JP3232083B2 - 耐疲れ亀裂性ニッケル基超合金の製造方法およびその製品 - Google Patents

耐疲れ亀裂性ニッケル基超合金の製造方法およびその製品

Info

Publication number
JP3232083B2
JP3232083B2 JP17207189A JP17207189A JP3232083B2 JP 3232083 B2 JP3232083 B2 JP 3232083B2 JP 17207189 A JP17207189 A JP 17207189A JP 17207189 A JP17207189 A JP 17207189A JP 3232083 B2 JP3232083 B2 JP 3232083B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
rate
crack
crack growth
stress
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP17207189A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0339433A (ja
Inventor
マイケル・フランシス・ヘンリー
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
General Electric Co
Original Assignee
General Electric Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by General Electric Co filed Critical General Electric Co
Priority to JP17207189A priority Critical patent/JP3232083B2/ja
Publication of JPH0339433A publication Critical patent/JPH0339433A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3232083B2 publication Critical patent/JP3232083B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Turbine Rotor Nozzle Sealing (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 ニッケル基超合金が高性能環境で広く使われているこ
とはよく知られている。そのような合金は、ジェットエ
ンジン、陸上ガスタービンおよび1000゜F以上の高温で
高強度その他の望ましい物性を保持しなければならない
ような他の機関に広く使用されている。
これらの合金の多くはいろいろな体積割合(%)の
γ′析出物を含んでいる。このγ′析出物はこのような
合金の高い使用温度での高性能特性を担っている。
γ′の相化学の特性は、ホール(E.L.Hall)、クー
(Y.M.Kouh)およびチャン(K.M.Chang)によって、198
3年8月のアメリカ電子顕微鏡検査学会第41回年会会報
(Proceedings of 41st Annual Meeting of Electron M
icroscopy Society of America)第248頁の「析出強化
型超合金の相化学(Phase Chemistries in Precipitati
on−Strengthening Superalloy)」中により詳しく述べ
られている。
米国特許第2,570,193号、第2,621,122号、第3,046,10
8号、第3,061,426号、第3,151,981号、第3,166,412号、
第3,322,534号、第3,343,950号、第3,575,734号、第3,5
76,861号、第4,207,098号および第4,336,312号にはさま
ざまなニッケル基合金組成物が開示されている。これら
の特許は今日までに報告されたたくさんの合金化の開発
の代表的なものであり、元素間の異なる機能的関連をつ
かむために、さまざまな物理的・機械的特性をもった合
金系を生じさせる相が形成されるように、同じ元素をさ
まざまに組合せている。しかしながら、ニッケル基合金
に関して利用可能なデータは豊富にあるにもかかわら
ず、公知の元素をある濃度で組合せて使用して合金を形
成する場合、そのような組合せが業界で一般化されてい
る広い教示範囲内に入るものであるにしても、特に、そ
の合金を従来使用されていた熱処理とは異なる熱処理を
用いて加工したときに、形成されたそのような合金が示
すはずの物理的・機械的性質をある程度の正確さをもっ
て予想することは当業者にとってもいまだに不可能であ
