JP3225407B2 - エアドーム工法における屋根形状維持システム及びその装置 - Google Patents

エアドーム工法における屋根形状維持システム及びその装置

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JP3225407B2
JP3225407B2 JP21136491A JP21136491A JP3225407B2 JP 3225407 B2 JP3225407 B2 JP 3225407B2 JP 21136491 A JP21136491 A JP 21136491A JP 21136491 A JP21136491 A JP 21136491A JP 3225407 B2 JP3225407 B2 JP 3225407B2
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井 宏 治 石
部 源 平 安
部 二 郎 安
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株式会社石井鐵工所
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は貯槽等構造物内の空気圧
を受けた可撓膜または金属殻の殻体で該構造物上部をド
ーム形状に被覆し、そのドーム形状の殻体上面にコンク
リート(モルタルを含む)を打設してコンクリートドー
ム屋根を構築するエアドーム工法において、上面にコン
クリートを打設するドーム形状の殻体高さ及びその形状
を常時一定位置、一定形状に維持するためのエアドーム
工法における殻体屋根の形状維持システムとその装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来のドーム状コンクリート構造物の構
築方法として、ドーム形の天板を有し、内部が圧縮空気
により大気圧以上の内圧状態で密閉されてなるスチール
殻の前記天板上面に、該天板を下型枠としてドームコン
クリートを打設することにより構築されるドーム状コン
クリート構造物の構築方法において、前記スチール殻の
内圧を、前記ドームコンクリート打設時に生ずる該スチ
ール殻の経時的変位に応じて制御する方法(特開平2−
136475号公報参照。以下、前者の従来技術とい
う)がある。また、エアドーム型構造物における天井膜
変位測定装置として、建造物の天井が空気圧によって支
持される膜材、薄板等で構成されたエアドーム型建造物
において、基準位置に設定され液体を貯留する貯液槽
と、前記エアドーム型建造物の天井膜に沿って配設さ
れ、内部に前記液体が充填された状態で先端が密閉され
て基端が前記貯液槽内の前記液体中に開口され、前記天
井膜とともに変動する変位測定管と、この変位測定管の
所定の測定位置にそれぞれ配設され当該測定位置におけ
る前記変位測定管内の前記液体の圧力を検出する複数の
圧力検出手段と、前記貯液槽内の前記液体を必要に応じ
加圧する加圧手段とを具備し、前記測定位置毎に検出さ
れた前記圧力に基いて前記各測定位置の前記基準位置に
対する鉛直距離を検出し得るようにしたもの(実開昭6
2−9109号公報参照。以下、後者の従来技術とい
う)がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前者の従来技術による
ドームコンクリート打設中におけるスチール殻の変位制
御法は、トランシットにより天板のレベル変化をみなが
ら行うか、あるいは天板の頂部に、天板の変位を検出す
るための上限スイッチと下限スイッチの変位計を付設し
てその上下限変位量に応じて内圧を上昇させたり、降下
させたりして制御する方法であり、このように、内圧を
所定圧力に維持するだけでは、コンクリート打設時のド
ーム形状をした可撓膜や金属殻の殻体変形を抑制できな
い。またコンクリートはその硬化時に余剰水の蒸発によ
