JP3231430B2 - 核磁気共鳴検査装置 - Google Patents

核磁気共鳴検査装置

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JP3231430B2 JP30372992A JP30372992A JP3231430B2 JP 3231430 B2 JP3231430 B2 JP 3231430B2 JP 30372992 A JP30372992 A JP 30372992A JP 30372992 A JP30372992 A JP 30372992A JP 3231430 B2 JP3231430 B2 JP 3231430B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、核核磁気共鳴現象を利
用して生体内の各組織の特定原子核(例えば、水素原子
核や燐原子核など)の密度分布や緩和時間や動きを無侵
襲に測定し、医学診断のための情報を得る核磁気共鳴検
査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】核磁気共鳴現象を利用して、人体等の断
層画像を得るための核磁気共鳴検査装置がある。この核
磁気共鳴検査装置として、重要なことは、検査部位のそ
れぞれの位置に依存した信号を計算処理して、この計算
処理の結果が、忠実に検査部位の特性や状態を再現でき
るか否かということである。つまり、核磁気共鳴信号の
強度が検査部位の特性や状態に正しく対応し得ることで
ある。この核磁気共鳴信号の強度は、核スピンを励起す
る高周波磁場の強度に依存するので、検査部位全域にわ
たって高周波磁場が均一なことと、正確にその強度が制
御されることが必要となってくる。この高周波磁場の強
度を制御するためには下記の点を考慮しなければならな
い。
【0003】被検体である人体組織は、かなり高濃度の
イオンを含んでいるので、電気を伝導する。人体の組織
や器官の電気伝導度は、ほぼ100ミリモルの塩化ナト
リウム溶液の電気伝導度に等しい。高周波コイル内に被
検体を配置し、この高周波コイルに共鳴周波数に対応す
る高周波電力を印加して高周波磁場を発生させると、電
磁誘導により、被検体自身にも電流が流れ電力が消費さ
れる。この電力損失は高周波コイル自身の抵抗の電力損
失と同じであり、被検体の損失が付加的に高周波コイル
の抵抗として考えられる。被検体や検査部位が変われ
ば、この付加的な抵抗の値が異なり、発生する高周波磁
場の強度が変動することになる。そこで、検査にあたっ
ては高周波磁場の強度を調整するための操作を必要とし
ている。この調整は検査部位から検出される核磁気共鳴
信号の強度を測定することで行われる。これは、高周波
磁場の強度を変化させながら、核磁気共鳴信号の最大値
を検出し、そのときの高周波磁場強度を90度パルスと
する方法が用いられている。高周波磁場の強度を変化さ
せるインターバルは、検査部位組織の核スピンが緩和す
る時間の5倍程度要することが知られている。
【0004】人体組織の核スピン緩和時間は、400ミ
リ秒から1500ミリ秒に分布しており、組織毎にイン
ターバルを変化させるか、あるいは、調整時間の最短化
を犠牲にして、最も長い緩和時間に適合しなければなら
なかった。さらに、血液や脳脊髄液の流体組織のスピン
によって、核磁気共鳴信号に誤差成分が含まれ、高周波
磁場信号が大きめに設定される傾向があった。
【0005】これを改善するために、特開昭62−26
8540公報に示すように、高周波コイルのQ値を低下
させる高周波損失手段を設け、被検体毎の調整を不要と
して時間効率及び検査効率を向上するように構成された
核磁気共鳴装置が提案されている。また、米国特許第4
717881号では、励起用の高周波磁場の均一性の改
善、及び被検体の誘電損失による高周波コイルの共振周
波数の変異の影響を低減するために、負荷コイルを間欠
的に動作させることが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、核磁気共鳴
検査装置の普及が進むに連れ、検査部位の適用も拡大さ
れ、それぞれの部位組織に最適な形状や性能を有する複
