JP3247177U - コンクリート部材の連結装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】地盤変位が生じた際に破損を抑制するコンクリート部材の連結装置を提供する。【解決手段】コンクリート部材用連結装置40は、隣り合うコンクリート部材20A、20Bのうち一方のコンクリート部材20Aに埋設された連結具11Aと、他方のコンクリート部材20Bに埋設された連結具11Bと、各連結具11A、11Bを連結する軸部42とを備える。軸部42は、連結具11Aに形成された孔部に挿通されている。軸部42のうち孔部から反連結具11B側に突出する部分には、隣り合うコンクリート部材20A、20Bが互いに離間する方向に所定の範囲で相対変位することを可能とする機構50が設けられている。機構50は、軸部42のうち上記突出する部分に設けられ、軸部42の長手方向に長い長孔44が形成された長孔形成部43と、長孔44に挿通されコンクリート部材20Aに固定されたねじ46と、を有している。【選択図】図5
Description
本考案は、コンクリート部材の連結装置に関するものである。
従来より、隣り合うコンクリート部材を連結するための連結装置が知られている。特許文献1には、かかる連結装置として、隣り合うコンクリート部材にそれぞれ埋設される第1連結具及び第2連結具と、それら各連結具を連結するボルトとを備えたものが開示されている。この連結装置では、各連結具にボルトの軸部が挿通される挿通孔が形成されている。各連結具の挿通孔にはボルトの軸部が挿通され、そのボルトにナットが締結されている。これにより、各連結具がボルトを介して連結され、ひいては隣り合うコンクリート部材が連結装置を介して連結されている。
ところで、地震や地盤沈下等により地盤に変位が生じた場合には、地盤に埋設された隣り合うコンクリート部材が互いに離間する方向に相対変位することが想定される。
しかしながら、上記特許文献1の構成では、隣り合うコンクリート部材に埋設された各連結具がボルト及びナットにより連結されているため、隣り合うコンクリート部材が互いに離間する方向に相対変位することが規制されている。そのため、この場合、ボルト及び各連結具(ひいては連結装置)に過大な引張荷重が作用し、それにより連結装置が破損するおそれがある。
本考案は、上記事情に鑑みてなされたものであり、地盤変位が生じた際に破損するのを好適に抑制することができるコンクリート部材の連結装置を提供することを主たる目的とするものである。
上記課題を解決すべく、本考案のコンクリート部材の連結装置は、
隣り合うコンクリート部材を連結するための連結装置であって、
前記隣り合うコンクリート部材のうち一方のコンクリート部材に一体で設けられる第1連結具と、
他方のコンクリート部材に一体で設けられる第2連結具と、
前記第1連結具及び前記第2連結具を連結する軸部と、を備え、
前記第1連結具には、前記軸部が挿通される挿通孔が形成され、
前記挿通孔には、前記軸部が挿通され、
前記軸部のうち前記挿通孔から反第2連結具側に突出する部分には、前記隣り合うコンクリート部材が互いに離間する方向に所定の範囲で相対変位するのを可能とする機構が設けられている。
隣り合うコンクリート部材を連結するための連結装置であって、
前記隣り合うコンクリート部材のうち一方のコンクリート部材に一体で設けられる第1連結具と、
他方のコンクリート部材に一体で設けられる第2連結具と、
前記第1連結具及び前記第2連結具を連結する軸部と、を備え、
前記第1連結具には、前記軸部が挿通される挿通孔が形成され、
前記挿通孔には、前記軸部が挿通され、
前記軸部のうち前記挿通孔から反第2連結具側に突出する部分には、前記隣り合うコンクリート部材が互いに離間する方向に所定の範囲で相対変位するのを可能とする機構が設けられている。
本考案の連結装置は、隣り合うコンクリート部材にそれぞれ一体で設けられる第1連結具及び第2連結具と、それら各連結具を連結する軸部とを備える。これにより、連結装置を介して隣り合うコンクリート部材が互いに連結される。第1連結具には、軸部が挿通される挿通孔が形成され、その挿通孔には軸部が挿通される。軸部のうち挿通孔から反第2連結具側に突出する部分には、隣り合うコンクリート部材が互いに離間する方向に所定の範囲で相対変位するのを可能とする機構が設けられている。
