JP3242092B2 - 透過型スクリーン - Google Patents

透過型スクリーン

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JP3242092B2
JP3242092B2 JP32160799A JP32160799A JP3242092B2 JP 3242092 B2 JP3242092 B2 JP 3242092B2 JP 32160799 A JP32160799 A JP 32160799A JP 32160799 A JP32160799 A JP 32160799A JP 3242092 B2 JP3242092 B2 JP 3242092B2
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元彦 福原
行生 飯ヶ浜
和浩 岡本
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Fujitsu Ltd
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Fujitsu Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透過型スクリーンに
係り、特に、背面投射型表示装置の透過型スクリーンに
関する。近年、映像装置の普及に伴い、より手軽に大画
面の映像を楽しみたいという一般視聴者の要求が高まっ
ている。そのため、画面の大型化が各種の方法で開発さ
れ、特にCRTや液晶パネルによる背面投射型表示装置
は、重量が軽いことや、コスト低減が図れることから一
般家庭に普及しつつある。
【0002】ここで、背面投射型表示装置の場合、室内
の平常照明下での十分なコントラストが要求されてお
り、透過型スクリーンの表面反射光の低減、及び透過型
スクリーン背面からの投射光の透過率の向上が必要とさ
れている。
【0003】
【従来の技術】図20は従来の透過型スクリーンの一例
の説明図を示す。スクリーン41は、もともとのスクリ
ーン・ゲインの高い拡散層(スクリーン・ゲイン:5〜
15)に黒色(光吸収)顔料を添加している。投写光2
1は、スクリーン41で拡散されて、透過拡散光25と
して出射する。外光23は、一部が透過光26としてス
クリーン41を透過し、一部は、外光反射光24として
反射される。スクリーン41に黒色(光吸収)顔料を添
加することで、外光23の反射率を低減し、コントラス
トの向上を図っている。
【0004】また、図21はスモーク板を組み合わせた
従来の透過型スクリーンの説明図を示す。図21に示す
ように、拡散層のスクリーン42の前面に光吸収板(ス
モーク板)43を配置している。投写光21はスクリー
ン42で拡散されて透過拡散光25となり、スモーク板
43を透過して出射される。外光23はスモーク板43
を透過後、スクリーン42で反射され、再びスモーク板
43を透過する。
【0005】外光23は、入射と反射時に2回スモーク
板43を透過するのに対して、投写光21はスクリーン
42で拡散後1回しかスモーク板43を透過しないた
め、光の減衰率が外光23と投写光21で異なる。この
ため、コントラストの向上を図ることができる。なお、
スモーク板を組み合わせる方法に似た方法として、偏光
板、1/4波長板を利用する方法もある。
【0006】図22はレンチキューラレンズを用いた従
来の透過型スクリーンの説明図を示す。レンチキューラ
レンズ板44には、レンチキューラレンズ45が多数設
けられており、レンチキューラレンズ45の各レンズ間
に光吸収帯46が配置されている。投写光21は、レン
チキューラレンズ45により集光及び拡散され、透過拡
散光25として出射し、透過率の向上が図られる。一
方、外光23は光吸収帯46のために反射面積が低減さ
れる。このため、コントラストの向上を図ることができ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、従来の、ス
クリーンの拡散層に黒色顔料を添加する方法、及びスモ
ーク板等を組み合わせて外光と投写光の透過率を制御す
る方法では、コントラストの向上は実現できるが、必然
的に投写光の透過率を低減することになり、画面が暗く
なることを免れない。従って、投写光量を増加する必要
があり、背面投射型表示装置の効率が低下するという問
題があった。
【0008】また、レンチキューラレンズ板に光吸収帯
を配置する方法では、レンチキューラレンズのピッチ
