JP3221982U - シート付き焼成食品、焼成食品用シート、シート付き焼成型 - Google Patents
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Abstract
【課題】パン等の焼成食品において、焼成後に冷却を行っている間に変形が発生するのを抑制できる焼成食品、そのような焼成食品の製造に利用できる焼成食品用シート、及び、シート付焼成型を提供する。
【解決手段】上面50と下面51の間に側面52、53を有する焼成食品5と、焼成食品5の側面の少なくとも一部52に付着したシート体1と、を有し、シート体1の、少なくとも焼成食品5を挟んで対向する箇所において、上面側の部位が、焼成食品5の上面50よりも外側まで延出しているシート付き焼成食品4とする。また、生地を焼成して、焼成食品5を製造する際に、焼成食品5の側面52、53に付着して、シート付き焼成食品4を構成する焼成食品用シート1とする。さらに、焼成型と、焼成食品用シート1と、を有し、焼成食品用シート1が、焼成型の内表面に沿って配置されており、相互に対向する箇所において、焼成型の側壁面の上端よりも外側に延出しているシート付き焼成型とする。
【選択図】図4
【解決手段】上面50と下面51の間に側面52、53を有する焼成食品5と、焼成食品5の側面の少なくとも一部52に付着したシート体1と、を有し、シート体1の、少なくとも焼成食品5を挟んで対向する箇所において、上面側の部位が、焼成食品5の上面50よりも外側まで延出しているシート付き焼成食品4とする。また、生地を焼成して、焼成食品5を製造する際に、焼成食品5の側面52、53に付着して、シート付き焼成食品4を構成する焼成食品用シート1とする。さらに、焼成型と、焼成食品用シート1と、を有し、焼成食品用シート1が、焼成型の内表面に沿って配置されており、相互に対向する箇所において、焼成型の側壁面の上端よりも外側に延出しているシート付き焼成型とする。
【選択図】図4
Description
本考案は、シート付き焼成食品、焼成食品用シート、シート付き焼成型に関し、さらに詳しくは、パン等の焼成食品にシート体が付着したシート付き焼成食品、またそのようなシート付き焼成食品の製造に用いることができる焼成食品用シートおよびシート付き焼成型に関するものである。
パン等の焼成食品は、製造後に、収縮や表面の陥没等、変形を起こす場合がある。焼成食品が変形を起こすと、商品価値が下がってしまう。例えば、食パンの場合、側面が陥没する現象である腰折れ(ケービング)が問題となる。食パンの腰折れを防ぐ方法として、特許文献1に記載されるような生地の成分の改良、特許文献2に記載されるような焼成方法の改良、特許文献3に記載されるような焼成後の工程の改良等が提案されている。
近年、水分や油脂、砂糖を多く含有する生地より製造されるパンや、気泡を多く含むパン等、柔らかい食感のパンが好まれている。柔らかいパンにおいては、腰折れ等の意図しない変形が問題となりやすい。柔らかいパンは、気泡を多く含んでいること、また、気泡を取り囲む組織が薄いこと等により、焼成後の冷却工程において、デンプン質の硬化に伴って、組織の変形や気泡の圧縮が起こりやすい。それらの現象は、腰折れ等、外形の変形につながる。特許文献1〜3に記載されるような改良の他に、焼成後に冷却を行っている間に発生する腰折れ等の変形を低減できるような改良が、望まれる。
本考案が解決しようとする課題は、パン等の焼成食品において、焼成後に冷却を行っている間に、変形が発生するのを抑制することができる焼成食品を提供すること、またそのような焼成食品の製造に利用できる物品を提供することにある。
上記課題を解決するための焼成食品として、シート付き焼成食品を考案した。また、そのようなシート付き焼成食品を製造するための物品として、焼成食品用シートおよびシート付き焼成型を考案した。
本考案にかかるシート付き焼成食品は、上面と下面の間に側面を有する焼成食品と、前記焼成食品の側面の少なくとも一部に付着したシート体と、を有し、前記シート体は、少なくとも前記焼成食品を挟んで対向する箇所において、上方の部位が、前記焼成食品の上面よりも外側まで延出しているものである。
ここで、前記シート体は、前記焼成食品の前記側面に加え、前記下面にも付着しており、前記側面に付着した部位と前記下面に付着した部位が、一体に連続しているとよい。
この場合に、前記焼成食品の側面は、相互に対して角度を有する複数の面を有しており、前記シート体は、多角形よりなる基部と、前記基部の辺のそれぞれから外側に延出した複数の延出部と、を有し、前記シート体は、前記基部にて、前記焼成食品の前記下面に付着し、前記複数の延出部のそれぞれにて、前記焼成食品の前記側面の前記複数の面のそれぞれに付着しており、前記複数の延出部の少なくとも一部の上方の部位が、前記焼成食品の上面よりも外側まで延出しているとよい。
あるいは、前記シート体は、前記焼成食品の前記側面を帯状に取り囲んで付着しており、前記焼成食品の前記側面に沿って複数の位置に、前記シート体の上端から前記焼成食品の前記側面の上端部に達する切り込みが形成されているとよい。
前記シート体は、前記焼成食品に付着する面を疎水化処理した紙よりなるとよい。この場合に、前記シート体は、前記焼成食品に付着する面にシリコーン粒子を付着させた、グラシン紙よりなるとよい。
前記焼成食品は、食パンであるとよい。
本考案にかかる焼成食品用シートは、生地を焼成して、上面と下面の間に側面を有する焼成食品を製造する際に、前記生地に接触または近接して配置されることで、前記焼成食品の前記側面に付着して前記シート体となり、上記考案にかかるシート付き焼成食品を構成するものである。
ここで、前記焼成食品用シートは、多角形よりなる基部と、前記基部の辺のそれぞれから外側に延出した複数の延出部と、を有し、前記複数の延出部のうち、前記基部の対向する辺から外側に延出した1対の延出部の延出長さが、他の延出部の延出長さよりも長くなっているとよい。
前記焼成食品用シートは、平面状の展開形状を有するとよい。
本考案にかかるシート付き焼成型は、焼成食品の生地を収容して焼成可能な焼成型と、上記考案にかかる焼成食品用シートと、を有し、前記焼成食品用シートは、前記焼成型の内表面に沿って配置されおり、前記焼成食品用シートは、前記焼成型の側壁面のうち、相互に対向する箇所において、前記側壁面の上端よりも外側に延出している。
ここで、前記焼成型は、前記側壁面の上方が開放されているとよい。
上記考案にかかるシート付き焼成食品においては、焼成食品の側面にシート体が付着しており、焼成食品を挟んで対向する箇所において、シート体の上方の部位が、焼成食品の上面よりも外側まで延出している。シート体がこのように焼成食品の上方まで延出した余長部を有していることにより、焼成食品を焼成した後、その余長部を保持して、シート付き焼成食品を吊り下げた状態で、焼成食品を冷却することができる。焼成食品を網等に載置して冷却を行う場合には、腰折れ等の変形が発生しやすいが、吊り下げた状態で冷却を行うことで、冷却中に、腰折れ等の変形が起こりにくくなる。シート体を利用して焼成食品を吊り下げた状態は、店頭での陳列にも適している。また、シート体は、冷却後に、焼成食品の包装材としても利用することができる。