かかる構成によれば、地震等により地盤変位が生じた場合に、地盤に埋設された隣り合うコンクリート部材が互いに離間する方向に相対変位することが許容される。これにより、連結装置に過大な引張荷重が作用するのを抑制することができ、その結果、連結装置が破損するのを好適に抑制することができる。
[第1の実施形態]
以下に、本考案を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、コンクリート部材用連結装置10により隣り合うコンクリート部材20が連結された状態を示す正面図であり、図2は断面図である。図3は、コンクリート部材用連結装置10を示す正面図である。
以下に、本考案を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、コンクリート部材用連結装置10により隣り合うコンクリート部材20が連結された状態を示す正面図であり、図2は断面図である。図3は、コンクリート部材用連結装置10を示す正面図である。
図1及び図2に示すように、コンクリート部材用連結装置10(以下、単に連結装置10という)は、隣り合うコンクリート部材20を連結するために用いられる。各コンクリート部材20は、例えばため池用の底樋管(コンクリート構造体に相当)を構成するものであり、地盤の内部に埋設されている。各コンクリート部材20は、互いに対向する対向面20aを有しており、それら各対向面20aの間に目地が形成されている。
図1~図3に示すように、連結装置10は、各コンクリート部材20にそれぞれ埋設された一対の連結具11と、各連結具11を連結する軸部12とを備える。各連結具11は、本体部15と、一対のアンカー部16とを有する。本実施形態では、各連結具11として同じものが用いられている。
各連結具11の本体部15は、各コンクリート部材20の並ぶ方向に並んでおり、互いに隣接して配置されている。本体部15は、例えば金属製のブロック材により形成されている。但し、本体部15は、一対の金属製プレートが組み合わせられて構成されてもよい。また、各連結具11の本体部15には、各本体部15の並ぶ方向に本体部15を貫通する孔部17が形成されている。
一対のアンカー部16は、鉄筋により形成されている。各連結具11において、一対のアンカー部16は、基端部が本体部15における孔部17を挟んだ両側にそれぞれ固定され、先端側が各本体部15の境界部とは反対側に延びている。
以下の説明では、各コンクリート部材20のうち一方のコンクリート部材20Aに設けられた連結具11の符号にAを付し、他方のコンクリート部材20Bに設けられた連結具11の符号にBを付す。また、連結具11Aを構成する各部の符号にAを付し、連結具11Bを構成する各部の符号にBを付す。なお、連結具11Aが第1連結具に相当し、連結具11Bが第2連結具に相当する。
各連結具11A,11Bの孔部17A,17Bには、金属製の軸部12が挿通されている。軸部12の両端側には、その外周面におねじ部が形成されている。軸部12のうち、連結具11Aの孔部17Aから反連結具11B側に突出する部分にはナット18が締結されている。また、軸部12のうち、連結具11Bの孔部17Bから反連結具11A側に突出する部分にはナット19が締結されている。この場合、軸部12を介して各連結具11A,11B(詳しくは各本体部15A,15B)が連結され、ひいては隣り合うコンクリート部材20A,20Bが連結されている。なお、孔部17Aが挿通孔に相当する。
コンクリート部材20Aには、ナット18を軸部12に締め付ける際に用いられる作業用空間21が形成されている。また、コンクリート部材20Bには、ナット19を軸部12に締め付ける際に用いられる作業用空間22が形成されている。各作業用空間21,22は、コンクリート部材20A,20Bの側面においてそれぞれ開放されている。各作業用空間21,22においてナット18,19が軸部12に締め付けられた後、各作業用空間21,22にはモルタル25が充填される。モルタル25は、例えば無収縮モルタルからなる。図1及び図2では、作業用空間21,22にモルタル25が充填される前の状態を示しており、図4では、モルタル25が充填された後の状態を示している。