や、光吸収帯のピッチ等を十分に緻密にすることができ
ず、解像度の限界が比較的粗いところにある。このた
め、今後、画面の高精細化を図る際に問題がある。本発
明は上記の点に鑑みてなされたもので、有効に外光の反
射を低減し、投写光の透過率の低減を抑えることによ
り、解像度の高い、高コントラストの透過型スクリーン
を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る透過型スク
リーンは、板状又は膜状の透明な部材と、上記透明な部
材の片側表面に複数形成され、頂上部以外の傾斜部に光
吸収層が形成された透明な材質でできた凸状突起とより
なる構成とし、 入射光がスクリーン法線とθの角度を持
ち入射し、スクリーン材の屈折率をn、前記凸状突起の
断面の底部の長さをA、前記凸状突起の断面の頂上部の
直径をBとした場合、B/Aが下式の関係を満たすこと
を特徴とするものである。
【数2】 本発明の、凸状突起群を設け、頂上部以外の傾斜部に光
吸収層を設けた構成は、外光の反射を低減し、かつ、投
写光の透過率の低減を抑える。このため、コントラスト
を向上させることを可能とする。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面と共に説明する。図1は本発明の第1実施例の断
面図、図2は本発明の第1実施例の斜視図を示す。透明
な部材である透明樹脂板11はアクリル、ポリカーボネ
イト等の透明樹脂であり、下面は平板形状としている。
透明樹脂板11の上面には、透明樹脂板11と同一材質
の凸状突起12が複数、等ピッチで形成されている。こ
の凸状突起12は、図2に示すように、円錐の頂上部分
を削って平面とした形状をなしている。
【0011】凸状突起12の傾斜部14の表面、及び、
透明樹脂板11の凸状突起12間に残された底部11a
(図2参照)の表面には、光吸収層15(図1中太い実
線)が形成される。この光吸収層15は、黒色塗料の塗
布、黒色顔料の付着、化学的な手段による透明樹脂の表
面黒化処理等で形成される。なお、凸状突起12の頂上
部13には光吸収層を形成しておらず、光透過性であ
る。
【0012】第1実施例の透過型スクリーンは、外光2
3が凸状突起12の傾斜部14に入射した場合、入射点
の光吸収層15により、大部分が吸収される。一部は反
射されるが、凸状突起の傾斜により更に凸状突起12の
底部方向に反射され、再び光吸収層15に入射すること
になる。これにより、外光23のうち、凸状突起12の
傾斜部14に入射するものは、光吸収層15により吸収
される。
【0013】外光23のうち、凸状突起12の頂上部1
3に入射したものは、頂上部13で反射され外光反射光
24となるが、スクリーンを正面から見た場合の、頂上
部13の面積と、光吸収層15で覆われている部分の面
積の割合を適切に設定することにより、外光反射光24
を十分低減することができる。一方、スクリーン背面か
らの投写光21は、スクリーン下部の平面から透明樹脂
板11に入射した後、頂上部13に直接到達して出射光
22として出射するか、凸状突起12の傾斜部14内面
側で反射して頂上部13から出射光22として出射す
る。
【0014】凸状突起12の傾斜部14内面側で反射し
て頂上部13から出射する出射光22は、もとの投写光
21よりもスクリーン面の法線に対する角度が大きくな
る。このため、凸状突起12により、光の拡散度を増加
させることができる。なお、投写光21を効率よく頂上
部13から出射させるために、投写光21の入射角、凸
状突起12の傾斜部14の角度等を適切に設定する。
【0015】次に第1実施例の設計方法について説明す
る。図3は、第1実施例の説明用断面図を示し、図4は
第1実施例の平面図を示す。前提条件として、投写光2
1は図3の下方から入射され、投写光21の主光線はス
クリーン面に対して法線方向に入射されるものとする。
また、このとき、スクリーン上の一点に結像する投写光
21の角度幅は±θ°とする。図では、主光線は細い実
線、右側θ°からの光線は細い一点鎖線、左θ°からの
光線は細い二点鎖線で、その経路を示す。
【0016】ここで、傾斜部14のスクリーン法線方向
に対する角度βについて考える。角度βを小さくすれば
するほど、傾斜部14の傾斜は大きくなり、傾斜部14
の内面で反射した入射光は、頂上部13の内面により垂
直に近い角度で入射するから、傾斜部14内面で反射し
た光の出射効率は大きくなる。しかし、角度βを小さく
すると、頂上部13の直径Bと凸状突起12底部の直径
