JP3220129B2 - 流早産の可能性の判定方法及びそのための試薬 - Google Patents
流早産の可能性の判定方法及びそのための試薬Info
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Description
判定方法及びそのための試薬に関する。
られているが、近年は抗リン脂質抗体(aPL)による習
慣流産がその頻度が高く特に注目されている。
抗フォスファチジルセリン抗体(aPS),ループスアン
チコアグラント(LA)等のリン脂質に対する自己抗体の
総称であるが、習慣流産のほか動静脈血栓症,血小板減
少症などの臨床症状を呈する抗リン脂質抗体症候群(AP
S)の診断に欠かすことのできない検査である。しかし
近年、aPLが認識する抗原はリン脂質そのものではな
く、リン脂質と複合体を形成し構造変化を起こした β2
-glycoprotein I(β2GPI)や proteinC,proteinS,
anexinV などの(いずれも血液凝固を制御する蛋白)
cofactorであると報告されてからは、このcofactorに関
する研究が進められ、習慣流産や血栓症とcofactor関与
のaPLについての報告が多く出されるようになった。
しかしaPLが生体にどのような機序をもって血栓を生
じさせるのかについては未だ結論が出ていない。
年より感染症が起因する切迫流早産、流早産を防止する
という観点から妊娠初診時に細菌性膣症(bacterial va
ginasia:BV),Chlamydia trachomatis感染を診断し、
治療してきた。 しかし、感染症が起因ではない切迫流
早産が相当数存在することから、種々の検査を実施し、
それらの多くがAPS類似であることを確認した。
初診時にBV治療を行い、さらに切迫徴候出現時にaP
Lの検査を行い、APSを疑う切迫流早産症例に対して
プレドニゾロン(PSL)および低用量アスピリン(low d
ose asupirin:LDA)療法などの治療を施したところ、
後期流産,早産の著しい減少を得る事ができた。
流早産は未だ若干例存在している。これらは妊娠中にa
PLが産生され、このaPLにより発症したと思われる
acute type と、APSの治療中にもかかわらず急激に
流早産に至ったacute change に区別できるが、いずれ
も切迫症状が急激に出現し、かつ短期間に進行したた
め、来院した時には流早産が避けられない状態であった
症例である。ちなみに acute type は、定期健診時の検
査では予測することができず、流早産後の原因調査でa
PLによる流早産と判明している。
状を現わさずに経過し、正期産となった症例も多数存在
する。よって、aPL陽性ということだけで、治療に入
ることは決して薦められるものではない。
るAPSの検査以外で、流早産の可能性を予知できる方
法が求められている。
を従来法よりも的確に判定することが可能な、流早産の
可能性を判定する新規な方法、及び該方法に用いられる
試薬を提供することである。
の結果、体液中トロンボモジュリン(TM)濃度が切迫
徴候を示す約4週間前ないし約6週間前から増加してい
ることを見出し、体液中TM濃度を測定することにより
流早産の可能性を的確に判定できることを見出して本発
明を完成した。
することを含む流早産の可能性の判定方法を提供する。
また、本発明は、抗トロンボモジュリン抗体を含む、流
早産の可能性の判定用試薬を提供する。
る凝固阻害因子で、血管などに炎症等の障害が生じると
血中に放出される。血中に放出されたTMはトロンビン
と結合し、トロンビンの凝固活性を失わせるという抗凝
固作用を有するほかに、このトロンビン・TM複合体が
proteinCを活性化させ、さらにproteinSを活性化、活
性化凝固第V因子および第VIII因子を不活性化させると
いう抗凝固作用を有する。血中TMは、従来より、血管
に炎症があるか否かのマーカーとして利用されている。
しかしながら、流早産の可能性を判定するためのマーカ
ーとして血中TMを用いることは知られておらず、示唆
もされていない。
液(血清及び血漿を包含する)、尿、膣分泌液、子宮頸
部分泌液等を挙げることができるがこれらに限定される
ものではない。これらのうち、血液、とりわけ血清又は
血漿を用いることが好ましい。
流早産が起きる場合には、その数週間前(特に約4〜6
週間前)に体液中TM濃度が上昇する。体液中TM濃度
が正常妊婦(切迫徴候及び妊娠中毒なしに正期産に至っ
た妊婦)の平均+2SD(SDは標準偏差)程度(例え
ば、富士薬品工業社製「TMパナセラ」(商品名)を用
いて測定した血清中TM濃度の場合には3.8FU/ml)以下
であれば、流早産の可能性はほとんどない。一方、この
値(以下、「閾値」)を超えると流早産の可能性がかな