る。
多くのそのようなニッケル基超合金でますます重視さ
れ認識されて来ている問題は、製造時または使用中に亀
裂(割れ)が形成されたりあるいは発生しかけたりしや
すく、しかもこの亀裂はガスタービンやジェットエンジ
ンなどのような構造体中でその合金を使用している間に
応力下で実際に伝播または成長し得るということであ
る。亀裂の伝播や拡大により部品の破壊その他の故障が
起こり得る。亀裂の発生および伝播に起因する可動機械
部品の故障の結果はよく分かっている。ジェットエンジ
ンの場合は特に重大な危険を招き得る。
しかし、最近の研究がなされるまであまり良く理解さ
れていなかったことは、超合金で形成されている構造体
における亀裂の発生と伝播が、すべての亀裂が同じ機
構、同じ速度で、同じ基準に従って発生し、かつ伝播す
るような単純な現象ではないということである。対照的
に、亀裂の発生と伝播および亀裂現象は複雑であること
が一般に認められて来ており、近年はそのような伝播と
応力のかかり方との間の相互の関連に関する新しい重要
な情報が集積されている。亀裂が拡大または伝播するま
でに部材に応力がかけられる時間、かかる応力の強さ、
その部材に応力をかけたり除いたりする際の速度、およ
びこの応力をかける予定・計画がもたらす影響が合金に
よっていろいろに変化することは、米国家航空宇宙局
(National Aeronautics and Space Administration)
との契約に基づいてある研究がなされるまで産業界では
良く理解されていなかった。この研究は、NASA CR−16
5123という技術レポートに報告されている。このレポー
トは、米国家航空宇宙局(National Aeronautics and S
pace Administration)のNASAルイス研究センター(NAS
A Lewis Research Center)、契約NAS3−21379のために
作成されたものである。
このNASAの後援による研究の主要な知見は、疲れ現象
に基づく伝播速度、すなわち疲れ亀裂伝播(FCP)の速
度が、かけられた応力やそのかかり方に対して必ずしも
一様ではないということである。また、それより重要な
ことに、疲れ亀裂伝播が現実に、応力が部材に対して亀
裂を拡大するようにかけられる場合のその応力をかける
頻度によって変化するということが発見された。さらに
驚くべきことに、このNASAの後援による研究の重大な発
見は、それまでの研究で使用されていた高めの頻度より
低い頻度で応力をかける方が亀裂伝播速度を実際に増大
させるということである。いいかえると、このNASAの研
究によって、疲れ亀裂伝播に時間依存性があることが確
かめられたのである。さらに、この疲れ亀裂伝播の時間
依存性は、頻度のみに依存するのではなく、その部材が
応力下に保持されている時間、すなわちいわゆる保持時
間にも依存することが判明した。
この低めの応力頻度で異常な程増大した疲れ亀裂伝播
が実証された後、産業界では、この新たに発見された現
象がニッケル基超合金をタービンおよび航空機エンジン
の応力がかかる部品に使用できる可能性の究極的な限界
を示しており、この問題を迂回して設計するためにはあ
らゆる設計努力をしなければならないと信じられてい
た。
しかし、大幅に低下した亀裂伝播速度と良好な高温強
度をもち、タービンおよび航空機エンジン内で高い応力
で使用するニッケル基超合金製部品を構築できることが
発見されたのである。
超合金に一番要求される性質がジェットエンジンの構
築に関して必要とされるものであることは知られてい
る。必要とされる性質のうち、エンジンのいろいろな部
品によって必要とされる性質の組合せはさまざまである
が、普通、エンジンの可動部品に対して必要とされるも
のの方が固定部品に対して必要とされるものより厳し
い。
鋳造合金材料ではある種の性質が得られないので、粉
末冶金技術によって部品を製造しなければならないこと
がある。しかし、ジェットエンジン用の可動部品の製造
の際に粉末冶金技術を使用することに伴う制限のひとつ
は、粉末の純度の問題である。もし粉末が小粒のセラミ
ックまたは酸化物などのような不純物を含有している
と、可動部品中でその小粒がある所は亀裂の発生が始ま
る潜在的に弱い点になる。そのような弱い点は本質的に
潜在的な亀裂である。そのような潜在的亀裂が存在する
可能性があるため、亀裂伝播速度を低下・抑制するとい
う問題がいっそう重要になる。本発明者は、合金組成の
調整とそのような金属合金の製造方法とを両方とも適用
することによって亀裂伝播を抑えることが可能なことを
発見した。
本発明によって、粉末冶金技術で製造することができ
る超合金が提供される。また、この超合金を加工処理し
て、最先端のエンジンディスク用に使用するのに優れた
性質を組合せて有する材料を製造する方法も提供され
る。ディスク材用に使用される材料に対して従来から必
