JP3242027B2 - スクラップ溶解精錬時の事前処理法 - Google Patents

スクラップ溶解精錬時の事前処理法

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JP3242027B2
JP3242027B2 JP14596897A JP14596897A JP3242027B2 JP 3242027 B2 JP3242027 B2 JP 3242027B2 JP 14596897 A JP14596897 A JP 14596897A JP 14596897 A JP14596897 A JP 14596897A JP 3242027 B2 JP3242027 B2 JP 3242027B2
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律雄 但馬
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大阪鋼灰株式会社
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスクラップ溶解精錬
時の事前処理法に係り、詳しくは、スクラップを溶解精
錬炉排ガスを用いて予熱する際にダイオキシンを伴った
予熱済み排ガスが発生するのを抑止すると共に、スクラ
ップ表面から発生した塩素系ガスや生成されたダイオキ
シンと反応して生じた副産物を、溶解精錬炉における滓
化促進剤として作用させることができるようにした事前
処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄鋼製品の増大に伴いスクラップの発生
量が増大している現在、電気製鋼炉をはじめとした各種
の精錬炉においてもスクラップの使用されることが多く
なっている。このスクラップを溶解精錬するときの温度
は例えば1,500℃にも達するので、精錬炉における
エネルギー投入量を節減するために、温度の高い精錬炉
排ガスを用いてスクラップが予熱される。
【0003】ところで、スクラップは塩ビ鋼板であった
り塗料等の有機物が付着していることがしばしばであ
り、このようなスクラップを予熱すると低温度域では悪
臭が生じるだけでなく悪性ガスも発生する。とりわけ、
プラスチック類や塩化物等を伴うスクラップを400℃
以上に予熱すると、それらが分解して塩素系ガスが発生
し、ダイオキシン生成の原因ともなる。
【0004】塩素系酸化物としてのダイオキシン(ベン
ゾ・パラジオキシンとベンゾ・フランとの総称であっ
て、70数種類の異性体がある)は発癌性物質でありま
た皮膚性アトピー炎等の原因ともなるので、大気中への
排出量が公的に厳しく規制されつつある。このダイオキ
シンは800℃以上の雰囲気において分解する性質があ
ることから、排ガスを集塵して大気に放出する前に80
0℃以上の高温となるように加熱し、無害化が図られて
いる例もある。
【0005】一方、精錬炉においては溶湯の脱硫脱燐を
目的として滓化材が投入され、その結果多量のスラグが
発生する。このスラグの生成のために生石灰CaOが副
資材として精錬炉に投入されるが、ドロマイト、アルミ
ナ、蛍石等も併せて投入されることが一般的である。A
2 3 やドロマイト中のMgさらには蛍石中のふっ素
Fがスラグ融点の低下を促し、スラグの生成を助長する
からである。
【0006】このような製鋼スラグは肥料やセメントの
原料として利用されるが、不活性ガスを除いた全ての元
素と化合物をつくる反応性に富むふっ素を含むために現
実にはスラグの利用の途に制約が課せられ、埋立地等に
投棄せざるを得ないことが多い。ちなみに、滓化促進剤
として塩化カルシウムが好適であることは知られてお
り、これを用いて生成されたスラグはセメント原料等に
供しても問題のないことが明らかになっている。しか
し、塩化カルシウムは現在大量に入手することが困難で
