JP3229769U - 放射性物質汚染廃棄物除染システム - Google Patents

放射性物質汚染廃棄物除染システム Download PDF

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Abstract

【課題】排除染液から放射性物質を回収し、排水の放射線量を低下させる放射性物質汚染廃棄物除染システムを提供する。
【解決手段】放射性物質汚染廃棄物除染システム1は、除染液4としての水素水を供給する水素水製造装置20と、除染液4が流通自在な籠であって、放射性物質汚染廃棄物2を収容する汚染物容器40と、除染液4を貯留して、汚染物容器40に収容された放射性物質汚染廃棄物2の放射線量が所定値以下になるように除染する除染装置30と、放射性物質汚染廃棄物2を収容した汚染物容器40を、除染装置30に貯留された除染液4中に所定時間浸漬し、次いで振動させて除染した後、除染済汚染物3及び放射性物質に汚染された廃除染液6を分離する汚染物容器移動装置50と、廃除染液6を収容し、凝集剤7として菌の対数増殖期が終了して定常期にある納豆を添加し撹拌した後、静置して放射性物質捕捉物8を沈殿させて分離し、上澄みの排水9の放射線量を所定値以下にする排水処理装置60とを備える。
【選択図】図1

Description

本考案は、放射性物質汚染廃棄物除染システムに係り、より詳しくは、表面に放射性物質汚染微粒子が付着した放射性物質汚染廃棄物を除染し、除染液に移行した放射性物質を捕捉、回収して排水の放射線量を一般排水として放流できる環境基準値以下になるように排水処理する放射性物質汚染廃棄物除染システムに関する。
東日本大震災の津波による原子力発電所の事故によって、放射性物質が大気中に放出されて広範囲に拡散し、放射性物質汚染廃棄物を生成して多くの地域に多大な影響を与えている。
今回の事故で主として問題となった放射性物質は、セシウム134、137、及びヨウ素131であるが、半減期の短いヨウ素131は、既に検出されなくなった。
一方、セシウムは、「天然に存在する物質中では最もイオン化傾向が高いアルカリ金属」という特殊な元素なので、放出された直後に空気中の酸素及び水分と反応して水酸化セシウムになり、大部分が炭酸ガスに中和されて水滴(雲や霧)に溶解し、風に乗って広く拡散し、雨水に伴われて地表に落下したと考えられている。従って、放射性物質は、事故当時の風下側に拡がった。
今回の事故による放射性物質の拡散で大きな役割を演じたものの一つに、土壌中の2:1層状ケイ酸塩鉱物(以下「粘土鉱物の微粒子」と記す)がある。粘土鉱物の微粒子は、土壌の主要構成成分の一つであって、一般的な性質として、複数の単分子膜の薄膜が重なった状態の鉱物あって、その薄層が剥がれて、ナノ〜マイクロオーダーの微粒子となって空中に浮遊し、外気と接する環境のあらゆる物の表面に付着している。しかし、環境に付着した粘土鉱物の微粒子は、小さすぎて目で見ることはできない。
また、粘土鉱物は、単分子膜の薄膜の間隙にセシウムを強く吸着する。
この外気と接する環境に付着した粘土鉱物の微粒子に、事故で放出された放射性セシウムが吸着され、放射性物質汚染微粒子となって、外気と接する環境のあるあらゆるものに付着して放射性物質汚染廃棄物が生成したものと推定される。但し、放射性セシウムが粘土鉱物の微粒子に吸着されたので、それ以上の放射性物質の拡散、例えば河川や飲料水の放射性物質汚染が防がれた(例えば非特許文献1、2を参照)。
ところが、微粒子は、静電気的引力およびファンデルワールス力等の引力によって固体の表面に強固に吸着され、また微粒子の質量が小さいため摩擦や超音波などの物理的手段で振い落とすことができないために、除去するのは非常に困難であるという性質がある。
従来の除染方法は、放射性物質の微粒子に汚染された汚染物質の除染に対して一定の効果を上げてきた。即ち、地表に降下した放射性物質は、土壌表面の粘土鉱物の微粒子に強く吸着されて地表付近に留まったので、農地や校庭は表面土壌の交換、撤去や埋め込みなどによる除染が行われた。また市街地に降下した放射性物質も、塵埃に吸着されている粘土鉱物の微粒子を塵埃と共に除去する除染作業が行われ、当初は立ち入り禁止であった区域も、近年帰還可能になったケースが増えている。
また、森林に降下した放射性物質は、粘土鉱物の微粒子に吸着されて樹冠部、葉、枝、樹皮に付着して留まり、当初は森林の空間放射線量がなかなか低下せずに問題視されていた。しかしその後、放射性物質は粘土鉱物の微粒子に強固に付着されて森林の外部へは殆ど流出しないことが判明し、その結果、人が立ち入らないような森林は放射性物質を安定に保持していると見なされるようになった(例えば非特許文献3を参照)。
一方、人家に近い林や、人が立ち入る里山地区の山林は、空間放射線量が低下しなかったために樹木が伐採され、樹皮、枝葉及び表土を除去するという除染作業が行われた。
伐採された放射性樹木の木質部は放射線量が低いことが判明し、その利用の可能性が検討されている。しかし、樹皮の放射線量は、大部分が750〜2000Bq/kgであって環境基準値以上の放射線量であり、除染を行わなければ使用及び廃棄できないことが判明し、放射性物質に汚染された樹皮が放射性物質汚染廃棄物として大量に滞留されることになった。
また、鉄道の線路も放射性物質に汚染されたので、放射性物質に汚染された鉄道用枕木や線路用砕石が新品と交換され、それに伴って大量の放射性物質汚染枕木及び砕石が生成し、これらが放射性物質汚染廃棄物として一時保管されることになった。
前述したように、放射性物質汚染物の本体は、放射性物質を吸着した粘土鉱物の微粒子であると考えられるが、微粒子は、静電気的引力、ファンデルワールス力等の引力によって固体の表面に強固に吸着され、寸法が小さいために擦り取ることができず、質量が小さいため超音波などで振い落とすことができないために、除去するのが非常に困難であるという問題がある。
