JP3249236B2 - 匂い検知装置 - Google Patents

匂い検知装置

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JP3249236B2 JP10833093A JP10833093A JP3249236B2 JP 3249236 B2 JP3249236 B2 JP 3249236B2 JP 10833093 A JP10833093 A JP 10833093A JP 10833093 A JP10833093 A JP 10833093A JP 3249236 B2 JP3249236 B2 JP 3249236B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無臭空気を使用せずに
高精度で匂いの検知が行える匂い検知装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の匂い検知装置は、匂い検出用の化
学センサ素子、具体的には水晶振動子の表面に配された
高分子膜を用い、この高分子膜に匂い物質が吸着するこ
とで質量付加による水晶振動子の発振周波数の変化を測
定し、匂い物質を検知しており、その匂い検知装置を図
4に、またその検知装置にて測定した発振周波数の変化
特性を図5に示す。
【0003】図4において、21は匂いサンプルを導入
する匂いサンプル導入口、22はセンサセル、23は室
温状態で匂いサンプル中の匂い成分を付着ないし吸着す
る匂い検知体、24は匂い検知体23を備えた匂い検知
手段、25は測定後の匂いサンプルを排出する匂いサン
プル排出口である。斯かる構成において、匂いサンプル
中の匂い成分を測定するには、匂い検知手段24に接続
された発振回路からの出力信号の周波数と匂い成分の濃
度との関係を予め測定しておく必要がある。
【0004】図5は匂い検知手段24に接続された発振
回路からの出力信号の周波数と匂い成分の濃度との関係
を予め測定した特性図であり、同図において縦軸は化学
センサ素子に接続された発振回路の周波数を示し、横軸
は時間変化を示している。この匂い検知装置では、匂い
の検知は次のようにして行われる。
【0005】[第一の操作]匂い成分を含むガスを通し
始める(図中のON)前に、匂い成分を含まない空気中
における化学センサ素子の発振周波数F1を測定してお
く。この発振周波数F1の値を得ることは、この化学セ
ンサ素子のベースラインを求めることに相当する。
【0006】[第二の操作]匂い成分を含むガスを通し
始めて化学センサ素子の発振周波数が漸次低下し、30
秒が経過した後に発振周波数F2を再び測定する。
【0007】上述の二つの操作を行った後、この化学セ
ンサ素子の出力信号は、2つの発振周波数差(F2
1)で与えられる。この出力信号は、ノーマル(化学
センサ素子に匂い物質が吸着していない状態)からの変
化の大きさの情報に対応するものである。一般的には、
この出力信号は匂いの濃度乃至強度に略比例することが
分かっている。
【0008】この化学センサ素子を用いて連続して、匂
い検知を行う場合には、匂い成分を含むガスと、匂い成
分を含まない空気(以下、無臭空気という。)とを、交
互に切り替えて化学センサ素子に接触させる工程が必要
とされている。
【0009】斯かる工程の中で上述した第一の操作が必
要な理由は、この化学センサ素子の発振周波数が、匂い
の濃度乃至強度のみに依存して変化するわけではなく、
化学センサ素子の経時変化や、周囲の温度、湿度、又は
圧力等によっても変化することに起因するためである。
従って、第一の操作は匂い成分の濃度乃至強度以外の条
件の変動の影響を相殺するために行われるものである。
【0010】ところが、上述の匂い検知装置では化学セ
ンサ素子のベースラインに相当する発振周波数F1の値
を測定する際に用いる無臭空気に不純物が含まれている
と、化学センサ素子からの出力信号に誤差を生じ、延い
ては匂い検知装置によって求められる匂い成分の濃度乃
至強度についても誤差を生じるという問題点があった。
【0011】このように、従来の化学センサ素子ではベ