数の高周波コイルを用いることが一般的となった。しか
しながら、上記従来技術は、単一の高周波コイルの高周
波磁場の強度調整について考慮されたものである。した
がって、個々の高周波コイルについて、個々の高周波電
力範囲が存在するため、上記従来技術において、高周波
磁場を複数の高周波コイルについて制御するには、高周
波電力の強度変化範囲を拡大しなければならなかった。
このため、被検体を装置に配置して検査を開始するまで
に、広範囲にわたって高周波電力増幅器の出力調整を実
行しなければならず、多大な調整時間が必要であり、検
査全体の効率が低下してしまっていた。
【0007】さらに、上記従来技術において、複数の高
周波コイルを配置した場合には、個々の高周波コイルで
の、高周波電力の強度変化範囲が狭くならざるおえず
(上述のように、個々の高周波コイルについて個々の高
周波電力範囲が存在するため)、検査モードに応じた検
査部位の核スピンの励起レベル(フリップ角と称する)
は、微調整が困難で、低い調整分解能しか得られなかっ
た。上記フリップ角の微調整の必要性は、以下のような
理由による。つまり、現在、血管系の非侵襲イメージン
グ(MRアンギオグラフィと称する)は、核磁気共鳴検
査装置の最も重要なものの一つになろうとしている。こ
れは、MRアンギオグラフィが、患者に最も苦痛を与え
ない方法で臨床情報を手に入れるという目的にかなった
ものであるからである。MRアンギオグラフィには、い
くつかの方法が提案されたが、最も広く使われているの
は、動いているスピン(血管内の血液)と静止スピン
(血液以外の組織)とを区別するために主に、流れ効果
を利用している。
【0008】例えば、図11に簡略化して示すように、
静脈V又は動脈Aから撮影スライス面Sc(信号飽和領
域SA)に流入する血液A1又はV1は、充分に緩和され
て(未励起の状態)、ある程度飽和した静止組織より、
明るく現れる。ここで、静止組織からの信号を抑えて、
流れ効果により血管のコントラストを極力付けるために
は、パルスシーケンスの各パラメータを厳密に調整する
必要がある。病理学的な条件によっては、血液流は、毎
秒2.3センチメートルから毎秒400センチメートル
まで変化し得ることから、特に、スピンを励起するフリ
ップ角の微調整は、MRアンギオグラフィの血管描出能
に大きく影響を与える。
【0009】本発明の目的は、核磁気共鳴検査装置にお
いて、被検体の個体差、部位差に影響されること無く、
一定の強度を持った高周波磁場を発生させ、検査効率が
向上されるとともに、検査部位の核スピンのフリップ角
の調整分解能が向上された核磁気共鳴検査装置を実現す
ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、次のように構成される。静磁場発生手段
と、傾斜磁場発生手段と、高周波磁場信号の発生及び核
磁気共鳴信号の検出を行う信号発生検出手段と、検出信
号の演算処理を行う計算手段と、表示手段と、上記各手
段の動作を制御する制御手段とを有する核磁気共鳴検査
装置において、上記信号発生検出手段は、複数個備えら
れるとともに、負荷値が可変である負荷手段が、上記複
数の信号検出手段のそれぞれに結合される。
【0011】好ましくは、上記核磁気共鳴検査装置にお
いて、上記信号発生検出手段と負荷手段とを選択的に結
合及び非結合状態とするスイッチング手段をさらに備え
る。また、好ましくは、上記核磁気共鳴検査装置におい
て、スイッチング手段は、信号発生検出手段が、高周波
磁場信号を発生するときには、上記負荷手段を信号発生
検出手段に結合し、この信号発生検出手段が、核磁気共
鳴信号を検出するときには、上記負荷手段を信号発生検
出手段と非結合状態とするように構成される。
【0012】
【0013】
【0014】
【作用】上記複数の信号発生検出手段は、検査対象の検
査部位のそれぞれに対して備えられる。上記複数の信号
発生手段に、ほぼ同一の高周波電力を印加したとき、ほ
ぼ同一の高周波磁場が発生されるように、上記負荷手段
の負荷値が、予め調整可能となっている。これによっ
て、検査対象の個体差及び検査部位の相違に関係なく、
