JP3241569B2 - エッジング圧延機のガイド装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は特にＨ形鋼圧延に用
いるエッジング圧延機のガイド装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、Ｈ形鋼のフランジ幅を成形するエ
ッジング圧延機の圧延ロールには数個のカリバーを有し
ており、圧延するＨ形鋼のサイズや圧延ロールの摩耗に
応じて、圧延材進行方向と直交する方向にエッジング圧
延機を移動しＨ形鋼を圧延するように配設されている。

【０００３】このエッジング圧延機における従来のガイ
ド装置を図６、図７に示す。パスラインＡの上下位置に
配設された相対接近離間可能な上下一対の水平ロール２
７，２８の前後位置にＨ形鋼を案内する上下ガイド１
４，１５が配設され、互いに対向する案内面はパスライ
ンＡに対称にほぼ水平に設定されてＨ形鋼のウェブを適
正に保持して製品精度を向上させるように構成されてい
る。この上下ガイドは、基端部がハウジングに固定され
た上下レストバー３，４に回転自在に支持されるととも
に、上ガイド１４先端部はバランス用シリンダで下ガイ
ド先端部はガイド自重により、上下水平ロール周部に摺
接されている。このため、ロールカリバー位置に合せて
上下ガイドを移動する場合は、クレーンを使用して上下
ガイドをそれぞれ上下レストバー３，４から取外し圧延
材進行方向と直交した所定の位置に移動して取付け、ま
た、圧延するＨ形鋼のサイズに対応してガイド高さを変
更する場合は、クレーンでレストバーを保持した状態で
ハウジングに固定されたレストバーの固定ボルトを緩
め、それぞれのレストバーの高さ調整を行うように構成
されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】種々のＨ形鋼のフラン
ジ幅は、同一のエッジング圧延機で成形するため、圧延
するＨ形鋼のサイズや圧延ロールの摩耗に対応して上下
ガイドを、圧延材進行方向と直交する方向のロールカリ
バーの位置に合せる必要があり、また、圧延ロールの組
替を行う際には、上下ガイドを圧延ロールの挿入・引出
しに支障のない位置まで退避する必要がある。さらに、
圧延するＨ形鋼のサイズに対応してガイド高さを変更す
る必要があり、このため上下レストバーの高さ調整を行
う必要がある。

【０００５】従来のエッジング圧延機のガイド装置で
は、上下ガイドがハウジングに固定された上下レストバ
ーに個々に取付けられているためクレーンでそれぞれ交
換する必要があり、ガイド交換時のガイド姿勢が不安定
なため取外しや組込み作業が難しく、クレーン作業でロ
ールカリバー位置と位置を合せる作業も困難で長時間を
要する。また、レストバーの高さ調整も重量物であるレ
ストバーをクレーンで吊り下げた状態で行う作業のため
長時間を要し、危険を伴うものであった。

【０００６】本発明は上述問題点を解決するもので、上
下ガイドが組込まれたガイドホルダーを、クレーンを使
用せず圧延ロールの挿入・引出しに支障のない位置まで
一緒に退避でき、かつ、上下ガイドの高さ調整を可能と
する上下レストバー昇降機能を有し、さらに、上下ガイ
ドが組込まれたガイドホルダーを積載した横行台車を圧
延材進行方向と直交する方向に移動させ、圧延ロールの
カリバー位置に上下ガイドを合せることができるエッジ
ング圧延機のガイド装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明は、ハウジングに設けた軸受に昇降可能なガ
イドロッドを設け、そのガイドロッドに上下ガイドが組
込まれたガイドホルダーを嵌合したレストバーが摺動可
能に配設され、上下レストバーを一緒に昇降するように
上下のレストバーは油圧シリンダで接続されている。ま
た、横行台車上に圧延材進行方向へ移動可能なスライド
ベースを配設している。さらに、上下レストバー上面に
圧延材進行方向と直交する方向に移動可能な横行台車を
配設している。

【０００８】上記構成において、ガイドホルダーが組込
まれた上下レストバーを昇降することにより、Ｈ形鋼の
サイズに応じて上下ガイドの高さ調整が可能となり、か
つ、横行台車上のスライドベースを圧延材進行方向に移
動することにより、圧延ロールの挿入・引出しに支障の
ない位置までガイドホルダーごと短時間に退避でき、か
つ、ガイド交換はガイドホルダーごとクレーンで交換を
行うため容易に短時間で行ことができる。また、上レス
トバー上面に配設した横行台車を圧延材進行方向と直交
する方向に移動することにより、圧延ロールのカリバー
位置に上下ガイドを容易に合せることが可能となる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施例を図１〜図５
に基づいて詳細に説明する。パスラインＡ上を複数回往
復移動してＨ形鋼を成形する圧延ラインは、図１に示す
ように粗ユニバーサル圧延機Ｂとエッジング圧延機Ｄが
配設され、各圧延機間には中間ガイドＣが配設されてい
る。また、各圧延機前後部にはそれぞれチルチングテー
ブル（図示せず）が配設されている。

