JP3215195B2 - 有機金属化合物の精製法 - Google Patents

有機金属化合物の精製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は有機金属化合物の精製方
法に関する。さらに詳細には有機金属気相成長法で化合
物半導体を製造するための有機金属化合物中の低沸点不
純物の除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、化合物半導体トランジスター等の
製造にあたり、有機金属化合物を用いた気相成長法(M
OCVD法)が採用されるようになっている。この原料
となる有機金属化合物は不純物の少ない高純度のものが
要求されている。
【0003】従来の精製法としてはズールナル・プリク
ラドノイ・キミイ(ZhurnalPrikladnoi Khimii),48(8),
1810(1975) に記載されているようなトリメチルガリウ
ムを精密蒸留する方法や、ジャーナル・オブ・クリスタ
ル・グロース(Journal of Crystal Growth),77,19(19
86) に記載されているようなトリメチルインジウムとダ
イフォスフィンを反応させて付加体とし蒸気圧の高い低
沸点不純物を蒸留で除く方法などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の精製
法は蒸留が基本となっているが、蒸留塔の塔頂温度では
ごく微量の不純物の分離は制御できない。このため初留
を抜き出す条件などは経験的なものになっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は以上のことに鑑
み種々検討した結果、より効率的に有機金属化合物を精
製する方法を開発したもので、有機金属化合物中の低沸
点不純物を不活性なキャリアーガスを用いて除去し、こ
のキャリアーガス中の不純物を経時的に測定することで
精製状況をモニターすることを特徴とするものである。
【0006】以下本発明を更に詳しく説明する。本発明
の有機金属化合物はそのままでも、またはその他の反応
剤を加えて付加体などにしても良い。また処理温度は特
に限定されるものではないが低沸点の不純物のみを除去
するので、好ましくは精製される有機金属化合物あるい
はその付加体の沸点より低い温度で加熱することが望ま
しい。そして加熱により気化した低沸点の不純物は不活
性なキャリアーガスによって系外に除去される。
【0007】このような本発明の精製法を実施する装置
の一例を図1に示す。即ち4口フラスコ(2)等の容器
内に精製しようとする有機金属化合物を収納し、該フラ
スコ(2)をマントルヒーター等(4)で加熱し、且つ
フラスコ(2)内を攪拌機(3)で攪拌しながら、流量
計(1)で流量調整された窒素ガス等のキャリアーガス
をフラスコ(2)内に導入する。
【0008】他方フラスコ(2)からのキャリアーガス
の出口配管はテープヒーター(7)で加温しておき、途
中に硝酸トラップ(5)を設けてキャリアーガス中の低
沸点有機金属不純物を捕集する。さらに上記トラップ
(5)を通過したキャリアーガスはガスクロマトグラム
のFID検出器(6)に導入し、該検出器(6)で有機
不純物を検出することにより精製状況をモニターする。
【0009】本発明の特徴はキャリアーガスを用いるこ
とで非平衡状態を常に作り出すことができ、気化した低
沸点不純物を連続して除去できることにある。さらに、
除去された不純物を測定するのにキャリアーガスをその
まま測定装置、たとえば誘導プラズマ発光分析装置(I
CP)や原子吸光分析装置などに導入したり、一旦、酸
やコールドトラップなどに捕集してから種々の分析装置
で測定するためのサンプル調製をしたりすることができ
る。不純物の除去はキャリアーガスを止めることで任意
の時点で中断することができキャリアーガスを流せばす
ぐに再開される。
【0010】このようにして低沸点不純物が無くなった
ことを確認してから、通常の蒸留操作を行なえば確実に
精製できる。
【0011】本発明の対象となるアルミニウム、ガリウ
ム及びインジウムの有機金属化合物は一般式Ra MX
3-a (式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Mはア
ルミニウム、ガリウム又はインジウム、Xはハロゲン、
aは2または3の整数をそれぞれ示す。)で表される化
合物又はその付加体である。
【0012】具体的には、トリメチルアルミニウム、ト
リエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、ト
リブチルアルミニウム、トリメチルガリウム、トリエチ
ルガリウム、トリプロピルガリウム、トリブチルガリウ
ム、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、ト
リプロピルインジウム、トリブチルインジウム等のトリ
アルキル金属化合物、ジメチルアルミニウムクロライ
ド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジメチルガリウ
ムクロライド、ジエチルガリウムクロライド、ジメチル
インジウムクロライド、ジエチルインジウムクロライド
等のアルキルハライド金属化合物、トリメチルアルミニ
ウム・ダイフォスフィン付加体、トリメチルガリウム・
ダイフォスフィン付加体、トリメチルインジウム・ダイ