って重量変化を起こすため、内圧を一定にコントロール
するだけでは殻体を精度良く一定形状に保つことはでき
ない。さらに、可撓膜や金属殻の殻体は、クリープや温
度変化により変形を伴うものであり、単に、上下限スイ
ッチの変位計等で内圧が一定となるようにコントロール
するだけでは殻体を応答良く常に一定のドーム形状に保
つことは非常に困難である。その結果、ドーム形状をし
た殻体の上面に打設したコンクリートにクラックやヒビ
が入る等してドーム屋根として好ましくない。この問題
は従来の単なる屋根としてのエアドームでは考慮される
問題ではないが、上面にコンクリートを打設するための
型枠用としてドーム形状をした可撓膜や金属殻の殻体を
使用する場合には、より精度の高い殻体の形状維持が大
変重要な事項となる。
【0004】また、後者の従来技術も、前者の従来技術
と同様に内圧を所定圧力に維持するためのものであり、
コンクリート打設時のドーム形状をした可撓膜や金属殻
の殻体変形を抑制することはできない。しかも、このも
のは単なる屋根として恒常的に使用するものであり、些
少の屋根形状変化はさほど問題とならない。本発明は、
上記の点に鑑みてなされたもので、その目的とするとこ
ろは、ドーム形状をした殻体上面に所望の形状をしたコ
ンクリートドーム屋根を構築するときに、可撓膜または
金属殻の殻体クリープによる形状変化や、コンクリート
打設時の荷重による変形やコンクリート硬化時の余剰水
蒸発から生じる重量変化による変形を迅速かつ確実に検
出し、上面にコンクリートを打設するドーム形状をした
可撓膜または金属殻の殻体を所定形状に維持するエアド
ーム工法における屋根形状維持システム及びその装置を
提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るエアドーム
工法における屋根形状維持システムは、貯槽等構造物内
の空気圧を受けた可撓膜または金属殻などの殻体でその
構造物上部をドーム形状に被覆し、そのドーム形状の殻
体上面にコンクリートドーム屋根を構築するエアドーム
工法において、所定ドーム形状の殻体に開口部を形成
し、その開口部に地上から所定高さ位置に保持した調節
弁を取付け、その調節弁弁体と開口部の周縁部との間を
弾圧密閉するかまたは所定の隙間に形成し、その調節弁
弁体と開口部の周縁部との間よりドーム形状の殻体高さ
の上昇に応じて貯槽等構造物内の圧力空気を外部に排出
してドーム形状の殻体高さを上昇前の旧位に復するよう
に制御するものである。
【0006】また、本発明に係るエアドーム工法におけ
る屋根形状維持システムは、貯槽等構造物内の空気圧を
受けたドーム形状の殻体で該構造物上部を被覆し、その
殻体上面にコンクリートドーム屋根を構築するエアドー
ム工法において、所定ドーム形状の殻体に開口部を形成
し、該開口部に地上から所定高さ位置に保持した調節弁
を取付け、該調節弁弁体と開口部周縁部との間を弾圧密
閉するかまたは所定の隙間に形成するとともに、前記開
口部の内側周縁部に取付けた弁フレームに高さ変位検出
器を取付け、該変位検出器で殻体高さの上下変位量を検
出して電気信号を発し、その発せられた信号を制御信号
に変えて送風機に伝え、該制御信号によって上記殻体高
さの上下変位量に応じて貯槽等構造物内へ供給する送風
機の圧力空気量を増減させ、かつ上記調節弁弁体と開口
部周縁部との間よりドーム形状の殻体高さの上昇に応じ
て貯槽等構造物内の圧力空気を外部に排出し、上下動し
たドーム形状の殻体高さが旧位に復するように制御する
ものである。さらに、本発明に係るエアドーム工法にお
ける屋根形状維持装置は、貯槽等構造物上部を所定のド
ーム形状に被覆する殻体に設けた開口部に、地上から所
定高さの位置に保持して取付けた調節弁と、該開口部の
内側周縁部に取付けた弁フレームに設けた、ドーム形状
の殻体高さの上下変位量を検出する変位検出器と、該変
位検出器からの電気信号を制御信号に変換して貯槽等構
