JP3244851U - 欠陥検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】入手が容易な光源を用いて検査を精度良く実施可能な欠陥検査装置を提供する。【解決手段】欠陥検査装置1は、載置台3と光源4との間に配置された透過窓付き遮蔽板5を備え、透過窓付き遮蔽板5は、第1の方向に吸収軸を有し、光源4から載置台3に向かう白色光L0の光軸に対応して配置された第1の直線偏光板35Aと、第1の方向に直交する第2の方向に吸収軸を有し、第1の直線偏光板35Aに隣接して配置された第2の直線偏光板35Bと、偏光板Pからの白色光L0の正反射光L1が遮られ、かつ正反射光L1以外の反射光の少なくとも一部が第2の直線偏光板35Bを通過するように配置された遮蔽板33と、を有する。【選択図】図2
Description
本開示は、欠陥検査装置に関する。
従来、例えば液晶表示装置などを構成する光学素子の一つとして、偏光板が広く用いられている。偏光板の構造には様々な方式があるが、代表的な例として、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルムにヨウ素を吸着配向させた偏光膜の両面に、粘接着剤層を介して保護フィルムを積層したものが知られている。このような偏光板では、製造条件によっては、製造過程で用いられる硫酸カリウムが結晶状態で残存する欠陥(硫酸カリウム欠陥)が生じることがある。欠陥自体は、ヨウ素で染色されているために目視では確認しにくいが、欠陥の近傍で生じる微小な変形や微小な気泡によって、光の散乱に起因する色ムラ(ヘイズムラ)が目視で確認可能なレベルで生じ得る。
偏光板の欠陥を検査する技術としては、例えば特許文献1に記載の光学透明フィルムの検査方法がある。この検査方法では、剥離フィルムの外面に外方側から光が当たることを防止し、かつ、照明光の色と剥離フィルムの色とが補色関係にあるように設定する。この状態で光学透明フィルムに照明光を照射し、光学透明フィルム面を観察する。
上述した特許文献1では、照明光の光源としてグリーンランプが用いられている。グリーンランプを用いた検査では、十分な強度の照明光によって検査精度が得られやすい反面、検査用のグリーンランプ自体の入手が容易でない場合があることが課題となっている。
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、入手が容易な光源を用いて検査を精度良く実施可能な欠陥検査装置を提供することを目的とする。
本開示の要旨は、以下のとおりである。
[1]ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む偏光板の欠陥の有無を検査する欠陥検査装置であって、前記偏光板が載置される載置台と、前記載置台上の偏光板に白色光を照射する光源と、前記載置台と前記光源との間に配置された透過窓付き遮蔽板と、を備え、前記透過窓付き遮蔽板は、第1の方向に吸収軸を有し、前記光源から前記載置台に向かう前記白色光の光軸に対応して配置された第1の直線偏光板と、前記第1の方向に直交する第2の方向に吸収軸を有し、前記第1の直線偏光板に隣接して配置された第2の直線偏光板と、前記偏光板からの前記白色光の正反射光が遮られ、かつ前記正反射光以外の反射光の少なくとも一部が前記第2の直線偏光板を通過するように配置された遮蔽板と、を有する、欠陥検査装置。
この欠陥検査装置では、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む偏光板の欠陥の検査に白色光を照射する光源が用いられている。白色光の強度は、従来のグリーンランプによる光と比べて比較的強度が小さい反面、白色光を照射する光源の入手は容易である。また、この欠陥検査装置では、偏光板が載置される載置台と光源との間に透過窓付き遮蔽板が配置されている。この透過窓付き遮蔽板を用いることで、直交ニコルの関係にある第1の直線偏光板と第2の直線偏光板とで偏光板からの正反射光と欠陥による拡散光とが切り分けられると共に、偏光板からの正反射光を遮蔽板で遮ることができる。したがって、従来のグリーンランプによる光と比べて比較的強度の小さい白色光を用いた場合であっても、欠陥の検査を精度良く実施できる。
