JP3217542B2 - Mos構造の測距装置 - Google Patents

Mos構造の測距装置

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JP3217542B2 JP13614993A JP13614993A JP3217542B2 JP 3217542 B2 JP3217542 B2 JP 3217542B2 JP 13614993 A JP13614993 A JP 13614993A JP 13614993 A JP13614993 A JP 13614993A JP 3217542 B2 JP3217542 B2 JP 3217542B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、CMOS構造に形成さ
れた寄生トランジスタを利用した対数圧縮・対数伸長回
路等を用いた測距装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、撮影する際に、IRED(赤
外発光ダイオード)を一瞬、発光させて、指向性の強い
レンズで被写体を照射し、その反射光をIREDより一
定の基線長だけ光軸と直角方向に離れた場所に設置され
た半導体位置検出素子で受光し、その受光位置に従った
出力電流を検出し、被写体までの距離を検出するアクテ
ィブ三角測距方式の測距装置が搭載されたカメラが知ら
れている。
【0003】図33には、従来のCMOSアナログ回路
を使用したカメラの制御部の構成を示す図である。アナ
ログ回路をCMOSで構成しCMOSアナログ回路とマ
イクロコンピュータを1チップ化した構成となってい
る。
【0004】この制御部には、CPU(μ−comコ
ア)101、昇圧回路102、リモコン回路103、測
距回路104、NPNモータプリドライバ回路105、
モータ定電圧回路106、T安定T比例DAC回路10
7、コンパレータ108、B.C回路109、測温回路
110、リセット回路111、基準電圧回路112、測
光回路113、ストロボ充電検出回路114、PI/P
R検出回路115、PLEDドライバ回路116、PN
Pプリドライバ回路117が一体に構成されており、そ
の周辺にE2 PROM122、LCD121、スイッチ
120及び、ストロボ回路119で構成されている。
【0005】この測距装置は、被写体の反射率や距離に
より、反射光の強度が大きく異なるため、大きなダイナ
ミックレンジを必要とし、また反射光電流の比の値を検
出せねばならないため、対数圧縮・伸長機能による処理
を必要としている。
【0006】例えば、特開平1−260309号公報、
特開昭62−191702号公報には、半導体位置セン
サからの2つの検出電流を対数圧縮ダイオードに流し、
対数圧縮された2つの出力をベースに接続した1組のト
ランジスタよりなる差動増幅器のコレクタ電流を利用し
た測距演算回路が示されている。
【0007】また、特開平1−150809号公報、特
開平1−224617号公報には、さらに前記測距演算
回路のバリエーションが示されている。
【0008】以上のような測距回路は、従来バイポーラ
トランジスタ集積回路として構成されている。すなわ
ち、バイポーラ構造においては、バイポーラトランジス
タやダイオードを自在に使用することが可能であり、上
述した対数圧縮や対数伸長等のダイオード特性による機
能回路を構成するのは比較的簡単であった。
【0009】これに対して、前記測距回路をピュアMO
S構造にて構成しようとすると、MOSトランジスタは
通常下記のようなI−V特性を持ち、NMOSの場合、
【数1】 また、PMOSの場合、
【数2】 但し、ID =−βp /2(VGS−VTP2 、ID ;ドレ
イン電流、VTN;NMOSスレッショルド電圧、VTP
PMOSスレッショルド電圧、VGS;ゲートソース間電
圧、VDS;ドレインソース間電圧、μn ;電子の移動
度、μp ;正孔の移動度、Weff ;実効チャネル幅、L
eff ;実効チャネル長、Cox;単位面積あたりのゲート
容量である。
【0010】また、バイポーラトランジスタのI−V特
性は、
【数3】 但し、β;直流増幅率、IC ;コレクタ電流、IS ;飽
和電流、VBE;ベースエミッタ間電圧、VT :サーマル
ボルテージ(Thermal Voltage )。
【0011】すなわち、通常の動作領域ではMOSトラ
ンジスタはバイポーラトランジスタのI−V特性に示さ
れるような対数特性を有さない事が知られている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述したカメ
ラにおける測距回路や測光回路のように対数圧縮・伸長
機能を素子機能として要求する集積回路のすべてをMO
S構造の素子で形成することは困難であり、回路構成
上、不向きであった。
【0013】しかしMOSトランジスタは、従来用いら
れていたバイポーラトランジスタに比べて、(1)ハイ
インピーダンス化でき、(2)ロジック系とのマッチン
グが有利であり、(3)基本的にバイポーラトランジス
タよりもシュリンが可能であり、チップサイズを小さ
くでき、原価が低減される等のバイポーラトランジスタ
では得られない長所を備えている。
【0014】そこで本発明は、MOS構造で形成される
寄生バイポーラトランジスタを利用した対数圧縮・対数
伸長回路等の測距用演算回路で構成されるMOS構造の
測距装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、測距対象物に向けて光束を投光する投光手
段と、前記測距対象物からの前記光束の反射光を受光
し、前記測距対象物の距離に応じた1対の信号電流を出
力する受光手段と、前記1対の信号電流を、CMOS構
造中の寄生PNP型もしくはNPN型の2つの第1のト
ランジスタのベース・エミッタ間にそれぞれ流し、対数
圧縮信号を出力する対数圧縮手段と、2つの前記対数圧
縮信号をCMOS構造中の寄生PNP型もしくはNPN
型の2つの第2のトランジスタを用いてそれぞれ対数伸
長する対数伸長手段と、この対数伸長手段の出力に基づ
いて、前記測距対象物までの距離を求める距離検出手段
とで構成されたMOS構造の測距装置を提供する。
【0016】さらに測距対象物に向けて光束を投光する
投光手段と、前記測距対象物からの前記光束の反射光を
受光し、前記測距対象物の距離に応じた1対の信号電流
を出力する受光手段と、前記1対の信号電流を、CMO
S構造中の寄生PNP型もしくはNPN型の2つの第1
のトランジスタのベース・エミッタ間にそれぞれ流し、
対数圧縮信号を出力する対数圧縮手段と、2つの前記対
数圧縮信号の差を演算する差演算手段と、この差演算手
段の出力に基づいて、前記測距対象物までの距離を求め
る距離検出手段とで構成されたMOS構造の測距装置を
提供する。
【0017】
【作用】以上のような構成のMOS構造の測距装置は、
投光手段から測距対象物に光束が投光され、受光手段
で、その反射光を受光し、前記測距対象物の距離に応じ
た1対の信号電流が出力される。さらに対数圧縮手段に
より、その1対の信号電流がMOS構造内に寄生するP
NP型,NPN型のいずれかの2つの第1のトランジス
タのベース・エミッタ間にそれぞれ流れ、対数圧縮信号
が出力される。さらに対数伸長手段により、2つの対数
圧縮信号がCMOS構造内の寄生PNP型,NPN型の
いずれかの2つの第2のトランジスタで、それぞれ対数
伸長される。この対数伸長手段の出力に基づいて、距離
検出手段で前記測距対象物までの距離が求められる。
【0018】さらに、MOS構造の測距装置は、投光手
段により測距対象物に光束が投光され、受光手段でその
反射光を受光し、前記測距対象物からの距離に応じた1
対の信号電流が出力される。そして対数圧縮手段により
前記1対の信号電流が、CMOS構造中の寄生PNP
型,NPN型のいずれかの2つの第1のトランジスタの
ベース・エミッタ間にそれぞれ流れ、対数圧縮信号が出
力される。さらに差演算手段により、2つの前記対数圧
縮信号の差が演算され、この差演算手段の出力に基づい
て、距離検出手段により前記測距対象物までの距離を求
められる。
【0019】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0020】図1には、本発明によるMOS構造の測距
装置の概念を示し説明する。