特許文献1に、電子部品部材類を、脱気した超純水に水素ガス、アルカリを溶解してなり、負の酸化還元電位を有し且つpHが7を越え11未満のアルカリ性である洗浄液により洗浄する電子部品部材類の洗浄方法及び洗浄装置が記載されている。
また、特許文献2に、バークに付着した放射性セシウムを、酸化(還元)電位が、−40mV〜−400mVの還元力を備えた水素水で洗浄し、酸化された放射性セシウムを還元して放射性物質を樹皮から洗浄液へ分離することが記載されている。
特許第3296405号公報 特開2015−129065公報 特開2007−283280号公報 特許第5764832号公報 特許第2566248号公報
「水洗浄による放射性セシウム汚染土壌の除染方法について」石井慶三、第34回原子力委員会資料第1号、原子力委員会定例会議 平成23年9月6日、[www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2011/siryo34/siryo1.pdfsha−pusearch=%27%E6%B0%B4%E6%B4%97%E6%B5%84%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E6%94%BE%E5%B0%84%E6%80%A7%E3%82%BB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0%E6%B1%9A%E6%9F%93%E5%9C%9F%E5%A3%8C%E3%81%AE%E9%99%A4%E6%9F%93%E6%96%B9%E6%B3%95%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%27、平成30年9月3日検索] 「粘土鉱物のセシウム吸着と土壌の汚染除去」藤田豊久等、LRSM 6月シンポジウム(2013年5月13日)[www.jrsm.jp/shinsai/2−3−10_nomura.pdfsha−pusearch=%27%E7%B2%98%E5%9C%9F%E9%89%B1%E7%89%A9%E3%81%AE%E3%82%BB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0%E5%90%B8%E7%9D%80%E3%81%A8%E5%9C%9F%E5%A3%8C%E3%81%AE%E6%B1%9A%E6%9F%93%E9%99%A4%E5%8E%BB%27、平成30年9月3日検索]。 「今後の森林汚染のあり方に対する当面の整理について」 環境省、除染情報サイト、環境回復検討会 平成24年9月 [https://www.env.go.jp/press/files/jp/20719.pdfsha−pusearch=%27%E4%BB%8A%E5%BE%8C%E3%81%AE%E6%A3%AE%E6%9E%97%E6%B1%9A%E6%9F%93%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8A%E6%96%B9%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E5%BD%93%E9%9D%A2%E3%81%AE%E6%95%B4%E7%90%86%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%27、平成30年9月3日検索]
本考案は、かかる課題を解決するためになされたものであって、放射性物質汚染廃棄物を除染し、除染後の廃棄物の放射線量を再利用するか又は一般廃棄物として廃棄可能とする除染システムを提供することを目的とする。
また、本考案は、放射性物質汚染廃棄物は非常に危険なものであるという認識、環境基準を僅かでも超えると利用も廃棄もできないものであるという規制、及び社会全体の放射性物質汚染に対する不安及び不信感に基づき、作業環境及び製造物の放射性物質に対する安全性対策、常に環境基準値以下の放射線量の製造物を製造するという操業の安定性対策、及び風評対策を考慮して、放射性物質汚染廃棄物の除染後の放射線量の管理基準値を、環境基準値(400Bq/kg)の1/2である200Bq/kg以下になるように除染することを目的とする。
また本考案は、廃洗浄液から放射性物質汚染物を分別し、排水の放射線量を、環境基準値である10Bq/kg以下になるように排水処理する除染システムを提供することを目的とする。
特に本考案は、大量に保管されて復興の妨げとなると共に、保管状態が不十分なため保管場所の安全性が危惧されている放射性物質汚染廃棄物を、大型の設備を用いて大量に除染する除染システムを提供することを目的とする。
なお、以下に、除染処理が特に除染処理が急がれている樹皮、鉄道用枕木、及び線路用砕石を除染処理することを当面の課題として詳しく説明するが、本考案の対象とする放射性物質汚染廃棄物は、これらに限られるものではない。
更に本考案は、除染して放射線量が200Bq/kg以下になった除染後の樹皮を発酵させて、放射線量が環境基準値以下のバーク堆肥を製造する方法を提供することを目的とする。
また、除染後の枕木は、ガーデニングに利用したり、チップ化して再利用したりすることができ、砕石も、例えば建築資材として再利用することができる。
