JP3237308B2 - ディーゼルエンジンの制御装置 - Google Patents

ディーゼルエンジンの制御装置

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JP3237308B2
JP3237308B2 JP13489693A JP13489693A JP3237308B2 JP 3237308 B2 JP3237308 B2 JP 3237308B2 JP 13489693 A JP13489693 A JP 13489693A JP 13489693 A JP13489693 A JP 13489693A JP 3237308 B2 JP3237308 B2 JP 3237308B2
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    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02BINTERNAL-COMBUSTION PISTON ENGINES; COMBUSTION ENGINES IN GENERAL
    • F02B3/00Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition
    • F02B3/06Engines characterised by air compression and subsequent fuel addition with compression ignition

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  • Valve Device For Special Equipments (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディーゼルエンジンの
制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】排気ガス中の有害成分であるNOxの発
生を抑制するために、吸気管に不活性の排気ガスを再循
環させる、いわゆるEGR装置が周知である。このEG
R装置では、排気ガスの一部を吸気管に戻すEGR通路
を開いて一定量の排気ガスを吸入空気に混合させること
により燃焼時の最高温度を下げるのである。
【0003】ところで、EGR率(=EGR量/新気量
×100%)が大きくなると、スモークの排出濃度が増
す。このため、特開昭60−162018号公報では、
EGR率が大きくなるのに合わせてスワールを強化して
いる。
【0004】これは、EGR率が大きくなると、スワー
ルを強くして燃焼時の空気と燃料のミキシングを改善す
ることで、スモークを低減するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のディーゼルエンジンの制御装置にあっては、
EGR率を大幅に高くしたときのスモークの増大を抑え
ることが困難である。
【0006】例えば図15にEGR率に対するNOxと
スモークの各濃度を示すと、EGR率の増加とともに、
NOx濃度は大幅に減少していくのに反して、スモーク
濃度が急激に増大する。この場合に、スワール比SRを
大きくすると、全般的にスモーク濃度を小さくできるの
であるが、それでもEGR率の高い領域になると、スモ
ーク濃度の限界値を越えている。スワールによるスモー
ク濃度の低減効果は、拡散燃焼時の空気と燃料の拡散速
度を速めることにより得られるため、高EGR率によっ
て酸素濃度が低い状況下になると、空気中の酸素不足に
よりその効果はあまり大きくならない。
【0007】また、スワール比SRを大きくすると、N
Ox濃度も大きくなっている。
【0008】さらに、EGR量が増加すると、吸気系
カーボンが堆積して性能の悪化を来たしたり、吸気弁の
スティック等が生じる可能性がある。
【0009】本発明は上記の問題点に着目し、EGR量
を増加することなく、NOxとスモークをともに低減す
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
エンジンの運転条件に応じて吸入空気量を低減する手段
1と、吸入空気量が低減される運転域で、トルクが増大
する場合或いはエンジン回転数が減少する場合に燃料噴
射時期を遅角させて着火遅れ期間を長くする手段2とを
備える。
【0011】請求項2記載の発明は、エンジンの運転条
