JP3232106B2 - カラーフィルタの製造方法 - Google Patents

カラーフィルタの製造方法

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JP3232106B2
JP3232106B2 JP8425491A JP8425491A JP3232106B2 JP 3232106 B2 JP3232106 B2 JP 3232106B2 JP 8425491 A JP8425491 A JP 8425491A JP 8425491 A JP8425491 A JP 8425491A JP 3232106 B2 JP3232106 B2 JP 3232106B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカラーフィルタの製造方
法に係り、特に、例えば液晶ディスプレイ等のフラット
ディスプレイ、CCD等のイメージャー、あるいはカラ
ーセンサ等に用いられるカラーフィルタを高精度で、か
つ効率よく得ることのできるカラーフィルタの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、カラービデオカメラの撮像管に
は、複数色の微細なストライプが透明基板上に形成され
たカラーフィルタが装着されている。また、液晶ディス
プレイ(LCD)においても、近年のカラー化の要請に
対応するために、アクティブマトリックス方式および単
純マトリックス方式のいずれの方式においてもカラーフ
ィルタが用いられている。例えば、薄膜トランジスタ
(TFT)を用いたアクティブマトリックス方式の液晶
ディスプレイでは、カラーフィルタは赤(R)、緑
(G)、青(B)の3原色が用いられ、R,G,Bのそ
れぞれの画素に対応する電極をオン、オフさせることで
液晶がシャッタとして作動しR,G,Bのそれぞれの画
素を光が透過してカラー表示が行われる。そして、色混
合は2色以上の画素に対応する液晶シャッタを開き混色
して別の色に見せる加色混合の原理により網膜上で視覚
的に行われる。
【0003】上述のようにして用いられるカラーフィル
タは、従来、染色法、顔料分散法、印刷法、電着法等の
手段を用いて製造されていた。ここで、染色法によるカ
ラーフィルタの製造は、ゼラチン、カゼイン、ポリビニ
ルアルコール等の親水性樹脂に重クロム酸塩等の感光剤
を添加した塗布液を、スピンコート塗布法等により透明
ガラス基板上に塗布し、次いで、所定パターンのマスク
を用いて露光・現像を行い、その後、染料により染色し
て第一着色層を形成する。その後、この第一着色層上に
二度染め防止のために防染層を設けてから第二着色層お
よび第三着色層をそれぞれ第一着色層の形成と同様にし
て形成する。これにより、透明ガラス基板上にR,G,
Bの各着色層を備えたカラーフィルタを得ることができ
る。
【0004】また、顔料分散法を用いたカラーフィルタ
の製造は、透明感光性樹脂に有機顔料、無機顔料等の着
色剤を分散した感光液を透明ガラス基板上に塗布して感
光性樹脂層を形成する。次に、この感光性樹脂層上に所
定形状の開口パターンを有するマスクを載置し、露光・
現像を行い第一着色層を形成する。同様にして第二着色
層、第三着色層を形成してR,G,Bの各着色層を備え
たカラーフィルタを得ることができる。
【0005】また、印刷法を用いたカラーフィルタの製
造は、平版オフセット印刷、凹版オフセット印刷等のオ
フセット方式、スクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式
等の印刷工程のみで着色層を形成するものである。さら
に、電着法を用いたカラーフィルタの製造は、基板に予
め酸化インジウムスズ(ITO)膜をフォトリソグラフ
ィーで形成しておき、電着槽中で電気泳動法により所定
の領域に着色層を形成するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、染色法
においては、色調が豊富で解像性に優れるカラーフィル
タが得られる反面、染色の際に既に着色された部分が二
度染めされないように防染対策を施す必要がある等の点
から工程が煩雑であり製造コストが高くなるという問題
があった。また、被染体に水溶性高分子材料を用いてい
るため耐熱性、耐薬品性、耐光性等が劣るという問題も
あった。
【0007】また、顔料分散法においては、微細なパタ
ーンを形成することが可能である反面、色変えの度にフ
ォトリソグラフィー工程の処理を行う必要があり工程が
煩雑であるとともに、15インチ以上の大型パネルを製