ここで、シート体が、焼成食品の側面に加え、下面にも付着しており、側面に付着した部位と下面に付着した部位が、一体に連続している場合には、シート付き焼成食品を吊り下げた状態でも、シート体が焼成食品に付着した状態が安定に維持されやすく、吊り下げた状態での焼成食品の冷却を、安定に進めることができる。また、シート体を焼成型に配置する際等に、シート体の取り扱い性が高くなる。
この場合に、焼成食品の側面が、相互に対して角度を有する複数の面を有しており、シート体は、多角形よりなる基部と、基部の辺のそれぞれから外側に延出した複数の延出部と、を有し、シート体が、基部にて、焼成食品の下面に付着し、複数の延出部のそれぞれにて、焼成食品の側面の複数の面のそれぞれに付着しており、複数の延出部の少なくとも一部の上方の部位が、焼成食品の上面よりも外側まで延出している形態によれば、簡素な形状のシート体を用いて、焼成食品の下面と側面にシート体が付着したシート付き焼成食品を構成することができる。この形態によると、特に、焼成食品が、食パン等、多面体形状を有している場合に、簡素な形状のシート体を用いて、下面と側面にシート体を付着させやすい。
あるいは、シート体が、焼成食品の側面を帯状に取り囲んで付着しており、焼成食品の側面に沿って複数の位置に、シート体の上端から焼成食品の側面の上端部に達する切り込みが形成されている場合にも、吊り下げた状態での焼成食品の冷却を、安定に進めることができる。焼成食品の側面に沿って複数の位置において、シート体に切り込みが形成されていることで、焼成時等に、シート体の余長部の取り扱い性を高めることができる。
シート体が、焼成食品に付着する面を疎水化処理した紙よりなる場合には、焼成食品の喫食時等に、焼成食品からシート体を、簡便に剥離することができる。また、剥離したシート体の表面に焼成食品が残存しにくい。
この場合に、シート体が、焼成食品に付着する面にシリコーン粒子を付着させた、グラシン紙よりなる形態によれば、グラシン紙の薄さとしなやかさ、および強度により、シート付き焼成食品を吊り下げて冷却する際の利便性が高くなる。また、グラシン紙の表面にシリコーン粒子が付着していることにより、生地の焼成を経てシート体を焼成食品に強力に付着させることができる一方で、喫食時等に、容易にシート体を焼成食品の表面から剥がすことができる。
焼成食品が、食パンである場合には、特に柔らかい食パンは、焼成後の冷却時に腰折れ等の変形を起こしやすいが、食パンにシート体を付着させ、シート体を利用して、吊り下げて冷却することで、冷却時の変形を効果的に抑制することができる。また、食パンは、長方形の下面から側面が立ち上がった形状を有していることにより、焼成時に、側面、また下面にシート体を緊密に付着させやすい。
上記考案にかかる焼成食品用シートは、焼成食品となる生地に接触または近接して配置した状態で、生地の焼成を行うことで、焼き上がった焼成食品の側面に付着されて、上記のシート付き焼結食品を構成するものとなる。製造されたシート付き焼成食品においては、焼成食品の上面よりも外側に延出したシート体よりなる余長部を利用して、吊り下げた状態で冷却することで、冷却中の変形を抑制することができる。焼成食品が焼き上がった状態で、シート体がすでに焼成食品に付着しているため、焼き上がり後、短時間で焼成食品を吊り下げ、変形が起こりにくい状態で冷却を開始することができる。
ここで、焼成食品用シートが、多角形よりなる基部と、基部の辺のそれぞれから外側に延出した複数の延出部と、を有し、複数の延出部のうち、基部の対向する辺から外側に延出した1対の延出部の延出長さが、他の延出部の延出長さよりも長くなっている場合には、焼成食品用シートの基部を、焼成食品の下面に付着させ、延出部のそれぞれを側面に付着させることで、簡素な形状の焼成食品用シートを用いて、焼成食品の下面および側面にシート体が付着したシート付き焼成食品を製造することができる。この際、焼成食品用シートに、他の延出部よりも延出長さが長くなった延出部を設けておくことで、シート付き焼成食品において、焼成食品の上面よりも外側までシート体が延出した余長部を有する構造を、簡便に形成することができる。他の延出部よりも延出長さの長い延出部の先端側の部位が、余長部となる。
焼成食品用シートが、平面状の展開形状を有する場合には、シート材の裁断等により、焼成食品用シートを、簡便に、また低コストで製造することができ、また、焼成食品用シートの取り扱い性も高くなる。一方、焼成型等に焼成食品用シートを設置する際に、展開形状を折り曲げる等して、立体的に設置することで、焼成食品の側面や下面に、立体的にシート体を付着させて、シート付き焼成食品を製造することができる。
上記考案にかかるシート付き焼成型は、上記考案にかかる焼成食品用シートを、焼成型の内表面に沿って配置したものである。焼成型において、焼成食品用シートに囲まれた領域に生地を配置し、焼成を行った後、焼成型から焼成食品を焼成食品用シートごと取り出すことで、焼成食品の側面にシート体が付着した、上記考案にかかるシート付き焼成食品を製造することができる。焼成型の側壁面のうち、相互に対向する箇所において、側壁面の上端よりも外側に延出して焼成食品用シートが配置されていることにより、得られるシート付き焼成食品が、シート体が上面よりも外側まで延出した余長部を有するものとなる。焼成型からシート付き焼成食品を取り出した後、そのまま余長部を保持具等で保持して、シート付き焼成食品を吊り下げることで、腰折れ等、焼成後すぐに始まる焼成食品の変形を、効果的に抑制することができる。
ここで、焼成型の側壁面の上方が開放されている場合には、焼成型の内表面に沿わせて食品用シートを配置する操作や、焼成型に生地を収容する操作、また焼成後のシート付き焼成食品を焼成型から取り出す操作を、簡便に行える。また、生地の焼成時に、焼成食品用シートの余長部を焼成型の外側に出しておくことで、余長部を、焼成食品に付着しない状態に維持しやすい。
以下に、本考案の実施形態にかかるシート付き焼成食品および焼成食品用シート、またシート付き焼成型について、詳細に説明する。本考案の実施形態にかかる焼成食品用シートを焼成型とともに用いて、本考案の実施形態にかかるシート付き焼成型を構成することができる。また、そのような本考案の実施形態にかかるシート付き焼成型を用いて、本考案の実施形態にかかるシート付き焼成食品を製造することができる。本考案の実施形態にかかるシート付き焼成食品は、焼成食品に、上記本考案の実施形態にかかる焼成食品用シートよりなるシート体が付着したものである。
