JP3221263B2 - 応力腐食割れの補修装置 - Google Patents

応力腐食割れの補修装置

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JP3221263B2
JP3221263B2 JP32663794A JP32663794A JP3221263B2 JP 3221263 B2 JP3221263 B2 JP 3221263B2 JP 32663794 A JP32663794 A JP 32663794A JP 32663794 A JP32663794 A JP 32663794A JP 3221263 B2 JP3221263 B2 JP 3221263B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属の応力腐食割れの補
修に好適な装置に利用される。
【0002】
【従来の技術】電着により耐食性金属メッキを金属に施
すことにより、その金属の耐食性を向上することは、特
開平3−223488 号公報,特開昭59−28576 号公報等によ
り公知である。
【0003】しかし、それら公知の技術は、一端応力腐
食割れを発生してしまったものに対する割れた後の対策
を示していない。
【0004】従来は、一端応力腐食割れを発生して、割
れが発生してしまったものに対する対策として、原子炉
の炉内構造物を補修対象物とした例が、例えば、原子炉
炉内構造物としてのシュラウドに応力腐食割れが発生し
た場合、その割れの先端にストップホールを放電加工等
で開けて割れの進展を一時的に抑制したり、或いは、割
れの発生した周辺を囲むように当て板を取り付けて強度
補強を行う考えが存在する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来考えられて
いた割れた後の対策技術は、割れの先端にストップホー
ルを放電加工等で開けているため、割れ先端の応力拡大
係数が低くなるので、割れの進展を一時的に抑制するこ
とは可能であるが、いずれはストップホールから割れは
発生,進展する可能性が高いため、ストップホール加工
は補修方法としては十分なものとは言えない。
【0006】また、割れの発生した周辺を囲むように当
て板を取り付けて強度補強したとしても割れは徐々に進
展するため、いずれは再度長い当て板を取り付けること
が必要となる。従って、炉内構造物に発生した応力腐食
割れの進展、更には、その周辺での新たな発生を抑制す
る工法の開発が必要となってくる。
【0007】本発明の目的は、金属の応力腐食割れの進
展、或いは、新たな発生を防止できる装置を提供するこ
とにある。
【0008】
【0009】
【0010】
【課題を解決するための手段】 本発明の応力腐食割れの
補修装置 は、電解研摩用電極とクロムメッキ用電極を備
えた電解研摩とメッキに兼用の電解研摩メッキ槽と、前
記各電極に電力を供給する電源と、前記電解研摩メッキ
槽を水中の補修対象物に固定する吸盤と、前記吸盤に接
続された真空ポンプと、前記吸盤の付いた脚を伸縮する
ソレノイドと、電解研摩液を貯留する電解研摩液タンク
と、前記電解研摩液タンクの研摩液を前記電解研摩メッ
キ槽に循環する電解研摩液循環ポンプと、メッキ液を貯
留するメッキ液タンクと、前記メッキ液タンクのメッキ
液を前記電解研摩メッキ槽に循環するメッキ液循環ポン
プと、前記電解研摩メッキ槽に接続された吸い上げポン
プとを備える
【0011】
【0012】
【0013】
【作用】 本発明 によれば、電解研摩メッキ槽を水中の補
修対象物に固定後、吸い上げポンプにより電解研摩メッ
キ槽内の水を排水し、次に、電解研摩液を電解研摩液循
環ポンプにより電解研摩メッキ槽に循環させながら電解
研摩を行い、電解研摩終了後、電解研摩メッキ槽内の電
解研摩液を排液し、次いで、メッキ液をメッキ液循環ポ
ンプにより電解研摩メッキ槽内に循環させて電解メッキ
を行い、メッキ終了後、電解研摩メッキ槽内のメッキ液
を排液して水中の金属構造物の割れに対して、その割れ
た内部に堆積した腐食生成物や酸化物等を電解研摩によ