件に応じて吸入空気量を低減する手段1として、燃焼室
に連通する吸気ポートと、吸気ポートをエンジン回転に
同期して開閉する吸気弁と、エンジンの運転条件に応じ
て吸気弁の開閉時期を可変とする機構とを備える。
【0012】請求項3記載の発明は、吸入空気量が低減
される運転域で着火遅れ期間を長くする手段2として、
燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射弁と、エンジン回転に
同期して燃料噴射弁に燃料を圧送する燃料噴射ポンプ
と、燃料噴射時期を可変とする機構と、吸入空気量が低
減される運転域でこの燃料噴射時期可変機構を介して燃
料噴射時期を上死点後に制御する手段とを備える。
【0013】請求項4記載の発明は、エンジンの運転条
件に応じて吸入空気量を低減する手段1として、1つの
燃焼室に連通する複数の吸気ポートと、各吸気ポートを
エンジン回転に同期して開閉する複数の吸気弁と、エン
ジンの運転条件に応じて一方の吸気弁の開閉時期を可変
とする機構と、少なくとも一方の吸気弁を圧縮行程中に
開弁させる制御手段を備える。
【0014】
【作用】請求項1記載の発明において、吸入空気量が低
減される運転域になると、燃焼温度が低くなり、NOx
濃度は減少するもののスモーク濃度が上昇する。
【0015】この運転域で、着火遅れ期間が大幅に長く
されると、NOx濃度だけでなく、スモーク濃度も共に
小さくなる。これは、通常のディーゼル燃焼は、着火遅
れ期間に形成される予混合気が一気に燃え上がる初期燃
焼と、この燃焼に引き続いて起こり、その燃焼速度が燃
料と空気の拡散速度によって制限をうける拡散燃焼(主
燃焼)とからなるが、着火遅れ期間が大幅に長くされる
と、燃焼のほとんどが予混合気燃焼となり、スモークが
発生しにくくなる。
【0016】請求項2記載の発明において、エンジンの
運転条件に応じて吸入空気量を低減する手段1として、
エンジンの運転条件に応じて吸気弁の開閉時期を可変と
する機構とを備えたため、吸入空気量を適確にコントロ
ールすることができる。
【0017】請求項3記載の発明において、吸入空気量
が低減される運転域で着火遅れ期間を長くする手段2と
して、燃料噴射時期を可変とする機構を備え、吸入空気
量が低減される運転域でこの燃料噴射時期可変機構を介
して燃料噴射時期を上死点後に制御する構成とすること
により、着火遅れ期間を大幅に長くすることが可能とな
り、燃焼のほとんどが予混合気燃焼として、スモークの
発生を有効に抑えることができる。
【0018】請求項4記載の発明において、エンジンの
運転条件に応じて吸入空気量を低減する手段1として、
1つの燃焼室に連通する複数の吸気ポートを開閉する複
数の吸気弁を備えるとともに、エンジンの運転条件に応
じて少なくとも一方の吸気弁の開閉時期を可変とする機
構を備え、一方の吸気弁を圧縮行程中に開弁させる構成
としたため、例えばエンジンの低速域では気筒内に一旦
吸い込んだ吸気を一方の吸気弁を介して吸気ポートに逆
流させ、燃焼に用いられる実質的な吸入空気量を大幅に
低減させ、例えばエンジンの高速域では各吸気弁を互い
に同期して吸気行程中に開弁させることにより、吸入空
気量が増大し、エンジンの高出力化がはかられる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。
【0020】図2において、5はディーゼルエンジン本
体、6は吸気通路、7は各気筒に吸気を分配する吸気マ
ニホールド、9は各気筒から排出されるガスを集める排
気マニホールド、8は排気通路、10はエンジン回転に
同期して各気筒に燃料を噴射する燃料噴射ポンプ、3は
この燃料噴射ポンプ10の燃料噴射時期を可変とする機
構、11は吸気弁の開閉時期を可変とする機構である。
【0021】図3に示すように、吸気弁開閉時期可変機
構11は、各吸気弁51を閉弁方向に付勢するバルブス
プリング52を備えるととともに、各吸気弁51の上端
に接合して油圧室53を画成するビストン54を備え
る。油圧室53に導かれる油圧力によりピストン54が
下降し、バルブスプリング52に抗して吸気弁51が開
弁するようになっている。
【0022】オイルポンプ55から吐出される作動油は
アキュームレータ56から入口側電磁切換弁57,58
を介して2つの油通路59,60に選択的に供給され、
一方の油通路59からエンジン回転に同期して回転する
ロータリバルブ61を介して#1気筒と#4気筒の各油
