JP3240358U - 上下顎位関係を調整する歯科器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】上下顎位関係を調整する歯科器具である。【解決手段】上顎歯を収容する第1ハウジング状本体(10)と、下顎歯を収容する第2ハウジング状本体(20)とを備え、上下顎位関係を調整する突起部(11)が第1ハウジング状本体(10)の奥歯領域の頬側面に沿って対顎方向へ突設されており、突起部(11)は、少なくとも第1ハウジング状本体(10)と第2ハウジング状本体(20)とが安定して作用する時の第2ハウジング状本体(20)の頬側面を部分的に覆う作用端を含み、位置規制部(21)が第2ハウジング状本体(20)の頬側面に沿って頬側へ突設されており、突起部(11)の近心面(111)が位置規制部(21)の遠心面(212)と相互作用することによって上下顎位関係を調整する。第1ハウジング状本体(10)と第2ハウジング状本体(20)とが安定して作用する時に、作用端の近心面(111)と位置規制部(21)の遠心面(212)とは面接触を形成し、この面接触の作用面積が大きく、作用力が強く、上下顎位関係を正常となるように効果的に調整する。【選択図】図4
Description
本願は、2019年12月31日に出願された中国特許出願201922484383.5に基づく優先権を主張し、その開示全体はここで援用により本願に組み込まれるものとする。
本願は、医療機器の技術分野に関し、特に上下顎位関係を調整する歯科器具に関するものである。
不正咬合(malocclusion)とは、子供の成長・発育の過程において、先天的遺伝性要因または後天的環境要因によって惹起される歯顎奇形現象を指し、後天的環境要因は、例えば病気、悪い口腔習慣、混合歯列期などであり、成長・発育の過程における外傷、歯周病などの要因であってもよい。不正咬合は、その形成要因とメカニズムが複雑に錯綜していて、その発生の過程は単一の要因及び単一のメカニズムによって惹起される可能性があり、複数の要因または複数のメカニズムを組み合わせた結果である可能性もある。
アングル(Angle)の分類方法によると、不正咬合は、I級不正咬合(中性不正咬合)、II級不正咬合(遠心不正咬合)、III級不正咬合(近心不正咬合)に分けられる。そのうち、II級不正咬合は口腔矯正歯科治療の臨床でよく見られる不正咬合の1つであり、II級不正咬合の典型的な現象として、上顎前歯前突、反対咬合、過蓋咬合、ガミースマイル、閉鎖型過蓋咬合、顔の下半分が短すぎること、オトガイ唇溝が深いことなどである。軽中程度の下顎後退の患者にとって、下顎の発育が不十分であり、かつ患者が成長・発育の段階にあり、一部の患者が成長・発育のピークに達したため、機能的矯正治療装置、例えば、ツインブロック(Twin-Block)、筋肉刺激装置、Herbstアプライアンス、機能レギュレータタイプIIタイプ(FR-II)などを使用して、下顎を前方に成長させることを刺激かつ促進することができ、多くのII級不正咬合の反対咬合及び遠心臼歯関係の矯正治療のいずれに対しても非常に良好な機能を果たすことができる。
Herbstアプライアンスは、II級不正咬合を対象とする固定型咬合前向き移動装置であり、その機械部分は、1対の金属スリーブシステムからなり、1対の金属スリーブシステムがそれぞれ上、下小臼歯及び大臼歯領域の頬側に位置し、各側のスリーブシステムは1つのスリーブ、1つのピストンロッド、2つのピボット及び2つのネジからなる。Herbstアプライアンスは、各側の2つのピボットを介してそれぞれ上顎第1加生歯(accessional teeth)と下顎第1小臼歯の頬側のアンカレッジ固定源に溶着され、そして、ネジによりスリーブ及びピストンロッドの末端の軸穴を通過して咬合前向き装置(すなわち、スリーブとスリーブに挿入されたプランジャー)を上記のアンカレッジ固定源の軸ホルダに固定することで作動する。アプライアンスが装着された後、スリーブ装置全体は上顎と下顎の間に一対の人工関節を形成することに似ており、下顎を前方に伸ばすような位置に保持し、口を自由に開閉し、わずかに側方に動かす。しかしながら、Herbstアプライアンスの欠点としては、下顎の運動範囲が制限されていることである。
近年、透明歯科矯正装置は、快適に装着され、取り外し可能であり、かつ外観が美しいため、ますます多くの人々によって選ばれている。しかし、如何にしてHerbstアプライアンスの機能的な矯正治療効果を透明歯科矯正装置と組み合わせて、同じまたはより良好な矯正治療効果を達成するか、または、透明歯科矯正装置の構成を改良してHerbstアプライアンスと同じまたはより良好な矯正治療効果を達成するかは、早急に解決しなければならない課題となっている。
したがって、安全性、快適性、利便性を同時に考慮した上下顎位関係を調整する歯科器具を検討することは、非常に重要となっている。
本願の一部の実施例には、上下顎位関係を調整する歯科器具及び歯矯正治療システムが提供され、前記歯矯正治療システムは、少なくとも1つのセットの前記上下顎位関係を調整する歯科器具を備え、歯科器具の作用の下で、上下顎位関係を正常となるように調整することだけでなく、同時に不正咬合の歯に対し矯正治療をすることができる。
本願の一部の実施例に係る上下顎位関係を調整する歯科器具は、上顎歯を収容する第1ハウジング状本体と、下顎歯を収容する第2ハウジング状本体とを備え、上下顎位関係を調整する突起部が前記第1ハウジング状本体の奥歯領域の頬側面に沿って対顎方向へ突設されており、前記突起部は、少なくとも前記第1ハウジング状本体と前記第2ハウジング状本体とが安定して作用する時の第2ハウジング状本体の頬側面を部分的に覆う作用端を含み、位置規制部が前記第2ハウジング状本体の頬側面に沿って頬側へ突設されており、前記突起部の近心面が前記位置規制部の遠心面と相互作用することによって上下顎位関係を調整する。
前記第1ハウジング状本体が前記第2ハウジング状本体と相互作用する時に、前記第1ハウジング状本体と前記第2ハウジング状本体とは1つの顎平面を形成し、前記作用端の近心面が前記位置規制部の遠心面と接触し、接触することによって形成された接触面の顎平面に近い一端は前記顎平面よりも高くない。