造する場合の設備費がかかり、製造コスト低減が困難で
あるという問題があった。また、印刷法は、低コスト化
と量産化を同時に可能にするとともに、大画面化も可能
なカラーフィルタの製造方法であるが、寸法精度は±1
0μm程度と低く、またピンホール、色ムラが発生し易
くパターン品質が不充分であるという問題があった。
【0008】さらに、電着法は、寸法精度、パターン品
質とも顔料分散法と同レベルにあり、工程数も減少する
が、高価なCrパターンブラックマトリックス形成工程
およびITOパターン形成工程を含み、製造コストが高
くなるという問題があった。また、15インチ以上の大
型パネルを製造する場合、設備費の増大という問題もあ
った。
【0009】本発明は上述のような事情に鑑みてなされ
たものであり、液晶ディスプレイ等のフラットディスプ
レイ、CCD等のイメージャー、あるいはカラーセンサ
等に用いられるカラーフィルタを高精度で、かつ効率よ
く得ることのできるカラーフィルタの製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明は複数色の着色パターンからなる着色
層を備えるカラーフィルタの製造方法において、まず、
母型と電離放射線硬化樹脂との剥離性を向上させるため
の剥離性処理を行い、次いで、所定の着色パターン用の
溝部が形成された母型の該溝部に着色顔料を含有する粘
度が10000cps以下の電離放射線硬化樹脂を充填
し、その後、片面に予めアクリル系粘着剤からなる粘着
層が形成された透明基板を該粘着層が前記溝部内の電離
放射線硬化樹脂と密着するように前記母型と密着させ、
前記透明基板側および前記母型側の少なくとも一方から
電離放射線を照射して前記溝部内の電離放射線硬化樹脂
を硬化させるとともに前記粘着層に接着させて前記透明
基板上に着色パターンを形成する工程、を必要色数分繰
り返して前記透明基板上に着色層を形成するような構成
とした。
【0011】
【作用】着色顔料を含有する電離放射線硬化樹脂は母型
に形成された所定の着色パターン用の溝部に充填され、
透明基板に形成された粘着層と密着された状態で透明基
板側および母型側の少なくとも一方から電離放射線が照
射されて硬化されると同時に粘着層に接着して透明基板
上に着色パターンを形成し、これを繰り返すことにより
必要とする複数色の着色パターンからなる着色層を備え
るカラーフィルタが得られる。これにより、耐熱性、耐
光性等を有しパターン寸法精度が良好なカラーフィルタ
の製造が可能になるとともに、カラーフィルタの工程の
簡略化がなされて製造コストの低減が可能である。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図1は、本発明により製造されたカラーフ
ィルタを用いたアクティブマトリックス方式による液晶
ディスプレイ(LCD)の一例を示す斜視図であり、図
2は同じく概略断面図である。図1および図2におい
て、LCD1はカラーフィルタ10と透明ガラス基板2
0とをシール材30を介して対向させ、その間に捩れネ
マティック(TN)液晶からなる厚さ約5〜10μm程
度の液晶層40を形成し、さらに、カラーフィルタ10
と透明ガラス基板20の外側に偏光板50,51が配設
されて構成されている。
【0013】図3はカラーフィルタ10の拡大部分断面
図であり、カラーフィルタ10は透明基板12と、この
透明基板12上に粘着層13を介して形成された着色層
14およびブラックマトリックス16と、この着色層1
4およびブラックマトリックス16とを覆うように設け
られた保護層18と透明共通電極19とを備えている。
このカラーフィルタ10は透明共通電極19が液晶層4
0側に位置するように配設されている。そして、着色層
14は赤色パターン14R、緑色パターン14G、青色
パターン14Bからなり、各着色パターンの配列は図1
に示されるようにモザイク配列となっている。尚、着色
パターンの配列はこれに限定されるものではなく、三角
配列、ストライプ配列等としてもよい。
【0014】また、透明ガラス基板20上には表示電極
22が各着色パターン16R、16G、16Bに対応す
るように設けられ、各表示電極22は薄膜トランジスタ
(TFT)24を有している。また、各表示電極22間
にはブラックマトリックス13に対応するように走査線
(ゲート電極母線)26aとデータ線26bが配設され
ている。
【0015】このようなLCD1では、各着色パターン
14R、14G、14Bが画素を構成し、偏光板51側
から照明光を照射した状態で各画素に対応する表示電極
をオン、オフさせることで液晶層40がシャッタとして
作動し、着色パターン14R、14G、14Bのそれぞ
