JP3217595U - 車両用カバースーツ - Google Patents
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Abstract
【課題】車体を傷付けることがなく軽量で取り扱い易い車両用カバースーツを提供する。
【解決手段】車両用カバースーツは、熱可塑性樹脂からなる複数のモノフィラメントを集束して構成したマルチフィラメントを用いて編み目をもつように編成された編物生地を染色加工又は熱水処理をすることで前記編物生地を構成する編脚を膨潤させて編脚自身に通気性と粉塵濾過性を持たせつつ編脚間の開口部を小さくするとともに、前記編物生地の伸縮性及び弾力性を増大させてなり、車両に取り付けるときに前記編物生地を引き伸ばして前記編物生地の前記編み目をフリー状態よりも弾力的に引き伸ばして車両に被覆するように構成されている。
【選択図】図1
【解決手段】車両用カバースーツは、熱可塑性樹脂からなる複数のモノフィラメントを集束して構成したマルチフィラメントを用いて編み目をもつように編成された編物生地を染色加工又は熱水処理をすることで前記編物生地を構成する編脚を膨潤させて編脚自身に通気性と粉塵濾過性を持たせつつ編脚間の開口部を小さくするとともに、前記編物生地の伸縮性及び弾力性を増大させてなり、車両に取り付けるときに前記編物生地を引き伸ばして前記編物生地の前記編み目をフリー状態よりも弾力的に引き伸ばして車両に被覆するように構成されている。
【選択図】図1
Description
本考案は、車両用カバースーツに関する。
自動車は、出荷、搬送に際して、屋外に駐車されることが多い。また、自動車のユーザーにおいても、屋根のない駐車場に自動車を駐車することが多く、行楽、業務上において所謂青空駐車をせざるを得ない場合が多い。このように、自動車を屋外に駐車すると、自動車の外部車体に各種の粉埃や花粉等が堆積することが多い。また、夏季には、日光の照射により、車内が高温となったり、冬期には窓ガラスへの霜の発生等が生じたりして、はなはだ不経済、不都合が生じる。これらの対策として、従来より、自動車を各種の車両用カバーで覆うことが行われている。
しかし、従来の車両用カバーの多くは、テント用生地や各種シート用生地等の所謂「帆布」や、帆布に合成樹脂を含浸させたり、フィルム状にラミネートしたりして用いられてきた。また、これら帆布に脱着用、形状保持用を目的として、金属、プラスチック等の補助部材を取り付ける場合もあった。これは、車両が剛性、強度の高い鉄板が主体で強固な構造体として作製されていることから、車両を覆うカバーも、観念的にも強度があり、破れ難く、比較的しっかりとした剛性のあるものでなければならないという想い、また、その結果として防埃性や防水性、耐候性などが必要との認識からなされたものであったと考えられる。
その結果、従来の車両用カバーは、製品重量がきわめて重く、取付け、取外しの作業を一人では長時間を要し、簡便性に欠けた。特に、帆布は、天然繊維、合成繊維の太いデニール繊維を用いた太い糸を密に平織した厚地の織物である。帆布は、重く、剛性も高いために、本来、カバーすべき車体の表面を取外し作業で車体に擦り傷を発生し易くしていた。さらに、自動車搬送中には、カバーと車体との間に風が吹き込む。また、駐車中にあっても、比較的強い風によってカバーと車体との間に吹き込む。その結果、カバーは、風にあおられて上下にばたつき、車体表面、特に車体コーナー部分を擦り傷だらけにさせるという、致命的な欠陥が発生することが指摘されていた。その結果、カバーは、取付け、取扱い作業が面倒であり、重く、高価であることと相まって、現在では、一部を除きほとんど利用されなくなっていた。
本考案はかかる事情に鑑みてなされたものであり、車体を傷付けることがなく軽量で取り扱い易い車両用カバーを提供することを課題とする。