圧室53に選択的に供給され、他方の油通路60からエ
ンジン回転に同期して回転するロータリバルブ62を介
して#2気筒と#3気筒の各油圧室53に選択的に供給
されることにより、各吸気弁51が順に開弁作動する。
各油圧室53の作動油は各油通路59,60から各出口
側電磁切換弁63,64を介してタンク65に逃がされ
ることにより、各吸気弁51が順に閉弁作動する。
【0023】コントロールユニット4からの出力によ
り、各入口側電磁切換弁59,60の開弁時期が調節さ
れることにより、各吸気弁51の開弁時期が調節される
一方、各出口側電磁切換弁63,64の開弁時期が調節
されることにより、各吸気弁51の閉弁時期が調節さ
れ、吸気が燃焼室に吸入されるタイミングおよび吸気が
燃焼室に吸入される量が変化する。
【0024】図6に示すように、分配型燃料噴射ポンプ
10を構成する低圧フィードポンプ13はドライブシャ
フト12によりエンジン回転に同期して駆動される。フ
ィードポンプ13から吐出される燃料はポンプハウジン
グ内部のポンプ室15へと供給され、ポンプ室15の燃
料は吸入ポート16を通って高圧プランジャポンプ26
に送られる。
【0025】高圧プランジャポンプ26のプランジャ1
8は、カムディスク19が固定されており、継手14を
介して前記ドライブシャフト12により回転駆動され
る。
【0026】カムディスク19はスプリング21の付勢
力によって常に図の左方向に押圧されている。カムディ
スク19はエンジンの気筒数と同数のフェィスカム20
をもち、ローラリング22に配設されたフェィスカム2
0と同数のローラ23を乗り越えて回転する。
【0027】これにより、プランジャ18は、回転しな
がら所定のカムリフトだけ軸方向に往復運動することに
なり、この回転往復運動に伴い吸入ポート16から吸引
された燃料が通路28を通って気筒毎に設けられた分配
ポート24へと圧送され、その後各デリバリバルブ25
を通過して図示しない噴射ノズルへと供給され、各気筒
への燃料噴射が行われる。
【0028】このときの燃料噴射量はプランジャ18に
通路28と連通して形成されたカットオフポート30を
開閉するコントロールスリーブ31の位置により調節さ
れる。コントロールスリーブ31はコントロールレバー
32等を介してアクセルに連動するとともに、ドライブ
シャフト12に駆動されるガバナ機構33の作動によっ
ても制御され、アクセル開度と機関回転数に対応して燃
料噴射量が増減される。
【0029】燃料噴射時期はローラリング22の回転位
置によって調節され、ローラリング22はフィードポン
プ13から吐出される燃料圧力を受けて移動するタイマ
ーピストン29によって回転させられる。
【0030】タイマーピストン29の両端に圧力室35
と背圧室36が画成され、圧力室35はポンプ室15を
介してフィードポンプ13の吐出側に連通し、背圧室3
6はフィードポンプ13の吸込側に連通する。
【0031】圧力室35の圧力が上昇するとタイマーピ
ストン29がスプリング39に抗して移動し、ローラリ
ング22を動かしてプランジャポンプ26の圧縮時期
(噴射時期)を進角するようになっている。
【0032】タイマーピストン29の位置を調節する燃
料噴射時期可変機構3として、タイマーピストン29の
圧力室35と背圧室36を連通する通路37の途中にデ
ューティ制御弁40が設けられる。この制御弁40はそ
の駆動パルスのデューティ比が小さくなると開度が減少
し、低圧側への逃がし量を減らしてタイマーピストン2
9を進角側に移動させ、反対にデューティ比が大きくな
ると開度を増大して、タイマーピストン29を遅角側に
移動させる。なお、図6において、フィードポンプ13
とタイマーピストン29は、それぞれ便宜上90°回転
して画かれている。
【0033】そしてコントロールユニット4が、タイマ
ーピストン29の位置を検出するセンサからの各検出信
号を入力して、制御弁40に送られる駆動パルスのデュ
ーティ比を0〜100%の間で制御することにより、タ
イマーピストン29の位置をエンジン回転数に応じた目
標位置にフィードバック制御し、燃料噴射時期を調節す
る。
【0034】コントロールユニット4は、エンジン回転
数とエンジン負荷の検出信号が入力され、エンジンの運
転条件に応じて吸気弁開閉時期可変機構11を介して吸
入空気量を低減する制御を行う。
【0035】吸入空気量を低減しない運転条件では、吸
気弁51の開閉時期を図4の(a)図に示すようにピス
トンの上死点から下死点に渡って開弁する特性にする一
