭な磁粉模様23が現れたのが認められ
た。 (2)連続式磁粉探傷装置 回転体が1個の場合 図5は回転体を用いた連続式欠陥検出方式による磁粉探
傷装置の一例を示し、図5(a)はその断面図、図5
(b)は図5(a)の回転体の断面を拡大して示す図で
ある。図5(a)において、断面「コ」の字状の磁石か
らなる可動型磁化器24の下端部には、ローラー25が
取り付けられている。そして、図5(b)に示すような
ゴム製ローラ(回転体)26の外周に磁気シート27を
取り付けたものが軸28により回転可能に可動型磁化器
24に支持されている。磁気シート27は、内面側のゴ
ム製のシートと外面側のプラスチック製のシートとの間
に小室(図1〜図3参照)を多数有し、この小室内に分
散媒により多数の微細な磁粉を分散させたものであり、
プラスチック製シートが外面になるようにローラ26に
取り付けられている。29は磁粉模様消去用のローラ磁
石であり、磁気シート27の全長に当接するように、可
動型磁化器24に支持されている。30はスリップ防止
用のタイヤである。
磁気シートを取りつけたローラ26を被探傷材15上を
回転移動させながら、被探傷材15の表面に存在する微
小欠陥22に対応して形成される磁気シートの表面の磁
粉模様31を観察しながら、この磁粉模様31を消去用
のローラ磁石29で消去しつつ、被探傷材15の表面の
広範囲の領域にわたり、連続的に欠陥を検出することが
できる。 複数個の回転体を用いた磁気シート巻取式のもの 図6(a)は、被探傷材15に当接するローラ32およ
びローラ33(第一回転体)と、ローラ32から巻き戻
されてローラ33により被探傷材15に押しつけられた
磁気シート34を巻き取るローラ35(第二回転体)か
らなる3ローラによる磁気シート巻取式磁粉探傷装置の
概略構成図である。磁気シート34は27と同様の構成
のものである。
れば、ローラ32で先導しつつ、ローラ33で磁気シー
ト34を被探傷材15に当接しつつ被探傷材15上を回
転移動させながら、被探傷材15の表面に存在する微小
欠陥22を検出して、観察位置36で磁気シートの表面
に現出された磁粉模様を観察しながら、被探傷材15の
表面の広範囲の領域にわたり、連続的に欠陥を検出する
ことができる。ローラ35に巻き取った磁気シートは広
範囲の領域の欠陥情報として利用することができる。
を除いたものである。 複数個の回転体に磁気シートを無端状に巻き付けた
もの 図7(a)は、被探傷材15に当接するローラ37(第
三回転体)、ローラ38(第一回転体)と、被探傷材1
5から離間したローラ39(第二回転体)との間に磁気
シート34を無端状に巻き付けた、3ローラによる磁気
シート無端状巻付式磁粉探傷装置の概略構成図である。
この構成の磁粉探傷装置によれば、矢示方向に移動させ
つつ、ローラ37、38で磁気シート34を被探傷材1
5に当接しつつ被探傷材15上を回転移動させながら、
被探傷材15の表面に存在する微小欠陥22を検出し
て、観察位置40で磁気シート34の表面に現出された
磁粉模様を観察しながら、磁粉模様をローラ磁石41で
消去しつつ、被探傷材15の表面の広範囲の領域にわた
り、連続的に欠陥を検出することができる。この3ロー
ラタイプによれば、被探傷材15の表面に存在する微小
欠陥22はローラ37と38の距離に対応した一定の面
積のある磁粉模様として拡大して表されるので、観察位
置40における欠陥の判定が容易である。
を除いたものである。 (3)磁化手段 図8は磁化手段の一例を示す図であり、磁化手段として
被探傷材15上に断面「コ」の字状の永久磁石42を載
置することができるし、また、陽極側のプレート43と
陰極側のプレート44との間に一定の電圧を印加して、
磁界を発生させる方式のものを用いることができる。 (4)本発明の実際適用例 本発明者は、本発明の方法により、JIS G0565
−1992で定められている磁粉探傷試験方法の標準試
験片(A1−30/100円形)により微小欠陥を検出
することができることを確認した。
る水中の磁粉探傷検査においても、本発明の方法を適用
することにより、十分に実用的な水中における磁粉探傷
検査を行いうることを確認した。
で、つぎの効果を奏する。 (1)磁粉は小室内を移動するのみであり、磁粉模様は
被探傷面の表面形態の影響を受けにくく、被探傷面が傾
斜している場合の重力の影響も極小であるから、欠陥の
検出感度が大きい。 (2)本発明の磁粉探傷法による磁粉模様は、中心部に
濃色(例えば黒色)の部分があり、その周囲に白色の部