ースラインの測定に無臭空気が必要であり、この無臭空
気は実験室などでは容易に得る事ができるが、長期間独
立して、人手を介すること無く運用されるような機器内
に設置された匂い検知装置においては、良質の無臭空気
を安定的に得ることは困難であり、従来の匂い検知装置
をこのような機器に組み込んで用いることは困難であっ
た。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は上述
の問題に鑑み成されたものであり、匂いの濃度乃至強度
以外の条件の変動が匂い検知体の固有特性に与える影響
を、匂い検知体の固有特性の差を求めることによって相
殺することができると共に、良質の無臭空気が得られな
い場合においても、精度良く匂いの濃度乃至強度を測定
することができる匂い検知装置を提供することを目的と
する。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、高温状態で匂
い成分を付着乃至吸着する高温用匂い検知体を備えた高
温用匂い検知手段と、上記高温用匂い検知体を高温状態
に設定する高温用温度制御手段と、低温状態で匂い成分
を付着乃至吸着する低温用匂い検知体を備えた低温用匂
い検知手段と、上記低温用匂い検知体を低温状態に設定
する低温用温度制御手段と、上記高温用匂い検知体、及
び低温用匂い検知体の有する固有特性の差を測定する測
定手段と、上記固有特性の差と匂い成分の濃度との相関
関係を予め記憶格納しておく記憶手段と、該記憶手段に
記憶格納されている相関関係に基づいて匂い成分の濃度
を求める演算手段と、を具備し、上記測定手段は上記高
温用匂い検知体、低温用匂い検知体に付着乃至吸着する
ことによって変化する固有特性の差を測定し、上記演算
手段は該固有特性の差に基づいて、上記記憶手段に記憶
格納されている相関関係に従って匂い成分の濃度を求め
ることを特徴とする。
【0014】
【作用】高温状態で匂いサンプル中の匂い成分を付着乃
至吸着する高温用匂い検知体の有する固有特性と、低温
状態で匂いサンプル中の匂い成分を付着乃至吸着する低
温用匂い検知体の有する固有特性との差は、匂いサンプ
ル中の匂い成分の濃度に略比例するので、この比例関係
を相関関係として予め記憶手段に記憶格納させておく。
この後、測定手段は上記高温用匂い検知体と低温用匂い
検知体との固有特性の差を測定し、演算装置はこの固有
特性の差に基づいて、上記相関関係に従って匂い成分の
濃度乃至強度を求める。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1乃至図3に基づ
いて説明する。
【0016】図1は本発明に係る匂い検知装置の概略構
成図を示したものであり、同一構成については同一番号
を付している。
【0017】図1において、1は高温用の第一のセンサ
セル、2は第一のセンサセル1内に設けられ、高温状態
の約35℃で匂いサンプル中の匂い成分を付着乃至吸着
する高温用匂い検知体であり、具体的には後述する高温
用匂い検知素子2aから構成されている。3は匂い検知
体2を備えた高温用匂い検知手段であり、この高温用匂
い検知手段3は、高温用匂い検知素子2aを動作させる
ための発振回路(図3参照)から構成されている。4は
上記匂い検知体2を高温状態に設定する高温用温度制御
手段である。
【0018】5は低温用の第二のセンサセル、6は第二
のセンサセル5内に設けられ、低温状態の約5℃で匂い
サンプル中の匂い成分を付着乃至吸着する低温用匂い検
知体であり、具体的には上述の高温用匂い検知体2と同
一の構成となっている。7は低温用匂い検知体6を備え
た低温用匂い検知手段であり、この低温用匂い検知手段
7は、高温用匂い検知手段3と同一の構成となってい
る。8は低温用匂い検知体6を低温状態にする低温用温
度制御手段、9は第一のセンサセル1と第二のセンサセ
ル5を接続する接続管、10は高温用匂い検知体2と低
温用匂い検知体6の固有特性、例えば発振周波数の差の
変化を測定する周波数カウンタからなる測定手段、11
は上記周波数の差と匂い成分の濃度との相関関係を予め
記憶格納しておく記憶手段、12は該記憶手段11に記
