JP3236098B2 - 圧力センサ - Google Patents

圧力センサ

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JP3236098B2
JP3236098B2 JP34956692A JP34956692A JP3236098B2 JP 3236098 B2 JP3236098 B2 JP 3236098B2 JP 34956692 A JP34956692 A JP 34956692A JP 34956692 A JP34956692 A JP 34956692A JP 3236098 B2 JP3236098 B2 JP 3236098B2
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拓也 今橋
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば内視鏡等に用い
られるセンサに係り、特に対象物に接することにより該
対象物から受ける力の大きさと方向を検出するための圧
覚センサ(以下、圧力センサと称す)に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、内視鏡は体内を観察するための器
具としての機能よりも、観察を行いながら観察対象を操
作するといった機能を重視するようになってきている。
これは、胆嚢摘出手術に硬性鏡が使用されたりする情勢
より容易に推測でき、内視鏡を用いた手術や診断は今後
ますます拡大するものと予想される。このように、対象
物を複雑に操作可能な内視鏡は一般には多機能内視鏡と
呼ばれ、多機能内視鏡の機能の1つには内視鏡挿入時の
患者への苦痛を和らげるための機能がある。
【0003】この機能を発揮する構造として、内視鏡壁
面に圧力センサを配置することが考えられる。一般には
数多くの種類があるが、多機能内視鏡壁面に配置する圧
力センサとしては多機能内視鏡壁面の面積、多機能内視
鏡の体積の制限から使用可能な圧力センサは限られてく
る。
【0004】一方、内視鏡のように光を使用する装置に
おいては、当該光を利用することにより省線化が可能で
あると考えられている。そして、この光を使用する圧力
センサとしては、例えば図22に示すような構成の特開
昭60−120229号公報により開示された技術があ
る。さらに、内視鏡に実際に挿着した圧力センサの従来
技術としては、感圧導電ゴムを用いた図23に示すよう
な構成の特開平2−77226号公報により開示された
技術がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図22
に示すように、光を利用する圧力センサは、光導波路7
2と感圧体となるシート73の光導波路72と接する部
分に設けた突起73aの接触面積の変化を光導波路72
からの散乱光として捉え、これにより圧力をセンシング
するため、光導波路72と感圧シート73の各突起73
aの接触状態の均一化やフォトトランジスタアレイ74
などの受光素子が必要なため小型化が非常に難しくな
る。
【0006】また、図23に示すように、感圧導電ゴム
75を用いた圧力センサ76を内視鏡77に実装した技
術では、導電ゴムが粘弾性体のためヒステリシスが大き
く繰り返し、再現性に乏しいといわれている。本発明は
上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とするとこ
ろは、圧力の大きさだけでなく方向も測定可能とた圧力
センサを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の静電容量型圧力センサでは、所定の位置に
固定された第1の電極(固定電極)と、前記第1の電極
と反対側に凸のドーム状受圧部に含まれると共に、前記
第1の電極と所定の距離を隔てて対向するように配置さ
れ、かつ柔軟性を有する第2の電極(柔軟電極)とを具
備し、前記第1及び第2の電極のうち、少なくともいず
れか一方の電極は、他方の電極と対向する電極部分が複
数に分割されており、前記受圧部が前記第1及び第2の
両電極間の距離方向に変形可能に保持され、前記受圧部
に圧力が加わることによって生じる前記両電極間の静電
容量変動を利用して圧力及び圧力の方向を検出すること
を特徴とする。
【0008】
