JP3214675U - 浴衣 - Google Patents
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Abstract
【課題】大型洗濯機等による機械的力が働くことで変形し,衿に折れシワが発生しないように,衿に形態安定性を充分に付与した浴衣を提供する。【解決手段】少なくとも上半身の胴体を覆う左前身頃12,右前身頃及び後身頃を有する前合わせの浴衣本体と,後身頃の上端中央から縁に沿って左前身頃12及び,右前身頃に所定長さに亘って延びる衿3とを有する浴衣であって,衿3が,長手方向に沿って二つ折りにされた所定幅の帯状体であって,対向する二片31,32のうちの一片31の内側全面に接着された芯地4と,二片31,32の先端部がそれぞれ内側に折り返された一対の折返部33,34とを有し,一対の折返部33,34の間に装飾テープ5と浴衣本体とが挟み込まれた状態で,衿3の長手方向に一体に縫い合わされている。【選択図】図3
Description
本考案は,病院,福祉施設,健康ランド,宿泊施設等に使用される浴衣であって,洗濯後に,衿のシワ及び,折り曲がりの発生を防止することを目的とした浴衣に関する。
病院,福祉施設,健康ランド,宿泊施設等に使用される浴衣は,毎日大量に使用され,衛生上,その都度洗濯に出されるものであるため,一つずつ洗濯してアイロンをかけるようなことは非効率的であり,大量の洗濯物を大型の機械で一括してクリーニングするのが普通である。
しかし,洗濯,脱水,乾燥の全てを機械によって処理すると,特に,衿に折れやシワが入った状態で仕上がってしまうことが多々あり,洗濯後の清潔な浴衣であっても,衿に折れやシワが有ることで利用者に使用を敬遠される問題があった。
大型洗濯機を使用した洗濯,脱水,乾燥の各工程では,洗濯対象の浴衣に大きな機械的力が働き浴衣が様々な形に変形し,この変形に起因して全工程終了後の浴衣の衿に折れやシワが発生するのである。
また,例えば,乾燥を自動プレス等で行うと,乾燥前の洗濯された浴衣の状態を視認することができず,衿にシワや折れが生じた状態で乾燥処理してしまい,プレス後も衿に折れやシワが残る問題があり,また,乾燥工程にロールで洗濯物を挟みながらプレスをしていくロール式のプレス機を使用すると,衿に折れが生じ易い問題が有った。
そこで,機械仕上げによる洗濯により衿に折れ,型崩れやシワが発生することを防止するために,衿表に水溶性仮接着心による抜き芯をバイヤスに張り付けた浴衣が提示されている。
しかし,衿に抜き芯を貼ったのみでは,依然として,クリーニング後の浴衣の衿に折れシワが発生する問題があり,衿の形態安定性をさらに強化する必要があった。
本考案は,上記問題点に鑑みてなされたものであって,大型洗濯機等による機械的力が働くことで変形し,衿に折れシワが発生しないように,衿に形態安定性を充分に付与した浴衣を提供することを目的とする。
以下に,課題を解決するための手段を,考案を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,実用新案登録請求の範囲の記載と考案を実施するための形態の記載との対応を明らかにするために記載したものであり,言うまでもなく,本考案の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
本考案の浴衣1は,少なくとも上半身の胴体を覆う左前身頃12,右前身頃13及び後身頃14を有する前合わせの浴衣本体10と,前記後身頃14の上端中央から縁に沿って前記左前身頃12及び,前記右前身頃13に所定長さに亘って延びる衿3とを有する浴衣1であって,
前記衿3が,長手方向に沿って二つ折りにされた所定幅の帯状体であって,対向する二片31,32のうちの一片31(又は32)の内側全面に接着された芯地4と,前記二片31,32の先端部がそれぞれ内側に折り返された一対の折返部33,34とを有し,前記一対の折返部33,34の間に装飾テープ5と前記浴衣本体10とが挟み込まれた状態で,例えば糸6により,前記衿3の長手方向に一体に縫い合わされていることを特徴とする(請求項1)。
前記衿3が,長手方向に沿って二つ折りにされた所定幅の帯状体であって,対向する二片31,32のうちの一片31(又は32)の内側全面に接着された芯地4と,前記二片31,32の先端部がそれぞれ内側に折り返された一対の折返部33,34とを有し,前記一対の折返部33,34の間に装飾テープ5と前記浴衣本体10とが挟み込まれた状態で,例えば糸6により,前記衿3の長手方向に一体に縫い合わされていることを特徴とする(請求項1)。
前記芯地4が前記二片31,32それぞれの内側全面に接着されていても良い(請求項2)。
前記装飾テープ5が,長手方向に沿って二つ折りにされた帯状体であっても良い(請求項3)。
本考案では,前記芯地4はポリエステル100%からなる熱接着シートを使用することが好ましい(請求項4)。
前記熱接着シートの厚みは,0.03〜0.05mmとすることが好ましく(請求項5),また,前記熱接着シートの接着温度は120〜130℃が好ましい(請求項6)。