りある。よって、体液中TM濃度を測定することによ
り、流早産の可能性を判定することが可能である。ま
た、流早産が起きる場合には、その数週間前(特に約4
〜6週間前)に体液中TM濃度が上昇するので、体液中
TM濃度の測定は4週間毎位に経時的に行うことが好ま
しく、体液中TM濃度が急上昇した場合には、流早産と
なる可能性が高い。流早産になる可能性がある場合に
は、プレドニゾロンや低用量アスピリン投与等の治療な
いし予防処置を採ることができ、流早産の危険性を低減
することができる。なお、閾値は、上記値又は上記した
平均+2SDの値に必ずしも限定されるものではなく、
判定の目的(例えばスクリーニング目的か確定判定目的
か等)に応じて適宜設定することができる。
初診時にaPLが陽性でも、体液中TM濃度が閾値以下で
推移する場合には流早産はほとんど起きない。一方、aP
Lが陽性か陰性かに関わらず、体液中TM濃度が急上昇
している場合には、流早産となる可能性が高い。よっ
て、本発明の方法は、従来のaPLに基づく診断方法より
も精度が高いと言える。
り、例えば、血清又は血漿を検体として用いたサンドイ
ッチELISA等の免疫測定法により容易に実施するこ
とができる。担体ビーズ上に、抗TMモノクローナル抗
体を感作したものを第1抗体とし、酵素標識抗TMモノ
クローナル抗体を第2抗体とする、サンドイッチELI
SAによるTM測定用キットが市販されているので(例
えば富士薬品工業社製「TMパナセラ」(商品名))、
このような市販のキットを用い、その添付文書に従って
容易に体液中TM濃度を測定することができる。
により体液中のTM濃度を測定すればよいのであり、そ
の測定方法は何ら限定されない。通常、TM濃度は、免
疫測定法により測定することが好ましい。免疫測定法
は、抗トロンボモジュリン抗体(ポリクローナル抗体で
もモノクローナル抗体でもよい)と体液中のトロンボモ
ジュリンとの抗原抗体反応を利用して、体液中のトロン
ボモジュリンの濃度を測定するものである。この場合、
用いることができる免疫測定法は、上記したサンドイッ
チELISAに限定されるものではなく、公知のいずれ
の免疫測定法をも採用することができる。すなわち、測
定原理に基づいて分類すると、サンドイッチ法、競合
法、凝集法等があるがこれらのいずれをも採用すること
ができる。また、用いる標識に基づいて分類すると、酵
素免疫測定、放射免疫測定、蛍光免疫測定、ビオチン免
疫測定等があるがこれらのいずれをも採用することがで
きる。さらに、これらの各免疫測定は、さらに種々の測
定方法に細分化されるが、それらのいずれをも採用する
ことができる。
の診断方法と組み合わせて行ってもよく、それによっ
て、より精度を高めることが可能な場合がある。例え
ば、体液中TM濃度に加え、血中aPLが陽性か陰性かを
調べ、血中aPLが陰性から陽性に変わり、かつ、体液中
TM濃度が急上昇している場合には、流早産の危険性が
非常に高いと判定できる。
早産の可能性の判定用試薬をも提供する。この試薬は、
上記した周知の各種免疫測定に、周知の方法により用い
ることができる。
説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定される
ものではない。
測定は、各妊産婦から採取した血清50μlを検体と
し、サンドイッチELISAによる市販のTM測定用キ
ットである富士薬品工業社製「TMパナセラ」(商品
名)を用い、その指示書に記載された常法に従って、サ
ンドイッチELISAにより行った。
ファチジルセリン抗体(aPS)を測定し、少なくともいず
れか一方が陽性の場合、aPL陽性とした。
サンドイッチELISAにより測定した。マイクロプレ
ートの各ウェルに硫酸プロタミンを100μl分注し、
室温で30分間静置した。PBSで3回洗浄後、ウシ心
臓由来カルジオリピン液(SIGMA社製)(濃度20μg
/ml)又はL-α-フォスファチジル-L-セリン液(SIGMA
社製)(濃度20μg/ml)を100μl分注し、4
℃で一昼夜放置後、PBSTで3回洗浄した。次いで5
0倍希釈した被検血清又は標準血清を100μl分注
し、室温で1.5時間静置後、PBSTで3回洗浄した。
次いで適当な濃度に希釈したペルオキシダーゼ標識抗ヒ
トIgG抗体 (SIGMA社製)及びペルオキシダーゼ標識
抗ヒトIgM抗体 (SIGMA社製)を各100μl分注
し、室温で1.5時間静置後、PBSTで3回洗浄した。
次いで0.4 mM o-フェニレンジアミン100μlを分注
し、室温で30分間静置後、2.5N硫酸を分注して反応を
停止した。次いでイムノリーダーにて波長490 nmの吸光
度を測定した。吸光度が標準血清の測定値以上の場合を
陽性と判定した。
す。図1には、初診時aPL陽性であった妊産婦について
の結果を、図2には、初診時aPL陰性であった妊産婦に