造物内に送られる圧力空気量を調節するために送風機を
制御する信号変換器とを設けたものである。
【0007】
【作用】本発明に係るドーム屋根形状維持システムは、
貯槽等構造物内の空気圧を受けた可撓膜または金属殻の
殻体で該構造物上部をドーム形状に被覆し、そのドーム
形状の殻体上面にコンクリートを打設してコンクリート
ドーム屋根を構築するエアドーム工法を採用する場合に
適用されるシステムである。ドーム形状をした可撓膜ま
たは金属殻の殻体が所定形状を維持し、所定の高さ位置
にある場合は、該殻体に形成した開口部は、地上から所
定高さ位置に保持された調節弁弁体により該開口部の周
縁部を弾圧されて密閉されるか、または調節弁弁体と開
口部周縁部に形成した所定の隙間から貯槽等構造物内の
圧力制御のために圧力空気を連続排出している。この状
態から、ドーム形状の殻体が膨らみ、その高さが上昇し
て殻体の開口部が調節弁の弁体から離反するか、開口部
周縁部と調節弁弁体の間の所定の隙間が拡大すると、そ
の開口部周縁部と調節弁弁体の隙間から貯槽等構造物内
の圧力空気を外部に排出、または排出量を増加すること
となる結果、貯槽等構造物の内圧が次第に下がりドーム
形状の可撓膜または金属殻の殻体高さも上昇前の旧位に
復することとなり、再び調節弁の弁体により開口部が密
閉されるか、調節弁弁体と開口部周縁部の隙間は元の所
定の隙間にもどる。なお、殻体の開口部周縁部と調節弁
弁体との間に所定の隙間を設け、この隙間から連続して
貯槽等構造物内の圧力空気を排出し、送風機から貯槽等
構造物内へ圧力空気を連続供給すると、開口部周縁部と
調節弁弁体の弾圧密閉がないので、弁の吹き始め圧力や
弁の吹き止まり圧力の問題が生じず、貯槽等構造物内の
空気圧力制御の精度は高くなる。したがって、ドーム形
状の可撓膜または金属殻の殻体高さが所定の高さ位置よ
りも高くなろうとしても、即座に開口部から貯槽等構造
物内の余剰圧力空気が排出されて内圧が下がり、元の殻
体高さ位置まで復帰するので、所定ドーム形状の殻体
は、一定高さ、一定形状を常に維持する。
【0008】次に、所定ドーム形状の可撓膜または金属
殻の殻体に開口部を形成し、該開口部に地上から所定高
さ位置に保持した調節弁を取付け、該調節弁弁体と開口
部周縁部との間を弾圧密閉するかまたは所定の隙間に形
成するとともに、前記開口部の内側周縁部に取付けた弁
フレームに高さ変位検出器を取付けると、その変位検出
器は、殻体形状の変形から生じる殻体高さの上下変位量
に応じて貯槽等構造物内へ供給する送風機の圧力空気量
を増減させ、かつ上記調節弁弁体と開口部周縁部との間
よりドーム形状の殻体高さの上昇に応じて貯槽等構造物
内の圧力空気を外部に排出し、上下動したドーム形状の
殻体は、殻体の元の高さ位置、元の所定ドーム形状に短
時間に復帰する。したがって、所定ドーム形状の可撓膜
または金属殻の殻体高さが所定の高さ位置より上下しよ
うとも、その上下変位量に応じて送風機を駆動制御させ
て必要とされる所定量の圧力空気が貯槽等構造物内に調
節供給され、応答早く所定の元の高さ位置まで復帰する
ので、所定ドーム形状の殻体高さとその形状は、一定高
さ、一定形状を常に維持する。
【0009】次に、エアドーム工法における屋根の形状
維持装置の動作について説明する。所定ドーム形状の可
撓膜または金属殻の殻体の例えば頂部に形成した開口部
の内側周縁部には、ワイヤー等の上限拘束材や架台等に
て地上から所定高さ位置に保持した調節弁の弁体が、弾
圧状態で圧接し、該開口部を密閉しているか、または貯
槽等構造物内から圧力空気を連続排出する所定の隙間を
もって、該開口部に組合わさっている。調節弁の弁体は
地上から空中に垂直方向に伸びるワイヤー等の上限拘束
材や架台などに接続されて所定の高さ位置に固定され、
それ以上、上昇しないように高さ規制がされている。し
たがって、ドーム形状の可撓膜または金属殻の殻体高さ