図4に示すように、コンクリート部材20Aの作業用空間21には、その一部にモルタル25が充填されていない空洞領域27が形成されている。空洞領域27の周囲には、空洞領域27にモルタル25が流れ込むのを阻止する筒状部材28が設けられている。筒状部材28は有底円筒状に形成され、例えばボイド管からなる。筒状部材28は、軸部12及びナット18を内側に収容した状態で配置されている。作業用空間21にモルタル25が充填される際には、筒状部材28が上記のように配置された状態でモルタル25が充填される。これにより、筒状部材28の内側にはモルタル25が流れ込まず、その結果、筒状部材28の内側に円柱状の空洞領域27が形成される。
連結具11Aの本体部15Aには、孔部17Aの延びる方向において互いに反対側を向く一対の端面15a,15bが形成されている。各端面15a,15bのうち、端面15aが連結具11B側(詳しくは本体部15B側)の面であり、端面15bが反連結具11B側の面である。端面15aは、コンクリート部材20Aの対向面20aにおいて露出しており、端面15bは、コンクリート部材20Aの作業用空間21に面している。この場合、端面15bは、軸部12の長手方向(孔部17Aの延びる方向)においてナット18と離間対向している。なお、ナット18は、軸部12の外周側に拡がって設けられ、本体部15(端面15b)と対向する対向部に相当する。
ここで、地震や地盤沈下等により地盤の変位が生じた場合には、隣り合うコンクリート部材20A,20B同士が互いに離間する方向に変位することが想定される。その場合、連結装置10には、上記離間する方向の引張荷重が作用する。そのため、その引張荷重により連結装置10が破損することが懸念される。そこで、本連結装置10には、その点を鑑み、連結装置10に作用する引張荷重を吸収する弾性変形部30が設けられている。以下、弾性変形部30の構成について説明する。
弾性変形部30は、軸部12のうち、連結具11Aの孔部17Aから反連結具11B側に突出する部分に設けられている。この場合、弾性変形部30は、本体部15Aの端面15bとナット18との間に配置され、それら本体部15Aとナット18との間に挟まれている。弾性変形部30は、複数の弾性ワッシャ31,32と、複数の金属ワッシャ33とを有している。各ワッシャ31~33はいずれも円環板状に形成され、内側に軸部12を挿通した状態で設けられている。この場合、各ワッシャ31~33は、軸部12に沿って並んで配置されている。
各ワッシャ31~33は、コンクリート部材20Aの作業用空間21に配置されている。各ワッシャ31~33は、ナット18が軸部12に締結される前に、内側に軸部12を挿通した状態で配置され、その配置状態でナット18が軸部12に締結されるようになっている。ナット18の締結後、筒状部材28が各ワッシャ31~33(ひいては弾性変形部30)を内側に収容した状態で配置され、その配置状態で作業用空間21にモルタル25が充填される。これにより、空洞領域27には弾性変形部30が配置される(図4参照)。なお、弾性変形部30は、空洞領域27の周面から離間して配置されている。
複数のワッシャ31~33には、弾性材料により形成された複数の弾性ワッシャ31,32と、金属材料(硬質材料に相当)により形成された複数の金属ワッシャ33とが含まれている。また、複数の弾性ワッシャ31,32には、複数の第1弾性ワッシャ31と複数の第2弾性ワッシャ32とが含まれている。この場合、弾性ワッシャ31,32が弾性環状部材に相当し、金属ワッシャ33が硬質環状部材に相当する。また、第1弾性ワッシャ31が第1弾性環状部材に相当し、第2弾性ワッシャ32が第2弾性環状部材に相当する。
第1弾性ワッシャ31と第2弾性ワッシャ32とは、同じ弾性材料により形成され、例えばクロロプレンゴム(CR)により形成されている。また、第1弾性ワッシャ31の硬度(ショア硬度)は、第2弾性ワッシャ32の硬度よりも大きくなっている。本実施形態では、第1弾性ワッシャ31の硬度が90°とされ、第2弾性ワッシャ32の硬度が60°とされている。また、第1弾性ワッシャ31と第2弾性ワッシャ32とはいずれも同じ大きさからなる。つまり、各弾性ワッシャ31,32は、同じ外径及び内径を有するとともに、同じ厚みを有している。なお、各弾性ワッシャ31,32が複数種類の弾性環状部材に相当する。