憶格納されている相関関係に基づいて匂い成分の濃度を
求める演算手段であり、該演算手段12は、アナログ演
算回路、またはデジタル演算回路によって構成されてい
る。
【0019】ところで、匂いサンプル排出口25の圧力
は、匂いサンプル導入口21の圧力に対して相対的に低
い圧力とすることによって、匂いサンプル導入口21か
ら導入された匂いサンプルは、第一のセンサセル1内で
高温用匂い検知体2と接触し、その後、接続管9を通
り、第二のセンサセル5内で低温用匂い検知体6と再び
接触し、匂いサンプル排出口25から排出される。
【0020】図2は、高温用匂い検知体2の高温用匂い
検知素子2aを示したものである。本実施例では、高温
用匂い検知体2は低温用匂い検知体6と同一構成として
いるので、以下高温用匂い検知体2について説明する。
【0021】高温用匂い検知素子2aとしては、基準周
波数12MHzで、ATカットの円板形状の水晶板2b
を使用し、この水晶板2bの両面に金電極2cを配して
水晶振動子とし、水晶振動子の電極2c上に高温用匂い
検知体2として有機薄膜2dを形成したものを使用し
た。そして、高温用匂い検知素子2aは、図3に示す発
振回路中に組み込まれ、有機薄膜2dの表面に匂い成分
が付着乃至吸着することによる水晶板2bの発振周波数
の低下量を周波数カウンタで測定することができるよう
になっている。
【0022】高温用匂い検知体2、及び低温用匂い検知
体6に用いる有機薄膜としては、同一の経時変化特性を
有する異なる材料を用いることができるが、ここでは簡
単のために同一の材料を用いた例を挙げて説明する。
【0023】有機薄膜の具体的な形成方法としては、平
均分子量2.7×105ドルトンのポリスチレンを253
mg計り取り、50mlのトルエンに溶解させ、この溶
液中に水晶振動子を浸して引き上げた後、室温で乾燥さ
せるという方法を用いた。有機薄膜を形成する前と比較
して、形成後の水晶振動子の発振周波数の変化は、高温
用匂い検知体2、及び低温用匂い検知体6に対応する2
つの有機薄膜ともに、−6.8kHzであった。この測
定結果から、この有機薄膜の平均膜厚は1.1μmであ
ると推定される。
【0024】図1に示す構成において、匂いサンプル中
の匂い成分の濃度を測定するには、高温用匂い検知手段
3及び低温用匂い検知手段7の2つの発振回路からの出
力信号の周波数差と匂い成分の濃度との関係を予め測定
し、記憶手段11に記憶格納させておく必要がある。
【0025】例えば、オレンジの香りの一成分であるR
−(+)−リモネンからなる匂い成分を無臭乾燥空気中
に混合させた匂いサンプルを測定する手順を以下に説明
する。
【0026】第一の匂いサンプルとして無臭乾燥空気を
匂いサンプル導入口21から導入させながら、高温用温
度制御手段4によって高温用匂い検知体2の温度を35
℃の高温状態に設定し、これと同時に低温用温度制御手
段8によって低温用匂い検知体6の温度を5℃の低温状
態に設定し、このときの高温用匂い検知手段3及び低温
用匂い検知手段7の2つの発振回路からの出力信号の周
波数差を測定する。本発明者らの実験によれば、高温用
匂い検知手段3の発振回路からの出力信号の周波数FB
の初期値FB0は、12.2764054MHzであり、
低温用匂い検知手段7の発振回路からの出力信号の周波
数FAの初期値FA0は、12.2764708MHzであ
ったので、高温用匂い検知手段3及び低温用匂い検知手
段7の2つの発振回路からの出力信号の周波数差の初期
値(FA0−FB0)は、65.4Hzであった。
【0027】次に、第二の匂いサンプルとして無臭乾燥
空気中にR−(+)−リモネンを匂い成分として混合し
たものを用いて、高温用匂い検知体2の温度を35℃の
高温状態に設定し、これと同時に低温用匂い検知体6の
温度を5℃の低温状態に設定した際の高温用匂い検知手
段3及び低温用匂い検知手段7の2つの発振回路からの
出力信号の周波数差(FA−FB)を測定する。幾つかの
濃度の異なる匂いサンプルを用いて上述の周波数差を測
定すると、R−(+)−リモネン濃度Cが0〜300p
pmの濃度範囲において、上述の周波数差(FA−FB