[2]前記透過窓付き遮蔽板は、前記載置台に対して傾斜している、[1]記載の欠陥検査装置。この場合、偏光板からの正反射光の光軸を肉眼による欠陥の観察軸から外しやすくなり、欠陥の検査を好適に実施できる。
[3]前記載置台に対する前記透過窓付き遮蔽板の傾斜角度は、25°~40°となっている、[2]記載の欠陥検査装置。この場合、偏光板からの正反射光の光軸を肉眼による欠陥の観察軸からより確実に外しやすくなり、欠陥の検査をより好適に実施できる。
[4]前記載置台は、前記偏光板を前記白色光の照射領域に対して進退させるスライド板を有する、[1]~[3]のいずれか記載の欠陥検査装置。このようなスライド板を用いることで、欠陥の検査位置を容易に走査できる。したがって、検査の作業性を向上できる。
[5]前記スライド板は、円偏光板と、前記円偏光板の表面に設けられた反射防止層とを含んで構成されている、[4]記載の欠陥検査装置。この場合、偏光板とスライド板との界面で生じる反射を抑制でき、スライド板を用いた場合でも欠陥の検査を精度良く実施できる。
[6]前記光源からの前記白色光の指向角は、10°~90°となっている、[1]~[5]のいずれか記載の欠陥検査装置。白色光の指向角を上記範囲とすることで、目視の位置での白色光の強度不足を防止でき、欠陥の検査精度を十分に担保できる。
[7]前記白色光の光軸方向における前記透過窓付き遮蔽板と前記載置台との間隔は、40mm~70mmとなっている、[1]~[6]のいずれか記載の欠陥検査装置。透過窓付き遮蔽板と載置台との間隔を上記範囲の上限以下とすることで、目視の位置での白色光の過度な拡がりを防止でき、欠陥の検査精度を十分に担保できる。透過窓付き遮蔽板と載置台との間隔を上記範囲の下限以上とすることで、透過窓付き遮蔽板と載置台との間に手が入る程度のスペースを確保でき、検査のための調整その他の作業性を良好に確保できる。
本開示によれば、入手が容易な光源を用いて検査を精度良く実施できる。
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る欠陥検査装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本開示の一側面に係る欠陥検査装置の模式的な平面図である。また、図2は、その模式的な側面図である。図1及び図2に示す欠陥検査装置1は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光膜を含む偏光板Pの欠陥Kaの有無を検査する装置として構成されている。検査対象である偏光板Pは、例えば直線偏光板或いは円偏光板である。偏光板Pは、図3に示すように、例えば偏光膜101の両面に偏光膜保護フィルム102が積層された積層構造を有している。一方又は双方の偏光膜保護フィルム102には、偏光膜101と接する面とは反対の面に偏光板保護フィルム103が剥離可能に積層されていてもよい。
偏光膜101は、例えばポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する延伸工程、PVA系フィルムをヨウ素で染色することによりヨウ素を吸着させる吸着工程、ヨウ素が吸着されたPVA系フィルムをホウ酸水溶液で処理して架橋させる架橋工程、及びホウ酸水溶液によって架橋処理後に洗浄する洗浄工程(ホウ酸処理工程とも称される)を経て製造される。偏光板Pでは、製造条件によっては、例えば図4に示すように、架橋工程で用いられる硫酸カリウムが結晶状態で残存する欠陥(硫酸カリウム欠陥)Kaが生じることがある。欠陥Ka自体は、ヨウ素で染色されているために目視では確認しにくいが、欠陥Kaの近傍で生じる微小な変形や微小な気泡によって、光の散乱に起因する色ムラ(ヘイズムラ)Kbが目視で確認可能なレベルで生じ得る。