印加される高周波電力はほぼ同一とできる。したがっ
て、検査対象毎及び検査部位毎に高周波電力を変更する
必要がなく、検査時間が短縮される。さらに、それぞれ
の信号発生検出手段に対する高周波電力の強度変化範囲
を、広くすることができ、フリップ角の調整分解能を向
上することができる。
【0015】また、スイッチング手段により、信号発生
検出手段が高周波磁場信号を発生するときには、負荷手
段を信号発生検出手段に結合され、核磁気共鳴信号検出
時には、負荷手段を信号発生検出手段から分離される。
これにより、上記検出時には、信号発生検出手段の共振
回路の性能指数が高いレベルとなり、良好な感度で核磁
気共鳴信号が検出される。
【0016】
【実施例】本発明の実施例の説明に先だって、本発明の
原理につき、説明する。核磁気共鳴検査装置において
は、被検体の診断部位に高周波磁場を発生させ、核スピ
ンを励起させる。そして、歳差運動する核スピンの磁化
を検出して、電気信号に変換する。それ以降、適切な演
算処理を加え、診断情報を得るわけであるが、本発明に
おいては、励起時と検出時とで高周波コイルの共振回路
のQ特性を変化させるように構成される。
【0017】すなわち、励起時は高周波コイルのLC共
振回路に抵抗素子R1が挿入された状態とする。抵抗素
子R1は、被検体の等価抵抗R0よりも小さい値、通常1
/5程度とすれば、被検体による損失よりも抵抗素子R
1による損失が支配的となるので高周波コイルのQは、
ほぼQ=R1/ωLとなる。被検体の個体差や診断部位
の差による損失の変化分は、さらに小さく、その高周波
コイルへの影響は無視することが出来る。さらに、この
時の高周波コイルのQ値は傾斜磁場の強度と検査位置の
最大範囲から求められる共鳴周波数の分布を考慮して定
めることが出来る。検出時には抵抗素子R1が、共振回
路から切り放された状態とすれば、高周波コイルのQ
は、ほぼQ=R0/ωLとなる。これは励起時の約5倍
の高い値となり、高効率で核磁化の変化を電気信号とし
て検出することになる。
【0018】図9は、核磁気共鳴検査装置の高周波コイ
ルの最も単純な等価回路である直列LCr回路である。
ここで、E=Eo exp(iωt)の交流電圧を印加す
ると、ω2=1/LCのとき最大ピーク電流が発生す
る。共振点で加えられた電気エネルギーはコイルLに核
磁気エネルギーとして、次に、容量Cに静電エネルギー
として交互に蓄えられる。この蓄えられたエネルギーの
移動の間に一部分は直列に入っている抵抗r(コイルL
の抵抗成分)で消費される。コイルL内に生体を挿入す
ると、コイルLと並列に抵抗R0が接続されたことにな
る。抵抗rに比べ、抵抗R0による電力消費は、遥かに
大きいので共振回路の性能指数Qは、Q1≒R0/ωLで
示される。
【0019】ここで、図10に示すように、抵抗R1と
スイッチSとを、抵抗R0に並列に接続する。スイッチ
Sをオン(閉)とした状態で、E=Eo exp(iω
t)の電圧を印加すると、エネルギーの一部は抵抗R1
でも消費される。R0≧5R1とすると、この時の回路の
Qは、Q2≒R1/ωLとして示すことができる。スイッ
チSを励起時と検出時に同期させて動作すれば、性能指
数Qは、検出時をQ1で,励起時は、被検体の抵抗R0に
関係なく、Q2で動作させることが出来る。
【0020】以下、本発明の一実施例を図1〜図3を参
照して説明する。図3は、本発明の一実施例である複数
の高周波コイルを有する核磁気共鳴検査装置の概略構成
図であり、人体頭部の検査を行う場合を示す図である。
図3において、頭部用高周波コイル3の内部であり、超
電導磁石8の中心に、人体頭部1が配置される。人体頭
部1の横断面2cm間隔のスライス面21、スライス面
22,スライス面23の画像を得る場合の条件が計算機
19に入力される。入力された条件に従って、制御ユニ
ット18により以下に示す定められた順序で各機器に制
御信号が出力される。
【0021】(1)まず、傾斜磁場電源Z14を駆動し
て傾斜磁場コイル7(図にはXYZの区別は明示してな
い)に70Aの電流を流す。これにより、Z方向(一般
的には静磁場の方向と一致)に12ミリテスラ/mの傾
斜磁場が発生される。この結果、スライス面21は0.