本考案の車両用カバースーツは、熱可塑性樹脂からなる複数のモノフィラメントを集束して構成したマルチフィラメントを用いて編み目をもつように編成された編物生地を染色加工又は熱水処理をすることで前記編物生地を構成する編脚を膨潤させて編脚自体にも通気性を持たせつつ編脚間の開口部を小さくするとともに、前記編物生地の伸縮性及び弾力性を増大させてなり、車両に取り付けるときに前記編物生地を引き伸ばすことで前記編物生地の前記編み目をフリー状態よりも弾力性をもたせつつ引き伸ばして車両に被覆するように構成されていることを特徴とする。
本考案の車両用カバースーツは、熱可塑性樹脂からなる複数のモノフィラメントを集束して構成したマルチフィラメントを素材原糸として用い編物生地を編成している。編物生地は極めて高い伸縮性及び弾力性を発揮する。かかる編物生地からなる車両用カバースーツは、車両を被覆したときに、編物生地を引き伸ばして編物生地の編み目を自在に大きく弾力性をもたせつつ引き伸ばし得るような伸縮性及び弾力性をもつ。編み目とは、編脚の分径(太さ)を含み、且つ、その編脚と編脚の内側で囲まれた開口部とからなる。編物生地を延伸すると編み目は延伸方向に引き伸ばされ、編脚が向き合う箇所の間隔は延伸方向に同様に引き伸ばされることで、対抗する他方向の編脚間の間隔は限りなく狭まり、結果的に編物生地全体の開口部は通気性を保持する程度に縮小することになる。そして、本考案の車両用カバースーツは伸縮性及び弾力性を以って車両にフィットして覆うことになる。
本考案の車両用カバースーツで車両を被覆すると、車体表面を傷つけることなく、車両への塵埃や花粉、黄砂等の付着を防止できる。また、夏期には駐車中の日光による車内のヒートアップ現象を防止することを目的として使用することもできる。冬期には、車窓の霜除け、凍結防止としても効果的に簡単に利用することができる。
さらに、本考案の車両用カバースーツは、極めて高い伸縮性があり、柔軟で弾力性のある編物生地で形成されている。カバースーツを車両に取り付けるときには、車両用カバースーツを引き伸ばして車両を被覆する。このため、車両に取り付けられた状態では、編物生地は引き伸ばされて車体表面にフィットする。そして、適度な通気性がカバー全体で得られる。このため、車両運搬時などで風が吹き付けられたり駐車時に風に吹かれたりしても、カバーはばたつかず、車体を傷つけることはない。
また、カバースーツ全縁辺部にはゴム紐などの弾性材を取り付けると良い。カバーは、前後四隅のバンパー端を起点としてその伸縮性及び弾力性とカバースーツ全縁辺部に取り付けられた弾性材の伸縮性とによりしっかりと固定され、カバースーツ全体で車体にフィットされる。このため、本考案の車両用カバースーツは、風などにより吹き飛ばされることはない。
編物生地は、染色加工又は熱水処理がされている。染色加工又は熱水処理では、編物生地は、60℃以上、更には80℃以上の熱温水に晒される。染色加工又は熱水処理により、編物生地を構成している編脚が膨潤して、編脚間の開口部が小さくなる。このため、塵埃が、編脚間の開口部を通過することが困難となり、車体への塵埃の付着を防止することができる。また、編脚は膨潤しているため、編脚自体に通気性と濾過性が得られる。このため、編物生地全体としては、通気性を有している。編物生地は、染色加工又は熱水処理がされていることにより、通気性を保有しつつ塵埃の通過を防止でき、風によってもばたつかず車体にフィットしつつ、車体への塵埃の付着を防止できる。編物生地に染色加工又は熱水処理を施すことで、車両用カバースーツに、更に一段と伸縮性、弾力性、嵩高性、柔軟性、及び防塵性が付与される。
編物生地を構成するマルチフィラメントは、捲縮加工が施されていてもよい。ウール等は捲縮性があり、繊維の1本1本が縮んで巻いている。熱可塑性樹脂からなる合成繊維も捲縮加工することで繊維が嵩高となり、伸縮性及び弾力性を持たせることができる。
本考案の車両用カバースーツは、上記のようにフィット性と通気性とを兼ね備えているため、取付け及び取り外し時の擦り傷や風等によってばたつくことはなく、車体にばたつき傷はまったく発生しない。