【0021】図1(a)は、p型シリコン基板上にCM
OS構造のトランジスタを形成した場合に、存在する寄
生バイポーラトランジスタを示している。図中、トラン
ジスタQ1 はp+ 拡散層をエミッタ、nウェル領域をベ
ース、p型シリコン基板をコレクタとする縦型の寄生P
NPバイポーラトランジスタである。
【0022】通常、MOS構造の回路素子を形成した際
には、その素子のラッチアップの発生を防ぐため、ウェ
ル領域の層を厚く(深く)したり、該ウェル領域の不純
物濃度を高濃度化し、電流増幅率βが下げられるよう処
理されているため、形成される縦型の寄生PNPバイポ
ーラトランジスタの電流増幅率βは、通常5〜20程度
になる。またコレクタとして利用されるp型シリコン基
板は、接地電位にされているため、常に最も低い電位に
固定されている。
【0023】つまり、MOS構造に寄生するPNPバイ
ポーラトランジスタは、通常バイポーラ構造で形成され
るバイポーラトランジスタとは2点で異なっている。
【0024】第1に寄生PNPバイポーラトランジスタ
の電流増幅率βは極端に小さい。
【0025】第2に、寄生PNPバイポーラトランジス
タのコレクタ電位(接地電位)は、定まっていて、且つ
コレクタ端子として形成することができない。
【0026】また図1(a)に示すトランジスタQ
2 は、p+ 拡散層をエミッタ、コレクタ、nウェル領域
をベースとする横型の寄生PNPバイポーラトランジス
タである。またトランジスタQ3 は、p+ 拡散層をエミ
ッタ、nウェル領域をベース、pウェル領域をコレクタ
とする横型の寄生PNPバイポーラトランジスタであ
る。
【0027】このような寄生トランジスタのうち、支配
的になる寄生トランジスタは、濃度、構造(配置)によ
って異なるが、通常、縦型が支配的となると考えて良
い。
【0028】また、図1(b)は、n型シリコン基板上
にCMOS構造のトランジスタを形成した場合に、存在
する寄生バイポーラトランジスタを示している。
【0029】前述した図1(a)に示す寄生トランジス
タと異なる点は、n基板が最も高い電位にバイアスされ
ていることである。その他の構造は、図1(a)と類似
形であるため、説明は省略する。
【0030】次に、本発明による第1実施例としてのC
MOS構造で寄生するPNPトランジスタを利用した測
距装置について説明する。
【0031】図2は、第1実施例としての測距装置の全
体の概略的なブロック構成を示し説明する。
【0032】まず1つの基板上Aに形成される測距装置
全体を制御する、CPU及び周辺装置(μ−comコ
ア)からなるマイクロコンピュータ(以下、マイコンと
称する)1の端子T1 からの発光信号により、投光回路
2の後述するトランジスタQ1がオン・オフすることに
よって、外付けされたパワートランジスタ3をオン・オ
フする。このパワートランジスタ3の動作によって、投
光素子4で発光されたパルス光は投光レンズ5により集
光されて、被写体距離aに位置する被写体6に照射され
る。
【0033】前記被写体6で反射された反射光は、前記
投光レンズ5から基線長Lを隔てて配置された受光レン
ズ7を介し、その焦点距離fT の位置に配置された半導
体位置検出素子(PSD)8上の受光面に結像される。
そして前記PSD8は、それぞれの端子NCH,FCH
から出力された信号光電流IN ,IF が測距装置で検出
されて被写体距離が求められる。
【0034】この測距装置は、被写体(測距対象)に光
パルスを投光する投光回路2と被写体からの反射光を受
光して信号パルス光電流成分を検出するプリアンプ回路
9と前記検出された光電流から被写体の距離情報を求め
る測距演算回路10とこの演算出力をA/D変換する積
分リセット・逆積分回路11、また反射光量そのものの
検出を行うための光量検出回路12、さらに光輝度時や
被写体距離があまりにも遠い場合は測距演算出力を∞側
に引き下げる為のBV /∞リミッタ回路13、∞リミッ
タの比較レベルをマイコン1のCPUからのデジタル値
で設定する為の電流型D/A変換回路14とで構成さ
れ、1つの基板A上にMOS構造で形成される。
【0035】以下に各構成回路について詳細に説明す
る。
【0036】図3に示す投光回路2において、IRED
4は外付けのパワートランジスタ3によりドライブされ
る。この外付けパワートランジスタ3のオン・オフ制御
は、該投光回路2内のNMOSトランジスタQ1 のオン
・オフにより行われる。そして、このトランジスタQ1
のオン・オフは、マイコン1の制御端子T1 のオン・オ
フによって行われる。ここで、制御端子T1 はオープン
ドレイン構成である。前記トランジスタQ1 のドレイン
電流は、通常20mA程度であるため、測定用回路や制
御回路と同一の電源から供給することはできない。何故
ならば、電流負荷として重いため、オン・オフによって
大きな電源変動を引きおこし、他の測定・制御系に悪影
響を及ぼすからである。そこで、本実施例では、トラン
ジスタQ1 のドレイン端子を電池の出力に直結するよう
に構成し、測定・制御系の電源(VCC2 )と分離してい
る。
【0037】以上のようにして測定・制御系に影響を与
えないパワーソースを得ることができる。
【0038】そして、PMOSトランジスタQ3,Q4
は後述するチップイネーブル回路内の基準電流回路の出
力であり、VTln 7(V)/5(kΩ)、即ち約10μ
Aの電流源である。よって抵抗R2 の両端の電圧降下
は、約100mVとなっている。抵抗R5 はシャント抵
抗であり、通常外付けパワートランジスタをシォントす
るために存在している。
【0039】さて、トランジスタQ1 がオンすると、2
0mA程度の電流が、外付けパワートランジスタ3のベ
ースに流れ込み、該外付けパワートランジスタ3の直流
増幅率倍の電流が抵抗R0 ,IRED4に流れることに
なる。この時の抵抗R0 の電圧降下をVR0、パワートラ
ンジスタ3のベース・エミッタ電圧VBEと抵抗R2 の電
圧降下VR2の和が、NMOSトランジスタQ2 のVt
超えると、トランジスタQ2 がオンし、PMOSトラン
ジスタQ3のドレイン電流をGNDに排出し、NMOS
トランジスタQ1 のゲート電位が下がり、トランジスタ
1 のソース電流を減少させ外付けトランジスタr3
0 に流れる電流が減少する。このような負帰還回路構
成により、結局、 VR0+VBE+VR2=Vt の状態に安定する為、IRED4に流れる電流はVR0
0 となる。
【0040】以上のようにして、この投光回路2によっ
てIREDの定電流ドライブが実行される。
【0041】次に図4,5に示すプリアンプ回路9につ
いて説明する。
【0042】このプリアンプ回路9において、光電流増
倍用のカレントミラー回路を構成するNMOSトランジ
スタQ9 ,Q10と、P基板をサブストレートとするCM
OS構造中の寄生バイポーラトランジスタQ16と、抵抗
8 とPMOSトランジスタQ11からなる2μA定電流
源と抵抗R11とPMOSトランジスタQ21とNMOSト
ランジスタQ20と抵抗R17とNMOSトランジスタQ8
とから2μA定電流源が構成される。
【0043】さらに、抵抗R12,PMOSトランジスタ
23,NMOSトランジスタQ22,Q15から構成させる
2μA定電流源とPMOSトランジスタQ5 、抵抗
6 ,R7 ,PMOSトランジスタQ7 とPMOSカレ
ントミラー回路を構成するPMOSトランジスタQ39
40とから2つの光電流検出回路(対応する回路記号に
はAをつけて重ねての説明は省略する)が構成される。
【0044】そして、抵抗R9 ,R10、PMOSトラン
ジスタQ12,Q13,Q14、NMOSトランジスタQ17
18,Q19とから、寄生トランジスタQ16のエミッタ電
位を次段に伝送する2つソース・フォロワ(対応する回
路記号にはAをつけて重ねての説明は省略する)が構成
される。
【0045】また、PMOSトランジスタQ24,Q25
26,Q31,Q32,Q33、NMOSトランジスタQ27
28,Q29,Q30,Q34と抵抗R13,R14,R15
18,R19,R20,R21,R22とからなるオペアンプ
と、背景光電流に相等する電圧値をホールドするホール
ドコンデンサC4 とから、2つの背景光電流除去回路
(対応する回路記号にはAをつけて重ねての説明は省略
する)が構成される前記背景光除去レベルを設定するた
めの抵抗R16、PMOSトランジスタQ37,Q35
