JP3236055B2 - 光ct装置 - Google Patents

光ct装置

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JP3236055B2
JP3236055B2 JP06635492A JP6635492A JP3236055B2 JP 3236055 B2 JP3236055 B2 JP 3236055B2 JP 06635492 A JP06635492 A JP 06635492A JP 6635492 A JP6635492 A JP 6635492A JP 3236055 B2 JP3236055 B2 JP 3236055B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光を用いて光散乱媒質
(例えば生体組織等の被検体)の光断層像(光CT)を
得るための光CT装置に関わり、特に被検体を透過した
散乱成分を含む透過光の中から直進透過光成分を容易に
かつ、高精度で指向選別することのできるようにした光
CT装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】X線CTのように生体組織に対して直進
透過性の良い線源を用いると生体の断層像(Tomog
raphy)を得ることができる。これは直進透過成分
の電磁波がその経路で吸収された成分の線積分値の情報
を持ち、投影定理が成り立つことによる。従って、試料
を回転させたり、或いは線源を試料の廻りに回転させな
がら直進成分を検出、記録することにより断層像の再構
成が可能である。ところで、紫外、可視光、赤外の分光
学はその波長に吸収帯域を持つ特定の化学物質の構造変
化等の化学的な情報を与えてくれる。
【0003】これは生体においては例えばニコチンアミ
ドアデニンジヌクレオチドやヘモグロビンのように化学
物質の周囲の代謝環境(例えば糖代謝、酸素代謝)の変
化に応じて構造が変化することが知られている物質の解
析に利用できる。
【0004】一方、X線CTは特定の内部構造の物理的
変化や物質の分布の情報は得ることはできるが、試料内
部に存在する特定の化学物質の構造変化の情報を得るこ
とができない。
【0005】一般に生体において病気の進行はまず代謝
異常が引き金となり、それから内部組織の構造変化を来
し、やがて目に見えるような症状を表わすに至る。医療
の分野においては疾病の早期発見は重要な課題であり、
その情報を探る方法が必要とされてきた。
【0006】X線CTやNMR(磁気共鳴)CTの実用
化により、生体の内部構造の断層像を見ることができ、
以前に比べ、疾病の早期発見に貢献することができるよ
うになったが、これは組織の変化を見るものであり、病
変が生じた場合に効果があるものであって、病気発症の
危険信号となる代謝異常の情報収集には何等寄与しない
ことから、上述したように、さらに早期の症状を発見す
るためには代謝異常による内部の生化学的な環境の変化
の断層像を得る技術が必要となる。
【0007】しかしながら、紫外から可視、赤外の光に
とって生体は強い散乱媒質となり、X線CTのように直
進透過成分の光を得るためには、透過してきた大部分の
散乱光成分の中から精度良く指向選別をしなければなら
ない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】コンピューテッドトモ
グラフィの技術を応用したCTスキャナの一つに光ビー
ムを用いて被検体の所望断面について、多方向から投影
し、その投影デ−タを用いて再構成することにより、断
像像を得る光CTが考案されている。
【0009】しかしながら、光にとって生体は強い散乱
媒質となり、雑音成分となる散乱成分を多く含むことに
なる。画像再構成において重要なことは、再構成に用い
る光透過成分のデ−タの精度である。そのためには散乱
成分が除去され、被検体を透過した直進成分のみの光を
抽出する必要があるが、X線CTにおけるX線ビームの
ように直進透過成分の光を得るためには、透過してきた
大部分の散乱光成分の中からいかに精度良く、指向選別
できるかにかかる。
【0010】現在、知られている光CTのための指向選
別技術としては光ヘテロダイン法(特開平3-111737号公
報、特開平2-239844号公報参照)と超短パルス光法など
がある。
【0011】そこで、この発明の目的とするところは、
上述の従来例に比べて単純な構成で高精度の指向選別と
増幅を、全光学的に行うことが可能であり、従って、良
質の再構成画像が得られる低コストの光CT装置を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明次のように構成する。すなわち、被検体に対
し、透過性で指向性の良い透過ビームを該被検体所望断
面に対し、種々の方向から投射し、その直進透過成分を
透過デ−タとして収集して再構成処理をすることによ
り、上記透過ビームの情報に基づく被検体断層面の像を
再構成する装置において、
【0013】上記透過光と同じ波長である指向性の良い
光を上記透過ビームとして被検体に照射する手段と、光
非線形分極が生じる光学材料で形成され、対向する2面
を有すると共に、この2面の一方より上記被検体を透過
した透過光が入射される位相共役光学素子と、指向性の
良いビームをプローブ光として上記位相共役光学素子に
入射して入射透過光との干渉により、上記位相共役光学
素子内に空間回折格子を形成するプローブ光供給手段
と、上記位相共役光学素子に、上記2面のうちのもう一
方面より上記透過光と同一波長であると共に上記透過光
に逆方向の光を後進ポンプ光として、上記透過光と光路
を一致させて入射することにより上記空間回折格子によ
る回折にて位相共役光を発生させるための後進ポンプ光
供給手段と、上記位相共役光学素子より発生し、上記直
進透過成分の強度に対応する強度を持つ位相共役光を検
出する位相共役光検出手段とを具備し、上記位相共役光
検出手段の出力を利用して上記直進透過成分を指向選別
する構成とする。
【0014】
【作用】このような構成において、指向性の良い光を光