本考案の車両用カバースーツは、伸縮性及び弾力性のある編物生地で形成されている。このため、カバース−ツは、しわや折れ曲がり部分がなく、車体の外形に沿ってフィットして取り付けられる。このため、車体の外形をそのまま反映した状態で車両を被覆することができる。車両に取り付けた時の車両用カバースーツは、見栄えがよい。着色などでカラフルなデザインにすることによって、正に車両のスーツ感覚も味わえる。
前記マルチフィラメントは、太さが2〜25デニールの前記モノフィラメントを7〜48本集束させてなり、前記マルチフィラメントの太さは30〜150デニールであることが好ましい。
本考案の車両用カバースーツは、編物生地を形成するところの合成樹脂製のマルチフィラメントを構成するモノフィラメントの太さは、2〜25デニール、好ましくは3〜10デニールであるとよい。モノフィラメントを7〜48本、好ましくは10〜24本集束して、30〜150デニール、好ましくは50〜100デニールの太さを有するマルチフィラメントを形成する。このマルチフィラメントを素材原糸として用いて編物生地を編成すると、編物生地は極めて高い伸縮性及び弾力性を発揮する。
前記車両用カバースーツがフリー状態のときの前記編物生地の隣合う編脚間のピッチは40〜250μmであり、前記車両用カバースーツを車両に取り付けたときの前記編物生地の伸び率の最も大きい方向の隣合う編脚間のピッチは、100〜700μmであることが好ましい。前記車両用カバースーツがフリー状態のときの前記編物生地の前記編み目を構成する隣合う編脚間のピッチは40〜250μmである。車両用カバースーツを車両に取り付けたときの前記編物生地の編み目の大きさは、編物生地が縦方向又は横方向に引っ張られる。このため、編み目の大きさは縦方向又は横方向で見掛け上100〜700μmと拡大するが、相対する横方向の編み目は大幅に小さくなり少なくとも50μm以下となる。結果として、編脚の間の隙間である開口部は小さくなる。
編み目を構成する隣合う編脚間のピッチとは、編物生地における隣り合う編脚分径の中心から中心までのピッチをいう。粉塵、花粉等は、大きさが約20μm以上さらには約50μm以上であるときに、視認可能である。この大きさの粉塵、花粉などが車体表面に付着すると車体の汚れとして認識される。この粉塵、花粉等の大きさは、見掛け上の編み目よりも小さく、編み目を通過してカバーの用をなさないと考えられる。しかし、そうではない。その理由は、前記したように、カバースーツが引っ張られることでフレキシブルである編み目を構成する編脚同士の間隙が狭まり、さらにまた編物生地の編み目を構成する編脚を構成素材とするマルチフィラメントは編物生地に編成した後に熱水で染色加工又は熱処理が行われている。この加工や処理により、マルチフィラメントを構成しているモノフィラメントが膨潤して、編脚の脚分径を大幅に太くしている。脚分径を太くした隣合う編脚は、編み目を更に塞ぐことになり、粉塵などの侵入を阻止するとともに編脚自体も膨潤により通気性と粉塵濾過性能を発揮し、生地全体として通気性、粉塵性及びフィット性をもつことになる。
以上により、上記の編物生地で作成された車両用カバースーツは、車両を被覆した時に車体に塵埃類が付着せず、軽量で取り扱いやすく、通気性があり、風などの外圧によってもばたつかず、車体を傷つけることがない。
前記車両用カバースーツは、車両前部のナンバープレートを覆うプレート補強部と、車両前後のバンパー端又はバンパーコーナー部を被覆するコーナー補強部とを有することが好ましい。
車両用カバーで車両を被覆したときには、まず車両の前部ナンバープレートと後部バンパーの両端コーナー部でカバーが引き伸ばされ仮セットされる。次に、前部ナンバープレートを覆うプレート補強部をはずすと共に、前部バンパーの両端コーナー部にコーナー補強部を被せる。これにより、車両用カバースーツは、前後バンパーの四隅のバンパー端を起点としてスーツ全体で車体にフィットして車体に被覆されることとなる。ナンバープレートおよびバンパーのコーナー部を被覆する部分には、それぞれプレート補強部とコーナー補強部が形成されている。このため、カバースーツの破れを補強することができる。
