JP3255735B2 - ラテックスゴム製品およびその製造方法 - Google Patents

ラテックスゴム製品およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、手袋などのラテックス
ゴム製品およびその製造方法に関し、より詳しくは皮膚
に刺激のある薬品の含有量が少なく、また燃焼時の灰分
や燃焼ガス中の硫黄酸化物量が低減した新規なラテック
スゴム製品およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
より、硫黄または硫黄を含む物質を加硫剤とする硫黄加
硫は、最も一般的なゴムの加硫方法であり、コストが安
く、設備が簡単で、得られるゴムも物性にすぐれている
などの利点がある。しかしながら、硫黄加硫したゴム製
品は、燃焼時に、ゴム中に硫黄や不燃性の加硫活性剤
(酸化亜鉛が最も一般的である)を含んでいるために、
燃焼時に硫黄酸化物が発生し、また比較的多くの灰分が
残るという問題がある。とくに、硫黄加硫したゴムを焼
却処理する場合に発生する硫黄酸化物は、大気汚染や酸
性雨問題、さらに炉の腐食などの問題をひき起こす原因
となるものである。また、燃焼後に残る灰分が多いと、
廃棄物を最小にするうえで不利である。とくに、原子力
発電所などで用いられる放射線汚染防護用ゴム手袋は、
使用後は焼却され、放射能を含んだ灰分は貯蔵されるた
め、かなりの数の手袋を焼却すると、発生する灰分の量
も膨大なものになり、貯蔵に広い場所が必要になるとい
う問題がある。
【0003】さらに、メルカプトベンゾチアゾールの亜
鉛塩、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチ
ルチウラムジスルフィド等の加硫促進剤は、皮膚刺激性
を有するため、これを使用したゴム製品は、皮膚の敏感
な人にアレルギーを起こす可能性がある。ところが、こ
れらの配合剤は、硫黄加硫を行う場合に不可欠なもので
ある。従って、実際に加硫に消費される量は少なくと
も、配合量を削減すると、加硫が進まなくなり、物性が
低下することになる。
【0004】一方、硫黄加硫に代えて、過酸化物を架橋
剤としたり、放射線により架橋する方法を採用すると、
硫黄や酸化亜鉛などを含まないため、上記のような問題
を解決することができる。しかしながら、過酸化物の場
合はその皮膚刺激性のために、人間の皮膚に直接触れる
手袋などのゴム製品には適さない。また、過酸化物の分
解物の臭いが残留する。さらに、放射線架橋の場合は、
設備コストが膨大で、かつ安全上および環境上の問題も
ある上、得られたゴムの物性、とくに水浸漬後の物性の
低下が著しく、まだ実用レベルに到達していないのが実
情である。
【0005】本発明の主たる目的は、加硫ゴムの燃焼に
よる硫黄酸化物や灰分の発生量が低減されたラテックス
ゴム製品およびその製造方法を提供することである。本
発明の他の目的は、有害な配合剤を含有せず、従って皮
膚に刺激を与えることが少ないラテックスゴム製品およ
びその製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者ら
は、上記目的を達成するため、鋭意研究を重ねた結果、
硫黄系加硫剤を含む加硫用配合剤の存在下で前加硫さ
れ、かつ前加硫で使用した前記配合剤のうち遊離の配合
剤を除去したラテックスの成形・加硫品からなるラテッ
クスゴム製品が、上記目的を達成できるという新たな事
実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明によれば、従来のよう
に、硫黄系加硫剤を含む加硫用配合剤をラテックスに加
えてそのまま加硫するのではなく、あらかじめ前加硫さ
れ、かつ遊離した余剰の加硫用配合剤を除去したラテッ
クスを使用して加硫を行うので、得られたゴム製品には
前記配合剤が残留していることが少なく、従って灰分や
硫黄酸化物の発生量を低減することができ、また有害な
配合剤により皮膚に刺激を与えることも少なくなる。
【0008】また、本発明は、硫黄系加硫剤を含む加硫
用配合剤をラテックスに加えて前加硫し、ついでラテッ
クス中の遊離の前記配合剤を遠心分離にて除去した後、
成形、加硫することを特徴とするラテックスゴム製品の
製造方法をも提供するものである。すなわち、本発明者
らは、硫黄系加硫剤を含む加硫用配合剤は、一般にラテ
ックス中のゴム粒子より比重が大きいことに着目して、
かかる配合剤を遠心分離によりゴム粒子と容易に分離除
去できることを見出し、本発明を完成するに至ったので
ある。
【0009】本発明における原料ラテックスとしては、
例えば天然ゴム単独または天然ゴムに安定剤や防腐剤を
加えたもの、さらにアクリロニトリル−ブタジエンゴ
ム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロ
ロプレンゴムなどの合成ゴムまたはこれらの2種以上の
ブレンド物の水性乳濁液があげられる。ラテックス中の
ゴム分は、通常、40〜70重量%である。
【0010】天然ゴムの安定剤としては、例えばカルボ
キシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコー
ルけん化物、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、でんぷ
んなどがあげられる。安定剤はラテックス総量に対して
0.05〜0.2重量%の割合で添加される。また、防
腐剤としては、アンモニア、テトラメチルチウラムジス
ルフィド、酸化亜鉛、ホウ酸、ラウリル酸、ペンタクロ
ロフェノールのナトリウム塩などがあげられる。防腐剤
はラテックス総量に対して0.05〜0.7重量%の割
合で添加される。
【0011】保存剤の種類による天然ゴムラテックスの
代表例としては、ハイアンモニアラテックス (アンモニ
ア0.7 %含有)、ローアンモニアSPPラテックス (ア
ンモニア0.2 %およびペンタクロロフェノールのナトリ
ウム塩0.2 %含有)、ローアンモニアTZラテックス
(アンモニア0.2 %、テトラメチルチウラムジスルフィ
ド0.0125%および亜鉛華0.0125%含有)、ローアンモニ
ア・ホウ酸ラテックス(アンモニア0.2 %、ホウ酸 0.2
%およびラウリン酸0.05%含有) 、ローアンモニアZD
Cラテックス( アンモニア0.2 %、ジエチル−ジチオカ
ーバメート亜鉛0.1 %およびラウリン酸0.02%含有) な
どがあげられる。
【0012】ラテックスに加えられる加硫用配合剤に
は、公知の加硫剤のほか、加硫促進剤、加硫遅延剤、加
硫活性剤などが含まれる。加硫剤としては、硫黄または
硫黄を含む化合物、例えば4,4′−ジチオジモルホリ
ン、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどが
あげられる。加硫促進剤としては、例えばヘキサメチレ
ンテトラミン、n−ブチルアルデヒドアニリン等のアミ
ン類;ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジ
ン等のグアニジン;N,N′−ジフェニルチオ尿素、
N,N′−ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、ジラ
ウリルチオ尿素、メルトカプトベンゾチアゾール、メル
トカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、亜鉛塩もし
くはシクロヘキシルアミン塩、ジベンゾチアゾールジス
ルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラ
エチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジ
スルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジ
ペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ペンタメチ
レンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ジエチルジチオ
カルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸
ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチ
ルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン
酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸
亜鉛等の硫黄化合物があげられる。
【0013】加硫遅延剤としては、例えば無水フタル
酸、サリチル酸、安息香酸等の有機酸;N−ニトロソジ
フェニルアミン、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイ
ミド、ジフェニルウレア、スルホンアミド誘導体などが
あげられる。ただし、ラテックスでは加硫遅延剤が使用
されることは少ない。加硫活性剤としては、例えば酸化
亜鉛、酸化鉛、酸化マグネシウム、炭酸亜鉛などの無機
物質、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステア
リン酸亜鉛、トリエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールな
どの有機物質があげられる。
【0014】各成分の配合量は、とくに限定されるもの