り除去してその割れ内部を清浄化し、その割れの内部内
面を耐食性金属でメッキして被覆することによって、
の割れからの応力腐食割れの進展や発生を防止する作用
が得られる。
【0014】
【実施例】図1に本発明の一実施例を示したが、原子力
発電所の原子炉圧力容器1の内部にある炉内構造物にお
いては、溶接熱影響部に応力腐食割れによりき裂が発生
することがある。
【0015】例えば、シュラウド2では米国、他の海外
プラントで数例の事例がある。
【0016】このような、応力腐食割れが発生した場
合、割れがある程度深い場合には、構造物としての健全
性を確保するために何らかの対策を施す必要がある。
【0017】その1つとして、割れの周辺に当て板を取
り付ける方法が提案されている。
【0018】これは炉内構造物では中性子照射のために
溶接性が低下しており、割れの周辺を機械的に、或い
は、放電加工により電気的に除去し、そこに無欠陥の板
を溶接によって取り付けることが困難なためである。
【0019】しかし、当て板はシュラウドにボルトで止
めたり、ピンをシュラウドに圧入したりして固定される
が、強度的には元の状態よりはかなり弱くなる。
【0020】また、割れは残したままであるので、割れ
は、その後のプラントの運転に従って徐々に進展する。
【0021】そのため、割れがある程度進展すると、再
び、当て板を取り付けることが必要となる。
【0022】別の方法として、割れの先端付近にストッ
プホールを放電加工等で開けるものがある。
【0023】このストップホールによって、割れ先端の
応力拡大係数を低くして、割れの進展を防止しようとす
るものである。
【0024】しかし、応力腐食割れの進展は、一時的に
抑制することは可能であるが、ストップホールの表面は
放電加工により鋭敏化が厳しくなっている部分ができる
可能性は否定できず、そこから改めて応力腐食割れが発
生することが考えられる。
【0025】また、機械的にストップホールを加工した
場合には、加工の影響により加工層から容易に応力腐食
割れが発生する可能性がある。
【0026】更に、ストップホールの内側を、実際には
加工が困難であるが、例えば、バフ研摩により鏡面に仕
上げることによって、応力腐食割れの発生を延期するこ
とができたとしても、シュラウドの表面から再び応力腐
食割れが発生して進展することが十分に予想される。
【0027】従って、ストップホール加工だけではいず
れは応力腐食割れが発生,進展するため、補修方法とし
ては十分なものとは言えない。
【0028】そこで、発生した応力腐食割れの進展だけ
でなく、その周辺での新たな応力腐食割れの発生を防止
するシュラウドの補修方法及び装置を考案した。
【0029】その方法とは、応力腐食割れの内面、及
び、応力腐食割れの発生した溶接部周辺、或いは、応力
腐食割れは発生していないが、発生する可能性の高い溶
接部の周辺に耐食性の高いクロムを全面的にメッキする
ことにより、応力腐食割れの進展を防止すると共に、溶
接部周辺での新たな応力腐食割れの発生を防止しようと
するものである。
【0030】但し、単純にクロムメッキを施しても、ク
ロムメッキの密着性が悪いため、メッキの前処理とし
て、電解研摩により応力腐食割れ面、及び、周辺の溶接
熱影響部をきれいに仕上げておくのが効果的である。
【0031】図1に発明の一実施例として、クロムメッ
キを圧力容器内部で実施する場合の全体の配置を、図2
に装置のシステム系統図を示す。
【0032】シュラウド2の内面には、電解研摩とクロ
ムメッキを両方行える電解研摩用とクロムメッキ用の電
極を内蔵した電解研摩メッキ槽3を後述する方法により
固定し、この電解研摩メッキ槽3には電解研摩液または
メッキ液を供給する供給配管31と、回収する戻り配管
32が接続されている。
【0033】これらの配管は網入りホースなどの柔らか
いものが望ましい。
【0034】図9に示したように、粒界型応力腐食割れ
が生じると、割れ部には比較的大きなギャップが生じ、
割れ内部には腐食生成物や酸化物が堆積することがあ
る。
【0035】これらが存在すると、後のクロムメッキが