あり、入手容易な蛍石がやむなく採用されているのが実
情である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ダイオキシ
ンや塩素系ガスは消石灰Ca(OH)2 と反応して塩化
カルシウムCaCl2 を生成するので、消石灰がダイオ
キシンを吸着したりダイオキシンの発生を抑止する作用
を発揮する。消石灰は細かい粉末であって200℃前後
に降温させた排ガスに吹き込めば、比表面積が大きくす
なわち接触面積の広い消石灰と排ガス中のダイオキシン
とが反応しやすくなる。このようなことから、ごみ焼却
炉等においては煙道に消石灰を吹き込むなどしてしばし
ば使用される。
【0008】しかし、ダイオキシンを排ガス中で消石灰
と反応させる場合、浮遊する両者が常に接触できる状態
にあるとは限らないので、ダイオキシンの大部分を除去
することは不可能に近い。排ガスは400℃以下に冷却
された後にバグフィルターによって除塵されることが通
常であり、その後にダイオキシンが発生するのを回避す
ることはできるが、上記したごとくの排ガス中に消石灰
を吹き込む方式は完全なる解決策を与えるものとは言い
がたい。
【0009】上記した消石灰の吹き込み策は、精錬炉に
装入すべきスクラップを精錬炉排ガスの保有熱エネルギ
ーにより予熱するスクラップ予熱炉からの排ガス処理設
備に適用する場合でも同様である。これは、消石灰と排
ガスとを万遍なく接触させることが容易でないからであ
る。それのみならず、スクラップ予熱炉においてはスク
ラップが加熱されるときの表面酸化は避けられず、この
ような状態のスクラップを精錬すると、精錬炉でのエネ
ルギー消費が増大することになる。さらには、入手の困
難な塩化カルシウムに代えて滓化促進剤としての蛍石を
精錬炉に投入すればスラグの利用の途が狭められ、投棄
地に余裕のない現在では一層深刻な問題を抱える事態と
なる。
【0010】本発明は上記の問題に鑑みなされたもの
で、その目的は、スクラップ予熱炉においてダイオキシ
ンの発生原因となる塩素系ガスを吸着するなどして、排
ガス中に残存するダイオキシンを可及的に低減できるこ
と、その際に予熱中のスクラップ表面の酸化を抑制し、
溶解精錬炉における投入エネルギーの節減を図ること、
さらには、生成物質をスクラップ予熱炉からスクラップ
と共に溶解精錬炉へ送り出し、溶解精錬炉におけるスラ
グ生成時の滓化促進剤として利用できるようにするこ
と、スクラップ予熱炉と溶解精錬炉との間のスクラップ
と副原料の一貫した流れとそれに伴う反応によって排ガ
ス処理設備の簡素化を可能にし、スクラップの予熱溶解
精錬設備全体の複雑化を回避すると共に操業の単純化を
図ること等を実現したスクラップ溶解精錬時の事前処理
法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、溶解精錬炉に
装入すべきスクラップを溶解精錬炉の排ガスを用いて予
熱するためのスクラップ予熱炉から、ダイオキシンを伴
った予熱済み排ガスが発生するのを抑止するための精錬
事前処理法に適用される。その特徴とするところは、図
1を参照して、スクラップ予熱炉3にスクラップ4を装
入する直前もしくは直後に消石灰7をスクラップ予熱炉
に投入し、予熱されたスクラップ4から発生する塩素系
ガスやダオキシンと消石灰との反応により塩化カルシウ
ムCaCl2 を生成させ、ダイオキシンの発生を抑制す
る。それと共に、スクラップに付着する消石灰によって
予熱中のスクラップの酸化を防止する。生成された塩化
カルシウムを予熱スクラップと共に溶解精錬炉2に装入
し、ふっ素を含まない利用可能な良質スラグを生成する
ための滓化促進剤として作用させることができるように
したことである。
【0012】スクラップ予熱炉3内における400℃以
下の温度域に、消石灰を水もしくは水蒸気と共に噴射す
るようにして投入すればよい。また、予め造粒してお