散乱媒質である被検体にあて、この被検体を透過した散
乱成分を含む光(透過光)を、光非線形分極が生じる位
相共役光学素子に照射し、この位相共役光学素子には透
過光と同じ波長の光であるプローブ光を照射し、この光
学素子内において干渉により空間回折格子を形成し、こ
れに透過光の直進成分に逆向きに透過光と同じ波長の光
である後進ポンプ光を照射し、光学素子内で回折させ、
透過光の直進成分の強度に対応する強度をもつ位相共役
光を発生させる。このようにして発生した位相共役光は
直進成分の強度に対応するものとなるので、散乱成分の
影響を除去することができ、直進成分を指向選別できる
ことになる。
【0015】このように本発明においては散乱光の中か
ら直進光を指向選別する方法として4波混合の位相共役
を用いるようにしたものであり、透過光の中で直進成分
のものと相互作用して位相共役光を発生するような光学
配置をとることにより、直進成分を指向選別し、その成
分の振幅の関数になるような位相共役光を取り出し、検
出手段で検出することによって、透過データを得る。被
検体における所望断面での多方向からの透過データを収
集し、これによって、直進成分が散乱体中で吸収された
成分を知り、直進成分透過データを元にしての投影定理
に基づく画像再構成演算処理により、光断層像の再構成
を行って、光透過情報に基づく光断層像を得るものであ
る。
【0016】従って、本発明によれば、被検体を透過し
た散乱成分を含む透過光の中から直進透過光成分を容易
にかつ、高精度で指向選別することができるようになる
低コストの光CT装置を提供できる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。初めに本発明の原理的な説明をしておく。
【0018】本発明における光の指向選別の手法は、4
波混合の位相共役を用いるようにするもので、これによ
り散乱光の中から直進光を指向選別する。すなわち、入
射光を光散乱媒質にあて、この光散乱媒質を透過した散
乱成分を含む光(透過光)を、光非線形分極が生じる光
学素子に照射し、この光学素子には透過光と同じ波長の
光であるプローブ光を照射し、この光学素子内において
干渉により空間回折格子を形成し、これに透過光の直進
成分に逆向きに透過光と同じ波長の光である後進ポンプ
光を照射し、光学素子内で回折させ、透過光の直進成分
の強度に対応する強度をもつ位相共役光を発生させるよ
うにする。このようにして発生した位相共役光は直進成
分の強度に対応するものとなるので、散乱成分の影響を
除去することができ、直進成分を指向選別できることに
なる。
【0019】すなわち、透過光の中で直進成分のものと
相互作用して位相共役光を発生するような光学配置をと
ることにより、直進成分を指向選別し、その成分の振幅
の関数になるような位相共役波(光)を取り出し、検出
する。ここで位相共役波(光)とは、ある入射波に対
し、それと同一の波面を持ち逆向きに進む波、すなわ
ち、入射波の時間反転波のことを指す。
【0020】そして、散乱媒質を透過した光を光非線形
分極が生じる光学素子に照射し、プローブ光をこれに照
射すると、干渉により空間回折格子を形成し、これに直
進成分に対向する後進ポンプ光を照射し、光学素子内で
回折させれば、直進成分の強度に対応する強度を持つ位
相共役光を発生させることができる。本発明の実施例の
説明に入る前に、本発明実現の前提となる原理に触れて
おく。 〔原 理〕
【0021】図1に原理図を示す。図において、Sは光
散乱媒質であり、LMはレーザ等の光源から発生された
指向性の良い細いビーム状の入射光で、光散乱媒質Sに
照射される。Lfは入射光LMのうち、光散乱媒質Sを
透過した直進成分の透過光であり、Lf′は入射光LM
のうち、光散乱媒質Sにて散乱を受けた透過光(散乱成
分の透過光)、ODVは光非線形分極が生じる光学素子
を使用してこれを板状もしくは柱状にした位相共役光学
素子であり、透過光Lf,Lf′はこの位相共役光学素
子ODVの一端側に入射される。
【0022】位相共役光学素子ODVは当該一端面は平
らであり、これに対向する他端面も平らで平行面となっ
ている。そして、透過光Lf、Lf′の側から見て、こ
の位相共役光学素子ODVの他端側からは、上記直進成
分の透過光fの入射光路に一致させてこの透過光Lfと
逆向に後進ポンプ光Lbが入射され、また、位相共役光
学素子ODVの側面にはプローブ光Lpが直進成分の透
過光Lfの透過光路に対して斜めに入射される。
【0023】透過光Lfと後進ポンプ光Lb、プローブ
光Lpはともに同一のωなる波長を持つ光としてあり、
これらの光を入射させることで位相共役光学素子ODV
は直進成分の透過光Lfの光強度に対応する光強度を持
つ位相共役光Lcを発生する。位相共役光Lcも波長ω
を持つ。プローブ光Lpは位相共役光学素子ODVに対
して図1のように斜めに入射させる。図示しないが、後
進ポンプ光Lb、プローブ光Lpもそれぞれ別に設けら
れた例えばレーザ光源より供給される。ここで、光学配
置が図1のようになっているとすると、各々の光の電界
【0024】
【数1】
【0025】で表わされる。ここで、Aj は位相項に比
べ空間的にゆっくりと変化する複素振幅であり、κj
波数ベクトル、そして、rは空間ベクトルである。Aj
は時間項を含まない。光非線形媒質が非磁性で且つ、散
乱媒質中での光の吸収は考えないとして、非線形過程の
波動方程式は
【0026】
【数2】
【0027】ただし、Eは全光電界、PNLは非線形分極
であり、εは比誘電率テンソル、μ0〔H/m〕は真空
の透磁率、cは光速(m/s)である。光カー効果(Ker
r effect;電場の二乗に比例する電気複屈折。物質、特
に液体や気体に電場が働くとその分子がある程度、配向
する。この結果、物質は異方的になって、複屈折が現わ
れる。つまり、物質に電場をかけることにより、当該物
質に入射する光線を二つの異なる方向に屈折するように
なる現象) の場合、3次の非線形分極の成分の中でプロ
ーブ光Lpと位相共役光Lcの変換に寄与する成分は次
の2つである。
【0028】
【数3】 ここで、プローブ光Lpと位相共役光Lcは互いに18