欠陥検査装置1は、このような色ムラKbの有無を目視で観察する装置でありおり、図1及び図2に示すように、枠体2と、載置台3と、光源4と、透過窓付き遮蔽板5とを含んで構成されている。枠体2は、例えば一対の脚部11,11と、一対の柱部12,12と、載置台保持部13と、透過窓付き遮蔽板保持部14と、光源保持部15とを含んで構成されている。枠体2の各構成要素の材料としては、特に制限はないが、例えば金属材料或いは硬質のプラスチック材料などを用いることができる。枠体2の各構成要素は、光の反射を抑制するため、黒色などに着色されていてもよい。
一対の脚部11,11は、欠陥検査装置1をステージ上などに安定的に載置する部分である。一対の脚部11,11は、例えば棒状をなしており、所定の間隔をもって互いに平行に延在している。なお、枠体2の脚部は、必ずしも一対の脚部11,11によって構成されるものでなくてもよく、例えば一枚の平板部材によって構成されていてもよい。一対の柱部12,12は、載置台保持部13、透過窓付き遮蔽板保持部14、及び光源保持部15を保持する部分である。柱部12,12は、例えば棒状をなしており、脚部11,11のそれぞれの一方の端部寄りの位置から高さ方向(脚部11,11の延在方向に直交する方向)に延びている。
載置台保持部13は、載置台3を保持する部分である。載置台保持部13は、例えば板状をなしており、柱部12,12の高さ方向の中央付近で、柱部12,12間に架け渡されている。載置台保持部13の両端部分には、例えばネジWが螺合されるネジ孔が設けられており、柱部12,12には、当該ネジ孔に対応する複数のネジ孔が高さ方向に沿って設けられている。載置台保持部13は、柱部12のネジ孔の一つを選択して載置台保持部13のネジ孔にネジWを螺合することで、取り付け高さを自在に調整しつつ、柱部12,12に着脱自在に固定されている。ネジ止めの際に載置台保持部13の傾きを調整することで、脚部11,11の延在方向に対する載置台保持部13の傾斜角度を自在に調整できる。
透過窓付き遮蔽板保持部14は、透過窓付き遮蔽板5を保持する部分である。透過窓付き遮蔽板保持部14は、例えば載置台保持部13よりも高い位置で柱部12,12間に架け渡された基部14A(図2参照)と、基部14Aにおける一方の柱部12寄りの位置から脚部11と略平行に突出する突出部14Bと、突出部14Bの先端部分から他方の柱部12に向かって基部14Aと略平行に伸びる板状部14Cとを有している。
突出部14Bの基端部分には、例えばネジWが螺合されるネジ孔が設けられており、基部14Aには、当該ネジ孔に対応する複数のネジ孔が高さ方向に沿って設けられている。突出部14Bと板状部14Cとは一体となっており、基部14Aのネジ孔の一つを選択して突出部14Bのネジ孔をネジWで共締めすることで、取り付け高さを自在に調整しつつ、突出部14B及び板状部14Cが基部14Aに着脱自在に固定されている。ネジ止めの際に突出部14Bの傾きを調整することで、脚部11,11の延在方向に対する板状部14Cの傾斜角度を自在に調整できる。
光源保持部15は、光源4を保持する部分である。光源保持部15は、例えば透過窓付き遮蔽板保持部14よりも高い位置で柱部12,12間に架け渡された基部15Aと、基部15Aの中央付近から柱部12の高さ方向に延びると共に、柱部12の先端よりも上方で屈曲して脚部11と略平行に突出する突出部15Bと、突出部15Bの先端から更に突出する支持部15Cとを有している。突出部15Bにおいて、柱部12の高さ方向に延びる部分には、その延在方向に沿って複数のネジ孔が設けられており、基部15Aには、当該ネジ孔に対応するネジ孔が設けられている。複数のネジ孔の一つを選択して基部15Aのネジ孔にネジWを螺合することで、柱部12に対する光源保持部15の取り付け高さを自在に調整できる。