れの画素を光が透過してカラー表示が行われる。ここ
で、本発明によるカラーフィルタ製造の一例を図4を参
照して説明する。先ず、母型4Rの赤色パターン用の溝
部6Rが形成された面に、赤色顔料を含有する電離放射
線硬化樹脂を滴下し、ドクターにて余分な電離放射線硬
化樹脂を除去して溝部6Rにのみ電離放射線硬化樹脂8
Rを充填する(図4(A))。次に、予め粘着層13が
形成されている透明基板12を母型4R上に重ねて溝部
6Rに充填されている電離放射線硬化樹脂8Rと粘着層
13とを密着させ、この状態で透明基板12側から電離
放射線を照射する(図4(B))。これにより、電離放
射線硬化樹脂8Rは硬化するとともに、粘着層13に接
着され、母型4Rと透明基板12とを分離することによ
り赤色パターン14Rが形成された透明基板12が得ら
れる(図4(C))。次に、緑色パターン用の溝部6G
が形成された母型4Gに、緑色顔料を含有する電離放射
線硬化樹脂を滴下し、ドクターにて余分な電離放射線硬
化樹脂を除去して溝部6Gにのみ電離放射線硬化樹脂8
Gを充填する(図4(D))。そして、溝部6Gに充填
された電離放射線硬化樹脂8Gが透明基板12の粘着層
13上の赤色パターン14Rが形成されていない所定領
域と密着するように透明基板12と母型4Gとを重ね、
透明基板12側から電離放射線を照射した後、母型4G
と透明基板12とを分離することにより緑色パターン1
4Gが形成された透明基板12が得られる(図4
(E))。同様に、青色パターン用の溝部が形成された
母型を用い、この溝部に充填された青色顔料を含有する
電離放射線硬化樹脂と透明基板12の粘着層13上の赤
色パターン14Rおよび緑色パターン14Gが形成され
ていない所定領域とを密着するように透明基板12と母
型とを重ねる。そして、透明基板12側から電離放射線
を照射した後、母型と透明基板12とを分離することに
より青色パターン14Bが形成された透明基板12が得
られる(図4(F))。このようにして、透明基板12
上には粘着層13を介して赤色パターン14R、緑色パ
ターン14Gおよび青色パターン14Bからなる着色層
14が形成される。この着色層14の各着色パターン間
には所定の間隙が残されており、次に、この間隙部分に
ブラックマトリックスが形成される。すなわち、ブラッ
クマトリックス用の溝部が形成された母型を用い、光非
透過性物質を含有する電離放射線硬化樹脂をこの溝部に
充填し、次に、溝部に充填された電離放射線硬化樹脂が
透明基板12の粘着層13上の各着色パターンが形成さ
れていない所定領域と密着するように透明基板12と母
型とを重ねる。そして、透明基板12側から電離放射線
を照射した後、母型と透明基板12とを分離することに
より透明基板12上に粘着層13を介してブラックマト
リックス16が形成される(図4(G))。
【0016】上述の例では着色層14の各着色パターン
間に残された間隙部分にブラックマトリックス16が形
成されるが、間隙を残すことなく着色層14を形成し、
ブラックマトリックス16を各着色パターンの境界上に
形成するようにしてもよい。また、ブラックマトリック
ス形成工程を削除することにより、ブラックマトリック
スのないカラーフィルタを製造することができる。
【0017】また、母型の溝部への電離放射線硬化樹脂
の充填は、上述のようにドクターにより余分の電離放射
線硬化樹脂を除去する1回の操作で行ってもよく、ま
た、このようにして一度充填を行った後、電離放射線を
照射して硬化させ、その後、再度充填操作を行って溝部
への充填率を向上させてもよい。さらに、本発明では母
型4の溝部へ電離放射線硬化樹脂を充填した後、母型4
に透明基板12を重ね合わせる前に電離放射線を照射し
て電離放射線硬化樹脂をを硬化させてもよい。
【0018】本発明にて使用することのできる母型の大
きさ、溝部形状は、目的とするカラーフィルタに対応し
て適宜決定される。例えばスーパーツイストネマティッ
ク(STN)単純マトリックス方式用のカラーフィルタ
に対応する場合、着色パターン用母型は幅110μm、
深さ3μm、長さ200mm程度の溝が390μmピッ
チで480本並んだものとすることができる。また、ブ
ラックマトリックス用母型は幅20μm、深さ3μm、
長さ200mm程度の溝が130μmピッチで1441
本並んだものとすることができる。そして、着色パター
ン用母型を用いて図4に示されるように透明基板上に幅
110μmの赤色パターン14R、緑色パターン14G
および青色パターン14B(計1440本)を20μm
間隔で順に形成し、ブラックマトリックス用母型を用い