本願の1つの実施例において、前記突起部は、第1ハウジング状本体の上顎歯を収容する頬側面に沿って対顎方向へ延びて形成されている。
本願の1つの実施例において、前記突起部の頬側面は、前記第1ハウジング状本体の上顎歯を収容する頬側面から突出している。
本願の1つの実施例において、前記突起部の舌側面は、前記第1ハウジング状本体の奥歯領域における歯の頬側咬頭頂に沿って対顎方向へ延びている。
本願の一部の実施例には、別の上下顎位関係を調整する歯科器具が提供され、この歯科器具は、上顎歯を収容する第1ハウジング状本体と、下顎歯を収容する第2ハウジング状本体とを備え、上下顎位関係を調整する突起部が前記第1ハウジング状本体の奥歯領域の舌側面に沿って対顎方向へ突設されており、前記突起部は、少なくとも前記第1ハウジング状本体と前記第2ハウジング状本体とが安定して作用する時の第2ハウジング状本体の舌側面を部分的に覆う作用端を含み、位置規制部が前記第2ハウジング状本体の舌側面に沿って舌側へ突設されており、前記突起部の近心面が前記位置規制部の遠心面と相互作用することによって上下顎位関係を調整する。
前記第1ハウジング状本体が前記第2ハウジング状本体と相互作用する時に、前記第1ハウジング状本体と前記第2ハウジング状本体とは1つの顎平面を形成し、前記作用端の近心面が前記位置規制部の遠心面と接触し、接触することによって形成された接触面の顎平面に近い一端は前記顎平面よりも高くない。
本願の1つの実施例において、前記突起部は、第1ハウジング状本体の上顎歯を収容する舌側面に沿って対顎方向へ延びて形成されており、または、前記突起部の舌側面が前記第1ハウジング状本体の上顎歯を収容する舌側面から突出しており、または、前記突起部の頬側面が前記第1ハウジング状本体の奥歯領域における歯の舌側咬頭頂に沿って対顎方向へ延びている。
本願の1つの実施例において、前記第1ハウジング状本体が前記第2ハウジング状本体と相互作用する時に、前記作用端の端部は、前記第2ハウジング状本体の歯肉縁端よりも低い。
本願の1つの実施例において、前記作用端の近心面と前記位置規制部の前記遠心面とは、相互作用する時に安定性を向上させる構造をそれぞれ有する。
本願の1つの実施例において、前記安定性を向上させる構造は、相互作用する曲面構造、凹凸がマッチングする構造、つや消し面を有する構造、凸角点を有する構造、透かし彫り面を有する構造、または穴明け面を有する構造の1種、2種または複数種の組み合わせである。
本願の1つの実施例において、前記突起部の歯列の近遠心方向に沿った長さは、少なくとも奥歯領域の近遠心方向の歯の長さを部分的に覆う。
本願の1つの実施例において、前記突起部の歯列の近遠心方向に沿った長さは、少なくとも奥歯領域における1つの歯の近遠心方向の長さを覆う。
本願の1つの実施例において、前記突起部は、前記第1ハウジング状本体に対応する第2小臼歯と第1大臼歯との間に位置する。
本願の1つの実施例において、前記第2ハウジング状本体には、前記位置規制部と協働して前記突起部の相対移動を規制する補助部がさらに設けられており、前記補助部の近心面と前記突起部の遠心面には、調整された上下顎位関係を安定させるように、相互作用する接触面が設けられており、前記第1ハウジング状本体が第2ハウジング状本体と相互作用する時に、前記突起部は、前記位置規制部と前記補助部との間に位置する。
本願の1つの実施例において、前記第1ハウジング状本体には、複数の前記突起部が設けられており、前記第2ハウジング状本体には、前記突起部と相互作用する複数の前記位置規制部が設けられており、前記複数の突起部が前記複数の位置規制部と相互作用することによって上下顎位関係を正常となるように調整することを誘導する。
本願の1つの実施例において、前記突起部の剛性は、前記第1ハウジング状本体の上顎歯を収容する領域の剛性よりも大きく、前記位置規制部の剛性は、前記第2ハウジング状本体の下顎歯を収容する領域の剛性よりも大きい。
本願の1つの実施例において、前記突起部と前記第1ハウジング状本体の上顎歯を収容する領域とは、厚さ、硬度、材料、層数のうちの少なくとも1つが異なっており、前記位置規制部と前記第2ハウジング状本体の下顎歯を収容する領域とは、厚さ、硬度、材料、層数のうちの少なくとも1つが異なっている。
本願の1つの実施例において、前記突起部および/または前記位置規制部には、充填部が設けられている。
本願の1つの実施例において、前記突起部及び前記位置規制部には、相対的な顎位関係を安定させかつ極性が逆である磁石がそれぞれ設けられている。
本願の1つの実施例において、前記突起部と前記補助部内には、それぞれ上下顎位関係を調整することを誘導し、かつ極性が同じである磁石が設けられている。
本願の1つの実施例において、前記突起部及び前記位置規制部内には、相対的な顎位関係を安定させかつ極性が逆である磁石がそれぞれ設けられており、前記補助部内には、極性が前記突起部内と同じである磁石が設けられている。
本願の一部の実施例に係る歯矯正治療システムは、複数のセットの上下顎位関係を調整する歯科器具を備え、前記複数のセットの上下顎位関係を調整する歯科器具は、少なくとも1つのセットの上述した上下顎位関係を調整する歯科器具を含む。
本願の1つの実施例において、前記複数のセットの上下顎位関係を調整する歯科器具は、歯を初期位置から目標の矯正治療位置に徐々に再位置決めする幾何学的形状を有する。
本願の1つの実施例において、異なる前記複数のセットの上下顎位関係を調整する歯科器具に設けられた前記突起部の対顎方向に突出した高さは、矯正治療するにつれて徐々に小さくなる。
従来技術と比べて、本願の有益な効果は少なくとも以下のことを含む。