焼成食品は、小麦粉や米粉等の穀粉を含む組成物よりなる生地を焼成してなるものであれば、特に種類を限定されるものではないが、以下では、焼成食品が、パン、特に食パンである場合を中心として、説明を行う。なお、本明細書において、長方形、直角等、部材の形状や配置を表す語には、幾何的に厳密な概念のみならず、焼成食品の分野において許容される範囲のずれを含むものとする。また、長方形には正方形も含み、直方体には立方体も含むものとする。
[焼成食品用シート]
まず、本考案の一実施形態にかかる焼成食品用シートついて説明する。図1に、本考案の一実施形態にかかる焼成食品用シートとしてのパンシート1を、平面図にて示す。
まず、本考案の一実施形態にかかる焼成食品用シートついて説明する。図1に、本考案の一実施形態にかかる焼成食品用シートとしてのパンシート1を、平面図にて示す。
パンシート1は、シート材よりなっている。シート材は、パンの表面の各部に沿わせるのに十分な可撓性と、パンの焼成時に変性が問題にならないだけの耐熱性を有するものであれば、具体的な構成材料を特に限定されるものではない。シート材の好適な構成材料としては、紙、およびアルミニウム箔等の金属箔を例示することができる。特に、紙を用いることが、コスト抑制および加工の容易性等の観点から好適である。
パンシート1を構成する紙としては、パンに接触させる方の面を疎水化処理したものを用いることが好適である。疎水化処理を行うことで、焼成を経てパンの表面に付着させたパンシート1を、パンの喫食時等に、容易に剥離させることができる。また、剥離したパンシート1にパンの組織が残りにくく、剥離後のパンの表面を平滑に維持しやすい。疎水化処理は、基材となる紙材の表面に、パラフィン系材料やシリコーン系材料等、疎水性材料を、塗布、分散等によって配置することで、行うことができる。特に、シリコーン等、疎水性物質よりなる粒子を紙材の表面に分散させておけば、粒子が存在しない位置では、パンシート1がパンによく付着する一方、粒子が存在する位置では、パンシート1がパンの表面から剥がれやすくなるので、後に説明する吊り下げ配置を十分に維持できるだけの付着強度の高さを、剥離の利便性と両立しやすくなる。パンシート1の基材となる紙材としては、可撓性の高さや取り扱いの利便性、意匠性等を考慮して、グラシン紙等の薄紙を用いることが好ましい。グラシン紙は、薄さおよびしなやかさと、強度とを兼ね備えている点で、好適である。グラシン紙の表面にシリコーン粒子を分散して付着させたものは、一般に入手可能となっている。
パンシート1は、平面状であり、図1に示すような展開形状を有している。つまり、パンシート1は、同一平面内に、連続した部位として、基部11と、延出部12,13とを有している。延出部12,13は、1対の第一延出部12と、1対の第二延出部13の2種よりなっている。基部11は、長方形となっており、相互に対向する第一辺(ここでは短辺)から、それぞれ外側に向かって、長方形の第一延出部12が延出している。また、基部11の相互に対向する第二辺(ここでは長辺)から、それぞれ外側に向かって、長方形の第二延出部13が延出している。パンシート1は、全体として、十字の形状を有している。この展開形状に対して、基部11と各延出部12,13の境界(図中細い実線で表示)を折り曲げて、各延出部12,13を基部11に対して立ち上げれば、上面が開放された直方体状の箱の形状となる。
基部11の各辺からの延出部12,13の延出長さ、つまり、基部11の辺に垂直な延出部12,13の辺の長さは、第一延出部12と第二延出部13で異なっている。具体的には、第一延出部12の延出長さL1が、第二延出部13の延出長さL2よりも長くなっている(L1>L2)。第一延出部12において、基部11側から、第二延出部13の延出長さL2と同じ長さにわたる領域を、基本長部12aと称し、その基本長部12aよりも先端側に延出している部位、すなわち第一延出部12と第二延出部13の延出長さの差(L3=L1−L2)に相当する領域を、余長部12bと称するものとする。基本長部12aと余長部12bは、一体に連続し、長方形の第一延出部12を構成している。余長部12aの延出長さL3は特に限定されないが、例えば、基本長部12aの延出長さL2の半分以上(L3≧L2/2)、さらには基本長部12aの延出長さL2以上(L3≧L2)とする形態を、好ましいものとして例示することができる。
基部11や各延出部12,13の寸法は、例えば、次に説明するシート付き焼成型2において、焼成型3の内表面の各部に沿わせられるように設定すればよい。つまり、基部11は、焼成型3の底面31と略同一の形状か、それよりも一回り小さい形状とすればよい。第二延出部13の延出長さL2は、焼成型3の底面31から立ち上がる側壁面32,33の高さと同程度とすればよい。一方、第一延出部12の延出長さL1は、焼成型3の底面31から立ち上がる側壁面32,33の高さよりも十分に長くしておく必要がある。
[シート付き焼成型]
次に、本考案の一実施形態にかかるシート付き焼成型について説明する。図2に、本考案の一実施形態にかかるシート付き焼成型2の概略を示す。図2(a)は斜視図、図2(b)は、焼成型3を長手方向に沿って切断した断面図である。図2(b)では、生地5’をともに示している。
次に、本考案の一実施形態にかかるシート付き焼成型について説明する。図2に、本考案の一実施形態にかかるシート付き焼成型2の概略を示す。図2(a)は斜視図、図2(b)は、焼成型3を長手方向に沿って切断した断面図である。図2(b)では、生地5’をともに示している。
本実施形態にかかるシート付き焼成型2は、焼成型3と、上記で説明した本考案の一実施形態にかかる食品用シートとしてのパンシート1を有している。焼成型3は、パン生地等、焼成食品の生地5’を収容して焼成可能な型部材であり、金属等、パンシート1より剛性が高く、焼成時に変性や変形が問題とならない耐熱性を有する材料よりなっている。焼成型3は、製造したい焼成食品の形状に対応する形状を有している。焼成型3としては、食パン用の焼成型(食型)等、従来一般にパン等の焼成に用いられている焼成型を、そのまま用いることができる。
焼成型3は、生地5’や焼成後のパン5、またパンシート1を出し入れしやすいように、側壁面32,33の上方が開放されていることが好ましい。本実施形態においては、焼成型3は、食パンを焼成するための焼成型として、長方形の底面31と、底面31の各辺から立ち上がった側壁面32,33とを有し、上方が開放された略直方体の形状を有している。ここでは、側壁面32,33のうち、底面31の対向する第一辺(ここでは短辺)から立ち上がった1対の側壁面を第一側壁面32とし、底面31の対向する第二辺(ここでは長辺)から立ち上がった1対の側壁面を第二側壁面33とする。