と濃度Cとの間に次の実験式が成り立つことが分かっ
た。
【0028】 (FA−FB)=(−0.444Hz/ppm)×C+(FA0−FB0 ) ・・・(1) 従って、無臭乾燥空気中に濃度が未知であるR−(+)
−リモネンを匂い成分として含む第三の匂いサンプルに
ついても、第二の匂いサンプルの測定と同様にして高温
用匂い検知手段3及び低温用匂い検知手段7の2つの発
振回路からの出力信号の周波数差(FA−FB)を測定す
ることによって、式(1)を変形した式(2)から濃度の
測定値Cmeasを求めることができる。
【0029】 Cmeas={(FA−FB )−(FA0−FB0)}/(−0.444Hz/ppm) ・・・(2) 上記の第一及び第二の匂いサンプルに対する測定操作
は、本発明の匂い検知装置の調整段階に相当するもので
あり、匂い検知装置を実際に使用するのに先だって、実
験室または本発明の匂い検知装置の製造所等で行われ、
例えば式(2)を記憶手段11に記憶しておく。
【0030】斯くして、本発明の匂い検知装置を実際に
使用する場合には、第三の匂いサンプルにおける周波数
差(FA−FB)を測定するだけで、演算手段12にて濃
度の測定値Cmeasを自動的に求めるようにすることがで
きる。
【0031】本発明者らの実験によれば、匂い検知装置
を実際に使用し、第三の匂いサンプルに対する測定操作
を連続して1ケ月間行った後においても、経時変化等に
よって測定誤差が増大する現象はみられなかった。1ケ
月後の時点において、匂いサンプルとして無臭乾燥空気
中にR−(+)−リモネンを匂い成分として混合し、濃
度75.0ppmとしたものを用いて測定誤差を評価し
たところ、10回の測定を行って濃度の測定値Cmeas
平均値は75.1ppmであり、測定誤差の標準偏差は
0.9ppmであった。このとき、匂いサンプルとして
無臭乾燥空気を用いて上記第一の匂いサンプルに対する
調整段階に相当する測定操作を行ってみたところ、高温
用匂い検知手段3に対応する発振回路からの出力信号の
周波数F Bの経時変化後の値FBAは、12.276385
2MHzであり、低温用匂い検知手段7の発振回路から
の出力信号の周波数FAの経時変化後の値FAAは、12.
2764503MHzであったので、高温用匂い検知手
段3及び低温用匂い検知手段7の2つの発振回路からの
出力信号の周波数差の経時変化後の値(FAA−FBA
は、65.1Hzであった。
【0032】上記第一の匂いサンプルに対する調整段階
における出力信号の周波数差の初期値(FA0−FB0
は、65.4Hzであったから、経時変化等による特性
の変化は、本発明の匂い検知装置の特徴である固有特性
の差を求めることによって相殺され、従来問題となって
いた測定誤差が増大する現象が効果的に抑制されている
ことが分かる。
【0033】ここで、本発明の匂い検知装置による測定
方法を従来の測定方法と比較してみることにする。
【0034】図4に示す従来の匂い検知装置において、
匂いサンプル中の匂い成分の濃度を測定するには、匂い
検知手段24の発振回路からの出力信号の周波数と匂い
成分の濃度との関係をあらかじめ測定しておく必要があ
る。この際、匂い検知体23の温度が20℃となる条件
で実験を行った。
【0035】第一の匂いサンプルとして無臭乾燥空気を
匂いサンプル導入口21から導入させながら、匂い検知
手段24の発振回路からの出力信号の周波数FCを測定
する。このとき、周波数FCの初期値FC0は12.276
4132MHzであった。
【0036】次に、第二の匂いサンプルとして無臭乾燥
空気中にR−(+)−リモネンからなる匂い成分を混合
したものを用いて、匂い検知手段24に対応する発振回
路からの出力信号の周波数を測定する。幾つかの濃度の
異なるサンプルを用いて測定すると、R−(+)−リモ
ネン濃度Cが0〜300ppmの濃度範囲において、上
述の周波数FCと濃度Cとの間に次の実験式が成り立つ
ことが分かった。
【0037】 FC=(−0.308Hz/ppm)×C+FC0 ・・・(3) 尚、上記の第一及び第二の匂いサンプルに対する測定操
作は、従来の匂い検知装置の調整段階に相当するもので
ある。
