JP3243508B2 - 濃度測定方法 - Google Patents

濃度測定方法

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JP3243508B2
JP3243508B2 JP25789999A JP25789999A JP3243508B2 JP 3243508 B2 JP3243508 B2 JP 3243508B2 JP 25789999 A JP25789999 A JP 25789999A JP 25789999 A JP25789999 A JP 25789999A JP 3243508 B2 JP3243508 B2 JP 3243508B2
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学けい 劉
史 中村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、濃度測定方法に関
し、特に、環境汚染化学物質、農薬、環境ホルモン等の
定量に有効に用いられ、微量物質の定量、評価に利用で
きる濃度測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の濃度測定方法としては、
いわゆる競合法が利用されている。
【0003】ここで、競合法とは、測定対象物質を溶解
してある測定対象溶液に、酵素と前記測定対象物質とか
ら形成される酵素複合体を加え、前記測定対象物質と前
記酵素複合体とが混合された複合体混合液を調製する混
合液調製工程を行い、前記測定対象物質との結合により
その測定対象物質を捕捉可能な結合基を形成してある担
体を設けてなる分離手段に、前記複合体混合液を供給
し、前記測定対象物質と前記酵素複合体とを競合的に前
記結合基に結合させ、前記測定対象物質のすべてが前記
結合基に結合するとともに、前記分離手段中に含まれる
結合基の残部のすべてに酵素複合体が結合したものとみ
なせる状態を得る競合反応工程を行い、その結合基に結
合した測定対象物質に、さらに、発光要素等を結合させ
て、前記測定対象物質の量を測定する方法が知られてい
る。
【0004】このような方法により、測定対象物質と結
合基との選択的な反応を利用して、前記測定対象物質量
を、定量容易な量に変換できることになって、たとえ
ば、環境中の農薬等の微量の測定対象物質であっても、
精度高く検出できることが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような測
定法によっても、前記競合反応工程後、前記測定対象物
質に発光容易な抗体群等の発光要素を結合させる工程を
必要とするため、操作が煩雑になり、取り扱いが困難に
なるとともに、工程の増加に伴って利用する溶液反応が
増え、反応時間を要する、反応条件の統一がとりにくい
等の問題があり、微量物質を簡易に定量するというわけ
にはいかなかった。
【0006】また、このような測定方法は、用いられる
反応溶液や酵素群が再利用できない形態とならざるを得
ず、一度の測定で体量の反応溶液や酵素群を浪費しがち
であるので、おおむね、高価で効率のよくない測定技術
であると言わざるを得なかった。
【0007】従って、本発明の目的は、上記欠点に鑑
み、簡便にかつ正確に微量物質を定量可能な濃度測定方
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明の濃度測定方法の特徴手段は、測定対象物質を
溶解してある測定対象溶液に、リポソームを破壊可能な
破壊酵素と、前記測定対象物質もしくはその類似物質と
から形成される酵素複合体を加え、前記測定対象物質と
前記酵素複合体とが混合された複合体混合液を調製する
混合液調製工程を行い、前記測定対象物質との結合によ