【作用】即ち、本発明の静電容量型圧力センサでは、第
1の電極(固定電極)は、所定の位置に固定されてい
る。第2の電極(柔軟電極)は、前記第1の電極と反対
側に凸のドーム状受圧部に含まれると共に、前記第1の
電極と所定の距離を隔てて対向するように配置され、か
つ柔軟性を有している。そして、前記第1及び第2の電
極のうち、少なくともいずれか一方の電極は、他方の電
極と対向する電極部分が複数に分割されている。前記受
圧部は、前記第1及び第2の両電極間の距離方向に変形
可能に保持され、前記受圧部に圧力が加わることによっ
て生じる前記両電極間の静電容量変動が利用されて圧力
及び圧力の方向が検出される。
【0009】
【実施例】先ず、本発明の実施例の説明に先立ち、本発
明の基本原理について説明する。図2(a)乃至(c)
は、本発明の圧力センサの基本原理を示す図である。
【0010】同図(a)乃至(c)に示すように、圧力
センサの圧力受圧部の構成は、圧力に対して撓む程度の
硬さを持つ柔軟性のある導電体の柔軟電極1と、少なく
とも2個以上に等しい面積に分割された固定電極2,3
とからなり、当該固定電極2,3と柔軟電極1とを順次
積層した構成となっている。
【0011】図2(a)において、柔軟電極1は導電材
料からなる柔軟な材料であり、上記固定電極2,3に
は、それぞれ独立した出力端子4,5が設けられてお
り、柔軟電極1にも同様に出力端子6が設けられてい
る。そして、上記柔軟電極1と固定電極2,3とでコン
デンサを構成しており、柔軟電極1の出力端子6と固定
電極2,3の出力端子4,5とに電圧を印加すると、該
柔軟電極1と固定電極2,3との間には、その距離に応
じた静電容量Cを発生し、静電容量Cは次式(1)のよ
うに与えられる。 C=εS/d …(1) ここで、εは電極間の物質の比誘電率、Sはコンデンサ
の面積、dは電極間の距離である。
【0012】即ち、距離dが変化すると静電容量Cが変
化し、この静電容量変化を検出することにより柔軟電極
1と固定電極2,3間の距離が測定できる。そして、圧
力に対する柔軟電極1の変化量、即ち歪みはフックの法
則により柔軟電極1の材料のヤング率(弾性係数)に主
に依存する。よって、柔軟電極1に使用する材料のヤン
グ率を予め正確に測定しておけば、出力端子4,5,6
から測定される静電容量変化で柔軟電極1に加わる圧力
の測定が可能となる。また、固定電極2,3を分割する
ことにより、圧力が加わった方向の検出も可能となる。
【0013】例えば、図2(b)のように、柔軟電極1
に対して圧力が垂直に加えられたとき、固定電極2,3
の静電容量C1,C2は柔軟電極1と固定電極2,3の
間の平均距離d1が同じ為、上記(1)式より等しくな
る。
【0014】一方、図2(c)のように、圧力が柔軟電
極1に対してある傾きを持って加えられたとき、固定電
極2と柔軟電極1の距離d2、固定電極と柔軟電極1の
距離d3の両者が異なり、出力端子4,5から出力され
る静電容量C2,C3は異なる。そして、静電容量Cは
距離dが小さくなると大きくなり、距離dが大きくなる
と静電容量Cは小さくなる。
【0015】よって、図2(c)のように、圧力が加え
られた時には静電容量C3の方がC2より大きくなり、
このように静電容量を比較することにより、固定電極
の方向から圧力が加えられたことが判断できる。また、
圧力の大きさは静電容量C2とC3の和より求めること
ができる。即ち、固定電極を分割することにより、分割
された固定電極間の静電容量の大きさを比較することで
圧力の加えられた方向が検知でき、固定電極全体の静電
容量を測定することで圧力の大きさが測定できる。次
に、図3は、このような原理により検出される静電容量
を基にして圧力の方向と大きさを検出する回路の構成を
示す図である。
【0016】同図において、出力端子4,5より出力さ
れる静電容量Cは静電容量検出回路7a,7bにより電
圧として検出され、さらに、コンデンサの特徴である高
インピーダンスを変換するインピーダンス変換回路8
a,8bに接続される。そして、ここでの出力を基に固
定電極2,3で構成されるコンデンサの静電容量の差と
和を判断回路9を用いて求め、圧力の方向及び大きさを
求める。ここで、図3に示した固定電極2,3から出力
される静電容量を検出する静電容量検出回路7a,7b
の基本構成は図4に示す通りである。
【0017】同図に示すように、基本構成として交流電