【0038】従って、無臭乾燥空気中に濃度が未知であ
るR−(+)−リモネンを匂い成分として含む第三の匂
いサンプルについても、匂い検知体23の温度が20℃
の条件で、上述の周波数FCを測定すれば、式(3)を
変形した次の式から濃度の測定値Cmeasを求めることが
できる。
【0039】 Cmeas=(FC−FC0)/(−0.308Hz/ppm) ・・・(4) 本発明者らの実験によれば、上記従来の匂い検知装置を
実際に使用し、上記第三の匂いサンプルに対する測定操
作を連続して1ケ月間行った後において、匂いサンプル
として無臭乾燥空気中にR−(+)−リモネンを匂い成
分として混合し、濃度75.0ppmとしたものを用い
て測定誤差を評価したところ 、10回の測定を行って
濃度の測定値Cmeasの平均値は121ppmであり、測
定値の標準偏差は1.1ppmであった。この結果は、
測定値のばらつきが比較的小さいのに対し、測定値と匂
いサンプルの実際の濃度との間に系統的なずれが生じて
いることを示すものであった。
【0040】このとき、匂いサンプルとして無臭乾燥空
気を用いて、上記第一の匂いサンプルに対する調整段階
に相当する測定操作を行ってみたところ、匂い検知手段
24の発振回路からの出力信号の周波数FCの経時変化
後の値FCAは、12.2763990MHzであった。
従って、ベースラインのずれに相当する周波数FCの経
時変化(FCA−FC0)は、−14.2Hzであり、上記
の測定値と匂いサンプルの実際の濃度との間の系統的な
ずれは、周波数FCの経時変化によって生じているもの
と推定された。
【0041】尚、上述の実施例では、高温用匂い検知体
2及び低温用匂い検知体6に対応する有機薄膜の構成物
質としてはポリスチレンを使用したが、これに限らず、
種々の有機化合物及びその混合物を用いることができ、
表1、表2に有機薄膜の構成物質名を例示した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】又、上述の実施例では、高温用匂い検知手
段3、及び低温用匂い検知手段7の2つの発振回路から
の出力信号の周波数差と濃度との間に求められた実験式
(2)を利用して濃度の測定値を求めたが、これに限ら
れることなく、予め測定した高温用匂い検知手段3及び
低温用匂い検知手段7の2つの発振回路からの出力信号
の周波数差と匂い成分の濃度との関係に関する情報を参
照することによって濃度を求めるテ−ブルルックアップ
方式を用いてもよいことは言うまでもない。
【0045】更に、上述の実施例では、匂い検知体2に
用いる匂い検知素子2aとして水晶振動子の表面に有機
薄膜2dを形成したものを使用し、匂い検知素子2aの
周波数特性を測定したが、これに限られることはなく、
本発明の匂い検知体としては、匂いサンプル中の匂い成
分を付着乃至吸着する匂い検知体を備えた以下の3つの
タイプの匂い検知手段を用いることができる。 (a)圧電体基板上に形成された薄膜に匂い成分が付着
乃至吸着することにより、その圧電体基板表面を伝播す
る弾性表面波の変化を検知する伝達特性検知型、(b)
硝子基板上に形成された薄膜に匂い成分が付着ないし吸
着することにより、その薄膜の光吸収スペクトルの変化
を検知する光吸収スペクトル検知型、(c)導電率、又
は誘電率の変化を検知する導電率、又は誘電率検知型。
【0046】ところで、上述の実施例では高温用匂い検
知体2、及び低温用匂い検知体6の温度を高温状態(約
35℃)、低温状態(約5℃)になるように夫々温度設
定したが、これには限られず、図1に示すように第一の
センサセル1、及び第二のセンサセル5内に夫々温度セ
ンサを設けてセンサセル内の温度を測定し、これによっ
て一方の匂い検知体の温度はそのままにしておき、他方
の匂い検知体の温度を低温、又は高温状態に設定して測
定を行うことも可能である。
【0047】更に、上述の実施例では、匂いサンプル導
入口21側から高温用の第一のセンサセル1、低温用の
第二のセンサセル5を設けたが、これには限らず、その
逆の順序でも、更にそれらのセンサセルをパラレルに設
