JP3246830U - 仮設トイレ - Google Patents
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Abstract
Description
本明細書に開示される技術は、仮設トイレに関する。
従来から、工事現場や災害現場等に配置される仮設トイレが知られている。この仮設トイレは、便器と、便器から排出された汚水を蓄える汚水タンクとを備えている。汚水タンク内には、汚水中の有機物(屎尿)を分解する微生物が収容されている。また、汚水タンク内には、複数のブロア散気管が配置されており、これらの複数のブロア散気管が供給する空気(酸素)によって曝気が行われる。このため、この仮設トイレによれば、微生物による有機物の分解が促進されることにより、汚水タンクからの悪臭を抑制することができる(例えば特許文献1参照)。
しかし、上述した従来の仮設トイレには、次の第1の課題と第2の課題とがある。第1の課題は、「仮設トイレの使用不可期間の発生」である。具体的には、従来の仮設トイレでは、汚水タンクにおける貯留液(汚水)の貯留量が汚水タンクの限界量に達した場合、汚水タンク内の貯留液の汲み取りがされるまでの期間、仮設トイレを使用できなくなる。第2の課題は、「汚水タンク内における悪臭(例えば腐敗臭)の発生」である。従来の仮設トイレでは、ブロア散気管によって汚水タンク内に空気(酸素)が供給される。しかし、汚水タンク内において空気(酸素)が十分に供給されない場所が生じ、その場所から悪臭が発生することがある。
本明細書では、上述した第1の課題と第2の課題との少なくとも1つを解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される第1の仮設トイレは、便器と、前記便器に連通する便槽であって、屎尿を分解する微生物群を含む液体を収容する便槽と、前記便槽内に貯まった前記液体を含む貯留液を外部に送出する送出機構とを備える。本仮設トイレでは、仮に、便槽における貯留液(汚水)の貯留量が便槽の限界量に達した場合でも、便槽に貯まった貯留液を外部に送出することにより、仮設トイレを継続して使用することができる。すなわち、本仮設トイレによれば、第1の課題である「仮設トイレの使用不可期間の発生」を抑制することができる。しかも、送出される汚水は、便槽内における微生物群による分解によって悪臭が抑制されている。
(2)上記仮設トイレにおいて、さらに、前記送出機構の送出口に連通するサブタンクを備える構成としてもよい。本仮設トイレによれば、貯留液の貯留容量を拡張することができる。
(3)上記仮設トイレにおいて、さらに、前記サブタンクには、曝気装置が設けられている構成としてもよい。本仮設トイレによれば、サブタンクに貯留した貯留液の分解が不十分な場合、サブタンクに設けられた曝気装置による曝気により貯留液中の有機物(屎尿)の分解が促進され、サブタンクからの悪臭を抑制することができる。
(4)上記仮設トイレにおいて、前記便槽には、外部に連通する排気用の開口部が形成されており、前記開口部には、排気処理フィルタが設けられている構成としてもよい。便槽自体に設けられた排気処理フィルタが、悪臭物質に対する吸着処理を行うことで、便槽からの悪臭の放出を抑制することができる。
(5)上記仮設トイレにおいて、前記サブタンクには、外部に連通する排気用の開口部が形成されており、前記開口部には、排気処理フィルタが設けられている構成としてもよい。サブタンク自体に設けられた排気処理フィルタが、悪臭物質に対する吸着処理を行うことで、サブタンクからの悪臭の放出を抑制することができる。
(6)本明細書に開示される第2の仮設トイレは、便器と、前記便器に連通する便槽であって、屎尿を分解する微生物群を含む液体を収容する便槽と、前記便槽の床面に沿った方向に並んで配置される第1の曝気装置および第2の曝気装置と、前記第1の曝気装置からの空気供給量と前記第2の曝気装置からの空気供給量とのバランスを変更するバランス変更機構と、を備える。
本仮設トイレでは、第1の曝気装置からの空気供給量と第2の曝気装置からの空気供給量とのバランスを変更することにより、便槽内における貯留液の対流方向が変化する。これにより、便槽内において空気供給量が不足している場所に対して、空気供給量を相対的に増加させて、空気(酸素)供給不足の場所の発生を抑制することが可能である。すなわち、本仮設トイレによれば、第2の課題である「汚水タンク内における悪臭の発生」を抑制することができる。