かかる目的を達成するための本考案の放射性物質汚染廃棄物除染システムは、除染液としての水素水を供給する水素水製造装置と、前記除染液が流通自在な籠であって、前記放射性物質汚染廃棄物を収容する汚染物容器と、前記除染液を貯留して、前記汚染物容器に収容された放射性物質汚染廃棄物の放射線量が所定値以下になるように除染する除染装置と、前記放射性物質汚染廃棄物を収容した汚染物容器を、前記除染装置に貯留された除染液中に所定時間浸漬し、次いで振動させて除染した後、除染済廃棄物及び放射性物質に汚染された廃除染液を分離する汚染物容器移動装置と、前記廃除染液を収容し、凝集剤として菌の対数増殖期が終了して定常期にある納豆を添加し撹拌した後、静置して放射性物質捕捉物を沈殿させて分離し、上澄みの排水の放射線量を所定値以下にする排水処理装置と、 を備えることを特徴とする。
本考案において、前記汚染装置は、前記除染液中に浸漬中及び/又は前記除染液中で振動中に水素ガス発生剤を添加する水素ガス発生剤投入装置を更に備えていることを特徴とする。
また、前記放射性物質汚染廃棄物は、前記放射性物質に汚染された樹皮、前記放射性物質に汚染された鉄道用枕木又は線路用砕石であることを特徴とする。
また、前記放射性物質汚染樹皮を除染した除染済樹皮を発酵させてバーク堆肥を製造するバーク堆肥製造設備を更に含むことを特徴とする。
また、前記バーク堆肥製造設備は、前記除染済樹皮に家畜糞、肥料等を加えて屋外に積み上げ、掘り返して空気と接触させながら6か月乃至12か月間1次発酵を行う1次発酵装置と、次いで水分量を調整しながら3か月間乃至6か月間、本培養を行う本発酵装置と、を有することを特徴とする。
また、前記水素ガス発生剤は、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、及び鉄(Fe)からなる群より選ばれる少なくとも一つの金属、並びにMgH、AlH及びFeHからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属水素化物又はその混合物を含む水素ガス発生剤であることを特徴とする。
また、前記水素ガス発生剤は、焼成ドロマイトと金属アルミニウム粉末とからなる水素ガス発生剤であることを特徴とする。
本考案の放射性物質汚染廃棄物除染システムは、放射性物質汚染廃棄物を、除染液を用いて除染することによって、除染後の汚染物を放射線量が再利用するか又は一般廃棄物として廃棄可能なレベルまで除染することができる。
また、本考案は、除染後の放射性物質汚染廃棄物の放射線量の管理基準値を、環境基準値の1/2である200Bq/kg以下にするので、製造物の安全性対策、作業環境の安全性対策、及び常に環境基準値以下の放射線量の製造物を製造することができるという操業の安定性、並びに社会全体の放射性物質汚染に対する不安及び不信感に基づく風評対策に優れている。
また、本考案の除染システムは、除染装置に水素ガス発生剤を更に加えることにより、放射性物質に高度に汚染され通常の操作では放射線量を管理目標値以下に低下させることができないほど高度汚染された放射性物資汚染廃棄物も、放射線量を管理目標値以下まで低下させることができる。
また、本考案の除染システム及び除染方法は、廃除染液に凝縮剤を添加して放射性物質捕捉物を生成させ、放射性物質捕捉物と排水とを分離することによって、排水の放射線量を放流可能な環境基準値である10Bq/kg以下に低下させて、排水をそのまま排出するか、又は排水をリサイクルさせて再利用することが可能である。
特に本考案は、設備を大型化及び自動化して大量処理することが可能な除染システムを提供するので、例えば放射性物質汚染廃棄物中間処理施設仮置き場等に大量に保管されて復興の妨げとなると共に、保管の長期化によって保管状態の安全性が危惧されている放射性物質汚染廃棄物を、迅速かつ大量に除染して安全性を確保すると共に、復興の障害となっている放射性物質汚染廃棄物中間保管施設の仮置場を縮小し土地を有効利用することができ、被災地の復興に資することができる。
更に本考案は、放射性物質汚染樹皮を除染してバーク堆肥を製造することによって、放射性物質汚染微粒子が付着した放射性物質汚染廃棄物を、資源として有効利用することができる。また、放射性物質汚染された鉄道用枕木を、例えばチップ化して再利用するか、一般産業廃棄物として焼却することができ、線路用砕石を例えば建築用資材として利用するか、一般産業廃棄物として廃棄することができる。
本考案の一実施形態の放射性物質汚染廃棄物除染システムの構成図である。 本考案の一実施形態の汚染物容器の一実施例の斜視図である。 本考案の一実施形態の汚染物容器の他の実施例の斜視図である。 本考案の一実施形態の除染装置、汚染物容器、及び汚染物容器移動装置を示す模式断面図である。 本考案の一実施形態の除染装置、汚染物容器、及び汚染物容器移動装置を用いて除染済汚染物と廃除染水とを分離する工程を示す模式断面図である。 本考案の一実施形態の廃水処理装置の模式断面図である。 本考案の他の実施形態の連続式除染装置を示す模式断面図である。 本考案の一実施形態の放射性物質汚染廃棄物除染方法の工程ブロック図である。 本考案の一実施形態の他の実施例に係る放射性物質汚染樹皮除染システムの構成図である。 本考案の一実施形態の他の実施例に係る放射性物質汚染樹皮除染方法の工程ブロック図である。 本考案の一実施形態の他の実施例に係る汚染物容器に放射性物質汚染樹皮を収容作業中の内部を示す画像である。
本考案の放射性物質汚染廃棄物除染システムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下の記載は本考案を明確に説明するためのものであって、本考案を制限するものではない。本考案は、本考案の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更して実施することが可能である。
本考案者らは、本考案で除染水として用いる水素水は、強い浸透性及びマイナスの酸化還元電位を有するので、放射性物質汚染廃棄物の表面及び放射性物質汚染微粒子の間に容易に進入し、双方の表面を共にマイナスに帯電させて、静電気的反発を起こさせて放射性物質汚染廃棄物の表面に付着した放射性物質汚染微粒子を剥離させて除染できることを見出し、本考案を完成させた。