ではなく、従来より使用されている範囲であればよい。
具体的には、加硫剤は、ゴム100重量部に対して約
0.5〜2重量部を添加するのが適当である。また、加
硫促進剤は、ゴム100重量部に対して約0.5〜2重
量部を添加するのが適当である。加硫遅延剤は、ゴム1
00重量部に対して約0.3〜1重量部を添加するのが
適当である。加硫活性剤は、ゴム100重量部に対して
約1〜5重量部を添加するのが適当である。
【0015】本発明における前加硫とは、コロイド状態
で水中に分散しているゴム粒子に、分散体の状態で加え
られる加硫用配合剤が付着し、あるいはゴム粒子内に入
り込んで、粒子内で加硫を進めることをいう。かかる前
加硫は、原料ラテックスに通常使用されている量の加硫
用配合剤を加えて行う一種の化学反応であり、温度を上
げると反応が速やかに進行するが、室温程度でも数日で
前加硫が完了する。一般には、前加硫は、30〜80℃
で1時間〜1日間熟成することによって行われる。
【0016】ラテックスから作製されるフィルムなどの
ゴム製品の物性は、この前加硫の度合いに大きく依存す
る。前加硫が終了した時点で遠心分離を行い、加硫に関
与しなかった余剰の加硫剤、加硫促進剤、加硫活性剤な
どを除去する。その後、必要に応じて、酸化防止剤、着
色剤、耐候性付与剤(ワックスなど)、増粘剤などを添
加する。このラテックスを成形加工し加硫して、ゴム製
品を得る。
【0017】成形加工については、従来のラテックス加
工法がそのまま採用可能である。具体的には、例えばガ
ラス、金属などからなる成形用型をラテックスへ浸漬し
乾燥させる成膜法、静電気力を利用してゴム粒子を型表
面に凝集させる凝着法、感熱凝固剤を含有したラテック
スを用いる感熱法、金属型を用いてこれに正の電荷をか
けて型表面にゴム粒子を付着させる電着法などがある。
【0018】前記凝着法は、型の表面に陽イオン(Ca
2+など)を付着させた後、この型をラテックス中に浸漬
して、負に帯電しているラテックス中のゴム粒子が上記
陽イオンに引かれて型の表面に凝集してゴム層を形成す
る方法である。また、前記感熱法は、感熱凝固剤を含有
したラテックス中に、予熱した型を浸漬して、型の表面
で感熱凝固剤を含むラテックスを凝固させ、この状態で
型をラテックスから引き上げて、乾燥するものである。
感熱凝固剤としては、例えばポリビニルメチルエーテ
ル、ポリアルキレングリコールなどの高分子物質、種々
の亜鉛アンモニウム錯塩、ケイフッ化ナトリウム、硝酸
アンモニウム等があげられる。
【0019】加硫は通常80〜120℃で0.2〜1時
間程度で完了する。遠心分離にあたっては、遠心力が強
すぎると、ゴム粒子が不可逆的に凝集してしまい、ラテ
ックスとして用をなさなくなる。一方、弱すぎると、十
分に上記配合剤をゴム粒子から分離できなくなり、本発
明の所期の目的を達成できなくなってしまう。従って、
使用する配合剤の種類や量、前加硫の度合いに応じて、
最適な遠心力を決定する必要がある。一般に、天然ゴム
の比重は0.91であるのに対して、通常使用される加
硫用配合剤の比重は硫黄で2.1、酸化亜鉛で5.4〜
5.7、酸化チタンで3.8〜4.2、ワックス0.9
前後である。また、加硫促進剤として使用される2−メ
ルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩(大内新興化学社製
の商品名「ノクセラーMZ」)で比重1.70、チウラ
ム系、例えばテトラエチルチウラムジスルフィド(大内
新興化学社製の商品名「ノクセラーTET」)で比重
1.31、ジチオカルバミン酸亜鉛系、例えばジメチル
ジチオカルバミン酸亜鉛(大内新興化学社製の商品名
「ノクセラーPZ」)で比重1.79、ジエチルジチオ
カルバミン酸亜鉛(大内新興化学社製の商品名「ノクセ
ラーEZ」)で比重1.47、ジブチルジチオカルバミ
ン酸亜鉛(大内新興化学社製の商品名「ノクセラーB
Z」)で比重1.26であり、ワックス以外はいずれも
比重は1より大きい。従って、加硫用配合剤を加えたラ
テックスを遠心分離すると、ゴム粒子と加硫用配合剤と
を分離することができる、とくに、比重が大きい硫黄や
酸化亜鉛は速やかに沈降するので、分離除去が極めて容
易である。また、比重が比較的小さい加硫促進剤でも遠
心力を適切に選択すれば、容易に分離除去することがで
きる。
【0020】このようにして、加硫に関与しない余剰の
配合剤が事前に除去される結果、硫黄、不燃性加硫活性
剤(酸化亜鉛など)、皮膚に敏感な人に対して刺激性を
もつことがある加硫促進剤を必要最小限しか含まない最
終ゴム製品を得ることができる。なお、前記遠心分離に
代えて、比重差による自然沈降などで遊離の配合剤をラ
テックスから分離除去することも可能である。ただし、
分離に1カ月程度かかるため、工業的には現実的な方法
ではない。また、配合剤のうち、水溶性の配合剤(例え
