JP3244394B2 - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

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JP3244394B2 JP00886095A JP886095A JP3244394B2 JP 3244394 B2 JP3244394 B2 JP 3244394B2 JP 00886095 A JP00886095 A JP 00886095A JP 886095 A JP886095 A JP 886095A JP 3244394 B2 JP3244394 B2 JP 3244394B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は基材の摺動部表面に金属
溶射層を形成した摺動部材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の高出力化および低燃費化
の要求から各種摺動部材、例えばシフトフォーク爪部、
シンクロナイザリング内面、シリンダライナ内面、ピス
トンリング、ミッション摩擦板等はより高面圧下で使用
されるようになってきた。このため、これら摺動部材の
摺動部表面に、より摺動特性の優れた材料をプラズマ溶
射等により溶射して、摺動特性を向上させる方法が広く
用いられている。
【0003】例えば、特開平4−80983号公報に
は、基材の摺動部表面に2ないし30重量%のモリブデ
ンと残部アルミニウム合金または銅合金とからなる溶射
層を設け、さらにこの溶射層の上に30ないし95重量
%のモリブデンと残部アルミニウム合金または銅合金と
からなる5μm以上の溶射層を設けた摺動部材の発明が
開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記摺
動部材においては、溶射層のマトリックスとしてアルミ
ニウム合金を使用した場合、アルミニウム合金は融点が
低いため、高面圧下ではマトリックスのアルミニウム合
金が溶損することがある。
【0005】また、溶射層のマトリックスに銅合金を使
用した場合、例えば黄銅をプラズマ溶射すると、プラズ
マ熱源によって亜鉛が蒸発し、亜鉛量が減少し、ギヤ油
中で使用すると硫化腐食が発生する。そのため、マニュ
アルミッション中で使用されるシンクロナイザリング等
の摺動部には、ギヤ油中の硫黄分による硫化腐食を防止
することができず、このようなギヤ油中の部品には使用
できなかった。その上、モリブデンは非常に高コストで
ある。
【0006】本発明は従来の摺動部材、特に高面圧であ
って、かつギヤ油中で硫化腐食を受けるような摺動部材
の前記のごとき問題点を解決すべくなされたものであっ
て、硫化腐食がなく、耐焼付性に優れ、耐摩耗性と共に
相手攻撃性に優れた摺動部材を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】高面圧下でのマトリック
スの溶損を回避するため、発明者は先ずマトリックスと
して銅合金を用いることを着想した。また、耐硫化腐食
性を確保するため、金属溶射の際の亜鉛の蒸発を防止す
る方策について、鋭意検討を重ねた。その結果、溶射の
熱源としてはフレーム溶射が適していること、および溶
射粒子を高速飛行できる高速酸素フレーム溶射を採用す
ることにより、亜鉛の蒸発が極力減少できることを新た
に知見して本発明を完成した。
【0008】本発明の摺動部材は、基材の摺動部表面
に、少なくとも亜鉛を15〜45重量%を含有する銅合
金に5〜40重量%の硬質粒子を混合し高速フレーム
溶射にて溶射層を形成したことを要旨とする。本発明に
おいて、銅合金には、Al、Mn、Fe、Si、Ti、
Co、Niから選ばれる1種または2種以上を含有した
ものを用いることができる。また、本発明において、硬
質粒子には平均粒径が50μm以下のFeMoまたはF
eCrを用いることができる。
【0009】本発明の溶射層のマトリックスを形成する
銅合金は、銅に少なくとも15〜45重量%の亜鉛を固
溶した黄銅すなわち真鍮と称される銅合金であって、亜
鉛以外にアルミニウム、マンガン、鉄、ニッケル等を添
加して高強度を持たせて高力黄銅として用いても良い。
【0010】溶射材料の調製としては、マトリックス材