図1は、本考案の一実施形態の放射性物質汚染廃棄物除染システムの構成図である。
図1に示すように、本考案の放射性物質汚染廃棄物除染システム1は、除染液4である水素水を供給する水素水製造装置20と、放射性物質汚染廃棄物2を収容する汚染物容器40と、放射性物質汚染廃棄物2を除染して除染済汚染物3及び放射性の廃除染液6を分離する除染装置30及び汚染物容器移動装置50と、廃除染液6を受容し、凝集剤7を加えて放射性物質捕捉物8と排水9とを分離する排水処理装置60と、を有する。また、除染装置30に水素ガス発生剤10を加えることができる。
[水素水製造装置]
本考案の除染液である水素水は、マイナスの電気陰性度を有し、基体及び微粒子の双方の表面をマイナスに帯電させて、静電気的な反発によって基体から微粒子を剥離するものである。
水素水が固体から微粒子を剥離する能力は、電気陰性度が低ければ低いほど強く、本考案では、使用する水素水の電気陰性度を−400mV以下(但し、−400mVは除く)に制限する。このような水素水を供給できる水素水製造装置として、例えば特許文献2に記載された形式の加圧式の水素水製装置を例示できるが、本考案の水素水製造装置は−400mV以下の水素水を供給できるものであればいずれの形式でもよい。
水素水を製造するための水素ガスは、水素ボンベを用いるか、又は、例えば特許文献3に開示した「水素ガスの発生方法及び装置」を用いることができる。
[汚染物容器]
図2は、本考案の一実施形態の汚染物容器の一実施例の斜視図である。
汚染物容器40は、放射性物質汚染廃棄物2を収容する除染液4が内部を流通可能な籠であって、一実施例に係る汚染物容器40aは、図2に示すように、強固な枠体42の全体に網44を張った形状であり、また、1以上の支柱46を設けることができ、更に、網44を張った蓋45を設けることが好ましい。汚染物容器40aの全体形状は特に限定されないが、角型(直方体)又は丸形(円柱)とすることができる。また、汚染物容器40aは、汚染物容器移動装置50の連結部52と連結する係止部材43を備えることができる。
汚染物容器40aは、枠体42に線径が0.5mm〜5mmであり、目開きが1.0mm〜20mmの網44を張った籠であることができ、線径が0.7mm〜3.0mmであり目開きが2,0mm〜10.0mmであることがより好ましい。
線径が0.5mm未満では網44の強度が不足して網44が破れ易くなる可能性があり、線径が5mmを超えるような網44は、籠が重くなって操作が困難になる上に高価になるので好ましくない。また。目開きが1.0mm未満の籠では、除染液7の流入量が不足して除染の効果が不足することがあり、20mmを超えると網目を通過してしまう放射性物質汚染廃棄物2の量が増えることがあって好ましくない。
汚染物容器40aの大きさは、放射性物質汚染廃棄物2の形状及び量によって任意の大きさとすることができる。
図3は、本考案の一実施形態の汚染物容器の他の実施例の斜視図である。
図3に示すように、本考案の他の実施例に係る汚染物容器40bは、より大型の放射性物質汚染廃棄物を除染するためのものであって、強固な枠42に丸材又は角材48を全面に設けた籠であり、図示しない支柱を設けることができる。丸材の直径又は角材の幅は3.0mm〜50mmであることができ、5.0mm〜30mmであることがより好ましい。また、丸材又は角材48の間隔は、10mm〜200mmのであることができ、20mm〜100mmであることがより好ましい。汚染物容器40bの大きさは、放射性物質汚染廃棄物2の形状および量によって任意の大きさにすることができる。
丸材又は角材48の直径又は幅は、3.0mm以下では強度が不足することがあり、50mm以上は特殊な場合を除いて必要ではない。また丸材又は角材48の間隔は、10mm以下では除染液4の流通が不足する可能性があり、200mm以上は、放射性物質汚染廃棄物2が通過してしまう可能性があり、特殊な場合を除いては好ましくない。
なお、図3には丸材又は角材48が縦方向のみに設けられた例を図示したが、横方向又は縦横方向の格子状、又は網目状、或いは任意の組み方にすることもできる。
[除染装置及び汚染物容器移動装置]
図4は、本考案の一実施形態の除染装置、汚染物容器、及び汚染物容器移動装置を示す模式断面図である。
図4に示すように、除染装置30は、除染液4が供給される除染液入口32及び廃除染液6を排出する廃除染液出口34を有する除染槽35を含み、水素水発生装置から供給される除染液4を貯留する。汚染物容器移動装置50が、放射性物質汚染廃棄物2を収容する汚染物容器40を、除染装置30の除染液面38の下方に1〜10時間浸漬し、その後10〜100回振動することが好ましい。
図4に示すように、除染装置30は、水素ガス発生剤供給装置12を更に備え、同装置12から水素発生剤10を更に加えることができる。また更に、汚染物容器40の外周に除染装置の内壁に近接した撹拌翼47が設けられ、汚染物容器40に流出入する除染液の流れ36を増加させて撹拌効率を増加させることができる。
図5は、本考案の一実施形態の除染装置、汚染物容器、及び汚染物容器移動装置を用いて除染済汚染物と廃除染水とを分離する工程を示す模式断面図である。除染済汚染物と廃除染水とを分離する工程は、どのような分離方法でもよいが、例えば図5に示すように、汚染物容器移動装置50が汚染物容器40を除染装置30の除染液面38の上方に引き上げることによって、汚染物容器40に収容された除染済汚染物3と、除染装置30に残された放射性の廃除染液6と、を分離することができる。
[排水処理装置]
図6は、本考案の一実施形態の廃水処理装置の模式断面図である。