また、支持部15Cの基端部分には、例えばネジWが螺合されるネジ孔が設けられており、突出部15Bの先端部分には、当該ネジ孔に対応するネジ孔が設けられている。支持部15Cの基端部分のネジ孔と突出部15Bの先端部分のネジ孔とをネジWで共締めすることで、支持部15Cが突出部15Bに着脱自在に固定されている。ネジ止めの際に支持部15Cの傾きを調整することで、突出部15Bに対する支持部15Cの傾斜角度を自在に調整できる。
載置台3は、検査対象である偏光板Pが載置される台である。載置台3は、例えばつや消し処理が施された黒色のプラスチック段ボールによって板状に形成されている。載置台3の平面形状は、例えば一対の脚部11,11の延在方向を長手方向とする長方形状となっている。載置台3の一端側は、例えば欠陥検査装置1が載置されるステージ(不図示)に直に支持されており、載置台3の他端側は、載置台保持部13によって保持されている。これにより、載置台3は、一対の脚部11,11の延在方向に対し、載置台3の他端側が一端側に対して高くなるように、傾斜した状態となっている。一対の脚部11,11に対する載置台3の傾斜角度θ1は、例えば35°~50°となっている。
光源4は、載置台3上の偏光板Pに白色光L0を照射する装置である。本実施形態では、光源4は、例えばハンディライト型の白色LED16によって構成されている。白色LED16は、一定の指向性を有していることが好ましい。指向性の指標としては、例えば指向角が挙げられる。指向角とは、光源4から出射する白色光L0の中心軸における輝度を1とした場合に、輝度が1/2になる光軸の中心軸に対する角度を2倍にした角度である。本実施形態では、白色LED16からの白色光L0の指向角は、10°~90°であり、好ましくは10°~60°であり、より好ましくは10°~40°である。
図1及び図2の例では、光源4として、複数の白色LED16が一対の脚部11,11の延在方向と直交する方向に一列に配列されている。光源4は、光源保持部15によって透過窓付き遮蔽板保持部14の上方で保持され、複数の白色LED16から出力される白色光L0の光軸が柱部12の延在方向に対して傾斜するように傾きが調整された状態で、光源保持部15によって透過窓付き遮蔽板保持部14の上方で保持されている。柱部12の延在方向に対する白色光L0の光軸の傾斜角度は、例えば5°~10°となっている。
光源4から出力した白色光L0は、透過窓付き遮蔽板保持部14の透過窓32(後述する)を通って載置台3上の偏光板Pに照射される。白色光L0が照射された偏光板Pでは、正反射光L1を含む反射光が生じる。正反射光L1は、反射光のうち、偏光板Pへの白色光L0の入射角と同じ角度で出射する光である。偏光板Pに欠陥Kaによる色ムラKb(図4参照)が存在する場合、色ムラKbの部分では、白色光L0の入射によって拡散光L2が生じる。この拡散光L2の有無を肉眼で観察することで、偏光板Pの欠陥の有無を検査できる。
本実施形態では、上述した載置台3は、偏光板Pを白色光L0の照射位置Rに対して進退させるスライド板21を有しており、スライド板21に載置した偏光板Pを載置台3上でスライド可能となっている。一対の脚部11,11に対するスライド板21の傾斜角度は、一対の脚部11,11に対する載置台3の傾斜角度θ1に準ずる。スライド板21は、例えばつや消し処理が施された黒色のアクリル板によって構成されている。本実施形態では、黒色のアクリル板の表面に円偏光板22が設けられ、さらに、当該円偏光板22の表面に反射防止層23が設けられている。円偏光板22及び反射防止層23により、偏光板Pとスライド板21との界面で生じる反射の抑制が図られる。
スライド板21には、突起状の把持部24が設けられている。把持部24は、例えばスライド板21の幅方向の一方の端部に配置されている。把持部24をつまみとすることで、スライド板21を載置台3の長手方向に手動でスライドさせることができる。スライド板21をスライドさせることで、スライド板21上の偏光板Pの各部位を白色光L0の照射位置Rに対して進退させることができる。