が所定の高さ位置よりも高くなった場合には、開口部は
調節弁の弁体から離反状態となり該開口部から貯槽等構
造物内の圧力空気が外部に排出されるか、または開口部
と調節弁弁体の所定の隙間を拡げて、該拡げられた隙間
から貯槽等構造物内の圧力空気が増量されて外部に排出
される。また、ドーム形状の可撓膜または金属殻の殻体
高さが所定位置から上下した変位量は、該殻体に設けた
開口部の内側周縁に取付けた弁フレームに設けた変位検
出器により検出される。その検出された電気信号は途中
の制御器等に送られ、その制御信号により送風機を駆動
制御させ、送風機の回転数を制御しながら貯槽等構造物
内に増減した所定量の圧力空気を供給し、ドーム形状の
可撓膜または金属殻の殻体高さを旧位に復帰させる。こ
の変位検出器と調節弁を組合わせて用いた構造は、殻体
が拡大変形し、その高さが上昇した時には、調節弁から
圧力空気を排出し、または増量排出するとともに、変位
検出器が送風機からの供給圧力空気を減少させるように
制御し、また一方、殻体が縮小変形し、その高さが下降
した時には、調節弁から圧力空気の排出を止め、または
減少させて排出するとともに、変位検出器が送風機から
の供給圧力空気を増加させるように制御することによっ
て、形状復帰の応答時間はさらに短くなり、所定ドーム
形状の殻体形状とその高さを常に一定形状、一定高さに
維持する。
【0010】
【実施例】本発明の一実施例を図面に基いて具体的に述
べる。図1は本発明に係るエアドーム工法における屋根
形状維持システム及びその装置を示す側断面説明図、図
2は本発明に係るエアドーム工法における屋根形状維持
装置の調節弁の一部を欠除した側面説明図、図3は調節
弁弁体と開口部内周縁部の間の隙間から貯槽等構造物内
の圧力空気を排出している状態を示す調節弁の一部を欠
除した側断面説明図である。1はタンク等の貯槽等構造
物(本例ではタンクの場合を示す)で、タンク壁体1a
の上部には、貯槽等構造物1内の空気圧を受けた可撓膜
または金属殻の殻体2(本例では可撓膜の場合を示す)
で該構造物1の上部を所定のドーム形状に被覆してい
る。ドーム形状に被覆している殻体2は、合成樹脂や繊
維等で作られた可撓膜が使用され、金属殻の場合は鋼板
その他の金属板が使用される。可撓膜または金属殻のい
ずれを使用する場合においても、該殻体2は貯槽等構造
物1内の空気圧を受けて所定のドーム形状に維持されて
いることが重要である。
【0011】3は可撓膜2の頂部に形成した開口部で、
この開口部3に後述する調節弁4を取付ける。開口部3
は例えば屋根マンホールやノズル類の取付け位置に設け
ることにより、コンクリート屋根が構築された後はその
ままそのノズル孔やマンホール孔等に使用できる。調節
弁4は開口部3の内側周縁部に取付けねじ5で固定した
弁フレーム6と、該弁フレーム6の中央部から垂直に起
立し開口部3を貫通する弁心棒パイプ7と、該弁心棒パ
イプ7に貫通装着して開口部3の内側を覆うステンレス
や硬質合成樹脂等の材質からなる弁体8と、弁心棒パイ
プ7の外周部に装着して弁体8を下側から弾圧するスプ
リング9と、弁心棒パイプ7内を貫通し上部をワイヤ止
めねじ10で固定し、貯槽等構造物1内を垂下し、下部
を底版1b中央部に設置したローラー等のワイヤ引き留
め金具11に係止させ、端部をその長さを外部から調整
できるように貯槽等構造物1の外部で固定したワイヤ1
2とによって構成される。調節弁4は、ドーム形状をし
た可撓膜2の頂部に一個設けるか、または必要に応じ
て、その周辺にも設けるようにしてもよい。また、貯槽
等構造物1の容量に応じて調節弁4および開口部3の大
きさをそれぞれ変える必要がある場合や貯槽等構造物1
内の圧力空気コントロールを連続供給と連続排出でする
場合は、別途に逃がし弁22を設けて対処してもよい。
なお、調節弁4の構成は上記構造に限定されるものでは
なく、要は調節弁4が地上から所定の高さ位置に設定さ