図6に示すように、本考案の廃水処理装置60は、排水処理槽65と、除染装置の廃除染液出口と連通し廃除染液6が流入する廃除染液入口62と、排水9を排出する排水出口64と、凝集剤7を供給する凝集剤供給手段66と、放射性物質捕捉物8を回収する放射性物質捕捉物回収手段68と、撹拌装置61とを有し、放射性物質に汚染されて除染装置30から排出された廃除染液6を収容し、凝集剤供給手段66から凝集剤7を加え、撹拌し、その後静置して放射性物質捕捉物8を沈殿させ、放射性物質捕捉物8と排水9とを分離し、放射性物質捕捉物回収手段68を用いて放射性物質捕捉物8を回収して、排水9の放射線量を放流可能な排水の環境基準である10Bq/kg以下に低下させることができる。
図6には、放射性物質捕捉物8を吸い上げる形式の放射性物質回収手段68を図示したが、放射性物質回収手段68はこれに限られるものではなく、底面又はその近傍から抜き取る形式もの、遠心力を利用する分離装置、排水9を除去した後に掻き取る方法等、放射性物質捕捉物8と排水9とを分離できるものであればいずれの手段を用いてもよい。
また、除染と排水処理とを同一の装置で行うことや、複数の除染装置の廃除染水を集めて処理する排水処理槽を設けることもできる。
図7は、本考案の他の実施形態の連続式除染装置を示す断面図である。
図7に示すように、本考案の他の実施形態の連続式除染装置80は、配管84及び開閉バルブ82を介して一列に連通された2以上の除染装置30と、除染装置30と同数の汚染物容器40と、洗浄容器移動装置50と、図示しない制御装置と、を設けることができる。
制御装置は、前回の除染作業が終了すると、連続式除染装置80の列の一端Aの汚染物容器30に新たな放射性物質汚染廃棄物2を供給し、除染装置30の廃除染液6を排水9として排出し、他端Cの除染装置30に新たな除染液4を供給し、汚染物容器40から除染済汚染物3を取り出し、中間部Bの除染装置30は、廃除染液6を列の一端A側の洗浄容器30に移動させ、除染済汚染物を収容する汚染物容器40を列の他端C側に移動させて、除染液の移動方向86と放射性物質汚染廃棄物と、の移動方向88を相互に対向する方向に相対移動させながら複数回除染することができる。
放射性物質汚染廃棄物2と除染液4とを対向する方向に移動させることによって、除染液の使用量を節減し、放射性物質汚染廃棄物2の除染度を上げることができる。
[除染方法]
図8は、本考案の一実施形態の放射性物質汚染廃棄物除染の工程ブロック図である。
図8に示すように、放射性物質汚染廃棄物除染手順は、除染液4を調製して除染装置30に収容する除染液準備工程(S−101)と、放射性物質汚染廃棄物2を汚染物容器40に収容する放射性物質汚染廃棄物準備工程(S−102)と、汚染物容器移動装置50が汚染物容器40に収容された放射性物質汚染廃棄物2を除染装置30に収容した除染液4に浸漬して除染する除染工程(S−103)と、除染済汚染物3及び廃除染液6を分離する分離工程(S−104)と、廃除染液6に凝縮剤7を添加して放射性物質捕捉物8を生成させる放射性物質捕捉工程(S−105)と、放射性物質捕捉物8及び排水9を分離し、排水9を排出して放射性物質捕捉物8を取得する排水処理工程(S−106)と、を有する。また、除染工程(S−103)には、必要に応じて水素発生剤10を加えることができる。
なお、放射性物質汚染廃棄物除染の各工程においては、放射性物質汚染樹皮に対する除染を実例として説明する。
本考案の一実施形態の放射性物質汚染微粒子が付着した放射性物質汚染廃棄物の他の実施例として、里山地区の山林で伐採され放射性物質に汚染された樹木から剥がされた放射性物質汚染樹皮を除染する場合について詳細に説明する。本考案の放射性物質汚染廃棄物2は、放射性物質汚染樹皮5に限定されるものではなく、表面に放射性物質汚染微粒子が付着した放射性物質汚染廃棄物2であればいずれも放射性物質汚染樹皮5と同様の方法で除染することができる。
図9は、本考案の一実施形態の他の実施例に係る放射性物質汚染樹皮除染システムの構成図である。
図9に示すように、放射性物質汚染樹皮除染システムは、図1に示す放射性物質汚染廃棄物の除染システムに、更にバーク堆肥製造設備70を含むことを特徴とする。
バーク堆肥製造設備70は、除染済樹皮72に、家畜糞、肥料等を加えて屋外に積み上げ、掘り返して空気と接触させながら6〜12か月間1次発酵を行い、次いで水分量を調整しながら3〜6か月間、本培養を行うことによってバーク堆肥74を製造する設備である。
図10は、本考案の一実施形態の他の実施例に係る放射性物質汚染樹皮除染の工程ブロック図である。
図10に示すように、本考案の一実施形態の他の実施例に係る放射性物質汚染樹皮5の除染工程は、図8に示す放射性物質汚染廃棄物2の除染方法の工程に、更に堆肥製造工程(S−207)を含むことができる。
[除染液準備工程]
除染液準備工程(S−201)は、除染液4として水素を溶解した水素水を使用する。
水素水が基体から微粒子を剥離する能力は、電気陰性度が低ければ低いほど強いので、本考案では、用いる水素水の電気陰性度を−400mV以下(但し、−400mVは除く)に制限する。電気的陰性度が−400mV以上のプラス側の場合は、充分な除染効果が得られないことがある。本考案は、電気陰性度が低ければ低いほど好ましいが、水素水の電気陰性度は、溶解している水素ガス量、製造方法、共存物等の影響によって異なるので、電気陰性度のマイナス側の限度は設けない。
(除染液の量)
本考案で用いる除染液4の質量は、放射性物質汚染樹皮5の乾燥質量100質量部に対して100〜2000質量部であることが好ましく、200〜1500質量部であることがより好ましい。除染液4の質量が放射性物質汚染樹皮5の100質量部に対して100質量部以下では、放射性物質汚染樹皮5を充分に浸漬できないことがあり、2000質量部以上用いてもそれ以上は除染効果が増加しないことがあり、経済的に好ましくない。