(7)上記仮設トイレにおいて、さらに、前記第1の曝気装置と前記第2の曝気装置とを、共通の空気供給源に連結するための連結管を備え、前記バランス変更機構は、前記連結管に設けられ、少なくとも前記第1の曝気装置への空気供給量を変更するバルブ機構を有する構成としてもよい。本仮設トイレによれば、共通の空気供給源の供給力の制限下において、第1の曝気装置からの空気供給量と第2の曝気装置からの空気供給量とのバランスを変更することで、「汚水タンク内における悪臭の発生」を抑制することができる。
本明細書によって開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、仮設トイレ、サブタンク、仮設トイレにおける貯留量の拡張方法、仮設トイレにおける悪臭抑制方法等の形態で実現することが可能である。
A.実施形態:
A-1.仮設トイレ1の外観構成:
図1は、本実施形態における仮設トイレ1の外観構成を示す斜視図である。図1には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向といい、X軸正方向を前方向といい、X軸負方向を後方向といい、Y軸正方向を右方向といい、Y軸負方向を左方向というものとする。なお、後述の図2についても同様である。
A-1.仮設トイレ1の外観構成:
図1は、本実施形態における仮設トイレ1の外観構成を示す斜視図である。図1には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向といい、X軸正方向を前方向といい、X軸負方向を後方向といい、Y軸正方向を右方向といい、Y軸負方向を左方向というものとする。なお、後述の図2についても同様である。
仮設トイレ1は、例えば工事現場や被災地等、下水道が配備されていない場所でも使用可能である。仮設トイレ1は、例えばフォークリフト等によって搬送可能である。図1に示すように、仮設トイレ1は、全体として直方体状のボックス2を備えている。ボックス2は、第1のボックス3と第2のボックス4とを含んでいる。第1のボックス3は、第2のボックス4の上に配置されている。第1のボックス3の後面には開口部が形成されており、その開口部を塞ぐように扉5が設けられている。扉5は、垂直方向に沿った回転軸を中心に開閉可能に設けられている。なお、扉5の開閉端側には、取っ手6が設けられている。
第2のボックス4の下面には、複数の足場材7が設けられている。第2のボックス4は、複数の足場材7を介して、所定の設置場所に配置される。なお、第2のボックス4の後面側には、階段9が配置されている。階段9の上面は、扉5に向かって段階的に高くなっている。
A-2.仮設トイレ1の内部構成:
図2は、仮設トイレ1の垂直断面の構成を示す説明図であり、図3は、仮設トイレ1の水平断面の構成を示す説明図である。垂直断面とは、垂直方向に沿った断面を意味し、水平断面は、水平方向に沿った断面を意味する。図2には、仮設トイレ1のうち、右側から見たボックス2の垂直断面の構成が示されており、後述する便器10等の内部構成については、右面構成が示されている。図3には、仮設トイレ1のうち、上側から見たボックス2の水平断面の構成が示されており、後述する便器10等の内部構成については、上面構成が示されている。
図2は、仮設トイレ1の垂直断面の構成を示す説明図であり、図3は、仮設トイレ1の水平断面の構成を示す説明図である。垂直断面とは、垂直方向に沿った断面を意味し、水平断面は、水平方向に沿った断面を意味する。図2には、仮設トイレ1のうち、右側から見たボックス2の垂直断面の構成が示されており、後述する便器10等の内部構成については、右面構成が示されている。図3には、仮設トイレ1のうち、上側から見たボックス2の水平断面の構成が示されており、後述する便器10等の内部構成については、上面構成が示されている。
図2に示すように、第1のボックス3の内部には、便室S1と機械室S2とが形成されている。便室S1と機械室S2とは、区画壁3Aによって区画されている。機械室S2は、便室S1に対して、扉5とは反対側に位置している。
便室S1は、第1のボックス3の上記開口部に連通している。便室S1には、便器10と、小便器16と、手洗い器18とが配置されている。便器10は、扉5に対して、小便器16よりも離れた位置に配置されている。手洗い器18は、便器10と小便器16との間に配置されている。便器10と小便器16と手洗い器18とは、例えば陶器製であることが好ましい。