Aとの比B/Aが大きくなり、外光23の吸収面積が小
さくなる。
【0017】一方、角度βを大きくすればするほど、B
/Aの値は小さくなり、外光23の吸収面積は大きくな
る。しかし、傾斜部14の内面で反射するように入射す
る光の量が、頂上部13に直接入射する光の量に比べて
大きくなる。また、角度βを大きくしすぎると、傾斜部
14内面で反射する光は、頂上部13に入射せずに、反
対側の傾斜部14にぶつかり出射できなかったり、ま
た、頂上部13に臨界角を越えた角度で入射して全反射
するなどして、出射効率が低下する。
【0018】そこで、図3のように、±θ°の幅を持っ
て入射する光のうち、入射光a1 のように、最大振れ幅
θで図3中右側から入射する光が、傾斜部14底部のわ
ずかに右側の斜面で反射し、頂上部13の右端に臨界角
で入射する場合(左側から入射する光も同様)が、B/
Aの値と傾斜部13で反射する光の出射効率とを最適に
する条件であると考えられる。従って、この条件の基
に、入射角θとB/Aの値の関係式を導く。
【0019】図3の右側からスクリーンの法線とθの角
度をもって入射する入射光a1 を考える。スクリーン材
の屈折率をnとすると、γは、下記のように求められ
る。 sinθ=n・sinγ ∴ γ=sin-1(sinθ/n) −−−(1) 臨界角をδとすると、図3より、βは下記のように求め
られる。
【0020】 δ=α+β, α=γ+β ∴ β=(δ−γ)/2=(δ−sin-1(sinθ/n))/2 −−(2) 凸状突起12の高さをCとすると、A,Bは下記のよう
に表せる。 A=C・(tanδ+tanβ) −−−(3) B=A−2・Ctanβ −−−(4) (4) 式を(3) 式に代入して、Bは下記の式で表せる。
【0021】 B=C・(tanδ−tanβ) −−−(5) (3) 式と(5) 式から、B/Aは下記の式で表せる。 B/A=C・(tanδ−tanβ)/(C・(tanδ+tanβ)) =sin(δ−β)/sin(δ+β) −−−(6) (6) 式に(2) 式を代入して、B/Aは、下記のように表
せる。
【0022】 B/A=sin((δ+γ)/2)/sin((3δ−γ)/2) =√((1−cos(δ+γ))/(1−cos(3δ−γ))) −−−(7) 臨界角δは下記のように求められる。 sin90°=n・sinδ ∴ δ=sin-1(1/n) −−−(8) (1) 式と(8) 式を(7) 式に代入して、B/Aは、下記の
ように表せる。
【0023】
【数3】
【0024】上記のように、入射角をθとすると、傾斜
部14の角度βは(2) 式で求められ、また、B/Aの値
は(9) 式で求められる。次に、具体例として、θ=10
°の場合について説明する。図3中、光線a1が右10
°の方向からスクリーンに入射した場合、スクリーンと
してアクリルを用いると、屈折率は1.492であるか
ら、(1) 式より、γ=6.7°となり、スクリーン法線
方向に対して6.7°の方向に進む。この光線a1 が出
射面側の凸状突起12の底部付近で全反射し、図3に示
すように、出射窓である凸状突起12の頂上部13の端
部に臨界角で入射するように、凸状突起12の傾斜部1
4の角度βを設計する。
【0025】これにより、投写光21のうち、底部11
a(図2参照)以外への入射光の全ては、頂上部13に
直接入射、又は、凸状突起12の傾斜部14で反射し
て、臨界角以下の角度で頂上部13に入射することにな
る。アクリル/空気面の臨界角δ=42.1°であり、
光線a1 の進行角γ=6.7°であるから、(2) 式より
βは、下記のように求められる。
【0026】 β=(42.1°−6.7°)÷2=17.7° 即ち、凸状突起12の傾斜部14の角度βは、スクリー
ン法線方向に対して17.7°となるようにすればよ
い。また、A,Bは、(3) 式、(4) 式から下記のように
求められる。 A=C・(tan42.1°+tan17.7°) =1.223・C B=A−2・Ctan17.7° =0.585・C これより、B/A=0.478 を得る。
【0027】主光線が直接頂上部13に入射する光(図
3中、光線b0 ,b1 ,b2 )は、±10°の角度で頂
上部13より出射し、主光線が頂上部13以外で結像す
るように進行する光(図3中、光線d0 ,d1 ,d2
は、凸状突起12の傾斜部14で反射し頂上部13で屈
折して、±10°以外の角度で出射する。このため、頂
上部13が光の拡散性を有しなくとも、投写光21が拡
散されて出射され、視角を広げる効果がある。