りその測定対象物質を捕捉可能な結合基を形成してある
担体を設けてなる分離手段に、前記複合体混合液を供給
し、前記測定対象物質と前記酵素複合体とを競合的に前
記結合基に結合させ、前記測定対象物質のすべてが前記
結合基に結合するとともに、前記分離手段中に含まれる
結合基の残部のすべてに酵素複合体が結合したものとみ
なせる状態を得る競合反応工程を行い、前記競合反応工
程による溶出液中における、前記競合反応工程によって
も前記結合基に結合しなかった前記酵素複合体を、定量
対象物質を内包したリポソームを保持させてあるリポソ
ーム担体を設けてあるリポソームカラムに、前記溶出液
を供給するリポソームカラム工程と、前記リポソームカ
ラム工程において、前記溶出液中の酵素複合体が破壊し
たリポソームから放出された定量対象物質を定量する定
量工程とを行い、前記定量対象物質量に基づき前記測定
対象物質の濃度を決定する点にある。
【0009】また、前記結合基が前記測定対象物質を抗
原とする抗体であれば好ましい。
【0010】また、測定対象物質を溶解してある測定対
象溶液に、酵素と前記測定対象物質もしくはその類似物
質に結合可能な抗体とから形成される酵素複合体を加
え、前記測定対象物質と前記酵素複合体とが混合された
複合体混合液を調製する混合液調製工程を行い、前記測
定対象物質もしくはその類似物質を結合させて、前記抗
体に結合する結合基を形成してある担体を設けてなる分
離手段に、前記複合体混合液を供給し、前記結合基と前
記測定対象物質とが競合的に前記酵素複合体に結合し、
前記酵素複合体のすべてが前記結合基または前記測定対
象物質に結合したものとみなせる状態を得る競合反応工
程を行い、前記競合反応工程による溶出液中における、
前記競合反応工程によっても前記結合基に結合しなかっ
た前記酵素複合体を、定量対象物質を内包したリポソー
ムを保持させてあるリポソーム担体を設けてあるリポソ
ームカラムに、前記溶出液を供給するリポソームカラム
工程と、前記リポソームカラム工程において、前記溶出
液中の酵素複合体が破壊したリポソームから放出された
定量対象物質を定量する定量工程とを含み、前記定量対
象物質量に基づき前記測定対象物質の濃度を決定しても
よい。
【0011】また、前記定量対象物質が自己消光可能な
蛍光色素であり、前記定量工程が、前記蛍光色素の発光
度を測定するものであれば好ましい。
【0012】また、前記定量対象物質が発光色素の前駆
体もしくはその前駆体を発光色素として発光させるため
の発光色素化剤の一方であり、前記定量工程が、前記前
駆体もしくは前記発光色素化剤の一方に前記前駆体もし
くは前記発光色素化剤の他方を作用させ、生成した発光
色素の発光度を測定するものであってもよく、前記酵素
が脂質分解酵素であり、前記リポソームが、前記脂質分
解酵素により分解可能な脂質を主成分として形成された
ものであってもよい。
【0013】〔作用効果〕つまり、測定対象物質を溶解
してある測定対象溶液に、酵素と前記測定対象物質もし
くはその類似物質とから形成される酵素複合体を加え、
前記測定対象物質と前記酵素複合体とが混合された複合
体混合液を調製する混合液調製工程を行うと、前記測定
対象物質、および、その測定対象物質と同様の挙動を示
し、酵素としての機能を失っていない酵素複合体とを含
む複合体混合液を得ることができる。つまり、このよう
な複合体混合液を前記測定対象物質との結合によりその
測定対象物質を捕捉可能な結合基を形成してある担体を
設けてなる分離手段に、供給すると、前記測定対象物質
と前記酵素複合体とが、競合的に前記結合基に結合しよ
うとする。このとき、通常前記酵素複合体は、前記測定
対象物質よりも、前記結合基に対する結合性が抑制され
ているので、前記結合基には、前記測定対象物質が優先