[放射性物質汚染樹皮準備工程]
図11は、本考案の一実施形態の他の実施例に係る汚染物容器に放射性物質汚染樹皮を収容作業中の内部を示す画像である。
図11に示すように、放射性物質汚染樹皮準備工程(S−202)で用いる放射性物質汚染樹皮5は、里山地区の山林で伐採された樹木の樹皮を剥したままのものであって、大きさはミリ単位の粉末状から数十センチまで、場合によってはより大きなものまで混ざった、大きさ及び形状が不揃いなものである。また、放射性物質汚染樹皮5の樹皮の放射線量は伐採した場所によって異なるが、大部分が750〜2000Bq/kgの範囲であるが、放射線量が特異的に高い放射性物質汚染樹皮5が混入することもある。
本実施例では、この大きさ、形状、及び放射線量が不揃いな放射性物質汚染樹皮5を、籠形状の汚染物容器40aに収容して洗浄する。
[除染工程]
除染工程(S−203)は、図4に示すように、汚染物容器移動装置50が、放射性物質汚染樹皮5を収容する汚染物容器40aを、除染装置30の除染液面38の下方まで降下させて、浸漬させる工程である。浸漬時間は1〜10時間であることが好ましい。より好ましくは、2〜8時間である。浸漬時間が1時間より短いと除染が不十分となって、残留する放射線量が200Bq/kgを超えることがあり、10時時間を超えて浸漬しても洗浄効果が上がらないだけでなく、水素が揮発して除染液の電気陰性度が上がり、一度離脱した放射性物質が再付着する可能性もあるので、好ましくない。
次いで、汚染物容器移動装置50が、汚染物容器40aを10〜100回振動させることが好ましい。汚染物容器40aを振動させる回数が10回以下では効果が不十分であり、100回以上振動させてもそれ以上の効果が上がらない。
除染液の温度は、温度が高ければ洗浄が早くなるが、溶解している水素が早く揮発し、低い場合は水素の揮発派も洗浄速度も遅くなる。除染液の温度は特に制限されないが、例えば5℃〜60℃の範囲から選択することができる。
[水素発生剤]
除染液4として用いる水素水は、放射性物質汚染樹皮5の基体から放射性物質汚染微粒子を剥離させる強力な作用を有するが、除染液4の周囲が水素ガス雰囲気ではない場合には、時間が経過するにしたがって水素が揮発して除染液の電気陰性度が上がり、付着物を剥離させる作用が低下することがある。しかし、除染装置30に水素ガスを追加供給するため設備を除染作業現場に設けることは、安全性に問題を生じる可能性がある。
これを防ぐために、除染装置30に水素発生材供給装置12を設け、除染工程の途中で、除染装置30に化学反応によって水素ガスを発生する水素発生剤10を1回以上供給することができる。
水素発生剤10としては、水と穏やかに反応して水素を発生させるものであれば特に制限されないが、好ましい例として、特許文献3に記載した、Mg、Al及びFeからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属、並びに、MgH、AlH及びFeHからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属水素化物との混合物を含む水素ガス発生剤とすることができる。
また、他の例として、水素よりイオン化電位が低く、理論的には水と接触すると水素を発生するが、実際は表面に酸化物膜を形成して水と反応しないという性質を有する金属と、金属表面の活性化剤との組み合わせも使用可能である。このような例として、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムを上げることができ、実例としては、特許文献4に記載した焼成ドロマイトとアルミニウム金属の粉末の混合物を挙げることができる。
更に、CaHも水素発生剤として使われることがある。これらの水素発生剤10は、水と接触しなければ水素を発生しないので、比較的安全である。水素発生材10は、透水性の容器、例えば不織布でできた袋に収容して前記洗浄槽に加えることができる。
常温1気圧における水素ガスの水1kgに対する溶解量は約20mLなので、1000kgの飽和水素水は、1モルの水素ガス(標準状態で22.4L)を含むと概算できる。
水素発生剤の添加量は、除染液1000質量部に対し、水素発生量が0.5〜2.0モルである水素発生剤を1回以上加えることが好ましい。水素発生剤の金属成分の量が、除染液1000質量部に対して0.5モル以下では、発生する水素の量が少なすぎて除染水の電気陰性度を低くさせる効果が上がらない可能性があり、金属成分の量が2.0モルを越えると、除染液が溶解できる水素の量を越えるので、水素が無駄になる可能性があると共に、過剰の水素が空中に漏出する可能性がある。より大量の水素発生剤の添加が必要である場合には、水素発生剤を複数回に分けて添加することが好ましい。
[分離工程]
分離工程(S−204)は、図5に示すように、汚染物容器移動装置50が除染装置30から汚染物容器40aを引き上げることによって除染済樹皮72と廃除染液6とを分離することで実施することができる。分離された除染済樹皮72は、乾燥後の放射線量が200Bq/kg以下であり、バーク堆肥製造設備70においてバーク堆肥74の製造に用いることができる。
[放射性物質捕捉工程]
放射性物質捕捉工程(S−205)は、図6に示す放射性物質捕捉工程(S−105)と同じであって、凝縮剤7として、納豆菌の対数増殖期が終了して定常期にある納豆を用いることができる。納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)は、対数増殖期が後期に入り菌数が増えると、増殖を停止して定常期に入り粘質物を産生する。この粘質物は、10000個以上のl−グルタミン酸がγ−結合した高分子であって、強力な凝集作用を有する。