0度を成す方向に進行するとすれば、各波数ベクトルκ
j の間に以下の条件が課される。 κf +κb =0、κp +κc =0 …(4)
【0029】これを位相整合条件と云う。図1において
直進透過光Lfと後進ポンプ光Lbが互いに180度の
角度を成すように配置されているので、この場合、直進
透過光Lf以外の成分は位相整合の条件が成り立たな
い。光カー効果による4波混合でのプローブ光Lpの強
度Ip に対する位相共役光Lcの強度Ic との比を反射
率Rとすると
【0030】
【数4】
【0031】で与えられる。ここで絶対値記号で囲まれ
る|k|は両ポンプ光(直進透過光Lfと後進ポンプ光
Lb)の複素振幅の積に比例する量であり、Lは4波混
合に寄与する相互作用長である。今、プローブ光Lpと
後進ポンプ光Lbの強度が既知であるものとすれば、反
射率Rからもう1方のポンプ光(Lf)の強度は求ま
る。後進ポンプ光Lbの強度を一定として、もう1方の
ポンプ光(Lf)の強度と反射率Rの相対的な関係を図
2に示した。次に位相整合が成り立たない場合の位相不
整合量を次式で定義する。
【0032】
【数5】
【0033】である。式(6)において、位相不整合が
ゼロの場合は式(5)になる。図3は横軸に位相不整合
と作用長の積で表される量(離調Ψ)をとり、縦軸に相
対反射率をとって両者の関係を示した図である。ここで
位相不整合から決まるコヒーレンス長
【数6】 よりも作用長Lが大きい場合に、位相共役光Lcの反射
率Rは急激に低下することがわかる。このことにより、
直進透過光Lf相当の成分が指向選別できる。
【0034】例えば、構成要素について図4に示した光
学配置をとることにより、4波混合の作用長を大きくで
き、指向選別の効率を向上することが出来る。図4の構
成は位相共役光学素子ODVのLf入射面側における光
路上にビームスプリッタBSを配置して当該光路を通る
光を分岐したり、重畳させたりできるようにするもので
ある。
【0035】ビームスプリッタBSはハーフミラーなど
を利用しており、透過光Lfを通し、プローブ光Lpを
反射して透過光Lfの光路上を位相共役光学素子ODV
に向けて送り、透過光Lfの光路上を逆行して来る位相
共役光Lcをプローブ光Lpの発進側に反射して分岐さ
せる光分配機能を有する。
【0036】後進ポンプ光Lbは透過光Lfと対向する
ように、位相共役光学素子ODVの他端側より透過光L
fの光路上に向けて入射され、プローブ光Lpは透過光
Lfの光路上に配置されたビームスプリッタBSに向け
て外部から投射することで、このビームスプリッタBS
により反射させ、透過光Lfと同一光路を同一方向に位
相共役光学素子ODVに向けて送り込む構成としてあ
る。
【0037】また、この場合、偏光面を図示したように
設定する、すなわち、Lf,Lpは紙面を含む面に偏光
しており、Ebは紙面に直交し、Lbの進行方向を含む
面に偏光している。
【0038】これによって、Lcは紙面に直交する面に
偏光しているように発生するので、偏光によって後進ポ
ンプ光Lbの透過成分と位相共役光Lcを分離できる。
例えば、図4に示したように、ビームスプリッタBSの
反射光路に偏光ビームスプリッタPBS(Polarized Bea
m Splitter) を介在させることでLbとLcを分離でき
る。
【0039】また、図のように位相共役光学素子ODV
のBS対向側端面を透過光Lfの光路に対して斜め、特
にビームスプリッタBSの反射面と異なる方向への反射
面となるような形状とすることにより、位相共役光Lc
と同一偏光面である前進のポンプ光(透過光Lf)の光
学素子ODVの結晶端面での反射光Lrとを分離するこ
とができる。
【0040】位相共役光Lcの発生が光誘起屈折率効果
の場合も、光照射により媒質(位相共役光学素子OD
V)中に回折格子が形成され、これによって、他の光は
回折される。この場合の回折格子は媒質中に光の強度に
対応してボッケルス効果により、屈折率の分布ができる
ため、光カー効果による4波混合とは区別される。
【0041】光誘起屈折率効果において、反射率Rに作
用する因子は両ポンプ光(Lf,Lb)の強度比と光強
度分布と屈折率分布の位相φに依存する。両ポンプ光
(Lf,Lb)とプローブ光Lpの偏光面が一致する場
合、プローブ光Lpの光電界Ep と、一方のポンプ光
(透過光Lf)の光電界Ef の強度分布と、媒質(位相
共役光学素子ODV)の屈折率分布と位相差がπ/2の
とき、安定な回折格子が形成される。
【0042】このとき、媒質内で一方のポンプ光である
透過光Lfからプローブ光Lpへエネルギの移動が起こ
る。すなわち、一方のポンプ光(透過光Lf)の光電界
fが自己回折されて当該ポンプ光(透過光Lf)の光
電界Ef が増幅される。
【0043】また、もう一方のポンプ光である後進ポン
プ光Lbと位相共役光Lcの間でも同様な回折は起こる
が、後進ポンプ光Lbの光電界Eb と屈折率分布の位相
差が反転しているため、位相共役光Lcの光電界Ec
媒質中を伝播する間で減衰が起こり、このときの反射率
- は以下のように与えられる。
【0044】
【数7】
【0045】ここで、γは複素数結合係数であり、ポン
プ光とプローブ光の成す角度、異方性媒質の実効電気光
学係数、光強度分布と空間電界の間の位相差に依存す
る。Lは作用長で、sは両ポンプ光(Lf,Lb)の強
度比Ib /If である。
【0046】また、位相共役光学素子ODVが異方性結
晶の媒質である場合、当該媒質内での光の伝播途中に偏
光の変化を受けない固有偏光状態を持つ。例えば、BS
O,GaAs,InPなどの立方晶系の場合、図5の如
き方位に設定したとき、屈折率楕円体から求めた固有偏
光状態は入射角に対して45°の偏光となる。
【0047】ここで、各光波を図5に示すように方位に
対し、±45°の直線偏光で入射させると、ポンプ光で
ある直進成分の透過光Lfの光電界Ef とプローブ光L
pの光電界Ep で形成される屈折率回折格子、及び後進
ポンプ光Lbの光電界Eb と位相共役光Lcの光電界E
c で形成される屈折率回折格子は独立に作用する。