36、抵抗R23、寄生バイポーラトランジスタQ38より
なる比較用基準電圧回路と、抵抗R26,R27,R28,R
29及びPMOSトランジスタQ45,Q46,Q47NMOS
トランジスタQ41,Q42,Q42,Q48,Q49,Q50、抵
抗R25とR24、CMOS構造中の寄生バイポーラトラン
ジスタQ43,Q44からなる基準電流回路から構成されて
いる。
【0046】次に、このプリアンプ回路9の動作につい
て説明する。
【0047】まず、このプリアンプ回路9において、電
源ラインがノードCN7によって一定電圧VCC3 (=
1.9V)で固定されている。通常、MOSトランジス
タのアーリー電圧は5〜20V程度であり、バイポーラ
トランジスタは50〜100Vである。このため、MO
Sトランジスタ集積回路は、バイポーラ集積回路と比べ
て、電源電圧変動に対して、1/5〜1/10程度弱い
ものとなる。これはデジタル回路においては問題になら
ないかもしれないが、高精度な微弱信号の検出を行う測
距回路の様なアナログ回路では重要な問題になる。
【0048】一般に、MOSトランジスタのアーリー電
圧VA は、
【数4】 但し、L;チャネル長、Xd ;空乏層幅、Leff ;実効
チャネル長で表わされ、チャネル長によって決められて
しまう。すなわち、MOSトランジスタのアーリー電圧
をバイポーラ程度に設定しようとするならば、Leff
約10μm程度に設定すれば良い。
【0049】通常、デジタル回路に用いられているL
eff が約1μmであるから、バイポーラトランジスタ程
度の素子性能を得るためには、MOSトランジスタの高
集積化可能という長所が損われる可能性がある。
【0050】以上のような理由から、高集積化を損わ
ず、アーリー電圧の影響を受けず、且つ低電圧で動作可
能なMOSアナログ回路を得るため、微小信号検出回路
の電圧は一定電圧値で固定するように構成し、電源電圧
変動に影響されにくい測距回路を実現している。また、
この手法に限らず、CMOS構造においては、チャネル
長Lは、自由に選択できるので、アーリー電圧の効く部
分の素子はチャネル長Lを大きく、それ程効かない部分
は、チャネル長Lを小さくして回路規模を適正なものと
なるように構成しても良い。
【0051】そして、ノードCN7にVCC3 電圧が印加
され、ノードCN15に電流が注入されると、基準電流
回路が動作する。この基準電流回路は、トランジスタQ
41とトランジスタQ42のソース電位が等しくなり、また
ドレイン電流がそれぞれ等しくなるように動作する。す
なわち、ドレイン電流をID とすると、
【数5】 となる。このドレイン電流は、トランジスタQ45,Q46
とカレントミラーを構成するトランジスタQ12、Q13
24,Q37,Q23,Q12A ,Q13A ,Q24A ,Q23A
ソース電流として流れ、プリアンプ回路9全体が動作を
開始する。
【0052】そして、トランジスタQ11,Q12,Q21
11A ,Q12A ,Q21A のドレイン抵抗は、MOSトラ
ンジスタのドレイン抵抗の倍の50kΩであるため、ド
レイン電流は、1/5すなわち2μAとなる。
【0053】以上のようにしてバイアス電流がプリアン
プ回路9に供給される。
【0054】前記光電流検出回路部は、トランジスタQ
5 のゲートを入力とする帰還回路であって、トランジス
タQ5 のゲート電圧変動は、該トランジスタQ5 で増幅
され、トランジスタQ5 のソース電圧変動となる。
【0055】前記トランジスタQ5 のソース電圧は、ト
ランジスタQ7 のゲートに印加されて、R7 /R6 倍に
反転増幅された値が、トランジスタQ9 のゲートに印加
される。前記トランジスタQ9 のドレインは前記トラン
ジスタQ5 のゲートに接続され、前記トランジスタQ5
のゲート電圧変動をなくするよう動作する。
【0056】結局、この光電流検出回路部は、トランジ
スタQ5 のゲート・ソース電圧が一定の負帰還回路を構
成している。このトランジスタQ5 のゲートにPSD8
からの信号パルス電流IN が入力されると、このIN
全てトランジスタQ9 のドレイン電流として扱いとられ
てしまう。前記トランジスタQ9 は、トランジスタQ10
と共に100倍のカレントミラー回路を構成しているた
め、寄生トランジスタQ16には、101・IN なる電流
が流れ込むことになる。また、ノードCN21からは1
00×IN (Q15のドレイン電流)が出力されることに
なる。寄生トランジスタQ16のエミッタ電位は、トラン
ジスタQ14,Q17によるソースフォロワを介してノード
CN20より、次段の測距演算回路10へ伝達される。
【0057】前記エミッタ電位は、
【数6】 である。
【0058】背景光電流除去回路部を構成するオペアン
プの出力は、チップ内部に形成されたコンデンサと背景
光による光電流の引き抜き用NMOSトランジスタQ34
のゲートに接続されている。
【0059】非投光時に制御回路部であるマイコン1の
端子T8 の出力信号が“H”レベルの時、トランジスタ
33がオフし、オペアンプの反転端子(Q26のゲート)
・非反転端子(トランジスタQ25のゲート)がイマジナ
リーショートとなるようにオペアンプが動作し、コンデ
ンサC4 に非投光時の波形光電流とQ11による定電流に
応じた電荷が蓄積されることにより、トランジスタQ34
のドレイン電流として前記電流がGND側に排出され
る。
【0060】オペアンプの反転端子の電位は、寄生PN
PトランジスタQ38のベース・エミッタ電圧VBE(ref)
である。トランジスタQ38はトランジスタQ16,Q16A
と相似形であって、ここでは同一の形状をもつように設
定している。
【0061】前記トランジスタQ38のベース・エミッタ
間に流れる電流Iref は、トランジスタQ36のドレイン
電流として与えられ、トランジスタQ35,Q36,抵抗R
23,Q37,R16による回路構成によって、Iref が約1
A程度に設定されている。この設定値は入力換算で
入力信号電流の最小値の1/10以下を目安とすれば良
い。よって、トランジスタQ38のVBE(ref) は、
【数7】 となる。
【0062】そして、イマジナリーショートが達成され
るとトランジスタQ16のVBE(Q16)は、前記V
BE(ref) と等しくなるので、トランジスタQ16に流れる
エミッタ電流はIref と等しくなる。この時トランジス
タQ1 に流れる電流は、トランジスタQ15のソース電流
20μAの1/101であり約0.2μAである。この
値は、NMOSトランジスタによるカレントミラー増倍
回路のパルス応答性を増すためのバイアス電流値であ
る。
【0063】そして投光の直前において、端子T8 の出
力は“L”となりPMOSトランジスタQ33がオンする
と、トランジスタQ32,Q30のVGSは同時に小さくな
り、その結果、前記トランジスタQ32,Q30は同時にオ
フする。
【0064】このような、出力段のPMOSトランジス
タとNMOSトランジスタを同時にオフ状態に遷移させ
るスイッチング手法を使用することで、NMOSトラン
ジスタとPMOSトランジスタの切れ遅れによるスイッ
チングノイズをなくすることができ、従来方式のオペア
ンプのバイアス電流源がカットできる。
【0065】これにより、公知なスイッチング手法(特
開平4−339208)では達成できなかったホールド
コンデンサC4 の低容量化をはかることができる。ホー
ルドコンデンサの低容量化は、ホールドコンデンサの集
積回路内蔵化にとって非常に重要であり、前記手法の出
力段のPMOSトランジスタとNMOSトランジスタを
同時にオフさせる手法は非常に大きな意義がある。
【0066】次に図6には、前述した本実施例のスイッ
チング手法とは、別の構成例を示し説明する。
【0067】投光時にはトランジスタQ32及びトランジ
スタQ30がオフとなっており、オペアンプによるフィー
ドバックが行われなくなっているが、コンデンサC4
蓄積された電荷により、NMOSトランジスタ34が前
述した背景光電流成分とトランジスタQ11による低電流
をGNDに排出しつづけるので、PSD8の光電流のう
ち背景光による光電流を除いたパルス光電流成分IN
みが、カレントミラー回路Q9 ,Q10によって101倍
されて、トランジスタQ16のエミッタに注入される。
【0068】この時のトランジスタQ16のエミッタ電位
は、
【数8】 同様にしてトランジスタQ16のエミッタ電位は、
【数9】 である。