納豆の使用量は、廃除染液の質量を100質量物とした場合に、添加する納豆の質量が0.001〜0.2質量部の範囲であることができ、納豆添加後の静置時間は1〜48時間である。これによって廃除染液6に含まれる放射性物質を捕捉して放射性物質捕捉物8を形成し沈殿させ、排水9の放射線量を環境基準値(10Bq/kg以下)に低下させることができる。
[排水分離工程]
排水分離工程(S−206)は、図6に示す排水分離工程(S−106)と同じであって、放射性物質回収手段68を用いて放射性物質捕捉物8と排水9とを分離し、排水36を排出する工程である。
排水9の放射線量は、いずれの場合も検出限度(10Bq/kg)以下であった。
また、放射性物質捕捉物8は、大部分が水分の汚泥であって、簡易式測定計によれば高い放射線量が検出されたが、作業の安全性を考慮してこれ以上の処理は行わなかった。
[堆肥製造工程]
堆肥製造工程(S−207)は、バーク堆肥製造設備70を用いて、通常の堆肥製造工程と同様に行うことができる。例えば、除染済樹皮5に発酵促進剤として家畜糞、肥料等を加えて屋外に積み上げ、時々掘り返して空気と接触させながら6〜12か月間1次発酵をおこない、次いで水分量を調整しながら3〜6か月間、本培養を行うことによってバーク堆肥を製造することができる。バーク堆肥の製造方法は当業者には周知なので、詳細な説明は省略する。
[放射線量測定]
測定施設 江東微生物研究所
測定方法 ゲルマニウム半導体検出器を用いたガンマ線スペクトロメトリーによる。
測定機種:Ge半導体検出器 GEM20p4−70 オルテック社製
測定法(精密測定)
測定時間 2000秒
以下に実施例を挙げて本考案を具体的に説明する。この記載は本考案を説明するためのものであって、この記載によって本考案の技術的範囲を限定するものではない。
[実施例1]
(除染液準備工程)
<水素水>
水素ボンベ及び加圧式の水素水製造装置を用いて、電気陰性度が−410mVの水素水を製造した。
(放射性物質汚染樹皮準備工程)
図11に示すように、放射性物質汚染地域の里山地区の山林で伐採され放射性物質に汚染された樹木から得られた、セシウム134が687Bq/kg、セシウム137が1270Bq/kg、合計1957Bq/kgの放射線量を示す放射性物質汚染樹皮5を、図2に示す、線径が1,5mmである目開き5mmの金網で囲まれた籠である汚染物容器40に収容した。
(除染工程)
図4に示すように、500kg(乾燥質量換算)の放射性物質汚染樹皮5を、汚染物容器移動装置50を用いて、−410mVの水素水である除染液4を2000kg貯留した除染装置30の除染液面38の下方に4時間浸漬し、次いで上下に50回振動させた後、図5に示すように除染液面38の上方に引き上げ、200kgの水ですすぎ洗いして除染済樹皮72を得た。除染済樹皮72の放射線量は、セシウム134が57.1Bq/kg、セシウム137が113Bq/kg、合計放射線量が170Bq/kgであり、管理目標値である200Bq/kg以下であった。
(分離工程)
図6に示すように、排水処理装置60に収容した廃除染水6に定常期にある納豆4.0kgを加え、撹拌装置61を用いて1時間撹拌後24時間静置して放射性物質捕捉物8の沈殿を得て、排水処理装置60の下部に設けた排水出口から上澄みの排水を分離した。排水9の放射線量は10Bq/kg(検出限界)以下であった。
放射性物質捕捉物8は、小型のショベルカーを用いて汲み出し、別の容器に移して保管した。放射性物質捕捉物8は、水分含量の高いスラリーであって、簡易式測定計では高い放射線量を計測したが、作業の安全のため、これ以上処理しなかった。
[実施例2〜7]
表1に示す放射線量を有する実施例2〜7の放射性物質汚染樹皮5を、実施例1と同様に除染して表1に示す実施例2〜7の除染済樹皮72を得た。結果を表1に示す。
[比較例1〜4]
表1に示す比較例1〜4の放射性物質汚染樹皮5を、実施例1と同様に、但し、電気陰性度が−410mVの水素水に浸漬しただけで振動を行わずに除染して表1に示す比較例1〜4の除染済樹皮72を得た。結果を表1に示す。
[比較例5〜7]
表1に示す比較例5〜7の放射性物質汚染樹皮を、実施例1と同様に、但し電気陰性度が−300mVの水素水を用いて除染して表1に示す比較例5〜7の除染済樹皮を得た。結果を表1に示す。
[参考例1]
実施例1で使用した放射性物質汚染樹皮を用いて実施例1と同様に、但し除染液の代わりに水道水を用いて除染済樹皮は、セシウム134を457Bq/kg、セシウム137を837Bq/kg、合計1294Bq/kgの放射性セシウムを含み、水では弱い除染効果しか示さなかった。
[比較例8]
セシウム134が661Bq/kg、セシウム137が2050Bq/kg、合計放射線量が2711Bq/kgの高度に放射性物質に汚染された放射性物質汚染樹皮を、実施例1と同様の方法で除染したところ、得られた除染済樹皮5の放射線量は、セシウム134が160Bq/kg、セシウム137が279Bq/kg、合計放射線量が439Bq/kgであり、環境基準値以上であった。
[実施例8]
比較例8で用いた、高濃度に放射物質に汚染された放射性物質汚染樹皮を、実施例1と同様の方法で、但し、除染装置40aを除染液面38の下方に4時間浸漬したのち、アルミニウム粉末36gと1200℃でか焼したドロマイト120gを混合した水素発生剤を、透水性を有する不織布の袋10個に分包して除染装置30に投入し、除染装置40aを除染液面38の下方に更に2時間浸漬したのち、上下に50回振動させ、図4に示すように除染液面38の上方に引き上げて除染済樹皮5を得た。得られた除染済樹皮5の放射線量は、表2に示すようにセシウム134が41Bq/kg、セシウム116が116Bq/kg、合計放射線量が157Bq/kgであり、管理目標値を達成した。
[実施例9〜12]
表2に示す放射性物質汚染樹皮を、実施例8と同様に、処理して除染済樹皮5を得た。結果を表2に示す。