要とされている性質には高い引張強さと高い応力破壊強
度がある。さらに、本発明の合金は時間依存性の亀裂成
長伝播に抵抗するという望ましい性質を示す。このよう
な亀裂の成長に抵抗する能力は部品の低サイクル疲れ
(LCF)寿命にとって必須のものである。
タービンやジェットエンジンに使用する合金製品が開
発されるにつれて、エンジンやタービンの各種部分に使
用される部品に対してさまざまな性質が必要とされるこ
とが明らかになって来た。ジェットエンジンの場合、航
空機のエンジンの性能要求が増大するにつれて、より進
んだ航空機エンジンの材料に要求される要件はさらに厳
しくなり続けている。この各種の要件は、たとえば、多
くのブレード材用合金が鋳造状態で非常に良好な高温特
性を示すという事実によって立証される。しかし、ブレ
ード材合金は中間の温度で不十分な強度を示すので、鋳
造ブレード合金からディスク材合金へ直接変換すること
は極めてありそうもないことである。さらに、ブレード
合金は鍛造するのが極めて困難であることが分かってお
り、しかもディスク合金からディスクを製造するのには
鍛造が望ましいことが判明している。また、ディスク合
金の耐亀裂成長性は評価されていない。したがって、エ
ンジン効率を上げると共に性能をさらによくするため
に、航空機エンジンに使用される特別な合金の一群とし
てのディスク合金の強度と温度性能を改良することが常
に望まれている。
したがって、本発明に至った研究を遂行する上で求め
られていたことは、疲れ亀裂伝播の時間依存性が小さい
かまたは最小であり、さらに疲れ亀裂発生に対する抵抗
性が高いディスク合金の開発であった。加えて、特性の
バランス、特に引張特性、クリープ特性および疲れ特性
のバランスをとることが求められていた。さらにまた、
求められていたことは、それまでに確立されていた合金
系を亀裂成長現象の抑制に関して強化することであっ
た。
本発明の超合金組成物およびその加工処理方法の開発
では疲れ特性に着目し、特に亀裂成長の時間依存性を取
り扱った。
高強度合金物体における亀裂成長、すなわち亀裂伝播
の速度は、かかっている応力(α)と亀裂の長さ(a)
に依存することが知られている。これらふたつの因子は
破壊力学により合同して、単一の亀裂成長駆動力、すな
わち応力度因子(stress intensity factor)Kを形成
する。この因子Kは に比例する。疲れ条件下で疲れサイクル中の応力度はふ
たつの成分、すなわち反復成分と静的成分のふたつから
成るとすることができる。前者は、反復する応力度の最
大の変化(ΔK)、すなわちKmaxとKminとの差を表わ
す。中程度の温度の場合亀裂成長は、静的破壊靭性KIC
に達するまでは主として反復応力度(ΔK)によって決
定される。亀裂成長速度は数学的にda/dN∝(ΔK)
と表わされる。ここで、Nはサイクルの数を示し、nは
材料によって決まる。反復の頻度とその波形は亀裂成長
速度を決定する重要なパラメーターである。所与の反復
応力度では、小さめの反復頻度の方が大きめの亀裂成長
速度を与えることになり得る。疲れ亀裂伝播のこの望ま
しくない時間依存性の挙動は現存するほとんどの高強度
超合金で見ることができる。この時間依存性の現象の複
雑さに加えて、温度をある点より高く上げると、亀裂
は、反復成分がまったくかからない(すなわちΔK=
0)ある一定の強度Kの静的応力下で成長し得る。設計
の目標は、da/dNの値をできるだけ小さくすると共にで
きるだけ時間依存性のないようにすることである。応力
度の成分はある温度範囲ではお互いに相互作用すること
ができ、その結果、亀裂成長は反復応力度および静的応
力度、すなわちΔKとKの関数となる。
発明の簡単な説明 したがって、本発明のひとつの目的は、亀裂発生に対
する抵抗性が高くなったニッケル基超合金製品を提供す
ることである。
もうひとつの目的は、確立されている公知のニッケル
基超合金の亀裂が発生し易い傾向を低下させる方法を提
供することである。
また、別の目的は、反復する高応力下で使用される疲
れ亀裂伝播に対する抵抗が高くなった物品を提供するこ
とである。
さらに、別の目的は、ある範囲の頻度で反復して加え
られる応力下の亀裂に対する抵抗性をニッケル基超合金
に付与できるようにする組成物と方法を提供することで
ある。
またさらに別の目的は、1200゜F、1400゜Fおよびそれ
以上の高温で疲れ亀裂伝播に対して抵抗性の合金を提供
することである。
その他の目的の一部は以下の説明から明らかであろう
し、一部は以下で指摘する。
その一般的な側面のひとつにおいて、本発明の目的
は、次の概略組成を有する組成物を提供することによっ
て達成することができる。