源11と、上記固定電極2と柔軟電極1若しくは上記固
定電極3と柔軟電極1で構成されるセンシングキャパシ
タC12と、当該センシングキャパシタC12
の静電容量を電圧に変換するためのロードキャパシタC
13とで構成されている。このような構成の回路に
おいて、上記センシングキャパシタC12は出力端
子14より電圧Vとして出力される。尚、ロードキャ
パシタC13を用いる代りに、図に示すようにロ
ードレジスタンスR15を用いることも可能であ
る。
【0018】この静電容量検出回路7a,7bからの出
力電圧VL は、インピーダンスが高く非常に扱いにくい
為、インピーダンス変換を行う必要がある。そこで、図
6に示す基本構成のインピーダンス変換回路を用いてイ
ンピーダンス変換を行う。
【0019】図6において、12はセンシングキャパシ
タCS 、13はロードキャパシタCL 、16はMOSト
ランジスタ、17は接地用の抵抗、18は出力電圧
L ′の出力端子を示し、トランジスタ16のゲート電
極は図4、図5における出力端子14に相当する。更
に、この図6におけるロードキャパシタCL 13を図5
に示したようにロードレジスタンスRL 15とすること
も可能である。
【0020】そして、この回路より出力された電圧
’は、他の固定電極と柔軟電極で構成されるコンデ
ンサからの出力電圧 ’’と出力電圧の比較及び加算
を行う為、図7(a),(b)に示すような差動オペア
ンプ19と加算オペアンプ70とに入力され、該オペア
ンプ19,70の出力を基にして圧力の方向と大きさを
求める。以下、図面を参照して、このような基本原理に
基づく本発明の実施例に係る圧力センサについて説明す
る。図1は本発明の第1の実施例に係る圧力センサを層
状に分解したときの外観図であり、図8は図1の各部を
積層したときの断面図である。
【0021】同図に示すように、第1の実施例に係る圧
力センサは、基本的にドーム状電極20と絶縁膜21
と、分割されギャップ23により絶縁されて電気的に独
立した固定電極24乃至27と、該固定電極24乃至2
7の配置された基板28と、ドーム状電極20、固定電
極24乃至27で構成されるコンデンサの静電容量変化
を検出するための基準静電容量用電極として基板29に
設けた下部固定電極30乃至33と、基板28との間に
積層される誘電体34とで構成されている。
【0022】このような構成において、上記ドーム状電
極20は、例えばウレタンゴム等の材料にカーボンブラ
ック、金属粉末、金属繊維等を混入したヒステリシスが
少なく導電性のある柔軟体で、上記固定電極24乃至2
7の配置された基板28の上部に電気的な絶縁膜21を
介して絶縁膜21と平行な部位20aの部分を接着して
ある。また、上記絶縁膜21を固定電極24乃至27の
上部21aにも設けることにより、過大な圧力が加えら
れドーム状電極20が大きく変形しても固定電極24乃
至27との電気的なショートを防ぐことができ、更に絶
縁膜21とドーム状電極20が接触しているため過大な
圧力に対するストッパとしても働く。
【0023】さらに、上記基板28の下部には固定電極
24乃至27と基準用コンデンサを構成するための構造
が存在し、固定電極24乃至27と対向する位置に下部
固定電極30乃至33を配置する。そして、上記コンデ
ンサはドーム状電極20と固定電極24乃至27で構成
される。コンデンサの静電容量変化を検出するための基
準用のコンデンサとして用いるため、静電容量変化が無
いようにする必要がある。そこで、前記理由により、上
記固定電極24乃至27と下部固定電極30乃至33の
間34には電極間の距離変化による静電容量変化を抑え
る構造で温度による電極間の静電容量変化も最小となる
ような物質を充填してある。
【0024】尚、上記物質は液体であれば、紙などに吸
収させて充填することが考えられ、固体や気体であれば
そのまま充填してもよい。さらに、紙や固体を充填する
ことにより距離変化がなくなり、気体の時には高圧にし
て充填することにより距離変化を抑えることが可能とな
る。
【0025】そして、上記ドーム状電極20と下部固定
電極30乃至33のそれぞれの端子35,40,41,
42,43には外部の交流電源より交流電圧が印加さ
れ、ドーム状電極20と上記固定電極24乃至27で構
成されるコンデンサの静電容量変化は、上記固定電極2
4乃至27の各々に接続された出力端子36乃至39よ