て各着色パターン間にブラックマトリックスを形成する
ことができる。
【0019】また、母型の溝部の断面形状は、図5
(A)に示されるように底部に対して側面が垂直である
ような矩形状、図5(B)に示されるように底部に対し
て側面がテーパーθを有する形状、図5(C)に示され
るように側面が階段状であるもの等とすることができ
る。特に、溝部の断面形状を図5(B),(C)に示さ
れる断面形状とすることにより、母型と電離放射線硬化
樹脂との剥離性が向上する。この場合、テーパーθは9
0°〜10°、好ましくは60°〜40°程度である。
また、溝部の底部の平面性および溝部の深さの精度は、
それぞれ±10μm以内であることが好ましい。母型の
材料は、寸法安定性、低熱膨張率、耐面内変形性に優
れ、電離放射線に対する耐性および電離放射線硬化樹脂
に対する耐性を有するとともに、余分な電離放射線硬化
樹脂をドクター等により除去する際の耐摩耗性を有する
ことが要求される。このような材料としては、無アルカ
リガラス、アルカリガラス、表面研磨ガラス、低熱膨張
ガラス等のガラス、セラミックス;アルミニウム、クロ
ム、銅、ニッケル等の金属あるいは金属化合物;塩化ビ
ニル酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリオ
レフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹
脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シリコーン
系樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂あるいはフィラー含有樹
脂等;あるいは上記の複合体等を用いることができる。
また、母型と電離放射線硬化樹脂との剥離性を向上させ
るための剥離性処理としては、シリコーンオイル散布、
金属表面のクロマイト処理等の表面処理、樹脂中への離
型成分の導入、離型剤の添加等を挙げることができる
【0020】上述のような材料を用いた母型形成は、機
械切削、ウエットエッチング、ドライエッチング、放射
線加工(レーザー、電子ビーム等)、薄膜形成、メッキ
等の一般的加工方法に従って行うことができる。また、
母型は図6(A)に示されるように溝部6を画定する凸
部4aと基部4bとが同一材料で一体的に形成されたも
の、あるいは図6(B)に示されるように溝部6を画定
する凸部4aと基部4bとを別の材料で形成されたもの
であってよい。さらに、図6(C)に示されるように溝
部6を画定する凸部4aと基部4bとを同一材料で一体
的に形成し、凸部4a上に金属層4cを形成して耐磨耗
性を向上したもの、図6(D)に示されるように溝部6
を画定する凸部4aと基部4bとを別の材料で形成し、
凸部4a上に金属層4cを形成して耐磨耗性を向上した
もの等とすることができる。
【0021】また、母型側から電離放射線を照射する場
合は、母型の材料を透明なものとする必要がある。さら
に、母型は上述のような平板形状であることに限定され
るものではなく、ロール形状であってもよい。すなわ
ち、図7に示されるようにシリンダー状の母型材料62
の周面に溝部64を形成した母型60とすることができ
る。この場合、母型60の溝部64に電離放射線硬化樹
脂68を充填し、粘着層13を備えた透明基板12を母
型60の下方を通過させて粘着層13と電離放射線硬化
樹脂68とを接着させるとともに、透明基板12側から
電離放射線を照射して電離放射線硬化樹脂68を硬化し
て粘着層13に接着させて透明基板12上に着色パター
ンを形成することができる。また、柔軟性を有する母型
材料を用いて形成した平板形状の母型を、シリンダーに
巻き付けてロール形状の母型としたもの等を使用するこ
とができる。
【0022】カラーフィルタ10の透明基板12として
は、石英ガラス、パイレックスガラス、合成石英板等の
柔軟性のないリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、
光学用樹脂板等の柔軟性を有するフレキシブル材等を用
いることができる。このなかで、特にコーニング社製7
059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定
性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガ
ラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであ
るため、アクティブマトリックス方式によるLCD用の