便器10は、便器本体12と、水洗タンク14とを有している。水洗タンク14は、洗浄水(水道水)を一時的に貯留し、洗浄水を便器本体12に供給する。水洗タンク14の内部を目視で洗浄できるように、水洗タンク14の上面に開口部が形成されており、その開口部を着脱可能な蓋で塞がれていることが好ましい。
機械室S2は、便器10の前側に位置している。機械室S2には、送水ポンプ40と、ブロア42とが配置されている。図3に示すように、ボックス2の外部には、給水タンクT1と貯留タンクT2とが配置されている。貯留タンクT2は、サブタンクの一例である。
送水ポンプ40は、供給管20(例えばホース)を介して、給水タンクT1に連結されている。送水ポンプ40は、供給管20を介して、便器10と小便器16と手洗い器18とのそれぞれに連結されている。送水ポンプ40は、ブロア42の動力を利用して作動し、給水タンクT1に貯留された水を汲み上げて、便器10(水洗タンク14)と小便器16と手洗い器18とのそれぞれに供給する。すなわち、便器10と小便器16とは、簡易水洗式である。
第2のボックス4には、便槽S3が形成されている。便槽S3は、例えば第2のボックス4内における前側(便器10の直下)に配置されている。便槽S3は、後述するように、オンサイトで微生物処理を行うことで悪臭(例えば屎尿臭)を低減する機能をもつ。便槽S3は、一槽のみで構成され、仕切りなどはない。それゆえ、汲取り作業がしやすく、また洗浄しやすい構造となっている。便槽S3の形成材料の例としては、鋼材、樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン、繊維強化プラスチック)、または鋼材と樹脂との組み合わせが挙げられる。
図2に示すように、便器10から導出された排出管36は、便槽S3内に開口している。小便器16から導出された排出管32は、便槽S3内に開口している。手洗い器18から導出された排出管34は、便槽S3内に開口している。便器10、小便器16や手洗い器18からの汚水や汚物(排泄物)は、便槽S3内に排出される。
図4は、便槽S3内の上面構成を示す説明図であり、図5は、便槽S3内の側面構成を示す説明図である。図4および図5に示すように、便槽S3内には、処理液Qと、曝気装置50とが配置されている。処理液Qは、微生物群を含む液体の一例である。
処理液Qは、培養され、屎尿を分解する処理用の微生物を含んでいる。処理用の微生物は、例えばアンモニアを亜硝酸、硝酸に変換する微生物群、硝酸イオンを窒素ガスとして脱窒する微生物群、有機物を好気的に分解する微生物群を含む。便槽S3において、これらの微生物群を処理用の菌床として利用する。
曝気装置50は、第1の散気菅50Aと第2の散気菅50Bとを有している。散気菅50A,50Bは、液体中にガスや空気を放出する管である。具体的には、散気菅50A,50Bは、例えば直線状の管状部材であり、管状部材の外周面に複数の孔が形成されている。複数の孔は、散気菅50A,50Bの内部流路に連通している。第1の散気菅50Aの内部流路は、第1の連結管54Aを介して、ブロア42に連通している。このため、ブロア42から第1の散気菅50Aの内部流路に空気が供給されることにより、第1の散気菅50Aから複数の微細気泡が処理液Q内に放出される。第2の散気菅50Bの内部流路は、第2の連結管54Bを介して、ブロア42に連通している。このため、ブロア42から第2の散気菅50Bの内部流路に空気が供給されることにより、第2の散気菅50Bから複数の微細気泡が処理液Q内に放出される。第1の散気菅50Aは、第1の曝気装置の一例であり、第2の散気菅50Bは、第2の曝気装置の一例であり、ブロア42は、空気供給源の一例である。
第1の散気菅50Aと第2の散気菅50Bとは、便槽S3の底面4Aに沿った並び方向(水平方向 図1等では前後方向)に間隔を空けつつ並んで配置されている。各散気菅50A,50Bの長手方向は、上記並び方向に略直交している。なお、第1の散気菅50Aと第2の散気菅50Bとは、いずれも、便槽S3の底面4Aに接触するように配置されている(図5参照)。なお、底面4Aは、一方向に傾斜していてもよい(図2参照)。これにより、便槽S3内の貯留液を所定箇所に集水することができる。