り検出が可能となる。次に、図9は、先に図2に示した
上記固定電極24乃至27からの出力端子と先に図3に
示した判断回路9の一例の構成を示す図である。
【0026】同図において、固定電極24乃至27から
の出力された静電容量は静電容量検出回路、インピーダ
ンス変換回路で構成される回路45a乃至45dで電圧
に変換される。この回路45a乃至45dからの各固定
電極からの出力は、同期して駆動するスイッチ46乃至
49に接続される。さらに、上記スイッチ46乃至49
により回路45a乃至45dからの出力を差動回路54
と加算回路55に振り分けることが可能となる。また、
スイッチ47,49で端子1に接続した場合、この端子
はスイッチ50,51に接続される。このスイッチ5
0,51は同期して駆動し、当該スイッチ50,51を
駆動することにより差動回路54において比較すべき固
定電極からの出力電圧を振り分ける。よって、差動出力
端子52からは差動出力が出力され、加算出力端子53
からは加算出力が出力される。これにより、固定電極に
発生する静電容量の差と和を検出することが可能とな
り、圧力センサに加えられた圧力の方向と大きさの測定
が可能となる。
【0027】ここで、上記固定電極24乃至27からの
出力電圧を、それぞれV1 ,V2 ,V3 ,V4 とし、各
出力電圧から圧力の加わっている方向と大きさを求め
る。
【0028】まず、スイッチ46乃至49の端子を全て
“1”にし、スイッチ50,51のスイッチを動かすこ
とによりV1 とV2 の和とV3 とV4 の和の差V1234
1とV4 の和とV2 とV3 の和の差V1423が計算さ
れ、各差の値より圧力の加えられた方向が求められる。
また、スイッチ46乃至49の端子を“2”にすること
によりV1 ,V2 ,V3 ,V4 が加算回路に接続され、
加算出力53より固定電極24乃至27の出力静電容量
の総和が出力される。
【0029】図10は、静電容量分布の一例の模式図で
あり、同図の状態において圧力の方向と大きさを求める
と、差動出力から出力される電圧はV1234において
は正の電圧が出力され加えられた圧力の方向がX軸の負
の方向からであることが分かる。また、V1423にお
いては正と出力されるため、Y軸の正の方向から圧力が
加えられていることが分かる。さらに、両者の比をとる
ことにより方向だけではなく角度も測定することが出来
る。次に、図11(a),(b)は、それぞれ圧力が垂
直方向から加えられたときのセンサの断面図と、そのと
きの電荷の分布を模式的に示した上面図である。いま、
本発明の圧力センサに対象物が触れるなどして圧力が加
わった場合、圧力はドーム状電極20を変形させる。
【0030】このとき、図11(a)に示すように、圧
力センサに対して垂直方向に圧力が加わるとドーム状電
極20は変形し、この時の固定電極24乃至27におけ
る静電容量分布は模式的に図11(b)に示すようにな
る。この時の固定電極24乃至27の静電容量変化は先
に図9に示した回路により検出する。この時、検出され
る静電容量は出力端子36乃至39において等しくな
り、圧力センサに加わった圧力がセンサに対して垂直方
向からの圧力であることが判定できる。また、出力端子
36乃至39から検出される静電容量の総和は加えられ
た圧力の大きさに比例して大きくなるため、静電容量の
総和が加えられた圧力に相当する。
【0031】図12乃至14は、圧力センサに加わる圧
力が該圧力センサに対して斜め方向から加えられたとき
のドーム状電極20の変形状態と固定電極24乃至27
における静電容量分布を模式的に示す図である。即ち、
図12(a),(b)は、それぞれ圧力が右方向から加
えられたときのセンサの断面図及び固定電極の上面図と
そのときの電荷の分布を模式的に描いた上面図であり、
図13(a),(b)は圧力が左方向から加えられたと
きのセンサの断面図及び固定電極の上面図とそのときの
電荷の分布を模式的の描いた上面図であり、図14
(a),(b)は図12に示した圧力の方向よりさらに
右方向に傾いた圧力が加えられときのセンサの断面図及
び固定電極とそのときの電荷の分布を模式的に描いた上
面図である。このとき、上述のように各固定電極からの
出力端子36乃至39からの静電容量を検出し、その各
々を差動回路54で比較することにより圧力の加わって
いる方向が検出可能である。つまり、図12においては