的に結合するとともに、前記結合基のうち前記測定対象
物質の結合していない残部には、前記酵素複合体が結合
した状態を作ることが出来る。(競合反応工程)前記競
合反応工程の際に、前記酵素複合体のうち、余剰分は、
分離手段から溶出させられ、溶出液を得ることが出来
る。この溶出液中における、前記競合反応工程によって
も前記結合基に結合しなかった前記酵素複合体を定量す
ると、前記結合基の量に対する前記酵素複合体の量があ
らかじめ算出できていれば、前記結合基に結合した測定
対象物質の量が算出でき、前記測定対象物質の濃度を決
定することができる。
【0014】前記結合基としては、前記測定対象物質も
しくはその類似物質を抗原とする抗体であれば、前記測
定対象物質を前記結合基に選択的に結合させることが容
易で、前記競合反応工程が確実に行える。尚、同様に、
このような結合基としては、ペプチド、DNA等、特定
の測定対象物質に対して選択的な結合を許容するもの
が、有効に用いられる。
【0015】また、逆に、測定対象物質を溶解してある
測定対象溶液に、酵素と前記測定対象物質もしくはその
類似物質に結合可能な抗体とから形成される酵素複合体
を加え、前記測定対象物質と前記酵素複合体とが混合さ
れた複合体混合液を調製する混合液調製工程を行うと、
前記抗体と同様の挙動を示す酵素複合体を前記測定対象
物質と混合させ、前記測定対象物質が前記酵素複合体に
結合した状態で、かつ、前記測定対象物質が結合してい
ない前記酵素複合体が存在する複合体混合溶液を得るこ
とが出来る。また、前記測定対象物質もしくはその類似
物質を結合させて、前記抗体に結合する結合基を形成し
てある担体を設けてなる分離手段に、前記複合体混合液
を供給すると、前記複合体混合液中の前記酵素複合体
が、前記結合基に結合し、前記酵素複合体のすべてが前
記結合基または前記測定対象物質に結合したものとみな
せる状態とすることが出来る。(競合反応工程)つま
り、残る前記測定対象物質と結合した酵素複合体のみが
溶出させられる溶出液を得ることが出来る。この競合反
応工程において溶出した前記測定対象物質と結合した酵
素複合体を定量すると、測定対象物質の量を算出するこ
とが出来、その量に基づき前記測定対象物質の濃度を決
定することができる。
【0016】また、上述の工程では、前記複合体量を直
接定量する事も可能であるが、前記酵素がリポソームを
破壊可能な破壊酵素であれば、上述の方法において、溶
出した溶出液を用いてリポソームを破壊させることによ
り、そのリポソーム破壊量から前記複合体量を知ること
が出来る。
【0017】つまり、前記工程が、前記内部に定量対象
物質を内包したリポソームを保持させてあるリポソーム
担体を設けてあるリポソームカラムに、前記溶出液を供
給するリポソームカラム工程と、前記リポソームカラム
工程において、前記溶出液中の酵素複合体が破壊したリ
ポソームから放出された定量対象物質を定量する定量工
程とを含むものであれば、低濃度であっても、前記複合
体量に基づく前記定量対象物質量を決定することができ
る。
【0018】たとえば、前記定量対象物質が、カルセイ
ン等の自己消光可能な蛍光色素である場合、前記定量工
程として、前記蛍光色素の発光度を測定することによっ
て、簡単かつ正確に定量することが可能になる。
【0019】そのため、前記リポソームカラムは、一度
の定量工程では、一部のリポソームが破壊されるのみで
あるから、複数回の定量工程に再現性よく適用されるた
め、検量線を求めたときの条件と、前記濃度決定を行う
時とで、測定条件をそろえやすいため、各検体ごとに新
たな定量用プローブを作る必要がある従来の方法と比較
しても、簡便で、かつ、正確な測定方法とすることが出
来た。
【0020】また、前記定量対象物質がTMB(3,
3’,5,5’−テトラメチルベンジジン)等の発色色