50024テスラ、スライス面22は0.5テスラ、ス
ライス面23は0.49976テスラの磁場強度とな
る。
【0022】(2)傾斜磁場Zが印加された状態にて、
スライス面21の水素原子核が、共鳴する高周波信号2
1.14008メガヘルツが高周波信号発生器11で発
生され、レベル調整器10を介して高周波電力増幅器9
に供給される。そして、この電力増幅器9で400ワッ
トに増幅された後、頭部用高周波コイル3に2ミリ秒間
印加される。この結果、スライス面21の位置に0.0
02ミリテスラの高周波磁場が発生して、フリップ角9
0度で核スピンが励起される。
【0023】(3)次に、傾斜磁場電源X12と傾斜磁
場電源Y13とが駆動され、それぞれ傾斜磁場コイル5
と傾斜磁場コイル6に電流を流す。これにより、励起さ
れた核スピンの運動にXとYの位置情報が与えられる。 (4)核スピンの運動が、頭部用高周波コイル3に核磁
気共鳴信号電圧として誘起される。誘起された信号電圧
は、高周波増幅器15で適切な値に増幅され、検波器1
6で検波された後、A/D変換器17でデジタル信号に
変換される。 (5)デジタル信号に変換された核磁気共鳴信号は制御
ユニット18のメモリ領域に保存される。
【0024】(6)次に、傾斜磁場Zが再び印加され、
スライス面22の水素原子核が共鳴する21.13メガ
ヘルツの高周波信号が高周波信号発生器11で発生され
る。そして、発生された高周波信号は、レベル調整器1
0を介して高周波電力増幅器9に供給されて、400ワ
ットに増幅された後、頭部用高周波コイル3に印加され
る。この結果、スライス面22の位置に0.002ミリ
テスラの高周波磁場が発生して、フリップ角90度で核
スピンが励起される。
【0025】(7)上記(3)〜(5)の動作が繰り返
される。ただし、制御ユニット18のメモリ領域はスラ
イス面の位置ごとに分離される。 (8)その次に、傾斜磁場Zを再び印加して、スライス
面23の水素原子核が共鳴する21.11992メガヘ
ルツの高周波信号が高周波信号発生器11で発生され
る。そして、発生された高周波信号は、レベル調整器1
0を介して高周波電力増幅器9に供給されて、400ワ
ットに増幅された後、頭部用高周波コイル3に印加され
る。この結果、スライス面23の位置に0.002ミリ
テスラの高周波磁場が発生して、フリップ角90度で核
スピンが励起される。
【0026】(9)(3)〜(5)の動作を繰り返す。 (10)一連の動作により、各スライス面のデータが収
集された後、計算機19は各スライス面のデータを制御
ユニット18のメモリ領域から読みだし、フーリエ変換
等の信号処理を行って、画像データを表示装置20に表
示させ、一つの検査モードが終了する。
【0027】次の検査モードは、頭部の脳血管画像(M
Rアンギオグラフィ)を撮影する。先の検査モードで
は、核スピンのフリップ角は90度を用いたが、脳血管
の撮影には血液の核磁気共鳴信号の強度を高めるため、
核スピンのフリップ角を20度に変更する。この操作
は、レベル調整器10の出力を34.2%にすれば良
い。レベル調整器10は、12ビット(1024ステッ
プ)の分解能を有しているので、350/1024(約
34.2%)に設定する事で高周波磁場の強度を目的の
値に正確に合わせることができる。以上の設定後、各ユ
ニットを動作させ目的の検査を行う。
【0028】図2は、本発明の一実施例における頭部用
高周波コイル3が収納されるコイルケースの外観図であ
る。図2において、コイル3は直径7mmの銅パイプで
作られ、FRP(繊維強化プラスチック)で作られたコ
イルケース31内に収納されている。コイル3と共振回
路を構成する容量素子26(図2には図示せず)は、回
路ボックス32内に収納され、ほぼ21メガヘルツで共
振するようにその値が調整されている。回路ボックス3
2には同軸ケーブル33が接続され、その先端には核磁
気共鳴検査装置本体と接続するためのコネクタ34が付
けられている。35は、人体頭部1を固定するための頭
受けであり、この頭受け35は、頭部設定後にコイルケ