本願に係る上下顎位関係を調整する歯科器具は、第1ハウジング状本体に対顎方向へ突出する突起部が設けられ、第2ハウジング状本体に位置規制部が設けられ、第1ハウジング状本体と第2ハウジング状本体とが安定して作用する時に、作用端の近心面と位置規制部の遠心面とは面接触を形成し、この面接触の作用面積が大きく、作用力が強く、かつ接触によって形成された接触面の顎平面に近い一端は前記顎平面よりも高くないことにより、作用面が歯列の頬側面または舌側面の一端にあり、下顎歯列全体を第2ハウジング状本体によって前方に移動させることを駆動し、顎を前方に伸ばす効果を達成し、上下顎位関係を正常となるように効果的に調整する。本願に係る歯矯正治療システムは、複数のセットの上下顎位関係を調整する歯科器具を備え、当該複数のセットの上下顎位関係を調整する歯科器具は、歯を初期位置から目標の矯正治療位置に徐々に再位置決めする幾何学的形状を有し、矯正治療過程にわたって、一連の複数のセットの上下顎位関係を調整する歯科器具は上下顎位関係を調整すると同時に、不正咬合の歯に対し矯正治療をし、整形、矯正治療を同期に行うことを実現する。
本願に係る上下顎位関係を調整する歯科器具は、第1ハウジング状本体に対顎方向へ突出する突起部が設けられ、第2ハウジング状本体に位置規制部が設けられ、第1ハウジング状本体と第2ハウジング状本体とが安定して作用する時に、作用端の近心面と位置規制部の遠心面とは面接触を形成し、この面接触の作用面積が大きく、作用力が強く、かつ接触によって形成された接触面の顎平面に近い一端は前記顎平面よりも高くないことにより、作用面が歯列の頬側面または舌側面の一端にあり、下顎歯列全体を第2ハウジング状本体によって前方に移動させることを駆動し、顎を前方に伸ばす効果を達成し、上下顎位関係を正常となるように効果的に調整する。本願に係る歯矯正治療システムは、複数のセットの上下顎位関係を調整する歯科器具を備え、当該複数のセットの上下顎位関係を調整する歯科器具は、歯を初期位置から目標の矯正治療位置に徐々に再位置決めする幾何学的形状を有し、矯正治療過程にわたって、一連の複数のセットの上下顎位関係を調整する歯科器具は上下顎位関係を調整すると同時に、不正咬合の歯に対し矯正治療をし、整形、矯正治療を同期に行うことを実現する。
10…第1ハウジング状本体、11…突起部、111…突起部近心面、112…突起部遠心面、20…第2ハウジング状本体、21…位置規制部、211…位置規制部近心面、212…位置規制部遠心面、22…補助部、221…補助部近心面、222…補助部遠心面。
本願の目的、技術考案及び利点をより明確にするために、以下、本願の図面を参照しながら、本願の実施例における技術考案を明確かつ完全に説明し、明らかに、説明した実施例は、本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではない。当業者が本願における実施例に基づいて進歩性のある労働をしない前提に得られた全ての他の実施例は、いずれも本願の保護範囲内に含まれる。特に定義されていない限り、本明細書で使用される技術用語または科学用語は、本願が属する分野における一般的なスキルを有する者によって理解される通常の意味を有するものとする。本明細書に使用された「含む」などの類似の用語は、この単語の前に現れる要素またはオブジェクトが、この単語の後にリストされている要素またはオブジェクト、並びにそれらに同などなものをカバーし、他の要素またはオブジェクトを除外しないことを意味する。
従来技術の問題に鑑みて、図1~図13を参照して、本願の一部の実施形態には、上下顎位関係を調整するための歯科器具が提供され、具体的には、歯科器具の作用下で、下顎を前方に動かすことを駆動し、下顎を前方に伸ばす効果を達成し、それによって、上下顎位関係を正常となるように調整する。
歯科器具は、上顎歯を収容する第1ハウジング状本体10と、下顎歯を収容する第2ハウジング状本体20とを備え、第1ハウジング状本体10と第2ハウジング状本体20とは、それぞれ前歯領域と奥歯領域に分けられる。そのうち、「奥歯領域」は、北京大学医学出版社が発行する『口腔医学入門』第2版の第36~38ページに規定されている歯の分類に基づいて定義され、小臼歯及び大臼歯を含み、FDI表記法により4~8と示されている歯であり、前歯領域は、FDI表記法により1~3と示されている歯である。また、近心面(mesial surface)と遠心面(distal surface)は、歯冠が隣接する歯に隣接する2つの面であり、総称して隣接面と呼ばれる。顔の中心線に近い面を近心面と呼ばれ、顔の中心線から遠い面を遠心面と呼ばれる。
第1ハウジング状体10の前歯領域は、上顎歯の中切歯、側切歯及び犬歯を収容することに用いられることができ、第1ハウジング状体10の奥歯領域は、上顎歯の第1小臼歯、第2小臼歯、第1大臼歯、第2大臼歯及び第3大臼歯を収容することに用いられることができ、第2ハウジング状本体20の前歯領域は、下顎歯の中切歯、側切歯及び犬歯を収容することに用いられることができ、第2ハウジング状本体20の奥歯領域は、下顎歯の第1小臼歯、第2小臼歯、第1大臼歯、第2大臼歯及び第3大臼歯を収容することに用いられることができる。
図1~図4を参照して、それぞれ本願の1つの実施例に係る歯科器具の第1ハウジング状本体、第2ハウジング状本体、及びそれらの咬合前後の模式図を示す。そのうち、上下顎位関係を調整する突起部11が第1ハウジング状本体10の奥歯領域の頬側面に沿って対顎方向へ突設されており、突起部11は、対向する突起部近心面111及び突起部遠心面112を有し、位置規制部21が第2ハウジング状本体20の頬側面に沿って頬側へ突設されており、位置規制部21は、対向する位置規制部近心面211及び位置規制部遠心面212を有し、第1ハウジング状本体10が第2ハウジング状本体20と相互作用する場合、突起部11を位置規制部21と相互作用させることを駆動し、具体的な相互作用の方法としては、突起部11の突起部近心面111が位置規制部21の位置規制部遠心面212と相互作用することによって上下顎位関係を調整することである。
そのうちの1つの実施形態において、前記突起部11の形成方法は、第1ハウジング状本体10の上顎歯を収容する頬側面に沿って対顎方向へ延びて前記突起部を形成することであり、突起部11の舌側面は第1ハウジング状本体10の奥歯領域における歯の頬側咬頭頂に沿って対顎方向へ延びていてもよい。突起部11は、少なくとも第1ハウジング状本体10と第2ハウジング状本体20とが安定して作用する時の第2ハウジング状本体20の頬側面を部分的に覆う作用端を含む。この実施形態によって形成された突起部11は、位置規制部21と相互作用して上下顎位関係を調整することができるだけでなく、患者の頬側の異物感を小さくし、より快適に装着させることができる。