成 分 組成物中の濃度(重量%) (下限)〜(上限) Ni 残 部 Co 12〜18 Cr 7〜13 Mo 2〜4 W 0〜1.0 Al 4.5〜6.5 Ti 2.0〜2.5 Ta 2.2〜3.2 Nb 1.0〜1.7 Hf 0〜0.75 Zr 0〜0.1 V 0.5〜1.5 C 0.0〜0.2 B 0.0〜0.10 Re 0〜1 Y 0〜0.10。
以下の詳細説明は、添付の図面を参照するとより分か
り易くなるであろう。
発明の詳細な説明 本発明者は、高温で高強度を必要とする構造体に使用
されている現在市販の合金を研究することによって、従
来の超合金があるパターンをもっていることを発見し
た。このパターンは、前記の最終レポートNASA CR−16
5123にあるデータを、本発明者が考案した方法でプロッ
トしたことに基づくものである。本発明者は、1980年の
このNASAレポートのデータを、第1図に示したパラメー
ターを用いてプロットした。第1図を見ると明らかなよ
うに、これらのデータはほぼ対角線に沿って並んでい
る。
第1図では、亀裂成長速度(インチ/サイクル)が極
限引張強さ(ksi)に対してプロットされている。個々
の合金はこのグラフ上にプラス(+)の記号で示してあ
るが、この記号は、それぞれの合金に特徴的な極限引張
強さ(ksi)におけるその合金の対応する特性である亀
裂成長速度(インチ/サイクル)を示している。見て分
かるように、「滞留時間900秒」と表示した直線は、こ
れら従来周知の合金の亀裂成長速度と極限引張強さの間
の特徴的な関係を示している。周知の市販合金であるIN
−100合金に対するデータは、第1図中で滞留時間900秒
の直線の左にあり、この直線の中央より下にある。
このグラフの底部には、表示した+の記号の点に対応
する類似のデータが、0.33ヘルツ(Hz)すなわちいいか
えるとより高い頻度で行なった亀裂伝播速度試験に関し
て示されている。このグラフの上部に示したそれぞれの
合金に対して菱形で示されたデータは、0.33Hzと表示し
た直線に沿った領域にある。
第1図から、長い滞留時間に対してこのグラフの右下
隅の座標をもつ合金組成物はないということが明らかに
なった。実際、長めの滞留時間の亀裂成長試験に対する
データはすべて第1図のグラフの対角線に沿った領域中
に入っていたので、超合金用途で必要とされるように高
温で高強度をもつように形成される合金組成物はいずれ
もこのグラフの対角線に沿ったどこかに位置することに
なるであろうと思われた。いいかえると、第1図にプロ
ットしたパラメーターによって長い滞留時間で高い極限
引張強さと低い亀裂成長速度とを同時に有する合金組成
物を見出すことはできないように思われた。
しかし、本発明者は、高い極限強度と低い亀裂成長速
度とのユニークな組合せを達成することが可能な組成を
有する合金を製造することが可能であることを発見し
た。
本発明者が仮説的に到達した結論のひとつは、クロム
濃度が各種合金の亀裂成長速度に対してなんらかの影響
を及ぼし得るということであった。このため、本発明者
は亀裂成長速度に対してクロム含量(重量%)をプロッ
トした。このプロットの結果を第2図に示す。この図
で、クロム含量は約9%から約19%まで変化しているこ
とが分かり、対応する亀裂成長速度の測定値は、一般に
クロム含量が増大すると亀裂成長速度が低下することを
示している。このグラフによると、クロム含量が低く
て、しかも同時に、長い滞留時間で低い亀裂成長速度を
有する合金組成物を考案することは極めて困難であるか
または不可能であるように思われた。
しかしながら、本発明者は、ある超合金組成物の成分
を組合せて適切に合金化すると、化学と臨界特性との両
方の点でIN−100合金と類似しているが低いクロム含量
と長い滞留時間での低い亀裂成長速度とを両方とも有す
る組成物を形成することが可能であることを見出した。
試験片に応力をかける際の保持時間と亀裂成長が変化
する速度との間の関係の一例を第3図に示す。この図で
は、亀裂成長速度の対数を縦軸に、滞留時間または保持
時間(秒)を横軸にプロットしてある。5×10-5という
亀裂成長速度は、反復応力度因子が の場合の理想的な速度であると考えられるかもしれな
い。もし理想的な合金が形成されれば、その合金は亀裂
すなわち試片に応力をかけている保持時間の間ずっとこ
の速度を示すであろう。そのような現象は第3図の直線
(a)で表わされるであろう。この直線は、試片に応力
をかけている間、保持時間または滞留時間と亀裂成長速
度とが本質的に無関係であることを示している。
これとは対照的に、現実の亀裂発生現象により近い現
実に即した非理想的な亀裂成長速度を、第3図に曲線
(b)として示す。数秒以内の非常に短い保持時間の
間、理想的な線(a)と実際的な曲線(b)はあまり大
きく離れないことが分かる。このように高い頻度すなわ
ち短い保持時間で試料に応力をかける場合には、亀裂成
長速度は比較的低い。
しかし、試料に応力をかける保持時間が長くなると、
通常のIN−100などのような従来の合金に対する実験で
