JP3235074B2 - 燭 台 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は燭台に関する。

【０００２】

【従来の技術】ロウソク立てとしての燭台は、図３に示
す如く、燭台本体１に針２を立て、ロウソク３の下端穴
４を針２に差し込んで用いられるものである。

【０００３】然るに、従来の燭台は、燭台本体１と針２
とを共に真鍮（銅と亜鉛の合金）で構成している。

【０００４】また、従来の燭台において、針２の形状は
ロウソク３の下端穴サイズに比して太くて短い。例え
ば、１号未満の小ロウソク（１本あたりの重量が3.75ｇ
未満）に対して、針２の根元直径3.5mm 、長さ15mmであ
る。これは、燭台製造者が、燭台の外観の美的バランス
や燭台の鋳造の容易性等を主眼において製造しているか
らである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】然しながら、燭台の本
来の機能としては、ロウソクの完全で安全な燃焼を図る
ものでなければならず、本発明者の研究の結果、従来技
術には下記〜の問題点があることが明らかになっ
た。

【０００６】ロウソク３の下端穴４が針２の根元まで
スムースに入らず（図３（Ａ））、ロウソク３が針２の
中途に不安定な状態に立てられて使用されたり、針２の
根元まで無理に差し込もうとしてその下端部が割れてし
まうことがよくあり、使用中に倒れることのないように
安全面でも注意を要する。

【０００７】ロウソク３の燃焼面では、上記の如く
にロウソク３が針２の中途に立てられた状態では、ロウ
ソク３の燃焼の終盤において、炎の熱が針２から燭台本
体１に多量に奪われて針２回りの残余のロウソク３が溶
けにくくなり、炎は極端に小さく（図３（Ａ））、風が
吹くと容易に消えてしまう。また、ロウソク３の燃焼の
終盤において、燭台本体１の上面にたれ落ちたロウ５
（図３（Ａ））をその芯３Ａにより吸上げることもでき
ず、燭台本体１の上面にはそのたれ落ちたロウ５が残存
し、このロウ５が燭台本体１の上面を汚損するものとな
る。

【０００８】また、ロウソク３が針２の根元まで無理
に差し込まれた場合にも、ロウソク３の燃焼の終盤にお
いて、炎の熱は針２から燭台本体１に奪われて針２回り
の残余のロウソク３が溶けにくくなり、この場合にも、
炎は極端に小さく（図３（Ｂ））、風が吹くと容易に消
えてしまう。また、炎の熱は、針２から燭台本体１に奪
われて直ちに燭台本体１の加温に供されるものの、針２
自体に何ら蓄熱していないため、燭台本体１の上面温度
は燭台本体１の針２回り部分において格別高温にならず
に、燭台本体１の上面温度は全体的に低めの温度に加温
されるに過ぎず、燭台本体１の上面にたれ落ちたロウ５
を溶かすことができない。従って、ロウソク３の燃焼の
終盤において、燭台本体１の上面にたれ落ちたロウ５は
液状にならず、ロウソク３の芯３Ａに吸上げられること
がないため、この場合にも、燭台本体１の上面にはその
たれ落ちたロウ５が残存し、このロウ５が燭台本体１の
上面を汚損するものとなる（図３（Ｃ））。

【０００９】本発明は、ロウソクの完全で安全な燃焼を
可能とする燭台を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の本発明
は、燭台本体に針を立て、ロウソクの穴を該針に差し込
んで用いられる燭台において、燭台本体の上面に湾曲凹
面状のロウ受け部を設け、このロウ受け部にたれ落ちる
ロウの液状溜りの中央部に針を立て、針の構成材料を、
燭台本体の構成材料に対して熱伝導率の低いものとして
なるものである。

【００１１】請求項２に記載の本発明は、請求項１記載
の本発明において更に、前記針の径及び長さを、ロウソ
クの穴の径及び長さと略同一としてなるものである。

【００１２】

【作用】請求項１に記載の本発明によれば下記の作用
がある。 針の熱伝導率が燭台本体の熱伝導率より低く針は蓄熱
性が高いため、ロウソクの燃焼の終盤において針が外部
から見え始めるに至ったとき（図２（Ａ））、炎の熱は
針から燭台本体に多量には奪われにくく針に蓄熱され
る。このため、針回りの残余のロウソクはその蓄熱によ
りよく溶け続け、一定の炎の大きさを維持可能とする。

【００１３】そして、燭台本体の熱伝導率が針の熱伝導
率より高く設定されているため、針から熱伝導率の高い
燭台本体に伝わる炎の熱は直ちに燭台本体の加熱に供さ
れる。このとき、針自体が蓄熱状態にあるため、燭台本
体の上面温度は燭台本体の針回り部分において格別高温
となる。このため、燭台本体の上面にたれ落ちたロウ
は、燭台本体の上面の高温に接して針回りに液状に溜り
（図２（Ｂ））、これがロウソクの芯を伝わって昇り、
最後の一滴まで吸上げられ同時に芯が燃え切り、完全燃
焼する（図２（Ｃ））。即ち、ロウソクは最初から最後
までいつも同じ明るさ（同じ炎の大きさ）で最後の一滴
まで完全燃焼する。このとき、燭台本体の上面にはロウ
の残存による汚損が一切ない。