き、スクラップ予熱炉3に投入してもよい。
【0013】消石灰をスクラップ予熱炉に投入する際
に、消石灰と共に生石灰CaOを投入するようにしてお
くとよい。また、石灰石CaCO3 と共に投入してもよ
い。もちろん、生石灰と石灰石と共に投入することもで
きる。
【0014】スクラップ予熱炉としては、ロータリキル
ン、シャフト炉もしくはスクラップを予熱しつつ精錬操
業の待機中にある電気製鋼炉としてもよい。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、ダイオキシンを爾後的
に高温加熱によって分解させる操作を必要とすることな
く、スクラップ予熱炉においてスクラップに付着した有
機物等から発生するダイオキシンやダイオキシンの発生
原因となる塩素系ガスを消石灰に吸着させるなどして、
スクラップ予熱排ガス中に残存するダイオキシンを可及
的に低減することができる。その際にスクラップを被覆
するように散布された消石灰が予熱中のスクラップの表
面酸化を抑制し、溶解精錬炉における投入エネルギーの
節減も図られる。
【0016】さらには、塩素系ガス等と反応して生成さ
れた塩化カルシウムはスクラップ予熱炉からスクラップ
と共に溶解精錬炉へ送り出されるので、溶解精錬炉にお
けるスラグの生成時の滓化促進剤として利用することが
できる。スクラップ予熱炉から溶解精錬炉に至る間にス
クラップと副原料等が混合して一体的となり、溶解精錬
中のスラグ生成の円滑化や良質化も図られる。また、排
ガス処理装置の構造を簡素化しておくことができ、スク
ラップ予熱溶解精錬設備全体の複雑化を回避すると共に
操業の単純化も実現される。
【0017】消石灰をスクラップ予熱炉内における40
0℃以下の温度域に水もしくは水蒸気と共に噴射すれ
ば、水素爆発を生じることなく投入することができると
共に、消石灰をスクラップの表面に広く付着させること
が可能となり、塩素系ガスとの反応をより一層助長する
ことができる。しかも、消石灰による被覆によって、ス
クラップ表面の酸化防止効果も向上する。消石灰を予め
造粒してスクラップ予熱炉に投入する場合でもスクラッ
プ表面に広く散在させることができるので、同様の効果
が発揮されると共に消石灰が排ガスに伴われて飛散消失
するといったことが回避される。
【0018】生石灰を消石灰と共にスクラップ予熱炉に
投入すれば、溶解精錬炉において生石灰を造滓材として
投入する手間を省くことができる。それのみならず、生
石灰が消石灰に伴われた水分と反応して新たな消石灰を
生成し、ダイオキシンの吸着などに寄与させることがで
きる。消石灰と共に石灰石を投入する場合には、排ガス
の高温雰囲気によって石灰石を焼成して生石灰が生成さ
れ、炉内エネルギーを利用して造滓材をつくっておくこ
とが可能となる。
【0019】ロータリキルンやシャフト炉を溶解精錬炉
に接続してスクラップ予熱炉として機能させれば、溶解
精錬炉の排ガスを導入することが容易であり、しかも、
消石灰の投入によるダイオキシンの抑制操作が簡便なも
のとなる。スクラップを予熱しつつ精錬操業の待機中に
ある電気製鋼炉においても同様である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係るスクラップ
溶解精錬時の事前処理法を、それを実施するための装置
の形態を示した図面に基づいて詳細に説明する。図1は
スクラップの溶解精錬設備1の全体概略図を示し、これ
は、溶解精錬炉2とこの溶解精錬炉に装入すべきスクラ
ップを溶解精錬炉排ガスを用いて予熱するためのスクラ
ップ予熱炉3とからなる。なお、この図では排ガスの処
理設備は省略されている。
【0021】この溶解精錬設備1においては、まずスク
ラップ予熱炉であるロータリキルン3Aに、その上流側
のスクラップ装入口3aからスクラップ4が装入される
と、溶解精錬炉としての電気製鋼炉2Aから排出される