ース31を頭部の中心に合わせ易いようにベース36上
を移動可能な構造になっている。37は、後述する可変
抵抗素子28の抵抗値調整用つまみである。
【0029】図1は、本発明の一実施例である、頭部用
高周波コイル3の共振回路を示す図である。図1におい
て、27a及び27bは、逆並列接続された一対の交叉
ダイオードであり、これらダイオード27a、27bに
より、スイッチング手段が構成されている。そして、一
方のダイオード27aのアノードが他方のダイオード2
7bのカソードに接続され、ダイオード27aのカソー
ドがダイオード27bのアノードに接続されている。ま
た、ダイオード27aのアノードとダイオード27bの
カソードとの接続中点は、可変抵抗素子28の一方端に
接続されている。また、抵抗素子28の他方端は、容量
素子26の一方端に接続されている。容量素子26の他
方端は、ダイオード27aのカソードとダイオード27
bのアノードとの接続中点27cに接続されている。さ
らに、接続中点27cは、容量素子29及び30を介し
て抵抗素子28の他方端に接続されている。そして、容
量素子26の両端部に、頭部用高周波コイル3が接続さ
れている。
【0030】上述した共振回路において、人体頭部1が
挿入されたコイル3は、容量素子26とほぼ21メガヘ
ルツで共振する。これは0.5テスラの磁場で水素原子
核が共鳴する周波数と一致している。何も挿入しない空
芯状態では、高周波コイル3のQ値は500程度である
が、通常の成人男子の頭部が挿入されると、その値は1
00まで低下する。これは約15キロΩの抵抗素子が共
振回路に並列に接続されたことと等価である。この高周
波コイル3に小児や女子の頭部が挿入されると、そのQ
値は200〜150となる。そこで、共振回路に励起時
のみ抵抗素子3キロΩを並列に挿入するとそのQ値は挿
入する被検体に関係なく約20となる。
【0031】抵抗素子28はツマミ37(図2)を回転
することで、その値を1キロオームから5キロオームに
変化できる。ダイオード27a、27bのオン電圧は
0.6ボルト程度なので、励起時にはコイル3に供給さ
れる高周波電圧により、ダイオード27a、27bは導
通状態となり、抵抗素子28が共振回路に接続された状
態になる。ツマミ37を回して抵抗素子28の抵抗値を
3キロオームに合わせると、上述のように、共振回路の
Q値は約20になる。検出時は核スピンの運動による誘
起電圧は1ミリボルト以下なのでダイオード27a、2
7bは遮断状態となり、抵抗素子28は共振回路から切
り離される。容量素子29と容量素子30は、励起時の
共振回路のインピーダンスを、同軸ケーブル33の特性
インピーダンスである50オームに整合するために設け
られている。コネクタ34に400ワットの高周波電力
を印加すると、約300ワットが抵抗素子28で消費さ
れるとともにコイル3の中心で0.002ミリテスラの
高周波磁場が発生する。
【0032】このように、図1の例によれば、励起時に
は、ダイオード27a、27bが自動的にオンとなり、
抵抗素子28が頭部用高周波コイル3に接続されるの
で、被検体毎に高周波電力の調整を実行する必要がな
く、検査時間が短縮化される。また、核スピンの励起時
には高周波コイルのQ値を低く抑えることが出来るの
で、複数のスライス面の共鳴周波数に対応した高周波磁
場の強度を均一にでき、安定して良好な核磁気共鳴信号
を検出することができる。さらに、レベル調整器10の
入出力の電圧比を1にすれば、被検体に影響されること
無く、検査部位の核スピンのフリップ角を90度に合わ
せることができる。
【0033】図4は、上記核磁気共鳴検査装置におい
て、人体の膝関節の検査を行う場合の概略構成図であ
り、図3の例と同様な部分には、同一の符号が付せられ
ている。四肢用高周波コイル4を人体脚部2の検査部位
に設置して、超電導磁石8の中心に配設する。サジタル
断面24にて膝関節の靭帯を診断するため、傾斜磁場X
を印加する。そして、傾斜磁場Xが印加された状態に
て、21.13メガヘルツの信号が、高周波発生器11
で発生され、レベル調整器10を介して高周波電力増幅