プレート補強部および前後左右のコーナー補強部を目印としてカバースーツを順次拡げることで、カバーを設置に適した向きに容易に展開でき、取り付けおよび取り外しも簡便にできる。
前記車両用カバースーツは、左側部と右側部とで中央部を介して左右対称の形状をなし、前記左側部と前記右側部と前記中央部は、互いに色又は模様が異なるデザインをもつことが好ましい。左右それぞれに異なる色や模様を正しい向きに向き合わせることで、カバースーツを容易に正しく迅速に取り付けることができる。
本考案の車両用カバースーツは、以上のように構成されているから、カバー全体が通気性を有し且つ車体の形状に伸縮自在にフィットすることができ、弾力性に富み、軽量であり、風等によるばたつき傷や脱着時の擦り傷は全く発生せず、極めて取扱いが簡便容易となる。あたかも、人間が衣服を着用するように車両がスーツ感覚で粉塵などの汚染から保護され、暑さ、寒さからも保護される。
本考案の車両用カバースーツは、上記構成を具備しているため、車体を傷付けることなく粉塵類から車両を保護することができ、軽量で、容易に脱着ができ、持ち運びも簡便である。
本考案の実施形態に係る車両用カバースーツについて詳細に説明する。
本考案の車両用カバースーツは、編物生地で形成されている。編物生地は、30〜150デニールのマルチフィラメントで編成されているとよい。マルチフィラメントの太さは、50〜100デニールであることが好ましい。さらに、このマルチフィラメントを構成するモノフィラメントの太さは、2〜25デニールであるとよく、さらに、3〜10デニールであることが好ましい。これらモノフィラメントの集束糸として、マルチフィラメントが構成されている。マルチフィラメントを構成しているモノフィラメントの本数は、7〜48本であるとよく、10〜24本であることが好ましい。この範囲の太さのマルチフィラメントで編物生地が編成されると、軽量で通気性がよく、かつ塵等の侵入を防ぐ車両用カバースーツを形成することができる。
マルチフィラメントの太さが30デニール未満では、強度が不足しカバースーツは破れやすくなるおそれがある。マルチフィラメントの太さが150デニールを超える場合には、カバースーツが重くなり、剛性が高くなり、伸縮性が低下して、車体へのフィット性も低下し、車体が傷付き易くなるおそれがあり、取扱い性も低下する。
編物生地を編成するマルチフィントは、熱可塑性樹脂からなる複数のモノフィラメントを集束して構成されている。具体的には、モノフィラメントは、ポリアミド系樹脂またはポリエステル系樹脂がよい。これらは軽量で強度も高く、伸縮性を有する編物生地を形成できるからである。
編物生地は、縦編み、横編みのいずれでもよい。縦編みは、トリコット編み、アトラス編みのいずれでもよい。横編みは、平編み、丸編み、リブ編み、両面編み、パール編みのいずれでもよい。中でも、伸縮性に富む丸編みがよい。
車両用カバースーツがフリー状態のときの編物生地の編み目を構成する隣合う編脚間のピッチは、40〜150μmであることがよく、更に、80〜130μmであることが好ましい。編物生地は、開口部を有する編み目をもち、開口部は隣り合う編脚により囲まれている。編み目を構成する隣合う編脚間のピッチとは、隣り合う編脚の中心間の距離の平均値をいう。編物生地を編成するマルチフィラメントは、染色加工又は熱水処理で膨潤していて、編脚分径を太くしている。このため、事実上編み目間の開口部は、染色加工又は熱水処理により小さくされている。編み目を構成する隣合う編脚間のピッチが過小の場合には、編物生地の伸縮性が低下し、通気性が低下して、風によるカバースーツのばたつきを招くおそれがある。編み目を構成する隣合う編脚間のピッチが過大である場合には、車両用カバースーツの編み目を塵埃類が通過して車体に塵埃類が付着するおそれがある。