カラーフィルタに適している。
【0023】粘着層13は、例えば塩化酢酸ビニル系、
天然ゴム系、合成ゴム系、各種アクリレート系、シリコ
ン系、エポキシ系等の汎用粘着剤;熱可塑性の感熱接着
剤;ガラス転移点が常温以上の熱可塑性樹脂、軟化点が
常温以上の熱可塑性樹脂等を透明基板12上に塗布して
形成することができる。そして、粘着層13の厚さは
0.1〜50μm程度が好ましく、特に1μm〜10μ
mが好ましい。
【0024】電離放射線硬化樹脂は公知のものを用いる
ことができ、例えば、エポキシアクリレート、ウレタン
アクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテ
ルアクリレート、シリコンアクリレート、メラミンアク
リレート、不飽和ポリエステル、ポリエン/チオール等
の光重合性オリゴマー、単官能アクリレート、多官能ア
クリレート等の光重合性モノマー、ベンゾイン系、アセ
トフェノン系、チオキサンリン系、パーオキシド系等の
光重合開始剤、アミン系、キノン系等の光重合開始助剤
等からなるものを用いることができる。また、電離放射
線硬化樹脂には充填材、接着付与剤、可塑剤、非反応性
ポリマー、およびユリア樹脂、アミド樹脂、フェノール
/ホルマリン樹脂等の樹脂を添加してもよい。特に、こ
のような電離放射線硬化樹脂は後述するような着色顔料
を含有するため、照射された電離放射線が深く浸透する
ようにアセトフェノン構造の光重合開始剤に比べて感応
波長が長いチオキサンリン構造の光重合開始剤を用いる
ことが好ましい。また、アリレートと混合した場合に、
長波長増感効果のあるα−アミノアセトフェノン等の光
重合開始剤の使用が好ましい。また、電離放射線硬化樹
脂は電離放射線照射により硬化した際の収縮率が小さい
ものが好ましい。
【0025】このような電離放射線硬化樹脂に含有され
る着色顔料は、有機顔料、無機顔料いずれでもよく、要
求される分光特性に応じて種々選定することができる。
有機顔料としては、アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、
縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、無金属フタロシ
アニン顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン、ペノリ
ン、ジオキサジン等の縮合多環顔料、および酸性または
塩基性染料のレーキ、あるいはこれらの混合物等を用い
ることができる。また、無機顔料としては、チタン白等
の白色顔料、炭酸カルシウム等の体質顔料、カーボンブ
ラック等の黒色顔料、カドミウムレッド等の赤色顔料、
チタンイエロー等の黄色顔料、チタンコバルトグリーン
等の緑色顔料、コバルトブルー等の青色顔料、マンガン
バイオレット等の紫色顔料等を用いることができる。特
に、変色温度が150℃以上、好ましくは250℃以上
であるような耐熱性の高い顔料が好ましい。また、ブラ
ックマトリックス用の光不透過物質としては、カーボン
ブラック、グラファイト、黒色酸化鉄、鉄黒、酸化銅、
酸化マンガン等の金属酸化物、もしくは金属化合物、さ
らには超微粒子等を用いることができる。このような顔
料の平均粒子径は数μm以下が好ましく、特に5μm以
上の粒子を含まない顔料が好ましい。
【0026】上記の顔料に対して表面処理を行うことに
より耐熱性等を向上させることができる。表面処理とし
ては、ロジン変性処理、アミン・カチオン活性剤処理、
脂肪酸・アニオン活性剤処理、ノニオン活性剤処理、ポ
リマー樹脂処理、顔料誘導体による処理、部分酸化等の
トポケミカルな方法による処理、溶剤処理等、あるいは
これらの併用が可能である。また、耐熱性を向上させる
ために、顔料結晶にわずかに異なった構造の誘導体を組
み込むことも好適であり、例えば銅フタロシアニン顔料
に部分塩素化銅フタロシアニンやフタルイミドメチル銅
フタロシアニン等を少量併用することで変色温度の上昇
がみられる。さらに、顔料成分にカルバモイル基(−C
ONH2 )、カルボキシル基(−COOH)を導入する
ことによっても変色温度の上昇がみられる。
【0027】尚、無機顔料は有機顔料に比べて紫外線を
透過し難いため、無機顔料を使用する場合は光重合開始
剤の含有率を5〜20重量%に高めるか、あるいは顔料
の表面処理を行う必要がある。但し、電離放射線として
電子線を用いる場合は、このような対応をとる必要はな
い。着色顔料を含有した電離放射線硬化樹脂の粘度は、
10000cps以下が好ましく、特に、表面平坦性お
よび気泡混入防止に点から500cps以下が好まし
い。