上述した構成を有する浴衣1の衿3は,対向する二片31,32のうちの一片31(又は32)の内側全面に芯地4を接着して先端部を折り返し重ね合わさせることで折返部33において芯地4が二重となり,さらに,一対の折返部33,34と装飾テープ5と浴衣本体10とを縫い合わせて一体とされたことにより強度が増し,従来の単に芯を張り付けた衿に比べて形態安定性が向上した。
従って,本考案の浴衣1の衿3は十分な形態安定性を有するため,大型洗濯機等による機械的力によって変形して衿3に折れやシワが発生することがない。これにより,例えば,上述した乾燥前の状態を視認できない自動プレス等で乾燥したとしても,衿3に折れやシワが発生しない。
また,前記芯地4を前記二片31,32それぞれの内側全面に接着することで衿3の形態安定性をさらに向上できた。さらに,前記装飾テープ5に長手方向に沿って二つ折りにされた帯状体を使用することで衿3の形態安定性をさらに向上できた。
また,芯地4に使用する,ポリエステル100%からなる熱接着シートは,形態安定性,可撓性,追従性,平滑性,接着性,耐クリーニング性に優れる。
本考案の浴衣1の第一実施形態について以下,図1〜図3を参照して説明する。
本考案の浴衣1の第一実施形態を示す図1には,上衣(部)及び下衣(部)から成るセパレートタイプの二部式の浴衣の上衣(部)が図示されており,図示せざる下衣(部)は,例えば,ズボン,巻きスカート等を採用することができ,特に限定されるものではない。
図1に示す,本実施形態の浴衣1は,胴体を覆う左前身頃12,右前身頃13及び後身頃14を有する浴衣本体(身頃)10と浴衣本体10の上部左右に設けられた袖2,2を有し,着用時には,前記袖2,2に腕を通し左右の前身頃12,13を重ね合わせる前合わせの浴衣である。
そして,本実施形態の浴衣1は,図1及び図2に示すように,浴衣本体10の後身頃14の上端中央から縁に沿って左前身頃12及び前記右前身頃13の各々の下端にかけて所定幅の帯状の衿3が設けられている。
図3(A)は,浴衣本体10の左前身頃12に設けられた衿3の断面視における構造を示しており(図1に示す衿3のA―A線断面図),具体的には,所定幅を有する帯状の衿布を長手方向に沿って二つ折りにして,対向する二片(一片31,他片32)のうちの一片31の内側全面に芯地4を接着した後,二片31,32の先端(自由端)部を夫々内側に折り返して一対の折返部33,34を形成し,該一対の折返部33,34間に2つ折りにした装飾テープ(パイピングテープ)5と浴衣本体10の左前見頃12を挿入し,装飾テープ5と左前見頃12が一対の折返部33,34に挟まれた状態にて糸6で衿3の長手方向に連続して(図3(B)参照),一体に縫い合わせた構成と成っている。
なお,本実施形態では,対向する二片31,32のうちの一片31の内側全面に芯地4を接着しているが,他片32の内側全面に芯地4を接着しても良く,さらには,二片31,32それぞれの内側全面に芯地4を接着しても良い。
また,本実施形態では,図3(A),(B)に示すように,二片31,32の基端部を糸6’で縫い合わせているが,糸6’を省略しても良い。
上述した構成を有する本実施形態の衿3は,図3(A)を参照すると,糸6の縫合部では,二つ折りにした衿布の一片31の内側全面に芯地4を接着して先端を折り返し重ね合わせた折返部33において芯地4が二重となり,さらに,一対の折返部33,34と装飾テープ5と左前見頃12とを糸6で縫い合わせて一体とされたことにより強度が増しており,従来の単に芯を張り付けた衿に比べて形態安定性が向上し,クリーニング後の浴衣1の衿のシワや折れの発生を防止することが可能となる。
本考案に使用される前記芯地4は,衿3に接着させて,衿3に形態安定性を付与するものであれば特に限定されず,例えば,薄いプラスチック板あるいは,布製のもの等が使用され,また,前記布製は,天然繊維だけでなく,合成樹脂繊維の織物などを含む。
好ましくは,本考案の芯地4には,衿布に重ねて加熱し,両者を熱接着することにより接着,固定させることができる熱接着性のシート(熱接着性樹脂シート)を採用し,例えば,ポリエステル,ポリアミド等を素材とした合成樹脂フィルム,編織物や不織布等を用いることができる。
なお,本実施形態では,ポリエステル100%からなる熱接着シートを使用しており,ポリエステル100%を素材とした物は,形態安定性,可撓性,追従性,平滑性,接着性,耐クリーニング性に優れる。
ポリエステル100%からなる熱接着シートを使用する場合,芯地の厚さは,好ましくは,0.03〜0.05mmであり,接着温度(融点)の好ましい範囲は,120℃〜130℃の範囲内である
なお,上述の熱接着性のシートは,基布に熱接着樹脂層を形成したものであっても良い。例えば,芯地の基布に,ポリエステルおよび綿の混用品もしくは,綿100%のもの,ポリエステル100%の織物素材等を使用し,熱可塑性樹脂としては,ポリエチレン系樹脂,ポリアミド系樹脂,ポリエステル系樹脂,ポリ塩化ビニール系樹脂等が例示でき,水溶性のポリビニールアルコール系樹脂を含め、熱可塑性のものであれば特に限定されない。