別の実施形態において、前記突起部11の形成方法は、第1ハウジング状本体10の上顎歯を収容する頬側面に沿って対顎方向へ延びて突起部11を形成することであり、突起部11の頬側面は第1ハウジング状本体10の上顎歯を収容する頬側面から突出してもよく、突起部11の舌側面は第1ハウジング状本体10の奥歯領域における歯の頬側咬頭頂に沿って対顎方向へ延びていてもよい。突起部11は、少なくとも第1ハウジング状本体10と第2ハウジング状本体20とが安定して作用する時の第2ハウジング状本体20の頬側面を部分的に覆う作用端を含む。この実施形態によって形成された突起部11は、位置規制部21と相互作用して上下顎位関係を調整することができるだけでなく、頬舌側方向における作用面積が大きくなり、上下顎位関係を調整する安定性により優れている。
図1~図4に示されるように、第1ハウジング状本体10の両側の奥歯領域の頬側面には、それぞれ1つの突起部11が設けられており、第2ハウジング状本体20の両側の頬側面には、それぞれ1つの位置規制部21が設けられており、同一側に位置する突起部11の突起部近心面111が同一側の位置規制部21の位置規制部遠心面212と相互作用して上下顎位関係を調整し、両側の突起部11がそれぞれ位置規制部21と相互作用して、下顎歯列全体を第2ハウジング状本体20によって前方に移動させ、均一な力を受けさせ、患者の不快感を感じさせることなく、矯正治療の他の副作用、例えば不均一な作用による顎偏位(deviation mandibular)をもたらさない。
図3及び図4を参照して、第1ハウジング状本体10が第2ハウジング状本体20と相互作用する時に、第1ハウジング状本体10と第2ハウジング状本体20とは1つの顎平面を形成し、作用端の突起部近心面111が位置規制部21の位置規制部遠心面212と接触し、接触することによって形成された接触面の顎平面に近い一端は顎平面よりも高くない。顎平面とは、両側上顎中切歯の近心隣接点から両側第一大臼歯の近心頬側咬頭頂までの仮想面を指す。
具体的には、第1ハウジング状本体10と第2ハウジング状本体20とが安定して作用する時に、突起部11の作用端は、第2ハウジング状本体20の頬側面まで延びており、作用端の突起部近心面111と位置規制部21の位置規制部遠心面212とは面接触を形成し、この面接触の作用面積が大きく、作用力が強く、かつ両者の作用面が歯列の頬側面にあり、下顎歯列を前方に動かすことをよりよく駆動し、下顎を前方に案内する機能を達成し、上下顎位関係を正常となるように調整することができ、特にspee曲線深さが3mm未満のアングルII級症例について、良好な治療効果を有する。作用端の突起部近心面111と位置規制部21の位置規制部遠心面212とが接触することで形成された接触面の顎平面に近い一端が顎平面よりも高くないことにより、作用面が歯列の頬側面の一端にあり、下顎歯列全体を第2ハウジング状本体によって前方に動かし、頬側または舌側がそれぞれ対顎方向に延びるという従来技術と比べて効果がより良好になり、従来技術では、頬側または舌側方向の2つの突起について、両者の接触作用面が下顎の顎平面よりも高く、かつ両者が頬側面で相互作用するため、接触面積が小さく、作用力が分解されることに起因して下顎を前方に移動させる力が小さくなり、案内効果が劣ってしまう。
図5及び図6に示すように、本願の1つの実施例に係る歯科器具の第1ハウジング状本体、第2ハウジング状本体の模式図をそれぞれ示す。そのうち、第1ハウジング状本体10には、複数の突起部11が設けられてもよく、第2ハウジング状本体20には、突起部11と相互作用する複数の位置規制部21が設けられてもよく、複数の突起部11が複数の位置規制部21と相互作用することによって上下顎位関係を正常となるように調整することを誘導し、複数の突起部11が複数の位置規制部21と相互作用すると、作用力がより強くなり、第1ハウジング状本体10と第2ハウジング状本体20に、上下顎位関係を正常となるように調整する機能をよりよく果たさせることができる。
具体的には、例えば、第1ハウジング状本体10の左右両頬側にそれぞれ2つの突起部11が設けられ、第2ハウジング状本体20の左右両頬側にそれぞれ2つの位置規制部21が設けられる場合、左側を例として説明すると、第1ハウジング状本体10の左側に前突起部及び後突起部が設けられ、第2ハウジング状本体20の左側に前位置規制部及び後位置規制部が設けられ、この場合、前突起部が前位置規制部と後位置規制部との間に設けられ、前突起部と後位置規制部とは、接触してもよいし、接触しなくてもよく、接触しない場合、即ち前突起部の遠心面は後位置規制部の近心面と接触しなく、両者の間には一定の距離があり、接触する場合、即ち前突起部の遠心面は後位置規制部の近心面と接触し、両者の間に距離はない。
他の実施例において、第1ハウジング状本体10の両側の奥歯領域頬側面に、それぞれ幾つかの突起部11(図示せず)が設けられており、それに対応して、第2ハウジング状本体20の両側の頬側面にも、それぞれ幾つかの位置規制部21(図示せず)が設けられており、この幾つかの突起部11が幾つかの位置規制部21と相互作用することで上下顎位関係を正常となるように調整することを誘導し、例えば、当該実施例における幾つかの突起部11は、上顎左右両側にそれぞれ2つ設けられ、幾つかの位置規制部21は、下顎左右両側にそれぞれ3つ設けられており、または、当該実施例における幾つかの突起部11は、左側に2つ設けられかつ右側に3つが設けられ、幾つかの位置規制部21は、左側に2つ設けられかつ右側に3つが設けられている。