車両用カバースーツがフリー状態のときの編物生地の編み目の数は、1インチ当たり17〜85であることがよく、さらに、19〜32であることが好ましい。編み目の数が過多の場合には、カバースーツを車両に装着した時に通気性が低下するとともに伸縮度合が低下してフィット性が低下し、風によりカバースーツがばたつくおそれがある。1インチ間の編み目の数が過少の場合には、編み目1個当たりの編み目のサイズが過大となり、車両用カバースーツを車両に装着した時塵埃類が編み目を通過して車体に塵埃が付着するおそれがある。
車両用カバースーツに用いられる編物生地の破断伸度(JIS L−1096法による)は50〜300%であることがよく、さらには150%〜200%であることが好ましい。これにより、車両用カバースーツを車体に取り付けたときに、車両用カバースーツの破れを防止できる。
また、編物生地には、撥水剤、滑剤、耐候性等の添加剤を付加してもよく、それぞれの機能を付与することができる。たとえば、取扱い性、スリップ性、防汚性を向上せしめるためには、ペトロラタムをディッピング法により編物生地に付与することがよい。ペトロラタムは、大部分がパラフィンからなる炭化水素類の混合物である。本考案において用いるとすれば、油性半固体状ロウであるホワイトペトロラタム、ワセリン等が好適である。編物生地に付与させる方法は、たとえば、界面活性剤存在下、水に分散、乳化させ、その液状物を含浸、乾燥させる等で付着させるとよい。
本考案の車両用カバースーツは、車両に取り付けた時に、編物生地が引き伸ばされて、車両の前端から天井部を経由して車両の後端までの間を被覆する大きさをもつことが好ましい。本考案の車両用カバースーツは、車両を広範囲にほぼ全体に覆い前部ナンバープレートを仮に覆うプレート補強部と、車両の前部コーナー部である前部バンパーの両端部および後部バンパーの両端部を補強して覆うようにした4か所のコーナー補強部とを有する。これら4か所の部位は、車体の中で突出した部分であり、伸縮度をもつ車両用カバースーツを引っ掛け、カバースーツ全体を車体に密着フィットさせ完全に安定して被覆させるには、最も適当な部位であり、しかも、カバースーツの伸縮性およびカバースーツの縁辺部に取り付けたゴム紐の伸縮性を利用して、カバースーツ全体を車体に密着保持するために、ある程度の強度を保持し破れを防止する必要があり、欠くことのできない部位である。車両用カバースーツのこれらの補強部は、当て布が縫製されているとよく、その当て布は編物生地が好ましい。
本考案の車両用カバースーツは、運転席近傍の車体部分を覆う部分に小さい小窓が開口していても良い。この小窓を通じて、運転者は車両の位置を確認しながら車両の移動が可能となる。
車体が水で濡れることを防止したい場合には、車体に展張されたカバースーツの表面にフィルムを貼着するとよい。例えば、カバースーツの表面とフィルム表面とを部分的に面ファスナー、ボタンなどで接続するとよい。
(実施例1)
本実施例1は、図1、図2に示すように、自動車の車体8のほぼ全体を被覆する車両用カバースーツ1である。図3に示すように、車両用カバースーツ1は、細長い略四角形をなし、前側左右両側及び後側左右両側のコーナー部12は面取りされている。本実施例の車両用カバースーツ1は、3枚の伸縮性のある編物生地2を縫い合わせることにより形成されている。3枚の編物生地2は、車両用カバースーツ1の中央部31、右側部32、及び左側部33を構成している。なお、中央部31を構成する編物生地は2枚であってもよい。
本実施例1は、図1、図2に示すように、自動車の車体8のほぼ全体を被覆する車両用カバースーツ1である。図3に示すように、車両用カバースーツ1は、細長い略四角形をなし、前側左右両側及び後側左右両側のコーナー部12は面取りされている。本実施例の車両用カバースーツ1は、3枚の伸縮性のある編物生地2を縫い合わせることにより形成されている。3枚の編物生地2は、車両用カバースーツ1の中央部31、右側部32、及び左側部33を構成している。なお、中央部31を構成する編物生地は2枚であってもよい。