きれいに密着しない恐れがある。
【0036】そこで、それらを電解研摩により除去す
る。
【0037】電解研摩液タンク4には、シュラウドの材
料であるステンレス鋼の研摩に最適なリン酸−硫酸−ク
ロム酸(H3PO4(85%以上)600ml,H2SO
4(95%以上)300ml,CrO3(無水クロム酸)5
0g,H2O100mlの割合)溶液を充填する。
【0038】タンクの中にはヒータ電源6に接続された
シースヒータを設け、電解研摩時の研摩液の温度を約3
0℃に保持する。
【0039】電解研摩液タンク4から供給配管31への
配管の途中には電磁力により開閉可能な電磁バルブ7を
設けて開閉がコンピュータ付きの制御装置25により制
御可能である。
【0040】電解研摩液タンク4から流れ出た電解研摩
液は供給配管31を通って上側から電解研摩メッキ槽3
に流入する。
【0041】戻り配管32は電解研摩メッキ槽3の下側
に設けられており、電解研摩メッキ槽3から流出した電
解研摩液は戻り配管32を通って、電解研摩液循環ポン
プ5に吸い上げられて、電解研摩液タンク4に戻る。
【0042】電解研摩するときの電圧としては2.5V
前後が良い。
【0043】一方、クロムメッキを施すときには、メッ
キ液タンク8には、メッキ液(無水クロム酸200〜2
50g/l,硫酸2〜2.8g/l の割合の溶液、また
は、クロム酸−硫酸−フッ酸の混合液)を充填する。
【0044】タンクの中にはヒータ電源10に接続され
たシースヒータを設け、クロムメッキ時のメッキ液の温
度を約60℃に保持する。
【0045】メッキ液タンク8から供給配管31への配
管の途中には電磁力により開閉可能な電磁バルブ11を
設けて開閉を制御装置25により制御する。
【0046】メッキ液タンク8から流れ出た電解研摩液
は供給配管31を通って上側から電解研摩メッキ槽3に
流入し、電解研摩メッキ槽3から流出したメッキ液は戻
り配管32を通って、メッキ液循環ポンプ9に吸い上げ
られて、メッキ液タンク8に戻る。
【0047】前述したように、メッキ時のメッキ液の温
度を約60℃と比較的高く、また電流密度も約50A/
dm2 と高く設定する。
【0048】これはその方が柔らかいメッキ層が速く形
成できるためである。
【0049】図3に電解研摩メッキ槽3の周りの詳細図
を示す。
【0050】電解研摩メッキ槽3の本体は直方体容器の
一面を取り除いたような形をしており、シュラウド2の
側面に押し付けられたときに、電解研摩液、或いは、メ
ッキ液が漏洩しないようにOリング35を周辺に設けて
ある。
【0051】電解研摩メッキ槽3の4隅には真空パッド
または吸盤34を先端に取り付けた脚を配置し、その脚
の一端は鉄芯構造にして、バネとソレノイド24により
伸縮を可能とする。
【0052】或いは、脚の一端にはボールねじの軸受を
取り付け、モータの軸芯にボールねじ固定して、モータ
の回転により脚の伸縮を可能とする。
【0053】吸盤34の内側から水を吸引する、または
真空を排気するための配管33を取り付ける。
【0054】電解研摩メッキ槽3の槽の内側のシュラウ
ドと向き合う面には電極40を設ける。
【0055】その詳細構造は後述する。
【0056】また、前述したように、電解研摩メッキ槽
3の槽の上側には電解研摩液やクロムメッキ液が流入す
る供給配管31が設けてあり、下側には電解研摩液やク
ロムメッキ液が流出する戻り配管32が設けてある。こ
の戻り配管はすり鉢状にしたメッキ層3の底部に設け、
研摩液やメッキ液を完全に回収できるようにする。
【0057】図4に応力腐食割れが発生したシュラウド
におけるクロムメッキによる補修のフローチャートを示
す。
【0058】ステップ(1)で電解研摩メッキ槽3を、
例えば燃料交換機29を用いてシュラウド2の内周部の
所定の位置の極近傍に設定する。
【0059】ステップ(2)では吸盤23をシュラウド
2に固定する。
【0060】ステップ(3)では吸盤23の中心軸の端
に設けたソレノイド24、またはボールねじ用モータを
駆動させて電解研摩メッキ槽3をシュラウド2の表面に