【0028】電離放射線の照射源としては、低圧水銀ラ
ンプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハラ
イドランプ、パルスキセノンランプ、無電極放電ランプ
等の紫外線照射装置を用いることができ、照射量は10
〜500W/cm程度が好ましい。また、コールドミラ
ーを用いて赤外光を取り除き、被照射物の昇温を防止す
るようにしてもよい。尚、平板状の母型を用いる場合、
透明基板と母型とで電離放射線硬化樹脂を挟んだ際に電
離放射線硬化樹脂のうち酸素に触れる部分の硬化不良が
発生し易いため、窒素雰囲気中で硬化を行うことが好ま
しい。また、電離放射線の照射源として線状フィラメン
ト型、走査型等の電子線発生装置を用いることもでき
る。この場合、照射エネルギーは100〜500kVで
1〜10Mrad程度が好ましい。
【0029】カラーフィルタ10の着色層16を覆うよ
うに設けられる保護層18は、カラーフィルタ10の表
面平滑化、信頼性の向上、および液晶層40への汚染防
止等を目的とするものであり、アクリル系樹脂、エポキ
シ系樹脂、ポリイミド系樹脂等の透明樹脂、あるいは二
酸化ケイ素(SiO2 )等の透明無機化合物等を用いて
形成することができる。保護層の厚さは0.5〜50μ
m程度が好ましい。
【0030】透明共通電極19としては、酸化インジウ
ムスズ(ITO)膜を用いることができる。ITO膜は
蒸着法、スパッタ法等の公知の方法により形成すること
ができ、厚さは200〜2000Å程度が好ましい。次
に、実験例を示して本発明を更に詳細に説明する。 (実験例1)表面研磨した無アルカリガラス(厚さ2m
m)を4枚準備し、スパッタリング法により各ガラスの
表面に厚さ30000Åのクロム(Cr)膜を形成し、
このCr膜上にフォトレジストを厚さ2μmで塗布し
た。次に、幅110μm、長さ200mmの開口部分が
390μmピッチで480本並んだストライプ状のフォ
トマスク(ネガタイプ)No.1〜3と、幅20μm、
長さ200mmの開口部分が130μmピッチで144
0本並んだストライプ状のフォトマスク(ネガタイプ)
No.4とを準備した。そして、これらのフォトマスク
を用いて上記の各ガラスのCr膜側から露光・現像エッ
チングを行った。これにより、フォトマスクNo.1〜
3を用いたガラスは、それぞれ幅110μm、深さ3μ
m、長さ200mmの溝が390μmピッチで480本
並んだ母型No.1〜3とされ、また、フォトマスクN
o.4を用いたガラスは、幅20μm、深さ3μm、長
さ200mmの溝が130μmピッチで1441本並ん
だブラックマトリックス用の母型No.4とされた。
【0031】次に、下記の青色顔料、緑色顔料、赤色顔
料および紫外線硬化樹脂を準備し、各着色顔料をシラン
カップリング処理した後、紫外線硬化樹脂100重量部
に対して青色顔料は12重量部、緑色顔料は20重量
部、赤色顔料は20重量部を、それぞれ混合分散して青
色、緑色、赤色の各着色紫外線硬化樹脂とした。 (青色顔料) ・リオノールブルーES 東洋インキ製造(株)製 C.I.Pigment Blue15.6 …9重量部 ・リオノゲンバイオレットRL 東洋インキ製造(株)製 C.I.Pigment Violet23 …3重量部 (緑色顔料) ・リオノールグリーン2YS 東洋インキ製造(株)製 C.I.Pigment Green36 …15重量部 ・セイカファーストイエロー2700 大日精化工業(株)製 C.I.Pigment Yellow83 …4重量部 (赤色顔料) ・リオトゲンレッドGD 東洋インキ製造(株)製 C.I.Pigment Red168 …23重量部 ・リオノーゲンレッドRL 東洋インキ製造(株)製 C.I.Pigment Orenge36 …8重量部 (紫外線硬化樹脂) ・オリゴエステルアクリレート (M−7100,東亜合成(株)製) …50重量部 ・ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート (M−111,東亜合成(株)製) …20重量部 ・N−ビニル−2−ピロリドン(粘度2cps) …20重量部 ・光重合開始剤 1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン (日本チバガイギー製イルガキュア184) …3重量部 さらに、カーボンブラック5重量部を上記の紫外線硬化
樹脂100重量部に混合分散して、ブラックマトリック
ス用の黒色紫外線硬化樹脂とした。
【0032】また、表面研磨しシランカップリング処理
した無アルカリガラス(コーニング7059、厚さ1.