【0069】以上2つの電圧は、ソーフフォロワを介し
て次段の測距演算回路10へ伝送される。
【0070】ホールドコンデンサC4 によって背景光電
流成分とトランジスタQ11による定電流成分を排出しつ
づけるホールド特性は、ホールドコンデンサC4 のコン
デンサ容量に依存する。また、ホールド時のスイッチン
グノイズに対する耐性(スイッチングノイズによる電圧
変動の小ささ)もまたコンデンサ容量に依存する。
【0071】通常、集積回路上に形成されるコンデンサ
は、ベース拡散による接合容量や、シリコン酸化膜やシ
リコン窒化膜をアルミ電極でサンドイッチしたものが使
用され、その容量値は2fF/μm2 であり、実用上数
10pFの非常に小さい容量しか形成することができな
い。
【0072】そこで本実施例の集積回路では、図7に示
されるような強誘電体薄膜を利用した集積回路用大容量
コンデンサを用いている。BST(=チタン酸バリウム
・ストロンチウム)などの強誘電体は、その誘電率が、
従来のシリコン酸化膜やシリコン窒化膜と比較して約1
00倍もあり、現時点でも32fF/μm2 と従来の容
量に対して16倍の高容量化が達成されている。
【0073】そして測距装置においては、前記ホールド
コンデンサに外乱ノイズが乗ることによって、測距出力
が悪影響を及ぼすことがしばしばある。そして、そのノ
イズ源は、IC内部の背景光除去回路部のGNDとIC
外部につけられたホールドコンデンサのGNDとの微弱
な電位差に依ることが多い。
【0074】このため測距装置のIC用のGNDは、背
景光除去回路部と他のブロックの2つに分け、GNDラ
インはできるだけ太くして共通インピーダンスをもたな
いよう配慮する必要がある。このためIC規模が大きく
なり、またホールドC接続用のパッドのリードフレーム
は言うに及ばず背景除去回路の専用のGNDパッド、リ
ードフレームが必要でICピン数も増大し、ICパッケ
ード自体も大きくなる。さらに他の外乱ノイズに対して
も弱くなる。前記理由からホールドコンデンサをIC内
部に形成することは非常に大きな意義がある。また、ホ
ールドコンデンサ自体の実装面積及びコストを要するの
で、カメラの小型化及び低コスト化に対する障害とな
る。
【0075】以上のような観点から本実施例では強誘電
体薄膜を利用したホールドコンデンサを集積回路上に形
成し、測距回路の耐ノイズ性を向上させると共に、測距
ICの小型化、低コスト化を実現しいている。
【0076】図8に示される測距演算回路10は、PM
OSトランジスタQ55,Q56、NMOSトランジスタQ
57,Q58,Q59と抵抗R32,R33とPMOSトランジス
タQ53,Q54から構成される定電流源とからなるトラン
ジスタQ55のゲートを非反転入力トランジスタQ56のゲ
ートを反転入力とするオペアンプと、抵抗R35,R36
37,R38,R39,R40とPMOSトランジスタQ60
61,Q62,Q63,Q64,Q65からなるカレントミラー
回路と、抵抗R31とトランジスタQ52からなる定電流源
と抵抗R30と寄生トランジスタQ51からなるバンドギャ
ップ基準電圧(1.26V)回路と、基準電流設定用の
抵抗R34と以上全てから構成される基準電流発生回路部
と、抵抗R38,トランジスタQ63による定電流源と寄生
トランジスタQ76,Q77とから構成される対数伸長回路
部と、抵抗R39とトランジスタQ64による定電流源と抵
抗R40とトランジスタQ65による定電流源とトランジス
タQ74,Q75,Q73,Q72,Q71,Q68とで構成される
トランジスタQ74のゲートを非反転端子、トランジスタ
75のゲートを反転端子とするオペアンプと、寄生トラ
ンジスタQ78から構成されるエミッタ電流検出回路部
と、積分コンデンサC6 に前記エミッタ電流値を積分す
るかしないか決定するためのトランジスタQ66,Q67
抵抗R41,R42,トランジスタQ69,Q70,Q62,抵抗
37からなる積分スイッチ回路部からなる。
【0077】前記対数伸長回路部の寄生トランジスタQ
76,Q77のベースにはそれぞれ先のプリアンプ回路9か
らのソースフォロワ出力が接続されている(CN27←
CN20、CN26←CN12)。
【0078】寄生トランジスタQ76,Q77のエミッタ電
流をI76,I77,トランジスタQ63のソース電流をI63
とすると、 I76+I77=I63 である。トランジスタQ76,Q77のエミッタ電位に着目
すると、 VBE16+VBE76=VBE16A +VBE77 である。但し、VBE16;トランジスタQ16のエミッタ電
位、VBE16A ;トランジスタQ16A のエミッタ電位、V
BE76;トランジスタQ76のエミッタ電位、VBE77;トラ
ンジスタQ77のエミッタ電位とする。よって、 VBE16−VBE16A =VBE77−VBE76 ここで投光時において、
【数10】 そしてエミッタ電流検出回路部のオペアンプ動作によっ
て、トランジスタQ74のゲート電圧(非反転入力)とト
ランジスタQ75のゲート電圧(反転入力)はイマジナリ
ーショートがとられ、その結果、トランジスタQ77のエ
ミッタ電位とトランジスタQ78のエミッタ電位は等しく
なる。またトランジスタQ78とトランジスタQ77のベー
スは共通であるのでトランジスタQ77,Q78のベース・
エミッタ電圧は等しくなり、その結果、トランジスタQ
77とトランジスタQ78のエミッタ電流は等しくなる。
【0079】前記トランジスタQ78のエミッタ電流は、
NMOSトランジスタQ68のドレイン(ソース)電流と
して供給される。
【0080】そして、その電流はマイコン1の制御端子
6 が投光に同期して“H”となることで、MOSスイ
ッチQ66がオンし、前記測距演算電流IEN
【数11】 を積分コンデンサC6 にチャージする。
【0081】MOSスイッチQ66は投光時にON、非投
光時にオフし、1回の投光ごとに前記測距演算電流が積
算される。
【0082】図9は測距演算回路(対数伸長回路部)1
0の別の構成例であり、これによると測距演算出力は、
【数12】 となる。
【0083】次に図10には、BV /∞リミッタ回路1
3の構成を示し説明する。このBV/∞リミッタ回路1
3は、前述した測距演算電流を積分することの許容/禁
止の役割を果たすものであり、被写体輝度が高すぎて測
距演算に不適な場合と信号光電流が小さ過ぎて測距演算
に不適な場合には測距演算出力の積分を禁止するように
なっている。測距演算積分限界の信号光レベルは、セン
サも含めて測距系のノイズレベルによって定められる。
【0084】前記BV /∞リミッタ回路13は、トラン
ジスタQ80,Q44,Q103 ,Q102,Q105 ,Q104
101 からなるBV コンパレータと、トランジスタQ
107 ,Q106 ,Q109 ,Q108 ,Q79,抵抗R43からな
るソースフォロワと、トランジスタQ83,Q93,Q92
95,Q94,Q91,抵抗R47からなる∞コンパレータ
と、トランジスタQ100 ,Q98,Q97,Q99,Q96,Q
81,Q82,抵抗R45,R46からなるソースフォロワと、
トランジスタQ90,Q89,Q84,Q48,Q88,抵抗
49,Q89,Q85,Q86からなる∞リミットレベル基準
電圧発生回路とから構成されている。
【0085】ノードCN34には、プリアンプ回路9の
トランジスタQ34のソース電位、ノードCN35にはプ
リアンプ回路9のトランジスタQ34A のソース電位が接
続され、ソースフォロワトランジスタQ107 ,Q106
ソース出力は、前記ソース電位のうち高い方に準ずる。
この値がコンパレータの(−)端に入力され(+)端の
ノードCN33は定電圧0.2Vが入力されているの
で、高輝度になり、ソースフォロワ出力が0.2V以上
になった時トランジスタQ101 がオンする。
【0086】同様にしてCN39,CN30にはプリア
ンプ回路9のトランジスタQ16,Q16A のエミッタ電位
が入力され、ソースフォロワトランジスタQ98,Q97
ソース端はその大きいエミッタ電位に準じた電位があら
われる。この値と、比較基準電圧であるトランジスタQ
90のエミッタ電位との比較がなされ、ソース電位が低い
と、トランジスタQ91がオンする。
【0087】前記トランジスタQ91とトランジスタQ
101 のドレイン端子は、ワイアードORになっており、
CN32を介して先の測距演算回路10のスイッチ部C