器9に供給される。供給された信号は、この増幅器9に
より、400ワットに増幅された後、四肢用高周波コイ
ル4に印加される。膝関節の検査部位には0.002ミ
リテスラの高周波磁場が発生して、フリップ角90度で
核スピンが励起される。各ユニットの動作と処理は、上
述した頭部の検査と同様である。ただし、スライス面が
異なることより傾斜磁場電源X12と傾斜磁場電源Z1
4の動作順序が入れ替わる。さらに、膝関節の三次元画
像を撮影するため検査部位の核スピンのフリップ角を4
0度で励起する検査モードを使用する。レベル調整器1
0は12ビット(1024ステップ)の分解能を有して
いるので高周波信号発生器11の出力を658/102
4(約64.3%)に減衰することでフリップ角を40
度に正確に設定することができる。
【0034】図5は、上記四肢用高周波コイル4が収納
されるコイルケースの外観図であり、図6は、四肢用高
周波コイル4の共振回路を示す図である。図5におい
て、310は図2におけるコイルケース31と同様なコ
イルケースである。また、320は回路ボックス、33
0は同軸ケーブル、340はコネクタ、360はベー
ス、370は抵抗値調整用つまみであり、これらも図2
に示したものと同様な構成となっている。
【0035】図6に示す共振回路は、図1に示した共振
回路と同様な構成となっている。つまり、図6におい
て、270a及び270bは、逆並列接続された一対の
ダイオードである。そして、ダイオード270aのアノ
ードとダイオード270bのカソードとの接続中点は、
可変抵抗素子280の一方端に接続されている。また、
抵抗素子280の他方端は、容量素子260の一方端に
接続されている。容量素子260の他方端は、ダイオー
ド270aのカソードとダイオード270bのアノード
との接続中点270cに接続されている。さらに、接続
中点270cは、容量素子290及び300を介して抵
抗素子280の他方端に接続されている。そして、容量
素子260の両端部に、四肢用高周波コイル4が接続さ
れている。
【0036】この四肢用高周波コイル4の共振回路の場
合、抵抗素子280は、ツマミ370を調節して、1.
2キロオームに合わせてある。ここで、コネクタ340
に400ワットの高周波電力を印加すると、約360ワ
ットが抵抗素子280で消費されるとともにコイル4の
中心で0.002ミリテスラの高周波磁場が発生する。
【0037】つまり、図1に示す頭部撮影の場合と、図
6に示す四肢撮影の場合とは、それぞれの高周波コイル
に印加する高周波電力は、400ワットであり、同じ値
となっている。したがって、頭部撮影時と四肢撮影時と
で、高周波電力を切り替え調整は不要となり、検査時間
が短縮化される。さらに、個々の撮影部位に対して、高
周波電力の強度変化範囲は同等であり、充分広い範囲と
することができる。これにより、フリップ角の微調整が
可能となり、MRアンギオグラフィの血管描出能を向上
することができる。
【0038】図7は、本発明の他の実施例である頭部用
高周波コイル3の共振回路を示す図である。この図7に
示す例と図1に示す例との異なる点は、スイッチング手
段として、交叉ダイオードではなく、トランジスタ38
が接続されていることである。つまり、トランジスタ3
8のコレクタは、高周波遮断用チョークコイル39を介
して端子40に接続されるとともに、容量素子26、2
9に接続されている。また、トランジスタ38のエミッ
タは、可変抵抗素子28を介して容量素子26、30に
接続されている。さらに、トランジスタ38のベース
は、端子41に接続されている。
【0039】上記共振回路において、端子40には、例
えば、約500Vの電圧が印加される。通常、つまり、
励起時以外には、トランジスタ38のコレクタとエミッ
タ間の高抵抗値により、トランジスタ38はオフとなっ
ており、抵抗素子28は、回路から切り離された状態と
なっている。そして、励起時には制御ユニット18から
端子41を介して、トランジスタ38のベースにオン電
圧信号が供給される。すると、トランジスタ38がオン