方、吸入空気量を低減する運転条件では、吸気弁51が
図4の(b)図に示すようにピストンの下死点の手前で
閉弁する特性に切換えられ、各気筒に吸入される空気量
を大幅に減らすようになっている。
【0036】図5に吸入空気量の制御特性を示すと、3
200rpm以下の低中回転域で中負荷から高負荷にか
けて吸入空気量が50%から80%へと段階的に増やさ
れ、3200rpmより高い高回転域か高負荷域で吸入
空気量が100%と最大になる。
【0037】こうして、吸入空気量が低減される運転域
では、圧縮温度を低下させることにより、初期の燃焼温
度を抑えることにより、NOx濃度が減少する。
【0038】しかし、吸入空気量が低減されるとNOx
濃度が低減できるものの、その一方でスモーク濃度が急
激に上昇する。
【0039】これに対処するため、コントロールユニッ
ト4は、吸気弁開閉時期可変機構11を介して吸入空気
量が低減される運転域になると、着火遅れ期間が長くな
るように燃料噴射時期可変機構3を介して燃料噴射時期
を上死点後まで遅らせる制御を行う。
【0040】吸入空気量の特性(図5)に対比させて、
図7に燃料噴射時期の特性を示すと、低回転域での中負
荷から高負荷にかけての運転域で噴射時期を上死点後
(+4ATDCと+2ATDC)にするのである。これ
は噴射時期の大幅な遅延によって吸気を低温状態にし、
予混合気燃焼の比率を増大させることによって、スモー
クの発生を抑制するためである。
【0041】図7において、中回転から高回転での中高
負荷域になると、エンジン回転数の増加とともに噴射時
期を進めている。これは着火遅れの時間が一定であって
も、着火遅れクランク角度(着火遅れ時間をクランク角
度に換算した値)がエンジン回転数の増加に比例して大
きくなるので、どんな回転数においても着火時期をほぼ
一定に保つため、回転数の増加に伴い噴射時期を進める
のである。例えば、1200rpmで1msecは7.
2°のクランク角度に相当するが、3倍の3600rp
mになると1msecは2.4°のクランク角度であ
る。つまり1200rpmと3600rpmで着火時期
を同じにするには、3600rpmの回転数では120
0rpmのときより噴射時期を約5°だけ進角する必要
がある。
【0042】一方、図7においてスモークを発生しない
低負荷域ではスモーク発生を抑制する必要がないこと、
および炭化水素HCの急増を抑制するため、噴射時期を
高負荷より進めている。これは、燃焼室壁温が低くなる
低負荷域で高負荷域と同じ噴射時期にすると、着火遅れ
期間が長びくことに起因して着火時期が遅れ、燃焼温度
が低下するため、かえってHC濃度が大きくなるからで
ある。
【0043】図7に示した噴射時期が得られるように、
コントロールユニット4では燃料噴射時期可変機構3の
デューティ制御弁40の開弁割合を制御する。
【0044】図8は燃料の噴射時期と噴射期間(噴射
量)を制御するための流れ図で、一定周期で実行され
る。
【0045】まず、エンジン回転数Ne、アクセル開度
Acc、冷却水温TWおよび燃料温度TFを読込む(ス
テップ1)。なお、エンジン回転数Neは、リファレン
スパルス(噴射ポンプ10の1回転当たり1個のパル
ス)とスケールパルス(噴射ポンプ10の1回転当たり
36個のパルス)から計算する。冷却水温TWおよび燃
料温度TFは図示しない各センサで検出している。
【0046】読込まれたエンジン回転数Neとアクセル
開度Accからは燃料の基本噴射時期Itmと燃料の基
本噴射期間Avmを各マップからそれぞれルックアップ
して求める(ステップ2)。
【0047】基本噴射時期Itmのマップは、図7の噴
射時期特性が得られるようにアクセル開度Accとエン
ジン回転数Neをパラメータとして定めたマップ(図示
せず)である。基本噴射期間Avmは、図9のようにア
クセル開度Accが大きくなるほど長くしている。
【0048】一方、燃料温度TFと冷却水温TWから
噴射時期補正量ΔItmを求め、これを基本噴射時期I
tmに加算することによって噴射時期を補正する(ステ
ップ3、4)。
【0049】噴射時期補正量ΔItmは2つの補正量Δ
Itm1、ΔItm2の和で、図10が燃料温度補正量Δ
Itm1の特性、図11が水温補正量ΔItm2の特性で
ある。いずれの特性においても低温になるほど進角補正
量を大きくするのは、低温になるほど燃焼速度が遅くな
るからである。言い換えると温度補償を行うのである。
【0050】こうして得た噴射時期IT(Itm+ΔI