【0048】この場合、同じ屈折率回折格子から回折し
た±45°の直線偏光の間での位相差がπ(円周率)と
なるので、ポンプ光Lfの光電界Ef とプローブ光Lp
の光電界Ep の干渉縞とポンプ光Lbの光電界Eb と位
相共役光Lcの光電界Ec の干渉縞は、どちらも媒質内
の屈折率分布とπ/2の位相差になるため、ポンプ光L
fの光電界Ef およびポンプ光Lbの光電界Eb がそれ
ぞれ自己回折され、プローブ光Lpの光電界Ep および
位相共役光Lcの光電界Ec を増幅する作用を持つ。こ
のように、正の帰還の掛かった場合の反射率をR+ とす
ると、この反射率R+ は次式で与えられる。
【0049】
【数8】
【0050】複素結合定数と作用長が既知のものとして
両ポンプ光(Lf、Lb)の強度比sと反射率の関係を
図6に示した。従って、指向選別においては透過光成分
(Lf)の強度に対して後進ポンプ光Lbの強度が十分
に大きければ、位相共役光Lcと透過光成分の強度の間
には線形関係が成り立つ。また、光誘起屈折率効果にお
いても、光カー効果と同様に反射率は位相不整合によっ
て大きく変化するので、上記と同様の理由により指向選
別ができる。本発明はこのような理論に基づいている。
【0051】次に具体的な実施例について説明する。 (第1実施例)第1実施例を図7に示す。図において、
11はレーザ光を発生するレーザ光源であり、細くビー
ム径を絞ったレーザ光LBを発生する。12は被検体と
なる光散乱媒質である。13はこの光散乱媒質12を介
してレーザ光源11に対向配置された位相共役光学素子
であり、板状もしくは柱状を成して一端面を入射端面と
してある。位相共役光学素子13の当該入射端面に対向
する端面は互いに平行面であり、それぞれ平坦面に加工
してある。
【0052】位相共役光学素子13の当該入射端面に対
向する端面からは後進ポンプ光Lbがレーザ光源14に
より入射される。また、位相共役光学素子13の側方に
はレーザ光源15が設けられており、このレーザ光源1
5により位相共役光学素子13にはその側方に、斜めに
プローブ光Lpが入射される。
【0053】16,17はそれぞれ偏光素子であり、レ
ーザ光LBの直進光路上における光散乱媒質12の入射
側と出射側にそれぞれ配設されている。偏光素子16は
レーザ光LBを偏光するためのものであり、偏光素子1
7は光散乱媒質12を出射したレーザ光のうちの散乱線
成分を除去して、偏光素子16による偏光済みの偏光
ーザ光と同一の成分の直進成分のみを取り出すための一
種のフィルタとして機能させるためのものである。ま
た、18は位相共役光学素子13の側方に配置された位
相共役光Lcを検出して信号に変換するディテクタであ
る。
【0054】このような構成において、レーザ光源11
より細くビーム径を絞ったレーザ光(レーザビーム)L
Bを光散乱媒質12に照射し、光散乱媒質12の後方に
配置した位相共役光学素子13に透過光Lfを入射させ
る。この入射されたレーザビーム透過光Lfに対して進
行方向が180度異なる後進ポンプ光Lbを入射し、こ
れにプローブ光Lpを入射し、回折により位相共役光学
素子13内で位相共役光Lcを発生させる。
【0055】レーザビームLBを偏光素子16を通すこ
とにより偏光した入射ビームLB´と、光散乱媒質12
の後方に同方向の偏光素子16,17を設けることによ
り、光散乱媒質12での多重散乱によって偏光面が回転
した透過光成分を除去することができる。
【0056】すなわち、本実施例においては指向選別を
偏光素子16により偏光させてから光散乱媒質12に入
射させ、光散乱媒質12の透過光を偏光素子17を通す
ことによって、光散乱媒質12の透過光のうち、入射光
(入射ビームLB´)と同一偏光面の直進透過光Lf
を、同一偏光面の散乱成分と分離する作用を得ている。
このようにして直進成分の透過光Lfのみが抽出され、
この透過光Lfは位相共役光学素子13に入射されると
共に後進ポンプ光Lbと、プローブ光Lpとを入射し、
回折により位相共役光学素子13内で位相共役光Lcを
発生させる。発生した位相共役光Lcはディテクタ18
により検出され、信号に変換されて出力される。CT
(コンピュータトモグラフィ)における断層像再構成に
は被検体の特定断面を投影したデータを投影方向を変え
ながら収集する必要がある。
【0057】同様に光散乱媒質12の光断層像を得るた
めには、被検体(この場合は光散乱媒質12)の特定断
面についての種々の方向での透過光における位相共役光
の情報が必要であるから、ビームLBが1本であるとす
れば、X線CTと同様の考え方により、例えば、光散乱
媒質12をビームLBに対して横方向v及び回転方向r
に移動させることができるステージ上に載せて、横方向
v及び回転方向rot に移動させつつ、ビームLBで実質
的に光散乱媒質12の特定断面を走査し、ディテクタ
(光検出器)18の出力に基づき得られる直進光成分の
強度からそれぞれの光路での吸収の線積分値を算出し、
X線CTと同様な投影定理に基づき像の再構成を行うこ
とになる。
【0058】もちろん、光散乱媒質12を回転させた
り、横方向に移動させたりする代わりに、光散乱媒質1
2は定位置に静止させておき、固定光散乱媒質12を中
心に光学系の方を回転および移動させることで実施する
こともできる他、X線CTで培われた様々な技術、特に
ビームのスキャンにかかわる考え方は、光CTにおいて
も利用可能である。
【0059】(第2実施例)単一の光源(レーザ光源)
によってポンプ光Lf,Lb,プローブ光Lpを発生さ
せ、指向選別を行う具体的な構成を図8に示した。この
構成は装置を具体化するにあたり、Lf,Lb,Lpに
同一のコヒーレント光源を用いることにより、干渉性の
良い4波混合での光CTを実現することを示したもので
ある。
【0060】そのため、レーザ光源14の光路上に第1
の反射ミラー21を配置し、その反射光路上に位相共役
光学素子13を配置してある。第1の反射ミラー21に
よる反射レーザ光は後進ポンプ光Lbとして使用され
る。
【0061】レーザ光源14の出射側には偏光素子16
が設けられ、さらにレーザ光源14の光路上においては