図7及び図8を参照して、それぞれ本願の1つの実施例に係る歯科器具の第1ハウジング状本体、第2ハウジング状本体の模式図を示す。そのうち、上下顎位関係を調整する突起部11が第1ハウジング状本体10の奥歯領域の舌側面から対顎方向へ突設されており、突起部11は、対向する突起部近心面111及び突起部遠心面112を有し、位置規制部21が第2ハウジング状本体20の舌側面に沿って舌側へ突設されており、位置規制部21は、対向する位置規制部近心面211及び位置規制部遠心面212を有し、第1ハウジング状本体10が第2ハウジング状本体20と相互作用する場合、突起部11を位置規制部21と相互作用させることを駆動し、具体的な相互作用の方法としては、突起部11の突起部近心面111が位置規制部21の位置規制部遠心面212と相互作用することによって上下顎位関係を調整することである。
そのうちの1つの実施形態において、前記突起部11の形成方法は、第1ハウジング状本体の上顎歯を収容する舌側面に沿って対顎方向へ延びて前記突起部を形成し、突起部11の頬側面が第1ハウジング状本体10の奥歯領域における歯の舌側咬頭頂に沿って対顎方向へ延びていてもよいことである。突起部11は、少なくとも第1ハウジング状本体10と第2ハウジング状本体20とが安定して作用する時の第2ハウジング状本体20の舌側面を部分的に覆う作用端を含む。この実施形態によって形成された突起部11は、位置規制部21と相互作用して上下顎位関係を調整することができるだけでなく、患者の頬側の異物感を小さくし、より快適に装着することができる。
別の実施形態において、前記突起部11の形成方法は、第1ハウジング状本体10の上顎歯を収容する舌側面に沿って対顎方向へ延びて突起部11を形成することであり、突起部11の舌側面は第1ハウジング状本体10の上顎歯を収容する舌側面から突出してもよく、突起部11の頬側面は第1ハウジング状本体10の奥歯領域における歯の舌側咬頭頂に沿って対顎方向へ延びていてもよい。突起部11は、少なくとも第1ハウジング状本体10と第2ハウジング状本体20とが安定して作用する時の第2ハウジング状本体20の舌側面を部分的に覆う作用端を含む。この実施形態によって形成された突起部11は、位置規制部21と相互作用して上下顎位関係を調整することができるだけでなく、頬舌側方向の作用面積が大きくなり、上下顎位関係を調整する安定性により優れている。
図7及び図8に示されるように、第1ハウジング状本体10の両側の奥歯領域の舌側面には、それぞれ1つの突起部11が設けられており、第2ハウジング状本体20の両側の舌側面には、それぞれ1つの位置規制部21が設けられており、同一側に位置する突起部11の突起部近心面111が同一側の位置規制部21の位置規制部遠心面212と相互作用して上下顎位関係を調整し、両側の突起部11がそれぞれ位置規制部21と相互作用して、下顎歯列全体を第2ハウジング状本体20によって前方に移動させ、均一な力を受けさせ、患者の不快感を感じさせることなく、矯正治療の他の副作用、例えば不均一な作用による顎偏位をもたらさない。
1つの実施形態において、第1ハウジング状本体10が第2ハウジング状本体20と相互作用する時に、第1ハウジング状本体10と第2ハウジング状本体20とは1つの顎平面を形成し、作用端の突起部近心面111が位置規制部21の位置規制部遠心面212と接触し、接触することによって形成された接触面の顎平面に近い一端は顎平面よりも高くない。
具体的には、第1ハウジング状本体10と第2ハウジング状本体20とが安定して作用する時に、突起部11の作用端は、第2ハウジング状本体20の舌側面まで延びており、作用端の突起部近心面111と位置規制部21の位置規制部遠心面212とは面接触を形成し、この面接触の作用面積が大きく、作用力が強く、かつ両者の作用面が歯列の舌側面にあり、下顎を前方に動かすことをよりよく駆動し、下顎を前方に案内する機能を効果的に達成し、上下顎位関係を正常となるように調整することができ、特にspee曲線深さが3mm未満のアングルII級症例について、良好な治療効果を有する。作用端の突起部近心面111と位置規制部21の位置規制部遠心面212とが接触することで形成された接触面の顎平面に近い一端が顎平面よりも高くないことにより、作用面が歯列の舌側面の一端にあり、下顎歯列全体を第2ハウジング状本体によって前方に移動させ、頬側または舌側がそれぞれ対顎方向に延びるという従来技術と比べて効果がより良好になり、従来技術では、頬側または舌側方向の2つの突起について、両者の接触作用面が下顎の顎平面よりも高く、かつ両者が頬側面で相互作用するため、接触面積が小さく、作用力が分解されることに起因して下顎を前方に移動させる力が小さくなり、案内効果が劣ってしまう。
本願の幾つかの実施例において、第1ハウジング状本体10が第2ハウジング状本体20と相互作用する時に、突起部11の作用端の端部は、第2ハウジング状本体20の歯肉縁端よりも低く、具体的には、突起部11の奥歯領域の頬側面または奥歯領域の舌側面から対顎方向へ突出した最先端は第2ハウジング状本体20の歯肉縁端まで延びておらず、第2ハウジング状本体20の歯肉縁端とは、第2ハウジング状本体20が患者の口に装着される際に患者の歯肉に近接する一端を指す。第1ハウジング状本体10と第2ハウジング状本体20とが相互作用する時に、第1ハウジング状本体10の突起部11は患者の下顎の歯肉に接触しないため、患者の歯肉を損傷しないことを確保し、より快適に装着することができる。
図9及び図10に示すように、本願の1つの実施例に係る歯科器具の第1ハウジング状本体、第2ハウジング状本体の模式図をそれぞれ示す。そのうち、第1ハウジング状本体10には、複数の突起部11が設けられてもよく、第2ハウジング状本体20には、突起部11と相互作用する複数の位置規制部21が設けられてもよく、複数の突起部11が複数の位置規制部21と相互作用することで上下顎位関係を正常となるように調整することを誘導し、複数の突起部11が複数の位置規制部21と相互作用すると、作用力がより強くなり、第1ハウジング状本体10と第2ハウジング状本体20に、上下顎位関係を正常となるように調整する機能をよりよく果たさせることができる。