素の前駆体もしくは過酸化酵素等の前記前駆体を発色色
素として発色させるための発色触媒剤の一方であっても
よい。この場合、前記定量工程が、前記前駆体もしくは
前記発色触媒剤の一方に前記前駆体もしくは前記発色触
媒剤の他方を作用させ、生成した発色色素の吸光度を測
定することできる。
【0021】尚、前記酵素が脂質分解酵素であり、前記
リポソームが、前記脂質分解酵素により分解可能な脂質
を主成分として形成されたものであれば、前記リポソー
ム内に保持される定量対象物質を、前記酵素に基づき定
量的に漏出させることが出来るから、前記定量工程によ
り溶出した前記酵素量に基づき決定される測定対象物質
量も正確に定量出来ることになるのである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0023】この実施の形態では、一例として、微量P
CBの濃度を決定する方法について述べるが、本発明
は、以下の実施の形態に限られるものではない。
【0024】図1〜2に示すように、測定対象物質とし
て、PCB(polychrolobiphenyl)
を溶解してあるPCB溶液(測定対象溶液)を用意し、
脂質分解酵素としてのリパーゼと前記PCBの類似物質
(たとえばオルトジクロロベンゼン)とから形成される
酵素複合体溶液を用意しておく。これらを混合し、前記
測定対象物質と前記酵素複合体とが混合された複合体混
合液を調製する(混合液調製工程)。
【0025】一方、PCBもしくはその類似物質に選択
的に結合して、そのPCBもしくはその類似物質を捕捉
可能な抗体を調製するとともに、多数結合させて結合基
を形成してある担体を設け、カラムに充填した分離手段
を用意しておく。
【0026】前記分離手段に前記複合体混合液を供給
し、前記測定対象物質と前記酵素複合体とを競合的に前
記結合基に結合させる。ここで、前記測定対象物質のす
べてが前記結合基に結合するとともに、前記分離手段中
に含まれる結合基の残部のすべてに酵素複合体が結合し
たものとみなせる状態を得る(競合反応工程)。
【0027】前記複合体量は、前記競合反応工程による
溶出液中に、前記競合反応工程によっても前記結合基に
結合しなかった前記酵素複合体が含まれるように設定し
ておく。このようにすると、前記溶出液中の複合体は、
定量のための取り扱いが容易な状態で得られる。
【0028】次に、前記溶出液中の酵素複合体の定量操
作を行う。
【0029】この工程を行うに当たって、まず、内部に
定量対象物質として、高濃度のカルセインを内包したリ
ポソーム(卵黄由来のホスファチジルコリン、合成のホ
スファチジルコリン等から形成することが出来る)を保
持させてあるリポソーム担体を充填してあるリポソーム
カラムに、前記溶出液を供給する(リポソームカラム工
程)。このとき、前記カルセインは高濃度の状態では、
自己消光して蛍光を発せず、低濃度の状態では、蛍光を
発する特性を有するため、担体に保持された状態では前
記リポソームは蛍光を示さないが、一旦前記リポソーム
が破壊されると、カルセインは漏出しつつ希釈されて、
蛍光を発することになる。
【0030】前記リポソームカラム工程においては、前
記酵素複合体は、前記リポソームカラムを通過する際
に、前記リポソームを破壊し、カルセインを漏出希釈し
つつ溶出することになる。このリポソーム破壊量は、前
記酵素複合体量に比例することになり、前記カルセイン
漏出量は、そのリポソーム破壊量に比例することにな
る。前記カルセイン漏出量は、その蛍光強度を測定する
ことにより容易に、正確に定量出来ることとなる(定量
工程)ため、その蛍光強度の測定から、最初に含まれて
いたPCB量が求められる。
【0031】尚、上述の実施の形態において、測定対象
物質をPCBとし、酵素複合体としてジクロロベンゼン