800℃ないし1,500℃の排ガスによって、スクラ
ップ4が予熱されるようになっている。そして、予熱さ
れたスクラップは気密式のシュートもしくはカバーケー
シング5内を経て直流式もしくは三相交流式等の電気製
鋼炉2Aに装入され、そこでスクラップが順次溶解し精
錬される。
【0022】電気製鋼炉2Aからロータリキルン3Aに
導出される排ガスは、通常操業時で1,400℃ないし
1,500℃もあるので、この排ガスの有する熱エネル
ギーを利用してスクラップ4が予熱される。一方、電気
製鋼炉の各タップ初期において排ガス温度が例えば80
0℃といったように低いので、ロータリキルン3Aに加
熱用のバーナ3bが設けられるなどして、スクラップの
予熱が十分となるように配慮される。
【0023】排ガスがいずれの温度であれ、ロータリキ
ルン3Aを下流側に向って移動するスクラップ4を予熱
する間に排ガスはスクラップと熱交換して降温する。ロ
ータリキルンのスクラップ装入口3aに近づくにつれて
炉内温度は一層低下するが、スクラップに付着する有機
物などが加熱されることによって、とりわけ操業当初に
おけるロータリキルン3A内や、予熱初期状態にあるロ
ータリキルン上流側では塩素系ガスが発生したり、塩素
系酸化物としてのダイオキシンが発生する。したがっ
て、ダイオキシンが分解する800℃以上の雰囲気にな
い箇所ではキルン内排ガスに悪性ガスが含まれ、これが
排ガスダクト3cから排ガスと共に排出されることにな
る。
【0024】このようなダイオキシンの発生や排出を抑
止するために、ロータリキルン3Aのスクラップ装入口
3aの近くに副原料投入口6が設けられる。図の例にお
いては、副原料投入口が、水もしくは水蒸気に伴わせて
消石灰Ca(OH)2 を吹き込む消石灰噴射口6aと、
生石灰CaO,石灰石CaCO3 ,ドロマイトCaMg
(CO3 2 ,アルミナAl2 3 ,コークスまたは微
粉炭などのカーボンCを落とし込む副原料供給口6bと
からなっている。
【0025】消石灰を含むこれらの副原料は、ロータリ
キルン3Aにスクラップ4を装入する直前もしくは直後
に投入される。詳しく述べると、消石灰は微細な粉末で
あるがゆえにキルンに吹き込むと大部分が排ガスに伴わ
れて排出されることになる。そこで、消石灰噴射口6a
内には、粉末状の消石灰7を加圧水8などに同伴させる
ための図示しない消石灰投入口が臨まされている。
【0026】一方、消石灰以外の副原料を投入する副原
料供給口6bはある程度の粒状または小塊状もしくは予
め造粒された生石灰などを供給するものであるので、単
なる開口を有するもので十分である。これらの副原料投
入口6はいずれもスクラップ装入口3aより上方に配置
され、とりわけ、消石灰噴射口6aは消石灰をスクラッ
プ4に向けて飛散させるべく、一番上に設けられてい
る。
【0027】スクラップがロータリキルン3Aに追加装
入されるたびに原則的にはいずれの副原料も投入される
が、消石灰が水等と共に投入されるので既に装入されて
いるスクラップの表面に可及的に広く付着する。なお、
ロータリキルン3A内での水素爆発を回避することを考
慮して、400℃以下の部分が噴射域となるように配慮
される。
【0028】このようにして噴射された消石灰は水に溶
けた場合に強いアルカリ性を呈するが、これらがスクラ
ップ4に付着して表面を覆うので、予熱されるスクラッ
プの表面における酸化反応の進行が抑制される。もちろ
ん、副原料供給口6bから投入されるカーボンによって
も、これが燃焼して炉内温度を上げると共に脱酸作用す
るので、スクラップの酸化防止がより一層実現され、電
気製鋼炉2Aでの脱酸に費やすエネルギーを可及的に低
減しておくことができる。
【0029】スクラップの表面に付着した消石灰は、ス
クラップ表面で熱分解した有機物から発生する塩素系ガ
スやダイオキシンと直ちに反応し、塩化カルシウムCa
Cl2 が生成される。ダイオキシン等は排ガス中に飛散