第1弾性ワッシャ31と第2弾性ワッシャ32とは互いに重ねられて配置されている。それら重ねられた各弾性ワッシャ31,32により弾性積層体35が形成されている。詳しくは、一の第1弾性ワッシャ31と一の第2弾性ワッシャ32とが重ねられることにより弾性積層体35が形成されている。弾性積層体35は、軸部12に沿って複数配置され、本実施形態では3つ配置されている。各弾性積層体35ではいずれも、第1弾性ワッシャ31が軸部12の長手方向における一方側(本実施形態では、ナット18側)に配置され、第2弾性ワッシャ32が他方側(本実施形態では、本体部15A側)に配置されている。つまり、各弾性積層体35ではいずれも、各弾性ワッシャ31,32の並びが同じとなっている。
金属ワッシャ33は、例えばステンレス材料により形成されている。金属ワッシャ33は、弾性積層体35と交互に並んで複数(本実施形態では4つ)配置されている。この場合、金属ワッシャ33と弾性積層体35とが、交互に並んで複数ずつ配置されている。また、この場合、弾性積層体35ごとに、弾性積層体35を挟んだ両側に金属ワッシャ33が配置され、それら両側の金属ワッシャ33がそれぞれ弾性積層体35に重ねられている。
金属ワッシャ33の内径は、各弾性ワッシャ31,32の内径と同じ大きさとなっている。また、金属ワッシャ33の外径D1は、各弾性ワッシャ31,32の外径D2よりも大きくなっており、換言すると弾性積層体35の外径D2よりも大きくなっている。具体的には、金属ワッシャ33の外径D1は、弾性積層体35の外径D2の1.3倍以上とされている。なお、各金属ワッシャ33のうち、最も連結具11Aの本体部15A寄りに配置され本体部15Aの端面15bに重ねられた金属ワッシャ33aは、他の金属ワッシャ33bよりも外径が大きくなっている。
金属ワッシャ33の外径D1についてより詳しく説明すると、弾性積層体35(各弾性ワッシャ31,32)は、後述するように、厚み方向に圧縮変形(弾性変形)することで外周側に拡がる。つまり、弾性ワッシャ31,32は、上記圧縮変形に伴い外径が大きくなる。ここで、弾性ワッシャ31,32は、最も厚み方向に圧縮変形して、それ以上圧縮変形することが不可能な状態となった場合に外径D2が最大となる。この場合における弾性ワッシャ31,32の外径D2を最大外径D2(max)とした場合、金属ワッシャ33の外径D1は、弾性ワッシャ31,32の最大外径D2(max)よりも大きくなっている。
続いて、弾性変形部30の作用について説明する。
地震や地盤沈下等により地盤変位が生じて隣り合うコンクリート部材20A,20Bが互いに離間する方向に変位した場合、それらコンクリート部材20A,20Bに埋設された各連結具11A,11Bが互いに離間する方向に変位する。この場合、連結装置10には、上記離間する方向の引張荷重が作用する。
各連結具11A,11Bが互いに離間する方向に変位すると(換言すると、連結装置10に上記離間する方向の引張荷重が作用すると)、連結具11Aの本体部15Aとナット18との間に挟まれた弾性変形部30の各弾性ワッシャ31,32が上記離間する方向に弾性変形(圧縮変形)する。そして、かかる弾性ワッシャ31,32の弾性変形により、連結装置10に作用する引張荷重が吸収される。これにより、大きな地震が発生することで連結装置10に大きな引張荷重が作用した場合にも、その引張荷重を各弾性ワッシャ31,32により吸収することができる。そのため、連結装置10が破損するのを好適に抑制することができる。
また、上記の構成では、複数の弾性ワッシャ31,32により連結装置10に作用する引張荷重を分散させて吸収することができるため、一の弾性ワッシャにより引張荷重を吸収する場合と比べ、各弾性ワッシャ31,32の厚みを小さくすることができる。そのため、各弾性ワッシャ31,32が圧縮変形する際に、各弾性ワッシャ31,32が外周側に拡がる拡がり量を抑えることができる。これにより、連結装置10が大型化するのを抑制することができる。
なお、各弾性ワッシャ31,32は、上述したように、空洞領域27に配置されているため、圧縮変形した際に十分に外周側に拡がることが可能となっている。このため、空洞領域27を弾性ワッシャ31,32の拡がりを許容する拡がり許容空間ということもできる。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