れ、それ以上は上昇しないように設置されており、かつ
所定ドーム形状をした可撓膜2が所定の高さ位置および
それより下降時に弁体8が開口部3を密閉するか、また
は所定の隙間を減じ、該可撓膜2が所定の高さ位置より
上昇した場合に開口部3から圧力空気が外部に排出され
る構造か、または所定の隙間を拡げて外部に排出する圧
力空気の量を増加させる構造となっていれば、他の構造
であってもよい。
【0012】13は弁フレーム6に設置した変位検出器
で、例えば距離的変位や距離的変位を生じる前の接合圧
力変位を電気的信号に変えるポテンショメータまたはロ
ータリーエンコーダもしくは感圧素子、感圧センサ等が
使用される。14は変位検出器13と接続し貯槽等構造
物1の外部に設けた信号変換器で、変位検出器13で検
出した所定ドーム形状可撓膜2の上下高さ変位量を適切
な電気信号に変換する。15は信号変換器14で変換さ
れた目標値と制御量との差である制御偏差を入力信号と
し、PID演算を行って出力信号を取り出す指示調節計
である。16は非常電源17を備えた商用交流電源18
を直流電源に変換するインバータで、指示調節計15お
よび送風機19にそれぞれ電気的に接続している。送風
機19から供給される圧力空気は逆止弁20を有するダ
クト21を介してタンク壁体1aの供給口1cに送られ
る。
【0013】次に、上記実施例のドーム屋根形状維持装
置に基づくドーム屋根形状維持システムについて述べ
る。この高さ制御による形状維持システムは、所定ドー
ム形状をした可撓膜2上面にコンクリートドーム屋根
(図示せず)を構築するエアドーム工法を採用する場合
に適用されるシステムである。可撓膜2は貯槽等構造物
1内に供給した空気圧を受けて該構造物1上部を所定の
ドーム形状に被覆し、その形状を維持している。こうし
て所定ドーム形状に維持されている可撓膜2が所定の高
さ位置にある場合は、底版1bの中央部から弁心棒パイ
プ7の上部にかけて張られたワイヤ12により所定高さ
位置に保持された調節弁4は、その弁体8がスプリング
9のバネ弾性力により弾圧されて該可撓膜2の頂部に形
成した開口部3を塞ぎ、弁体8の外周部が開口部3の内
側周縁を圧接して密閉状態となる。所定ドーム形状をし
た可撓膜2の高さが上昇して開口部3が調節弁4から部
分的または完全に離反する場合、調節弁4はワイヤ12
により設定した高さに保持されているために、可撓膜2
が上昇した分だけ調節弁4の弁体8と開口部3の周縁部
との間に隙間が生じ、この隙間から貯槽等構造物1内の
圧力空気が外部に排出される。その結果、貯槽等構造物
1の内圧が次第に下がり、可撓膜2はドーム形状を下降
し、旧位に復することとなり、再び開口部3が調節弁4
により密閉される。このシステム実施例では、開口部3
と調節弁4の弁体8が密閉された状態を所定ドーム形状
をした可撓膜2の初期状態としたが、貯槽等構造物1内
を連続供給と連続排風で空気圧力コントロールをするた
めに開口部3周縁部と調節弁弁体8に所定の隙間を形成
して、貯槽等構造物1内の圧力空気を常に供給と排出し
ている状態を所定ドーム形状をした可撓膜2の初期状態
とすれば、可撓膜2が上昇した分だけ調節弁4の弁体8
と開口部3の周縁部との隙間を拡げ、この拡がった隙間
から貯槽等構造物1内の圧力空気が増量して外部に排出
され、その結果、貯槽等構造物1の内圧が次第に下が
り、可撓膜2はドーム形状を下降して旧位の初期状態の
ドーム形状に復し、可撓膜2は所定ドーム形状を維持す
る。したがって、エアドーム工法において、所定ドーム
形状の可撓膜2は一定高さと一定形状を常に維持する。
【0014】次に、所定ドーム形状の可撓膜2が拡大縮
小しその高さが所定位置から上下動した場合は、可撓膜
2に取付けられた変位検出器13で上下変位量を検出
し、その検出した変位量の信号を信号変換器14で制御
偏差の電気信号に変換し、制御偏差の電気信号を入力信