する前にスクラップ4の表面で消石灰と接触することに
なり、ダイオキシンの炉内飛散は著しく低下する。スク
ラップから剥がれたたり飛散する塩素系ガスやダイオキ
シンが若干存在するようなことがあっても、噴射時に炉
内排ガス中に漂う消石灰と反応し、排ガスの悪性化も防
止される。
【0030】ちなみに、消石灰は元来大きい比表面積を
有するので、塩素系ガス等との接触面積が広く確保され
高い反応性を期待することができる。消石灰は上流から
下流へ移動するにつれて徐々に高温雰囲気に曝されるこ
とになるが、假焼されて生石灰となる500℃以前の温
度上昇域でも比表面積を増大させる性質がある。したが
って、上流側で反応し得なかった消石灰が残存しても、
比表面積の大きくなっている下流側での塩素系ガス等の
吸着が促進され、結局は炉内の広範囲においてダイオキ
シンの発生が抑止される。
【0031】生成された塩化カルシウムは小さな塊状を
なすのでそのままスクラップ内に混在するが、これは中
性でありスクラップに悪影響を及ぼすことがない。この
ような反応の一方で、副原料供給口6bから投入された
生石灰CaOは、その一部が噴射水と反応して消石灰を
生成する。それゆえ、塩素系ガス等と反応して消石灰が
幾分消失しても自ずと補填されることになる。塩素系ガ
ス等と反応しなかった消石灰は炉内温度が約500℃と
なっている箇所において生石灰CaOとなり、投入した
生石灰から生成された消石灰Ca(OH)2 も同温度で
比表面積の大きい良質の造滓材としての生石灰に戻る。
【0032】投入された石灰石CaCO3 は炉内温度が
約800℃に達するところで生石灰CaOとなり、消石
灰から生成されるなどした生石灰と共にスクラップ4に
伴われて電気製鋼炉2Aへ送出される。この生石灰は投
入されたドロマイトと共に、スクラップを溶解精錬する
ときの不純物のスラグ化を促す造滓材として機能するこ
とは言うまでもない。一方、生成された塩化カルシウム
はふっ素を含む蛍石に代わる滓化促進剤として機能し、
アルミナと共にスラグ融点の低下を促して溶融スラグの
生成を助長する。
【0033】なお、CaCO3 を投入するようにしてい
るのは、溶解精錬炉としての電気製鋼炉の排ガスの温度
がスクラップ予熱炉としてのロータリキルンとの接続部
付近で800℃ないし1,500℃あるので、その高い
温度雰囲気を利用して生石灰を生成させることができる
点に着目したものである。すなわち、排ガスの保有する
熱エネルギーを利用した焼成作用による経済的効果も考
えあわせたことに基づくが、このCaCO3 の投入量や
投入比率は接続部分での温度によって決められる。ちな
みに、製糖工程における炭酸石灰清浄法において生じた
ライムケーキはCaCO3 を主成分としているので、石
灰石の代替品やその一部として使用することができる。
【0034】ところで、上記したごとく消石灰から生成
された生石灰は、石灰石から変化した生石灰よりも比表
面積が大きく、後者の二倍ないし三倍にあたる30m2
/g近くに達するものであることが知られている(「応
用化学ジャーナル:Journalof Application Chemistr
y」1958年12月8日発行第 794頁参照)。したがって、
消石灰はダイオキシンを吸着するだけでなく、スクラッ
プ予熱炉内で假焼されることにより生石灰となり、精錬
中のスクラップに含まれる不純物との接触面積が大きい
滓化性の極めて優れた造滓材となる。なお、Ca(O
H)2 を多量に含むカーバイドスラグを消石灰の一部に
充てたり代替品としてもよい。このカーバイドスラグや
前記したライムケーキは産業廃棄物であり、その利用の
途も開かれることになる。
【0035】以上の説明から分かるように、消石灰をロ
ータリキルンに投入すれば、高温加熱による分解操作を
必要とすることなく、予熱スクラップからダイオキシン
が発生するのを塩素系ガス等を吸着するなどして防止す