を結合してあるリパーゼとしたが、これに限らず、他の
組み合わせであってもよい。具体的にはオルトジクロロ
ベンゼンを抗原とする抗体は、PCB、ダイオキシン
等、オルトジクロロベンゼンと同じ構造を有する化合物
群に選択的に結合するので、これら、PCB、ダイオキ
シン等の定量に有効に利用できるため、他の芳香族多塩
化物の濃度測定にも用いることができる。さらにいえ
ば、これら芳香族多塩化物さえも区別して濃度測定を行
いたい場合には、個別具体的な測定対象物質を抗原とす
る抗体を用いて用い、その測定対象物質を用いた酵素複
合体を定量することが望ましいことはいうまでもない。
さらに、前記酵素としてリポソームを破壊するリパーゼ
を用いる場合には、カルセインを包含するリポソームを
破壊させて蛍光強度を求めればよいが、たとえば、所定
の色素を変色させる(もしくは色素前駆体を発色させ
る)パーオキシダーゼ等の酵素を用いて、その色素の変
色度(もしくは色素前駆体の発色度)を測定することに
よっても同様の濃度測定を行うことが出来る。
【0032】また、逆に、前記競合反応工程を行う場合
に、前記抗体と前記酵素とから酵素複合体を作り、前記
結合基に測定対象物質もしくはその類似物質を利用して
も同様の工程を行うことが出来る。
【0033】つまり、測定対象物質を溶解してある測定
対象溶液に、酵素と前記測定対象物質もしくはその類似
物質に結合可能な抗体とから形成される酵素複合体を加
え、前記測定対象物質と前記酵素複合体とが混合された
複合体混合液を調製する混合液調製工程を行い、前記測
定対象物質もしくはその類似物質を結合させて、前記抗
体に結合する結合基を形成してある担体を設けてなる分
離手段に、前記複合体混合液を供給し、前記結合基と前
記測定対象物質とが競合的に前記酵素複合体に結合し、
前記酵素複合体のすべてが前記結合基または前記測定対
象物質に結合したものとみなせる状態を得る競合反応工
程を行い、前記競合反応工程による溶出液中における、
前記競合反応工程によって前記結測定対象物質に結合た
前記酵素複合体を定量する複合体定量工程を行い、前記
複合体定量工程による複合体量に基づき、前記測定対象
物質の濃度を決定してもよい。
【0034】このようにして、前記複合体定量工程を行
う場合にも先と同様、リポソームカラム工程、定量工程
を順に行うことによって、正確かつ簡単に定量が可能と
なる。
【0035】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0036】ここでは、先の実施例で主に述べた手順を
順を追って具体的に詳述する。 〔酵素複合体の合成〕リン脂質を分解可能なリパーゼと
してホスホリパーゼA2(シグマ社製、米国、以下PL
A2と略称する)を用いる。前記PLA2には、表面に
多数のカルボキシル基が存在することが知られている。
【0037】このカルボキシル基に対して3,4−ジク
ロロアニリンのアミノ基を結合させるカップリング反応
を行う。
【0038】まず、PLA2を35.7μM及び3,4
−ジクロロアニリンを357μM N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を357μ
M、N−エチルN’−(3−ジメチルアミノプロピル)
カルボジイミド塩酸塩(EDC)を3.57mMを10
mMHEPES(pH7.4)、150mMの塩化ナト
リウム(NaCl)、2mMの塩化カルシウムの混合溶
液に溶解させた総量1mlの溶液を、4℃における振と
う下で24時間反応させる。
【0039】この状態で、PLA2のカルボキシル基
に、ほぼすべてのジクロロアニリンが結合した状態にな
っているが、十分に反応せず反応途中にNHSで活性化
されたままのカルボキシル基を不活性化するため、1.