シート付き焼成型2を構成するパンシート1は、焼成型3の内表面に沿わせて配置できるように、各部の形状および寸法が設定されている。つまり、パンシート1は、焼成型3の底面31とほぼ同じ形に形成した基部11を有するとともに、延出部として、焼成型3の第二側壁面33とほぼ同じ型に形成した第二延出部13を有している。第一延出部12は、焼成型3の第一側壁面32とほぼ同じ形に形成した基本長部12aと、基本長部12aの先端側に延出した余長部12bとを、一体に有している。
このようなパンシート1を、疎水化処理を施した面を内側(焼成型3の内部空間に面する方向)に向けて配置する。この際、パンシート1の基部11と各延出部12,13の間の境界を内側に向けて折りながら、基部11の内表面の各部に、パンシート1の面を沿わせるようにする。つまり、焼成型3の底面31、第一側壁面32、第二側壁面33に、それぞれパンシート1の基部11、第一延出部12、第二延出部13を沿わせるようにして配置する。
そのようにパンシート1を焼成型3に配置すると、焼成型3の相互に対向する第二側壁面33の上端縁から外側には、ほぼ、パンシート1の第二延出部13は延出しない。一方、焼成型3の相互に対向する第一側壁面32の上端縁32aからは、外側に、パンシート1の第一延出部12が延出する。つまり、パンシート1の第一延出部12のうち、基本長部12aは、焼成型3の第一側壁面32の上端縁32aよりも下側の領域に収まるが、余長部12bは、焼成型3の第一側壁面32の上端縁32aよりも外側に延出した状態となる。図2では、分かりやすいように、焼成型3の第一側壁面32の上端縁32aよりも外側に延出した余長部12bを、上方に伸ばして表示しているが、実際には、パンシート1がグラシン紙等の薄くて柔らかいシート材よりなる場合には、余長部12bは、上方に立ち上がった状態を維持することはできず、第一側壁面32の上端縁32aを超えて、焼成型3の外側に垂下した状態となる。
[シート付き焼成食品]
次に、本考案の一実施形態にかかるシート付き焼成食品について説明する。図3,4に、本考案の一実施形態にかかるシート付き焼成食品としてのシート付きパン4の概略を示す。図3は側面図、図4は斜視図である。
次に、本考案の一実施形態にかかるシート付き焼成食品について説明する。図3,4に、本考案の一実施形態にかかるシート付き焼成食品としてのシート付きパン4の概略を示す。図3は側面図、図4は斜視図である。
シート付きパン4は焼成食品としてのパン5と、シート体として、上記で説明した本考案の一実施形態にかかる焼成食品用シート(パンシート)1を有して構成されている。ここでは、パン5は、相互に対向する上面50と下面51の間に、側面52,53を有している。本実施形態においては、パン5は、食パンとして形成されており、下面51が長方形となり、側面が4つの長方形の面52,53よりなる略直方体の形状を有している。図示した形態では、パン5は、山型食パンとして形成されており、上面50は、上方に膨出した形状を有している。
パンシート1は、パン5の表面に付着している。パンシート1が疎水化処理されている場合には、パン5に付着している側の面が、疎水化処理された面となっている。ここで、付着とは、パンシート1が、間に他の物質を介さずに、パン5の表面に密着し、外力を印加されない状態で、その密着を維持できる状態を指す。生地5’がパンシート1の表面に接触した状態で焼成を受けることで、焼成されたパン5の表面にパンシート1が付着した状態となる。微視的には、例えば、パンシート1の表面の微細な凹凸構造を抱き込んだ状態で、生地5’が焼成を受けることで、付着が形成される。
パンシート1は、基部11において、パン5の下面51に付着している。そして、4つの延出部12,13のそれぞれにおいて、パン5の4つの側面52,53のそれぞれに密着している。パン5の下面51の第一辺(ここでは短辺)から立ち上がった相互に対向する第一側面52に、パンシート1の第一延出部12が付着し、パン5の下面51の第二辺(ここでは長辺)から立ち上がった相互に対向する第二側面53に、パンシート1の第二延出部13が付着している。第一延出部12は、おおむね、基本長部12aにおいて、パン5の第一側面52に付着している。一方、おおむね余長部12bに相当する領域が、パン5の表面に付着せず、パン5の上面50よりも外側に延出している。つまり、パン5の側面52,53に付着したパンシート1は、パン5を挟んで対向する箇所において、上方の部位が、パン5の上面50よりも外側に延出した状態となっている。
図3,4では、分かりやすいように、第一延出部12をシート面に沿って上方に立てた状態で、余長部12bを上方に伸ばして表示しているが、実際には、パンシート1がグラシン紙等の薄くて柔らかい材料よりなる場合には、余長部12bが上方に立ち上がった状態を維持することはできず、パン5の第一側面52の外側に垂下した状態か、内側に倒れ、パン5の上面50を被覆した状態となる。余長部12bが、パン5の上面50よりも外側に延出していることは、図3,4のように余長部12bを上方に伸ばした状態で、その余長部12bが上面50よりも上方まで延びていることを意味する。図示した山型食パンのように上面50に凹凸形状が存在する場合には、余長部12aは、上方に向かって伸ばした状態で、少なくとも上面50凹凸形状の最も低い部位よりも上方まで延出していればよく、さらに、上面50の凹凸形状の最も高い位置よりも上方まで延出していることが好ましい。
[シート付き焼成食品の製造方法]
ここで、上記実施形態にかかるシート付き焼成食品としてのシート付きパン4の製造方法について説明する。
ここで、上記実施形態にかかるシート付き焼成食品としてのシート付きパン4の製造方法について説明する。
シート付きパン4を製造するに際し、最初に、パン5に付着するシート体となるパンシート1を準備する。シリコーン粒子を付着させたグラシン紙等、使用するシート材を裁断し、使用する焼成型3や製造すべきパン5の形状に対応さて、図1を参照して説明したように、所定の展開形状を有するパンシート1を製造すればよい。
次に、シート付き焼成型2を準備する。つまり、上記で説明したように、焼成型3の内表面に、パンシート1の各面を沿わせて、配置すればよい。パンシート1が疎水化処理されている場合には、疎水化処理した面を、焼成型3の内側に向けておく。パンシート1を焼成型3の中に配置すると、パンシート1の第一延出部12の余長部12bが、焼成型3の第一側壁面32の上端縁32aよりも外側に延出した状態となる。この延出した余長部12bは、焼成型3の内側に入れず、第一側壁面32の上端縁32を超えて外側に垂下させておく。
次に、シート付き焼成型2において、焼成型3の内壁面に沿って配置されたパンシート1によって囲まれた空間に、所定の配合で準備しておいた生地5’を収容する。生地5’は、焼成型3の底面31を被覆するパンシート1の基部11の上面に、載置される。パンシート1の延出部12,13の面には、必ずしも生地5’が接触していなくてもよいが、焼成中に生地5’が膨張する過程で、延出部12,13の面にも接触するように、生地5’の量や配置を設定しておけばよい。生地5’の具体的な形状や配置は、製造したいパン5の形状等に応じて決定すればよいが、複数に分割して配置する方が、パンシート1を焼成型3の内表面に沿わせて配置した状態を崩すことなく、生地5’の収容を行いやすい。図2(b)に表示した形態では、生地5’を4つの玉状に分割し、縦2列、横2列に配置して、上面50の山形状が4つに分割された食パンを製造する場合を想定している。