地震等により地盤変位が生じた際には、隣り合うコンクリート部材20A,20Bが互いの境界部で屈曲するように、互いに離間する方向に変位することが想定される。この場合、それらコンクリート部材20A,20Bに一体で設けられた各連結具11A,11Bは、上記屈曲に伴って変位することになる。その点、本実施形態では、複数の弾性ワッシャ31,32が重ねて配置されることにより比較的厚みの大きい弾性積層体35が形成されている。この場合、コンクリート部材20A,20B同士の屈曲に伴い各連結具11A,11Bが変位した際に、それに追従させて弾性積層体35(各弾性ワッシャ31,32)を圧縮変形させ易く、その結果、引張荷重を好適に吸収することができる。
弾性積層体35を挟んだ両側にそれぞれ金属ワッシャ33が配置され、それら各金属ワッシャ33がそれぞれ弾性積層体35に重ねられている。この場合、弾性積層体35は、各金属ワッシャ33の間で挟まれて圧縮変形(弾性変形)することになる。また、各金属ワッシャ33の外径D1は弾性積層体35の外径D2よりも大きいため、この場合、弾性積層体35の全体を圧縮変形させることが可能となる。これにより、弾性積層体35による荷重吸収効果を好適に発揮させることができる。
金属ワッシャ33と弾性積層体35とが交互に並んで複数ずつ配置されている。この場合、連結装置10に作用することが想定される引張荷重の大きさに応じて、弾性積層体35の個数を適宜調整することが可能となる。また、各弾性積層体35それぞれにおいて、弾性積層体35による荷重吸収効果を好適に発揮させるという上述の効果を得ることが可能となる。
弾性変形部30は、互いに異なる硬度を有する第1弾性ワッシャ31及び第2弾性ワッシャ32を有している。この場合、各弾性ワッシャ31,32は、互いの硬度が異なることにより、弾性変形のし易さが互いに相違している。かかる構成によれば、連結装置10に作用する引張荷重が小さい場合には、弾性変形し易い第2弾性ワッシャ32が圧縮変形することで引張荷重を吸収することができる。また、連結装置10に作用する引張荷重が大きい場合には、弾性変形しにくい第1弾性ワッシャ31が圧縮変形することで引張荷重を吸収することができる。これにより、連結装置10に作用する引張荷重の大きさにかかわらず、好適に引張荷重を吸収することができる。
本考案は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、弾性積層体35を形成する第1弾性ワッシャ31及び第2弾性ワッシャ32の硬度を互いに異ならせたが、これを変更して、各弾性ワッシャ31,32の材質を異ならせてもよい。この場合にも、各弾性ワッシャ31,32の材質を異ならせることで、各弾性ワッシャ31,32の弾性変形のし易さを異ならせることが可能である。そのため、連結装置10に作用する引張荷重の大きさにかかわらず、好適に引張荷重を吸収することが可能となる。
例えば、第1弾性ワッシャ31をクロロプレンゴム(CR)により形成し、第2弾性ワッシャ32をウレタンゴムにより形成することが考えられる。ウレタンゴムは圧縮復元性が高い材料である。ここで、地盤の変位に伴い各コンクリート部材20A,20Bが互いに離間して各弾性ワッシャ31,32が圧縮変形した場合、その後、各コンクリート部材20A,20Bは再び接近して元の位置関係に戻ることになる。この際、ウレタンゴムにより形成された第2弾性ワッシャ32については速やかに元の圧縮前の状態に復帰させることが可能となる。
なお、各弾性ワッシャ31,32を同じ材料でかつ同じ硬度で形成してもよい。
(2)上記実施形態では、弾性積層体35を2つの弾性ワッシャ31,32を重ねることにより形成したが、弾性積層体を3つ以上の弾性ワッシャを重ねることにより形成してもよい。
(3)上記実施形態では、弾性積層体35を3つ設けたが、弾性積層体35を1つだけ設けたり、2つ設けたり、4つ以上設けたりしてもよい。要するに、連結装置10に作用する引張荷重の大きさに応じて、弾性積層体35の個数を適宜設定すればよい。
(4)上記実施形態では、弾性積層体35(2つの弾性ワッシャ31,32)と金属ワッシャ33とを交互に並べて配置したが、これを変更して、弾性ワッシャと金属ワッシャとを交互に並べて複数ずつ配置してもよい。
(5)上記実施形態において、軸部12に代えて、ボルトを用いてもよい。ボルトは、軸部と、軸部の一端部に設けられた頭部とを有する。この場合、対向部としてのナット18に代えて、ボルトの頭部(対向部に相当)が設けられることになる。そして、ボルトの頭部と連結具11Aの本体部15Aとの間に弾性変形部30が挟まれて配置されることになる。