偏光素子16と反射ミラー21との間に第1のビームス
プリッタ22と第2のビームスプリッタ23が順に配置
される。
【0062】第1のビームスプリッタ22はプローブ光
Lpを得るためのものであり、第2のビームスプリッタ
23は光散乱媒質12に入射させる入射ビームLB´を
得るためのものである。
【0063】第1のビームスプリッタ22の反射光路上
には第3のビームスプリッタ24が設けられ、第3のビ
ームスプリッタ24の反射光路は位相共役光学素子13
の側面に向けてある。
【0064】また、第3のビームスプリッタ24の反射
光路光軸に一致させて、該第3のビームスプリッタ24
の背面側にはディテクタ18が配置され、位相共役光学
素子13より発生してプローブ光Lpの光路を逆行し、
該第3のビームスプリッタ24を透過した位相共役光L
cを検知して電気信号に変換する構成としてある。
【0065】第2のビームスプリッタ23の反射光路に
は第2の反射ミラー25が設けられ、この第2の反射ミ
ラー25で反射されたビームが光散乱媒質12に入射さ
せる入射ビームLB´となる。そして、第2の反射ミラ
ー25の反射光路と第1の反射ミラー21の反射光路と
が一致し、かつ、位相共役光学素子13がこれらの光路
上に来るように、その軸心を当該光路に平行にした上
で、光散乱媒質12に対向配置される。
【0066】位相共役光学素子13は第1の反射ミラー
21の反射光が入射される端面を後端面とすると反対側
の前端面側には偏光素子17が配置され、偏光素子17
と前記前端面側との間には光増幅器26が配置される。
【0067】光増幅器26は直進透過成分のコヒーレン
ト光の強度が弱く、4波混合を行うための強度が十分で
なかった場合に、これを補うために設けてあり、入射光
を増倍して出力するためのものである。27は光散乱媒
質12を保持し、横軸方向と回転移動させるためのステ
ージである。
【0068】このような構成とした場合、その作用は図
7の例と基本的には同じであるが、レーザ光源14は一
つとしてあり、このレーザ光源14からの出射レーザビ
ームLBをビームスプリッタ22,23で分配してL
f,Lb,Lpとしている。レーザ光源14の出射側に
偏光素子16が設けてあり、従って、Lf,Lb,L
pはともにその偏光面が一致しており、前述のように位
相共役光の理論的な扱いが容易になる。また、位相共役
光学素子に入射する光を例えば共振器で増幅することに
より位相共役光の発生効率を向上させることができる。
【0069】(第3実施例)図9は被検体である光散乱
媒質12に対する入射光LBとしてY軸方向に幅を持つ
平面波(幅広のビーム)を用い、上述の各実施例で必要
とした横方向vのステージ走査すなわち、光散乱媒質1
2を横方向vにステージ走査する必要を無くし、回転方
向rot のみのステージ走査によって断層像を得ることが
出来る例を示している。従って、入射光LBは光散乱媒
質12の幅以上の分布幅を有する平面波ビームを使用す
る。そのため、光散乱媒質12を透過した直進透過成分
の光Lfも平面波(幅広ビーム;Y軸方向のアレイ状の
もの)である。
【0070】光散乱媒質12を透過した直進透過成分の
光Lfを受ける位相共役光学素子13は、少なくとも光
散乱媒質12の幅分を有するものとし、形状は板状のも
のとしても良いが、3次元像を得る場合には図のように
柱状とする。この位相共役光学素子13は軸線を直進透
過成分の光Lfの光軸に一致させて一端面側を光散乱媒
質12に対向させ、他端面からは後進ポンプ光Lbを与
えるようにする。この後進ポンプ光Lbは入射光(直進
透過成分の光Lf)に比べ細いビーム径のものを用いて
おり、また、Y軸方向にYa,Ybのように走査可能と
してある。
【0071】プローブ光Lpは位相共役光学素子13の
側面に与えるが、このプローブ光Lpは入射平面波に比
べてビーム径の細いものを用い、横方向(Y軸方向)に
すなわち矢印a,bの方向に移動走査可能な構成として
あり、Y軸方向に移動走査させながら入射光(直進透過
成分の光Lf)と干渉させる構成としてある。
【0072】なお、18は位相共役光学素子13から放
出される位相共役光Lcを検出するディテクタ(光検出
器)であり、このディテクタ(光検出器)18は図では
幅広のものを使用している。これはプローブ光Lpと後
進ポンプ光LbのY軸方向に対する移動に伴い、位相共
役光Lcの出力位置が移動するので、その移動範囲をカ
バーできるようにするためであるが、位相共役光Lcの
出力位置移動に伴って追従移動する機構を設けてあれ
ば、位相共役光Lcのビーム対応の検出面積を持たせた
ディテクタとすることもできる。
【0073】このような構成において、幅広ビームによ
る平面波を入射光LBとして光散乱媒質12に入射させ
ると、光散乱媒質12からは入射光LBと同一光路を辿
る幅広ビームの透過光Lf(直進成分)と八方に散らば
る散乱成分の光Lf´とが得られる。
【0074】これらの透過光は、位相共役光学素子13
の一端面側からこれを入射させ、位相共役光学素子13
の他端面側から後進ポンプ光Lbを、そして、側面から
はプローブ光Lpを入射させて干渉させることにより、
後進ポンプ光Lbの光路に一致し、かつ、プローブ光L
pの入射位置に一致する領域を通る光に対してその強度
に対応した位相共役光Lcが得られることになり、これ
は後進ポンプ光Lbの光路に一致し、かつ、プローブ光
Lpの入射位置に一致する領域を通る直進成分の透過光
に対応する。
【0075】上述したように、プローブ光Lpは入射平
面波に比べてビーム径の細いものを用い、横方向(Y軸
方向)にa,bのように移動させながら入射光と干渉さ
せる。同時に対向するポンプ光(後進ポンプ光Lb)は
入射光に比べ細いビーム径のものを用い、Y軸方向につ
いて、矢印Ya,Ybのように走査しながら、位相共役
光学素子13に入射する。
【0076】そしてこのとき、直進透過光成分の中で、
位相整合の条件が成り立つのはY軸方向で後進ポンプ光
Lbの位置に一致するものだけであるから、プローブ光
Lpと後進ポンプ光Lbのビームを走査することによ
り、直進透過光成分の平面波LfをY軸方向に分割しな