シート付き焼成型2に生地5’を収容した状態で、予熱したオーブン等に投入し、生地5’の焼成を行う。焼成中、生地5’が膨張し、パンシート1の面の各部に接触する。その状態で焼成が進行することで、パン5の下面51および側面52,53に、パンシート1が付着した状態で、パン5が焼き上がる。
焼成後、なるべく早期に、焼成型3から、パンシート1の付着したパン5、つまり本実施形態にかかるシート付きパン4を取り出す。シート付きパン4は、パン5の下面51と側面52,53の各部にパンシート1が付着した状態となっている。パン5の相互に対向する第一側面52の箇所においては、上面50よりも外側に、パン5に付着していない状態の余長部12bが延出している。
取り出したパン5は、なるべく早期に、つまり、高温のパン5が冷却される過程で、デンプン質の硬化や気泡の圧縮によるパン5の収縮や変形が問題となるよりも早い時間に、図5,6に表示した吊り下げ配置とされ、冷却を開示される。図5,6の吊り下げ配置を実現するために、吊り下げ設備6が用いられる。吊り下げ設備6は、略水平に渡した固定支持体60(図6にのみ表示)と、固定支持体60と垂直に交差する方向に、略水平に渡した1対の可動支持体61を有している。可動支持体61は、固定支持体60の軸に沿って移動可能となっている。さらに、それぞれの可動支持体61には、可動支持体61の軸に沿って移動可能に、複数の保持具62が取り付けられている。保持具62は、パンシート1を構成するシート材を挟みこんで保持することが可能なクリップ状の部材である。
図5,6の吊り下げ配置においては、シート付きパン4が、吊り下げ設備6によって、吊り下げられた状態となっている。具体的には、パン5を挟んで対向する箇所から延出したパンシート1の1対の余長部12bが、それぞれ保持具62で挟みこんで保持されている。固定支持体60の軸に沿った各移動支持体61の位置、および各可動支持体61の軸に沿った各保持具62の位置は、余長部12bの位置に合わせて、適宜調整される。
パン5を冷却するに際し、シート付きパン4は、保持具62以外の部材では、支持されない。つまり、シート付きパン4の下面を、網等に載置して下方から支持することや、シート付きパン4の側面に、他の物体を当接させるようなことは、行わない。従って、パンシート1の余長部12bを挟みこんだ保持具62のみで、シート付きパン4が保持され、重力に従って吊り下げられた状態となる。シート付きパン4においては、生地5’の焼成を経て、パンシート1がパン5の側面52,53および下面51に付着しているため、パン5がパンシート1によって支持された状態で、一体のシート付きパン4として、吊り下げられた状態となる。
吊り下げ配置をとったまま、パン5が冷却される。冷却は、自然放冷によって行っても、送風等によって冷却を促進してもよい。パン5は、十分に冷却されるまで、つまり、パン5を下面51にて網や台に載置しても、問題となる程度の収縮や変形が起こらなくなる程度まで、吊り下げ配置を維持したまま、冷却される。冷却が完了すると、保持具62による余長部12bの保持を解消し、シート付きパン4を吊り下げ設備6から取り外す。製造されたシート付きパン4は、適宜、包装等を行って、販売等に供することができる。包装に先立ち、パンシート1をパン5から剥離しておいてもよいが、パンシート1をパン5に付着させたシート付きパン4のまま、販売に供し、購入者が、喫食する前に自らパンシート1を剥離することが好ましい。この場合には、販売時に、パンシート1の余長部12bを、パン5の上面50に被せることで、パンシート1を包装材としても利用することができる。そのようにパン5の表面を、パン5に付着したパンシート1で包み込んだ状態で、シート付きパン4を、適宜、袋や箱に収容して、販売すればよい。
以上のように、パン5の表面にパンシート1を付着させ、しかも、パン5を挟んで対向する箇所に、パン5の上面50よりも外側にパンシート1が延出した余長部12bを設けておくことで、余長部12bを利用して、パン5を吊り下げた状態で冷却することができる。従来一般には、パンの冷却は、パンを金網等に載置し、下面からパンを支持した状態で行っていた。この場合には、冷却中に、デンプン質の硬化や気泡の圧縮によって、パンが収縮し、腰折れ等の変形が起こることが多い。しかし、本考案の実施形態にかかるシート付きパン4のように、パン5の側面52,53にパンシート1を付着させ、パン5の上面50よりも外側に延出したパンシート1の余長部12bを保持して、吊り下げた状態で冷却を行うことで、冷却中にパン5の各部の組織に印加される自重が、大幅に軽減される。また、パンシート1の第一延出部12は、吊り下げ配置において、重力によって上下方向に張力が印加され、上下方向にまっすぐに立った状態を保つため、その第一延出部12に付着したパン5の第一側面52も、上下方向にまっすぐになった状態を保ちやすく、陥没等の変形を起こしにくくなる。それらの結果、冷却中のパン5において、腰折れ等の変形が起こりにくくなる。冷却中の変形を抑えることで、パン5の商品価値を高めることができる。
近年、水分や油脂、砂糖を多く含有することや、気泡を高密度で含むことで、柔らかい食感を有するパンが好まれている。柔らかいパンほど、冷却中に変形が起こりやすいが、上記のように、シート付きパン4として、吊り下げて冷却を行うことで、柔らかいパンでも、冷却中の変形を効果的に抑制することができる。また、本実施形態にかかるシート付きパン4の製造工程においては、シート付き焼成型2に生地5’を収容してパン5の焼成を行うので、生地5’が直接焼成型3に接触しない。そのため、パン5の表面に、硬く厚い、また色の濃いクラストが形成されにくくなる。そのことも、パン5の柔らかい食感を高めるのに寄与する。また、柔らかいパンは、スライスするのではなく、手でちぎって喫食することが想定されている場合が多い。上記のように、シート付き焼成型2に生地5’を配置する際に、4分割等、複数の玉状に生地5’を分割して配置することで、パンシート1を焼成型3の内表面に沿わせて配置した状態を崩すことなく、生地5’を収容しやすいが、そのように生地5’を複数の玉状に分割して焼成を行うと、製造されるパン5において、上面50の膨出形状が複数に分割され、手でちぎって喫食するのに適したものとなりやすい。