完全に固定する。
【0061】ステップ(4)では電解研摩メッキ槽3に
接続された供給配管31と戻り配管32に連結されたコ
ンプレッサ12と吸い上げポンプ14を用いて、電解研
摩メッキ槽3の内部の炉水を排除する。
【0062】ステップ(5)では電解研摩メッキ槽3に
接続された供給配管31と戻り配管32を通して電解研
摩液を電解研摩液循環用ポンプ5により注入,循環させ
る。ステップ(6)では電解研摩メッキ兼用電源16を
用いて電解研摩メッキ槽3の内側に設けたステンレス鋼
製の電極17をマイナスに、シュラウド2をプラスにし
て電解研摩を行う。
【0063】ステップ(7)ではコンプレッサ12から
圧縮空気を流入させ、同時に電解研摩液循環用ポンプ5
を回転させて電解研摩メッキ槽3の内部の電解研摩液を
電解研摩液タンク4に回収する。
【0064】ステップ(8)ではメッキ液を電解研摩メ
ッキ槽3に接続された供給配管31と戻り配管32を通
してメッキ液タンク8に貯蔵されたメッキ液をメッキ液
循環用ポンプ9により注入,循環させる。
【0065】ステップ(9)では電解研摩メッキ兼用電
源16を用いて電解研摩メッキ槽3の内側に設けた鉛合
金製の電極18をプラスに、シュラウド2をマイナスに
してクロムメッキを行う。
【0066】ステップ(10)ではコンプレッサ12か
ら圧縮空気を流入させ、同時にメッキ液循環用ポンプ9
を回転させて電解研摩メッキ槽3の内部のメッキ液をメ
ッキ液タンク8に回収する。
【0067】ステップ(11)(12)(13)ではステッ
プ(1)(2)(3)の逆の操作を行って、補修を終了す
る。
【0068】以下、上記の手順の詳細を述べる。
【0069】ステップ(1)の電解研摩メッキ槽3のシ
ュラウド2の内周部の所定の位置の極近傍への設定は、
例えば、原子力発電所の建屋に既に設置されている燃料
交換機29を用いて行う。
【0070】即ち、設置済みの燃料交換機29のハンド
リング装置の先端に電解研摩メッキ槽3を保持可能な治
具を製作しておき、原子力発電所建屋の床で電解研摩メ
ッキ槽3を掴み、吊り上げて、炉心内へ運搬する。
【0071】シュラウドの内面の近くで、垂直に吊り下
げ、ほぼ所定の位置まで持っていく。
【0072】ステップ(2)では電解研摩メッキ槽3の
4隅に設けられた吸盤付きの脚の一端に接続されている
ソレノイド24、またはボールねじ用モータを駆動させ
て吸盤23をシュラウド2に接近させる。
【0073】ほぼシュラウド内面に接した状態で、吸盤
用ポンプ21を回転させ、バルブ22を開いて、吸盤2
3内と配管33内の炉水を排水する。
【0074】これによって、吸盤23はシュラウド2に
ほぼ固定されるが、炉水がほぼ排水されると吸着力が減
少するため、バルブ22を閉めて、次に、真空ポンプ1
9を運転し、バルブ20を開けて、吸盤23内と配管3
3内を排気する。
【0075】これによって、吸盤23をシュラウド2に
固定する。
【0076】ステップ(3)では吸盤23の中心軸の端
に設けたソレノイド24、またはボールねじ用モータを
駆動させて電解研摩メッキ槽3をシュラウド2の表面に
完全に固定し、Oリング35部分で電解研摩メッキ槽を
完全にシールする。
【0077】この状態では電解研摩メッキ槽3の内部に
は炉水が充満している。
【0078】そこで、ステップ(4)では電解研摩メッ
キ槽3に接続された供給配管31と戻り配管32に連結
されたコンプレッサ12と吸い上げポンプ14を用い
て、電解研摩メッキ槽3の内部の炉水を排除する。
【0079】即ち、吸い上げポンプ14を運転し、バル
ブ15を開いて、電解研摩メッキ槽3に接続された戻り
配管32を通じて電解研摩メッキ槽3の内部の炉水を排
水する。
【0080】このとき、若干遅れて、コンプレッサ12
を運転し、バルブ13を開いて圧縮空気を供給配管31
に送り込む。
【0081】このとき、電解研摩液のラインのバルブ7
とメッキ液のラインのバルブ11は閉めておく。
【0082】これによって、供給配管31と電解研摩メ
ッキ槽3の内部、並びに戻り配管32の中にあった炉水
を全て排水することが可能である。