出力端子38,39の静電容量が出力端子36,37の
静電容量よりも大きく、圧力がX軸方向負に向かった圧
力方向を持ち、その大きさは加算回路55で検出した静
電容量変化の総和、出力端子36乃至39の出力静電容
量の総和に相当する。
【0032】そして、図13においては、出力端子3
6,37の静電容量が出力端子38,39の静電容量よ
りも大きい為、圧力の方向がX軸方向に向かった方向
となる。さらに、図14においては、出力端子38,3
9の静電容量が出力端子36,37の静電容量よりも大
きく、且つ、図12のときの出力端子38,39からの
出力静電容量に比較しても図14の方が大きい。そし
て、出力端子36,37に関してはこの逆である。即
ち、圧力の傾きが固定電極間の出力静電容量の差となり
現れる。ここで、ドーム状電極20の受圧面20bをド
ーム状、即ち半球状にすることにより、広い範囲の方向
の力を検出することが可能となると共に、接触面積をあ
らゆる方向において一定に保つことが可能となるため、
接触の仕方により測定される圧力のバラツキが小さくな
る。
【0033】以上のように、第1の実施例の圧力サンサ
は、圧力の大きさだけでなく方向の測定も可能であり、
特に、多機能内視鏡の壁面に取り付けることにより臓器
の凹凸により圧力測定に影響を受けることなく、圧力の
方向と大きさの測定が可能となり、操作者に圧力のデー
タを出力することにより、操作性が向上し、患者に苦痛
を与えることなく内視鏡の挿入が可能となる。
【0034】次に、図15を参照して、第2の実施例に
係る圧力センサについて説明する。同図に示すように、
第2の実施例の圧力センサは、前述した第1実施例の圧
力センサにおいて内部を空洞とした構成となっている。
このため、周囲の温度が下がると空洞内の気体が収縮
し、ドーム状電極20が半径方向に縮まるため、圧力が
加わらなくても圧力センサは圧力を検出してしまう可能
性がある。そこで、図15に示すようにドーム状電極2
0の一部に空気穴57を設けて、外部の空気と同じ気圧
がドーム状電極20の空洞部分22にかかるようにして
いる。従って、本実施例の圧力センサによれば、温度変
化による圧力変化の影響を取り除くことが出来る。次
に、図16を参照して、前述した温度変化による圧力変
化の影響を取り除くための第3実施例に係る圧力センサ
について説明する。
【0035】同図に示すように、第3の実施例に係る圧
力センサは、その基本構成は第1実施例とほぼ同じであ
るが、ドーム状電極20の空洞部分22に液体58を封
入したことを特徴とする。封入液体58は熱電導率が低
く誘電率の高い材料を使用する。これにより、本実施例
の圧力センサでは、周囲の温度が変化してもドーム状電
極9と固定電極24乃至27間の距離変化は殆ど発生せ
ず、温度変化による圧力への影響は非常に小さくなる。
また、熱膨張係数の低い気体を封入しても同様の効果が
得られる。
【0036】また、固定電極24乃至27は4分割する
ことにより圧力の方向が高精度に検出できるが、圧力の
方向を余り高精度を必要としない場合は4分割する必要
はなく、他の分割数でも良く、1方向のみの分解能でよ
い場合には、2分割で方向の測定が可能である。
【0037】図17は、先に図3,4に示した静電容量
検出回路からの出力電圧をその電圧値に応じた発振周波
数に変換する回路の構成を示す図である。ここでは、一
般的なハートレー回路を採用するが、上記のような差動
を行う回路なら他の回路でもよい。このハートレー回路
はトランジスタ59、コイル60、アンテナ61とで構
成されており、トランジスタ59のベースに図3、図4
における出力端子14を入力する。この回路は2つのコ
ンデンサCS 12、CL 13の静電容量によりトランジ
スタ59とコイル60で構成される閉回路に共振が生じ
る。上記閉回路にアンテナ61を接続することにより、
電波が発振され、電波を用いた出力電圧の伝達が可能と
なり、内視鏡の配線数を非常に少なくすることが可能と
なる。
【0038】また、図17に示す回路からの電波は、セ
ンシングキャパシタCS 12の変化を周波数変化として
伝達するため、各固定電極24乃至27からの出力は周
波数を比較することにより圧力の測定が可能となり、ま
た、周波数を伝達するため高いS/N比が得られる。次
に、図18乃至図21を参照して、本発明の圧力センサ
を実際に内視鏡62に実装した例について説明する。