各編物生地2は、75デニールの捲縮加工したナイロンのマルチフィラメントで編成されている。マルチフィラメントは、太さ7デニールのモノフィラメントを11本束ねたものである。編物生地2の編成は、丸編みである。編物生地2の伸び率は200%であり、単位面積当たりの重さ(目付)は260g/m2である。
図4に示すように、編み目21は、編脚22と、編脚22で囲まれた開口部20とで形成されている。車両用カバースーツ1がフリー状態であるとき、編物生地2の編み目21を構成する隣合う編脚22間のピッチは100μmであり、1インチ当たりの編み目21の数は50である。車両用カバースーツ1がフリー状態であるとき、相対する編脚22で囲まれた開口部20の大きさは50μm以下、更には30μm以下である。フリー状態の車両用カバースーツ1の前後方向の長さは4400mmであり、左右方向の長さは2880mmである。
車両用カバースーツ1の中央部31は黒色、右側部32は青色、左側部33は橙色に染め分けられている。
車両用カバースーツ1は、自動車のナンバープレート81を覆うプレート補強部11と、自動車のコーナー部82を被覆するコーナー補強部12とを有する。ナンバープレート81を覆うプレート補強部11は、車両用カバースーツ1の前側中央部に形成され、コーナー補強部12は、車両用カバースーツ1の前側の左右両側のコーナー部、及び後側の左右両側のコーナー部に形成されている。プレート補強部11及びコーナー補強部12は、当て布が縫い付けられている。当て布は、車体全体を覆う編物生地2と同じ編物生地を用いる。車両用カバースーツ1の後側の左右両側のコーナー補強部12には、開口穴13が形成されている。開口穴13の周囲は袋縫いがされている。車両用カバースーツ1の周縁は、リング状のゴム紐5が縫い付けられている。ゴム紐5は、開口穴13の端部でも連続して繋がっている。
車両用カバースーツ1を自動車に取り付ける方法について説明する。車両用カバースーツ1の左右の色を見て、右側に青色の編物生地、左側に橙色の編物生地が配置されるように車両用カバースーツ1を配置する。車両用カバースーツの前部にはプレート補強部11とコーナー補強部12とが存在し、後部にはコーナー部12が存在していることを目印にして、車両用カバースーツ1の前後を確認する。
車両用カバースーツ1のプレート補強部11を自動車のナンバープレートに覆うように引っ掛ける。次に、車両用カバースーツ1で車体8の前側から後側を覆う。車両カバー1の後部のコーナー補強部12には開口穴13が形成されている。この開口穴13に、車体8の後部に取り付けたバンパーの左右のコーナー部82を覆うように引っ掛ける。
次に、車両前部に戻り、車両用カバースーツ1の前部のコーナー補強部12を車体の前部に取り付けたバンパーの左右のコーナー部82に覆うように引っ掛ける。車両用カバースーツ1の全体の伸縮性を確認して伸長度合いを調整する。以上により、車両用カバースーツ1の自動車への取付が完了する。
自動車に取り付けられた状態の車両用カバースーツ1は車体のほぼ全体を覆う。フリー状態のときの車両用カバースーツ1の大きさを100%としたときに、自動車に取り付けられた状態の車両用カバースーツ1の大きさは、縦方向(車両前後方向)に大きく伸び、横方向(車幅方向)の伸びが縦方向に比べて少なく、各方向の伸び率を平均化した平均伸び率は120%であった。図4に示すように、自動車に取り付けられた状態の車両用カバースーツ1では、編物生地2の編み目21を構成する編脚22間のピッチは縦方向が200μmであり、横方向が30μmであり、編脚22間の開口部20の大きさは20μm以下であり、1インチ当たりの編み目21の数は35である。