ついての結果を示す。なお、症例1、2、9、10が流
早産に終わった症例であり、これら以外の症例は正期産
であった。妊娠初診時にaPLが陽性で、流早産となっ
た症例1,2 および 切迫徴候を示した症例3,4はい
ずれも血中TM値の急速な上昇が見られるが、治療によ
り症状が回復した症例3,4は、その後の上昇カーブが
止まっている。治療中であるにもかかわらず、早産とな
った症例2はTM値が上昇し続けている。治療する間も
なく流産に至った症例1のTM値上昇は急激である。a
PLが陽性であるにもかかわらず、何の症状もなく正期
産となった症例5〜8のTM値は、症例5の 36W以降の
上昇を除き、たえず 3.8 FU/ml以内で推移していた。
妊娠初診時の検査でaPL陰性であるにもかかわらず妊
娠中にaPLが産生され、早産になったり切迫徴候が見
られた症例9〜11も、TM値の急速な上昇が見られ、T
M値上昇後にaPLを検出、そして、切迫徴候が出現す
るという特徴が見られた。
を起こす以前からその値が上昇しており、正常妊婦には
値の上昇がみられないため、TMの測定は正常・異常の
区別がつきやすい結果となった。
法よりも的確に判定できる方法が提供された。流早産の
可能性が的確に示されれば、予防処置を採ることができ
るので、流早産を減らすことができる。従って、本願発
明は安全な出産に大いに寄与するものと期待される。
化及びaPL陽性陰性の変化を示す図である。
化及びaPL陽性陰性の変化を示す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 体液中のトロンボモジュリンを測定する
ことを含む流早産の可能性の判定方法。 - 【請求項2】 トロンボモジュリンを経時的に複数回測
定し、各測定値を比較する請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 血中トロンボモジュリンを測定する請求
項1又は2記載の方法。 - 【請求項4】 血清又は血漿中のトロンボモジュリンを
測定する請求項3記載の方法。 - 【請求項5】 血中リン脂質抗体濃度を測定することを
さらに含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方
法。 - 【請求項6】 抗トロンボモジュリン抗体とトロンボモ
ジュリンとの抗原抗体反応を利用した免疫測定方法によ
りトロンボモジュリンを測定する請求項1ないし5のい
ずれか1項に記載の方法。 - 【請求項7】 抗トロンボモジュリン抗体を含む、流早
産の可能性の判定用試薬。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000391504A JP3220129B2 (ja) | 1999-12-28 | 2000-12-22 | 流早産の可能性の判定方法及びそのための試薬 |
Applications Claiming Priority (3)
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---|---|---|---|
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JP37255499 | 1999-12-28 | ||
JP2000391504A JP3220129B2 (ja) | 1999-12-28 | 2000-12-22 | 流早産の可能性の判定方法及びそのための試薬 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001249129A JP2001249129A (ja) | 2001-09-14 |
JP3220129B2 true JP3220129B2 (ja) | 2001-10-22 |
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3220129B2 (ja) |
-
2000
- 2000-12-22 JP JP2000391504A patent/JP3220129B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (3)
Title |
---|
東京女子医科大学雑誌,63(1993),p.680−686 |
臨床病理,37:3(1989),266−271 |
血液と脈管,19(1988),p.651−653 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2001249129A (ja) | 2001-09-14 |
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