【0028】なお、図3で、光線d2 は、光線d0 ,d
1 の隣の頂上部13から出射するが、各頂上部13の配
置間隔が観察する人間の目の解像度や映像の解像度より
も十分小さければ、画質は低下することがない。次に、
外光反射の低減について説明する。図3の断面図は、図
4の二点鎖線f−fでの断面に相当する。投写光21の
うち、図4中、底部11a(斜線部)に入射した投写光
21は、頂上部13に到達せずに内部反射を繰り返して
消滅するから削除することとして、投写光量に対する頂
上部13に到達する光量の比は、直径Aに外接する正六
角形の面積と直径Aの円の面積の比だから、下記のよう
に求められる。
【0029】π・(A/2)2 /((A/2)×(A/
2)・tan30°×6)=0.907 上記の比の値は、約90%の投写光21を利用できるこ
とを示している。一方、外光23は、スクリーン表面の
傾斜部14、及び底部11aにて完全に吸収されるとす
れば、直径Aに外接する正六角形の面積と直径Bの円の
面積の比の分だけ、頂上部13に入射し、反射光となっ
てコントラストの低下の要因となる。この比は以下のよ
うに求められる。
【0030】π・(B/2)2 /((A/2)×(A/
2)・tan30°×6) ここで、上記のθ=10°の例についてこの比を計算す
るとB=0.478Aであるので、下記のように求めら
れる。 π・(0.478 A/2)2 /((A/2)×(A/2)・
tan30°×6)=0.207 上記の比の値は、外光23の約80%は吸収されること
を示している。
【0031】上記のように、第1実施例では、投写光量
の損失を少なくして、かつ、外光反射光を大幅に低減す
ることができる。また、凸状突起12により、光の拡散
度を増加させることができる。なお、図5に示すよう
に、凸状突起12の円錐と円錐の境目がスクリーン表面
より見て、正六角形となるように密着させて、正六角形
の対角の寸法Dと頂上部13の直径Bの比が、図4のA
とBの比に等しくなるように設計すれば、底部11aが
無くなるため、理想状態では、投写光21が100%頂
上部13に到達することになる。
【0032】図6は本発明の第2実施例の断面図を示
す。第2実施例では、外光23の吸収効果を更に大きく
することを目的として、凸状突起12の傾斜部14の傾
斜を大きくし、かつ、出射光の拡散をよくするために傾
斜部14の断面形状を上に凸の曲線としている。図7は
第2実施例の説明用断面図を示す。第1実施例で説明し
たように、スクリーン上の一点に結像する投写光21の
角度幅を、±10°とした場合、傾斜部14のスクリー
ン法線に対する角度は、17.7°以下とする必要があ
る。第2実施例では、外光23の吸収効果を更に大きく
する目的で、傾斜部の傾斜を大きくして、この角度を1
7.7°よりも小さくする。図7において、16は傾斜
部を角度10°の直線とした場合を示し、14は傾斜部
を上に凸の曲線とした場合を示している。
【0033】傾斜部を角度10°の直線とした場合は、
右10°で入射した光線b1 はアクリル板11の内部を
6.7°の角度で進み、角度10°の傾斜部16で反射
し、頂上部13から41.9°の角度で出射する。即
ち、傾斜部が角度10°の直線の場合は、光線b1 と同
じ方向から入射して傾斜部16の内側で反射するとき
は、その位置に関わらず、常に41.9°の角度で頂上
部13から出射する。
【0034】一方、曲線で傾斜部を形成した場合は、図
7に示すように、頂上部13付近の傾斜部の角度を1
7.7°にしておけば、この付近で反射した光線(図7
中、光線a1 )は、臨界角に近い角度で頂上部13に入
射するので、法線に対して90°近い角度の出射光線が
得られる。また、傾斜部14で反射する位置により頂上
部13に入射する角度が異なる。このため、傾斜部を角
度10°の直線としたものよりも、視角を広くするのに
効果がある。
【0035】また、外光23のうち、凸状突起12の傾
斜部14に入射するものは、光吸収層15により吸収さ
れる。外光23のうち、凸状突起12の頂上部13に入
射したものは、頂上部13で反射され外光反射光24と
なるが、スクリーンを正面から見た場合の、頂上部13
の面積と、光吸収層15で覆われている部分の面積の割
合を適切に設定することにより、外光反射光を十分低減
することができる。
【0036】図8は本発明の第3実施例の断面図を示
す。第3実施例では、出射光量を増すことを目的とし
て、凸状突起12の傾斜部14の傾斜を大きくし、か
つ、出射光の拡散をよくするために傾斜部14の断面形