料となる銅合金および硬質粒子の各粉末溶射材料(平均
粒径50μm以下)を別個に溶射装置に供給し同時に溶
射させて目的とする溶射層を形成しても良いし、また、
溶射装置への供給の前にあらかじめマトリックス材料と
なる銅合金粉末と硬質粒子粉末を混合させた複合材料を
用いても良い。
【0011】本発明においては、亜鉛の蒸発を回避する
ため熱源として酸素と燃焼ガスの混合ガスの燃焼炎を用
いるフレーム溶射方法を用いるが、通常のフレーム溶射
であると、溶射粒子の加速は燃焼炎で行われるため、飛
行速度が遅くその間に亜鉛が蒸発してしまうので、高速
酸素フレーム溶射(以下HVOFという。)を用いる必
要がある。
【0012】HVOFは爆発溶射の原理を応用して、連
続的に溶射皮膜を形成する方法であって、酸素とアセチ
レンガスとの混合による爆発燃焼部と銃身を分離するこ
とによって、間欠的な燃焼を連続的なジェットフレーム
に変換し、これに粉末を送給して溶射を行うものであ
る。HVOFの溶射粒子の飛行速度は、プラズマ溶射の
100〜150m/secに対して、400m/sec
程度の飛行速度が得られる。
【0013】
【作用】本発明の摺動部材は摺動部表面に、少なくとも
亜鉛を15〜45重量%を含有する銅合金に5〜40
重量%の硬質粒子を混合しHVOFにて溶射層を形成し
たので、溶射粒子が溶射ノズルから高速で飛行し、溶射
層のマトリックスを形成する銅合金の亜鉛の蒸発が極力
防止されるため、溶射前の銅合金粉末の組成が溶射層と
ほぼ同じ組成か確保される。そのため、溶射層の耐硫化
腐食性が向上する。
【0014】また、溶射層のマトリックスを形成する銅
合金は融点が900〜1000℃の範囲にあり、耐焼付
性に優れており、さらに本発明の溶射層はマトリックス
となる銅合金に硬質粒子を均一に分散させたので、耐摩
耗性および相手攻撃性に優れている。
【0015】溶射層のマトリックスを構成する銅合金
に、さらにAl、Mn、Fe、Si、Ti、Co、Ni
から選ばれる1種または2種以上を含有させることによ
り、溶射層のマトリックスの強度を向上し、高面圧下で
の耐焼付性がさらに向上する。また、硬質粒子に平均粒
径が50μm以下のFeMoまたはFeCrを用いるこ
とにより、銅合金マトリックスとの単位体積当りの接触
面積が大きくなり、硬質粒子が脱落し難くなり、相手攻
撃性も小さくなる。
【0016】本発明において、銅合金の亜鉛含有量を1
5〜45重量%としたのは、亜鉛含有量が15%未満に
なると、耐硫化腐食性が充分でなくなるからであり、4
5%を越えるとβ層の析出により亜鉛の部分腐食が生
じ、却って耐硫化腐食性が劣化するからである。
【0017】また、本発明において、5〜40重量%の
硬質粒子を混合したのは、硬質粒子の混合量が5%未満
であると、充分な耐摩耗性が得られないからであり、4
0%を越えると相手攻撃性が大きくなるからである。硬
質粒子であるFeMoまたはFeCrの平均粒径を50
μm以下としたのは、平均粒径が50μmを越えると、
硬質粒子が均一に分散しなくなると共に硬質粒子が脱落
し易くなり、相手攻撃性が大きくなるからである。
【0018】本発明において摺動部表面に形成される溶
射層の厚さは60μm以上とすることが好ましい。溶射
層の厚さが60μm未満となると、平均粒径50μmの
硬質粒子が表面に突出し、相手攻撃性が大きくなるから
である。
【0019】
【実施例】本発明の実施例を従来例および比較例と対比
して説明し、本発明の効果を明らかにする。表1および
表2に示す組成の平均粒径38μmの銅合金粉末に、表
1および表2に示す平均粒径であって表1および表2に
示す材質の硬質粒子を表1および表2に示す混合比で混
合し、溶射粉末を調製した。この溶射粉末を用い、試験
片として外径35mmの円柱状のロータ(材質SS4
1)の外周表面に、表1および表2に示す溶射方法によ
り、100μmの厚さの溶射層を形成した。
【0020】なお、表1に示す溶射方法のうちプラズマ
溶射は、予熱なし、溶射距離100mmで、ミラー社製
SG100溶射機を用い、溶射ガスはアルゴンで行っ
た。また、表1および表2に示すHVOF溶射は、ミラ
ー社製HV2000溶射装置を用い、予熱なし、溶射距
離100mmで、溶射ガスにはアセチレンと酸素を用い
て行った。