ばアンモニアカゼイン、水酸化カリウムなど)は上記遠
心分離法にて除去できないため、加硫成形後に、水で抽
出する、いわゆるリーチングを行えばよい。
【0021】本発明のラテックスゴム製品の例として
は、例えば手袋、指サック、コンドーム、カテーテル、
オーバーブーツなどがあげられるが、本発明のゴム製品
はこれらの用途のみに限定されるものでないことはもち
ろんである。
【0022】
【実施例】次に実施例をあげて本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでな
いことは勿論である。実施例1 天然ゴムラテックスに、下記に示す割合で加硫用配合剤
を加え、攪拌したのち、30℃で3日間熟成させて、前
加硫を行った。なお、下記で使用した配合剤はすべて分
散体の形態(分散媒:水)で添加した。
【0023】 (配合成分) (乾燥重量部) 天然ゴムラテックス(ゴム分60%)*1 100 硫黄 1.0 酸化亜鉛 1.0 メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩*2 0.1 ジエチルジチオカーバメート亜鉛塩*2 0.8 酸化チタン 3.0 2,2′−メチレンビス(4− メチル−6−t−ブチルフェノール)*3 1.0 *1:防腐剤および安定剤としてテトラメチルチウラム
ジスルフィドと酸化亜鉛をそれぞれ0.0125%を含
むローアンモニアタイプラテックス、 *2:加硫促進剤、 *3:老化防止剤 前加硫したラテックス(A)を、遠心分離器(国産遠心
器(株)製のタイプH100B2)にて回転数5000
rpmで15分間遠心分離を行った。分離後、沈降物が
混じらないようにして上澄み部分であるラテックス
(B)だけを取り出した。沈降物は再度水に分散させ、
乾燥して分析した。
【0024】上記ラテックス(A)および(B)につい
て、粘度、pHおよび固形分を測定した。さらに、これ
らのラテックスをガラス板上に流し、100℃で30分
間加熱して加硫を行って、厚み0.4〜0.5mmのフィ
ルムをそれぞれ得た。各フィルムについて破断強度(T
B ) 、破断時伸び(EB ) 、300%モジュラスおよび
トルエンによる膨潤度を調べた。それらの結果を表1に
示す。
【0025】なお、表1において、粘度は東京計器
(株)製のBL型粘度計を使用して60rpmでNo.
1ローターを使用して測定した。破断強度(TB ) 、破
断伸び(EB ) および300%モジュラスはJIS K
6301に従って測定したものである。トルエンによ
る膨潤度は、トルエン中に40℃で24時間浸漬後の重
量変化を測定したものである。
【0026】
【表1】
【0027】表1に示すように、前加硫後、遠心分離し
たラテックス(B)は、遠心分離しないラテックス
(A)と比較した場合、粘度が若干低下するが、これは
増粘剤の使用で十分に調節可能である。また、得られた
フィルムの物性については、遠心分離したラテックス
(B)は膨潤率が若干高い(これは架橋密度が若干低い
ためと考えられる)が、前加硫の度合いを進めてから遠
心分離すれば、ラテックス(A)を使用したフィルムと
同等の膨潤率を有するものが得られた。一方、破断強度
(TB ) および破断伸び(EB ) については、遠心分離
したラテックス(B)は遠心分離しないラテックス
(A)に比べて劣らないことがわかる。
【0028】また、各フィルムを40℃で濃度50pp
hm雰囲気中で100時間放置して耐オゾン性を調べ
た。その結果、ラテックス(A)および(B)のフィル
ムに差が見出せなかった。一方、前記各フィルム中に含
有されているジエチルジチオカーバメート亜鉛塩(Zn
EDC)を、アセトン:クロロホルム(1:1)で10
時間ソックスレー抽出し、高速液体クロマトグラフィー
により定量した。その結果、ZnEDCは、配合時で7
321μg/g、ラテックス(A)から得たフィルムで
1190μg/gであったのに対して、ラテックス
(B)から得たフィルムではZnEDCが検出されなか
った。実施例2 天然ゴムラテックス(ハイアンモニアラテックス)に、
下記に示す割合で加硫用配合剤を加え、攪拌した後、3
0℃で24時間熟成させ、前加硫した。なお、下記で使
用した配合剤はすべて分散体の形態(分散媒:水)で添
加した。
【0029】 (配合成分) (乾燥重量部) 天然ゴムラテックス(ゴム分60%) 100 硫黄 1.0 酸化亜鉛 1.0 ジブチルジチオカーバメート亜鉛塩 0.6 (加硫促進剤) 得られたラテックス(C)を、遠心分離器(国産遠心器
(株)製のタイプH100B2)を用いて、回転数50
00rpmで30分間遠心分離を行い、ついで沈降物が
混じらないように上澄み液であるラテックス(D)を取
り出した。
【0030】前記ラテックス(C)と(D)とを別々に
ガラス板上に流し込み、室温で乾燥してフィルムを作製