tm)と基本噴射期間Avmとは所定のアドレスに格納
する(ステップ5)。この噴射時期ITが得られるよう
に、コントロールユニット4では燃料噴射時期可変機構
3のデューティ制御弁40の開弁割合が制御されるので
ある。
【0051】以上のように構成され、次に作用について
説明する。
【0052】図12は、燃料噴射時期を上死点前にした
場合と上死点後にした場合の吸気量減少率に対するNO
xとスモークの各濃度特性を示し、上死点前の噴射時期
(IT=−4ATDC)では吸気量減少率が高くなるの
に伴い、NOx濃度は減少するもののスモーク濃度が急
激なカーブで上昇している。
【0053】これに対して、上死点後の噴射時期(IT
=+4ATDC)になると、スモーク濃度までが低下傾
向を示している。スモーク濃度がこのように減少するの
は、図中に示した熱発生パターンをみれば分かるよう
に、噴射時期の極端な遅延と高吸気量減少率の組み合わ
せにより、着火遅れ期間が大幅に長くなり、燃焼の大半
が予混合気燃焼となっているためである。
【0054】図12には上死点後のクランク角度が4°
の例で示しているが、予混合気燃焼と拡散燃焼の臨界点
はエンジンの機種により異なるので、上死点後何度にす
るかはエンジンごとのマッチングにより定めることにな
る。
【0055】また、図13に燃料消費率の特性を示す
と、この例での噴射時期の遅延により等容度は悪化する
ものの、その一方で燃焼温度の低下によって冷却損失が
大幅に低減するため、噴射時期を遅延させても燃料消費
率が悪化することはない。
【0056】なお、等容度とは仕事変換効率を意味させ
ており、仕事変換効率は仕事変換効率=図示仕事/熱発
生量=図示仕事/(1−冷却損失)により定義される値
である。
【0057】また、この例では燃料温度や冷却水温度が
低くなるほど噴射時期を進角補正することで温度補償を
行い、これによって低温時にも高温時と同じ着火時期が
得られる。
【0058】次に、図14に示した他の実施例は、エン
ジンの運転条件に応じて吸入空気量を低減する手段とし
て、1つの燃焼室に連通する2つの吸気ポートと、各吸
気ポートをエンジン回転に同期して開閉する2本の第
一、第二吸気弁と、エンジンの運転条件に応じて第二吸
気弁の開閉時期を可変とする機構11(図3)と、吸入
空気量を低減する運転条件で第二吸気弁を圧縮行程中に
開弁させる制御手段を備えるものである。
【0059】図14において、エンジンの低速域では
(a)図に示すように第一吸気弁をピストンが下降する
吸気行程中に主として開弁させる一方、第二吸気弁をピ
ストンが上昇する圧縮行程中に開弁させることにより、
気筒内に一旦吸い込んだ吸気を第二吸気弁を介して吸気
ポートに逆流させ、燃焼に用いられる実質的な吸入空気
量を大幅に低減させる。
【0060】こうして、吸入空気量が低減される運転域
では、圧縮温度を低下させることにより、初期の燃焼温
度を抑えることにより、NOx濃度が減少するものの、
その一方でスモーク濃度が急激に上昇する。
【0061】これに対処するため、吸気弁開閉時期可変
機構11を介して吸入空気量が低減される運転域になる
と、着火遅れ期間が長くなるように燃料噴射時期可変機
構3(図6)を介して燃料噴射時期を上死点後まで遅ら
せる制御が行われる。
【0062】図14において、エンジンの高速域では
(b)図に示すように第一、第二吸気弁は互いに同期し
て開閉作動し、ピストンが下降する吸気行程中に主とし
て開弁することにより、吸入空気量が増大し、エンジン
の高出力化がはかられる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の発明
は、ディーゼルエンジンの制御装置において、エンジン
の運転条件に応じて吸入空気量を低減する手段と、吸入
空気量が低減される運転域で、トルクが増大する場合或
いはエンジン回転数が減少する場合に燃料噴射時期を遅
角させて着火遅れ期間を長くする手段とを備えたため、
EGR量を増加して運転性を悪化させることなく、NO
xとスモークをともに低減することができる。
【0064】請求項2記載の発明は、エンジンの運転条
件に応じて吸入空気量を低減する手段として、エンジン
の運転条件に応じて吸気弁の開閉時期を可変とする機構
とを備えたため、吸入空気量を適確にコントロールする
ことができる。
【0065】請求項3記載の発明は、吸入空気量が低減
される運転域で着火遅れ期間を長くする手段として、燃
料噴射時期を可変とする機構を備え、吸入空気量が低減