(6)上記(5)で説明したボルトを用いる構成において、各連結具11A,11Bのうち、コンクリート部材20B側の連結具11B(第2連結具に相当)を、ボルトの軸部をねじ込み可能なねじ孔を有するジョイント部材(第2連結具に相当)に変更してもよい。この場合、ボルトの軸部がジョイント部材のねじ孔にねじ込まれる。
(7)上記実施形態では、各連結具11A,11Bのうち、連結具11A側に弾性変形部30を設けたが、これに加えて、連結具11B側に弾性変形部30を設けてもよい。この場合、弾性変形部30は、軸部12のうち連結具11Bの孔部17Bから反連結具11A側に突出する部分に設けられる。
(8)上記実施形態では、本考案の連結装置を、底樋管を構成するコンクリート部材20同士を連結する連結装置10として具体化したが、本考案の連結装置は、必ずしも底樋管用のコンクリート部材に適用する必要はなく、他の用途で用いられるコンクリート部材同士を連結する場合にも適用が可能である。
(9)上記実施形態では、連結装置10に作用する引張荷重を吸収する荷重吸収部として弾性変形部30(弾性ワッシャ31,32)を設けたが、荷重吸収部として、弾性変形部30以外のものを設けてもよい。例えば、荷重吸収部として、ばね(コイルばね、サスペンション等)やダンパー(オイルダンパー等)を設けてもよい。また、荷重吸収部として、磁石や電磁石を設けてもよい。この場合、磁石(電磁石)の反発力を利用して引張荷重を吸収する。
[第2の実施形態]
続いて、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、コンクリート部材用連結装置の構成が上記第1の実施形態と相違する。そこで、以下では、本実施形態におけるコンクリート部材用連結装置40の構成について、図5~図8に基づき説明する。なお、以下の説明では、上記第1の実施形態と共通する構成については、その説明を割愛することとする。
続いて、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、コンクリート部材用連結装置の構成が上記第1の実施形態と相違する。そこで、以下では、本実施形態におけるコンクリート部材用連結装置40の構成について、図5~図8に基づき説明する。なお、以下の説明では、上記第1の実施形態と共通する構成については、その説明を割愛することとする。
図5~図7に示すように、コンクリート部材用連結装置40(以下、単に連結装置40という)は、各コンクリート部材20にそれぞれ埋設された一対の連結具11と、各連結具11を連結する軸部42とを備える。各連結具11は、上記第1の実施形態の連結具11と同じ構成であり、そのため、ここではその説明を割愛する。また、各連結具11のうち、連結具11Aが一方のコンクリート部材20Aに埋設され、連結具11Bが他方のコンクリート部材20Bに埋設されている。
軸部42は、各連結具11A,11Bの孔部17A,17Bに挿通されている。この軸部42を介して各連結具11A,11Bが連結されている。軸部42のうち、連結具11Aの孔部17Aから反連結具11B側に突出する部分には、長孔44が形成された長孔形成部43が設けられている。長孔形成部43は、軸部42の長手方向に延びており、軸部42において孔部17Aから上記突出する側の端部に接続されている。また、長孔44は、長孔形成部43の長手方向に長く延びており、換言すると軸部42の長手方向に長く延びている。
長孔形成部43は、コンクリート部材20Aの作業用空間21に配設されている。作業用空間21は、上述したように、コンクリート部材20Aの側面において開放された凹状の空間となっている。なお、作業用空間21が凹部に相当する。
長孔形成部43の長孔44には、固定具としてのねじ46が挿通されている。ねじ46は、かかる挿通状態でコンクリート部材20Aにねじ込まれており、それにより、コンクリート部材20Aに固定されている。また、詳しくは、ねじ46は、コンクリート部材20Aにおける作業用空間21の底部にねじ込まれている。このように、ねじ46が長孔44を通じてコンクリート部材20Aにねじ込まれていることにより、長孔形成部43がコンクリート部材20Aに固定されている。なお、図5(後述する図8及び図9も同様)ではねじ46を黒塗りで示しており、図6では便宜上、ねじ46の図示を省略している。