フォスフィン付加体等のアルキル金属化合物の付加体等
が挙げられる。
【0013】
【実施例】以下図1の装置を用いた実施例により本発明
を説明する。
【0014】(実施例1)内容積 300mlのガラス製の4
口フラスコを窒素ガスで置換後、n−ヘプタデカン 200
ml、粗トリメチルインジウム80gを仕込んだ。粗トリメ
チルインジウム中にはアルミ成分2000ppm 、シリコン成
分6ppm 、トルエン600ppm、ヘプタン1200ppm が含まれ
ていた。
【0015】この容器を図1のように精製装置に取り付
けて、 140℃に加熱した。キャリアーガスとして窒素ガ
スを 200ml/min流した。キャリアーガスの出口に1Nの
硝酸50mlの入ったトラップを取り付けてキャリアーガス
中の低沸点有機金属不純物を捕集した。トラップは2時
間ごとに取り替えて捕集した金属不純物をICPで分析
した。さらにトラップを通ったキャリアーガスはガスク
ロマトグラフのFID検出器に導入して有機不純物を検
出した。有機不純物は4時間経過したところで検出され
なくなった。アルミとシリコンについてはそれぞれ18時
間、8時間経過したところで検出されなくなった。
【0016】すべての不純物が検出されなくなってか
ら、トリメチルインジウムを50torrで140 ℃まで加熱し
てn−ヘプタデカン中から留出分離させた。得られたト
リメチルインジウム中の不純物は、アルミ成分は0.2ppm
以下、シリコン成分は0.3ppm以下、トルエン、ヘプタン
はともに1ppm 以下であった。
【0017】(実施例2)実施例1と同様の装置を用い
て、粗トリエチルインジウム80gとn−ヘプタデカン 2
00mlを 300mlの4口フラスコに仕込んで、 130℃に加熱
しキャリアーガスとして窒素ガスを 200ml/min流した。
粗トリエチルインジウム中にはアルミ成分 1300ppm、ト
ルエン 50ppm、ヘプタ子材料用の高純ン700ppmが含まれ
ていた。
【0018】有機不純物は4時間経過したところで検出
されなくなった。アルミは20時間経過したところで検出
されなくなった。
【0019】全ての不純物が検出されなくなってから、
トリエチルインジウムを5torrで105 ℃まで加熱してn
−ヘプタデカン中から留出分離させた。得られたトリエ
チルインジウム中の不純物は、アルミ成分が0.2ppm以
下、トルエン、ヘプタンはともに1ppm 以下であった。
【0020】(実施例3)実施例1と同様にしてトリメ
チルアルミニウム・ダイフォスフィンの付加体を80g、
n−ヘプタデカンを 200mlを 300mlの4口フラスコに仕
込んで、 110℃で加熱しキャリアーガスの窒素ガスを 2
00ml/min流した。トリメチルアルミニウム・ダイフォス
フィン付加体中の不純物はシリコン4ppm 、ベンゼン70
0ppmであった。
【0021】ベンゼンは4時間経過したところで検出さ
れなくなった。シリコンは6時間経過したところで検出
されなくなった。
【0022】全ての不純物が検出されなくなってから、
トリメチルアルミニウム・ダイフォスフィン付加体を5
torrで 140℃まで加熱してトリメチルアルミニウムを留
出分離した。得られたトリメチルアルミニウム中の不純
物は、シリコンが0.3ppm以下、ベンゼンが1ppm 以下で
あった。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば有機金属化合物中の低沸
点不純物を不活性なキャリアーガスを流すことで連続的
に除去できるようになった。さらに、キャリアーガス中
の不純物をモニターすることで、経験のないものでも効
率良く精製できるようになり電子材料用の高純度有機金
属化合物を製造するのに頗る効果が大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する精製装置の一例を示す説明図
である。
【符号の説明】
1 流量計 2 4口フラスコ 3 攪拌機 4 マントルヒーター 5 硝酸トラップ 6 ガスクロマトグラムのFID検出器 7 テープヒーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−6318(JP,A) 特開 昭59−148790(JP,A) 特開 平2−67230(JP,A) 特開 平3−112991(JP,A) 特表 平2−504384(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 5/00 C07F 5/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機金属化合物を加熱し低沸点の不純物
    を不活性なキャリアーガスを用いて除去し、このキャリ
    アーガス中の不純物を経時的に測定することで精製状況
    をモニターすることを特徴とする有機金属化合物の精製
    方法。
  2. 【請求項2】 有機金属化合物が、一般式Ra MX3-a
    (式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Mはアルミ
    ニウム、ガリウム又はインジウム、Xはハロゲン、aは
    2又は3の整数をそれぞれ示す。)で表されるもの又は
    その付加体である請求項1記載の有機金属化合物の精製
    方法。
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