される運転域でこの燃料噴射時期可変機構を介して燃料
噴射時期を上死点後に制御する構成とすることにより、
着火遅れ期間を大幅に長くすることが可能となり、燃焼
のほとんどが予混合気燃焼として、スモークの発生を有
効に抑えることができる。
【0066】請求項4記載の発明は、エンジンの運転条
件に応じて吸入空気量を低減する手段として、1つの燃
焼室に連通する複数の吸気ポートを開閉する複数の吸気
弁を備えるとともに、エンジンの運転条件に応じて少な
くとも一方の吸気弁の開閉時期を可変とする機構を備
え、一方の吸気弁を圧縮行程中に開弁させる構成とした
ため、吸入空気量の調整幅を拡大し、エミッションの低
減とエンジンの高出力化を両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクレーム対応図。
【図2】本発明の実施例を示す概略構成図。
【図3】同じく吸気弁開閉時期可変機構の断面図。
【図4】同じく吸・排気弁の開閉特性図。
【図5】同じく吸入空気量の特性図。
【図6】同じく燃料噴射ポンプの断面図。
【図7】同じく燃料噴射時期の特性図。
【図8】同じく燃料の噴射時期と噴射期間の制御を説明
するためのフローチャート。
【図9】同じく基本噴射期間Avmの特性図。
【図10】同じく燃料温度補正量ΔITm1の特性図。
【図11】同じく基本噴射期間ΔITm2の特性図。
【図12】同じく吸入空気量減少率および燃料噴射時期
に対するスモークとNOxの各濃度特性図。
【図13】同じく吸入空気量減少率に対する冷却損失、
等容度、燃料消費率の特性図。
【図14】他の実施例を示す吸・排気弁の開閉特性図。
【図15】従来例のEGR率に対するスモークとNOx
の各濃度特性図。
【符号の説明】 1 吸入空気量低減手段 2 着火遅れ期間増大手段 3 燃料噴射時期可変機構 4 コントロールユニット 5 エンジン本体 6 吸気通路 8 排気通路 10 燃料噴射ポンプ 11 吸気弁開閉時期可変機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F02D 43/00 301 F02D 43/00 301Z (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 13/02 F01L 9/02 F02D 41/04 F02D 43/00 301

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンの運転条件に応じて吸入空気量を
    低減する手段と、吸入空気量が低減される運転域で、
    ルクが増大する場合或いはエンジン回転数が減少する場
    合に燃料噴射時期を遅角させて着火遅れ期間を長くする
    手段とを備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの
    制御装置。
  2. 【請求項2】 エンジンの運転条件に応じて吸入空気量
    を低減する手段として、燃焼室に連通する吸気ポート
    と、吸気ポートをエンジン回転に同期して開閉する吸気
    弁と、エンジンの運転条件に応じて吸気弁の開閉時期を
    可変とする機構とを備えたことを特徴とする請求項1記
    載のディーゼルエンジンの制御装置。
  3. 【請求項3】 吸入空気量が低減される運転域で着火遅
    れ期間を長くする手段として、燃焼室に燃料を噴射する
    燃料噴射弁と、エンジン回転に同期して燃料噴射弁に燃
    料を圧送する燃料噴射ポンプと、燃料噴射時期を可変と
    する機構と、吸入空気量が低減される運転域でこの燃料
    噴射時期可変機構を介して燃料噴射時期を上死点後に制
    御する手段とを備えたことを特徴とする請求項1または
    2記載のディーゼルエンジンの制御装置。
  4. 【請求項4】 エンジンの運転条件に応じて吸入空気量
    を低減する手段として、1つの燃焼室に連通する複数の
    吸気ポートと、各吸気ポートをエンジン回転に同期して
    開閉する複数の吸気弁と、エンジンの運転条件に応じて
    一方の吸気弁の開閉時期を可変とする機構と、少なくと
    も一方の吸気弁を圧縮行程中に開弁させる制御手段を備
    えたことを特徴とする請求項1または3記載のディーゼ
    ルエンジンの制御装置。
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