【００１０】ハウジング１Ｌ，１Ｒに固定されたウォー
ムジャッキ１１ａと連結されたガイドロッド２の下部に
下レストバー３を締結ナット５で固定し、ガイドロッド
２に摺動可能に配設された上レストバー４は、ガイドロ
ッド２の段付き部に締結ナット７で固定されたブロック
６に、上下レストバーを接続しているレストバークラン
プ用油圧シリンダ１０でスペーサ８を介して押付けら
れ、上下レストバー３，４の間隔が所定の寸法となるよ
うにしている。

【００１１】この上下レストバー３，４が配設されたガ
イドロッド２は、ハウジング１Ｌ，１Ｒに配設された軸
受９に摺動可能となるように設置されており、駆動電動
機１３、減速機１２、ウォームジャッキ１１ａおよび中
間駆動軸１１ｂを介してガイドロッド２を昇降し、上下
レストバー３，４に支持された上下ガイド１４，１５を
組込んだガイドホルダー１６を、Ｈ形鋼のサイズに応じ
て所定の位置に昇降するようになっている。

【００１２】上ガイド１４は、ガイドホルダー１６のピ
ン１７に回転自在に支承され、ガイド先端は上レストバ
ー４上面に摺動可能に配設された横行台車２１に設けら
れた上ガイドバランス用空圧シリンダ２０で吊り下げら
れ、上水平ロール２７の周面に摺接されている。

【００１３】一方、上面に案内面が形成された下ガイド
１５には下方位置に下方に向って解放されたＵ字状の嵌
合部が形成され、この嵌合部がガイドホルダー１６のピ
ン１８に回転自在に支承され、ガイド先端はガイドの自
重で下水平ロール２８の周面に摺接されている。

【００１４】ガイドホルダー１６の上部と下部にはイン
ロー部が形成されており、レストバー３，４に嵌合さ
れ、圧延材進行方向の外力を受けるようになっている。
エッジング圧延機にガイドホルダー１６が組込まれた状
態では、ガイドホルダー上部のＬ字状のガイドホルダー
１６積載部とスライドベース２２に隙間δがあり、ガイ
ドホルダー１６は上下レストバー３，４にボルト１９で
締結されている。

【００１５】横行台車２１には、油圧シリンダ２３でガ
イドホルダー１６を圧延材進行方向に移動可能なスライ
ドベース２２が配設されている。上レストバー４上部に
は、圧延材進行方向と直交する方向に移動可能な横行台
車２１が設置され、その移動量の確認用目盛りが上レス
トバーに設けられている。また、上レストバー４の上部
の両サイドに配設された２個のスプロケット２４に、横
行台車に接続されたローラチェーン２５が取付けられ、
一方のスプロケット２４に横行台車移動装置２６が接続
されている。この横行台車移動装置２６を駆動すること
により、まず、ガイドホルダー１６を積載していない状
態で横行台車２１を圧延ロールのカリバー位置に移動さ
せたのちに、上下ガイド１４，１５を組込んだガイドホ
ルダー１６をスライドベース２２上にクレーンで積載し
て、上下ガイド１４，１５を圧延ロールのカリバー位置
と合せる。