本実施形態では、載置台3には、当該載置台3上でのスライド板21の位置決めに用いられる位置決め部材3A及び一対の位置決め部材3B,3Bが設けられている。位置決め部材3Aは、載置台3の一端側に配置されており、載置台3が傾斜した場合にスライド板21を支えるようになっている。位置決め部材3B,3Bは、スライド板21の幅に対応する間隔で載置台3の幅方向に配置されており、スライド板21のスライド方向を案内することで、幅方向のずれを防止する。
本実施形態では、スライド板21においても、当該スライド板21上での偏光板Pの位置決めに用いられる位置決め部材21A,21Bが設けられている。位置決め部材21Aは、スライド板21の長手方向の一端側に配置されており、位置決め部材21Bは、スライド板21の幅方向の一方側に配置されている。位置決め部材21A,21Bのそれぞれに偏光板Pを突き当てることで、スライド板21上での偏光板Pの位置決めを簡便に行うことができる。
透過窓付き遮蔽板5は、欠陥Kaの観察にあたって、正反射光L1と拡散光L2とを切り分ける部分である。図5(a)は、透過窓付き遮蔽板5の要部を示す模式的な平面図であり、(b)は、(a)のV-V線断面図である。図5(a)及び図5(b)に示すように、透過窓付き遮蔽板5は、板状の本体部31と、本体部31に嵌め込まれた透過窓32と、遮蔽板33とを含んで構成されている。
本体部31は、例えばつや消し処理が施された黒色のアクリル板によって構成されている。本体部31の平面形状は、例えば載置台3の平面形状よりも一回り小さい長方形状となっている。本体部31は、透過窓付き遮蔽板保持部14によって片持ちの状態で保持されており、本体部31の長手方向の一端側が他端側に対して下方傾斜となるように、例えば接着等の固定手段によって透過窓付き遮蔽板保持部14の板状部14Cに固定されている(図2参照)。
脚部11の延在方向に対する本体部31(透過窓付き遮蔽板保持部14)の傾斜角度θ2は、例えば垂直軸に対する白色光L0の光軸の傾斜角度に準じて、例えば5°~10°となっている。載置台3に対する本体部31(透過窓付き遮蔽板5)の傾斜角度θ3は、例えば25°~40°となっている。また、白色光L0の光軸方向における透過窓付き遮蔽板5と載置台3との間隔Sは、40mm~70mmとなっている。間隔Sは、例えば透過窓付き遮蔽板5における載置台3側の面と、載置台3の表面(スライド板21を除いた面)との間の白色光L0の光軸に沿った間隔である。間隔Sは、載置台3に対するスライド板21のスライドの操作性の観点から50mm以上であることがより好ましい。また、間隔Sは、白色光L0の過度な拡がりを防止し、偏光板Pにおける白色光L0の照射角度を十分に確保する観点から、60mm以下であることがより好ましい。
透過窓32は、ベースとなるガラス板34と、第1の直線偏光板35Aと、第2の直線偏光板35Bとを有している。透過窓32の平面形状は、例えば本体部31の平面形状より一回り小さい長方形状となっている。ガラス板34は、透過窓32の厚さ方向の一方側(載置台3側)に配置されている。第1の直線偏光板35A及び第2の直線偏光板35Bは、ガラス板34の一面側に貼り合わせられ、透過窓32の厚さ方向の他方側(光源4側)に配置されている。
第1の直線偏光板35Aは、第1の方向に吸収軸を有し、光源4から載置台3に向かう白色光L0の光軸に対応して配置されている。第2の直線偏光板35Bは、第1の方向に直交する第2の方向に吸収軸を有し、第1の直線偏光板35Aに隣接して配置されている。すなわち、第1の直線偏光板35Aと第2の直線偏光板35Bとは、直交ニコルの関係となっている。本実施形態では、透過窓付き遮蔽板5の長手方向を0°とした場合に、第1の直線偏光板35Aの吸収軸は、+45°方向となっており、第2の直線偏光板35Bの吸収軸は、-45°方向となっている。