図5は、車両用カバースーツがフリー状態であるときの編物生地の拡大写真であり、図6は、車両用カバースーツが120%引き伸ばされたときの編物生地の拡大写真である。いずれの図からも、編み目を構成する網脚が膨潤していて、編脚で囲まれた開口部が微小になっていることがわかる。
本実施例1の車両用カバースーツ1は、編物生地2から形成されている。編物生地2は、ナイロンからなる複数のモノフィラメントを集束して構成したマルチフィラメントを素材原糸として用いて編成されている。編物生地2は極めて高い伸縮性及び弾力性を発揮する。かかる編物生地2からなる車両用カバースーツ1は、車両を被覆した時に、編物生地を引き伸ばして編物生地の編み目を自在に弾力的に引き伸ばさせ得るような伸縮性及び弾力性をもつ。このため、本実施例の車両用カバースーツ1で車両を覆ったときには、車両用カバースーツ1は車体8にフィットする。
本実施例1の車両用カバースーツ1で車体8を被覆することで、車体表面を傷つけることなく、車両への塵埃や花粉、黄砂等の付着を防止できる。また、夏期には駐車中の日光による車内のヒートアップ現象を防止することを目的として使用することもできる。冬期には、車窓の霜除け、凍結防止としても効果的に簡単に利用することができる。
さらに、本実施例の車両用カバースーツ1は、極めて高い伸縮性があり、柔軟で弾力性のある編物生地2で形成されている。車両用カバースーツ1を車両に取り付けるときには、車両用カバースーツ1を引き伸ばして車両を被覆する。このため、車両に取り付けられた状態では、編物生地2は引き伸ばされて車体表面にフィットする。そして、編物生地の編み目が一方向に引き伸ばされると同時に他方向に収縮されて適度な通気性がカバー全体で得られる。このため、車両運搬時などで風が吹き付けられたり駐車時に風に吹かれたりしても、車両用カバースーツ1はばたつかず、車体を傷つけることはない。
また、車両用カバースーツ1の全縁辺部にはゴム紐5が取り付けられている。車両用カバースーツ1は、前後四隅のバンパー端を起点としてその伸縮性及び弾力性とカバースーツ全縁辺部に取り付けられたゴム紐5の伸縮性とによりしっかりと固定され、全体に車体にフィットされる。このため、車両用カバースーツ1は、風などにより吹き飛ばされることはない。
本実施例の車両用カバースーツ1は、上記のようにフィット性と通気性とを兼ね備えているため、取付け及び取り外し時の擦り傷や風等によるばたつくことはなく、車体にばたつき傷はまったく発生しない。
編物生地2は、染色加工がされている。染色加工では、編物生地は、60℃以上、更には80℃以上の熱温水に晒される。図4に示すように、染色加工により、編物生地2を構成している編脚22が膨潤する。また、更に編物生地が引っ張られることで編み目を構成する編脚同士が絡み合う部分間の間隔が長くなるものの、逆に他方向で相対する編脚間は狭まり、結果として編み目の開口部は著しく小さくなる。このため、塵埃が、編脚22間の開口部20を通過することが困難となり、車体への塵埃の付着を防止することができる。また、編脚22は膨潤しているとともに、編脚22間には小さな開口部20も残るため、編物生地全体としては、通気性を有している。編物生地2は、染色加工又は熱水処理がされていることにより、通気性を保有しつつ塵埃の通過を防止でき、風によってもばたつかず車体にフィットしつつ、車体への塵埃の付着を防止できる。編物生地に染色加工又は熱水処理を施すことで、車両用カバースーツに、更に一段と伸縮性、弾力性、嵩高性、柔軟性が付与される。
編物生地を構成するマルチフィラメントは、捲縮加工が施されている。捲縮加工によりマルチフィラメントが嵩高となり、伸縮性及び弾力性を持たせることができる。
本実施例の車両用カバースーツ1は、伸縮性及び弾力性のある編物生地で形成されている。このため、カバースーツ1は、しわや折れ曲がり部分がなく、車体8の外形に沿ってフィットして取り付けられる。このため、車体8の外形をそのまま反映した状態で車体8を被覆することができる。車両に取り付けた時の車両用カバースーツは、見栄えがよい。着色などでカラフルなデザインにすることによって、正に車両のスーツ感覚も味わえる。