状を下に凸の曲線としている。図9は第3実施例の説明
用断面図を示す。第3実施例では、出射光量を増す目的
で、傾斜部14の傾斜を大きくして、正面から見たスク
リーンの面積に対する頂上部13の面積の比を大きくす
る。この場合、傾斜部のスクリーン法線に対する傾斜部
の角度を17.7°よりも小さくする。図9において、
16は傾斜部を角度10°の直線とした場合を示し、1
4は傾斜部を下に凸の曲線とした場合を示している。
【0037】傾斜部を角度10°の直線とした場合は、
右10°で入射した光線b1 はアクリル板11の内部を
6.7°の角度で進み、角度10°の傾斜部16で反射
し、頂上部13から41.9°の角度で出射する。即
ち、傾斜部が角度10°の直線の場合は、光線b1 と同
じ方向から入射して傾斜部16の内側で反射するとき
は、その位置に関わらず、常に41.9°の角度で頂上
部13から出射する。
【0038】一方、曲線で傾斜部を形成した場合は、図
9に示すように、傾斜部14の底部付近の傾斜部の角度
を17.7°にしておけば、この付近で反射した光線
(図9中、光線a1 )は、臨界角に近い角度で頂上部1
3に入射するので、法線に対して90°近い角度の出射
光線が得られる。また、傾斜部14で反射する位置によ
り頂上部13に入射する角度が異なる。このため、傾斜
部を角度10°の直線としたものよりも、視角を広くす
るのに効果がある。
【0039】また、外光23のうち、凸状突起12の傾
斜部14に入射するものは、光吸収層15により吸収さ
れる。外光23のうち、凸状突起12の頂上部13に入
射したものは、頂上部13で反射され外光反射光24と
なるが、スクリーンを正面から見た場合の、頂上部13
の面積と、光吸収層15で覆われている部分の面積の割
合を適切に設定することにより、外光反射光を十分低減
することができる。
【0040】次に、第1実施例、第2実施例、第3実施
例の製造工程について説明する。図10は上記実施例の
透過型スクリーンの製造工程の説明図である。図10
(a)圧縮成形工程では、通常平板である下側金型52
と凹状窪群を形成した上側金型51との間に、透明樹脂
板11を挟み、加熱、加圧することにより、透明樹脂板
11に凸状突起12を多数形成する。透明樹脂板11の
下面は通常平面であるが、他の光学効果を実現するため
に、フレネル面や、レンチキューラ面にしてもよい。
【0041】(b)光吸収層形成工程では、成形後の透
明樹脂板11の凸状突起12の表面、及び凸状突起12
間の底部11a(図2参照)に、光吸収層15を形成す
る工程である。光吸収層15を形成するには、黒色塗料
を塗布する方法、透明樹脂板11の表面に顔料をしみ込
ませる方法、透明樹脂板の表面の組成を変えて黒色化す
る方法等が用いられる。
【0042】(c)頂上部研磨(溶解)工程では、凸状
突起12の頂上部分の光吸収層15を取り除くために、
の点線hに示すように、頂上部分を取り除き、に示
すような透明な光透過性の頂上部13を形成する。頂上
部分を取り除くには、研磨により頂上部分を削り取り、
頂上部13を形成する方法、又は、頂上部分だけ、光吸
収層15を溶解又は透明化する方法等がある。頂上部分
を研磨する方法では、頂上部13の粗面化も同時に行え
るため、頂上部13出射面の光の拡散度を増加すること
ができる。
【0043】図11は透明樹脂板11の成形にローラを
使用する方法を示す図である。一方のローラ(図11で
は、上型ローラ53)に凹状窪群を形成しておき、上下
のローラ(上型ローラ53、下型ローラ54)間の隙間
に透明樹脂板11、又は樹脂膜の素材を加熱しながら通
す(加圧する)ことにより成形する。この方法では、樹
脂板11の面積が大きい場合や、厚さが薄い素材の成形
に適する。
【0044】図12は別の形状に成形する場合の工程例
を示す。図12に示すように、(a)成形工程の際に、
頂上部13を平面形状にしておくことにより、(c)頂
上部研磨(溶解)工程のときの作業性を向上させること
ができる。図13は本発明の第4実施例の断面図を示
す。第4実施例では、光吸収層15の内側に光反射層1
6を形成している。第4実施例では、投写光21が透明
樹脂板11内部で、凸状突起12の傾斜部14に到達し
た場合、光反射層16の表面で、反射(拡散反射)し、
頂上部13方向に進むため、光反射層16が無い場合よ
りも頂上部13からの出射効率を上げることができる。
【0045】一方、外光23のうち、凸状突起12の傾
斜部14に入射するものは、光吸収層15により吸収さ
れる。外光23のうち、凸状突起12の頂上部13に入