となり、抵抗素子28が共振回路に接続される。上記図
7の例によれば、抵抗素子28の共振回路への接続及び
分離が制御ユニットからの信号により実行されるので、
高周波電力の強度に依存することなく確実に動作させる
ことができる。
【0040】図8は、本発明のさらに他の実施例である
頭部用高周波コイル3の共振回路を示す図である。図8
において、頭部用高周波コイル3は、容量素子26と約
21メガヘルツで共振するように構成されている。そし
て、コイル3の近傍に導電性液体が封入された容器42
が配置され、この容器42に第2のコイル43(コイル
3を第1のコイルとする)が重ねて配置される。第2の
コイル43には、交叉ダイオード27a、27bと容量
素子44とが直列に接続されている。そして、第2のコ
イル43と容量素子44とは、21メガヘルツで共振す
るように、予め調整されている。
【0041】上記共振回路において、励起時には、コイ
ル3と第2のコイル43との誘導結合により、交叉ダイ
オード27a、27bが導通状態となる。第2のコイル
43で発生する磁力線は、導電性液体を通過する。これ
により、導電性液体は、コイル3の負荷としての作用を
有する。この負荷の値を変化させるには、導電性液体の
導電率を変化させてもよいし、導電性液体の容量を増減
させて変化させてもよい。負荷として、抵抗素子を用い
る場合には、周波数が21メガヘルツ(磁場強度0.5
テスラ)となると、抵抗素子のリード線のインダクタン
ス成分が無視できなくなり、負荷の値が不安定となる可
能性がある。これに対して、上記図8の例によれば、負
荷として抵抗素子を用いず、第2のコイル43及び導電
性液体を用いたので、周波数が21メガヘルツとなって
も、その値が安定した負荷として、機能する事ができ
る。
【0042】なお、図7及び図8に示した、スイッチン
グ手段及び負荷手段を組み合わせることもできる。つま
り、例えば、図8のスイッチング手段である交叉ダイオ
ード27a、27bの代わりにトランジスタ38を接続
した構成としてもよい。さらに、図7及び図8の例は、
頭部用高周波コイル2の共振回路の例であるが、これら
図7及び図8の例を四肢用高周波コイル4の共振回路に
適用することもできる。
【0043】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているため、以下のような効果がある。核磁気共鳴検査
装置において、信号発生検出手段は、複数個備えられる
とともに、負荷値が可変である負荷手段が、複数の信号
検出手段のそれぞれに結合されるように構成され、上記
複数の信号発生手段に、ほぼ同一の高周波電力を印加し
たとき、ほぼ同一の高周波磁場が発生されるように、上
記負荷手段の負荷値が、予め調整可能となっている。こ
れによって、検査対象の個体差及び検査部位の相違に関
係なく、印加される高周波電力はほぼ同一とできる。し
たがって、検査対象毎及び検査部位毎に高周波電力を変
更する必要がなく、検査時間が短縮される。さらに、そ
れぞれの信号発生検出手段に対する高周波電力の強度変
化範囲を、広くすることができ、フリップ角の調整分解
能を向上することができる。
【0044】また、上記信号発生検出手段と負荷手段と
を選択的に結合及び非結合状態とするスイッチング手段
をさらに備え、このスイッチング手段は、信号発生検出
手段が、高周波磁場信号を発生するときには、上記負荷
手段を信号発生検出手段に結合し、この信号発生検出手
段が、核磁気共鳴信号を検出するときには、上記負荷手
段を信号発生検出手段と非結合状態とするように、構成
される。これにより、上記検出時には、信号発生検出手
段の共振回路の性能指数が高いレベルとなり、良好な感
度で核磁気共鳴信号が検出される。
【0045】したがって、核磁気共鳴検査装置におい
て、被検体の個体差、部位差に影響されること無く、一
定の強度を持った高周波磁場を発生させ、検査効率が向
上されるとともに、検査部位の核スピンのフリップ角の