1mm)を透明基板として準備し、この透明基板の片面
にアクリル系粘着剤をスピンコート法より塗布して粘着
層(厚さ3μm)を形成した。つぎに、母型No.1の
全面に青色紫外線硬化樹脂を流し、母型No.1上にド
クターを摺動させることにより余分な青色紫外線硬化樹
脂を除去して母型No.1の溝部にのみ青色紫外線硬化
樹脂を充填した。同様にして、母型No.2の溝部に緑
色紫外線硬化樹脂を充填し、母型No.3の溝部に赤色
紫外線硬化樹脂を充填し、母型No.4の溝部にブラッ
クマトリックス用の黒色紫外線硬化樹脂を充填した。そ
して、上記の透明基板を母型No.1上に重ねて粘着層
と青色紫外線硬化樹脂とを密着させた状態で透明基板側
から紫外線を照射した。照射量は200mJ/cm2 とし
た。この紫外線照射により、青色紫外線硬化樹脂は硬化
するとともに粘着層に接着し、その後、母型No.1か
ら透明基板を剥離したところ透明基板上に青色パターン
が形成されていた。
【0033】次に、透明基板の粘着層上の青色パターン
が形成されていない領域のうち青色パターンから20μ
m離れた位置に緑色紫外線硬化樹脂が密着するように透
明基板を母型No.2上に重ね、透明基板側から紫外線
を照射することにより透明基板上に緑色パターンを形成
した。さらに、透明基板の青色パターンおよび緑色パタ
ーンの形成領域に挟まれた位置(幅150μmの)中央
に赤色紫外線硬化樹脂が密着するように透明基板を母型
No.3上に重ね、透明基板側から紫外線を照射するこ
とにより透明基板上に赤色パターンを形成した。これに
より、赤(R)、緑(G)、青(B)の着色パターンを
有する着色層が形成された。
【0034】次に、赤(R)、緑(G)、青(B)の各
着色パターンの境界部分(幅20μm)に黒色紫外線硬
化樹脂が密着するように透明基板を母型No.4上に重
ね、透明基板側から紫外線を照射することにより、粘着
層を介して透明基板上にブラックマトリックスを形成し
た。次に、このような着色層を覆うように保護層を形成
した。この保護層は日本合成ゴム社製オプトマーSSを
用いてスピンコート法により形成され、厚さは約25μ
mであった。さらに、この保護層上にスパッタリング法
により厚さ約220Åの透明共通電極(ITO膜)を形
成してカラーフィルタを得た。
【0035】このようなカラーフィルタの寸法精度は±
2μmであった。(実験例2)紫外線硬化樹脂の替りに
下記の電子線硬化樹脂を用い、また透明基板として厚さ
100μmのポリエチレンテルフタレート(PET)樹
脂を用い、電子線照射(照射量10Mrad)により硬
化させた他は実験例1と同様にしてカラーフィルタを得
た。
【0036】このようなカラーフィルタの寸法精度は±
5μmであり、またPET樹脂基板の大きな変形はみら
れなかった。 (電子線硬化樹脂) ・ウレタンアクリレート(C−9501 サートマー製) …50重量部 ・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート (M−400 東亜合成製) …15重量部 ・テトラヒドロフルフリルメタクリレート(粘度2.5cps)…30重量部 (実験例3)透明基板を重ねる前に溝部側から母型に電
子線を照射して電子線硬化樹脂を硬化させ、その後、粘
着層を有する透明基板を母型に重ねた他は実験例1と同
様にしてカラーフィルタを得た。尚、照射量は10Mr
adとした。このようなカラーフィルタの寸法精度は±
2μmであった。
【0037】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば着
色顔料を含有する電離放射線硬化樹脂は母型に形成され
た所定の着色パターン用の溝部に充填され、透明基板に
形成された粘着層と密着された状態で透明基板側および
母型側の少なくとも一方から電離放射線が照射されて硬
化されると同時に粘着層に接着して透明基板上に着色パ
ターンを形成し、これを繰り返すことにより必要とする
複数色の着色パターンからなる着色層を備えるカラーフ