射したものは、頂上部13で反射され外光反射光24と
なるが、スクリーンを正面から見た場合の、頂上部13
の面積と、光吸収層15で覆われている部分の面積の割
合を適切に設定することにより、外光反射光を十分低減
することができる。
【0046】図14は第4実施例の製造工程の説明図を
示す。(a)成形工程で凸状突起12を形成した後、
(b)光反射層形成工程で、凸状突起12表面に光反射
層16を形成する。光反射層の形成方法としては、白
色、銀色塗料を塗布する方法、アルミニウム等の表面反
射性の金属を蒸着する方法等がある。(c)光吸収層形
成工程にて、光反射層16の上面に光吸収層15を形成
する。(d)頂上部研磨工程では、凸状突起12の頂上
部分の光吸収層15、及び光反射層16を取り除き、透
明な頂上部13を形成する。
【0047】図15は本発明の第5実施例の断面図を示
し、図16は第5実施例の斜視図を示す。図15、16
に示すように、第5実施例では、凸状突起12を、中心
部の高屈折率層17と周辺部の底屈折率層18とから構
成している。第5実施例では、投写光21は凸状突起1
2に入射した際、高屈折率層17と低屈折率層18の境
界で全反射を繰り返して進行し、頂上部13から出射光
22として出射する。このため、投写光21を効率よく
頂上部13から出射させることができる。
【0048】一方、外光23のうち、凸状突起12の傾
斜部14に入射するものは、光吸収層15により吸収さ
れる。外光23のうち、凸状突起12の頂上部13に入
射したものは、頂上部13で反射され外光反射光となる
が、スクリーンを正面から見た場合の、頂上部13の面
積と、光吸収層15で覆われている部分の面積の割合を
適切に設定することにより、外光反射光を十分低減する
ことができる。
【0049】高屈折率層17、低屈折率層18の形成方
法としては、透明樹脂板11上に高屈折率の凸状突起1
2を形成した後に、凸状突起12の表面をイオン交換法
により低屈折率化する方法がある。図17は本発明の第
6実施例の断面図を示す。図17に示すように、第6実
施例は、凸状突起12の光反射層15の内側と、頂上部
13付近に光拡散層19を形成している。従って、第6
実施例では、投写光21は頂上部13付近の拡散層で拡
散され、出射光22として出射される。このため、頂上
部13から出射する光の拡散度を増加させることができ
る。
【0050】一方、外光23のうち、凸状突起12の傾
斜部14に入射するものは、光吸収層15により吸収さ
れる。外光23のうち、凸状突起12の頂上部13に入
射したものは、頂上部13で反射され外光反射光となる
が、スクリーンを正面から見た場合の、頂上部13の面
積と、光吸収層15で覆われている部分の面積の割合を
適切に設定することにより、外光反射光を十分低減する
ことができる。
【0051】図18は第6実施例の製造工程の説明図を
示す。(a)で示すように、第6実施例に用いる透明樹
脂板11は、透明樹脂板11の片側面に光拡散物質を含
有させた光拡散層19を有する。(b)成形工程では、
圧縮成形により凸状突起12を形成する。この成形後
も、光拡散層19は、凸状突起12の表面部分に位置す
る。(c)光吸収層形成工程では、凸状突起12の表面
に光吸収層15を形成する。(d)頂上部研磨(溶解)
工程では、頂上部13表面の光吸収層15を取り除く。
研磨(溶解)工程が終わった時点で、光吸収層15の内
側、及び、頂上部13付近に、光拡散層19が形成され
ている。
【0052】図19は本発明の第7実施例の断面図を示
す。図19に示すように、第7実施例では、光吸収層1
5の形成後に、光拡散物質を塗布する等により光拡散層
20を形成しており、頂上部13付近に光拡散層20が
形成されている。投写光21は、凸状突起12に入射
後、頂上部13付近の光拡散層20で拡散されて、出射
光22として出射する。このため、頂上部13から出射
する光の拡散度を増加させることができる。なお、頂上
部13での外光23の反射を抑制するために、光拡散物
質中に微量の光吸収顔料を添加してもよい。
【0053】一方、外光23のうち、凸状突起12の傾
斜部14に入射するものは、光吸収層15により吸収さ
れる。外光23のうち、凸状突起12の頂上部13に入
射したものは、頂上部13で反射され外光反射光となる
が、スクリーンを正面から見た場合の、頂上部13の面
積と、光吸収層15で覆われている部分の面積の割合を
適切に設定することにより、外光反射光を十分低減する
ことができる。
【0054】なお、第4実施例の光反射層、第6実施