【0021】なお、表1および表2に示した実施例の試
験片のうち、No.1〜4は溶射方法がプラズマ溶射で
ある比較例であり、No.8は硬質粒子の配合量が本発
明の配合量より少ない比較例であり、No.14は硬質
粒子の平均粒径が50μm以上である比較例であって、
その他のNo.5〜7、No.9〜13およびNo.1
5〜18は本発明品である。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】(実施例1)表1および表2で得られた各
々の試験片の溶射層について硫化腐食試験を行った。硫
化試験方法は、溶射層をマニュアルトランスミッション
用ギヤ油75W−90に浸漬し、150℃で10時間保
持したのち、腐食の有り無しを断面の表面部に腐食した
部分が認められるかどうかで判定し、得られた結果を表
1および表2に併せて示した。
【0025】表1および表2の硫化腐食結果の欄に示し
たように、プラズマ溶射を行ったNo.1〜4の比較例
には総て硫化腐食が認められたが、HVOF溶射を行っ
たNo.5〜18には硫化腐食が全く認められず、本発
明においてHVOF溶射を行うことにより、硫化腐食が
防止できることが確認された。
【0026】(実施例2)次に、表1および表2で得ら
れた試験片について、摩擦摩耗試験を行った。摩耗摩擦
試験は、相手材として、SCM415の浸炭焼入材で表
面を十点平均粗さで3.2Zに研磨仕上げした平板を用
意し、表1および表2の溶射層を形成した試験片No.
5〜18の外周の溶射被膜面を相手材に面圧1kg/m
2で回転させながら押し付け、すべり速度3m/秒、
すべり距離100mの試験条件で行い、摩耗量は重量変
化で測定した。得られた結果は図1に示した。
【0027】図1から明らかなように、比較例No.8
は硬質粒子含有量がが3%であって耐摩耗性に劣り、溶
射層の摩耗量が18mgであって、本発明品の溶射層の
摩耗量と比較して3〜8倍であった。また、比較例N
o.14は硬質粒子の平均粒径が60μmと大きかった
ため、相手攻撃性が大きく、相手材の摩耗量が14mg
であって、本発明品の相手攻撃性に対して2.5〜3倍
であった。
【0028】これに対して、本発明品のNo.5〜7、
No.9〜13およびNo.15〜18は溶射層の摩耗
量が2〜6mgであり、相手材の摩耗量も4〜7mgで
あって、本発明品は耐摩耗性に優れると共に相手攻撃性
も少ないことが判明し、本発明の効果を確認することが
できた。
【0029】
【発明の効果】本発明の摺動部材は以上詳述したよう
に、基材の摺動部表面に、少なくとも亜鉛を15〜45
重量%を含有する銅合金に5〜40重量%の平均粒径
が50μm以下のFeMoまたはFeCrからなる硬質
粒子を混合し高速酸素フレーム溶射にて溶射層を形成し
たものであって、溶射粒子が溶射ノズルから高速で飛行
し、溶射層のマトリックスを形成する銅合金の亜鉛の蒸
発が極力防止されるため、溶射前の銅合金粉末の組成が
溶射層とほぼ同じ組成か確保され、溶射層の耐硫化腐食
性が向上する。また、溶射層のマトリックスを形成する
銅合金は融点が900〜1000℃の範囲にあり、耐焼
付性に優れており、さらに本発明の溶射層はマトリック
スとなる銅合金に硬質粒子を均一に分散させたので、耐
摩耗性および相手攻撃性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】摩擦摩耗試験の結果を示す棒グラフである。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の摺動部表面に、少なくとも亜鉛を
    15〜45重量%を含有する銅合金に5〜40重量%
    の硬質粒子を混合し高速酸素フレーム溶射にて溶射層を
    形成したことを特徴とする摺動部材。
  2. 【請求項2】 前記銅合金は、Al、Mn、Fe、S
    i、Ti、Co、Niから選ばれる1種または2種以上
    を含有することを特徴とする請求項1に記載の摺動部
    材。
  3. 【請求項3】 前記硬質粒子は平均粒径が50μm以下
    のFeMoまたはFeCrであることを特徴とする請求
    項1または請求項2に記載の摺動部材。
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