N29に接続され、積分コンデンサのチャージを禁止す
る。
【0088】比較基準電圧は、トランジスタQ90の寄生
トランジスタにプログラムによって、記憶手段に格納さ
れたデジタル値に従ってD/A変換回路14により生成
された電流を流し込むことで生成する。この所定電流値
に、さらにトランジスタQ89,Q88,Q87,Q85
86,抵抗R49によって生成されるトランジスタQ89
ゲート電位すなわち、輝度に依存するトランジスタQ34
のソース電位に準ずる電流値が加算されるようになって
いる。
【0089】これは、光輝度時において、センサ側で発
生する背景光電流によるショットノイズによりノイズレ
ベルが大きくなるためを高輝度時には∞リミッタを深く
効かせて測距誤動作をさせないためである。
【0090】このようにして本実施例では、回路的に輝
度に応じて∞リミッタレベルを変えるよう構成したが、
図11に示すような測光部からのA/D変換された輝度
情報に基づいてマイコン1がD/A変換回路14を利用
して∞リミッタレベルを変更するよう構成しても良い。
変更のための定数ないし、数式はE2 PROM等の記憶
手段に記憶させておけば良い。
【0091】次に図12には、積分リセット・逆積分回
路11の構成を示し説明する。この積分リセット・逆積
分回路11は、トランジスタQ119 ,Q120 ,Q121
11 8 ,Q112 ,Q114 ,Q117 ,Q116 ,Q115 ,抵
抗R50,C7 よりからなるオペアンプと、トランジスタ
110 ,Q111 ,Q124 ,Q123 ,Q122 からなる逆積
分回路と逆積分の許容/禁止を行うスイッチング素子Q
125 と、基準電圧VCC 3 をつくるトランジスタQ113
51と、トランジスタQ127 ,Q126 ,Q129,Q128
からなるトランスミッションゲートとから構成されてい
る。
【0092】前記トランスミッションゲートはマイコン
1の制御端子T5 からの信号によって制御され、一連の
投光開始前にT5 端子の電位は“L”であって、トラン
スミッションゲートはオン状態となり、オペアンプは負
帰還がかかり、いわゆるボルテージフォロワとなる。
【0093】よってノードCN43に接続されている積
分コンデンサC6 は抵抗R51とトランジスタQ113 によ
って定められる電位に固定される(リセットされる)。
一連の投光動作が開始される直前にT5 端子は“H”に
なり、トランスミッション・ゲートはオフし、オペアン
プはコンパレータとなる。
【0094】そして、一連の投光が終了し積分コンデン
サには測距演算出力がチャージされているが、マイコン
1はT4 端子の信号を“L”から“H”に変更して、カ
ウントを開始する。このT4 端子の電位が“L”から
“H”にかわると、トランジスタQ125 がオンからオフ
に変化し、トランジスタQ123 ,Q124 ,Q122 がオン
し、逆積分を開始する。
【0095】そして、逆積分開始してからしばらく経過
すると、トランジスタQ119 のゲート電位がQ118 のゲ
ート電位をこえ、その結果、トランジスタQ115 のドレ
イン電位が“L”に落ちる。このドレイン電位はマイコ
ン1の入力端子T7 に入力されており、該マイコン1は
逆積分開始からT7 端子の電位が“H”から“L”に変
化するまでの時間をカウントして、前記測距演算出力の
A/D変換が実行される。
【0096】図13(a)に示す光量検出回路12は、
抵抗R52,トランジスタQ130 ,Q131 からなり、2つ
のチャネルからの光電流出力のトランジスタQ40,Q
40A のソース電流を加算し、バイアス電流成分をキャン
セルする回路と、抵抗R53,トランジスタQ134 ,Q
132 ,Q133 ,Q136 ,Q137 ,抵抗R55からなり、検
出された光電流をスイッチングによって積分C6 に積分
するためのスイッチ回路とから構成される。
【0097】図13(b)に示すように積分される信号
電流I0 には、所定のバイアス電流が加算されている。
このバイアス量は、投光時間に同期した積分中に(+)
方向のノイズ成分と一方向のノイズ成分がキャンセルす
るようなバイアス量に設定されており、ノイズに埋もれ
た信号光電流成分を積分することで精度よく注出するこ
とを可能としている。信号光電流I0 は、マイコン1の
制御端子T2 が投光に同期させて“L”から“H”にス
イッチングすることにより積分コンデンサC6にチャー
ジされる。
【0098】図14に示されるチップイネーブル回路1
5は、トランジスタQ138 ,Q139,Q140 ,Q141
142 ,Q143 ,Q144 ,Q145 ,Q146 ,抵抗R72
71,R56,R57,R59,R61,R62,トランジスタQ
151 ,Q152 からなる基準電流回路と、マイコン1のT
3 端子の電位が“H”になると動作し、前記基準電流回
路を動作させる抵抗R60,トランジスタQ147
148 ,抵抗R70,R69,R68,トランジスタQ149
抵抗R67,トランジスタQ160 からなるスタータ回路
と、トランジスタQ153 ,Q154 ,Q155 ,Q156 ,Q
157 ,Q158 ,Q159 ,抵抗R63,C8 からなるオペア
ンプと抵抗R66とトランジスタQ150 からなるバンドギ
ャップ基準電圧回路と分圧抵抗R64,R65から構成され
る測距回路用安定化電源回路とから構成されている。
【0099】前述したようにマイコン1の制御端子T3
に電位が“H”となると、測距装置全体に電源とバイア
ス電流が供給され、また“L”となるとトランジスタQ
160がオフし、CNIS6の電位1.9VがGNDに落
ちるため、測距装置全体への供電が停止される。このよ
うにしてカメラシーケンスにおいて、測距動作の必要の
ない時期の測距装置による無駄な電池消耗を防ぐよう考
慮されている。
【0100】図15は、本実施例の動作を示すタイミン
グチャートであり、図16乃至図18は前記タイミング
チャートを実現するためのマイコン1のプログラムを示
すフローチャートである。
【0101】以下動作をタイミングチャート、フローチ
ャートを参照しながら詳しく説明する。
【0102】まず、表1に示すように端子リセット処理
を行う(ステップS1)。
【0103】
【表1】 次にマイコン1の端子T3 の信号を“L”から“H”に
して各構成回路に供電を行い(ステップS2)、10m
sec間回路が安定するまで待つ(ステップS3)。
【0104】そして、回数Nを“5”に設定し(ステッ
プS4)、マイコン1の端子T8 の信号を“H”から
“L”にして、背景光ホールド状態にする(ステップS
5)。マイコン1の端子T1 の信号を“L”から“H”
にして、IRED4を発光させるとともにインダクタL
0 に通電し、電気エネルギーを蓄えつつ(ステップS
6)、60μsec待機する(ステップS7)次に前記
端子T8 の信号を“L”から“H”にして、背景光ホー
ルド解除し、前記端子T1 の信号を“H”から“L”に
して(ステップS8)、IRED4の発光を停止させる
と共にインダクタL0 への通電を停止する。この時イン
ダクタに蓄えられたエネルギーはダイオードD0 を介し
て、コンデンサC1 または抵抗R1 を介してコンデンサ
2 にフライバック電圧として印加され、コンデンサC
1 ,C2 はそれぞれ昇圧充電が行われる。
【0105】次に回数Nをデクリメントし(ステップS
9)、回数Nが“0”になったか否か判定し(ステップ
S10)、所定の回数(時間)の昇圧がくり返されるこ
とにより、図15に示される様にコンデンサC2 の電圧
は測距回路用低電圧源VCC3を充分に保持可能な程度に
昇圧される。
【0106】そして所定の回数の昇圧が終了すると(Y
ES)、マイコン1はE2 PROM(不図示)から読み
出された測距装置の∞リミッターレベルであるデジタル
値を電流型D/A変換回路14にセットし、その出力電
流によって、∞リミッタレベルがセットされる(ステッ
プS11)。
【0107】次に、マイコン1は、測距に先立って測距
回路と同一チップ上に形成され、測距装置(回路基板)
自体の温度を測定する測温回路(図19)の出力をA/
D変換し、測距時の回路基板自体の温度をRAM等の記
憶手段に記憶する(ステップS12)。この処理ルーチ
ンは、測距終了直後に行っても良い。即ち、回路基板温
度は、同一基板上に形成された他の回路の動作・不動作
によって(カメラシーケンスによる)著しく変化するた