5Mのエタノールアミンを0.5ml添加し、さらに、
4℃における振とう下で24時間反応させる。
【0040】得られた溶液を下記条件で透析し、酵素複
合体を単離する。
【0041】装置:セロチューブVT351(ナカライ
テスク(株)) 溶液:10mMHEPES(pH7.4)、150mM
の塩化ナトリウム(NaCl)、2mMの塩化カルシウ
ムの混合溶液1リットル 時間:2時間×2回、さらに続いて10時間 得られた酵素複合体は、PLA2そのものよりも活性は
低いものの、リポソームを破壊する活性を有しているこ
とがわかった。
【0042】尚、酵素と、抗体あるいは測定対象物質と
を、他の組み合わせで用いる場合にも、同様の方法で複
合体を形成することが出来る。 〔分離手段の調製〕PCB抗体を結合して結合基を形成
してある担体は、アマシャムファルマシア社製 NHS
活性化ハイトラップ(HiTrap NHS−acti
vated)を用い、通常のプロトコルに従って、抗P
CBIgY抗体(OEM Concepts社(米)
製)を固定化した。
【0043】以下、固定化率90%で得られたものを用
いた。 〔リポソームカラムの調製〕 〔リポソーム〕 卵黄由来のホスファチジルコリンを、1〜4%のビオチ
ン結合ホスファチジルエタノールアミンとともにクロロ
ホルムに溶解したものを、ロータリーエバポレーターを
用い、丸底フラスコ内にて脱溶媒し、ジエチルエーテル
に再溶解した。さらに、この溶液から脱溶媒すると、器
壁に脂質膜が形成される。この脂質膜は、窒素置換後3
時間の真空乾燥し、100mMカルセイン(3,3 bis(N,
N di(carboxymethyl)aminomethyl) fluorescein;同仁化
学研究所製)のpH7.5水溶液に分散させることによ
ってカルセインを内包し、ビオチンを結合手として有す
るMLVs(多重ラメラ小胞)が形成される。
【0044】このMLVsのサスペンジョンを氷冷下、
10mlプラスチックチューブ中で、プローブ型超音波
照射器(Sonifier 450;ブランソン、ダン
ブリー社製、米国)により超音波照射を20−40Wで
4×5分間、窒素雰囲気中で行い、さらに、4℃で10
万Gで1.5時間の遠心分離すると、上清に透明な直径
約30nmのSUVs(小単ラメラ小胞)が得られる。
【0045】また、前記MLVsを液体窒素で凍結させ
る凍結工程、凍結されたリポソームを25℃に昇温させ
る融解工程を順に繰り返す凍結融解法を5工程行い、次
いで高圧ベシクル押出機(リペックスバイオメンブラン
ス社製)を用い、ポアサイズ約100nmのポリカーボ
ネート製多孔質フィルム(nuclepore;コスタ
ー社製、米国)を押し出し通過させ、直径約100nm
の均一なサイズのLUVs(大単ラメラ小胞)が得られ
る。
【0046】このようにして得られたリポソームは、径
が均一にそろったものになりやすく、内包したカルセイ
ン量と、破壊されたリポソーム量とが、比例関係に得ら
れやすいものとなっている。 〔支持体〕まず、ゲル担体としてセファクリルS100
0(SephacrylS1000;アマシャムファル
マシア社製)、TSK(東ソー社製)ゲルをガラスフィ
ルターに充填するとともに蒸留水、次いで、アセトン水
溶液(25%、50%、75%、99.5%)、アセト
ン各500mlで順次洗浄したのち、4−ニトロフェニ
ルクロロホルメートのアセトン溶液を作用させる。さら
に、ジメチルアミノピリジンのアセトン溶液を撹拌条件
下で滴下する。これにより、クロロホルメート活性化ゲ
ルが得られた。また、CNBr−活性化セファロース
(アマシャムファルマシア社製)ゲルは1mMの希塩酸
を10ml加えて7mlのゲル状に膨潤させて調製し
た。
【0047】混合液は23℃で2〜3時間、次いで4℃
で一夜静置する。得られたゲルは、さらに、アセトン、
アセトン−イソプロパノール、イソプロパノール、イソ
プロパノール−水各1リットルで順次洗浄し、次いで、
カップリングバッファー(後述)に懸濁される。
【0048】さらに、あらかじめ30mgのアビジンA
を8mlのカップリングバッファーに溶解し、4℃に冷
蔵してあるアビジン溶液と混合反応させる。室温で2時
間反応させたのち、反応混合物をさらに、水、0.2M
塩酸、10mM水酸化ナトリウムで洗浄する。過剰のク