がら、各位置の直進透過光の強度分布を知ることができ
る。
【0077】また、光散乱媒質12を保持するステージ
はrot 方向に回転操作させ、1断面について再構成に必
要な各方向からの直進透過光強度分布情報を収集したな
らば、縦方向に所望量移動するようにすることにより
(h方向走査)、光断層像の3次元像が計測できるよう
になり、3次元光CT像の再構成もできる。 (第4実施例)
【0078】図10は第3実施例の考え方を拡張した方
式である第4実施例を示す。この例は第3実施例におい
て用いたY軸方向に幅広とした平面波を、さらにX軸方
向にも広げた状態の入射光LBを発生する光源を使用す
るようにしたものである。そして、このX方向およびY
方向に広がりを持つ平面波を用いることで、直進透過光
成分の2次元分布の計測が容易にでき、ステージの回転
操作により、2次元の光CT像はもとより、3次元の光
CT像が再構成できる。
【0079】この第4実施例の場合、後進ポンプ光Lb
とプローブ光LpのビームはY軸方向(矢印a及びbの
方向)およびX軸方向(矢印c及びd方向)に走査でき
る構成とし、この走査によって直進透過光LfのXY各
位置(各座標位置)での強度分布は順次計測できる。 (第5実施例)
【0080】図11は図4において説明した原理に基づ
き、プローブ光Lpと直進透過光Lf成分が同方向にな
るような第5実施例としての光学配置の例で、これによ
って4波混合の作用長を長くとることができるようにな
り、図3の説明から明らかなように、指向選別の効率を
一層向上させることができる。
【0081】図4に示した光学配置は、4波混合の作用
長を大きくでき、指向選別の効率を向上することができ
るものであり、位相共役光学素子ODVのLf入射面側
における光路上にビームスプリッタBSを配置して当該
光路を通る光を分岐したり、重畳させたりできるように
するものである。
【0082】第5実施例としての構成は細いレーザビー
ムを発生するレーザ光源31の光路上に、第1のビーム
スプリッタ32、第1の偏光素子33、第2のビームス
プリッタ34の順に配置し、さらに第1の反射ミラー3
5を配置する。そして、第1の反射ミラー35の反射光
路上に位相共役光学素子36を、その後端面を当該反射
ミラー35の側に向けて配置する。
【0083】第1のビームスプリッタ32は光散乱媒質
に入射させる入射光LBを得るためのものであり、ハー
フミラーなどを利用していて、その反射光路上には第2
の反射ミラー37が配置されている。第2の反射ミラー
37の反射光路は第1の反射ミラー35の反射光路に軸
線を一致させてあり、従って、位相共役光学素子36の
前端面(入射面)に第2の反射ミラー37の反射光は入
射する。第2の反射ミラー37の反射光路上には第2の
偏光素子38が配され、この第2の偏光素子38にて
された反射入射光LBが被検体である光散乱媒質39
に入射される構成としてある。
【0084】光散乱媒質39はステージ40に載置され
る。ステージ40は回転と、X軸方向すなわち、反射入
射光LBの光路を横切る方向に移動走査可能になってい
る。反射入射光LBは光散乱媒質39を透過することに
より、散乱成分と直進成分の透過光Lf´,Lfとな
る。
【0085】光散乱媒質39と位相共役光学素子36の
前端面(入射面)側との間には第3の偏光素子41と第
3のビームスプリッタ42が配されている。第3のビー
ムスプリッタ42は第2のビームスプリッタ34で分岐
された光を位相共役光学素子36の前端面側に入射させ
たり、位相共役光学素子36からの位相共役光Lcを分
岐させたりするためのもので、偏光素子41を透過する
光散乱媒質39からの直進成分の透過光Lfは通すハー
フミラーとなっている。第3のビームスプリッタ42に
よる反射光路は後進ポンプ光Lbおよび直進成分の透過
光Lfの光路に一致する。
【0086】第3のビームスプリッタ42と第2のビー
ムスプリッタ34との間には第4のビームスプリッタ4
4が配され、第3のビームスプリッタ42に分岐される
位相共役光学素子36からの位相共役光Lcをディテク
タ(光検知器)45に導く構成としてある。また、ディ
テクタ45と第4のビームスプリッタ44との間の光路
中には第3の偏光素子46が配置されている。
【0087】なお、プローブ光Lpと後進ポンプ光Lb
偏光素子33を通して得ることで、互いに同偏光面と
なるようにし、光散乱媒質39に入射させる入射光LB
及び光散乱媒質39を透過した直進透過光Lfの偏光面
は光散乱媒質39の前後に偏光素子38,41を設けて
プローブ光Lpと後進ポンプ光Lbの偏光面に対し、直
交するように偏光させるようにしてある。また、光検知
器45の光入射経路上に設けられる偏光素子46は、位
相共役光Lcの偏光面と一致するものを設ける。
【0088】このような構成によると、レーザ光源31
から出射したレーザビームは第1のビームスプリッタ3
2により一部が分岐されて入射光LBとなり、また、一
部はこのビームスプリッタ32を透過して後進ポンプ光
Lbとプローブ光Lpとなる。そして、入射光LBは反
射ミラー37で反射され、偏光素子38で偏光された後
にステージ40上の光散乱媒質39に入射される。そし
て、光散乱媒質39を透過した透過光Lf,Lf´は
素子38により偏光面の一致する成分、すなわち、直
進成分Lfのみが取り出され、ビームスプリッタ42を
介して位相共役光学素子36にその前端面(入射面)よ
り入射される。
【0089】一方、ビームスプリッタ32を透過した光
偏光素子33により偏光され、ビームスプリッタ34
により一部が分岐されてプローブ光Lpとなり、また、
一部はこのビームスプリッタ34を透過して後進ポンプ
光Lbとなる。
【0090】すなわち、ビームスプリッタ34により分
岐された一部の光は、ビームスプリッタ44を通り、ビ
ームスプリッタ42に至り、このビームスプリッタ42
により、位相共役光学素子36側に反射されてプローブ
光Lpとして位相共役光学素子36に入射される。ま
た、ビームスプリッタ34を透過した一部の光は反射ミ
ラー35により反射され、位相共役光学素子36にその