具体的には、例えば、第1ハウジング状本体10の左右両舌側にそれぞれ2つの突起部11が設けられ、第2ハウジング状本体20の左右両舌側にそれぞれ2つの位置規制部21が設けられる場合、左側を例として説明すると、第1ハウジング状本体10の左側に前突起部及び後突起部が設けられ、第2ハウジング状本体20の左側に前位置規制部及び後位置規制部が設けられ、この場合、前突起部が前位置規制部と後位置規制部との間に設けられ、前突起部と後位置規制部とは、接触してもよいし、接触しなくてもよく、接触しない場合、即ち前突起部の遠心面は後位置規制部の近心面と接触しなく、両者の間には一定の距離があり、接触する場合、即ち前突起部の遠心面は後位置規制部の近心面と接触し、両者の間に距離はない。
他の実施例において、第1ハウジング状本体10の両側の奥歯領域舌側面に、それぞれ幾つかの突起部11(図示せず)が設けられており、それに対応して、第2ハウジング状本体20の両側の舌側面にも、それぞれ幾つかの位置規制部21(図示せず)が設けられており、この幾つかの突起部11が幾つかの位置規制部21と相互作用することで上下顎位関係を正常となるように調整することを誘導し、例えば、当該実施例における幾つかの突起部11は、上顎左右両側にそれぞれ2つ設けられ、幾つかの位置規制部21は、下顎左右両側にそれぞれ3つ設けられており、または、当該実施例における幾つかの突起部11は、左側に2つ設けられかつ右側に3つが設けられ、幾つかの位置規制部21は、左側に2つ設けられかつ右側に3つが設けられている。
本願の幾つかの実施例において、突起部11の歯列の近遠心方向に沿った長さは、少なくとも奥歯領域の近遠心方向の歯の長さを部分的に覆い、具体的には、突起部11の歯列の近遠心方向に沿った長さは、少なくとも奥歯領域における1つの歯の近遠心方向の長さを覆う。この構成の突起部11と第1ハウジング状本体10とが歯列の近遠心方向において十分な接続強度を有し、突起部11の突起部近心面111と位置規制部21の位置規制部遠心面212とが相互作用する時に、突起部11に変形または位置ずれが発生することを防止し、突起部11によって果たされた上下顎位関係を調整する機能に影響を与えないことを確保することができる。突起部11と第1ハウジング状本体10とは、両者の間の接続強度を強めるように一体成形されることが好ましく、位置規制部21と第2ハウジング状本体20とは、両者の間の接続強度を強めるように一体成形されることが好ましい。
本出願の幾つかの実施例において、突起部11は、第1ハウジング状本体10に対応する第2小臼歯と第1大臼歯との間に位置し、当該位置にある突起部11により、突起部11及び位置規制部21に上下顎位関係を調整する機能をよりよく果たさせ、かつ、患者に装着する快適性が高い。
本願の幾つかの実施例において、図11a~図11dに示されるように、突起部11の作用端の突起部近心面111と位置規制部21の位置規制部遠心面212とは、相互作用する時に安定性を向上させる構造をそれぞれ有する。安定性を向上させる構造は、例えば、相互作用する平面構造(図11aに示すように)、相互作用する曲面構造(図11bに示すように)、凹凸がマッチングする構造(図11cに示すように)、つや消し面を有する構造(図示せず)、凸角点を有する構造(図11dに示すように)、透かし彫り面を有する構造(図示せず)、または穴明け面を有する構造(図示せず)の1種、2種または複数種の組み合わせである。具体的には、作用端の突起部近心面111と位置規制部21の位置規制部遠心面212とは、それぞれ適切な曲面構造、凹凸構造などを有する。第1ハウジング状本体10と第2ハウジング状本体20は、一般的に高分子材料を用いるため、作用端の突起部近心面111と位置規制部21の位置規制部遠心面212とが相互作用する時に相対的に摺動する現象が生じやすくなり、安定性を向上させる構造により、上述した相対摺動現象を低減または回避することができ、ひいては突起部11と位置規制部21に上下顎位関係を調整する機能をよりよく果たさせることができる。
本願の幾つかの実施例において、図12及び図13に示されるように、第2ハウジング状本体20には、位置規制部21と協働して突起部11の相対移動を規制する補助部22がさらに設けられており、補助部22は、対向する補助部近心面221及び補助部遠心面222とを有し、補助部22の補助部近心面221と突起部11の突起部遠心面112には、調整された上下顎位関係を安定させるように、相互作用する接触面が設けられており、第1ハウジング状本体10が第2ハウジング状本体20と相互作用する時に、突起部11は、位置規制部21と補助部22との間に位置する。
具体的には、図12に示されるように、補助部22は、第2ハウジング状本体20が頬側面に沿って頬側に突出することによって形成されることができ、補助部22の構造は、図12における位置規制部21の構造と同一または類似してもよく、補助部22と第2ハウジング状本体20とは一体成形された構造であってもよい。図13に示されるように、補助部22は、第2ハウジング状本体20が舌側面に沿って舌側に突出することによって形成されることができ、補助部22の構造は、図13における位置規制部21の構造と同一または類似してもよく、補助部22と第2ハウジング状本体20とは一体成形された構造であってもよい。図12及び図13に示されるように、補助部22は、位置規制部21の遠心に近い側に位置し、第1ハウジング状本体10が第2ハウジング状本体20と相互作用する時に、位置規制部21と補助部22とは両者の間に位置する突起部11を引っ掛けることができ、咬合関係をより安定させ、第1ハウジング状本体10と第2ハウジング状本体20とは上下顎位関係を調整する機能をよりよく果たすことができる。
本願の幾つかの実施例において、突起部11と補助部22内には、上下顎位関係を調整することを誘導し、かつ極性が同じである磁石(図示せず)がそれぞれ設けられており、第1ハウジング状本体10が第2ハウジング状本体20と相互作用する時に、突起部11及び補助部22内の同じ極性の磁石により、突起部11を近心方向に移動させたり、突起部11に近心方向に移動させる傾向を持たせたりすることができ、ひいては第1ハウジング状本体10と第2ハウジング状本体20とが下顎を前方に導く機能を高める。そのうち、磁石は、突起部と接着または係合接続により固定されることができ、磁石は、突起部または補助部における相互作用する表面に設けられてもよいし、突起部及び補助部に充填されてもよい。