例、第7実施例の光拡散層を組み合わせることにより、
所望の特性のスクリーンを実現することができる。ま
た、上記の各実施例に示した凸状突起12は、円錐形状
に限らず、角錐形状としてもかまわない。また、透明な
部材11は透明樹脂板に限らず、透明な樹脂膜とするこ
とも可能である。
【0055】
【発明の効果】上述の如く、本発明によれば、外光の反
射を低減し、かつ、投写光の透過率の低減を抑えるた
め、コントラストを向上させることができる等の特長を
有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の断面図である。
【図2】本発明の第1実施例の斜視図である。
【図3】本発明の第1実施例の説明用断面図である。
【図4】本発明の第1実施例の平面図である。
【図5】本発明の第1実施例の変形例の平面図である。
【図6】本発明の第2実施例の断面図である。
【図7】本発明の第2実施例の説明用断面図である。
【図8】本発明の第3実施例の断面図である。
【図9】本発明の第3実施例の説明用断面図である。
【図10】製造工程の説明図である。
【図11】ローラを使用する方法を示す図である。
【図12】別の形状に成形する場合の工程例を示す図で
ある。
【図13】本発明の第4実施例の断面図である。
【図14】本発明の第4実施例の製造工程の説明図であ
る。
【図15】本発明の第5実施例の断面図である。
【図16】本発明の第5実施例の斜視図である。
【図17】本発明の第6実施例の断面図である。
【図18】本発明の第6実施例の製造工程の説明図であ
る。
【図19】本発明の第7実施例の断面図である。
【図20】従来のスクリーンの一例の説明図である。
【図21】スモーク板を組み合わせた従来のスクリーン
の説明図である。
【図22】レンチキューラレンズを用いた従来のスクリ
ーンの説明図である。
【符号の説明】
11 透明樹脂板 12 凸状突起 13 頂上部 14 傾斜部 15 光吸収層 16 光反射層 17 高屈折率層 18 低屈折率層 21 投写光 22 出射光 23 外光 24 外光反射光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯ヶ浜 行生 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 岡本 和浩 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−304542(JP,A) 特開 平2−118560(JP,A) 実開 昭60−163441(JP,U) 特公 昭43−1905(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03B 21/62 H04N 5/74

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状又は膜状の透明な部材と、 上記透明な部材の片側表面に複数形成され、頂上部以外
    の傾斜部に光吸収層が形成された透明な材質でできた凸
    状突起とよりなる構成とし、 入射光がスクリーン法線とθの角度を持ち入射し、スク
    リーン材の屈折率をn、前記凸状突起の断面の底部の長
    さをA、前記凸状突起の断面の頂上部の長さをBとした
    場合、B/Aが下式の関係を満たすこと を特徴とする透
    過型スクリーン。 【数1】
  2. 【請求項2】 前記凸状突起は、傾斜部の傾斜が直線で
    あることを特徴とする請求項1記載の透過型スクリー
    ン。
  3. 【請求項3】 前記凸状突起は、傾斜部の傾斜が曲線で
    あることを特徴とする請求項1記載の透過型スクリー
    ン。
  4. 【請求項4】 前記光吸収層の内側に光反射層を設けた
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載
    透過型スクリーン。
  5. 【請求項5】 前記凸状突起は中心部の高屈折率層と周
    辺部の低屈折率層とからなることを特徴とする請求項1
    乃至4のいずれか1項に記載の透過型スクリーン。
  6. 【請求項6】 前記凸状突起の頂上部付近に光拡散層を
    設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項
    に記載の透過型スクリーン。
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