【0083】ステップ(5)の電解研摩液の注入では、
電解研摩液のラインのバルブ7を開き、同時に電解研摩
液循環用ポンプ5を運転して、電解研摩メッキ槽3に接
続された供給配管31と戻り配管32を通して電解研摩
液を電解研摩液メッキ槽3に注入,循環させる。
【0084】ステップ(6)の電解研摩では、電解研摩
メッキ兼用電源16を用いて電解研摩メッキ槽3の内側
に設けたステンレス鋼製の電極17をマイナスに、シュ
ラウド2をプラスにして電解研摩を行う。
【0085】このときの電解研摩の条件は前述したよう
に、電解研摩液の温度は約30℃、電圧は2.5V 前後
であり、研摩時間は10分間程度である。
【0086】電解研摩液の温度を約30℃に保つため、
電解研摩液タンク4内に設けたシースヒータに接続され
たヒータ電源6を制御する。
【0087】ステップ(7)の電解研摩液の回収では、
まず、電解研摩液のラインのバルブ7を閉め、電解研摩
液循環用ポンプ5を回転させて、電解研摩メッキ槽3の
内部の電解研摩液を電解研摩液タンク4に回収する。こ
のとき、若干遅れてコンプレッサ12を運転して、バル
ブ13を開けて圧縮空気を供給配管31から電解研摩メ
ッキ槽3に流入させて、研摩液をほぼ完全にタンク4に
回収する。
【0088】ステップ(8)のメッキ液の注入では、メ
ッキ液のラインのバルブ11を開き、同時にメッキ液循
環用ポンプ9を運転して、電解研摩メッキ槽3に接続さ
れた供給配管31と戻り配管32を通してメッキ液を電
解研摩液メッキ槽3に注入,循環させる。
【0089】ステップ(9)のクロムメッキでは、電解
研摩メッキ兼用電源16を用いて電解研摩メッキ槽3の
内側に設けた鉛合金製の電極18をプラスに、シュラウ
ド2をマイナスにしてクロムメッキを行う。
【0090】クロムメッキは硬さがビッカース硬さで8
00以上に硬くなると共に、微細な割れがメッキ層に生
じることが多いが、応力腐食割れを防止するためには、
柔らかくて、微細な割れのないことが望ましいので、前
述したように、メッキ液の温度を約60℃、電流密度を
約50A/dm2 程度に設定する。
【0091】メッキ液の温度を約60℃に保つため、メ
ッキ液タンク8内に設けたシースヒータに接続されたヒ
ータ電源10を制御する。
【0092】ステップ(10)のメッキ液回収では、ま
ず、メッキ液のラインのバルブ11を閉め、次に、メッ
キ液循環用ポンプ9を回転させて、電解研摩メッキ槽3
の内部の電解研摩液をメッキ液タンク8に回収する。若
干遅れてコンプレッサ12を運転して、バルブ13を開
けて圧縮空気を供給配管31から電解研摩メッキ槽3に
流入させる。
【0093】図5には、電解研摩及びメッキのための電
極の配置の一例を示す。
【0094】電解研摩メッキ槽3のシュラウドと対面す
る位置に、電極17,18を置く。電極の構造は、電解
研摩する面積、或いはメッキする面積とほぼ等しいよう
な形が望ましい。
【0095】しかし、本発明では、施工時間の短縮のた
め、電解研摩とメッキを兼用させているため、そのよう
には電極を配置できない。
【0096】そのため、図6,図7,図8のような電極
構造を考案した。
【0097】図6は電解研摩用のステンレス製の電極1
7とメッキ用の鉛製の電極18を矩形板とし、その長手
方向をシュラウド2の溶接部に沿って発生した応力腐食
割れの方向と一致させる。
【0098】電解研摩,クロムメッキ共に、電極に向い
合った箇所が研摩またはメッキされる傾向があるので、
出来るだけお互いの境界が応力腐食割れの真上に来るよ
うに、電解研摩メッキ槽3を設定する必要がある。
【0099】図7は図6のように電解研摩メッキ槽3の
設定位置の正確さが要求されないように、電解研摩用の
ステンレス製の電極17とメッキ用の鉛製の電極18
を、いずれも長いストリップ状にし、それらの長手方向
を応力腐食割れの方向と一致させると共に、交互に配置
することにより、均一に電解研摩とクロムメッキが施さ
れるようにしたものである。
【0100】図8は図7と同様な機能を持たせた電極の
配置である。
【0101】電解研摩用のステンレス製の電極17とメ