仮設トイレ1は、さらに、バランス変更機構を有している。バランス変更機構は、第1の散気菅50Aからの空気(酸素)供給量と第2の散気菅50Bからの空気(酸素)供給量とのバランスを変更するための機構である。具体的には、第1の連結管54Aには、第1のバルブ機構51Aが設けられている。第1のバルブ機構51Aは、例えば手動による開閉操作によって第1の連結管54Aの開口量が変更可能な構成になっている。第2の連結管54Bには、第2のバルブ機構51Bが設けられている。第2のバルブ機構51Bは、例えば手動による開閉操作によって第2の連結管54Bの開口量が変更可能な構成になっている。第1のバルブ機構51Aによる開口量と第2のバルブ機構51Bによる開口量とのバランスを変更することにより、第1の散気菅50Aからの空気供給量と第2の散気菅50Bからの空気供給量とのバランスを変更することができる。
仮設トイレ1は、さらに、エアリフトポンプ52を備えている。エアリフトポンプ52は、便槽S3内に貯まった処理液Qと屎尿等を含む貯留液を外部に送出する。エアリフトポンプ52は、送出機構の一例である。
エアリフトポンプ52は、便槽S3内における貯留液の水位が所定の基準水位(例えば満水位)になった際に貯留液を貯留タンクT2に移送する。エアリフトポンプ52は、便槽S3内における貯留液の水域にパイプを縦に配置し(図5参照)、パイプの途中から空気を注入することによって形成される気液二相流の流動に基づき揚水する。エアリフトポンプ52の空気注入口は、第3の連結管55を介してブロア42に連通している。エアリフトポンプ52への空気の注入は、ブロア42を利用する。すなわち、エアリフトポンプ52の空気供給源は、曝気装置50の空気供給源を流用する。なお、第3の連結管55には、第3のバルブ機構51Cが設けられている。第3のバルブ機構51Cは、例えば手動による開閉操作によって第3の連結管55の開口量が変更可能な構成になっている。つまり、第3のバルブ機構51Cの操作によって、エアリフトポンプ52による揚水の入りきりや揚水量の調整を行うことができる。
エアリフトポンプ52の送出口は、導出管29を介して、貯留タンクT2に連通している。貯留タンクT2は、例えばポリタンクである。貯留タンクT2にも、別途、処理液Qが収容されていることが好ましい。または、貯留タンクT2への貯留後に処理液Qを構成する微生物群を添加することが好ましい。貯留タンクT2は、曝気装置を有していることが好ましい。曝気装置によって、貯留タンクT2内において、移送された貯留液に対する曝気処理を行うことができる。
A-3.仮設トイレ1における処理の流れ:
図6は、仮設トイレ1における処理の流れを示すブロック図である。上述したように、水洗タンク14に貯留された洗浄水は、送水ポンプ40によって便器10(水洗タンク14)と小便器16と手洗い器18とのそれぞれに供給される。便器10と小便器16と手洗い器18とからの屎尿等は、便槽S3内に排出され、処理液Qに混入される。
図6は、仮設トイレ1における処理の流れを示すブロック図である。上述したように、水洗タンク14に貯留された洗浄水は、送水ポンプ40によって便器10(水洗タンク14)と小便器16と手洗い器18とのそれぞれに供給される。便器10と小便器16と手洗い器18とからの屎尿等は、便槽S3内に排出され、処理液Qに混入される。
便槽S3では、ブロア42から散気菅50A,50Bの内部流路に空気が供給されることにより、貯留液中に空気が供給される。第1のバルブ機構51Aと第2のバルブ機構51Bとの操作により、第1の散気菅50Aからの空気供給量と第2の散気菅50Bからの空気供給量とのバランスが変更される。
エアリフトポンプ52は、便槽S3内における貯留液の水位が所定の基準水位になった際に貯留液を貯留タンクT2に移送する。水位計60は、例えばフロート式であり、便槽S3内における貯留液の水位を計測する。表示灯62は、水位計60により計測された水位が基準水位に達したことを条件に点灯し、水位計60により計測された水位が基準水位未満になったことを条件に消灯する。便槽S3には、排気処理フィルタ64が連結されている。具体的には、便槽S3の側面上部に、排気用の開口部が形成されている。この開口部に、筒状配管が、排気方向が下向きになるように設置され、その筒状配管の内部に、排気処理フィルタ64(脱臭用の吸着材)が充填されている。吸着材には、例えば活性炭を担持したプリーツフィルタやハニカムフィルタ、不織布フィルタが用いられる。