得られる結果は(b)のような曲線に従う。したがっ
て、応力負荷の頻度が低くなり応力負荷にかける保持時
間が長くなると、直線的な速度からのずれが大きくなる
ことが分かる。約500秒という保持時間を任意に選択し
てみると、亀裂成長速度は標準的な速度の5×10-5から
5×10-3へと100倍も増大し得ることが第3図から明ら
かである。
ここでもまた、亀裂成長速度が時間に依存しなければ
望ましいことであろうし、これは保持時間が長くなり応
力をかける頻度が低くなるとき曲線(a)をたどること
で理想的に表現されるであろう。
驚くべきことに、本発明者は、IN−100型の超合金の
成分を少しだけ変えることによって、その合金の長い滞
留時間での亀裂成長伝播に対する抵抗性を大幅に改善す
ることが可能であることを見出した。換言すると、合金
化の修正により亀裂成長の速度を低下させることが可能
であることが判明したのである。さらに、その合金の処
理によっても増大が可能である。そのような処理は主と
して熱処理である。
実施例 HK36とされる合金を製造した。この合金の組成は本質
的に以下の通りであった。
成 分 濃度(重量%) Ni 59.06 Co 15 Cr 10 Mo 3 Al 5.5 Ti 2.25 Ta 2.70 Nb 1.35 Zr 0.06 V 1 C 0.05 B 0.03。
この合金を各種の試験に供した。その試験結果を第4
〜10図にプロットした。ここで、「−SS」の文字をつけ
て表わしてある合金は、その合金に対してとったデータ
が「スーパーソルバス」処理された材料に対して採取さ
れたものである合金である。すなわち、この材料に対し
て行なった高温の固体状態熱処理は、強化性のγ′析出
物が溶解する温度よりは高くて初期融点よりは低い温度
で行なった。この結果、通常はその材料中の結晶粒度が
粗くなる。このスーパーソルバス熱処理中に溶解する強
化性のγ′相はその後の冷却および時効の際にふたたび
析出する。「−SS」の文字がついてないデータは、金属
粉末アトマイゼーション後の処理はすべてこのγ′溶解
温度より低い温度で行なった材料に対してとったデータ
である。冷却速度が合金特性に影響を及ぼすことが判明
した。
ここで第4図を参照すると、冷却速度(゜F/分)に
対して亀裂伝播速度(インチ/サイクル)をプロットし
たグラフが示されている。より細かい粒子サイズの状態
に加工処理されたRene′95とHK36のサンプルを、最大応
力度因子で保持時間を500秒として1200゜Fの空気中で試
験した。明からに、HK36は、試験した冷却速度の全範囲
に亘り、Rene′95より顕著に低い亀裂成長を示す。この
ような超合金から製造する際の冷却速度の範囲は、100
゜F/分から600゜F/分の範囲内であると予想されるこ
とに注意すべきである。
ここで第5図をみると、より大きめの粒子サイズ状態
に加工処理した材料、すなわちRene′95−SSとHK36−SS
のデータが第4図と同じ試験条件に対してプロットして
ある。明らかに、HK36−SSはずっと低めの亀裂成長速度
を示すが、そればかりでなく、その速度は高温熱処理か
らの冷却速度にほとんど依存しない。このような超合金
が冷却速度に応じて変化する引張特性とクリープ特性を
有することは公知であるので、HK36−SSのこのもうひと
つの利益によって、製造された部材の加工処理における
柔軟性がさらに大きくなる。
ガスタービンとジェットエンジンにおけるトレンド
は、熱効率を増大するために、作動温度、したがってそ
の回転部品の金属温度を上昇させることである。第6図
は、第3図と同様なプロットであり、試験温度を1200゜
F、1300゜Fおよび1400゜Fとして空気中で試験したRen
e′95−SSについて、対数目盛りの疲れ亀裂成長速度
(インチ/サイクル)を対数目盛りのサイクル周期
(秒)に対してプロットしたものである。3つの温度の
すべてで、Rene′95−SSは大きい時間依存性を示す。す
なわち、疲れ亀裂が成長する速度はサイクル周期に対し
て非常に敏感である。第7図は、第6図と同じ試験条件
でHK36−SSについて得たデータのプロットである。驚く
べきことに、HK36は3000秒までの保持時間に対して1400
゜Fでも時間依存性を示さない。このように極端な温度
で時間に依存しない疲れ亀裂成長を示す合金は他には知
られていない。ここで、第7図のデータは1335゜F/分
で冷却された試片で得られたものであることに注意され
たい。このような冷却速度はHK36−SS以外のいかなる合
金にとっても極端に厳しい冷却条件であろう。
以上のことから明らかなように、本発明は、成分の種
類およびそれらの相対濃度の両方に関してユニークな組
合せの成分を有する合金を提供する。また、本発明によ
って提案される合金は亀裂伝播抑制に関して新規で独特
な能力を有していることも明らかである。第7図から明