作業用空間21においてねじ46がコンクリート部材20Aにねじ込まれた後、作業用空間21にはモルタル25が充填される。なお、図5では、各作業用空間21,22にモルタル25が充填される前の状態を示しており、図8では、モルタル25が充填された後の状態を示している。図8に示すように、作業用空間21には、その一部にモルタル25が充填されていない空洞領域51が形成されている。空洞領域51の周囲には、空洞領域51にモルタル25が流れ込むのを阻止する筒状部材53が設けられている。筒状部材53は、有底の半円筒状に形成されている。筒状部材53は、その内側に長孔形成部43を収容した状態で配置されている。作業用空間21にモルタル25が充填される際には、筒状部材53が上記のように配置された状態でモルタル25が充填される。これにより、筒状部材53の内側にはモルタル25が流れ込まず、その結果、筒状部材53の内側に半円柱状の空洞領域51が形成される。
軸部42のうち、連結具11Bの孔部17Bから反連結具11A側に突出する部分には、その外周面におねじ部42aが形成されている。おねじ部42aにはナット47が締結され、ナット47と連結具11Bとの間にはワッシャ48が介在されている。
上述したように、本実施形態の連結装置40は、長孔形成部43とねじ46とを有している。そして、本連結装置40では、長孔形成部43とねじ46とにより、隣り合うコンクリート部材20A,20Bが軸部42の長手方向に所定の範囲で相対変位するのを可能とする「機構50」が構成されている。以下では、この機構50の作用について説明する。また、ここでは、地震や地盤沈下等により地盤の変位が生じた場合における作用について説明する。
連結装置40の上記機構50によれば、長孔形成部43に軸部42の長手方向に長い長孔44が形成され、その長孔44にコンクリート部材20Aに固定されたねじ46が挿通されている。そのため、長孔44が形成されている範囲内(所定の範囲に相当)で、ねじ46、ひいてはねじ46が固定されているコンクリート部材20Aが、長孔形成部43(及び軸部42)に対して軸部42の長手方向に相対変位可能となっている。そして、それにより、隣り合うコンクリート部材20A,20Bが長孔44の形成されている範囲内で軸部42の長手方向に相対変位可能となっている。さらに言うと、隣り合うコンクリート部材20A,20Bが長孔44の形成されている範囲内で互いに離間する方向に相対変位可能となっている。なお、長孔44は、上記離間する方向に延びる長孔ということもできる。
ここで、地盤の変位が生じた場合には、それに伴い、地盤に埋設された隣り合うコンクリート部材20A,20Bが互いに離間する方向(換言すると、軸部42の長手方向)に相対変位することが想定される。その点、本連結装置40によれば、上述したように、上記機構50により、隣り合うコンクリート部材20A,20Bが互いに離間する方向に相対変位することが許容されている。そのため、この場合、隣り合うコンクリート部材20A,20Bは、図9に示すように、互いに離間する方向に相対変位することになる。これにより、隣り合うコンクリート部材20A,20Bを連結する本連結装置40に過大な引張荷重が作用するのを抑制することが可能となる。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
上述したように、連結装置40が上記の機構50を備えていることにより、地盤の変位が生じた場合に、隣り合うコンクリート部材20A,20Bが互いに離間する方向に相対変位することが許容されている。これにより、連結装置40に過大な引張荷重が作用するのを抑制でき、その結果、連結装置40が破損するのを好適に抑制することができる。
また、上記の機構50では、隣り合うコンクリート部材20A,20Bが長孔44の形成されている範囲内でのみ相対変位が許容されているため、隣り合うコンクリート部材20A,20Bの連結状態を維持したまま、上記の効果を得ることができる。
上記の機構50は、長孔44が形成された長孔形成部43と、長孔44に挿通されコンクリート部材20Aに固定されたねじ46とを有して構成されている。この場合、比較的簡単な構成により、隣り合うコンクリート部材20A,20Bの相対変位を実現することができる。