ロロホルメートは、さらに、ブロッキングバッファー
(後述)で終夜処理する。(J. Chromatogr. B 707 (19
98) 131 141 参照)このゲルは、1ml当たり3.5m
gのアビジンを結合しており、アガロース表面に多数の
アビジンが結合した状態の支持体となる。 ○ カップリングバッファー : pH 8.1 炭酸水素ナトリウム 0.1M 塩化ナトリウム 0.5M ○ ブロッキングバッファー : pH 8.5 モノエタノールアミン 1.0M 〔固定〕上述の工程で得た支持体及びリポソームを単に
混合(撹拌条件下23℃で2〜3時間程度)すれば、支
持体に設けたアビジンに対してリポソームに設けたビオ
チンのが強固に結合するため、リポソームが前記結合を
介して支持体に固定される。
【0049】上述の工程により、セファクリルにLUV
sを固定したもの、TSKにLUVsを固定したもの、
セファロースにSUVsを固定したもの、をリポソーム
カラムとして作成し、これらのリポソームカラムのPL
A2反応性を調べたところ図3のようになった。図3か
ら、セファクリルを用いたものが、蛍光の漏出が起きや
すく、濃度の測定に適していることがわかった。 〔競合反応工程〕前記分離手段に前記複合体混合液を供
給し、前記測定対象物質としてPCB(ポリクロロビフ
ェニル)と前記酵素複合体とを競合的に前記結合基に結
合させる。
【0050】具体的には、前記酵素複合体を5μg/m
lと、PCBの各種濃度の溶液を、ヘペスバッファー
(後述)に溶解した検量溶液を各200μlづつ、1m
lサイズの分離手段にロードし、25℃、10分間イン
キュベーション競合反応を行わせる。さらに、溶離液と
して3mlのヘペスバッファーを供給し、酵素複合体を
溶出させる。
【0051】ここで、前記測定対象物質のすべてが前記
結合基に結合するとともに、前記分離手段中に含まれる
結合基の残部のすべてに酵素複合体が結合したものとみ
なせる状態を得ることができ、余剰の酵素複合体が溶出
されることになる。 ○ ヘペスバッファー : pH 7.5 HEPES(N 2 hydroxyethylpiperazine N 2 ethanesulfonic acid) 10 mM 塩化ナトリウム 150 mM EDTA 0.1mM 前記複合体量は、前記競合反応工程による溶出液中に、
前記競合反応工程によっても前記結合基に結合しなかっ
た前記酵素複合体が含まれるように設定しておく。この
ようにすると、前記溶出液中の複合体は、定量のための
取り扱いが容易な状態で得られる。〔リポソームカラム
工程〕セファクリルに、高濃度のカルセインを内包した
リポソームを保持させてあるリポソーム担体を充填して
あるリポソームカラムに、前記溶出液を供給する。
【0052】さらに、7mlのヘペスバッファーを溶離
液として供給し、総量10mlの溶出液を得る。
【0053】前記リポソームカラム工程においては、前
記酵素複合体は、前記リポソームカラムを通過する際
に、前記リポソームを破壊し、カルセインを漏出希釈し
つつ溶出することになる。 〔定量工程〕前記10mlの溶出液の492nm〜51
7nmにおける蛍光強度を測定することによって、漏出
した前記カルセイン量が求められる。このカルセイン量
と、前記PCB濃度との相関を基に検量線を求めると図
4のようになる。
【0054】未知の濃度のPCBを同様に取り扱って、
漏出カルセイン量を求めれば、前記検量線を基に、その
濃度を決定することが出来た。
【0055】尚、前記リポソームカラムは、一度の定量
工程では、一部のリポソームが破壊されるのみであるか
ら、複数回の定量工程に再現性よく適用されるため、検
量線を求めたときの条件と、前記濃度決定を行う時と
で、測定条件をそろえやすいため、各検体ごとに新たな
定量用プローブを作る必要がある従来の方法と比較して
も、簡便で、かつ、正確な測定方法とすることが出来
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の濃度測定方法を示す概略図
【図2】複合体定量工程を示す概略図
【図3】リポソームからのカルセイン漏出量と、酵素量
との関係を示すグラフ