後端側から入射される。位相共役光学素子36にそれぞ
れ入射した光は光軸が一致しており、干渉して位相共役
光Lcが発生する。発生した位相共役光Lcはビームス
プリッタ42により、ビームスプリッタ44側へ反射さ
れ、さらにこのビームスプリッタ44によりディテクタ
45へと反射されて検出される。
【0091】このように、レーザ光源より、レーザビー
ムを発生させ、これをビームスプリッタにより、光路を
分岐させ光散乱媒質に入射させる入射光とプローブ光お
よび後進ポンプ光を得、これらを光学系により入射光は
光散乱媒質を介して、また、プローブ光および後進ポン
プ光もそれぞれ光学系を介して位相共役光学素子に同一
光路上に導入するようにし、位相共役光学素子内での相
互の干渉により位相共役光を得てプローブ光の導入経路
により取り出し、光検出器に導入して検出するようにし
たものであり、プローブ光Lpと後進ポンプ光Lbは同
偏光面となるようにし、入射光及び直進透過光の偏光面
はこれに対し直交するようにしたことから、これによ
り、位相共役光Lcはプローブ光Lpに対し、偏光面が
直交するので、光検知器45の光入射経路上に位相共役
光Lcの偏光面と一致する偏光素子46を設けることに
よって分離することができる。
【0092】(第6実施例)以上の各例は使用する光の
波長は皆、同じ波長のものを使用する例であった。これ
を異なる複数種の波長を使用して被検体の光断層像を得
ることができれば、波長の違いによる情報を得ることが
でき、同じ被検体に対して違った情報の光断層像を得る
ことができる。
【0093】この例を第6実施例として図12に示す。
図12は光源に複数の例えば2つのレーザ光源を用いて
多波長の光断層像の検出を同時に行えるような配置構成
とした例を示した。
【0094】図を参照して構成を説明すると、細いレー
ザビームを発生するそれぞれ波長の異なる2つのレーザ
光源31a,31bを用意する。2つのレーザ光源31
a,31bは光路が互いに直交するような関係に位置さ
せ、光路の交点に両ビームを重ね合わせるためのビーム
スプリッタ301を配する。ビームスプリッタ301に
よる両ビームの合流された光路には、第1の偏光素子3
3、第1のビームスプリッタ32、第2のビームスプリ
ッタ34をこの順に配置し、さらに第1の反射ミラー3
5を配置する。そして、第1の反射ミラー35の反射光
路上に位相共役光学素子36を、その後端面を当該反射
ミラー35の側に向けて配置する。
【0095】第1のビームスプリッタ32は光散乱媒質
に入射させる入射光LBを得るためのものであり、その
反射光路上には第2の反射ミラー37が配置されてい
る。第2の反射ミラー37の反射光路は第1の反射ミラ
ー35の反射光路に軸線を一致させてあり、従って、位
相共役光学素子36の前端面(入射面)に第2の反射ミ
ラー37の反射光は入射する。
【0096】第2の反射ミラー37の反射光路上には被
検体である光散乱媒質39を介して偏光素子41が配さ
れており、偏光素子33にて偏光され、ビームスプリッ
タ34および反射ミラー37で反射された入射光LBが
被検体である光散乱媒質39に入射される構成としてあ
る。
【0097】光散乱媒質39はステージ40に載置され
る。ステージ40は回転と、X軸方向すなわち、反射入
射光LBの光路を横切る方向に移動走査可能になってい
る。反射入射光LBは光散乱媒質39を透過することに
より、散乱成分と直進成分の透過光Lf´,Lfとな
る。
【0098】光散乱媒質39と位相共役光学素子36の
前端面(入射面)側との間には第3の偏光素子41が配
されている。光散乱媒質39を透過し、偏光素子41を
経た光は位相共役光学素子36の前端面側に入射させ
る。この光増幅器302で増幅されて位相共役光学素子
36に入射される光の光路は位相共役光学素子36内に
おいて後進ポンプ光の光路と一致する。
【0099】ビームスプリッタ32により分岐された光
路上にはビームスプリッタ303が配され、このビーム
スプリッタ303にて反射された光はプローブ光Lpと
して位相共役光学素子36の側面より後進ポンプ光Lb
の光路に交差すべく入射されるよう構成してある。
【0100】位相共役光学素子36からの位相共役光L
cは、プローブ光Lpの光路を逆行するので、ビームス
プリッタ303の後側にグレーティング(分光格子)3
04を配置し、ビームスプリッタ303を透過した位相
共役光Lcをこのグレーティング304にて分光して、
2つのディテクタ305a,305bに入射させ、波長
別に検出させる構成とする。光散乱媒質39は回転と光
路横断方向への走査移動が可能なステージ40上に保持
され、光路横断方向への走査移動と回転走査とが行われ
る。
【0101】この構成の場合、レーザ光源31a,31
bから発振されたそれぞれ異なる波長のレーザビームは
ビームスプリッタ301により重ね合わされ、偏光素子
33で偏光された後にビームスプリッタ32、ビームス
プリッタ34、ビームスプリッタ303を経て入射光L
B、後進ポンプ光Lbおよびプローブ光Lpとなる。
【0102】そして、入射光LBは反射ミラー37で反
射され、ステージ40上の光散乱媒質39に入射され
る。そして、光散乱媒質39を透過した透過光Lf,L
f´は偏光素子41により入射光LBと偏光面の一致す
る成分、すなわち、直進成分Lfのみが取り出され、光
増幅器41を介して位相共役光学素子36にその前端面
(入射面)より入射される。
【0103】一方、ビームスプリッタ32にて分岐され
た光はさらにビームスプリッタ32にて反射され、プロ
ーブ光Lpとなり、また、ビームスプリッタ34を透過
した光は反射ミラー35にて反射されて後進ポンプ光L
bとして位相共役光学素子36の後端面に入射される。
【0104】位相共役光学素子36に入射する光はいず
れも2つの波長を有しており、位相共役光学素子36内
にはこれらの入射した光が、2つの波長で縮退4光波混
合を起こし、波長の異なった位相共役光Lc1,Lc2が発
生し、それぞれの直進透過光Lf成分に対応した強度を
持つ。位相共役光Lc1,Lc2はプローブ光Lpの光路を
逆行し、ビームスプリッタ303を透過し、その後ろに