シート付きパン4を吊り下げ設備6にて吊り下げた状態は、パン5の冷却に加え、店頭等におけるパン5の陳列にも利用することができる。例えば、パンを製造・販売する店舗の店頭で、来店客に見やすい場所に吊り下げ設備6を設置し、来店客に見える状態でシート付きパン4を吊り下げて冷却を行うことで、冷却と同時に、来店客に対する陳列を行い、来店客の購買意欲を喚起することができる。また、上記のように、パンシート1は、冷却後のシート付きパン4において、パン5の上面50を被覆する等して、包装材としても利用することができる。このように、グラシン紙等の薄紙でパン5を個包装することで、高級感を演出することができる。上記のように、シート付きパン4を吊り下げて冷却することによるパン5の変形の抑制は、柔らかいパンに対してとりわけ効果を有するが、柔らかいパンは、比較的高価格で販売されることが多く、パンシート1を包装材として使用することで、一層の高級感を訴求することができる。
[その他の形態]
上記で説明した実施形態では、焼成食品5が食パンである場合について説明を行った。その理由の1つとして、食パンは、その柔らかさや形状から、冷却時の変形が問題になりやすく、シート付きパン4として吊り下げて冷却を行うことによる変形抑制の効果が大きいからである。また、別の理由として、食パンは、長方形の下面51から側面52,53が立ち上がった形状を有しており、図1のように、単純な展開形状を有するパンシート1を用いて、各側面52,53および下面51にパンシート1が付着したシート付きパン4を製造しやすいからである。しかし、焼成食品5は、食パン以外のパンであってもよく、さらに、パン以外の焼成食品であってもよい。パン以外の焼成食品としては、焼き菓子やケーキ、パイ等を例示することができる。中でも、カステラやケーキ用スポンジ、シフォンケーキ等、柔らかく、多孔質の焼成食品を、好適な対象とすることができる。
上記で説明した実施形態では、焼成食品5が食パンである場合について説明を行った。その理由の1つとして、食パンは、その柔らかさや形状から、冷却時の変形が問題になりやすく、シート付きパン4として吊り下げて冷却を行うことによる変形抑制の効果が大きいからである。また、別の理由として、食パンは、長方形の下面51から側面52,53が立ち上がった形状を有しており、図1のように、単純な展開形状を有するパンシート1を用いて、各側面52,53および下面51にパンシート1が付着したシート付きパン4を製造しやすいからである。しかし、焼成食品5は、食パン以外のパンであってもよく、さらに、パン以外の焼成食品であってもよい。パン以外の焼成食品としては、焼き菓子やケーキ、パイ等を例示することができる。中でも、カステラやケーキ用スポンジ、シフォンケーキ等、柔らかく、多孔質の焼成食品を、好適な対象とすることができる。
また、上記で説明した形態では、直方体状のパン5の下面51および側面52,53の全域にパンシート1を付着させているが、焼成食品5に焼成食品用シート1を付着させる箇所は、そのような形態に限定されない。上面50と下面51の間に側面を有する焼成食品5に対して、側面の少なくとも一部に焼成食品用シート1を付着させ、そのうち、少なくとも焼成食品5を挟んで対向する箇所に、焼成食品用シート1が焼成食品5の上面50よりも上方まで延出した余長部12bを設けておくことで、余長部12bを保持してシート付き焼成食品4を吊り下げた状態で、冷却を行うことができる。生地5’を焼成して焼成食品5を製造する際に、生地5’のうち、焼成後に焼成食品5の側面となる部位に接触または近接させて、焼成食品用シート1を配置しておくことで、焼成後の焼成食品5の側面に、焼成食品用シート1よりなるシート体を付着させることができる。焼成型3を用いる場合、側壁面を含む焼成型3の内表面に沿わせるようにして焼成食品用シート1を配置し、焼成食品用シート1に囲まれた焼成型3の内部空間に生地5’を配置して焼成を行うことで、焼成時の生地5’の膨張に伴って、焼成食品用シート1を焼成食品5の側面に付着させることができる。
シート付き焼成食品4においては、焼成食品5の側面の少なくとも一部の領域に焼成食品用シート1を付着させておけばよく、側面のうち一部に、焼成食品用シート1が付着していない領域が存在してもよい。例えば、図1のパンシート1の展開形状において、第二延出部13を設けず、1対の第一延出部12が基部11を介して連続した形状としておき、パン5の下面51と1対の第一側面52にのみ、パンシート1が付着した形態とすることができる。この場合も、第一側面52に付着する第一延出部12に、余長部12bを設けておけばよい。ただし、上記で説明した形態のように、余長部12bを設ける領域(第一側面52)のみならず、焼成食品5の側面のほぼ全域に焼成食品用シート1を付着させておくことで、付着面積の大きさにより、焼成食品用シート1が焼成食品5に付着した状態を確実に保持しやすくなり、シート付き焼成食品4を吊り下げた状態を安定に維持することができる。
また、焼成食品5の側面に付着させた焼成食品用シート1のうち、少なくとも焼成食品5を挟んで対向する箇所に、焼成食品5の上面50より外側まで延出した余長部12bが設けられていれば、余長部12bが設けられる具体的な領域は特に限定されるものではない。上記のシート付きパン4においては、対向する第一側面52の幅方向全域に対応する箇所に余長部12bを設けているが、例えば、対向する第一側面52の幅方向一部の領域にのみ余長部12bを設けてもよい。逆に、焼成食品5の側面の全域等、さらに広い領域に余長部12bを設けてもよい。上記のシート付きパン4の場合、パン5の第一側面52のみならず、第二側面53の箇所にも、余長部12bを設ける形態が考えられる。ただし、焼成食品用シート1としてのシート材の使用力を極力低減する観点からは、パン5の第一側面52の箇所等、必要な箇所にのみ余長部12bを設け、第二側面53等、それ例外の箇所には、余長部12bを設けないようにすればよい。その場合には、焼成食品用シート1が、焼成食品5の側面の一部の箇所において、他の箇所よりも、焼成食品5の上方に延出した状態となる。
また、焼成食品5の側面にのみ焼成食品用シート1を付着させておけば、側面の相互に対向する箇所に設けた余長部12bを利用して、シート付き焼成食品4を吊り下げて保持することができるので、必ずしも焼成食品5の下面51には、焼成食品用シート1を付着させなくてもよい。焼成食品5の側面のみに焼成食品用シート1を付着させる形態の一例として、帯状の焼成食品用シート1を、焼成食品5の側面に巻き付けるように配置する形態が考えられる。しかし、上記で説明したシート付きパン4のように、焼成食品5の側面に加えて、下面51にも焼成食品用シート1を付着させ、かつ、側面に付着した部位(第一延出部12および第二延出部13)と下面51に付着した部位(基部11)で、焼成食品用シート1を一体に連続させておくことにより、焼成食品5が、側面(第一側面52および第二側面53)のみならず、下面51からも焼成食品用シート1に支持されるようになり、シート付き焼成食品4を吊り下げた状態の安定性が、一層高まる。