後、100℃で30分間加硫した。得られた各フィルム
について、灰分および燃焼ガス中の硫黄酸化物の発生量
を測定した。その結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】表2から、前加硫後、遠心分離したラテッ
クス(D)は、灰分や硫黄酸化物量がラテックス(C)
に比較して、低減されていることがわかる。実施例3 実施例2と同じ配合割合で天然ゴムラテックスに加硫用
配合剤を配合した後、30℃で24時間熟成して前加硫
した。得られたラテックスを、遠心分離器(国産遠心器
(株)製のタイプH200)を用いて、遠心力または遠
心分離時間を変えて遠心分離を行い、上澄み液であるラ
テックス部分を取り出し、実施例2と同様にしてフィル
ムを作製した。種々の遠心力で20分間遠心分離したと
きの遠心力と灰分との関係を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】一方、遠心力を2700Gの一定にして遠
心分離時間を変えたときの遠心分離時間と灰分との関係
を表4に示す。
【0035】
【表4】
【0036】表3から、遠心力1300Gで20分間の
遠心分離を行うことにより、灰分が対照用の標準ラテッ
クス(前加硫後、遠心分離しないもの)の約46%に減
少されていることがわかる。また、表4から、2700
Gの一定遠心力で分離時間を変えて遠心分離を行うと、
約10分で灰分が標準ラテックスの50%に、さらに遠
心分離を継続すると、約40%にまで減少されているこ
とがわかる。実施例4 合成イソプレンラテックスに、下記に示す割合で加硫用
配合剤を加え、攪拌した後、30℃で24時間熟成さ
せ、前加硫した。なお、下記で使用した配合剤はすべて
分散体の形態(分散媒:水)で添加した。
【0037】 (配合成分) (乾燥重量部) 合成イソプレンラテックス(ゴム分65%) 100 硫黄 1.0 酸化亜鉛 1.0 ジブチルジチオカーバメート亜鉛塩 0.6 得られたラテックス(E)を、連続式遠心分離機(国産
遠心器(株)製のタイプH−600)を用いて、回転数
5000rpmで30分間遠心分離を行った。滞留時間
は20分となるようにラテックス(E)の流量を調節し
た。上澄みのラテックス(F)は自動的に取り出した。
【0038】前記ラテックス(E)と(F)とを別々に
ガラス板上に流し込み、室温で乾燥してフィルムを作製
後、100℃で30分間加硫した。得られた各フィルム
について、灰分および全硫黄量を測定した。その結果を
表5に示す。
【0039】
【表5】
【0040】表5から、前加硫後、遠心分離したラテッ
クス(F)は、灰分や全硫黄量がラテックス(E)に比
較して低減されていることがわかる。
【0041】
【発明の効果】以上のように、本発明のラテックスゴム
製品は、前加硫後に遠心分離することによって加硫に不
要な余剰の加硫用配合剤が除去されているので、燃焼に
よる灰分の発生量を減少させることができる。そのた
め、例えば原子力発電所などにおいて使用後に焼却処分
される放射線汚染防護用ゴム手袋などに使用するのに最
適である。また、燃焼による硫黄酸化物の発生量も低減
されているので、大気汚染の防止や酸性雨対策のほか、
炉の腐食防止の上でも好ましいものである。
【0042】さらに、本発明のラテックスゴム製品は、
前記遠心分離により、皮膚刺激性の配合剤も除去されて
いるので、手袋等の用途にも安全である。また、透明感
のあるゴム製品を提供する場合にも本発明のラテックス
ゴム製品は有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/02 C08J 3/26 C08L 7/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】硫黄系加硫剤を含む加硫用配合剤の存在下
    で前加硫され、かつ前加硫で配合した前記配合剤のうち
    遊離の配合剤を除去したラテックスを成形・加硫してな
    ことを特徴とするラテックスゴム製品。
  2. 【請求項2】前記ラテックスが天然ゴムラテックスであ
    る請求項1記載のラテックスゴム製品。
  3. 【請求項3】前記加硫用配合剤が、加硫剤に加えて、加
    硫促進剤および加硫活性剤を含む請求項1記載のラテッ
    クス製品。
  4. 【請求項4】硫黄系加硫剤を含む加硫用配合剤をラテッ
    クスに加えて前加硫する工程と、前加硫したラテックス
    中の遊離の前記配合剤を遠心分離にて除去する工程と、
    遠心分離したラテックスを成形加工する工程と、成形加
    工品を加硫する工程とからなることを特徴とするラテッ
    クスゴム製品の製造方法。
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