め、動作時の測距装置温度を認識する必要がある。
【0108】そして、測距装置が安定する時間10ms
ec待機した後(ステップS13)、マイコン1の端子
5 の信号を“L”から“H”にして、積分リセットを
解除する(ステップS14)。これにより測距演算出力
電源が積分コンデンサC6 にチャージ可能となる。
【0109】次に測距回数Nを125に設定し(ステッ
プS15)、端子T8 を“H”から“L”にして、背景
光ホールド状態にする(ステップS16)。次に端子T
1 の信号を“L”から“H”にして、投光状態にして
(ステップS17)、30μsecた待機した後(ステ
ップS18)、端子T6 の信号を“L”から“H”にし
て積分状態にする(ステップS19)。この端子T6
電位が“H”の間だけ測距演算出力が積分される。
【0110】そして、30μsec待機して(ステップ
S20)、端子T8 の信号を“H”、端子T1 の信号を
“L”、端子T6 の信号を“L”にする(ステップS2
1)。これにより、背景光ホールドを解除し、背景光電
流をバイパスするためのフィードバックループが動作可
能となり、背景光の変化に追従して背景光電流をGND
に排出しつづける。
【0111】そして、投光を停止し、測距演算積分を停
止して、200μsec待機した後(ステップS2
2)、回数Nをデクリメントする(ステップS23)。
【0112】次に投光回数がN=0になったか判定し
(ステップS24)、N=0でないならば(NO)、ス
テップS16に戻る。しかしN=0であるならば(YE
S)、図16のステップS25に移行する。
【0113】つまり、端子T4 の信号を“L”から
“H”にして、逆積分を開始し(ステップS25)、カ
ウントスタートさせる(ステップS26)。
【0114】次に端子T7 の信号を“L”か否か判定し
(ステップS27)、“L”でなければ(NO)、カウ
ント値がカウントリミッタを超えたか否か判定する(ス
テップS28)。しかし端子T7 の電位が“L”あれ
ば、若しくはカウント値がカウントリミッタを超えた場
合には(YES)、カウンタをストップする(ステップ
S29)。
【0115】次に端子T4 の信号を“L”にして、逆積
分を停止する(ステップS30)。そして、メモリM1
にカウンタ値を格納する(ステップS31)。端子T5
の信号を“L”にして積分C6 をリセットし(ステップ
S32)、5msec待機する(ステップS33)。
【0116】次に端子T5 の信号を“H”にして積分リ
セットを解除する。そして投光回数Nを125に設定す
る(ステップS35)。端子T8 に電位を“L”にし
て、背景光ホールド状態にして(ステップS36)、端
子T1 の信号を“H”にして投光状態にする(ステップ
S37)。
【0117】そして、30μsec待機して(ステップ
S38)。端子T2 の信号を“H”にして光量積分状態
にする(ステップS39)。ここでは前記端子T2 の電
位が“H”の間だけPSDの入射光量成分が積分され
る。そして30μsec待機した後(ステップS4
0)、端子T8 の信号を“H”、端子T1 の信号を
“L”、端子T2 の信号を“L”にして、背景光ホール
ドを解除し、投光を停止し、光量積分を停止する(ステ
ップS41)。
【0118】次に200μsec待機した後(ステップ
S42)、投光回数Nをデクリメントする(ステップS
43)。そして設定回数の投光が行われ、投光回数Nが
0になったか判定し(ステップS44)、投光回数Nが
“0”でなければ(NO)、ステップS36に戻り、N
が“0“であれば(YES)、図18のステップS45
に移行する。このステップS45では、端子T4 の信号
を“H”にして、逆積分を開始し、カウントを開始する
(ステップS46)。
【0119】そして、端子T7 の電位が“L”か判定し
(ステップS47)、端子T7 の電位が“L”でなけれ
ば(NO)、カウント値がカウントリミッタ値を超える
まで待機し(ステップS48)、端子T7 の電位が
“L”かリミッタ値を超えたら(YES)、カウントス
トップする(ステップS49)。
【0120】次に端子T4 の信号を“L”にして逆積分
を停止し(ステップS50)、カウンタ値をメモリM2
に格納し(ステップS51)、端子T5 の信号を“L”
にして(ステップS52)、各端子の信号をリセットし
(ステップS53)、リターンする(ステップS5
4)。
【0121】以上のようにして、一連の測距動作が終了
し、メモリM1 には測距演算(比演算)出力が、M2
は入射光量に相当するデータが格納される。
【0122】次に本実施例におけるオフセット誤差につ
いて説明する。
【0123】メモリM1 ,M2 に格納されたそれぞれの
測距データは、図20に示されるように、距離に対応し
て、b線、d線のような、l/(距離)対(カウント
値)の関係を示す。ここで、b線に示される測距演算出
力は理想的な、
【数13】 となるが、図8に示したオペアンプ(トランジスタ
64,Q74,Q75,Q73,Q72,Q71,Q68)には、通
常オフセット電圧VOSが存在し、このオフセット電圧の
バラツキの影響によって測距演算出力の傾きにバラツキ
が生じる以下、オフセット電圧VOSの影響について考察
する。図8において、トランジスタQ77のエミッタ電流
をI77,トランジスタQ78のエミッタ電流をI78とする
と下記の関係式が成り立つ。
【0124】
【数14】 すなわち、仮にオフセット電圧が±3mVのバラツキを
生じたとすると、常温(27℃)のときVT =26mV
であるから、 I78=I77×1.12(+3mV) I78=I77×0.89(−3mV) で、±10%の傾きのバラツキが生じる。
【0125】さらに、VOSは温度の関数VOS(T)であ
りVT もまた温度の関数VT (T)であるため、図20
(b)で示されるように温度によっても傾きが変化する
ため注意を要する。よって、回路構成上もしくは構造上
OS(T)とVT (T)が温度に関して同相変化するよ
う配慮することが望ましい。
【0126】例えば、バイポーラ;VOS≦±3mV、5
0μV/℃、 CMOS ;VOS≦±6mV、50μV/℃ となる。一般に、MOSトランジスタで構成されたオペ
アンプにおけるオフセット電圧は、
【数15】 で表わされる。以上のことから、オフセット電圧を小さ
くするためには、(1)中心対称構造(common−
centroid structare)を用い、大き
めのサイズで設計する。
【0127】(2)小さなバイアス電流の回路とする。
【0128】の工夫をこらすよう配慮すべきである。
【0129】次に本実施例におけるオフセット電圧の影
響をキャンセルする手法について説明する。
【0130】まずオフセット誤差のキャンセルについて
説明する。
【0131】図21(a)は、オフセットによる傾き補
正を調整する為に必要な構成ブロック図であり、図21
(b)はオフセットによる傾き補正をマイコン1により
補正する例である。図22のフローチャートを参照して
説明する。
【0132】まず、E2 PROMに格納されている調整
データNref1(27℃において距離(1/Lref1)に対
応する測距データ)を読み出し、E2 PROMに格納さ
れている調整データNref2[25℃において距離(1/
ref2)に対応する測距データ]を読み出し、E2 PR
OMに格納されている調整データ(1/Lref1)[測距
データNref1を得た距離のデータ]を読み出し、E2
ROMに格納されている調整データ(1/Lref2[測距
データNref2を得た距離のデータ]を読み出し、E2
ROMに格納され調整データTC [測距データの温度係
数;TC ={(T°Kの測距値)/(300°Kの測距
値)}]を読み出し、RAMに格納されたIC 温度デー
タ[測距データN取得時のIC 温度情報]を読み出し、
RAMに格納された測距データNを読み出す(ステップ
S61)。
【0133】次に傾き演算(ステップS62)、距離導
出演算(ステップS63)、繰り出し量変換演算(ステ
ップS64)を行う。
【0134】
【数16】 但し、bk ;距離−繰り出し量係数、Zp ;ズームによ
るピント移動量、fc ;基準位置からの∞ピント位置ま
での繰り出し量とする。
【0135】そして演算の後、リターンする。
【0136】以上のようにして測距装置の温度を測定
し、傾き補正をソフトで行うことによって良好なピント
調整を行うことができる。