焼成食品用シート1において、焼成食品5の側面に付着させる部位と下面51に付着させる部位を一体に連続させておくことは、焼成食品用シート1を焼成型3に配置する際等に、焼成食品用シート1の取り扱い性を向上させることにも効果を有する。例えば、上記形態のような長方形に限らず、多角形の底面31を有する焼成型3を用いて、相互に対して角度を有する複数の面を側面に有する多面体形状の焼成食品5を製造する場合に、焼成食品用シート1として、多角形に形成した基部11と、基部11の辺のそれぞれから外側に延出した延出部を有するものを用いればよい。この際、上記の第一延出部12のように、基部11の相互に対向する辺から延出した1対の延出部の延出長さが、他の延出部(上記の第二延出部13)の延出長さよりも長くなるように、さらには、焼成型3の底面からの側壁面の高さよりも長くなるように、形成しておけばよい。そのような焼成食品用シート1を焼成型3に配置し、焼成型3の側壁面のうち、相互に対向する箇所において、側壁面の上端よりも外側に、焼成食品用シート1の余長部12bが延出するように、焼成食品用シート1の形状の設計および焼成型3への配置を行えばよい。これにより、多面体形状の焼成食品5の下面51と、側面を構成するそれぞれの面に、焼成食品用シート1の基部11および延出部がそれぞれ付着し、さらに少なくとも一部の延出部(上記の第一延出部12)に形成された余長部12bが焼成食品5の上面50よりも外側に延出した、シート付き焼成食品4を製造することができる。なお、焼成型3の底面31が円形である場合等、焼成型3の内表面に沿わせて配置する焼成食品用シート1において、底面31に沿わせる部位と側壁面に沿わせる部位を一体に連続して形成することが難しい場合等には、シート付き焼成食品4の吊り下げ状態の安定性や焼成食品用シート1の取り扱い性を高める効果には劣るが、焼成型3の底面31に沿わせる部位と側壁面に沿わせる部位を、独立したシートとして形成してもよい。
焼成食品用シート1を、焼成食品5の下面51に付着させず、側面のみに付着させる場合には、シート付き焼成食品4を吊り下げた状態の安定性を確保するために、焼成食品5の側面のなるべく広い範囲、好ましくは全周に、帯状に成形した焼成食品用シート1を巻き付けるように付着させることが好ましい。焼成食品5の側面に帯状に焼成食品用シート1を巻き付ける場合には、焼成食品5の側面に巻き付けて付着させた焼成食品用シート1の全域を、焼成食品5の上面50よりも外側に延出させ、余長部12bを設けておくとよい。また、焼成食品用シート1を焼成型3の中に配置してシート付き焼成型2とした際に、余長部12bを焼成型3の外側に垂下させやすいように、焼成食品用シート1の上部に、焼成型3の深さ方向に沿って切り込みを設けて、余長部12bを複数に分割しておくことが好ましい。図2に示したような直方体型の焼成型3を用いる場合、焼成型3の長方形の開口の角に相当する4箇所に、焼成食品用シート1の上端から、焼成型3の側壁面32,33の上端縁に達する位置まで、切り込みを形成しておけばよい。そして、焼成型3の4つの側壁面32,33の上端縁から外側に、それぞれ、焼成食品用シート1の余長部12bを垂下させればよい。このようなシート付き焼成型2を用いてシート付き焼成食品4を製造すると、焼成食品5の側面を帯状に取り囲んで、焼成食品用シート1が付着した状態となる。そして、焼成食品用シート1においては、全域に余長部12bが設けられ、焼成食品5の側面に沿った複数の位置、直方体状の焼成食品5の場合は4つの角部に相当する位置に、焼成食品用シート1の上端から焼成食品5の側面の上端部の位置に達する切り込みが形成されたものとなる。
上記で詳細に説明した形態では、山型食パンを製造するために、焼成型3として、側壁面32,33の上方が開放されたものを用いている。焼成型3の上方が開口していることにより、焼成型3への焼成食品用シート1の配置や生地5’の投入、焼き上がったシート付き焼成食品4の取り出し等の操作において、利便性が高くなる。またシート付き金型2において、焼成食品用シート1の余長部12bを焼成型3の外側に垂下させておくことで、余長部12bを生地5’や焼成食品5に付着しないように維持しやすい。しかし、角型(プルマン型)食パンを製造するための焼成型等、上方を閉塞する蓋部材を有する焼成型を用いることも可能である。その場合には、蓋部材の内表面にも焼成食品用シート1を配置してもよい。あるいは、側壁面32,33の箇所から延出した余長部12bを、焼成型3の内側に折り込み、生地5’と蓋部材の間に余長部12bのシート面が介在される形態としてもよい。ただし、その場合には、余長部12bが焼成後のパン5の上面50に付着しないようにするか、付着してもすぐ剥がせるようにしておく必要がある。
焼成食品用シート1は、上記で説明したパンシート1のように、平面状の展開形状とすることにより、簡便に、また低コストで製造することができ、取り扱い性も高くなる。しかし、あらかじめ、箱型や袋型、トレー型等、立体形状に焼成食品用シート1を成形しておき、焼成型3に配置してもよい。また、上記では、焼成食品用シート1を構成するシート材として、紙や金属を挙げたが、シート材は、面全体が連続体よりなるものでなくてもよく、面内に穴や空隙等の不連続部を有するものであってもよい。例えば、ネット状のシート材を利用することもできる。
以上、本考案の実施形態について説明した。本考案は、上記実施形態に特に限定されることなく、種々の改変を行うことが可能である。
1 パンシート(焼成食品用シート、シート体)
11 基部
12 第一延出部
12a 基本長部
12b 余長部
13 第二延出部
2 シート付き焼成型
3 焼成型
31 底面
32 第一側壁面
32a 第一側壁面の上端縁
33 第二側壁面
4 シート付きパン(シート付き焼成食品)
5 パン(焼成食品)
5’ 生地
50 上面
51 下面
52 第一側面
53 第二側面
6 吊り下げ設備
60 固定支持体
61 可動支持体
62 保持具
11 基部
12 第一延出部
12a 基本長部
12b 余長部
13 第二延出部
2 シート付き焼成型
3 焼成型
31 底面
32 第一側壁面
32a 第一側壁面の上端縁
33 第二側壁面
4 シート付きパン(シート付き焼成食品)
5 パン(焼成食品)
5’ 生地
50 上面
51 下面
52 第一側面
53 第二側面
6 吊り下げ設備
60 固定支持体
61 可動支持体
62 保持具
ここで、前記焼成食品用シートは、相互に対向する辺を有する多角形よりなる基部と、前記基部の辺のそれぞれから外側に延出した複数の延出部と、を有し、前記複数の延出部のうち、前記基部の前記相互に対向する辺から外側に延出した1対の延出部の延出長さが、他の延出部の延出長さよりも長くなっているとよい。