ることができる。その結果、ダイオキシンを高温加熱に
よって分解させる必要のない簡易な排ガス処理装置の採
用が可能となったり、設備の小規模化が図られる。
【0036】ダイオキシンの発生抑止と同時に消石灰に
よるスクラップの酸化も抑制され、溶解精錬炉における
脱酸のための投入エネルギーの節減が図れる。消石灰か
らは予熱ガスによって反応性の優れたすなわち比表面積
の大きい造滓材としての生石灰が生成されるだけでな
く、塩素系ガス等との反応によってスラグ融点の低下を
促進する滓化促進剤としての塩化カルシウムを生じさせ
ることができる。生石灰やドロマイト,アルミナによっ
て溶湯を脱硫脱燐などし、その際に塩化カルシウムによ
って滓化の促進された溶融スラグにはふっ素が含まれ
ず、セメント原料や燐酸肥料などとして利用可能な良質
のスラグが生成される。
【0037】本スクラップ溶解精錬時の事前処理法のよ
うに、スクラップを予熱する段階で消石灰等を投入する
と、スクラップ予熱炉から溶解精錬炉に至る間にスクラ
ップと副原料等とが混合した一体的なものとなるので、
溶解精錬中のスラグ生成の円滑化や迅速化も図られる。
【0038】ところで、上記の説明における水噴射に代
えて、予め造粒した消石灰を他の副原料と共に副原料供
給口6bから投入するようにしてもよい。造粒物にもか
なりの水分が含まれており、スクラップ表面に広く散在
したり付着し、排ガスに伴われて飛散消失するといった
ことも少なくなる。なお、造粒物中の水分が副原料とし
て投入された生石灰と反応すれば消石灰が生成され、こ
れもダイオキシンの吸着作用やスクラップの酸化防止作
用に寄与する。もちろん、残存消石灰がロータリキルン
内を移動する間に約500℃の温度域に到達すれば、石
灰石から生成される生石灰よりは比表面積の大きい造滓
材となる。
【0039】副原料を造粒物とする場合に、消石灰とそ
の他の副原料とを混入させたものとしておいてもよい。
消石灰とフケやすい生石灰とを混合造粒しても、生石灰
が簡単にフケないことも判明しているからである。いず
れにしても造粒物とした場合には水素爆発の懸念は著し
く低下し、スクラップ予熱炉の任意の所望する箇所から
投入することも可能となる。
【0040】消石灰と他の副原料とをスクラップ予熱炉
に投入した例で述べたが、消石灰単味を投入しても上記
した消石灰による効果が発揮されることは言うまでもな
い。もちろん、副原料は上記したもの全てをスクラップ
予熱炉に投入しなくても差し支えなく、適宜の一種また
は複数種と共に、もしくはそれらの混合物または造粒物
としてスクラップ予熱炉に投入することが可能である。
いずれの場合においても原則的に溶解精錬炉へ副原料を
直接追加装入する必要はないが、場合によっては適宜溶
解精錬炉へ直接投入しても差し支えない。
【0041】図2は、スクラップ予熱炉としての横型の
ロータリキルンに代えて竪形のシャフト炉3Bを採用し
た例である。シャフト炉においては炉上よりスクラップ
4が装入されるが、消石灰やその他の副原料も炉上から
投入される。炉内での各種の反応や作用効果などはロー
タリキルンの場合と大きく異なるところがない。スクラ
ップ4が電気製鋼炉2Aからの排ガスによって予熱され
ることは勿論である。ちなみに、シャフト炉3Bにおい
てはバッチ処理されることになるので、スクラップ4は
火格子9,9を開いて電気製鋼炉2Aへ装入される。
【0042】このようなスクラップ予熱炉は、ロータリ
キルンやシャフト炉に限られるものではない。図示しな
いが、電気製鋼炉が複数基設けられている電炉設備にお
いては、溶解精錬中の電気製鋼炉の排ガスを他の電炉に
導入してスクラップを予熱するといった方式を採る場合
のあることはよく知られている。そのように溶解精錬操
業の待機中の電気製鋼炉にも、本発明の消石灰による事
前処理法を適用することができる。予熱されたスクラッ
プを溶解精錬するときには各種副原料や生成物がすでに