設けてあるグレーティング304により分光されて、波
長別に分けられ、それぞれの分光光路に設けたディテク
タ305a,305bにより検知される。このようにし
て位相共役光Lc1,Lc2は波長別に分離し、計測するこ
とにより、それぞれの波長成分の直進光成分の強度を知
ることができる。
【0105】以上の各実施例により、特に画像処理のよ
うな並列処理に適応する位相共役光学素子の位相整合の
条件によって、散乱媒質を透過した光の中から直進光成
分が指向選別できることが示された。また、図9、図1
0に示したような並列処理の方法を用いることで、効率
の良い2次元及び3次元の光CT装置を構成することが
できる。
【0106】要するに本発明における光の指向選別の手
法は、4波混合の位相共役を用いるようにするもので、
これにより散乱光の中から直進光を指向選別するように
したものであり、入射光を光散乱媒質にあて、この光散
乱媒質を透過した散乱成分を含む光(透過光)を、光非
線形分極が生じる光学素子に照射し、この光学素子には
透過光と同じ波長の光であるプローブ光を照射し、この
光学素子内において干渉により空間回折格子を形成し、
これに透過光の直進成分に逆向きに透過光と同じ波長の
光である後進ポンプ光を照射し、光学素子内で回折さ
せ、透過光の直進成分の強度に対応する強度をもつ位相
共役光を発生させるようにすることで、発生した位相共
役光は直進成分の強度に対応するものとなることを利用
して、直進成分を指向選別するようにしたものである。
また、プローブ光強度が直進透過成分より遥かに強い場
合には、位相共役光は増幅されているので、S/N比の
向上の効果が見られる。
【0107】従って、被検体を透過した散乱成分を含む
透過光の中から直進透過光成分を容易にかつ、高精度で
指向選別することができるようになり、構成も簡易で低
コスト、且つ、良質の再構成像が得られるようになる。
なお、本発明は上述した実施例に限定するものではな
く、その要旨を変更しない範囲内で適宜、変形して実施
し得るものである。
【0108】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、
被検体を透過した散乱成分を含む透過光の中から直進透
過光成分を容易にかつ、高精度で指向選別することがで
きるようになる低コストの光CT装置を提供できる。ま
た、コヒーレント光の干渉による4波混合により、全光
学的に指向選別を行うので、光コンピュータ技術とのイ
ンタフェースをとることが容易に行える効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理を説明するための図。
【図2】後進ポンプ光Lbの強度を一定として、被検体
を透過した直進成分の透過光Lfの強度と反射率Rの相
対的な関係を示す図。
【図3】横軸に位相不整合と作用長の積で表される量
(離調Ψ)をとり、縦軸に相対反射率をとって両者の関
係を示した図。
【図4】4波混合の作用長を大きくできて、指向選別の
効率を向上させることのできる構成例を説明するための
原理図。
【図5】位相共役光学素子が異方性結晶の媒質である場
合に、当該媒質内での光の伝播途中に偏光の変化を受け
ない固有偏光状態を持つことを説明する図。
【図6】複素結合定数と作用長が既知であるとき、直進
成分の透過光Lfと後進ポンプ光Lbの強度比sと反射
率の関係を示す図。
【図7】本発明の第1実施例を示す概略構成図。
【図8】本発明の第2実施例を示す概略構成図。
【図9】本発明の第3実施例を示す概略構成図。
【図10】本発明の第4実施例を示す概略構成図。
【図11】本発明の第5実施例を示す概略構成図。
【図12】本発明の第6実施例を示す概略構成図。
【符号の説明】
11,14,15,31,31a,31b…レーザ光
源、32,34,301,303…ビームスプリッタ、
16,17,33,38,41,46…偏光素子、3
5,37…反射ミラー、12,39…光散乱媒質(被検
体)、13,36,ODV…位相共役光学素子、18,
45,305a,305b…ディテクタ(光検知器)、
40…ステージ、302…光増幅器、Lf…直進成分の
透過光、Lp…プローブ光、Lb…後進ポンプ光。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 10/00 G01N 21/17 620 G02F 1/35 502

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被検体に対し、透過性で指向性の良い透過
    ビームを該被検体の所望断面に対し、種々の方向から投
    射し、その直進透過成分を収集して再構成処理をするこ
    とにより、上記透過ビームの情報に基づく被検体断層面
    の像を再構成する装置において、上記透過光と同じ波長である 指向性の良い光を上記透過
    ビームとして被検体に照射する手段と、 光非線形分極が生じる光学材料で形成され、対向する2
    面を有すると共に、この2面の一方より上記被検体を透
    過した透過光が入射される位相共役光学素子と、 指向性の良いビームをプローブ光として上記位相共役光
    学素子に入射して入射透過光との干渉により、上記位相
    共役光学素子内に空間回折格子を形成するプローブ光供
    給手段と、 上記位相共役光学素子に、上記2面のうちのもう一方面
    より上記透過光と同一波長であると共に上記透過光に逆
    方向の光を後進ポンプ光として、上記透過光と光路を一
    致させて入射することにより上記空間回折格子による回
    折にて位相共役光を発生させるための後進ポンプ光供給
    手段と、 上記位相共役光学素子より発生し、上記直進透過成分の
    強度に対応する強度を持つ位相共役光を検出する位相共
    役光検出手段とを具備し、 上記位相共役光検出手段の出力を利用して上記 直進透過
    成分を指向選別することを特徴とする光CT装置。
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