号とし指示調節計15でPID演算を行って、商用交流
電源18を直流電源に変換するインバータ16で直流電
源に変えて送風機19の回転数を制御して貯槽等構造物
1内に逆止弁20を有するダクト21を介して圧力空気
を供給し、可撓膜2を元の高さ位置まで復帰させる。し
たがって、所定ドーム形状の可撓膜2高さが所定の高さ
位置から上下動しようとも、ドーム形状の可撓膜2は所
定の高さ位置まで復帰するので、所定ドーム形状の可撓
膜2は一定高さと一定形状を常に維持する。
【0015】
【発明の効果】本発明は上記の説明から判るように、所
定ドーム形状をした可撓膜または金属殻の殻体上面にコ
ンクリートドーム屋根を構築するときに、殻体のクリー
プによる形状変化や、コンクリート打設時の荷重による
変形やコンクリート硬化時の余剰水蒸発による重量変化
により、殻体が所定の高さ位置から上昇または下降の変
動をしようとも迅速かつ確実にその変位を検出し、ドー
ム形状をした殻体の形状を旧位形状に復帰させることが
でき、可撓膜または金属殻の殻体上面に打設したコンク
リートにクラックやヒビが入る等のおそれがない。特
に、所定ドーム形状をした可撓膜または金属殻の殻体が
所定の高さ位置よりも上昇した場合は、調節弁の働きに
より開口部から外部に圧力空気が排出、または増量排出
されるので、貯槽等構造物内に供給した空気圧は下が
り、可撓膜または金属殻の殻体はドーム形状を旧位形状
に復帰させることができ、内圧のコントロールをする必
要がない。
【0016】また、貯槽等構造物内の空気圧を受けたド
ーム形状の殻体で該構造物上部を被覆し、その殻体上面
にコンクリートドーム屋根を構築するエアドーム工法に
おいて、所定ドーム形状の殻体に開口部を形成し、該開
口部に地上から所定高さ位置に保持した調節弁を取付
け、該調節弁弁体と開口部周縁部との間を弾圧密閉する
かまたは所定の隙間に形成するとともに、前記開口部の
内側周縁部に取付けた弁フレームに高さ変位検出器を取
付け、該変位検出器で殻体高さの上下変位量を検出して
電気信号を発し、その発せられた信号を制御信号に変え
て送風機に伝え、該制御信号によって上記上下変位量に
応じて貯槽等構造物内へ供給する送風機の圧力空気量を
増減させ、かつ上記調節弁弁体と開口部周縁部との間よ
りドーム形状の殻体高さの上昇に応じて貯槽等構造物内
の圧力空気を外部に排出し、上下動したドーム形状の殻
体高さを旧位に復するように制御することにより、上記
上下動したドーム形状の殻体高さを旧位に復するように
制御するエアドーム工法における屋根形状維持システム
にあっては、所定ドーム形状をした可撓膜または金属殻
の殻体が拡大縮小の変形をすると、ドーム形状拡大縮小
の変形は、調節弁からの排出による変形制御に加えて、
調節弁の近傍に設けた変位検出器により高さ上下動変位
量として検出し、その検出された信号を制御信号に変え
て、上記上下変位量に応じて送風機の回転駆動を制御
し、貯槽等構造物内の圧力空気を供給調節して、殻体の
形状を旧位形状に復帰させるため、所定ドーム形状の殻
体を、より応答性良く、常に一定高さ、一定形状に維持
することができる。
【0017】また、貯槽等構造物上部を所定のドーム形
状に被覆する殻体に設けた開口部に、地上から所定高さ
の位置に保持して取付けた調節弁と、該開口部の内側周
縁部に取付けた弁フレームに設けた高さ変位検出器と、
該変位検出器からの電気信号を制御信号に変換して貯槽
等構造物内に送られる圧力空気量を調節するために送風
機を制御する信号変換器とを設けたエアドーム工法にお
ける屋根形状維持装置にあっては、本発明の調節弁およ
び変位検出器等を組合わせて用いることにより、殻体が
拡大変形しその高さが上昇した時には、調節弁を介して
開口部から圧力空気を排出するとともに送風機からの送
風量を減少させ、また、殻体が縮小変形しその高さが下
降した時には、調節弁からの圧力空気の排出を止めると
とに送風機からの送風量を増加させるため、さらに形状