第1の直線偏光板35Aは、ガラス板34の一面側において、透過窓32の長手方向の一端側の長方形状部分を構成している。第2の直線偏光板35Bは、ガラス板34の一面側において、透過窓32の長手方向の他端側の長方形部分を構成している。図5(a)及び図5(b)の例では、透過窓32の長手方向に対する第2の直線偏光板35Bの長さM2が同方向に対する第1の直線偏光板35Aの長さM1よりも長くなっており、ガラス板34上での第2の直線偏光板35Bの面積S2が第1の直線偏光板35Aの面積S1よりも大きくなっている。第2の直線偏光板35Bの面積S2を第1の直線偏光板35Aの面積S1より大きくすることで、肉眼による観察軸の調整範囲を拡げることが可能となり、検査の作業性の向上が図られる。
遮蔽板33は、偏光板Pからの正反射光L1を遮蔽する部分である。遮蔽板33は、例えば本体部31と同様に、つや消し処理が施された黒色のアクリル板によって構成されている。遮蔽板33は、例えば透過窓32と同程度の幅を有し、かつ長手方向の長さが第1の直線偏光板35Aと同程度の略長方形の平面形状を有している。遮蔽板33は、偏光板Pからの白色光L0の正反射光L1が遮られ、かつ正反射光L1以外の反射光の少なくとも一部が第2の直線偏光板35Bを通過するように、透過窓32における光源4側の面に配置されている。
偏光板Pに欠陥Kaによる色ムラKbが存在する場合、正反射光L1以外の反射光の少なくとも一部には、色ムラKbの部分で生じた拡散光L2が含まれ得る。本実施形態では、遮蔽板33は、第1の直線偏光板35Aと第2の直線偏光板35Bとの境界と重なるように透過窓32に対して配置されている。したがって、透過窓32の平面視においては、遮蔽板33の一方側に第1の直線偏光板35Aが露出し、遮蔽板33の他方側に第2の直線偏光板35Bが露出する。
以上のような構成を有する欠陥検査装置1を用いて偏光板Pの検査を行う場合、まず、載置台3上のスライド板21に偏光板Pを載置し、光源4をオンにして各白色LED16から白色光L0を出射させる。白色LED16から出射した白色光L0は、透過窓32の第1の直線偏光板35A及びガラス板34を通って載置台3側に進行し、載置台3上に照射位置Rを形成する。次に、スライド板21の把持部24を把持し、スライド板21を載置台3上でスライドさせることにより、偏光板Pを照射位置Rに進出させる。肉眼による偏光板Pの観察軸は、例えば第1の直線偏光板35Aに対して遮蔽板33よりも手前に位置する第2の直線偏光板35Bを通るように、正反射光L1の光軸とは異なる角度で設定される。
偏光板Pが照射位置Rに進出すると、白色光L0の照射によって偏光板Pの表面で正反射光L1を含む反射光が生じる。正反射光L1は、偏光板Pから透過窓32に向かって進行し、第2の直線偏光板35Bに進行する。第1の直線偏光板35Aを通った白色光L0は、第1の直線偏光板35Aの吸収軸に直交する方向の直線偏光となり、正反射光L1では、その偏光方向が維持される。したがって、正反射光L1は、第1の直線偏光板35Aと直交ニコルの関係にある第2の直線偏光板35Bによってカットされる。正反射光L1の一部の成分が第2の直線偏光板35Bを通過したとしても、当該通過成分は、遮蔽板33によってカットされる。
偏光板Pに欠陥Kaによる色ムラKbが存在する場合、上述したように、正反射光L1以外の反射光の少なくとも一部には、色ムラKbの部分で生じた拡散光L2が含まれ得る。拡散光L2は、欠陥Kaの近傍で生じる微小な変形や微小な気泡による光の散乱によって生じるものであり、その一部の成分が第2の直線偏光板35Bを通過する。したがって、第2の直線偏光板35Bを通して色ムラKbが観察された場合に、偏光板Pに欠陥Kaが存在していると判断することができる。
以上説明したように、欠陥検査装置1では、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む偏光板Pの欠陥Kaの検査に白色光L0を照射する光源4が用いられている。白色光L0の強度は、従来のグリーンランプによる光と比べて比較的強度が小さい反面、白色光L0を照射する光源4の入手は容易である。また、欠陥検査装置1では、偏光板Pが載置される載置台3と光源4との間に透過窓付き遮蔽板5が配置されている。透過窓付き遮蔽板5を用いることで、直交ニコルの関係にある第1の直線偏光板35Aと第2の直線偏光板35Bとで偏光板Pからの正反射光L1と欠陥Kaによる拡散光L2とが切り分けられると共に、偏光板Pからの正反射光L1を遮蔽板33で遮ることができる。したがって、従来のグリーンランプによる光と比べて比較的強度の小さい白色光L0を用いた場合であっても、欠陥Kaの検査を精度良く実施できる。