供給された状態になっており、予熱操業から直ちに溶解
精錬に移行することができる。
【0043】溶解精錬炉も上記した電気製鋼炉に限られ
ることはなく、プラズマ炉,転炉さらにはキューポラ等
であってもよい。いずれにしても予熱したスクラップが
装入される炉であれば適用することができる。溶解精錬
炉の種類にかかわらずロータリキルンと組み合わせた
り、シャフト炉と組み合わせた設備とすることも可能で
ある。スクラップ予熱炉を種類の異なる複数の炉でもっ
て構成し、それらを多段的に設置することも差し支えな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るスクラップ溶解精錬時の事前処
理法を適用した溶解精錬設備の概略構成図。
【図2】 スクラップ予熱炉としてシャフト炉を採用し
た場合の設備構成概略図。
【符号の説明】
1…溶解精錬設備、2…溶解精錬炉、2A…電気製鋼
炉、3…スクラップ予熱炉、3A…ロータリキルン、3
B…シャフト炉、4…スクラップ、7…消石灰。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶解精錬炉に装入すべきスクラップを該
    溶解精錬炉の排ガスを用いて予熱するためのスクラップ
    予熱炉から、ダイオキシンを伴った予熱済み排ガスが発
    生するのを抑止するための精錬事前処理法において、 前記スクラップ予熱炉にスクラップを装入する直前もし
    くは直後に消石灰Ca(OH)2 を該スクラップ予熱炉
    に投入し、予熱されたスクラップから発生する塩素系ガ
    スやダオキシンと前記消石灰との反応により塩化カルシ
    ウムCaCl2を生成させてダイオキシンの発生を抑制
    すると共に、スクラップに付着する消石灰によって予熱
    中のスクラップの酸化を防止し、生成された前記塩化カ
    ルシウムを予熱スクラップと共に前記溶解精錬炉に装入
    して、ふっ素を含まない利用可能な良質スラグを生成す
    るための滓化促進剤として作用させることを特徴とする
    スクラップ溶解精錬時の事前処理法。
  2. 【請求項2】 前記消石灰をスクラップ予熱炉内におけ
    る400℃以下の温度域に水もしくは水蒸気と共に噴射
    し、装入されているスクラップの表面に可及的に広く付
    着させることを特徴とする請求項1に記載されたスクラ
    ップ溶解精錬時の事前処理法。
  3. 【請求項3】 前記消石灰を予め造粒しておき、前記ス
    クラップ予熱炉に投入することを特徴とする請求項1に
    記載されたスクラップ溶解精錬時の事前処理法。
  4. 【請求項4】 生石灰CaOを前記消石灰と共にスクラ
    ップ予熱炉に投入することを特徴とする請求項1ないし
    請求項3のいずれかに記載されたスクラップ溶解精錬時
    の事前処理法。
  5. 【請求項5】 石灰石CaCO3 を前記消石灰と共にス
    クラップ予熱炉に投入することを特徴とする請求項1な
    いし請求項4のいずれかに記載されたスクラップ溶解精
    錬時の事前処理法。
  6. 【請求項6】 前記スクラップ予熱炉はロータリキルン
    であることを特徴とする請求項1に記載されたスクラッ
    プ溶解精錬時の事前処理法。
  7. 【請求項7】 前記スクラップ予熱炉はシャフト炉であ
    ることを特徴とする請求項1に記載されたスクラップ溶
    解精錬時の事前処理法。
  8. 【請求項8】 前記スクラップ予熱炉は、スクラップを
    予熱しつつ精錬操業の待機中にある電気製鋼炉であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載されたスクラップ溶解精
    錬時の事前処理法。
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