また,芯地4には,上述した熱接着性のシートを使用する他にも,衿布に縫い合わせにより又は接着剤により接着されるものを使用することが可能である。
前記装飾テープ5は,図1及び図3(B)に示すように,前記衿3の縁に沿って取り付けられ,衿3全体を装飾する細幅のテープであって,例えば,細幅織機で織り上げ,色柄などによる意匠性を持たせた装飾用の細幅テープ,あるいは,フィルムをベースに意匠性を持たせた装飾フィルムテープ等を用いることが出来る。
装飾テープ5の厚みについては,衿布と同じかそれ以上であると形態安定性(補強)の面から良い。
なお,本実施形態の浴衣1では,図3(A)に示すように,装飾テープ5を二つ折りにすることで形態安定性を強化しているが,本考案の装飾テープ5は,二つ折りに限定されるものではない。
また,装飾テープ5は,生地の色を変えて浴衣1のサイズを表すものとしても使え,例えば,Sサイズを黄色,Mサイズを赤色,Lサイズを青色とする等,色分けすることができる
また,本実施形態の浴衣1には,右前身頃13の外側の腰付近の位置に紐体7aが取り付けられ,着用時に該紐体7aに結び合わせる紐体7bが左前身頃12の衿3に取り付けられている。
さらに,本実施形態の浴衣1には,左前身頃12の内側の腰付近の位置にも紐体7cが取り付けられ,着用時に該紐体7cに結び合わせる紐体7dが右前身頃13の衿3に取り付けられている。
なお,本考案の浴衣1は,上述の紐体を設けずに,着用時に帯(図示せず)を巻く着物スタイルでも良い。
上述した浴衣本体10,袖2,衿3,装飾テープ5,紐体7a,7b,7c,7d,帯(図示せず)の各素材は,例えば,ポリエステル,綿,麻,絹,またはこれらを混紡したもの等を用いることができる。また,衿3の生地については,例えば,浴衣本体と同じ生地(共生地)を採用しても良い。
また,上述した本考案の第一実施形態の浴衣1について,大型洗濯機による洗濯,脱水,乾燥を連続して120回行う洗濯テストを行ったが,洗濯テスト中に浴衣1の衿3にシワや折れの発生が確認されなかった。
本考案の浴衣1の他の実施形態として,図4に示すように,上下セパレートタイプの二部式でない,上半身から下半身(足首近傍)まで延びる一部式の浴衣1でも良い。
本実施形態では,衿3は,図4に示すように,浴衣本体10の後身頃(図示せず)の上端中央(着衣者の首の後に位置)から右前身頃13及び左前身頃12の各々の下端にまで延ばさずに,腰付近(所定長さ)まで延ばしたものであるが,図1の実施形態のように右前身頃13及び左前身頃12の各々の下端にまで延ばしても良い。
また,本実施形態の浴衣1は,上述の紐体を設けずに,着用時に帯(図示せず)を巻く着物スタイルである。
また,図5に示すように,本考案の浴衣1は,袖2,2の無い,袖なし浴衣としても良い。
1…浴衣
10…浴衣本体
12…左前身頃
13…右前身頃
14…後身頃
2…袖
3…衿
31…一片
32…他片
33…折返部
34…折返部
4…芯地
5…装飾テープ
6…糸
7a,7b,7c,7d…紐体
10…浴衣本体
12…左前身頃
13…右前身頃
14…後身頃
2…袖
3…衿
31…一片
32…他片
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34…折返部
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6…糸
7a,7b,7c,7d…紐体
Claims (6)
- 少なくとも上半身の胴体を覆う左前身頃,右前身頃及び後身頃を有する前合わせの浴衣本体と,前記後身頃の上端中央から縁に沿って前記左前身頃及び,前記右前身頃に所定長さに亘って延びる衿とを有する浴衣であって,
前記衿が,長手方向に沿って二つ折りにされた所定幅の帯状体であって,対向する二片のうちの一片の内側全面に接着された芯地と,前記二片の先端部がそれぞれ内側に折り返された一対の折返部とを有し,前記一対の折返部の間に装飾テープと前記浴衣本体とが挟み込まれた状態で,前記衿の長手方向に一体に縫い合わされていることを特徴とする浴衣。 - 前記芯地が,前記二片それぞれの内側全面に接着されていることを特徴とする請求項1記載の浴衣。
- 前記装飾テープが,長手方向に沿って二つ折りにされた帯状体であることを特徴とする請求項1又は2記載の浴衣。
- 前記芯地が,ポリエステル100%からなる熱接着シートであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の浴衣。
- 前記熱接着シートの厚みが,0.03〜0.05mmであることを特徴とする請求項4記載の浴衣。
- 前記熱接着シートの接着温度が,120〜130℃であることを特徴とする請求項4又は5記載の浴衣。
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