【００１４】請求項２に記載の本発明によれば下記の
作用がある。 針の径及び長さが、ロウソクの下端穴の径及び長さと
略同一に設定されている。このため、ロウソクの穴が針
の根元までスムースに入ってジャストフィットし、使用
中に倒れる虞れがない。即ち、ロウソクの安全な燃焼状
態を確保できる。

【００１５】

【実施例】図１は本発明の一実施例に係る燭台とロウソ
クとを示す模式図、図２は本発明の燭台を用いたロウソ
クの燃焼状態を示す模式図、図３は従来の燭台を用いた
ロウソクの燃焼状態を示す模式図である。

【００１６】燭台１０は、図１に示す如く、燭台本体１
１の上面中央部に針１２を立て、ロウソク１３の下端穴
１４を針１２に差し込んで用いられる。燭台本体１１は
ロウソク１３からたれ落ちるロウ１５を受けることがで
きるように上面を凹面状に湾曲せしめられている。針１
２は、燭台本体１１に螺合もしくは圧入等により固定さ
れる。

【００１７】このとき、燭台１０にあっては、針１２の
構成材料を、燭台本体１の構成材料に対して熱伝導率の
低いものとしている。例えば、燭台本体１１を黄銅とす
るとき、針１２をステンレス鋼（鉄でも可）とする。

【００１８】また、燭台１０にあっては、針１２の径及
び長さを、ロウソク１３の下端穴１４の径及び長さと略
同一としている。例えば、１号未満の小ロウソク（１本
あたりの重量が3.75ｇ未満）に対して、針１２の形状を
ロウソク１３の下端穴形状と同じ円錐形状とし、その根
元直径を2.2mm 、長さを22mmとするものであり、従来の
針サイズに比してはるかに細く、長い。

【００１９】以下、本実施例の作用について説明する。 針１２の熱伝導率が燭台本体１１の熱伝導率より低く
針１２は蓄熱性が高いため、ロウソク１３の燃焼の終盤
において針１２が外部から見え始めるに至ったとき（図
２（Ａ））、炎の熱は針１２から燭台本体１１に多量に
は奪われにくく針１２に蓄熱される。このため、針１２
回りの残余のロウソク１３はその蓄熱によりよく溶け続
け、一定の炎の大きさを維持可能とする。

【００２０】そして、燭台本体１１の熱伝導率が針１２
の熱伝導率より高く設定されているため、針１２から熱
伝導率の高い燭台本体１１に伝わる炎の熱は直ちに燭台
本体１１の加熱に供される。このとき、針１２自体が蓄
熱状態にあるため、燭台本体１１の上面温度は燭台本体
１１の針１２回り部分において格別高温となる。このた
め、燭台本体１１の上面にたれ落ちたロウ１５は、燭台
本体１１の上面の高温に接して針１２回りに液状に溜り
（図２（Ｂ））、これがロウソク１３の芯１３Ａを伝わ
って昇り、最後の一滴まで吸上げられ同時に芯１３Ａが
燃え切り、完全燃焼する（図２（Ｃ））。即ち、ロウソ
ク１３は最初から最後までいつも同じ明るさ（同じ炎の
大きさ）で最後の一滴まで完全燃焼する。このとき、燭
台本体１１の上面にはロウ１５の残存による汚損が一切
ない。

【００２１】針１２の径及び長さが、ロウソク１３の
下端穴１４の径及び長さと略同一に設定されている。こ
のため、ロウソク１３の穴１４が針１２の根元までスム
ースに入ってジャストフィットし、使用中に倒れる虞れ
がない。即ち、ロウソク１３の安全な燃焼状態を確保で
きる。

【００２２】以上、本発明の実施例を図面により詳述し
たが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変
更等があっても本発明に含まれる。

【００２３】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、ロウソク
の完全で安全な燃焼を可能とする燭台を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の一実施例に係る燭台とロウソク
とを示す模式図である。

【図２】図２は本発明の燭台を用いたロウソクの燃焼状
態を示す模式図である。

【図３】図３は従来の燭台を用いたロウソクの燃焼状態
を示す模式図である。

【符号の説明】

１０ 燭台 １１ 燭台本体 １２ 針 １３ ロウソク １４ 穴

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燭台本体に針を立て、ロウソクの穴を該
   針に差し込んで用いられる燭台において、燭台本体の上面に湾曲凹面状のロウ受け部を設け、この
   ロウ受け部にたれ落ちるロウの液状溜りの中央部に針を
   立て、 針の構成材料を、燭台本体の構成材料に対して熱伝導率
   の低いものとしてなることを特徴とする燭台。
2. 【請求項２】 前記針の径及び長さを、ロウソクの穴の
   径及び長さと略同一としてなる請求項１記載の燭台。