調整分解能が向上された核磁気共鳴検査装置を実現する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の要部回路図であり、頭部用
高周波コイルの共振回路を示す図である。
【図2】頭部用高周波コイルが収納されるコイルケース
の外観図である。
【図3】本発明の一実施例である核磁気共鳴検査装置の
概略構成図であり、人体頭部の検査を行っている場合の
例を示す図である。
【図4】本発明の一実施例である核磁気共鳴検査装置の
概略構成図であり、人体脚部の検査を行っている場合の
例を示す図である。。
【図5】四肢用高周波コイルが収納されるコイルケース
の外観図である。
【図6】本発明の一実施例の要部回路図であり、四肢用
高周波コイルの共振回路を示す図である。
【図7】本発明の他の実施例の要部回路図であり、頭部
用高周波コイルの共振回路を示す図である。
【図8】本発明のさらに他の実施例の要部回路図であ
り、頭部用高周波コイルの共振回路を示す図である。
【図9】従来の核磁気共鳴検査における高周波コイルの
共振回路を示す図である。
【図10】本発明の原理を説明する図であり、高周波コ
イルの共振回路を示す図である。
【図11】MRアンギオグラフィを説明するための図で
ある。
【符号の説明】
1 人体頭部 2 人体脚部 3 頭部用高周波コイル(第1のコイ
ル) 4 四肢用高周波コイル 5 傾斜磁場コイルX 6 傾斜磁場コイルY 7 傾斜磁場コイルZ 8 超電導磁石 9 高周波電力増幅器 10 レベル調整器 11 高周波信号発生器 12 傾斜磁場電源X 13 傾斜磁場電源Y 14 傾斜磁場電源Z 15 高周波増幅器 16 検波器 17 A/D変換器 18 制御ユニット 19 計算機 20 表示装置 21、22、23 スライス面 24 サジタル断面 26、29、30 容量素子 27a、27b 交叉ダイオード 28 可変抵抗素子 31、310 コイルケース 32、320 回路ボックス 33、330 同軸ケーブル 34、340 コネクタ 35 頭受け 36、360 ベース 37、370 ツマミ 38 トランジスタ 39 高周波遮断用チョークコイル 40、41 端子 42 容器 43 第2のコイル 44 容量素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/055

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静磁場発生手段と、傾斜磁場発生手段
    と、高周波磁場信号を発生するとともに、検査対象から
    の核磁気共鳴信号を検出する信号発生検出手段と、この
    信号発生検出手段からの検出信号を演算処理を行う計算
    手段と、この計算手段による演算結果を表示する表示手
    段と、上記静磁場発生手段、傾斜磁場発生手段及び信号
    発生検出手段の動作を制御する制御手段とを有する核磁
    気共鳴検査装置において、 上記信号発生検出手段は、複数個備えられるとともに、
    負荷値が可変である負荷手段が、上記複数の信号検出手
    段のそれぞれに結合されることを特徴とする核磁気共鳴
    検査装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の核磁気共鳴検査装置にお
    いて、上記信号発生検出手段と負荷手段とを選択的に結
    合及び非結合状態とするスイッチング手段をさらに備え
    ることを特徴とする核磁気共鳴検査装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の核磁気共鳴検査装置にお
    いて、上記スイッチング手段は、上記信号発生検出手段
    が、高周波磁場信号を発生するときには、上記負荷手段
    を信号発生検出手段に結合し、この信号発生検出手段
    が、核磁気共鳴信号を検出するときには、上記負荷手段
    を信号発生検出手段と非結合状態とすることを特徴とす
    る核磁気共鳴検査装置。
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