【0137】図22では、測距データを一度距離データ
に変換した後繰り出し量に変換しているが、計算量を減
らす為に、(1/Lref1)→(bref1)(1/Lref2
→(bref2)とし、直接繰り出し量に変換するように構
成してもよい。
【0138】また、温度による測距データの変化を単な
るシフトと近似して、図23のような簡単なフローチャ
ートとしてもよい。
【0139】図24は、ハードウエア的にオフセット補
償を行うことのできる逆積分回路の構成例である。ここ
では、逆積分電流に、積分電流と同じオフセット誤差を
のせておいて、オフセット誤差ののった積分結果を同一
のオフセット誤差がのった逆積分電流で逆積分すること
によって、オフセット誤差をキャンセルするように構成
している。
【0140】そして積分電流・逆積分電流に同一のオフ
セット誤差をもたせるために、積分電流・逆積分電流は
同一の構成のオペアンプである。このオペアンプは、ト
ランジスタQ64,Q65,Q74,Q75,Q73,Q72
71,Q68,Q78,Q77,Q63,抵抗R38,R39,R40
と、トランジスタQ64B ,Q65B ,Q74B ,Q75B ,Q
73 B ,Q72B ,Q71B ,Q68B ,Q78B ,Q77B ,Q
63B ,抵抗R38B ,R39B ,R40B によって出力するよ
う構成している。また互いに近傍に配置しオフセット誤
差が相似形となるよう配慮している。
【0141】式であらわすと、積分電流であるトランジ
スタQ78のエミッタ電流は、
【数17】 逆積分電流であるトランジスタQ78B のエミッタ電流
は、
【数18】 となり、VOSによって積分電流と逆積分電流が同相に変
化するので、オフセット誤差項exp(−VOS/VT
が互いに打ち消しあいオフセットに影響されない測距デ
ータを得ることができる。
【0142】図25には、オフセット補償をハードウエ
ア的に行う第2の構成例を示す。ここでは、 VBE77+VOS(OP1)=VOS(OP2)+VBE78 であり、VBE77=VBE78となり、OP1,OP2のオフ
セットが相殺し合っている。
【0143】図26には、オフセット補償をハードウエ
ア的に行う第3の構成例である。ここでは、 VBE77=VBE78+VOS(OP2)−VOS(OP1)=V
BE78 となり、OP1とOP2のオフセット電圧が相殺し合っ
ている。
【0144】以上、オフセットのハードウエア的補償と
ソフト的補償について、別々に述べたが、併合して行う
ことによって、より精密な補償が行われることは言うま
でもない。
【0145】図27には、引き算回路を用いた場合の測
距演算回路の構成例を示す。この構成において、ノード
の接続関係及び、制御はほぼ同じであるため、その説明
は省略する。但し、新たに増えた制御端子CN100が
あり、これは図2に示すマイコン1の端子T9 に接続さ
れているものとし、端子T9 の動作は図15で示されて
いるように、比演算積分時は“H”光量積分時は“L”
であるものとする。このように構成することで、比演算
出力逆積分時は絶対温度Tに比例した電流で、光量出力
逆積分時は絶対温度Tによらない電流で逆積分を行うこ
とができる。
【0146】さて、図27に示される。測距演算回路に
おいて、測距演算出力電流であるトランジスタQ68のド
レイン電流I68を求める。
【0147】まず、CN27,CN26には、プリアン
プ回路9から、
【数19】 なる信号電圧が入力される。オペアンプOP1の非反転
端子のA点の電位は、
【数20】 オペアンプOP1の反転端子のB点の電位はA点にオフ
セットを加えたものであり、
【数21】 Cポイントの電位は、
【数22】
【数23】 となりオフセット電圧がキャンセルされることがわか
る。
【0148】
【数24】 であり、回路構成上測距演算出力は、シンク電流として
設計されているので、
【数25】 となるように“a”を設定すべきである。
【0149】通常IF /IN が最も大きくなるのは被写
体距離が∞のときであるから、∞のスポット位置のPS
Dの分割比(I F∞/I N∞)によってaが定められ
る。但し、
【数26】 であるように光学系配置を定めるならば、IOS=0とし
ても良い。
【0150】さて、測距演算出力電流は、
【数27】 で与えられ絶対温度Tに比例する電流であるから、逆積
分電流を、前述した通りTに比例した電流で行うことに
より温度による変化をキャンセルすることができる。
【0151】図28,図29には、引き算回路を用いた
場合の測距演算回路において、ハードウエア的にオフセ
ット誤差をキャンセルする別の構成例である。これらの
測距演算回路のAポイントの電位は、
【数28】 よってCポイントの電位は、
【数29】 となり、オフセット電圧がキャンセルされることがわか
る。
【0152】図30には、引き算回路を用いた場合の測
距演算回路において、ハードウエア的にオフセット誤差
をキャンセルする他の構成例である。
【0153】この測距演算回路において、測距演算出力
電流であるトランジスタQ68のドレイン電流I68は、
【数30】 で与えられる。これに対して、オフセット誤差を入れた
OFS は次のようにして求められる。
【0154】抵抗R04の電位は、R04×IOSとなり、抵
抗ROSの電位は、オペアンプOP2によって、抵抗R04
の電位+オフセット電圧VOS2 であるから、
【数31】 となる。つまり、真の測距演算出力電流I66は、 I66=I68+IOFS であり、R03=2R05とし、VOS1
=VOS2 とすると、オフセットは互いにキャンセルしあ
い、
【数32】 となる。以上のようにしてオフセット誤差を相殺するこ
とができる。
【0155】図31は、オフセット誤差のない電流型引
き算回路の構成例である。
【0156】トランジスタQ68′のドレイン電流は、
【数33】 トランジスタQ68のドレイン電流は
【数34】 68′はトランジスタQ1000,Q1001で構成させるカレ
ントミラーによって折り返されて、
【数35】 となる。測距演算積分トランジスタQ66のドレイン電流
66は、電流IO2によりシフトされて、
【数36】 となり、非常に簡単な回路構成でありながら、オフセッ
ト誤差がのらない引き算回路であることがわかる。
【0157】以上のことから、本実施例の測距装置は、
以下の効果が得られる。
【0158】第1に、N(P)ウェル領域をベースと
し、その内部のP(N)をエミッタとするCMOS構造
内に存在するPNP(NPN)トランジスタを用いて、
光導体位置検出素子からの出力を対数圧縮し、またはさ
らに対数伸長する新規なアナログCMOS測距回路を提
供することができる。この新規な回路は、CMOS構造
を形成する製造工程のみで実現することができ、CPU
と同一チップ上に形成され、ASIC用回路にも好適す
る。
【0159】第2に、CMOS構造で形成されるため、
同様なCMOS構造で形成されたCPU等のロジック系
とのマッチングの良いアナログ回路が得られる。
【0160】第3に、基本的にバイポーラトランジスタ
よりもシュリンクが可能であり、バイポーラに対してチ
ップサイズを小さくできるので、ICチップの歩留まり
が向上し、さらにローコストとなる。
【0161】第4に、測距回路内の背景光ホールドコン
デンサや積分コンデンサ等の接続されている入・出力部
のハイインピーダンス化が容易であり、それにともなっ
て前記コンデンサ容量を可及的に小さくすることができ
る。このため、外付け部品の小型化や低コスト化を達成
できる。また、前記コンデンサをICチップ上に形成す
ることも可能であり、前記ICを接続するICリードを
廃止できICパッケージの小型化に役立つ。またコンデ
ンサをICチップ上に形成することにより耐ノイズ性が
向上し、測距精度を向上させることができる。
【0162】第5に、チップ内部にコンデンサを形成す
る手法として、強誘電体薄膜によるコンデンサを用いる
ことによって、スイッチングノイズ等に対する耐ノイズ
性を向上させることができる。また背景光ホールドアン
プの出力ソース素子と出力シンク素子をほぼ同時にオフ
状態にする新規スイッチング手法により前記スイッチン
グノイズそのものの低減を果たしている。
【0163】第6に、CMOSアナログ測距回路で問題
となるオフセット電圧およびその温度ドリフトがバイポ
ーラ回路に比して大きいという問題を解決する為次の新
規な手法を提供した。