コンクリート部材20Aの作業用空間21に長孔形成部43を内側に収容する筒状部材53を設け、それにより筒状部材53の内側にモルタル25が流入するのを阻止している。これにより、作業用空間21にモルタル25が充填される構成にあって、長孔形成部43がモルタル25に埋設されるのを防止することできる。その結果、コンクリート部材20Aに対する長孔形成部43の相対変位がモルタル25により妨げられるのを回避でき、ひいては隣り合うコンクリート部材20A,20Bの相対変位が妨げられるのを回避できる。
本考案は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、固定具としてねじ46を用いたが、ねじ46に代えてボルト等、他の固定具を用いてもよい。
(2)上記実施形態では、隣り合うコンクリート部材20A,20Bの相対変位を可能とする機構50を長孔形成部43とねじ46とを有して構成したが、機構50の構成は必ずしもこれに限定されない。例えば、長孔形成部43を設けない構成とするとともに、軸部42とねじ46とをコイルばね(弾性部材)を介して連結する構成が考えられる。この場合、コイルばねとねじ46とを有して「機構」が構成される。
かかる構成によれば、ねじ46、ひいてはねじ46が固定されたコンクリート部材20Aが、軸部42に対して当該軸部42の長手方向に相対変位可能とされる。そして、それにより、隣り合うコンクリート部材20A,20Bが、軸部42の長手方向に相対変位可能とされる。なお、ねじ46と軸部42とはコイルばねにより連結されているため、コイルばねの伸長できる範囲内で隣り合うコンクリート部材20A,20Bの相対変位が可能とされる。
(3)上記実施形態では、本考案の連結装置を、底樋管を構成するコンクリート部材20同士を連結する連結装置40として具体化したが、本考案の連結装置は、必ずしも底樋管用のコンクリート部材に適用する必要はなく、他の用途で用いられるコンクリート部材同士を連結する場合にも適用が可能である。
10…コンクリート部材用連結装置、11A…第1連結具としての連結具、11B…第2連結具としての連結具、17A…挿通孔としての孔部、20…コンクリート部材、21…凹部としての作業用空間、40…コンクリート部材用連結装置、42…軸部、43…長孔形成部、44…長孔、50…機構、53…筒状部材。
Claims (3)
- 隣り合うコンクリート部材を連結するための連結装置であって、
前記隣り合うコンクリート部材のうち一方のコンクリート部材に一体で設けられる第1連結具と、
他方のコンクリート部材に一体で設けられる第2連結具と、
前記第1連結具及び前記第2連結具を連結する軸部と、を備え、
前記第1連結具には、前記軸部が挿通される挿通孔が形成され、
前記挿通孔には、前記軸部が挿通され、
前記軸部のうち前記挿通孔から反第2連結具側に突出する部分には、前記隣り合うコンクリート部材が互いに離間する方向に所定の範囲で相対変位するのを可能とする機構が設けられている、コンクリート部材の連結装置。 - 前記機構は、
前記軸部と一体に設けられ、前記離間する方向に長い長孔が形成された長孔形成部と、
前記長孔に挿通され、前記一方のコンクリート部材に固定された固定具と、を有し、
前記隣り合うコンクリート部材は、前記長孔の範囲内で前記相対変位可能となっている、請求項1に記載のコンクリート部材の連結装置。 - 前記長孔形成部は、前記一方のコンクリート部材に形成された凹部に配置され、
前記凹部に設けられ、前記長孔形成部を内側に収容する筒状部材と、
前記凹部に充填され、前記筒状部材の内側への流入が阻止されているモルタルと、
を備える、請求項2に記載のコンクリート部材の連結装置。
Priority Applications (1)
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JP2024001261U JP3247177U (ja) | 2024-04-22 | 2024-04-22 | コンクリート部材の連結装置 |
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2024
- 2024-04-22 JP JP2024001261U patent/JP3247177U/ja active Active
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