ッキ用の鉛製の電極18を、小さい正方形とし、それら
を千鳥格子状に配置することにより、均一に電解研摩と
クロムメッキが施されるようにしたものである。
【0102】図9から図12で、応力腐食割れ部の電解
研摩、及びクロムメッキの仕方を説明する。
【0103】シュラウドで発生する応力腐食割れは粒界
型応力腐食割れであるので、図9に示すように、割れは
粒界に沿ってジグザグに進展する。
【0104】また、応力腐食割れは流れを有する高温水
中という腐食環境中で生じたものであるため、表面には
二重ハッチングで示したように、酸化膜が形成されると
共に、割れの内部で生成された腐食生成物や、割れの外
部で生成された腐食生成物が割れの内部に堆積している
ものと思われる。
【0105】クロムメッキを密着性よく割れ表面に付着
させるには、表面を清浄にしておくことが必要である。
【0106】そこで、それらの酸化膜や腐食生成物を除
去するために、電解研摩を行うものである。
【0107】表面の性状をきれいな鏡面に仕上げるのに
用いる電解研摩を行うと、上記のような酸化膜や腐食生
成物が優先的に除去でき、図10のように清浄な粒界面
で構成される割れ表面が現出する。
【0108】表面を清浄にした後、クロムメッキを軽く
施すと、図11に黒く塗り潰したように、応力腐食割れ
の割れ内部の表面と、電解研摩メッキ槽3の内部に面し
たシュラウドの表面がクロムメッキ層で覆われる。
【0109】このようにすると、割れ先端は耐食性の高
いクロム層で覆われるため、原子力発電所の運転を再開
したとしても、応力腐食割れが進展することはない。
【0110】また、割れ内部の表面には鋭敏化した多数
の粒界が存在しているが、その部分もクロムメッキ層で
覆われてしまうため、割れ内部の表面の別の部分から新
たに応力腐食割れが発生することはない。
【0111】更に、シュラウドの側面で見ると、応力腐
食割れの先端があるため、表面での応力腐食割れの進展
の可能性が残されているが、表面もクロムメッキを施す
ため、進展することはない。
【0112】また、長い溶接部に沿って溶接熱影響によ
る鋭敏化領域が存在するが、その部分も全面的にクロム
メッキを施すため、シュラウド表面の別の部分から新た
に応力腐食割れが発生することはない。
【0113】図12はクロムメッキを十分に施した場合
を示している。
【0114】このようにクロムメッキ層を応力腐食割れ
内部に全面的に充填すると、例え、クロムメッキ層に微
細なメッキ時の割れが存在したとしても、元の応力腐食
割れの先端には炉水中の溶存酸素が供給されないため、
割れが進展することはない。更に、このようにクロムメ
ッキ層を割れ内部に充填させ、割れの2表面を接合すれ
ば、応力腐食割れによって、シュラウドの構造部材とし
ての強度が低下していたものが、ほぼ元の割れのない状
態にまで回復させることが可能という利点もある。
【0115】原子炉炉内構造物の応力腐食割れを補修す
る際には、原子炉炉内構造物が放射線の照射を受けて照
射材と成っているから、溶接を伴う補修方法を採用する
と、溶接部とその近傍にヘリウムバブルが発生して、新
たな割れの原因を発生してしまうが、本発明の実施例で
はそのような原因を発生させることが無く、原子炉炉内
構造物の応力腐食割れを補修するのに適している。
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【発明の効果】 請求項の発明によれば、水中の応力腐
食割れ補修対象物に、水中の環境下で、応力腐食割れが
発生した後のその割れからの応力腐食割れの進展や発生
を防止する処置を施せるという効果が得られる。
【0121】請求項の発明によれば、請求項の発明
による効果に加えて、均一に電解研摩とメッキが施せる
という効果が得られる。
【0122】請求項の発明によれば、請求項の発明
による効果に加えて、より一層均一に電解研摩とメッキ
が施せるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による原子炉内シュラウドの補
修装置の全体図である。