表1に示すように、実施例1〜7の、放射性物質汚染樹皮を、電気陰性度が−410mVの水素水である除染液4を貯留した除染装置40の除染液面38の下方に4時間浸漬し、次いで上下に50回振動させた後、除染液面38の上方に引き上げて得た除染済樹皮5の放射線量は、いずれも200Bq/kg以下であり管理目標値(200Bq/kg以下)を達成した。
しかし、電気陰性度が−300mVの水素水を用いて処理した比較例1〜4の除染済樹皮5、及び電気陰性度が−400mV以下の水素水に4時間浸漬しただけで振動を行わなかった除染済樹皮5の放射線量は、いずれも200〜400Bq/kgであり、ある程度は除染されたが、管理目標値に到達しなかった。
表2に示すように、高度汚染された放射性物質汚染樹皮を、−400mV以下の水素水である除染液4に4時間浸漬し、次いで上下に50回振動させたて得た参考例8の除染済樹皮14は、合計放射線量が439Bq/kgであって環境基準値を越えるものであったが、同じ参考例8の高度汚染放射性物質汚染樹皮を、実施例8によって、除染液に4時間浸漬したのち、水素発生剤を除染装置30に投入し、更に2時間浸漬したのち上下に50回振動させた得た除染済樹皮72は、合計放射線量が157Bq/kgであり、環境基準値及び管理目標値以下になった。同様の高度汚染放射性物質汚染樹皮である実施例8、11の除染済樹皮を実施例8と同じ方法で処理した除染済樹皮72の放射線量も200Bq/kg以下であり、目標を達成した。
また、通常の汚染度である放射性物質汚染樹皮を実施例8と同じに水素ガス発生剤を追加して処理した実施例9、10、12の除染済樹皮5は、放射線量が更に低くなった。
以上、本考案に関する好ましい実施形態を説明したが、本考案は前記実施形態に限定されず、本考案の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
Figure 0003229769
Figure 0003229769
1 放射性物質汚染廃棄物除染システム
2 放射性物質汚染廃棄物
3 除染済汚染物
4 除染液(水素水)
5 放射性物質汚染樹皮
6 廃除染液
7 凝集剤
8 放射性物質捕捉物
9 排水
10 水素ガス発生剤
12 水素ガス発生剤供給装置
20 水素水製造装置
30 除染装置
35 除染槽
38 除染液面
40、40a、40b 汚染物容器
42 枠体
43 係止部材
44 網
45 蓋
46 支柱
47 撹拌翼
48 丸材又は角材
50 汚染物容器移動装置
60 排水処理装置
61 撹拌装置
65 排水処理槽
66 凝集剤供給手段
68 放射性物質捕捉物回収手段
70 バーク堆肥製造設備
72 除染済樹皮
74 バーク堆肥
80 連続式除染装置
82 開閉バルブ
84 配管
86 除染液の移動方向
88 放射性物質汚染樹皮の移動方向

Claims (7)

  1. 放射性物質に汚染された放射性物質汚染廃棄物を除染するシステムであって、
    除染液としての水素水を供給する水素水製造装置と、
    前記除染液が流通自在な籠であって、前記放射性物質汚染廃棄物を収容する汚染物容器と、
    前記除染液を貯留して、前記汚染物容器に収容された放射性物質汚染廃棄物の放射線量が所定値以下になるように除染する除染装置と、
    前記放射性物質汚染廃棄物を収容した汚染物容器を、前記除染装置に貯留された除染液中に所定時間浸漬し、次いで振動させて除染した後、除染済廃棄物及び放射性物質に汚染された廃除染液を分離する汚染物容器移動装置と、
    前記廃除染液を収容し、凝集剤として菌の対数増殖期が終了して定常期にある納豆を添加し撹拌した後、静置して放射性物質捕捉物を沈殿させて分離し、上澄みの排水の放射線量を所定値以下にする排水処理装置と、
    を備えることを特徴とする放射性物質汚染廃棄物除染システム。
  2. 前記除染装置は、前記除染液中に浸漬中及び/又は前記除染液中で振動中に水素ガス発生剤を添加する水素ガス発生剤投入装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載の放射性物質汚染廃棄物除染システム。
  3. 前記放射性物質汚染廃棄物は、前記放射性物質に汚染された樹皮、前記放射性物質に汚染された鉄道用枕木又は線路用砕石であることを特徴とする請求項1記載の放射性物質汚染廃棄物除染システム。
  4. 前記放射性物質汚染樹皮を除染した除染済樹皮を発酵させてバーク堆肥を製造するバーク堆肥製造設備を有することを特徴とする請求項1に記載の放射性物質汚染廃棄物除染システム。
  5. 前記バーク堆肥製造設備は、前記除染済樹皮に家畜糞、肥料等を加えて屋外に積み上げ、掘り返して空気と接触させながら6か月乃至12か月間1次発酵を行う1次発酵装置と、次いで水分量を調整しながら3か月間乃至6か月間、本培養を行う本発酵装置と、を有することを特徴とする請求項4に記載の放射性物質汚染廃棄物除染システム。
  6. 前記水素ガス発生剤は、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、及び鉄(Fe)からなる群より選ばれる少なくとも一つの金属、並びにMgH、AlH及びFeHからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属水素化物又はその混合物を含む水素ガス発生剤であることを特徴とする請求項2に記載の放射性物質汚染廃棄物除染システム。
  7. 前記水素ガス発生剤は、焼成ドロマイトと金属アルミニウム粉末とからなる水素ガス発生剤であることを特徴とする請求項2記載の放射性物質汚染廃棄物除染システム。
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