らかなHK36−SS合金の低い亀裂伝播速度da/dNは本発明
独自の新規で顕著な結果である。約1335゜F/分で冷却
されたサンプルでみられる約0.6×10-5〜2.0×10-5とい
うda/dNを第1図にプロットすると、その合金は第1図
のプロットの右下隅に位置し、しかもそのプロットに示
した0.33Hz線より下になる。
同様に、第2図に関し、クロムが10%でda/dNが上記
の値である本発明のHK36−SS合金に対するデータは、長
い滞留時間の直線よりずっと下であって、0.33Hz試験に
対する疲れ成長速度線に極めて近いがそれより下にな
る。これは、成分の少しの違いが長いサイクルの疲れ試
験において亀裂伝播速度に対して劇的な相違をもたら
し、特にそのような速度を低下させるのに極めて重要な
意味をもっているにしても、本発明の合金の成分がIN−
100合金でみられる成分とは少し相違するだけであるの
で極めて驚くべきことである。本出願に添付した図面の
グラフからも明らかなように、極めて望ましい強度やそ
の他の性質の組合せと共に驚くほど予想外の顕著に低い
疲れ亀裂伝播速度が得られるのは、まさに、この成分お
よびその割合の小さな違いによるのである。
ここで、第8〜12図を参照して本発明の合金のその他
の性質に関して説明する。
第8図と第9図は、γ′ソルバス温度より高い温度と
低い温度の両方で処理したHK36材料について引張降伏応
力と極限引張強さをそれぞれ示している。粒子サイズの
効果は、低めの試験温度ではHK36に有利であり、高めの
試験温度ではHK36−SSの方に有利である。第10〜12図
は、それぞれ750゜F、1200゜Fおよび1400゜Fの試験温度
でHK36−SSの降伏応力と極限引張強さに及ぼす冷却速度
の影響を示している。これらの引張特性値はこのような
超合金に典型的なものである。しかしながら、時間依存
性の疲れ亀裂成長速度に対するHK36−SSの独特で新規な
抵抗性によって、高めの冷却温度で加工処理することが
可能になり、そのような冷却速度で得られるより高い強
度が利用できる。
さらに、疲れ亀裂伝播の抑制に関して、本発明の合金
は、この合金の工業生産で使用されるはずの100゜F/分
〜600゜F/分の冷却速度で製造された他の合金よりずっ
と秀れている。
本発明の達成に関して顕著であることは、IN−100合
金の成分と比較してHK36合金の成分の変化は比較的小さ
くして、疲れ亀裂伝播耐性が大幅に改良されることであ
る。
合金組成の小さい変化を例示するためにIN−100とHK3
6の両者の成分を下に挙げる。 表 I 成分 HK36 IN100 Ni 59.06 60.55 Co 15 15 Cr 10 10 Mo 3 3 W − − Al 5.5 5.5 Ti 2.25 4.7 Ta 2.70 − Nb 1.35 − Hf − − Zr 0.06 0.06 V 1 1 Re − − C 0.05 0.18 B 0.03 0.01 Fe − − 上の表Iから明らかなように、合金HK36の組成と比べ
て合金IN−100の組成で意味のある違いは、IN−100がチ
タンをより高い濃度で含有しておりタンタルとニオブを
含有していないのに対し、HK36がチタンをIN−100の約
半分しか含有しておらずタンタルとニオブをかなりの量
で含有しているということだけである。
すなわち、IN−100の組成は、チタンが2.45重量%減
少し、タンタルを2.70重量%とニオブを1.35重量%含ん
でいる点で変化している。このような組成の変化によっ
て、IN−100合金の基本的な強度特性の保持または改良
が達成でき、同時に、この合金の長い滞留時間での疲れ
亀裂抑制を改善できるということはむしろ驚くべきこと
であると思われる。しかし、これは、添付の図面に挙げ
られており上で詳細に述べたデータによって明らかにさ
れているように、まさにこの組成の変化の結果なのであ
る。
このチタン、タンタルおよびニオブの添加剤の変更に
よって、疲れ亀裂伝播の抑制における顕著な変化が生じ
るのである。
上記のような特性の顕著な変化に関係しない他の成分
の変更、特にいくつかの成分の少なめの変更をしてもよ
い。たとえば、HK36合金で見出された特性のユニークで
有益な組合せを変えることなく、特にそのような特性を
損うことのない程度にレニウムを少量添加してもよい。
本発明の合金を特に亀裂伝播の抑制に関して独特に有
利な割合を与える成分および成分のパーセントの点から
説明して来たが、その他の成分、たとえばイットリウ
ム、バナジウムなどの新規な亀裂伝播抑制を妨害するこ
とのないパーセントで本発明の組成物中に含ませること
ができるということが分かるであろう。たとえば、0〜
0.1%程度の少量のイットリウムを、本発明の合金のユ
ニークで価値の高い組合せの特性を損うことなく本発明