【図2】図1に示した補修装置のシステム系統図であ
る。
【図3】図1に示した電解研摩メッキ槽部分の構造断面
図である。
【図4】本発明の実施例による原子炉内シュラウドの応
力腐食割れを補修する過程を示すフローチャート図であ
る。
【図5】本発明による実施例の電解研摩メッキ槽内にお
ける各電極の具体的配置を示した電極配置図である。
【図6】電解研摩用及びメッキ用の電極の他の形状配置
図である。
【図7】電解研摩用及びメッキ用の電極のさらに他の形
状配置図である。
【図8】電解研摩用及びメッキ用の電極の更に一層他の
形状配置図である。
【図9】応力腐食割れの発生した状態における割れ部の
断面の形態を示すモデル図である。
【図10】本発明の実施例における図9の応力腐食割れ
部を電解研摩した後のその割れ部の断面モデル図であ
る。
【図11】本発明の実施例における応力腐食割れ部のメ
ッキ施工後の断面モデル図である。
【図12】本発明の実施例における応力腐食割れ部内へ
のメッキ充填状態を示すその割れ部の断面モデル図であ
る。
【符号の説明】
1…原子炉圧力容器、2…シュラウド、3…電解研摩メ
ッキ槽、4…電解研摩液タンク、5…電解研摩液循環ポ
ンプ、6,10…ヒータ電源、7,11,13,15,
20,22…バルブ、8…メッキ液タンク、9…メッキ
液循環ポンプ、12…コンプレッサ、14…吸い上げポ
ンプ、16…電解研摩とメッキに兼用可能な電源、17
…電解研摩用電極、18…メッキ用電極、19…真空ポ
ンプ、21…吸盤用吸い込みポンプ、23…吸盤、24
…ソレノイド、25…制御装置、26,27…インター
フェース、28…燃料交換機制御装置、29…燃料交換
機、31…液供給用配管、32…液戻り配管、33…吸
盤用配管、35…Oリング。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−323078(JP,A) 特開 平4−103792(JP,A) 特開 平2−104693(JP,A) 特開 平1−75695(JP,A) 特開 平3−243792(JP,A) 特公 平6−3287(JP,B2) 友野理平著「実用めっきマニュアル」 (昭和46−10−25)、株式会社オーム社 発行、第79,113−117頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 7/00 B23K 31/00 C25D 5/26 C25D 5/36 C25F 3/16 C25F 7/00 G21C 19/02 G21C 13/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解研摩用電極とクロムメッキ用電極を備
    えた電解研摩とメッキに兼用の電解研摩メッキ槽と、前
    記各電極に電力を供給する電源と、前記電解研摩メッキ
    槽を水中の補修対象物に固定する吸盤と、前記吸盤に接
    続された真空ポンプと、前記吸盤の付いた脚を伸縮する
    ソレノイドと、電解研摩液を貯留する電解研摩液タンク
    と、前記電解研摩液タンクの研摩液を前記電解研摩メッ
    キ槽に循環する電解研摩液循環ポンプと、メッキ液を貯
    留するメッキ液タンクと、前記メッキ液タンクのメッキ
    液を前記電解研摩メッキ槽に循環するメッキ液循環ポン
    プと、前記電解研摩メッキ槽に接続された吸い上げポン
    プとを備えていることを特徴とする応力腐食割れの補修
    装置。
  2. 【請求項2】 請求項1 において、前記電解研摩メッキ槽
    内に設ける前記電解研摩用電極と前記メッキ用電極を応
    力腐食割れの方向に沿って平行に配置したことを特徴と
    する応力腐食割れの補修装置。
  3. 【請求項3】 請求項2 において、前記電解研摩メッキ槽
    内に設ける前記電解研摩用電極と前記メッキ用電極を正
    方形または長方形とし、互いに千鳥模様に配置したこと
    を特徴とする応力腐食割れの補修装置。
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