【0039】図18に示すように、円周方向に本発明の
圧力センサを配置し、これを軸方向にある間隔で配置す
ることにより内視鏡62に加わる圧力が内視鏡62の軸
方向に沿ったデータとして検出可能となる。
【0040】さらに、図19(a),(b)に示すよう
に、本発明の圧力センサを、内視鏡62の外径とほぼ同
じで内視鏡よりも硬い材料のリング63上に配置し、当
該リング63を図19(b)に示すように内視鏡62に
はめ込むことにより、内視鏡62が屈曲してもリング6
3部分では屈曲が起こらず、屈曲による圧力センサへの
影響を低減することが可能となる共に、図18に示した
実装例と同様の効果が得られる。
【0041】この他、図20(a)に示すような内視鏡
の外壁より硬い材料の構造物64を用い、両端のリング
65,66の間に図20(b)に示すように本発明の圧
力センサを配置することもできる。そして、上記モジュ
ール67を図20(c)に示すように内視鏡62にはめ
込み、該内視鏡62が屈曲すると、この両端のリング6
5,66で屈曲による内視鏡外壁に発生する力を取り除
くことができ、リング65,66の間の本圧力センサは
内視鏡が屈曲しても正確に圧力を検出することが可能と
なる。
【0042】尚、この図18、図19(a),(b)、
図20(a)乃至(c)に示した圧力センサの配置の他
に、円周方向に3等分するような間隔で配置する方法
や、その他の等分割数も考えられ、この数は内視鏡操作
者が希望する圧力の内視鏡外壁における分解能に応じて
決定する。また、圧力センサを内視鏡壁面に螺旋状に配
置することも有効であるとも考えられる。
【0043】
【0044】さらに、多機能内視鏡等の筒状物の外周に
本圧力センサを設け、これらが対象物と接触したとき圧
力の方向と大きさを検出することが可能となり、一方、
本圧力センサが小型のため圧力の測定による内視鏡の径
の増加にはつながらない。
【0045】また、圧力検出回路にコンデンサを用いて
いるため、電力消費量が少なくなり、熱による圧力デー
タへの影響を取り除くことが可能となり、且つ、空洞部
分の熱膨張を防ぐための機構を設けることにより、更に
は熱に対する影響を軽減することができる。尚、本発明
は、前述した実施例に限定されるものではなく、円筒状
構造物に加えられる圧力の検出など広く適用が可能であ
る。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、圧力の大きさだけ
でなく方向も測定可能とした圧力センサを提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る圧力センサの感圧
部の層状分解斜視図である。
【図2】(a)乃至(c)は本発明の圧力センサの基本
原理を示す図である。
【図3】本発明の圧力センサにおいて圧力の方向と大き
さを検出する回路のブロック線図である。
【図4】図3に示した固定電極2,3から出力される静
電容量を検出する静電容量検出回路7a,7bの基本構
成を示す図である。
【図5】図4に示す静電容量検出回路7a,7bの改良
例の構成を示す図である。
【図6】インピーダンス変換回路の構成を示す図であ
る。
【図7】(a),(b)は、それぞれ差動オペアンプ
、加算オペアンプ70の構成を示す図である。
【図8】本発明の第1実施例に係る圧力センサの各部を
積層したときの断面図である。
【図9】図2に示した上記固定電極24乃至27からの
出力端子と図3に示した判断回路9の一例の構成を示す
図である。
【図10】固定電極上の静電容量分布の一例を示す図で
ある。
【図11】(a)圧力が垂直方向から加えられたときの
センサの断面図であり、(b)は固定電極の上面図とそ
のときの電荷の分布を模式的に示した上面図である。
【図12】(a)は圧力が右方向から加えられたときの
センサの断面図であり、(b)は固定電極の上面図とそ
のときの電荷の分布とを模式的に示した図である。
【図13】(a)は圧力が左方向から加えられたときの
センサの断面図であり、(b)は固定電極の上面図とそ
のときの電荷の分布とを模式的に示した図である。
【図14】(a)は圧力が図12に示した圧力の方向よ
りさらに右方向から加えられたときのセンサの断面図で
あり、(b)は固定電極の上面図とそのときの電荷の分
布とを模式的に示した図である。
【図15】第2実施例に係る圧力センサの断面図であ
る。