復帰の応答が早くなり、確実にエアドーム工法の屋根形
状を常に所定の高さ位置及び形状に調整維持することが
でき、健全で所望形状のコンクリートドーム屋根を構築
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエアドーム工法における屋根形状
維持システム及びその装置を示す側断面説明図である。
【図2】本発明に係るエアドーム工法における屋根形状
維持装置の調節弁の一部を欠除した側面説明図で、弁体
が閉じられた状態を示す。
【図3】本発明に係るエアドーム工法における屋根形状
維持装置の調節弁の一部を欠除した側面説明図で、弁体
が開けられた状態を示す。
【符号の説明】
1 貯槽等構造物 2 可撓膜または金属
殻の殻体 3 開口部 4 調節弁 6 弁フレーム 8 弁体 13 変位検出器 19 送風機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−136475(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04H 7/18 302 E04G 11/48

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 貯槽等構造物内の空気圧を受けたドーム
    形状の殻体で該構造物上部を被覆し、その殻体上面にコ
    ンクリートドーム屋根を構築するエアドーム工法におい
    て、所定ドーム形状の殻体に開口部を形成し、該開口部
    に地上から所定高さ位置に保持した調節弁を取付け、該
    調節弁弁体と開口部周縁部との間を弾圧密閉するかまた
    は所定の隙間に形成し、該調節弁弁体と開口部周縁部と
    の間よりドーム形状の殻体高さの上昇に応じて貯槽等構
    造物内の圧力空気を外部に排出しドーム形状の殻体高さ
    を上昇前の旧位に復するように制御することを特徴とす
    るエアドーム工法における屋根形状維持システム。
  2. 【請求項2】 貯槽等構造物内の空気圧を受けたドーム
    形状の殻体で該構造物上部を被覆し、その殻体上面にコ
    ンクリートドーム屋根を構築するエアドーム工法におい
    て、所定ドーム形状の殻体に開口部を形成し、該開口部
    に地上から所定高さ位置に保持した調節弁を取付け、該
    調節弁弁体と開口部周縁部との間を弾圧密閉するかまた
    は所定の隙間に形成するとともに、前記開口部の内側周
    縁部に取付けた弁フレームに高さ変位検出器を取付け、
    該変位検出器で殻体高さの上下変位量を検出して電気信
    号を発し、その発せられた信号を制御信号に変えて送風
    機に伝え、該制御信号によって上記殻体高さの上下変位
    量に応じて貯槽等構造物内へ供給する送風機の圧力空気
    量を増減させ、かつ上記調節弁弁体と開口部周縁部との
    間よりドーム形状の殻体高さの上昇に応じて貯槽等構造
    物内の圧力空気を外部に排出し、上下動したドーム形状
    の殻体高さを旧位に復するように制御することを特徴と
    するエアドーム工法における屋根形状維持システム。
  3. 【請求項3】 貯槽等構造物上部を所定のドーム形状に
    被覆する殻体に設けた開口部に地上から所定高さの位
    置に保持して取付けた調節弁と、該開口部の内側周縁部
    に取付けた弁フレームに設けた、ドーム形状の殻体高さ
    の上下変位量を検出する変位検出器と、該変位検出器か
    らの電気信号を制御信号に変換して貯槽等構造物内に送
    られる圧力空気量を調節するために送風機を制御する
    号変換器とを設けたことを特徴とするエアドーム工法に
    おける屋根形状維持装置。
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