分があるという顕著な特徴を有しており、濃淡の色のコ
ントラストによる視覚に訴える効果が大きく、欠陥の判
定が容易である。 (3)磁粉が漏れ磁束の磁力により吸引されて小室内を
移動することにより見られる磁粉模様は瞬時に形成され
るので、欠陥の検出時間が極めて短い。 (4)探傷前に被探傷材の表面を予め清浄化するために
特別の処理をする必要はなく、探傷後に検査液や磁粉を
ふき取る作業のような余分な作業をする必要はなく、作
業性に優れている。 (5)磁粉は汚染することなく繰り返し使用することが
できるので、欠陥検出のための作業コストが安く、経済
的である。 (6)欠陥の存在を示す磁粉模様は、濃淡の色のコント
ラストにより明瞭に表されるので、磁気シートの観察面
(探傷面)を複写したり、写真撮影することにより、欠
陥の観察結果を正確に記録保管することができる。 (7)特に、磁粉を分散させた分散媒を封入してなる小
室がマイクロカプセルに相当する大きさの直径を有する
ことで磁粉模様の色のコントラストによる視覚に訴える
効果が大きく、欠陥の判定が容易である。 (8)特に、請求項2記載のように、小室内の磁粉を移
動させた側の磁気シートの面を探傷面として被探傷材の
被探傷面に当接する方法であれば、磁粉模様がより明瞭
に磁気シート表面に現れるので、目視で容易に微小欠陥
の検出ができる。 (9)特に請求項3記載の方法ならびに請求項4〜6記
載の装置によれば、連続的に広範囲にわたって、被探傷
材の表面もしくは表面直下の微小欠陥を検出することが
できる。 (9)特に請求項6記載の装置によれば、連続して明瞭
な磁粉模様として表されるので、欠陥の判定が容易であ
る。
ある。
である。
す断面図、図4(b)は磁気シートの表面に表された磁
粉模様の一例を示す図である。
示す断面図、図5(b)は図5(a)の回転体の断面を
拡大して示す図である。
図であり、図6(a)は3ローラによる磁気シート巻取
式のもの、図6(b)は2ローラによる磁気シート巻取
式のものである。
図であり、図6(a)は3ローラによる磁気シート無端
状巻付式のもの、図6(b)は2ローラによる磁気シー
ト無端状巻取式のものである。
する図である。
視図であり、図11(b)はその磁粉探傷装置に使用す
るベルトの断面図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 被探傷材を磁化手段で磁化し、被探傷材
の表面または表面近傍に存在する磁束の通過を妨げる欠
陥により該欠陥直上の空間に漏れ磁束を生じさせ、該洩
れ磁束で磁粉を吸引することにより形成される磁粉模様
に基づいて欠陥を検出する磁粉探傷法において、いずれ
か一方の面側にマイクロカプセルに相当する大きさの直
径を有する多数の小室を備え且つこれらの小室に磁粉を
分散させた分散媒を封入してなる磁気シートを準備し、
該磁気シートによる探傷前にすべての小室内の磁粉を磁
石で吸引して磁気シートの一方の面側に移動させ、この
磁気シートの探傷面を被探傷材の被探傷面に当接し、次
いで、磁気シートを被探傷材から引き離し、探傷面側の
シートに画かれた磁粉模様を観察して欠陥を検出するこ
とを特徴とする磁粉探傷法。 - 【請求項2】 小室内の磁粉を移動させた側の磁気シー
トの面を探傷面として被探傷材の被探傷面に当接するこ
とを特徴とする請求項1記載の磁粉探傷法。 - 【請求項3】 被探傷材を磁化手段で磁化し、被探傷材
の表面または表面近傍に存在する磁束の通過を妨げる欠
陥により該欠陥直上の空間に漏れ磁束を生じさせ、該洩
れ磁束で磁粉を吸引することにより形成される磁粉模様
に基づいて欠陥を検出する磁粉探傷法において、いずれ
か一方の面側にマイクロカプセルに相当する大きさの直
径を有する多数の小室を備え、且つこれらの小室に磁粉
を分散させた分散媒を封入してなる磁気シートを探傷面
側が外側になるように回転体の外周に取り付け、磁粉模
様消去用磁石を上記磁気シートの探傷面側または反探傷
面側に当接し、回転体に取り付けられた磁気シートの探
傷面を被探傷材の被探傷面に当接させながら回転体を被
探傷材上を連続的に回転移動させることにより、探傷面
側のシートに画かれた磁粉模様を観察して欠陥を検出
し、次いで、磁粉模様消去用磁石で磁粉模様を消去する
処理を連続して行うことを特徴とする磁粉探傷法。 - 【請求項4】 被探傷材を磁化手段で磁化し、被探傷材
の表面または表面近傍に存在する磁束の通過を妨げる欠
陥により該欠陥直上の空間に漏れ磁束を生じさせ、該洩
れ磁束で磁粉を吸引することにより形成される磁粉模様