貯留タンクT2内にも曝気装置50(第3の散気菅50C)が配置されている。第3の散気菅50Cの空気供給源は、第1の散気菅50Aと同じブロア42でもよいし、別途設けた空気供給源でもよい。貯留タンクT2には、排気処理フィルタ66が連結されている。具体的には、貯留タンクT2の側面上部に、排気用の開口部が形成されている。この開口部に、筒状配管が、排気方向が下向きになるように設置され、その筒状配管の内部に、排気処理フィルタ66(脱臭用の吸着材)が充填されている。吸着材には、例えば活性炭を担持したプリーツフィルタやハニカムフィルタ、不織布フィルタが用いられる。
A-4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態に係る仮設トイレ1では、便槽S3内には、微生物群を含む処理液Qが収容されており、屎尿に含まれる有機物が微生物群によって吸収・分解される。このため、例えば便槽S3からの悪臭を抑制することができる。また、仮設トイレ1には、エアリフトポンプ52が備えられている。エアリフトポンプ52は、便槽S3内に貯まった処理液Qと屎尿等を含む貯留液を外部に送出する。このため、仮に、便槽S3における貯留液の貯留量が便槽S3の限界量に達した場合でも、便槽S3に貯まった貯留液を外部に送出することにより、仮設トイレ1を継続して使用することができる。しかも、送出される貯留液(汚水)は、便槽S3内における微生物群による分解によって悪臭が抑制されている。
以上説明したように、本実施形態に係る仮設トイレ1では、便槽S3内には、微生物群を含む処理液Qが収容されており、屎尿に含まれる有機物が微生物群によって吸収・分解される。このため、例えば便槽S3からの悪臭を抑制することができる。また、仮設トイレ1には、エアリフトポンプ52が備えられている。エアリフトポンプ52は、便槽S3内に貯まった処理液Qと屎尿等を含む貯留液を外部に送出する。このため、仮に、便槽S3における貯留液の貯留量が便槽S3の限界量に達した場合でも、便槽S3に貯まった貯留液を外部に送出することにより、仮設トイレ1を継続して使用することができる。しかも、送出される貯留液(汚水)は、便槽S3内における微生物群による分解によって悪臭が抑制されている。
本実施形態では、エアリフトポンプ52の送出口は、導出管29を介して、貯留タンクT2に着脱可能に連通している。これにより、便槽S3内の貯留液を貯留タンクT2に送出することができる。要するに、仮設トイレ1における貯留液の貯留容量を拡張することができる。また、貯留タンクT2は、曝気装置を有してもよい。これにより、貯留タンクT2に送出された貯留液の分解が不十分な場合、貯留タンクT2に設けられた曝気装置による曝気により貯留液中の有機物(屎尿)の分解が促進され、貯留タンクT2からの悪臭を抑制することができる。
本実施形態では、便槽S3の処理液Q内に、第1の散気菅50Aと第2の散気菅50Bとが配置されている。バランス変更機構により、第1の散気菅50Aからの空気供給量と第2の散気菅50Bからの空気供給量とのバランスを変更することができる。
例えば、第1のバルブ機構51Aを開いて第1の散気菅50Aからの空気供給を行いつつ、第2のバルブ機構51Bを閉じて第2の散気菅50Bからの空気供給を停止させる。これにより、第1の散気菅50Aからの空気供給量と第2の散気菅50Bからの空気供給量とのバランスが変更され、便槽S3内における貯留液の対流方向が変化し、便槽S3内の貯留液が全体に攪拌される。その結果、便槽S3内において空気供給量が不足している場所に対して、空気供給量を相対的に増加させて、空気(酸素)供給不足の場所の発生が抑制され、悪臭の発生が抑制される。なお、第1のバルブ機構51Aを閉じて第1の散気菅50Aからの空気供給を停止させつつ、第2のバルブ機構51Bを開いて第2の散気菅50Bからの空気供給を行ってもよい。また、第1のバルブ機構51Aと第2のバルブ機構51Bとの両方を開きつつ、互いに開口量を異ならせてもよい。
各散気菅50A,50Bのからの空気供給量(通気量)を増加させて堆積汚泥を攪拌することができる。堆積汚泥を攪拌する目的は、悪臭(例えば腐敗臭)の発生を抑制することである。また、第1の散気菅50Aと第2の散気菅50Bとは、共通のブロア42(空気供給源)を利用している。つまり、共通のブロア42の供給力(出力)の制限下において、第1の散気菅50Aからの空気供給量と第2の散気菅50Bからの空気供給量とのバランスを変更することができる。これにより、攪拌のための付帯装置を別途設けることなく、「汚水タンク内における悪臭の発生」を抑制することができる。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