【図16】温度変化による圧力変化の影響を取り除くた
めの第3実施例に係る圧力センサの断面図である。
【図17】図3,4に示した静電容量検出回路からの出
力電圧をその電圧値に応じた発振周波数に変換する回路
の構成を示す図である。
【図18】本発明の圧力センサを内視鏡に実装した例を
示す図である。
【図19】(a)は本発明の圧力センサのリング状アレ
イの斜視図、(b)は当該リング状アレイを内視鏡に実
装した例を示す図である。
【図20】(a)は屈曲リングの斜視図、(b)は当該
曲リングに本発明の圧力センサに装着した図、(c)
はリングを用いて本発明の圧力センサを実装した斜視図
である。
【図22】従来の圧力センサの構成を示す図である。
【図23】感圧導電ゴムを用いた圧力センサを内視鏡に
実装した従来技術について説明するための図である。
【符号の説明】
1…柔軟電極、2,3…固定電極、4,5…固定電極出
力端子、6…柔軟電極出力端子、7…静電容量検出回
路、8…インピーダンス変換回路、9…判断回路、10
…感圧部、11…交流電源、12…センシングキャパシ
タ、13…ロードキャパシタ、14…出力電圧、15…
ロードレジスタ、16…MOSトランジスタ、17…抵
抗、18…インピーダンス変換後出力電圧、19…差動
オペアンプ、20…ドーム状電極、21…絶縁膜、22
…空洞部分、23…固定電極間ギャップ、24〜27…
固定電極、28…固定電極用基板、29…下部固定電極
用基板、30〜33…下部固定電極、34…基準用コン
デンサ誘電物質、35…ドーム状電極出力端子、36〜
39…固定電極出力端子、40〜43…下部固定電極出
力端子、44…下部固定電極間ギャップ、45…回路、
46〜51…スイッチ、52…差動回路出力端子、53
…加算回路出力端子、54…差動回路、55…加算回
路、56…内視鏡外壁、57…空気孔、58…液体、5
9…トランジスタ、60…コイル、61…アンテナ、6
2…内視鏡、63…リング、64〜66…リング、67
…圧力センサモジュール、68…平板状柔軟電極、69
…スペーサ、70…加算オペアンプ、71…平板、72
…光導波管、73…シート、74…フォトトランジスタ
アレイ、75…感圧導電ゴム、76…圧力センサ、77
…内視鏡。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−171334(JP,A) 特開 平3−24430(JP,A) 特開 平4−337431(JP,A) 特開 平1−92632(JP,A) 特開 平4−198827(JP,A) 実開 昭63−23734(JP,U) 米国特許4719538(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01L 5/16 G01L 1/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の位置に固定された第1の電極と、 前記第1の電極と反対側に凸のドーム状受圧部に含まれ
    ると共に、前記第1の電極と所定の距離を隔てて対向す
    るように配置され、かつ柔軟性を有する第2の電極とを
    具備し、 前記第1及び第2の電極のうち、少なくともいずれか一
    方の電極は、他方の電極と対向する電極部分が複数に分
    割されており、 前記受圧部が前記第1及び第2の両電極間の距離方向に
    変形可能に保持され、前記受圧部に圧力が加わることに
    よって生じる前記両電極間の静電容量変動を利用して圧
    力及び圧力の方向を検出することを特徴とする静電容量
    型圧力センサ。
  2. 【請求項2】 前記第2の電極は、柔軟性を有する導電
    材料によりなる部分を有することを特徴とする請求項1
    に記載の静電容量型圧力センサ。
  3. 【請求項3】 前記分割された電極は、他方の電極と対
    向する電極部分を等分するように複数の電極に分割され
    ていることを特徴とする請求項1に記載の静電容量型圧
    力センサ。
  4. 【請求項4】 上記分割された電極と対向する他方の電
    極との間の静電容量を比較することによって圧力の加え
    られた方向を検知することを特徴とする請求項1乃至3
    のいずれかに記載の静電容量型圧力センサ。
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