【図4】定量工程において作成した検量線のグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−200632(JP,A) 特開 平4−303770(JP,A) 特表 平6−505913(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/53 - 33/579

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定対象物質を溶解してある測定対象溶
    液に、リポソームを破壊可能な破壊酵素と、前記測定対
    象物質もしくはその類似物質とから形成される酵素複合
    体を加え、前記測定対象物質と前記酵素複合体とが混合
    された複合体混合液を調製する混合液調製工程を行い、 前記測定対象物質との結合によりその測定対象物質を捕
    捉可能な結合基を形成してある担体を設けてなる分離手
    段に、前記複合体混合液を供給し、前記測定対象物質と
    前記酵素複合体とを競合的に前記結合基に結合させ、前
    記測定対象物質のすべてが前記結合基に結合するととも
    に、前記分離手段中に含まれる結合基の残部のすべてに
    酵素複合体が結合したものとみなせる状態を得る競合反
    応工程を行い、 前記競合反応工程による溶出液中における、前記競合反
    応工程によっても前記結合基に結合しなかった前記酵素
    複合体を、 定量対象物質を内包したリポソームを保持させてあるリ
    ポソーム担体を設けてあるリポソームカラムに、前記溶
    出液を供給するリポソームカラム工程と、 前記リポソームカラム工程において、前記溶出液中の酵
    素複合体が破壊したリポソームから放出された定量対象
    物質を定量する定量工程とを行い、 前記定量対象物質量に基づき、前記測定対象物質の濃度
    を決定する濃度測定方法。
  2. 【請求項2】 前記結合基が前記測定対象物質を抗原と
    する抗体である請求項1に記載の濃度測定方法。
  3. 【請求項3】 測定対象物質を溶解してある測定対象溶
    液に、酵素と前記測定対象物質もしくはその類似物質に
    結合可能な抗体とから形成される酵素複合体を加え、前
    記測定対象物質と前記酵素複合体とが混合された複合体
    混合液を調製する混合液調製工程を行い、 前記測定対象物質もしくはその類似物質を結合させて、
    前記抗体に結合する結合基を形成してある担体を設けて
    なる分離手段に、前記複合体混合液を供給し、 前記結合基と前記測定対象物質とが競合的に前記酵素複
    合体に結合し、前記酵素複合体のすべてが前記結合基ま
    たは前記測定対象物質に結合したものとみなせる状態を
    得る競合反応工程を行い、 前記競合反応工程による溶出液中における、前記競合反
    応工程によっても前記結合基に結合しなかった前記酵素
    複合体を、 定量対象物質を内包したリポソームを保持させてあるリ
    ポソーム担体を設けてあるリポソームカラムに、前記溶
    出液を供給するリポソームカラム工程と、 前記リポソームカラム工程において、前記溶出液中の酵
    素複合体が破壊したリポソームから放出された定量対象
    物質を定量する定量工程とを含み、 前記定量対象物質量に基づき前記測定対象物質の濃度を
    決定する濃度測定方法。
  4. 【請求項4】 前記定量対象物質が自己消光可能な蛍光
    色素であり、前記定量工程が、前記蛍光色素の発光度を
    測定するものである請求項1〜3のいずれかに記載の濃
    度測定方法。
  5. 【請求項5】 前記定量対象物質が発光色素の前駆体も
    しくはその前駆体を発光色素として発光させるための発
    光色素化剤の一方であり、前記定量工程が、前記前駆体
    もしくは前記発光色素化剤の一方に前記前駆体もしくは
    前記発光色素化剤の他方を作用させ、生成した発光色素
    の発光度を測定するものである請求項4記載の濃度測定
    方法。
  6. 【請求項6】 前記酵素が脂質分解酵素であり、前記リ
    ポソームが、前記脂質分解酵素により分解可能な脂質を
    主成分として形成されたものである請求項3〜5のいず
    れか1項に記載の濃度測定方法。
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