ィルタが得られ、これにより、耐熱性、耐光性等を有し
パターン寸法精度が良好なカラーフィルタの製造が可能
になるとともに、カラーフィルタの工程の簡略化がなさ
れて製造コストの低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により製造されたカラーフィルタを用い
たアクティブマトリックス方式による液晶ディスプレイ
の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示される液晶ディスプレイの概略断面図
である。
【図3】図1に示される液晶ディスプレイに用いられて
いるカラーフィルタの拡大部分断面図である。
【図4】本発明によるカラーフィルタの製造方法を説明
するための工程図である。
【図5】母型の断面形状を示す断面図である。
【図6】母型の構成例を示す概略構成図である。
【図7】ロール形状の母型の構成例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
4,60…母型 6,64…溝部 10…カラーフィルタ 12…透明基板 13…粘着層 14…着色層 14R,14G,14B…着色パターン 16…ブラックマトリックス

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数色の着色パターンからなる着色層を
    備えるカラーフィルタの製造方法において、 まず、母型と電離放射線硬化樹脂との剥離性を向上させ
    るための剥離性処理を行い、次いで、所定の着色パター
    ン用の溝部が形成された母型の該溝部に着色顔料を含有
    する粘度が10000cps以下の電離放射線硬化樹脂
    を充填し、その後、片面に予めアクリル系粘着剤からな
    粘着層が形成された透明基板を該粘着層が前記溝部内
    の電離放射線硬化樹脂と密着するように前記母型と密着
    させ、前記透明基板側および前記母型側の少なくとも一
    方から電離放射線を照射して前記溝部内の電離放射線硬
    化樹脂を硬化させるとともに前記粘着層に接着させて前
    記透明基板上に着色パターンを形成する工程、を必要色
    数分繰り返して前記透明基板上に着色層を形成すること
    を特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  2. 【請求項2】 着色層を形成した後、ブラックマトリッ
    クス用の溝部が形成された母型の該溝部に光不透過物質
    を含有する電離放射線硬化樹脂を充填し、その後、着色
    層が形成されている前記透明基板を前記粘着層が前記溝
    部内の電離放射線硬化樹脂と密着するように前記母型に
    密着させ、前記透明基板側および前記母型側の少なくと
    も一方から電離放射線を照射して前記溝部内の電離放射
    線硬化樹脂を硬化させるとともに前記粘着層に接着させ
    て前記透明基板上にブラックマトリックスを形成するこ
    とを特徴とする請求項1記載のカラーフィルタの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 ブラックマトリックス用の溝部が形成さ
    れた母型の該溝部に光不透過物質を含有する電離放射線
    硬化樹脂を充填し、その後、片面に予め粘着層が形成さ
    れた透明基板を該粘着層が前記溝部内の電離放射線硬化
    樹脂と密着するように前記母型と密着させ、前記透明基
    板側および前記母型側の少なくとも一方から電離放射線
    を照射して前記溝部内の電離放射線硬化樹脂を硬化させ
    るとともに前記粘着層に接着させてブラックマトリック
    スを予め形成した透明基板を用いることを特徴とする請
    求項1記載のカラーフィルタの製造方法。
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