本願の幾つかの実施例において、突起部11及び位置規制部21内には、相対的な顎位関係を安定させかつ極性が逆である磁石(図示せず)がそれぞれ設けられ、補助部22内には、極性が突起部11内と同じである磁石(図示せず)が設けられており、第1ハウジング状本体10が第2ハウジング状本体20と相互作用する時に、突起部11と位置規制部21内における極性が逆である磁石により、第1ハウジング状本体10と第2ハウジング状本体20を適切な位置に案内することができ、突起部11及び補助部22内の極性が同じである磁石により、突起部11を近心方向に移動させるように促したり、突起部11に近心方向に移動させる傾向を持たせたりすることができ、ひいては第1ハウジング状本体10と第2ハウジング状本体20とが下顎を前方に導く機能を高める。
本願の幾つかの実施例において、突起部11の剛性は、第1ハウジング状本体10の上顎歯を収容する領域の剛性よりも大きく、位置規制部21の剛性は、第2ハウジング状本体20の下顎歯を収容する領域の剛性よりも大きい。第1ハウジング状本体10が第2ハウジング状本体20と相互作用する時に、突起部11と位置規制部21とが接触して上下顎位関係を調整し、突起部11と位置規制部21の剛性を向上させることにより、突起部11と位置規制部21に変形が生じることを防止し、または、突起部11と位置規制部21に変形が生じる程度を低減させ、上下顎位関係を調整する機能に影響を与えてしまうことを防止することができる。
突起部11と第1ハウジング状本体10の上顎歯を収容する領域とは、厚さ、硬度、材料、層数のうちの少なくとも1つが異なっており、厚さ、硬度、材料、層数のうちの少なくとも1つを変更することにより、突起部11の剛性を第1ハウジング状本体10の上顎歯を収容する領域の剛性よりも大きくする。位置規制部21と第2ハウジング状本体20の下顎歯を収容する領域とは、厚さ、硬度、材料、層数のうちの少なくとも1つが異なっており、厚さ、硬度、材料、層数のうちの少なくとも1つを変更することにより、位置規制部21の剛性を第2ハウジング状本体20の下顎歯を収容する領域の剛性よりも大きくする。
本願の幾つかの実施例において、突起部11および/または位置規制部21には、充填部(図示せず)が設けられている。充填部は、口内で使用可能な高分子材料であってもよく、充填部は、突起部11、位置規制部21の中空部分を満たすように充填されてもよい。充填部を設置することにより、突起部11と位置規制部21に変形が生じることを防止し、または、突起部11と位置規制部21に変形が生じる程度を低減させ、上下顎位関係を調整する機能に影響を与えてしまうことを防止することができる。
本願の幾つかの実施例において、複数のセットの上下顎位関係を調整する歯科器具は、歯矯正治療システムを形成し、当該歯矯正治療システムは、少なくとも1つのセットの上記のいずれかの実施例に記載の上下顎位関係を調整する歯科器具を備え、当該複数のセットの上下顎位関係を調整する歯科器具は、歯を初期位置から目標の矯正治療位置に徐々に再位置決めする幾何学的形状を有する。
本願の幾つかの実施例において、異なる複数のセットの上下顎位関係を調整する歯科器具に設けられた突起部11の対顎方向に突出した高さは、矯正治療するにつれて徐々に小さくなる。具体的には、3つの矯正治療の段階により歯に対し矯正治療をすることを例とすると、各段階において異なる歯科器具を使用して歯に対し矯正治療をし、例えば、第2矯正治療段階で使用される歯科器具は第1矯正治療段階の後に使用される歯科器具であり、第3矯正治療段階で使用される歯科器具は第2矯正治療段階の後に使用される歯科器具であり、3つの段階で使用される歯科器具の相違点は、第2矯正治療段階で使用される歯科器具に設けられた突起部11の対顎方向に突出した高さが、第1矯正治療段階で使用される歯科器具に設けられた突起部11の対顎方向に突出した高さよりも小さく、第3矯正治療段階で使用される歯科器具に設けられた突起部11の対顎方向に突出した高さは、第2矯正治療段階で使用される歯科器具に設けられた突起部11の対顎方向に突出した高さよりも小さいことにある。勿論、歯の矯正治療をする際に、患者に一連のハウジング状の歯科器具を装着させて矯正治療をする必要があり、ここで、一連のハウジング状の歯科器具の幾何学的形状が規則的であり、上記の例を参照することができる。以上説明したのは、上下顎間関係を調整する方法であり、顎間関係を調整すると同時に、不正咬合の歯に対し同期に矯正治療をすることもでき、整形、矯正治療を同時に行うことを実現し、1つのセットのハウジング状の歯科器具を7~14日間装着することができ、矯正治療の効果を達成するように、患者の異なる症例タイプと複雑さに応じて一連のハウジング状の歯科器具を設置する。
以上本願の実施形態を詳細に説明したが、当業者にとって明らかになるように、これらの実施形態に対し種々の修正及び変更を行うことができる。ただし、これらの修正及び変更はいずれも特許請求の範囲に記載の本願の範囲及び趣旨内に含まれると理解すべきである。また、ここで説明された本願は、他の実施形態を有し、かつ様々な形態で実施または実現されることができる。
Claims (15)
- 上顎歯を収容する第1ハウジング状本体と、下顎歯を収容する第2ハウジング状本体とを備える上下顎位関係を調整する歯科器具であって、
上下顎位関係を調整する突起部が前記第1ハウジング状本体の奥歯領域の頬側面に沿って対顎方向へ突設されており、前記突起部は、少なくとも前記第1ハウジング状本体と前記第2ハウジング状本体とが安定して作用する時の第2ハウジング状本体の頬側面を部分的に覆う作用端を含み、位置規制部が前記第2ハウジング状本体の頬側面に沿って頬側へ突設されており、前記突起部の近心面が前記位置規制部の遠心面と相互作用することによって上下顎位関係を調整し、