に基づいて欠陥を検出する磁粉探傷装置において、いず
れか一方の面側にマイクロカプセルに相当する大きさの
直径を有する多数の小室を備え、且つこれらの小室に磁
粉を分散させた分散媒を封入してなる磁気シートを探傷
面側が外側になるように回転体の外周に取り付け、磁粉
模様消去用磁石を上記磁気シートの探傷面側または反探
傷面側に当接し、被探傷材の磁化手段を上記回転体とと
もに被探傷材上を移動可能に配し、回転体に取り付けら
れた磁気シートの探傷面を被探傷材の被探傷面に当接さ
せながら回転体を被探傷材上を連続的に回転移動させる
ことにより、磁気シートへの磁粉模様の形成と磁粉模様
の消去を連続的に行うことを特徴とする磁粉探傷装置。 - 【請求項5】 被探傷材を磁化手段で磁化し、被探傷材
の表面または表面近傍に存在する磁束の通過を妨げる欠
陥により該欠陥直上の空間に漏れ磁束を生じさせ、該洩
れ磁束で磁粉を吸引することにより形成される磁粉模様
に基づいて欠陥を検出する磁粉探傷装置において、いず
れか一方の面側にマイクロカプセルに相当する大きさの
直径を有する多数の小室を備え、且つこれらの小室に磁
粉を分散させた分散媒を封入してなる磁気シートを、被
探傷材に当接する第一回転体と被探傷材から離間した第
二回転体に探傷面側が外側になるように無端状に巻き付
け、磁粉模様消去用磁石を上記磁気シートの探傷面側ま
たは反探傷面側に当接し、被探傷材の磁化手段を上記第
一および第二回転体とともに被探傷材上を移動可能に配
し、第一回転体に巻き付けられた磁気シートの探傷面を
被探傷材の被探傷面に当接させながら回転体を被探傷材
上を連続的に回転移動させることにより、第一回転体と
第二回転体に磁気シートを無端状に巻き付け、磁気シー
トへの磁粉模様の形成と磁粉模様の消去を連続的に行う
ことを特徴とする磁粉探傷装置。 - 【請求項6】 さらに、被探傷材に当接する第三回転体
を有し、第一回転体と第二回転体と第三回転体に磁気シ
ートを無端状に巻き付けたことを特徴とする請求項5記
載の磁粉探傷装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18932899A JP3255892B2 (ja) | 1999-07-02 | 1999-07-02 | 磁粉探傷法および磁粉探傷装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18932899A JP3255892B2 (ja) | 1999-07-02 | 1999-07-02 | 磁粉探傷法および磁粉探傷装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001021539A JP2001021539A (ja) | 2001-01-26 |
JP3255892B2 true JP3255892B2 (ja) | 2002-02-12 |
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ID=16239520
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18932899A Expired - Fee Related JP3255892B2 (ja) | 1999-07-02 | 1999-07-02 | 磁粉探傷法および磁粉探傷装置 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3255892B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB0129464D0 (en) * | 2001-12-08 | 2002-01-30 | Johnson J R M | Magmap - magnetograph |
US9976968B2 (en) | 2013-10-18 | 2018-05-22 | Saga University | Cracking detection system and cracking detection method |
-
1999
- 1999-07-02 JP JP18932899A patent/JP3255892B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
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