【００１６】次に圧延スケジュールによって圧延ロール
の組替を行う際の、エッジング圧延機前面の上下ガイド
１４，１５を圧延ロールの挿入・引出しに支障のない位
置に退避する手順について説明する。まず、中間ガイド
Ｃをクレーンで吊り上げガイドホルダー退避に支障のな
い場所へ搬送する。次に上ガイドバランス用空圧シリン
ダ２０を伸長して上ガイド１４から取り外す。上下レス
トバー３，４とガイドホルダー１６を締結しているボル
ト１９を取外し、レストバークランプ用油圧シリンダ１
０を下降して上レストバー４を下方向に下げ、スペーサ
８を手動にて回転し上レストバー４が昇降できるスペー
スをブロック６と上レストバー４の間に設ける。まず、
レストバークランプ用油圧シリンダ１０を上昇して上レ
ストバー４を上昇させ、上レストバー上面の横行台車２
１に積載されたスライドベース２２にガイドホルダー１
６を積載させ、次にガイドホルダー１６上部と上レスト
バー４間に隙間（δｔ）を生じさせ、さらにガイドホル
ダー１６下部と下レストバー間に隙間（δｂ）を生じさ
せる。次に横行台車２１に配設されたスライドベース２
２に接続されたガイド組替用油圧シリンダ２３を伸長し
て、上下ガイド１４，１５を圧延ロールの挿入・引出し
に支障のない位置まで退避させる。また、成形するＨ形
鋼に対応した上下ガイドの交換は、上記状態で旧ガイド
ホルダー１６をクレーンで吊り上げ所定の場所へ搬送
し、オフラインで事前に準備された新しいガイドホルダ
ーをクレーンでスライドベース２２上に積載する。ガイ
ドホルダーの組込みは前述の取外しと逆の手順で作業を
行う。

【００１７】

【発明の効果】本発明では、上下ガイドが組込まれたガ
イドホルダーを油圧シリンダで迅速に退避させるため、
圧延ロール組替時間を短縮することができ、かつ、次圧
延サイズの上下ガイドを新しいガイドホルダーにオフラ
インで事前に準備できるので上下ガイド交換をガイドホ
ルダーと一緒にでき、ガイド交換時間を短縮することが
できる。また、ガイドホルダーが組込まれた上下レスト
バーを昇降することにより、成形するＨ形鋼のサイズに
対応したガイド高さの調整が容易にできる。さらに、ガ
イドホルダーを積載した横行台車を移動することによ
り、圧延ロールのカリバー位置に上下ガイドの位置を容
易に合せることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す全体側面図。

【図２】本発明の実施例を示す全体正面図。

【図３】本発明の実施例を示す横行台車平面図。

【図４】本発明の実施例を示す横行台車移動装置平面
図。

【図５】本発明の圧延ロール組替時のガイド退避状態の
実施例を示す図。

【図６】従来のガイド装置の全体側面図。

【図７】従来のガイド装置の全体正面図。

【符号の説明】

Ａ パスライン Ｂ 粗ユニバーサル圧延機 Ｃ 中間ガイド Ｄ エッジング圧延機 １Ｌ，１Ｒ ハウジング ２ ガイドロッド ３ 下レストバー ４ 上レストバー ５ 締結ナット ６ ブロック ７ 締結ナット ８ スペーサ ９ 軸受 １０ レストバークランプ油圧シリンダ １１ａ ウォームジャッキ １１ｂ 中間駆動軸 １２ 減速機 １３ 駆動電動機 １４ 上ガイド １５ 下ガイド １６ ガイドホルダー １７ ピン １８ ピン １９ 締結ボルト ２０ 上ガイドバランス用空圧シリンダ ２１ 横行台車 ２２ スライドベース ２３ ガイド組替用油圧シリンダ ２４ スプロケット ２５ ローラチェーン ２６ 横行台車駆動装置 ２７ 上水平ロール ２８ 下水平ロール ２９ 上水平ロールチョック ３０ 下水平ロールチョック ３１ Ｈ形鋼

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北村 隆 福岡県北九州市戸畑区大字中原46−59 新日本製鐵株式会社 機械・プラント事 業部内 (56)参考文献 特開 平７−39919（ＪＰ，Ａ) 実開 平７−26004（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B21B 39/14 B21B 1/08 B21B 39/16

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 案内面がパスラインを中心に対向して配
   設された上下一対のガイドをガイドホルダーに組込み、
   該ガイドホルダーは上下レストバーにより離接自在に支
   承し、該上下レストバーは、圧延機のハウジングに軸支
   され、且つ昇降自在な左右一対のガイドロッド間に摺動
   自在に配設し、前記上下レストバーを昇降せしめること
   により上下ガイドの高さ調整を可能にし、さらに、上レ
   ストバーの上面に圧延材進行方向と直交する方向に摺動
   可能な横行台車を配設し、また、該横行台車には圧延材
   進行方向に移動自在なスライドベースを配設することに
   より、前記横行台車を横行させ、圧延ロールのカリバー
   位置に上下ガイドを調整可能にせしめると共に、前記ス
   ライドベースを移動させることによってロール組替時ま
   たはガイド交換時に、上下ガイドが組み込まれたガイド
   ホルダーを圧延材進行方向の前後に退避可能としたこと
   を特徴とするエッジング圧延機のガイド装置。