ここで、前記第1ハウジング状本体が前記第2ハウジング状本体と相互作用する時に、前記第1ハウジング状本体と前記第2ハウジング状本体とは1つの顎平面を形成し、前記作用端の近心面が前記位置規制部の遠心面と接触し、接触することによって形成された接触面の顎平面に近い一端は前記顎平面よりも高くないことを特徴とする上下顎位関係を調整する歯科器具。 - 前記突起部は、第1ハウジング状本体の上顎歯を収容する頬側面に沿って対顎方向へ延びて形成されており、または、前記突起部の頬側面は、前記第1ハウジング状本体の上顎歯を収容する頬側面から突出しており、または、前記突起部の舌側面は、前記第1ハウジング状本体の奥歯領域における歯の頬側咬頭頂に沿って対顎方向へ延びていることを特徴とする請求項1に記載の上下顎位関係を調整する歯科器具。
- 上顎歯を収容する第1ハウジング状本体と、下顎歯を収容する第2ハウジング状本体とを備える上下顎位関係を調整する歯科器具であって、
上下顎位関係を調整する突起部が前記第1ハウジング状本体の奥歯領域の舌側面に沿って対顎方向へ突設されており、前記突起部は、少なくとも前記第1ハウジング状本体と前記第2ハウジング状本体とが安定して作用する時の第2ハウジング状本体の舌側面を部分的に覆う作用端を含み、位置規制部が前記第2ハウジング状本体の舌側面に沿って舌側へ突設されており、前記突起部の近心面が前記位置規制部の遠心面と相互作用することによって上下顎位関係を調整し、
前記第1ハウジング状本体が前記第2ハウジング状本体と相互作用する時に、前記第1ハウジング状本体と前記第2ハウジング状本体とは1つの顎平面を形成し、前記作用端の近心面が前記位置規制部の遠心面と接触し、接触することによって形成された接触面の顎平面に近い一端は前記顎平面よりも高くないことを特徴とする上下顎位関係を調整する歯科器具。 - 前記突起部は、第1ハウジング状本体の上顎歯を収容する舌側面に沿って対顎方向へ延びて形成されており、または、前記突起部の舌側面が前記第1ハウジング状本体の上顎歯を収容する舌側面から突出しており、または、前記突起部の頬側面が前記第1ハウジング状本体の奥歯領域における歯の舌側咬頭頂に沿って対顎方向へ延びていることを特徴とする請求項3に記載の上下顎位関係を調整する歯科器具。
- 前記第1ハウジング状本体が前記第2ハウジング状本体と相互作用する時に、前記作用端の端部は、前記第2ハウジング状本体の歯肉縁端よりも低く、または、前記作用端の近心面と前記位置規制部の前記遠心面とは、相互作用する時に安定性を向上させる構造をそれぞれ有し、任意に選択可能であるが、前記安定性を向上させる構造は、相互作用する曲面構造、凹凸がマッチングする構造、つや消し面を有する構造、凸角点を有する構造、透かし彫り面を有する構造、または穴明け面を有する構造の1種、2種または複数種の組み合わせであることを特徴とする請求項1または3に記載の上下顎位関係を調整する歯科器具。
- 前記突起部の歯列の近遠心方向に沿った長さは、少なくとも奥歯領域の近遠心方向の歯の長さを部分的に覆い、任意に選択可能であるが、前記突起部の歯列の近遠心方向に沿った長さは、少なくとも奥歯領域における1つの歯の近遠心方向の長さを覆うことを特徴とする請求項1または3に記載の上下顎位関係を調整する歯科器具。
- 前記突起部は、前記第1ハウジング状本体に対応する第2小臼歯と第1大臼歯との間に位置することを特徴とする請求項1または3に記載の上下顎位関係を調整する歯科器具。
- 前記第2ハウジング状本体には、前記位置規制部と協働して前記突起部の相対移動を規制する補助部がさらに設けられており、前記補助部の近心面と前記突起部の遠心面には、調整された上下顎位関係を安定させるように、相互作用する接触面が設けられており、前記第1ハウジング状本体が第2ハウジング状本体と相互作用する時に、前記突起部は、前記位置規制部と前記補助部との間に位置することを特徴とする請求項1または3に記載の上下顎位関係を調整する歯科器具。
- 前記第1ハウジング状本体には、複数の前記突起部が設けられており、前記第2ハウジング状本体には、前記突起部と相互作用する複数の前記位置規制部が設けられており、前記複数の突起部が前記複数の位置規制部と相互作用することによって上下顎位関係を正常となるように調整することを誘導することを特徴とする請求項1または3に記載の上下顎位関係を調整する歯科器具。
- 前記突起部の剛性は、前記第1ハウジング状本体の上顎歯を収容する領域の剛性よりも大きく、前記位置規制部の剛性は、前記第2ハウジング状本体の下顎歯を収容する領域の剛性よりも大きいことを特徴とする請求項1または3に記載の上下顎位関係を調整する歯科器具。
- 前記突起部と前記第1ハウジング状本体の上顎歯を収容する領域とは、厚さ、硬度、材料、層数のうちの少なくとも1つが異なっており、前記位置規制部と前記第2ハウジング状本体の下顎歯を収容する領域とは、厚さ、硬度、材料、層数のうちの少なくとも1つが異なっていることを特徴とする請求項10に記載の上下顎位関係を調整する歯科器具。
- 前記突起部および/または前記位置規制部には、充填部が設けられていることを特徴とする請求項1または3に記載の上下顎位関係を調整する歯科器具。
- 前記突起部及び前記位置規制部には、相対的な顎位関係を安定させかつ極性が逆である磁石がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の上下顎位関係を調整する歯科器具。
- 前記突起部と前記補助部内には、それぞれ上下顎位関係を調整することを誘導し、かつ極性が同じである磁石が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の上下顎位関係を調整する歯科器具。
- 前記突起部及び前記位置規制部内には、相対的な顎位関係を安定させかつ極性が逆である磁石がそれぞれ設けられており、前記補助部内には、極性が前記突起部内と同じである磁石が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の上下顎位関係を調整する歯科器具。
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