けてもよい。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、高温状態で匂いサンプ
ル中の匂い成分を付着乃至吸着する匂い検知体の有する
固有特性と、低温状態で匂いサンプル中の匂い成分を付
着乃至吸着する匂い検知体の有する固有特性との差を求
めることにより、該固有特性の差に基づいて匂いの濃度
乃至強度を求めることができる。
【0049】その際、匂いの濃度乃至強度以外の条件の
変動が匂い検知体の固有特性に与える影響を匂い検知体
の固有特性の差を求めることによって相殺することがで
きる。これによって、匂い検知装置を連続的に使用する
場合、匂い検知体の固有特性に経時変化が生じたとして
も、これに影響されることはなく、匂いサンプル中の匂
い成分を精度良く検知することができる。
【0050】更に、従来の匂い検知装置で必要であった
無臭空気を用いたベースラインの測定操作を省略するこ
とができ、これによって無臭空気が得られない場合にお
いても、精度良く匂いの濃度乃至強度を検知することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における匂い検知装置の概略構成図
【図2】本発明における匂い検知体2の匂い検知素子2
aの正面・側面図
【図3】本発明における匂い検知素子2aを駆動させる
発振回路図
【図4】従来における匂い検知装置の概略構成図
【図5】従来における匂い検知装置の化学センサ素子の
概略特性図
【符号の説明】
1 第一のセンサセル 21 匂いサンプル導入口 25 匂いサンプル排出口 2 高温用匂い検知体 3 高温用匂い検知手段 4 高温用温度制御手段 5 第二のセンサセル 6 低温用匂い検知体 7 低温用匂い検知手段 8 低温用温度制御手段 9 接続管 10 測定手段 11 記憶手段 12 演算手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柴田 賢一 大阪府守口市京阪本通2丁目18番地 三 洋電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−3242(JP,A) 特開 平4−186139(JP,A) 特開 平4−34334(JP,A) 特開 平2−228538(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 5/02 G01N 27/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温状態で匂い成分を付着乃至吸着する
    高温用匂い検知体を備えた高温用匂い検知手段と、上記
    高温用匂い検知体を高温状態に設定する高温用温度制御
    手段と、低温状態で匂い成分を付着乃至吸着する低温用
    匂い検知体を備えた低温用匂い検知手段と、上記低温用
    匂い検知体を低温状態に設定する低温用温度制御手段
    と、上記高温用匂い検知体、及び低温用匂い検知体の有
    する固有特性の差を測定する測定手段と、上記固有特性
    の差と匂い成分の濃度との相関関係を予め記憶格納して
    おく記憶手段と、該記憶手段に記憶格納されている相関
    関係に基づいて匂い成分の濃度を求める演算手段と、を
    具備し、 上記測定手段は上記高温用匂い検知体、低温用匂い検知
    体に付着乃至吸着することによって変化する固有特性の
    差を測定し、上記演算手段は該固有特性の差に基づい
    て、上記記憶手段に記憶格納されている相関関係に従っ
    て匂い成分の濃度を求めることを特徴とする匂い検知装
    置。
  2. 【請求項2】 上記高温用匂い検知体、低温用匂い検知
    体に付着乃至吸着することによって変化する固有特性は
    周波数であることを特徴とする請求項1記載の匂い検知
    装置。
  3. 【請求項3】 上記高温用匂い検知体、低温用匂い検知
    体は同一材料から構成されていることを特徴とする請求
    項1、又は2記載の匂い検知装置。
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