本実施形態では、透過窓付き遮蔽板5は、載置台3に対して傾斜している。また、その傾斜角度θ4が25°~40°となっている。このような構成により、偏光板Pからの正反射光L1の光軸を肉眼による欠陥Kaの観察軸から外しやすくなり、欠陥の検査を好適に実施できる。
本実施形態では、載置台3は、偏光板Pを白色光L0の照射位置Rに対して進退させるスライド板21を有している。このようなスライド板21を用いることで、欠陥Kaの検査位置を容易に走査できる。したがって、検査の作業性を向上できる。
本実施形態では、スライド板21は、円偏光板22と、円偏光板22の表面に設けられた反射防止層23とを含んで構成されている。この場合、偏光板Pとスライド板21との界面で生じる反射を抑制でき、スライド板21を用いた場合でも欠陥の検査を精度良く実施できる。
本実施形態では、光源4からの白色光L0の指向角が10°~90°となっている。白色光L0の指向角を上記範囲とすることで、目視の位置での白色光L0の強度不足を防止でき、欠陥Kaの検査精度を十分に担保できる。
本実施形態では、白色光L0の光軸方向における透過窓付き遮蔽板5と載置台3との間隔Sが40mm~70mmとなっている。透過窓付き遮蔽板5と載置台3との間隔Sを上記範囲の上限以下とすることで、目視の位置での白色光L0の過度な拡がりを防止でき、欠陥Kaの検査精度を十分に担保できる。また、透過窓付き遮蔽板5と載置台3との間隔Sを上記範囲の下限以上とすることで、透過窓付き遮蔽板5と載置台3との間に手が入る程度のスペースを確保でき、検査のための調整その他の作業性を良好に確保できる。
1…欠陥検査装置、3…載置台、4…光源、5…透過窓付き遮蔽板、21…スライド板、22…円偏光板、23…反射防止層、32…透過窓、33…遮蔽板、35A…第1の直線偏光板、35B…第2の直線偏光板、L0…白色光、L1…正反射光、L2…拡散光、P…偏光板、Ka…欠陥。
Claims (7)
- ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを含む偏光板の欠陥の有無を検査する欠陥検査装置であって、
前記偏光板が載置される載置台と、
前記載置台上の偏光板に白色光を照射する光源と、
前記載置台と前記光源との間に配置された透過窓付き遮蔽板と、を備え、
前記透過窓付き遮蔽板は、
第1の方向に吸収軸を有し、前記光源から前記載置台に向かう前記白色光の光軸に対応して配置された第1の直線偏光板と、
前記第1の方向に直交する第2の方向に吸収軸を有し、前記第1の直線偏光板に隣接して配置された第2の直線偏光板と、
前記偏光板からの前記白色光の正反射光が遮られ、かつ前記正反射光以外の反射光の少なくとも一部が前記第2の直線偏光板を通過するように配置された遮蔽板と、を有する、欠陥検査装置。 - 前記透過窓付き遮蔽板は、前記載置台に対して傾斜している、請求項1記載の欠陥検査装置。
- 前記載置台に対する前記透過窓付き遮蔽板の傾斜角度は、25°~40°となっている、請求項2記載の欠陥検査装置。
- 前記載置台は、前記偏光板を前記白色光の照射領域に対して進退させるスライド板を有する、請求項1記載の欠陥検査装置。
- 前記スライド板は、円偏光板と、前記円偏光板の表面に設けられた反射防止層とを含んで構成されている、請求項4記載の欠陥検査装置。
- 前記光源からの前記白色光の指向角は、10°~90°となっている、請求項1記載の欠陥検査装置。
- 前記白色光の光軸方向における前記透過窓付き遮蔽板と前記載置台との間隔は、40mm~70mmとなっている、請求項1記載の欠陥検査装置。
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