ここで、焼成食品用シートが、相互に対向する辺を有する多角形よりなる基部と、基部の辺のそれぞれから外側に延出した複数の延出部と、を有し、複数の延出部のうち、基部の相互に対向する辺から外側に延出した1対の延出部の延出長さが、他の延出部の延出長さよりも長くなっている場合には、焼成食品用シートの基部を、焼成食品の下面に付着させ、延出部のそれぞれを側面に付着させることで、簡素な形状の焼成食品用シートを用いて、焼成食品の下面および側面にシート体が付着したシート付き焼成食品を製造することができる。この際、焼成食品用シートに、他の延出部よりも延出長さが長くなった延出部を設けておくことで、シート付き焼成食品において、焼成食品の上面よりも外側までシート体が延出した余長部を有する構造を、簡便に形成することができる。他の延出部よりも延出長さの長い延出部の先端側の部位が、余長部となる。
焼成食品用シート1において、焼成食品5の側面に付着させる部位と下面51に付着させる部位を一体に連続させておくことは、焼成食品用シート1を焼成型3に配置する際等に、焼成食品用シート1の取り扱い性を向上させることにも効果を有する。例えば、上記形態のような長方形に限らず、多角形の底面31を有する焼成型3を用いて、相互に対して角度を有する複数の面を側面に有する多面体形状の焼成食品5を製造する場合に、焼成食品用シート1として、相互に対向する辺を有する多角形に形成した基部11と、基部11の辺のそれぞれから外側に延出した延出部を有するものを用いればよい。この際、上記の第一延出部12のように、基部11の相互に対向する辺から延出した1対の延出部の延出長さが、他の延出部(上記の第二延出部13)の延出長さよりも長くなるように、さらには、焼成型3の底面からの側壁面の高さよりも長くなるように、形成しておけばよい。そのような焼成食品用シート1を焼成型3に配置し、焼成型3の側壁面のうち、相互に対向する箇所において、側壁面の上端よりも外側に、焼成食品用シート1の余長部12bが延出するように、焼成食品用シート1の形状の設計および焼成型3への配置を行えばよい。これにより、多面体形状の焼成食品5の下面51と、側面を構成するそれぞれの面に、焼成食品用シート1の基部11および延出部がそれぞれ付着し、さらに少なくとも一部の延出部(上記の第一延出部12)に形成された余長部12bが焼成食品5の上面50よりも外側に延出した、シート付き焼成食品4を製造することができる。なお、焼成型3の底面31が円形である場合等、焼成型3の内表面に沿わせて配置する焼成食品用シート1において、底面31に沿わせる部位と側壁面に沿わせる部位を一体に連続して形成することが難しい場合等には、シート付き焼成食品4の吊り下げ状態の安定性や焼成食品用シート1の取り扱い性を高める効果には劣るが、焼成型3の底面31に沿わせる部位と側壁面に沿わせる部位を、独立したシートとして形成してもよい。
Claims (12)
- 上面と下面の間に側面を有する焼成食品と、
前記焼成食品の側面の少なくとも一部に付着したシート体と、を有し、
前記シート体は、少なくとも前記焼成食品を挟んで対向する箇所において、上方の部位が、前記焼成食品の上面よりも外側まで延出していることを特徴とするシート付き焼成食品。 - 前記シート体は、前記焼成食品の前記側面に加え、前記下面にも付着しており、前記側面に付着した部位と前記下面に付着した部位が、一体に連続していることを特徴とする請求項1に記載のシート付き焼成食品。
- 前記焼成食品の側面は、相互に対して角度を有する複数の面を有しており、
前記シート体は、多角形よりなる基部と、前記基部の辺のそれぞれから外側に延出した複数の延出部と、を有し、
前記シート体は、前記基部にて、前記焼成食品の前記下面に付着し、前記複数の延出部のそれぞれにて、前記焼成食品の前記側面の前記複数の面のそれぞれに付着しており、前記複数の延出部の少なくとも一部の上方の部位が、前記焼成食品の上面よりも外側まで延出していることを特徴とする請求項2に記載のシート付き焼成食品。 - 前記シート体は、前記焼成食品の前記側面を帯状に取り囲んで付着しており、
前記焼成食品の前記側面に沿って複数の位置に、前記シート体の上端から前記焼成食品の前記側面の上端部に達する切り込みが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシート付き焼成食品。 - 前記シート体は、前記焼成食品に付着する面を疎水化処理した紙よりなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の焼成食品。
- 前記シート体は、前記焼成食品に付着する面にシリコーン粒子を付着させた、グラシン紙よりなることを特徴とする請求項5に記載のシート付き焼成食品。
- 前記焼成食品は、食パンであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のシート付き焼成食品。
- 生地を焼成して、上面と下面の間に側面を有する焼成食品を製造する際に、前記生地に接触または近接して配置されることで、前記焼成食品の前記側面に付着して前記シート体となり、請求項1から7のいずれか1項に記載のシート付き焼成食品を構成することを特徴とする焼成食品用シート。
- 前記焼成食品用シートは、多角形よりなる基部と、前記基部の辺のそれぞれから外側に延出した複数の延出部と、を有し、前記複数の延出部のうち、前記基部の対向する辺から外側に延出した1対の延出部の延出長さが、他の延出部の延出長さよりも長くなっていることを特徴とする請求項8に記載の焼成食品用シート。
- 平面状の展開形状を有することを特徴とする請求項8または9に記載の焼成食品用シート。
- 焼成食品の生地を収容して焼成可能な焼成型と、
請求項8から10のいずれか1項に記載の焼成食品用シートと、を有し、
前記焼成食品用シートは、前記焼成型の内表面に沿って配置されており、前記焼成食品用シートは、前記焼成型の側壁面のうち、相互に対向する箇所において、前記側壁面の上端よりも外側に延出していることを特徴とするシート付き焼成型。 - 前記焼成型は、前記側壁面の上方が開放されていることを特徴とする請求項11に記載のシート付き焼成型。
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Family Applications (1)
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JP2019000972U Active JP3221982U (ja) | 2019-03-19 | 2019-03-19 | シート付き焼成食品、焼成食品用シート、シート付き焼成型 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3221982U (ja) |
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2019
- 2019-03-19 JP JP2019000972U patent/JP3221982U/ja active Active
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