【0164】第7に、測距用ICのIC温度検出手段を
設け、IC温度出力に基づいて測距出力をソフトで補正
するよう構成したので、CMOS測距回路でもバイポー
ラ測距回路と同等の測距性能を得ることができる。
【0165】第8に、対数伸長回路のエミッタ電流検出
手段をオフセット電圧が等しい2つのオペアンプのオフ
セット電圧が互いに相殺しあうよう組み合わせて構成
し、オフセット誤差のないエミッタ電流を検出する新規
な回路が提供できる。
【0166】第9に、対数伸長回路のエミッタ電流検出
回路によるオフセット誤差と同等のオフセット誤差をも
つ逆積分電流形成回路出力により逆積分を行うことによ
り、オフセット誤差のない測距演算デジタル出力を得る
新規な手法が提供できる。
【0167】第10に、引き算回路出力をオフセット電
圧が等しい2つのオペアンプのオフセット電圧が互いに
相殺しあうよう組み合わせて構成された電圧電流変換回
路にてV−I変換し得られた電流値にもとづいて被写体
までの距離を得る新規な測距回路が提供できる。
【0168】第11に、引き算回路出力をV−I変換す
るV−I変換器の出力電流のうち、V−I変換器のオフ
セット誤差成分と等しいオフセット誤差電流発生回路を
有し、前記出力電流からオフセット誤差電流発生回路出
力電流を引いた電流値から被写体までの距離を得る新規
な測距回路を提供した。
【0169】第12に、2つの対数圧縮出力を同一のオ
フセットをもつV−I変換器でV−I変換し、電流にて
引き算を行う新規な測距回路を提供した。
【0170】以上のような、新規な手法、回路構成によ
ってCMOSアナログ回路のオフセット電圧の問題を克
服でき、バイポーラ測距回路と略同等の性能のCMOS
アナログ測距回路を構成することができた。
【0171】また本発明は、前述した実施例に限定され
るものではなく、他にも発明の要旨を逸脱しない範囲で
種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
【0172】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、M
OS構造で形成される寄生バイポーラトランジスタを利
用した対数圧縮・対数伸長回路等の測距用演算回路で構
成されるMOS構造の測距装置を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明によるMOS構造の測距装置の
概念を説明するための図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施例としての測距装置
の全体の概略的なブロック構成を示す図である。
【図3】図2に示した投光回路の具体的な構成例を示す
図である。
【図4】図2に示したプリアンプ回路の具体的な構成例
の一部を示す図である。
【図5】図2に示したプリアンプ回路の具体的な構成例
の一部を示す図である。
【図6】背光光ホールド回路におけるスイッチ手法の構
成例を示す図である。
【図7】強誘電体薄膜を利用した集積回路用大容量コン
デンサの断面を示す図である。
【図8】図2に示す測距演算回路の第1の構成例を示す
図である。
【図9】図2に示す測距演算回路の第2の構成例を示す
図である。
【図10】図2に示すBV /∞リミッタ回路の構成例を
示す図である。
【図11】寄生トランジスタを用いた測光装置の他の構
成例を示す図である。
【図12】図2に示す積分リセット/逆積分回路の構成
例を示す図である。
【図13】図13(a)は、図2に示す光量積分回路の
構成例を示し、図13(b)は、そのバイアス電流と時
間との関係を示す図である。
【図14】図2に示すチップイネーブル回路の構成例を
示す図である。
【図15】本実施例の測距装置の動作を示すタイミング
チャートである。
【図16】本実施例の測距装置の動作を示すフローチャ
ートの一部である。
【図17】本実施例の測距装置の動作を示すフローチャ
ートの一部である。
【図18】本実施例の測距装置の動作を示すフローチャ
ートの一部である。
【図19】図2に示す測温回路の構成例を示す図であ
る。
【図20】図20(a)は、測距演算出力と距離との関
係を示す図、図20(b)は、オフセット電圧の温度依
存のある測距演算出力と距離との関係を示す図である。
【図21】図21(a)は、温度補償システムの概念を
示す図、図21(b)は、温度補償を説明するための測
距演算出力と距離との関係を示す図である。
【図22】ソフトウエアによるオフセット補正の第1の
例である。
【図23】ソフトウエアによるオフセット補正の第2の
例である。
【図24】ハードウエアによるオフセット補正の第1の
構成例である。
【図25】ハードウエアによるオフセット補正の第2の
構成例である。
【図26】ハードウエアによるオフセット補正の第3の
構成例である。
【図27】引き算回路を用いた測距演算回路とハードウ
エアによるオフセット補正のダイ1の例である。
【図28】引き算回路を用いた測距演算回路とハードウ
エアによるオフセット補正のダイ2の例である。
【図29】引き算回路を用いた測距演算回路とハードウ
エアによるオフセット補正のダイ3の例である。
【図30】引き算回路を用いた測距演算回路とハードウ
エアによるオフセット補正のダイ4の例である。
【図31】オフセット誤差のない電流型引き算回路の第
1の構成例を示す図である。
【図32】オフセット誤差のない電流型引き算回路の第
2の構成例を示す図である。
【図33】図33は、従来のCMOSアナログ回路を使
用したカメラの制御部の構成を示す図である。
【符号の説明】
1…マイクロコンピュータ、2…投光回路、3…パワー
トランジスタ、4…投光素子(IRED)、5…投光レ
ンズ、6…被写体、7…受光レンズ、8…半導体位置検
出素子(PSD)、9…プリアンプ回路、10…測距演
算回路、11…積分リセット・逆積分回路、12…光量
検出回路、13…BV /∞リミッタ回路、14…D/A
変換回路、15…チップイネーブル回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−25209(JP,A) 特開 昭62−191702(JP,A) 特開 昭63−1914(JP,A) 特開 平1−224617(JP,A) 特開 平1−260309(JP,A) 特開 平2−216008(JP,A) 特開 平3−216523(JP,A) 特開 平5−66129(JP,A) 特開 平6−90127(JP,A) 実開 平5−20413(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01C 3/06 G02B 7/32 H01L 27/092 H03F 3/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測距対象物に向けて光束を投光する投光
    手段と、 上記測距対象物からの上記光束の反射光を受光し、上記
    測距対象物の距離に応じた1対の信号電流を出力する受
    光手段と、 上記1対の信号電流を、CMOS構造中の寄生PNP型
    もしくはNPN型の2つの第1のトランジスタのベース
    ・エミッタ間にそれぞれ流し、対数圧縮信号を出力する
    対数圧縮手段と、 2つの上記対数圧縮信号をCMOS構造中の寄生PNP
    型もしくはNPN型の2つの第2のトランジスタを用い
    てそれぞれ対数伸長する対数伸長手段と、 この対数伸長手段の出力に基づいて、上記測距対象物ま
    での距離を求める距離検出手段と、 を具備したことを特徴とするMOS構造の測距装置。
  2. 【請求項2】 測距対象物に向けて光束を投光する投光
    手段と、 上記測距対象物からの上記光束の反射光を受光し、上記
    測距対象物の距離に応じた1対の信号電流を出力する受
    光手段と、 上記1対の信号電流を、CMOS構造中の寄生PNP型
    もしくはNPN型の2つの第1のトランジスタのベース
    ・エミッタ間にそれぞれ流し、対数圧縮信号を出力する
    対数圧縮手段と、 2つの上記対数圧縮信号の差を演算する差演算手段と、 この差演算手段の出力に基づいて、上記測距対象物まで
    の距離を求める距離検出手段と、 を具備したことを特徴とするMOS構造の測距装置。
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