の合金中に含ませることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、650℃での疲れ亀裂伝播(30ksiにおけるΔ
K)について、極限引張強さ(ksi)に対して疲れ亀裂
成長(インチ/サイクル)を対数目盛りでプロットした
グラフである。 第2図は、第1図と同様な試験結果をプロットしたグラ
フであるが、横軸はクロム含量(重量%)を表わしてい
る。 第3図は、試験片に反復して応力をかけた場合の保持時
間(秒)に対して亀裂成長速度の対数をプロットしたグ
ラフである。 第4図は、対数目盛りの疲れ亀裂成長速度da/dN(イン
チ/サイクル)を対数目盛りの冷却速度(゜F/分)に
対してプロットしたグラフである。試験条件:1200゜F、
空気中、R=0.05、500秒の保持時間、 第5図は、対数目盛りの疲れ亀裂成長速度da/dN(イン
チ/サイクル)を対数目盛りの冷却速度(゜F/分)に
対してプロットしたグラフである。試験条件:1200゜F、
空気中、R=0.05、500秒の保持時間、 第6図は、Rene′95−SSについて、対数目盛りの疲れ亀
裂成長速度da/dN(インチ/サイクル)を対数目盛りの
サイクル周期に対してプロットしたグラフである。試験
条件:空気中、5=0.05、 1335゜F/分の冷却速度。 第7図は、HK36−SSについて、対数目盛りの疲れ亀裂成
長速度da/dN(インチ/サイクル)を対数目盛りのサイ
クル周期に対してプロットしたグラフである。試験条
件:空気中、5=0.05、 1335゜F/分の冷却速度。 第8図は、降伏応力(ksi)を試験温度に対してプロッ
トしたグラフである。試験条件:1335゜F/分の冷却速
度。 第9図は、極限引張強さ(ksi)を試験温度に対してプ
ロットしたグラフである。試験条件:1335゜F/分の冷却
速度。 第10図は、HK36−SSについて、降伏応力(ksi)および
極限引張強さ(ksi)を対数目盛りの冷却速度(゜F/
分)に対してプロットしたグラフである。試験条件:750
゜Fの試験温度。 第11図は、HK36−SSについて、降伏応力(ksi)および
極限引張強さ(ksi)を対数目盛りの冷却速度(゜F/
分)に対してプロットしたグラフである。試験条件:120
0゜Fの試験温度。 第12図は、HK36−SSについて、降伏応力(ksi)および
極限引張強さ(ksi)を対数目盛りの冷却速度(゜F/
分)に対してプロットしたグラフである。試験条件:140
0゜Fの試験温度。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−165741(JP,A) 特開 昭62−30037(JP,A) 特開 昭58−64331(JP,A) 特開 昭63−114933(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 19/05 C22F 1/10

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の成分を以下の割合で含有する高強度
    で疲れ亀裂伝播速度の低いニッケル基超合金: 成 分 合金中の濃度(重量%) Ni 残 部 Co 12〜18 Cr 7〜13 Mo 2〜4 W 1.0 まで Al 4.5〜6.5 Ti 2.0〜2.5 Ta 2.2〜3.2 Nb 1.0〜1.7 Hf 0.75まで Zr 0.1 まで V 0.5〜1.5 C 0.2 まで B 0.10まで Re 1まで Y 0.1 まで。
  2. 【請求項2】熱処理後600゜F/分以下の速度で冷却され
    ている請求項1記載のニッケル基超合金。
  3. 【請求項3】熱処理後50〜600゜F/分の速度で冷却され
    ている請求項1記載のニッケル基超合金。
  4. 【請求項4】以下の成分を以下の割合で含有する高強度
    で疲れ亀裂伝播速度の低いニッケル基超合金: 成 分 合金中の濃度(重量%) Ni 残 部 Co 15 Cr 10 Mo 3 Al 5.5 Ti 2.25 Ta 2.70 Nb 1.35 Zr 0.06 V 1 C 0.05 B 0.03。
  5. 【請求項5】熱処理後600゜F/分以下の速度で冷却され
    ている請求項4記載のニッケル基超合金。
  6. 【請求項6】熱処理後50〜600゜F/分の速度で冷却され
    ている請求項4記載のニッケル基超合金。
JP17207189A 1989-07-05 1989-07-05 耐疲れ亀裂性ニッケル基超合金の製造方法およびその製品 Expired - Fee Related JP3232083B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17207189A JP3232083B2 (ja) 1989-07-05 1989-07-05 耐疲れ亀裂性ニッケル基超合金の製造方法およびその製品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17207189A JP3232083B2 (ja) 1989-07-05 1989-07-05 耐疲れ亀裂性ニッケル基超合金の製造方法およびその製品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0339433A JPH0339433A (ja) 1991-02-20