上記実施形態における仮設トイレ1の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば仮設トイレ1において、第1のボックス3は、第2のボックス4の横に配置されてもよい。便室S1には、便器10と小便器16とのいずれか一方だけが配置されてもよい。便器10は、洋式に限らず、和式でもよい。便器10は、水洗式に限らず、非水洗式でもよい。仮設トイレ1は、送水ポンプ40を備えなくてもよい。この場合でも、仮設トイレ1を、水道管が配置されている箇所に設ければ、便器10(水洗タンク14)を水道管に連結することにより水洗トイレとして機能させることができる。曝気装置は、散気菅に限らず、例えば、ディフューザ等でもよい。送出機構は、エアリフトポンプ52に限らず、例えば水中ポンプ等でもよい。
上記実施形態において、便槽S3に3つ以上の曝気装置(散気菅)が配置された構成でもよい。この場合、3つの曝気装置のうち、少なくとも1つの空気供給量を調整可能にすることが好ましい。各第1の散気菅50A,50Bは、直線状に限らず、曲線状(湾曲状、円状等)でもよい。バルブ機構51A、51B、51Cは、自動で開閉操作される構成でもよい。上記実施形態において、第1のバルブ機構51Aと第2のバルブ機構51Bとのいずれか一方を備えない構成でもよい。
上記実施形態の仮設トイレ1における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。
1:仮設トイレ 2:ボックス 3:第1のボックス 3A:区画壁 4:第2のボックス 4A:底面 5:扉 6:取っ手 7:足場材 9:階段 10:便器 12:便器本体 14:水洗タンク 16:小便器 18:手洗い器 20:供給管 29:導出管 32,34,36:排出管 40:送水ポンプ 42:ブロア 50:曝気装置 50A:第1の散気菅 50B:第2の散気菅 50C:第3の散気菅 51A、51B、51C:バルブ機構 52:エアリフトポンプ 54A:第1の連結管 54B:第2の連結管 55:第3の連結管 60:水位計 62:表示灯 64,66:排気処理フィルタ Q:処理液 S1:便室 S2:機械室 S3:便槽 T1:給水タンク T2:貯留タンク
Claims (7)
- 仮設トイレであって、
便器と、
前記便器に連通する便槽であって、屎尿を分解する微生物群を含む液体を収容する便槽と、
前記便槽内に貯まった前記液体を含む貯留液を外部に送出する送出機構と、
を備える、仮設トイレ。 - 請求項1に記載の仮設トイレであって、
さらに、前記送出機構の送出口に連通するサブタンクを備える、仮設トイレ。 - 請求項2に記載の仮設トイレであって、
前記サブタンクには、曝気装置が設けられている、仮設トイレ。 - 請求項1に記載の仮設トイレであって、
前記便槽には、外部に連通する排気用の開口部が形成されており、前記開口部には、排気処理フィルタが設けられている、仮設トイレ。 - 請求項2または請求項3に記載の仮設トイレであって、
前記サブタンクには、外部に連通する排気用の開口部が形成されており、前記開口部には、排気処理フィルタが設けられている、仮設トイレ。 - 仮設トイレであって、
便器と、
前記便器に連通する便槽であって、屎尿を分解する微生物群を含む液体を収容する便槽と、
前記便槽の床面に沿った方向に並んで配置される第1の曝気装置および第2の曝気装置と、
前記第1の曝気装置からの空気供給量と前記第2の曝気装置からの空気供給量とのバランスを変更するバランス変更機構と、を備える、仮設トイレ。 - 請求項6に記載の仮設トイレであって、
さらに、前記第1の曝気装置と前記第2の曝気装置とを、共通の空気供給源に連結するための連結管を備え、
前記バランス変更機構は、前記連結管に設けられ、少なくとも前記第1の曝気装置への空気供給量を変更するバルブ機構を有する、仮設トイレ。
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JP2024000825U JP3246830U (ja) | 2024-03-19 | 2024-03-19 | 仮設トイレ |
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