編物生地2の編み目の編脚を形成するマルチフィラメントは、捲縮加工や、編物生地に編成したときに熱水で染色加工が行われている。この加工や処理により、マルチフィラメントを構成しているモノフィラメントが膨潤して、編脚の脚分径を太くしている。脚分径を太くした編脚は、粉塵などの侵入を阻止するように編み目を塞ぎ、通気性と粉塵通過を阻止し、フィット性能を高めている。
このように、上記の編物生地で作成された車両用カバースーツ1は、車両を被覆した時に車体に塵埃類が付着せず、軽量で取り扱いやすく、通気性があり、風などの外圧によってもばたつかず、車体を傷つけることがない。
前記車両用カバースーツ1は、車両前部のナンバープレート81を覆うプレート補強部11と、車両前後のバンパー端又はバンパーのコーナー部82を被覆するコーナー補強部12とを有する。車両用カバースーツ1は、前後バンパーの四隅のバンパー端を被覆するコーナー補強部12を起点として、カバースーツ1全体で車体8にフィットして被覆されることとなる。このため、カバーの破れを補強することができる。
プレート補強部11および前後左右のコーナー補強部12を目印としてカバースーツを順次拡げることで、カバースーツ1を車両取付けに適した向きに容易に展開でき、取り付けおよび取り外しも簡便にできる。
車両用カバースーツ1は、左側部と右側部とで中央部を介して左右対称の形状をなし、左側部33と右側部32と中央部31は、互いに色又は模様が異なるデザインをもつ。左右それぞれに異なる色や模様を正しい向きに向き合わせることで、カバースーツを容易に正しく迅速に取り付けることができる。
1:車両用カバースーツ、11:プレート補強部、12:コーナー補強部、13:開口穴、2:編物生地、20:開口部、21:編み目、22:編脚、31:中央部、32:右側部、33:左側部、5:ゴム紐、8:車体
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂からなる複数のモノフィラメントを集束して構成したマルチフィラメントを用いて編み目をもつように編成された編物生地を染色加工又は熱水処理をすることで前記編物生地を構成する編脚を膨潤させて前記編脚自身に通気性と粉塵濾過性を持たせつつ編脚間の開口部を小さくするとともに、前記編物生地の伸縮性及び弾力性を増大させてなり、車両に取り付けるときに前記編物生地を引き伸ばして前記編物生地の前記編み目をフリー状態よりも弾力的に引き伸ばして車両に被覆するように構成されていることを特徴とする車両用カバースーツ。
- 前記マルチフィラメントは、太さが2〜25デニールの前記モノフィラメントを7〜48本集束させてなり、前記マルチフィラメントの太さは30〜150デニールである請求項1記載の車両用カバースーツ。
- 前記車両用カバースーツがフリー状態のときの前記編物生地の隣合う編脚間のピッチは40〜250μmであり、
前記車両用カバースーツを車両に取り付けたときの前記編物生地の伸び率の最も大きい方向の隣合う編脚間のピッチは、100〜700μmである請求項1又は2に記載の車両用カバースーツ。 - 前記車両用カバースーツは、車両前部のナンバープレートを覆うプレート補強部と、車両前後のバンパー端又はバンパーコーナー部を被覆するコーナー補強部とを有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用カバースーツ。
- 前記車両用カバースーツは、左側部と右側部とで中央部を介して左右対称の形状をなし、前記左側部と前記右側部と前記中央部は、互いに色又は模様が異なるデザインをもつ請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用カバースーツ。
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