JP3232083B2 true JP3232083B2 (ja) 2001-11-26

Family

ID=15935003

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17207189A Expired - Fee Related JP3232083B2 (ja) 1989-07-05 1989-07-05 耐疲れ亀裂性ニッケル基超合金の製造方法およびその製品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3232083B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0339433A (ja) 1991-02-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4814023A (en) High strength superalloy for high temperature applications
US4867812A (en) Fatigue crack resistant IN-100 type nickel base superalloys
US4820353A (en) Method of forming fatigue crack resistant nickel base superalloys and product formed
JP3145091B2 (ja) 耐疲れき裂ニッケル基超合金
US5156808A (en) Fatigue crack-resistant nickel base superalloy composition
JP3233362B2 (ja) 耐疲労亀裂性のニッケル基超合金およびそれから形成された製品
US5129971A (en) Fatigue crack resistant waspoloy nickel base superalloys and product formed
US5129970A (en) Method of forming fatigue crack resistant nickel base superalloys and product formed
US5124123A (en) Fatigue crack resistant astroloy type nickel base superalloys and product formed
JP3233361B2 (ja) 耐疲労亀裂性のrene′95型超合金
US5129969A (en) Method of forming in100 fatigue crack resistant nickel base superalloys and product formed
US5171380A (en) Method of forming fatigue crack resistant Rene' 95 type nickel base superalloys and product formed
US5130089A (en) Fatigue crack resistant nickel base superalloy
US5130088A (en) Fatigue crack resistant nickel base superalloys
US5130086A (en) Fatigue crack resistant nickel base superalloys
US5037495A (en) Method of forming IN-100 type fatigue crack resistant nickel base superalloys and product formed
US5129968A (en) Fatigue crack resistant nickel base superalloys and product formed
JP3232083B2 (ja) 耐疲れ亀裂性ニッケル基超合金の製造方法およびその製品
JP3232084B2 (ja) 耐疲れ亀裂性ニッケル基超合金の製造方法およびその製品
JPH0339434A (ja) 耐疲れ亀裂性ニッケル基超合金の製造方法およびその製品

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees