JP3213946B2 - 哺乳動物のチモカイン遺伝子 - Google Patents

哺乳動物のチモカイン遺伝子

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 哺乳動物の循環系の循環成分は、赤芽球系列および脊
髄細胞系列の赤血球および白血球を包含する種々のタイ
プの細胞を含んでいる。例えば、Rapaport(1987)intr
oduction to Hematology,(第2版)Lippincott,Philad
elphia,PA;Jandl(1987)Blood:Textbook of Hematolog
y,Little,Brown and Co.,Boston,MA.;およびPaul(編)
(1993)Fundamental Immunology(第3版)Raven Pres
s,New York,NY.を参照のこと。骨髄細胞の産生は、骨髄
前駆細胞系列の分化および後期拘束(later commitmen
t)により生じる。分化の最終段階を通しての進行は、
細胞に提供される種々のシグナルにより制御されている
が、そのごく一部しか同定されていない。得られた細胞
は、主にB細胞のサブセットまたはT細胞のサブセット
のいずれかとなる。T細胞サブセットの発達は、胸腺と
密接に関係しており、胸腺はT細胞前駆体の発達および
分化に適切な環境を提供すると一般に考えられている。
多能性幹細胞から拘束されるT細胞前駆体への分化およ
び機能的成熟T細胞への発達により、分化した免疫学的
機能を示す種々のT細胞サブセットが提供される。これ
らの分化および発達プロセスは、個体の生存期間全体を
通して生じるようである。
胸腺は稀に原始多分化能性前駆細胞(例えば、幹細
胞)の集団を含有し、この前駆細胞は、末梢の循環で後
に見出される任意の成熟T細胞に分化する能力を有す
る。幹細胞は、ほとんど同一の能力を生ずる細胞を増殖
および生産させる(自己再生)か、あるいは、特定の細
胞タイプの生産により制限された分化経路へと進み、最
終的に高度に分化機能を有する細胞になるかのいずれか
であり得る。
T細胞前駆体の直接の前駆体は、特に重要である。な
ぜなら、それらは、必要な場合または適切な場合に、よ
り成熟したT細胞へと分化させるのに利用可能な細胞の
蓄えとして供し得るからである。この様な必要性は、血
液の損失、短期または長期の免疫無防備状態または同様
の問題(例えば、化学療法または放射線療法の結果とし
て)から生じる。あるいは、過剰なT細胞の生産(例え
ば、骨髄細胞増殖性疾患)は、細胞の発達を促進する因
子による異常な制御の結果であり得る。
サイトカインcキットリガンド、IL−4およびIL−7
を包含するT前駆細胞の分化プロセスに影響する数多く
の因子が同定されている。例えば、Godfreyら,(199
2)J.Immunol.149:2281−2285;およびSudaおよびZlotni
k(1991)J.Immunol.146:3068−3073を参照のこと。こ
れらのサイトカインは、インビトロでの骨髄細胞の分化
の初期段階を刺激するが、後者のみがインビボでのT細
胞の分化の刺激に必要であることが示されている。
これらの観察は、造血における機能がこれまで未確認
であった他の因子が存在することを示す。これらの因子
は、効果スペクトルが公知の分化因子または活性化因子
と異なる生物学的活性を提供する。インビボでのT細胞
の生理機能を制御する制御因子の構造的、生物学的、そ
して物理的特性についての知識がないため、この様な因
子の効果の改変が妨げられる。従って、関連細胞の発達
または生理機能の制御が必要とされる医療条件は、依然
として解決されていない。
ケモカイン(chemokine)は、タンパク質の広範かつ
多様なスーパーファミリーである。このスパーファミリ
ーは、ケモカインモチーフ中の第1の2つのシステイン
が隣接している(「C−C」ブランチという)かまたは
介在する残基により間隔がある(「C−X−C」)かに
基づいて2つの分派に分けられ得る。Lindleyら,Immuno
logy Today14:24(1993)を参照のこと。本発明は、こ
れまで未知であったクラスのケモカインの存在を明らか
にした。このケモカインをここではチモカイン(thymok
ine)と呼ぶ。チモカインは、ケモカインモチーフの対
応領域内にただ1個のシステインのみを有する。以下に
記載の2つのリンホタクチン(lymphotactin)タンパク
質の染色体マッピングおよび配列分析の両方に基づい
て、本発明者らは、チモカインがC−CまたはC−X−
Cケモカインファミリーに属さないことを示す。これら
は、チモカインと称する新しいクラスのケモカインの、
あるいはケモカインのCファミリーの初めて知られるメ
ンバーを示す。リンホタクチンチモカインがリンパ球に
特異的である機能を示すことを示唆する走化性の研究が
ある。それ自体、それらはリンパ球特異的ケモカインの
最初の例である。
発明の要旨 本発明は、C−CケモカインおよびCXCケモカインと
の類似性が薄いタンパク質をコードするチモカインとい
う新しい遺伝子ファミリーの発見に一部基づく。チモカ
インは、胸腺に見出される細胞のサブセットに最初に見
出された。これらのサブセットは、細胞表面分子の発現
に基づいて単離されたが、これらの分子は、これらのT
細胞(すなわちCD44+CD25+CD3-CD4-CD8-胸腺細胞)が分
化の重要な段階を経ていることを示したか、あるいは、
機能が定義されていないままのT細胞(すなわち、CD4-
CD8-αβTcR+T細胞)の他の特定の系列を示す。本明細
書中で表したチモカイン遺伝子およびタンパク質は、今
まで未同定のクラスの小さなケモカイン様タンパク質を
示した。
本発明は、細胞の生理機能または発達を調節する方法
であって、チモカインのアゴニストまたはアンタゴニス
トと該細胞とを接触させることを包含する方法、を提供
する。好適な実施態様では、アンタゴニストは、哺乳動
物のチモカイン(例えば、ヒトリンホタクチン、または
マウスリンホタクチン)の特異的に結合する抗体であ
る。
本発明は、哺乳動物のチモカインをコードする核酸ま
たはそのフラグメントについて記載する。いくつかの特
定の実施態様は、詳細な説明および実施例に記載されて
おり、これらは、天然に存在するマウスおよびヒトのリ
ンホタクチンタンパク質および核酸配列、ならびに遺伝
子操作されたチモカインの核酸であって、特定のクロー
ニング部位を作るように改変された核酸を包含する。本
明細書中で記載するように、これらの分子は全て同様の
生物学的特性を共有するが、これらの分子にはマウスお
よびヒトリンホタクチン分子が含まれ、これらは、アミ
ノ酸レベルで約60%しか同一性がない。好ましくは、本
発明の核酸は、配列番号1または配列番号3の配列と少
なくとも90%が類似な少なくとも25個のヌクレオチドの
配列;配列番号1または配列番号3の配列と少なくとも
80%が類似な少なくとも50個のヌクレオチドの配列;配
列番号1のヌクレオチド32〜352の配列と少なくとも90
%が類似な配列;配列番号3のヌクレオチド15〜334の
配列と少なくとも90%が類似な配列;配列番号1のヌク
レオチド92〜352の配列と少なくとも90%が類似な配
列;配列番号3のヌクレオチド75〜334の配列と少なく
とも90%が類似な配列;クローンm3C9の挿入物のコード
領域によりコードされる配列;またはクローンA10−4
の挿入物のコード領域によりコードされる配列を含有す
る。
他の実施態様では、本発明はチモカインに特異的に結
合する抗体を提供する。種々の実施態様においては、チ
モカインはマウスおよびヒトのタンパク質を包含する哺
乳動物のタンパク質であるか;抗体は、配列番号2また
は配列番号4の配列の少なくとも10個のアミノ酸からな
るペプチドに対して誘起されるか;抗体はモノクローナ
ル抗体であるか;または抗体は標識される。
本発明はまた、実質的に純粋なチモカインまたはその
ペプチドフラグメント、あるいはチモカイン配列を含む
融合タンパク質を提供する。種々の実施態様において、
チモカインまたはそのペプチドフラグメントは、トリ、
ならびにヒトおよびマウスを包含する哺乳動物の群から
選択される温血動物に由来し;このポリペプチドは、配
列番号2または配列番号4に由来する少なくとも15個の
アミノ酸の少なくとも1つのポリペプチドセグメントを
含有する;あるポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸
1〜19に由来するタンパク質配列と少なくとも90%の同
一性を示す配列を含有し;あるポリペプチドは、配列番
号4のアミノ酸1〜19に由来するタンパク質配列と少な
くとも90%の同一性を示す配列を含有し;あるポリペプ
チドは、配列番号2のアミノ酸21〜113に由来するタン
パク質配列と少なくとも80%の同一性を示す配列を含有
し;あるポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸21〜11
3に由来するタンパク質配列と少なくとも80%の同一性
を示す配列を含有し;あるポリペプチドは、配列番号2
のアミノ酸56〜83に由来するタンパク質配列と少なくと
も80%の同一性を示す配列を含有し;あるポリペプチド
は、配列番号4のアミノ酸56〜83に由来するタンパク質
配列と少なくとも80%の同一性を示す配列を含有する;
そして、チモカインまたはペプチドは、天然の哺乳動物
チモカインとは異なる転写後改変パターンを表す。
好ましくは、チモカインのマウスまたはヒトのリンホ
タクチンの残基57に対応する位置は疎水性(例えば、ア
ラニン)であり;残基58に対応する位置は疎水性(例え
ば、バリン、ロイシン、またはイソロイシン)であり;
残基59に対応する位置は疎水性(例えば、イソロイシン
またはバリン)であり;残基60に対応する位置はフェニ
ルアラニンであり;残基62に対応する位置はOHを含有す
る残基(例えば、トレオニンまたはセリン)であり;残
基63に対応する位置は親水性(リジンまたはアルギニ
ン)であり;残基64に対応する位置は親水性(例えば、
リジンまたはアルギニン)であり;残基65に対応する位
置はグリシンであり;残基66に対応する位置はロイシン
であり;残基67に対応する位置は親水性(例えば、リジ
ン、グルタミン酸、またはグルタミン)であり;残基68
に対応する位置は疎水性(例えば、イソロイシン、バリ
ン、またはアラニン)であり;残基69に対応する位置は
システインであり;残基70に対応する位置はアラニンで
あり;残基71に対応する位置はアスパラギン酸であり;
残基72に対応する位置はプロリンであり;そして、マウ
スのリンホタクチンの残基75に対応する位置は親水性
(例えば、リジンまたはアルギニン)であり;残基76に
対応する位置はトリプトファンであり;残基77に対応す
る位置バリンであり;残基78に対応する位置は親水性
(例えば、リジン、グルタミン、またはアルギニン)で
あり;残基84に対応する位置は疎水性(例えば、バリン
またはロイシン)であり;および/または残基85に対応
する位置は陰性に荷電している残基(例えば、アスパラ
ギン酸またはグルタミン酸)である。
マウスおよびヒトのリンホタクチンタンパク質は、60
%のアミノ酸同一性を共有している。マウスとより密接
に関連する動物(例えば、齧歯動物)由来のチモカイン
タンパク質は、本明細書中に記載のヒトリンホタクチン
よりもマウスリンホタクチンに対してより大きな類似性
を有する。逆に、ヒトとより密接に関連する種(例え
ば、霊長類)は、記載のマウスリンホタクチンに対して
よりもヒトリンホタクチンに対してより大きな配列の類
似性を有するチモカインタンパク質を有する。マウスお
よびヒトのリンホタクチンの進化的多様性にもかかわら
ず、これらのタンパク質は生物学的特性を共有すること
に留意されたい。
本発明の他の特徴により、チモカインまたはそのペプ
チドフラグメントをコードする核酸;チモカインに特異
的に結合する抗体またはレセプター;あるいは実質的に
純粋なチモカインまたはそのフラグメントを含むキット
が提供される。例えば、配列番号2または配列番号4の
ポリペプチドによりコードされるタンパク質に対して特
異的に免疫反応性である抗体が提供される。この様なキ
ットはまた、取り扱い説明書、容器にパッケージングさ
れた成分、および他の類似の変形物を含み得る。
本発明は、単離されたチモカインタンパク質を提供
し、ここで、該チモカインタンパク質は免疫原(例え
ば、配列番号2および配列番号4に記載のポリペプチ
ド)に対して産生させる抗体に特異的に結合する。チモ
カインタンパク質は、チモカイン細胞走化性アッセイで
胸腺細胞に用量依存性の走化性応答を誘導する。チモカ
インタンパク質は、チモカイン細胞走化性アッセイでヒ
トTHP−1細胞に用量依存性の走化性応答を誘導せず、
細胞内Ca+2流出アッセイでヒトTHP−1細胞に細胞内Ca
2+流出もまた誘導しない。細胞走化性アッセイおよび細
胞内Ca2+アッセイについては、以下の実施例に詳細に記
載する。特に好ましいチモカインタンパク質は、(例え
ば、配列番号2および配列番号4において)示されるよ
うにマウスリンホタクチンおよびヒトリンホタクチンを
包含する。チモカインタンパク質は、組換えにより産生
され得るか、あるいは天然に存在し得る。
本発明はまた、チモカインタンパク質をコードする単
離された核酸を提供する。核酸は、ストリンジェットな
ハイブリダイゼーション条件下で競合DNA(例えば、ヒ
トゲノムライブラリー)の存在下で配列番号1または配
列番号3に示されるいずれかの核酸と選択的にハイブリ
ダイズし得る。例えば、チモカインタンパク質をコード
する核酸は、42℃および50%ホルムアミドのハイブリダ
イゼーション条件下で、配列番号3のヌクレオチド配列
と選択的にハイブリダイズし、そして2×クエン酸ナト
リウム、塩化ナトリウム(SSC)および0.1%ドデシル硫
酸ナトリウム(SDS)で65℃にて少なくとも20分間の洗
浄条件下で配列番号3の核酸との結合を維持する。核酸
配列は、天然に存在するチモカインタンパク質と完全な
配列同一性を有する、例えば、チモカインポリペプチド
をコードし得る。核酸はまた、天然に存在するポリペプ
チドと同一ではないチモカインポリペプチド(例えば、
チモカイン融合タンパク質、または本明細書中に記載の
ようなチモカインの機能または免疫原性に重要な塩基を
保持する、遺伝子操作した変異体チモカインタンパク
質)をコードし得る。
本発明は、チモカインタンパク質をコードする単離さ
れた核酸配列を提供し、ここで、チモカインタンパク質
は配列番号2および配列番号4のポリペプチドから生成
したポリペプチド免疫原に対して産生される抗体に特異
的に結合する。単離された核酸は、配列番号1および配
列番号3の核酸を包含する。単離された核酸は、天然に
存在するチモカインタンパク質と完全に配列同一性を有
するチモカインポリペプチドをコードし得るか、また
は、上記の免疫原性を有するそのフラグメントをコード
し得る。単離された核酸の例として、配列番号2または
配列番号4のポリペプチドを包含するチモカインタンパ
ク質、および以下の実施例に記載の遺伝子操作されたそ
の変異体をコードする核酸が挙げられる。
上記のチモカインタンパク質をコードする単離された
核酸は、単離された核酸のさらなるコピーを生成するた
めに、または(例えば、標準的な発現系において)それ
がコードするチモカインタンパク質を(標準的技術を使
用するクローニングを通して)産生するために、細胞を
トランスフェクトするのに使用され得る。例えば、細胞
は、配列番号1または配列番号3に示される多核化(po
lynucleation)配列、あるいは(例えば、以下の実施例
に記載されるような)クローニングまたは発現を容易に
するために操作された配列によりトランスフェクトされ
得る。
本発明は、チモカインタンパク質に対して親和性を有
する結合剤と生物サンプルとを接触させる工程;結合剤
を生物サンプルとともにインキュベートして結合剤:チ
モカインタンパク質複合体を形成させる工程;および該
複合体を検出する工程により、生物サンプル中のチモカ
インタンパク質を検出する方法を提供する。生物サンプ
ルは、任意の天然の供給源または遺伝子操作された供給
源(例えば、ヒトまたは他の哺乳動物組織、組織培養
物、または非哺乳動物組織)に由来し得る。結合剤は、
例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、チ
モカイン結合タンパク質(例えば、チモカインレセプタ
ー分子)、またはポリマー(例えば、親和性マトリック
ス、炭水化物、または脂質)であり得る。検出は、任意
の公知の方法(例えば、イムノブロッティング、ウェス
タン分析、ゲル移動度シフトアッセイ、蛍光インサイチ
ュハイブリダイゼーション分析(FISH)、放射能または
生物発光マーカーの追跡、核磁気共鳴、電子常磁性共
鳴、ストップトフロー分光法、カラムクロマトグラフィ
ー、キャピラリー電気泳動、またはサイズおよび/また
は電荷の変化に基づいて分子を追跡する他の方法)によ
り行われる。
本発明は、組換えまたは単離されたチモカインタンパ
ク質を含有する組成物と生物サンプルを接触させる工
程;組成物を生物サンプルとともにインキュベートして
抗体:チモカインタンパク質複合体を形成させる工程;
および例えば、上記の方法により該複合体を検出する工
程により、生物サンプル中のチモカインタンパク質と反
応性の抗体を検出する方法を提供する。
チモカインタンパク質をコードする核酸に選択的にハ
イブリダイズし得る核酸プローブが本明細書中に記載さ
れている。核酸プローブは、例えば、配列番号1の核酸
および/または配列番号3の核酸に結合する。
本発明は、生物サンプルと核酸配列に選択的にハイブ
リダイズし得る核酸プローブとを接触させる工程;核酸
プローブを生物サンプルとともにインキュベートして核
酸プローブと生物サンプル中に存在する相補的な核酸配
列とのハイブリッドを形成させる工程;および核酸プロ
ーブと相補的な核酸配列とのハイブリダイゼーションの
程度を、標準的な技術(例えば、サザン分析、ノーザン
分析、およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR))で測定す
る工程により、生物サンプル中のチモカインタンパク質
をコードする核酸を検出する方法を提供する。核酸プロ
ーブは、配列番号2のポリペプチドまたは配列番号4の
ポリペプチドのようなタンパク質をコードする核酸にハ
イブリダイズし得る。
図面の説明 図1は、マウスリンホタクチンのアミノ酸配列(LT
n)とC−X−CケモカインGroα(Gro)およびC−C
ケモカインマクロファージ炎症タンパク質1β(Mip−
1)との配列アライメントの配列を示す。
発明の詳細な説明 I.概要 本発明は、サイトカインまたはケモカインに特徴的な
構造特性を示す哺乳動物タンパク質をコードするDNA配
列を提供する。ケモカインファミリーの概説について
は、例えば、Lodiら,(1994)Science263:1762−1767;
GronenbornおよびClore(1991)Protein Engineering4:
263−269;MillerおよびKranger(1992)Proc.Nat'l Aca
d.Sci.USA89:2950−2954;MatsushimaおよびOppenheim
(1989)Cytokine1:2−13;stoeckleおよびBaker(199
0)New Biol.2:313−323;Oppenheimら(1991)Ann.Rev.
Immunol.9:617−648;Schall(1991)Cytokine3:165−18
3;およびThe Cytokine Handbook,Academic Press,NY.を
参照のこと。これらのタンパク質は、チモカインと称さ
れる。なぜなら、これらのタンパク質は最初に胸腺細胞
のサブセット(例えば、胸腺細胞)に見出され、そして
ケモカインの構造的特徴を示すタンパク質であることを
特徴とするからである。このような認識は、この分子が
胸腺細胞に直接的な生物学的活性を有することを意味し
ない。初期の研究では、チモカインは原始的な未拘束の
(uncommitted)T細胞前駆体であると考えられる細胞
のサブ集団に位置付けられた。別のT細胞系列、CD4-CD
8-αβT細胞レセプター(CD4-CD8-αβTCR+)細胞はま
た、このタンパク質をコードするメッセージを発現し
た。従って、この遺伝子は、2つの異なる細胞サブ集団
から独立して誘導された。
このファミリーのタンパク質について最も特徴付けら
れた実施態様はマウスで見出され、そしてマウスリンホ
タクチンと称される。ヒトにおいて見出され、ヒトリン
ホタクチンと称される別のチモカインもまた本明細書中
に記載される。以下の記載は、例示を目的としており、
ヒトリンホタクチンおよびマウスリンホタクチンに関す
るが、他の供給源由来の関連する実施態様にも同様に適
用可能である。
本発明のチモカインタンパク質は、それらの物理化学
的特性および生物学的特性により定義される。本明細書
中に記載のマウスチモカインおよびヒトチモカイン(例
えば、マウスリンホタクチンおよびヒトリンホタクチ
ン)の生物学的特性は、サイズ、アミノ酸配列、および
特定の生物学的アッセイにおける生物学的特性により定
義される。生物学的特性を共有するにも関わらず、ヒト
リンホタクチン分子およびマウスリンホタクチン分子は
60%しか同一でなく、従って、当業者は、分子の生物学
的活性を大きく変えることなく作られ得る多数のアミノ
酸の置換、欠失、および挿入が存在することを容易に理
解する。この開示により、この分子の生物学的活性に影
響することなくアミノ酸を変化し得る技術の1つが教示
される。
チモカインは、特異的な組織タイプに存在し、そして
このタンパク質とレセプターの相互作用は、種々の細胞
生理学的局面または発達の局面を仲介するのに重要であ
る。チモカインをコードするメッセージを発現する細胞
のタイプは、細胞分化および発達に重要なシグナルがそ
れらにより仲介されていることを示唆する。例えば、Gi
lbert(1991)Developmental Biology(第3版)Sinaue
r Associates,Sunderland,MA;Browderら(1991)Develo
pment Biology(第3版)Saunders,Philadelphia,PA;Ru
ssoら(1992)Development:The Molecular Genetic App
roach Springer−Verlag,New York,NY;およびWilkins
(1993)Genetic Analysis of Animal Development(第
2版)Wiley−Liss,New York,NYを参照のこと。さら
に、チモカインの発現は、所定の細胞サブ集団を定義す
るための手段として供され得る。
前駆T細胞(Pro T)のサイトカイン産生プロフィー
ルを本明細書中で説明する。活性化マウス前駆T細胞か
ら作製されたcDNAライブラリーのスクリーニング中に、
マウスリンホタクチンと称される新規サイトカインを見
出した。マウスリンホタクチンは、C−CおよびC−X
−Cケモカインファミリーの両方のメンバーに対して明
確な類似性を示すが、ケモカインの特徴である4つのシ
ステインのうち2つを欠く。リンホタクチンは、活性化
されたCD8+T細胞およびCD4-CD8-αβTCR+胸腺細胞中に
豊富に発現される。重要なことには、それはリンパ球に
対して走化性を有するが、単球または好中球には有さな
い。C−CまたはC−X−Cケモカイン遺伝子とは異な
り、マウスリンホタクチン遺伝子は第1染色体にマップ
され、さらゐ、2つの公知のケモカインスーパーファミ
リーとは進化的に異なることを示唆している。以上をま
とめると、これらの観察はチモカインがケモカインスー
パーファミリーに対して新規であることを示す。
II.定義 用語「結合組成物」は、例えば、リガンド−レセプタ
ー型の様式、抗体−抗原相互作用、または化合物(例え
ば、チモカインに特異的に会合するタンパク質)でチモ
カインに特異的に結合する分子をいう。代表的には、会
合は、共有結合または非共有結合のいずれかによる、天
然の生理学的に関連するタンパク質−タンパク質相互作
用であり、そしてキャリア化合物または2量体化パート
ナーを含むマルチタンパク質複合体のメンバーを包含す
る。この分子は、ポリマーまたは化学試薬であり得る。
チモカインがリガンド−レセプター相互作用のリガンド
またはレセプターのいずれかであるかどうかということ
は必ずしも問題ではなく、その相互作用が同様の特異性
(例えば、特異的親和性)を示すかどうかが重要であ
る。機能的アナログは、構造的改変を有するリガンドで
あり得、または、全く関係のない分子(例えば、決定基
に結合する適切なリガンドと相互作用する分子の形状を
有する)であり得る。リガンドは、レセプターのアゴニ
ストまたはアンタゴニストとして供され得る。例えば、
Goodmanら(編)(1990)Goodman & Gilman's:The Pha
rmacolofical Bases of Therapeutics(第8版)Pergam
on Press,Tarrytown,NYを参照のこと。
用語「結合剤:チモカインタンパク質複合体」は、本
明細書中で使用するように、結合剤のチモカインタンパ
ク質への特異的結合により形成される結合剤とチモカイ
ンタンパク質との複合体をいう。結合剤の特異的結合
は、結合剤がチモカインタンパク質上の部位を認識する
特異的結合部位を有することを意味する。例えば、チモ
カインタンパク質に対して誘起され、そしてチモカイン
タンパク質のエピトープを認識する抗体は、特異的結合
により結合剤:チモカインタンパク質複合体を形成し得
る。代表的には、結合剤:チモカインタンパク質複合体
の形成は、他のタンパク質および生物製剤の混合物中で
のチモカインタンパク質の測定を可能にする。用語「抗
体:チモカインタンパク質複合体」は、結合剤が抗体で
ある結合剤:チモカインタンパク質複合体をいう。抗体
は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、または
抗体の結合フラグメントでもあり得る。
「相同性の」核酸配列は、比較すると、顕著な類似性
を示す。核酸配列での相同性の標準は、一般に当該分野
で使用される配列比較および/または系統発生的関係に
よる相同性の尺度、またはハイブリダイゼーション条件
に基づく相同性の尺度のいずれかであり得る。ハイブリ
ダイゼーション条件は、より詳細には以下に記載されて
いる。
「単離された」核酸は、核酸(例えば、RNA、DNA、ま
たは混合ポリマー)であり、これは、天然の配列に天然
で付随する他の成分(例えば、タンパク質および元の種
に由来するフランキングゲノム配列)から実質的に分離
される。この用語は、天然に存在する環境から取り出さ
れた核酸を包含し、そして、組換えまたはクローン化DN
A単離物および化学合成アナログを包含し、異質の系に
より生合成される。実質的に純粋な分子は、この分子の
単離された形態を包含する。単離された核酸は、通常、
均質な組成の分子であるが、実施態様によっては、若干
の異質物を含むこともある。この異質物は、代表的に、
ポリマー末端あるいは所望の生物的機能または生物的活
性に重要でない部分に見出される。
本明細書中で使用するように、「チモカインタンパク
質」は、タンパク質に関して使用される場合、配列番号
2または配列番号4に示すマウスアミノ酸配列を有する
タンパク質、またはそのようなタンパク質の重要なフラ
グメントを包含する。これは、以下の実施例に記載する
アッセイで決定するように、マウスリンホタクチンまた
はヒトリンホタクチンと同様の生物的機能を示し、かつ
チモカイン特異的結合化合物と相互作用するポリペプチ
ドをいう。これらの結合化合物、例えば抗体は、代表的
にはチモカインと高い親和性で(例えば、少なくとも約
100nΜ、通常約30nΜより良好に、好ましくは約10nΜよ
り良好に、そして最も好ましくは約3nΜより良好に)結
合する。
用語「ポリペプチド」または「タンパク質」は、本明
細書中で使用されるように、チモカインの重要なフラグ
メントまたはセグメントを包含し、そして少なくとも約
8個のアミノ酸のアミノ酸残基のストレッチ、ならびに
10個のアミノ酸、12個のアミノ酸、14個のアミノ酸、16
個のアミノ酸、18個のアミノ酸、20個のアミノ酸、22個
のアミノ酸、24個のアミノ酸、26個のアミノ酸、28個の
アミノ酸、および特に好ましい実施態様では、少なくと
も約30個またはそれより多い長さの範囲を包含する。
「組換え」核酸は、その生産方法またはその構造のい
ずれかにより定義される。その生産方法を参照すると、
例えば、生産物はプロセスにより作られ、このプロセス
は組換え核酸技術の使用であり、例えば、ヌクレオチド
配列へのヒトの介在、代表的には、選択または生産を包
含する。あるいは、天然ではお互いに隣接しない2つの
フラグメントの融合物を含む配列を生成することにより
作られる核酸であり得るが、天然の生産物(例えば、天
然に存在する変異体)は除くことを意味する。従って、
例えば、細胞を、天然に存在しないベクターで形質転換
することによって作製される生産物が包含され、この生
産物は、任意の合成オリゴヌクレオチドプロセスを用い
て誘導される配列を含む核酸である。このようなことを
しばしば行って、コドンを、同一または保存アミノ酸を
コードする縮重コドンで置換し、同時に、代表的には配
列認識部位を導入するかまたは除去する。あるいは、一
般に利用可能な天然の形態では見出されない所望の組み
合わせの機能を含む単一の遺伝子物質を生成するため
に、所望の機能の核酸セグメントを一緒に結合すること
が行われる。制限酵素認識部位は、しばしばこのような
人工的操作の標的であるが、他の部位特異的標的(例え
ば、プロモーター、DNA複製部位、制御配列、調節配
列、または他の有用な特徴)が設計により組み込まれ得
る。同様の概念は、組換え体、例えば融合ポリペプチド
を意図する。とりわけ、合成核酸が包含され、これは、
遺伝コードの重複性により、これらの抗原のフラグメン
トおよび種々の異なる種変異体由来の配列融合物と同様
のポリペプチドをコードする。
「溶解度」は、Svedberg単位で測定される沈降に反映
され、Svedberg単位は、特定の条件下での分子の沈降速
度の尺度である。沈降速度の測定は、古典的には分析的
超遠心で行われたが、現在は一般に標準的な超遠心によ
り行われている。Freifelder(1982)Physical Biochem
istry(第2版)W.H.Freeman & Co.,San Francisco,C
A;ならびに、CantorおよびSchimmel(1980)Biophysica
l Chemistry第1部〜第3部,W.H.Freeman & Co.,San F
rancisco,CAを参照のこと。簡略的な決定法として、可
溶性と思われるポリペプチドを含有するサンプルを、標
準的な最大サイズの超遠心に約50Krpmで約10分間回転さ
せると、可溶性の分子が上清に残る。可溶性の粒子また
はポリペプチドは、代表的には約30S未満であり、より
代表的には約15S未満であり、通常は約10S未満、より通
常は約6S未満、そして特定の実施態様では好ましくは約
4S未満、そしてより好ましくは約3S未満である。
ポリペプチドまたはフラグメントの溶解度は、環境お
よびポリペプチドに依存する。多くのパラメーターがポ
リペプチドの溶解度に影響し、温度、電解質環境、ポリ
ペプチドのサイズおよび分子的特徴、および溶媒の性質
を包含する。代表的には、ポリペプチドが使用される温
度は、約4℃〜約65℃の範囲である。通常、使用時の温
度は、約18℃より高く、そしてより通常は、約22℃より
も高い。診断目的には、温度は通常はおよそ室温かまた
はそれより暖かいが、アッセイ中の成分の変性温度より
は低い。治療目的では、温度は通常体温、代表的にはヒ
トで約37℃であるが、所定の状況下では温度はインサイ
チュまたはインビトロで上昇または低下してもよい。
ポリペプチドのサイズおよび構造は、一般に実質的に
安定状態であり、そして通常は変性状態でない。ポリペ
プチドは、例えば、可溶性を与えるために4次構造で他
のポリペプチドと会合し得るか、または天然の脂質2重
層相互作用に近い様式で脂質または界面活性剤と会合し
得る。
溶媒は、通常、生物的活性を保存するために使用され
るタイプの、生物学的に適合性の緩衝液であり、そして
通常は生理学的溶媒に近い。通常、溶媒は代表的には約
5〜10の、好ましくは約7.5の中性のpHを有する。場合
によって、タンパク質の構造的または生理学的特性を大
きく崩壊させないように、代表的には穏やかな非変性の
界面活性剤(例えば、CHSまたはCHAPS)または十分に低
い濃度の界面活性剤が添加される。
「実質的に純粋」は、一般に、タンパク質が、他の混
在するタンパク質、核酸、および元の供給源の生物に由
来する他の生物製剤から単離されることを意味する。純
度、または「単離」は、標準的方法でアッセイされ得、
そして通常、純度50%、純度60%、純度70%、純度80
%、純度85%、純度90%、純度95%、純度98%の範囲で
あり、そして最も好ましい実施態様では、少なくとも純
度99%である。
核酸配列比較に関する「実質的な類似性」は、比較時
に、セグメントまたはその相補鎖が、適切なヌクレオチ
ドの挿入または欠失を有しながらも、最適に配置される
場合に少なくとも約50%のヌクレオチドが同一である
か、そして好ましくは同一性の割合はさらに大きく、一
般に少なくとも56%、59%、62%、65%、68%、71%、
74%、77%、80%、85%、90%、より好ましくは少なく
とも約95%〜98%またはそれ以上の範囲であり、そして
特に好ましい実施態様では最高約99%またはそれ以上の
ヌクレオチドが同一である。
あるいは、実質的な類似性は、セグメントが選択的な
ハイブリダイゼーション条件下で、代表的には配列番号
1または配列番号2に由来する配列を用いて1本鎖また
はその相補鎖にハイブリダイズする場合に存在する。代
表的には、少なくとも約30ヌクレオチドのストレッチに
わたって少なくとも約55%の類似性が存在する場合、好
ましくは少なくとも約30ヌクレオチドのストレッチにわ
たって少なくとも65%類似性が存在する場合、好ましく
は少なくとも約25ヌクレオチドのストレッチにわたって
少なくとも65%類似性が存在する場合、より好ましくは
少なくとも約75%、そして最も好ましくは約20ヌクレオ
チドにわたって少なくとも約90%の類似性が存在する場
合、選択的なハイブリダイゼーションが生じる。Kenhis
a(1984)Nuc.Acids Res.12:203−213を参照のこと。類
似性の比較の長さは、記載のように、より長いストレッ
チであり得、そして所定の実施態様では、少なくとも約
17ヌクレオチド、24ヌクレオチド、28ヌクレオチド、40
ヌクレオチド、50ヌクレオチド、そして最も好ましくは
少なくとも約75〜100またはそれ以上のヌクレオチドの
ストレッチにわたる。
「ストリンジェントな条件」は、ハイブリダイゼーシ
ョンについて相同性または実質的類似性をいうとき、
塩、温度、有機溶媒、および代表的にはハイブリダイゼ
ーション反応で調節される他のパラメーターの組み合わ
せ条件がストリンジェントである。パラメーターの組み
合わせは、任意の単一のパラメーターの測定よりも重要
である。例えば、WetmurおよびDavidson(1968)J.Mol.
Biol.31:349−370を参照のこと。ストリンジェントな条
件下で標的核酸に結合する核酸プローブは、該標的核酸
に特異的である。このようなプローブは、代表的には11
ヌクレオチド長より大きく、そしてストリンジェントな
ハイブリダイゼーション条件下で標的に結合するプロー
ブの配列により特定される領域にわたって標的核酸と十
分に同一または相補的である。
他の哺乳動物種由来のチモカインは、密接に関連する
種の種交差ハイブリダイゼーションによりクローン化お
よび単離され得る。例えば、以下を参照のこと。類似性
は、遠縁種間では比較的低くあり得、従って、比較的密
接に関連する種のハイブリダイゼーションが望ましい。
あるいは、低い種特異性を示す抗体調製物の調製は、発
現クローニングアプローチに有用であり得る。
表現「抗体に特異的に結合する」または「特異的に免
疫活性を有する」は、タンパク質またはペプチドについ
ていう場合、タンパク質の異質集団および他の生物学的
成分の存在下で、タンパク質の存在の決定要因である結
合反応をいう。従って、イムノアッセイと称される条件
下では、特異抗体は特定のタンパク質に結合し、そして
サンプル中に存在する他のタンパク質にはほとんど結合
しない。このような条件下での抗体への特異的な結合
は、特定のタンパク質に対する特異性で選択される抗体
を必要とし得る。例えば、配列番号2に示すアミノ酸配
列を有するマウスリンホタクチンタンパク質免疫原に対
して惹起される抗体は、選択されて、チモカインタンパ
ク質に特異的に免疫活性であって他のタンパク質にはそ
うでない抗体を得られ得る。これらの抗体は、相同なマ
ウスリンホタクチンタンパク質に極めて類似のタンパク
質を認識する。
III.核酸 マウスチモカインは、構造的および機能的に関連する
タンパク質の大きい方のクラスの一例である。これら可
溶性のタンパク質は、異なる細胞タイプ間(例えば、T
細胞前駆細胞と間質細胞との間)でシグナルを伝達する
ために供される。好ましい実施態様は、開示されるよう
に、他の種(例えば、トリおよび哺乳動物のような温血
動物)から遺伝子を単離するための標準的手順に有用で
ある。交差ハイブリダイゼーションは、個体、株、また
は種から関連するタンパク質の単離を可能にする。多く
の異なるアプローチは、本明細書中に提供される情報に
基づいて適切な核酸クローンを単離するためにうまく利
用し得る。サザンブロットハイブリダイゼーション研究
により、65℃、2×SSCおよび0.1%SDSのハイブリダイ
ゼーション条件下で、ヒト、サル、ラット、イヌ、ウ
シ、およびウサギのゲノムにおいて相同遺伝子が同定さ
れている。
精製タンパク質または定義されたペプチドは、以下に
記載のように標準的方法により抗体を作製するために有
用である。合成ペプチドまたは精製タンパク質を免疫系
に供し、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体
を作製し得る。例えば、Coligan(1991)Current Proto
cols in Immunology Wiley/Greene,NY;ならびにHarlow
およびLane(1989)Antibodies:A Laboratory Manual C
old Spring Harbor Press,NYを参照のこと。あるいは、
チモカインレセプターは、特異的結合試薬として有用で
あり得、そして、その結合特異性(例えば、チモカイン
リガンドまたはレセプターの精製)が利用され得る。
特異的結合組成物は、チモカインを発現する細胞株か
ら作製される発現ライブラリーのスクリーニングに使用
され得る。スクリーニングのための多くの方法は、例え
ば、表面に発現されるリガンドの標準的な染色またはパ
ンニング(panning)により利用される。細胞内発現の
スクリーニングはまた、種々の染色または免疫蛍光手順
により行われ得る。結合組成物は、リガンドを発現する
細胞を親和性精製するために、または選別するために使
用され得た。
ペプチドセグメントはまた、相同遺伝子との比較とと
もに、ライブラリーをスクリーニングするために適切な
オリゴヌクレオチドを生成するのに使用され得る。一般
的なコード(generic code)が、スクリーニングのため
のプローブとして有用な適切なオリゴヌクレオチドを選
択するために使用され得る。ポリメラーゼ連鎖反応(PC
R)技術と組み合わせて、合成オリゴヌクレオチドはラ
イブラリーから所望のクローンを選択するのに有用であ
る。
相補的な配列もまた、プローブまたはプライマーとし
て使用される。可能なアミノ末端の同定に基づいて、他
のペプチドは、例えば、アンカーベクターまたはポリA
相補的PCR技術と組み合わされると、あるいは、他のペ
プチドの相補的なDNAと組み合わされると特に有用であ
る。
チモカインタンパク質をコードするDNA配列を単離す
る種々の方法がある。例えば、DNAは、本明細書中に開
示する配列に同一または相補的は配列を有する標識オリ
ゴヌクレオチドプローブを使用してゲノムライブラリー
またはcDNAライブラリーから単離される。完全長プロー
ブが使用され得るか、あるいは開示される配列との比較
によりオリゴヌクレオチドプローブが作製され得る。こ
のようなプローブは、チモカインタンパク質をコードす
るDNAを単離するためのハイブリダイゼーションアッセ
イに直接使用され得るか、または、プローブは、チモカ
インタンパク質をコードするDNAを単離するためのPCRの
ような、増幅技術で使用するために設計され得る。
cDNAライブラリー調製するために、mRNAがチモカイン
タンパク質を発現する細胞から単離される。cDNAは、mR
NAから調製され、そして組換えベクターに連結される。
ベクターは、増殖のために組換え宿主にトランスフェク
トされ、スクリーニングされ、そしてクローニングされ
る。
ゲノムライブラリーのために、DNAが組織から抽出さ
れ得、そして約12〜20kbのフラグメントを得るために機
械的に剪断されるか、または酵素的に消化されるかのい
ずれかである。次いで、フラグメントは勾配遠心により
分離され、そしてバクテリオファージλベクターにクロ
ーン化される。これらのベクターおよびファージは、イ
ンビトロでパッケージングされる。組換えファージは、
BentonおよびDavis(1977)Science96:180−182に記載
のようにプラークハイブリダイゼーションにより分析さ
れる。コロニーハイブリダイゼーションは、一般的に例
えば、Grunsteinら(1975)Proc.Natl.Acad.Sci.USA72:
3961−3965に記載のように行われる。
チモカインタンパク質をコードするDNAは、本明細書
中に記載の核酸プローブにハイブリダイズする能力によ
り、例えば、コロニーまたはプラークハイブリダイゼー
ション実験では、cDNAまたはゲノムライブラリーのいず
れかにおいて同定され得る。対応するDNA領域は、当業
者に知られる標準的方法により単離される。
PCRのような標的配列を増幅する種々の方法はまた、
チモカインタンパク質をコードするDNAを調製するため
に使用され得る。PCR技術は、このような核酸配列をmRN
A、cDNA、およびゲノムライブラリーまたはcDNAライブ
ラリーから直接増幅するために使用される。チモカイン
タンパク質をコードする単離された配列はまた、PCR増
幅のテンプレートとして使用され得る。
PCR技術では、増幅しようとするDNA領域の2つの5′
領域に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーが合成さ
れる。次いで、ポリメラーゼ連鎖反応が2つのプライマ
ーを使用して行われる。プライマーは、完全長のチモカ
インタンパク質をコードする全領域を増幅するため、ま
たは所望のより小さなDNAセグメントを増幅するために
選択され得る。一旦このような領域がPCRで増幅される
と、これらの領域は配列決定され得、そしてオリゴヌク
レオチドプローブが標準的な技術を使用して得られた配
列から調製され得る。次いで、これらのプローブは、チ
モカインタンパク質をコードするDNAを単離するために
使用され得る。
プローブとして使用するためのオリゴヌクレオチド
は、BeaucageおよびCarruthers(1983)Tetrahedron Le
tt.22(20):1859−1862により最初に記載された固相ホ
スホルアミダイトトリエステル法に従って、またはNeed
ham−Van Devanterら(1984)Nucleic Acids Res.12:61
59−6168に記載されたように自動合成機を使用すること
により化学合成される。オリゴヌクレオチドの精製は、
未変性アクリルアミドゲル電気泳動により、またはPear
sonおよびRegnier(1983)J.Chrom.255:137−149に記載
されたように陰イオン交換HPLCにより行われる。合成オ
リゴヌクレオチドの配列は、Grossman,L.およびMoldave
(編)(1980)Methods in Enzymology65:499−560Acad
emic Press,New York中のMaxam,A.M.およびGilbert,Wの
化学分解法を使用して変化させ得る。
マウスチモカインタンパク質をコードする単離された
核酸を、単離し、そして配列決定した。このクローンを
m3C9と名付け、そして受託番号69574でA.T.C.C.に1994
年2月28日に寄託した。そして、そのヌクレオチド配列
および対応するオープンリーディングフレームを配列番
号1および配列番号2に示す。対応して、ヒトのクロー
ンを単離し、A10−4と名付け、そして配列番号3およ
び配列番号4に記載し、そして受託番号69608でA.T.C.
C.に1994年4月19日に寄託した。
これらのチモカインは、ケモカインの部分に対して限
られた類似性しか有さない。例えば、Matsushimaおよび
Oppenheim(1989)Cytokine1:2−13;Oppenheimら(199
1)Ann.Rev.Immunol.9:617−648:Schall(1991)Cytoki
ne3;165−183;ならびに、GronenbornおよびClore(199
1)Protein Engineering4:263−269を参照のこと。詳細
には、マウスリンホタクチンは、カルボキシル末端部分
で、特に、配列番号1で番号が割り当てられた、67〜69
位のAla−Val−Ile配列から78〜82位のIle−Cys−Ala−
Asp−Proのセグメントに対応する位置で、保存された87
位のバリン、94位の疎水性残基、および95位に対応する
荷電した残基でCCクラスのケモカインに類似性を示す。
ヒトリンホタクチンの対応部分における実質的な類似性
はまた、例えば、ヒトの61〜78残基に対応するマウスの
67〜84の領域のアミノ酸に存在する。チモカインは、C
−Cケモカインファミリーのメンバーよりも長いカルボ
キシル末端尾部を有する。特に、ケモカインのC−X−
CおよびC−Cファミリーでの他の保存残基の間隔(sp
acing)は、m3C9チモカイン実施態様では存在しない。
比較での他の特徴は、チモカインおよびケモカインファ
ミリーの間で明らかである。例えば、Lodiら(1994)Sc
ience263:1762−1766を参照のこと。詳細には、〜シー
トおよび〜ヘリックス残基については、Gronenbergら
(1991)Protein Engineering4:263−269に;そして他
の構造的特徴については、Lodiら(1994)Science263:1
762−1767に記載されている。これらの2次的または3
次的特徴は、34〜40の間の、好ましくは36〜38の間、そ
して特定の実施態様では37で保存されている適切なシス
テイン残基の間隔とともに、さらにCCおよびCXCの構造
的特徴を定義するのに役立つ。
本発明は、生物学的に活性なチモカインタンパク質を
コードする単離されたDNAまたはフラグメントを提供す
る。さらに、本発明は、生物学的に活性なタンパク質ま
たはポリペプチドをコードする、単離されたまたは組換
えDNAを提供し、このDNAは、適切な条件(例えば、高ス
トリンジェンシー)下で、本明細書中に記載のDNA配列
とハイブリダイズし得る。上記の生物学的に活性なタン
パク質またはポリペプチドは、無傷のリガンドまたはフ
ラグメントであり得、そして配列番号2または配列番号
4に開示されるアミノ酸配列を有する。好適な実施態様
は、天然の単離物の完全長(例えば、未グルコシル化の
場合、約11,000〜12,500ダルトンのサイズ)、または少
なくとも約6,000ダルトン、より好ましくは少なくとも
約8,000ダルトンのフラグメントであり得る。グルコシ
ル化された形態では、タンパク質は12,500ダルトンを超
え得る。さらに、本発明はチモカインタンパク質に相同
なタンパク質をコードする、あるいはプローブとしてチ
モカインタンパク質をコードするcDNAを使用して単離さ
れた、単離されたまたは組換えDNAあるいはそのフラグ
メントの使用を包含する。単離されたDNAは、5′側面
(flank)および3′側面にそれぞれ制御配列(例え
ば、プロモーター、エンハンサー、ポリA付加シグナル
など)を有する。
IV.チモカインの作製 チモカインまたはそのフラグメントをコードするDNA
は、化学合成、cDNAライブラリーのスクリーニング、ま
たは広範な細胞株または組織サンプルから調製されるゲ
ノムライブラリーのスクリーニングにより得られ得る。
これらのDNAは、完全長タンパク質またはフラグメン
トの合成のために広範な宿主細胞で発現され得、これは
順番に、例えば、ポリクローナル抗体またはモノクロー
ナル抗体を作製するために;結合研究のために;改変さ
れた分子の構築および発現のために;そして構造/機能
研究のために使用され得る。それぞれのチモカインまた
はそのフラグメントは、適切な発現ベクターで形質転換
またはトランスフェクトされた宿主細胞で発現され得
る。これらの分子は、実質的に精製し得て、タンパク質
または細胞混入物を除き、さもなければ、組換え宿主か
ら誘導し得、それゆえ、薬学的に受容可能なキャリアー
および/または希釈剤と組み合わせた場合、薬学的組成
物に特に有用である。抗体(例えば、チモカインまたは
その一部)は、他のタンパク質との融合物として発現さ
れ得る。
発現ベクターは、代表的には所望の抗体遺伝子または
そのフラグメントを含有する、通常は、適切な宿主細胞
で認識される適切な遺伝子調節因子に作動可能に連結さ
れる、自己複製するDNAまたはRNA構築物である。これら
の調節因子は、適切な宿主内で発現をもたらし得る。発
現をもたらすのに必要な調節因子の特定のタイプは、使
用される最後の宿主細胞に依存する。一般に、遺伝子調
節因子は、原核細胞のプロモーターシステムまたは真核
細胞のプロモーター発現調節システムを包含し得、そし
て代表的には、転写プロモーター、転写の開始を調節す
る任意のオペレーター、mRNAの発現レベルを高めるため
の転写エンハンサー、適切なリボソーム結合部位をコー
ドする配列、および転写および翻訳を終止させる配列を
含む。発現ベクターはまた、通常、ベクターを宿主細胞
とは独立に複製させ得る複製開始点を含有する。
本発明のベクターは、チモカインをコードする、代表
的には、例えば、生物学的に活性なポリペプチドまたは
タンパク質をコードするDNAまたはそのフラグメントを
含有する。DNAは、ウイルスプロモーターの調節下であ
り得、そして選択マーカーをコードし得る。本発明はさ
らに、原核細胞または真核細胞の宿主でチモカインタン
パク質をコードする真核細胞のcDNAを発現し得る、この
ような発現ベクターの使用を包含し、ここで、ベクター
は宿主に適合性であり、そしてタンパク質をコードする
真核細胞のcDNAは、ベクターを含む宿主の増殖により目
的のcDNAが発現されるようにベクターに挿入される。通
常、発現ベクターは、宿主細胞内での安定な複製または
増幅のために設計され、細胞あたりの所望の遺伝子の全
コピー数が著しく増大する。発現ベクターが宿主細胞内
で複製する必要は必ずしもなく、例えば、宿主細胞に認
識される複製開始点を含有しないベクターを使用して種
々の宿主における、タンパク質またはそのフラグメント
の一時的な発現が可能である。チモカイン遺伝子または
そのフラグメントの宿主DNAへの組換えによる組込みを
生じるベクターを使用すること、または内因性遺伝子の
発現を調節するプロモーターを組込むこともまた可能で
ある。
本明細書中で使用するように、ベクターは、プラスミ
ド、ウイルス、バクテリオファージ、組込み可能なDNA
フラグメント、および宿主ゲノムへのDNAフラグメント
の組込みを可能にする他の媒体を包含する。発現ベクタ
ーは、作動可能に連結される遺伝子の発現をもたらす遺
伝子調節因子を含有する、分化したベクターである。プ
ラスミドは、最も多く使用される形態のベクターである
が、同等の機能を供する全ての他の形態のベクターは、
本明細書中で使用するのに適切である。例えば、Pouwel
sら(1985および補償)Cloning Vectors;A loboratory
Manual Elsevier,N.Y.;および、Rodriquezら(編)(19
88)Vectors:A Survey of Molecular Cloning Vectors
and Their Uses Buttersworth,Boston,MAを参照のこ
と。
適切な宿主細胞は、原核生物、下等真核生物、および
高等真核生物を包含する。原核生物は、グラム陰性およ
びグラム陽性の生物(例えば、E.coliおよびB.subtili
s)の両方を包含する。下等真核生物は、酵母(例え
ば、S.cerevisiaeおよびPichia)、およびDictyosteliu
m属の種を包含する。高等真核生物は、非哺乳動物起源
(例えば、昆虫細胞、およびトリ)および哺乳動物起源
(例えば、ヒト、霊長類、および齧歯動物)の両方の動
物細胞に由来する確立された組織培養細胞株を包含す
る。
原核宿主−ベクター系は、多くの異なる種に対して幅
広いベクターを包含する。本明細書中で使用するよう
に、E.coliおよびそのベクターは、他の原核生物に使用
される同等のベクターを包含するために一般的に使用さ
れる。DNAを増幅するためのベクターの代表的なベクタ
ーはpBR322およびその誘導物である。チモカインまたは
チモカインフラグメントを発現するために使用され得る
ベクターとしては、lacプロモーター(pUC−シリー
ズ);trpプロモーター(pBR322−trp);Ippプロモータ
ー(pIN−シリーズ);λ−pPまたはpRプロモーター(p
OTS);またはptac(pDR540)のようなハイブリッドプ
ロモーターを含有するベクターが挙げられるが、これに
限定されない。Brosiusら(1988)「λ−、trp−、lac
−、およびIpp−由来プロモーターを用いる発現ベクタ
ー」,RodriguezおよびDenhardt(編)Vectors:A Survey
of Molecular Cloning Vectors and Their Uses10:205
−236Buttersworth,Boston,MAを参照のこと。
下等真核生物(例えば、酵母およびDictyostelium)
は、チモカイン配列含有ベクターで形質転換され得る。
本発明の目的に対して、最も一般的な下等真核宿主は、
パン酵母Saccharomyecs cerevisiaeである。多数の他の
株および種もまた利用可能であるが、この酵母は一般に
下等真核細胞の代表として使用される。酵母ベクター
は、代表的に複製開始点(組込みタイプにもかかわら
ず)、選択遺伝子、プロモーター、所望するタンパク質
またはそのフラグメントをコードするDNA、および翻訳
終止、ポリアデニル化、および転写終止のための配列か
らなる。酵母に適切な発現ベクターは、3−ホスホグリ
セリン酸キナーゼおよび種々の他の解糖系酵素の遺伝子
プロモーターのような構成プロモーター、あるいはアル
コールデヒドロゲナーゼ2プロモーターまたはメタロチ
オンニンプロモーターのような誘導性プロモーターを包
含する。適切なベクターは、以下のタイプの誘導体を包
含する:自己複製低コピー数(例えば、YRp−シリー
ズ)、自己複製高コピー数(例えば、YEp−シリー
ズ);組込みタイプ(例えば、YIp−シリーズ)、また
はミニ染色体(例えば、YCp−シリーズ)。
高等真核組織培養細胞は、機能的に活性なチモカイン
タンパク質の発現に好ましい宿主細胞である。原則的に
は、任意の高等真核組織培養細胞株が、無脊椎動物また
は脊椎動物供給源に由来するか否かにより、例えば、昆
虫のバキュロウイルス発現システムに使用され得る。し
かし、哺乳動物細胞は、翻訳と同時および翻訳後の両方
に適切なプロセシングを達成することが好ましい。この
ような細胞の形質転換またはトランスフェクション、お
よび増殖はルーチン(routine)である。
有用な細胞株は、HeLa細胞、チャイニーズハムスター
卵巣(CHO)細胞株、ベビーラット腎臓(BRK)細胞株、
昆虫細胞株、トリ細胞株、およびサル(COS)細胞株を
包含する。このような細胞株のための発現ベクターは、
通常、複製開始点、プロモーター、翻訳開始部位、RNA
スプライス部位(例えば、ゲノムDNAが使用される場
合)、ポリアデニル化部位、そして転写終止部位を含有
し得る。これらのベクターはまた、選択遺伝子または増
幅遺伝子を含有し得る。適切な発現ベクターは、プラス
ミド、ウイルス、または例えば、アデノウイルス、SV4
0、パルボウイルス、種痘ウイルス、またはサイトメガ
ロウイルスのような供給源に由来するプロモーターを有
するレトロウイルスであり得る。適切な発現ベクターの
代表例としては、pCDNA1;pCD(Okayamaら(1985)Mol.C
ell Biol.5:1136−1142を参照のこと);pMC1neo Poly−
A(Thomasら(1987)Cell51:503−512を参照のこ
と);および、pAC373またはpAC610のようなバキュロウ
イルスベクターが挙げられる。
発明者らの研究は、チモカインが本明細書中に記載さ
れるアッセイで生物学的応答を誘導するためにグリコシ
ル化を必要としないことを示す。しかし、特異的なまた
は定義されるグリコシル化のパターンを提供するシステ
ムでのチモカインポリペプチドの発現がしばしば望まし
い。この場合、通常のパターンは、発現システムにより
自然に提供されるパターンである。しかし、このパター
ンは、ポリペプチドを、例えば、グリコシル化されてい
ない形態で、異質の発現システムに誘導された適切なグ
リコシル化タンパク質に曝すことにより改変される。例
えば、チモカイン遺伝子は、哺乳動物または他のグリコ
シル化酵素をコードする1つまたはそれ以上の遺伝子と
ともに同時形質転換され得る。過剰のグリコシル化は、
チモカインの生物学的活性に有害であり得、そして当業
者が、最適の生物学的活性を与えるグリコシル化の程度
を最適化するためのルーチンな試験を行い得ることがさ
らに理解される。
チモカインまたはそのフラグメントは、細胞膜と連結
するホスファチジルイノシトール(PI)であるように操
作され得るが、しかしホスファチジルイノシトール切断
酵素(例えば、ホスファチジルイノシトールホスホリパ
ーゼC)での処理により膜から取り出され得る。これに
より、生物学的に活性な形態の抗体が放出され、そして
タンパク質化学の標準的な手順により精製が可能とな
る。例えば、Low(1989)Biochem.Biophys.Acta988:427
−454;Tseら(1985)Science230:1003−1008;およびBru
nnerら、(1991)J.Cell Biol.114:1275−1283を参照の
こと。
チモカインについても特徴が調べられているので、そ
のフラグメントまたは誘導体はペプチド合成のための従
来のプロセスにより調製され得る。これらには、Stewar
tおよびYoung(1984)Solid Phase Peptide Synthesis
Pierce Chemical Co.,Rockford,IL;BodanszkyおよびBod
anszky(1984)The Practice of Peptide Synthesis Sp
ringer−Verlag,New York,NY;およびBodanszky(1984)
The Principles of Peptide Synthesis Springer−Verl
ag,New York,NYに記載のようなプロセスが挙げられる。
例えば、アジドプロセス、酸クロリドプロセス、酸無水
物プロセス、混合無水物プロセス、活性エステルプロセ
ス(例えば、p−ニトロフェニルエステル、N−ヒドロ
キシスクシンイミドエステル、またはシアノメチルエス
テル)、カルボジイミダゾールプロセス、酸化−還元プ
ロセス、またはジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC
D)/添加プロセスが使用され得る。固相および液相合
成が、先のプロセスに両方とも適用される。
調製タンパク質およびそのフラグメントは、反応混合
物から、ペプチド分離手段(例えば、抽出、沈殿、電気
泳動、および種々の形態のクロマトグラフィーなど)に
より単離および精製され得る。本発明のチモカインは、
所望される使用に依存して種々の純度で得られ得る。精
製は、公知のタンパク質精製技術の使用、あるいは抗体
または本明細書中に記載の結合パートナー(例えば、免
疫吸着剤親和性クロマトグラフィー)の使用により達成
され得る。この免疫吸着剤親和性クロマトグラフィー
は、まず、抗体を固相支持体に連結させ、次いで、連結
した抗体を、適切な供給源細胞の可溶化した溶解物、リ
ガンドを発現する他の細胞の溶解物、またはDNA技術
(以下参照)の結果としてチモカインを生成する細胞の
溶解物または上清とを接触させることにより行われる。
複数の細胞株が、他の細胞と比較して高レベルにチモ
カインを発現する細胞についてスクリーニングされ得
る。種々の細胞株(例えば、マウス胸腺間質細胞株TA
4)がスクリーニングされ、そして好ましい扱いやすい
特性について選択される。天然のチモカインは、天然の
供給源から、または適切な発現ベクターを使用して形質
転換された細胞から発現により単離され得る。発現され
るタンパク質の精製は、標準的な手順により達成される
か、または細胞溶解物または上清から高効率で効果的に
精製する操作された手段と組み合わせ得る。FLAGまたは
His6セグメントがこのような精製の特徴に使用され得
る。
V.抗体 抗体は、天然に存在する(完全長の)形態およびそれ
らの組換え形態の両方である、個体変異、対立遺伝子変
異、株変異、または種間変異を包含する種々のチモカイ
ン、ならびにそのフラグメントに対して惹起され得る。
さらに、抗体は、活性型または不活性型のいずれかのチ
モカインに対して惹起され得る。抗イデオタイプ抗体も
また使用され得る。
a.抗体の精製 多数の免疫原が、チモカインタンパク質に特異的に反
応する抗体を産生するために使用され得る。組換えタン
パク質は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗
体を生成するための好ましい免疫原である。天然に存在
するタンパク質はまた、純粋な形態または不純な形態の
いずれかで使用され得る。本明細書中に記載のヒトまた
はマウスリンホタクチンタンパク質を使用して作製され
た合成ペプチドはまた、チモカインに対する抗体の産生
のための免疫原として使用され得る。組換えタンパク質
は、本明細書中に記載のように真核細胞または原核細胞
中で発現され得、そして記載のように精製され得る。次
いで、生産物が、抗体を産生し得る動物中に注射され
る。モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のい
ずれかが、タンパク質を測定するイムノアッセイで続い
て使用するために作製され得る。
ポリクローナル抗体を産生する方法は、当業者に公知
である。簡略に述べると、免疫原、好ましくは精製タン
パク質をアジュバントと混合し、そして動物を混合物で
免疫する。免疫原調製物に対する動物の免疫応答を、試
験血液によりモニターし、そして目的のチモカインタン
パク質に対する反応性の力価を測定する。免疫原に対す
る抗体の適切な高力価が得られたら、血液を動物から採
集し、そして血清を調製する。さらに、所望ならば、タ
ンパク質に反応性の抗体を富化するために血清の分別を
行い得る(HarlowおよびLane、前出を参照のこと)。
モノクローナル抗体は、当業者に知られる種々の技術
により得られ得る。簡略に述べると、通常はメラノーマ
細胞と融合させることにより、所望の抗体で免疫した動
物由来の脾臓細胞を不死化する(KohlerおよびMilstein
(1976)Eur.J.Immunol.6:511−519を参照のこと)。不
死化の別の方法は、エプスタイン バーウイルス、ガン
遺伝子、またはレトロウイルスでの形質転換、または当
該分野で周知の他の方法を包含する。単一の不死化細胞
から生じるコロニーが、抗体に対して所望の特異性およ
び親和性の抗体の産生についてスクリーニングされ、そ
してこのような細胞により産生されるモノクローナル抗
体の収量が、脊椎動物宿主の体腔への注射を包含する種
々の技術により増強され得る。あるいは、Huseら(198
9)Science246:1275−1281により概説された一般的なプ
ロトコルに従って、ヒトB細胞に由来するDNAライブラ
リーをスクリーニングすることにより、モノクローナル
抗体またはその結合フラグメントをコードするDNA配列
を単離し得る。
チモカインの予め決定されているフラグメントに対す
る、結合フラグメントおよび単一鎖バージョン(single
chain version)を包含する抗体が、上記のようにフラ
グメントとキャリアタンパク質との結合物で動物を免疫
することにより惹起され得る。モノクローナル抗体は、
所望の抗体を分泌する細胞から調製される。これらの抗
体は、正常なチモカインまたは不完全なチモカインとの
結合についてスクリーニングされ得、または、例えば、
レセプターを介してのアゴニスト活性またはアンタゴニ
スト活性についてスクリーニングされ得る。これらのモ
ノクローナル抗体は、通常、少なくとも約1mMのKDで結
合し、300μM、30μM、10μM、そして好ましくは少
なくとも約3μM以下のKDを含む場合はより良好に結合
する。
場合によって、モノクローナル抗体を種々の哺乳動物
宿主(例えば、マウス、齧歯動物、霊長類、ヒトなど)
から調製するのが望ましい。このようなモノクローナル
抗体の調製技術の説明については、例えば、Stitesら
(編)Basic and Clinical Immunology(第4版)Lange
Medical Publications,Los Altos,CAに見出され得、そ
して本明細書中に参考として引用されている;Harlowお
よびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual CSH
Press;Goding(1986)Monoclonal Antibodies:Princip
les and Practice(第2版)Academic Press,New York,
NY:および、特に、KohlerおよびMilstein(1975)Natur
e256:495−497(これは、モノクローナル抗体を産生す
る1つの方法について議論している)。簡略にまとめる
と、この方法は免疫原を動物に注射することを包含す
る。次いで、動物を屠殺し、そして細胞を脾臓から採
り、次いでこれを骨髄腫細胞と融合する。得られるの
は、ハイブリッド細胞、つまり、インビトロで再生可能
な「ハイブリドーマ」である。次いで、ハイブリドーマ
の集団がスクリーニングされ、個々のクローンが単離さ
れ、この個々のクローンは免疫原に対する単一の抗体種
を分泌する。この様式では、得られた個々の抗体種は、
免疫原物質上で認識される特異的部位に応答して作製さ
れる免疫動物由来の不死化およびクローン化された単一
のB細胞の生産物である。
他の適切な技術は、ファージまたは同様のベクター中
の抗体のライブラリーの選択を包含する。Huseら(198
9)「λファージにおける免疫グロブリンレパートリー
の大きな組み合わせのライブラリーの作製」,Science24
6:1275−1281;およびWardら(1989)Nature341:544−54
6を参照のこと。本発明のポリペプチドおよび抗体は、
キメラ抗体またはヒト化抗体を包含する改変を伴いまた
は伴わずに使用され得る。しばしば、ポリペプチドおよ
び抗体は、検出可能なシグナルを提供する基質と共有結
合的にまたは非共有結合的に連結することにより標識さ
れる。広範囲の標識および結合技術が公知であり、そし
て科学文献および特許文献の両方で多数報告されてい
る。適切な標識としては、放射性核種、酵素、基質、コ
ファクター、インヒビター、蛍光部分、化学発光部分、
磁性粒子などが挙げられる。このような標識の使用を教
示する特許としては、米国特許第3,817,837号;同第3,8
50,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,
277,437号;同第4,275,149号;および同第4,366,241号
が挙げられる。組換え免疫グロブリンもまた、産生され
得る。Cabilly、米国特許第4,816,567号;およびQueen
ら(1989)Proc.Nat'1 Acad.Sci.USA86:10029−10033を
参照のこと。
本発明の抗体はまた、チモカインタンパク質の単離に
おける親和性クロマトグラフィーに使用され得る。カラ
ムは、抗体を固相支持体(例えば、アガロース、セファ
デックスなどの粒子)に連結させて調製され得、ここ
で、細胞溶解物は、カラムを通過させ得、カラムを洗浄
し、続いて温和な変性剤の濃度を増加させることによっ
て、精製されたチモカインタンパク質が放出される。
抗体はまた、特定の発現産物の発現ライブラリーをス
クリーニングするために使用され得る。通常、このよう
な手順に使用される抗体は、抗体の結合により抗原の存
在の容易な検出を可能にする部分で標識される。
チモカインに対する抗体は、チモカインを発現する細
胞集団の同定に使用され得る。チモカインを発現する細
胞の発現産物をアッセイすることにより、疾患(例え
ば、免疫無防備状態)の診断を可能にする。
それぞれのチモカインに対して惹起される抗体はま
た、抗イデオタイプの抗体を惹起するために有用であ
る。これらは、それぞれの抗体の発現に関連する種々の
免疫学的条件を検出または診断するのに有用である。
b.イムノアッセイ 特定のタンパク質は、種々のイムノアッセイ法により
測定され得る。免疫学的手順およびイムノアッセイ手順
の一般的な概説については、StitesおよびTerr(編)19
91Basic and Clinical Immunology(第7版)を参照の
こと。さらに、本発明のイムノアッセイは任意のいくつ
かの形状で行われ得、これは、Maggio(編)(1980)En
zyme Immunoassay CRC Press,Boca Raton,Florida;Tija
n(1985)「酵素イムノアッセイの実際と理論」Laborat
ory Techniques in Biochemistry and Molecular Biolo
gy,Elsevier Science Publishers B.V.,Amsterdam;なら
びにHarlowおよびLane Antibodies,A Laboratory Manua
l,前出に広範に概説されている。Chan(編)(1987)Im
munoassey:A Practical Guide Academic Press,Orland
o,FL;PriceおよびNewman(編)(1991)Principles and
Practice of Immunoassays Stockton Press,NY;および
Ngo(編)(1988)Non−isotopic Immunoassays Plenum
Press,NYも参照のこと。
チモカインタンパク質の測定のためのイムノアッセイ
は、当業者に公知の種々の方法で行われ得る。簡略に述
べると、タンパク質を測定するためのイムノアッセイ
は、競合的結合アッセイまたは非競合的結合アッセイの
いずれかで行われ得る。競合的結合アッセイでは、分析
すべきサンプルは固相の表面に結合している捕獲剤上の
特異的結合部位に対して標識分析物と競合する。好まし
くは捕獲剤は、上記に記載のように生産されるチモカイ
ンタンパク質と特異的に反応する抗体である。捕獲剤に
結合している標識分析物の濃度は、サンプル中に存在す
る遊離の分析物の総量と反比例する。
競合的結合イムノアッセイでは、サンプル中に存在す
るチモカインタンパク質は、特異的結合剤(例えば、チ
モカインタンパク質と特異的に反応する抗体)への結合
について標識タンパク質と競合する。結合剤は、非結合
の標識タンパク質から結合した標識タンパク質を分離す
るために、固相表面に結合され得る。あるいは、競合的
結合アッセイは液相で行われ得、そして当該分野で公知
の種々の技術いずれかが非結合の標識タンパク質から結
合した標識タンパク質を分離するために使用され得る。
分離後、結合した標識タンパク質の量が測定される。サ
ンプルに存在するタンパク質の量は、標識したタンパク
質の結合量に反比例する。
あるいは、同種イムノアッセイが行われ得、このアッ
セイでは分離工程を必要としない。これらのイムノアッ
セイでは、タンパク質の標識は特異的結合剤へのタンパ
ク質の結合により変更される。イムノアッセイの終了時
の標識の測定でタンパク質の検出または定量が可能とな
るように、標識タンパク質でのこの変更によって、標識
によるシグナル放射を減少または増加する。
チモカインタンパク質はまた、種々の非競合的イムノ
アッセイ法により測定され得る。例えば、2部位固相サ
ンドイッチイムノアッセイが使用され得る。このタイプ
のアッセイでは、タンパク質に対する結合剤(例えば、
抗体)は、固相支持体に結合している。第2のタンパク
質結合剤もまた抗体であり得、そしてこれは異なる部位
でタンパク質に結合するが、標識される。タンパク質の
両方の部位に結合が生じた後、非結合の結合剤が除去さ
れ、そして固相に結合した標識結合剤の量が測定され
る。結合した標識結合剤の量は、サンプル中のタンパク
質量に正比例する。
ウエスタンブロット分析がサンプル中のチモカインタ
ンパク質の存在の決定に使用され得る。電気泳動が、例
えば、タンパク質を含有すると思われる組織サンプルに
ついて行われる。タンパク質を分離するための電気泳
動、およびニトロセルロースフィルターのような適切な
固相支持体へのタンパク質のトランスファー後、固相支
持体はタンパク質と反応性の抗体とともにインキュベー
トする。この抗体は標識され得、あるいは1次抗体に結
合する2次標識抗体との続いてのインキュベーションに
より検出され得る。
上記のイムノアッセイ様式は、標識アッセイ成分を用
いる。標識は種々の形態であり得る。標識は、当該分野
で周知の方法に従ってアッセイの所望の成分に直接的ま
たは間接的に結合され得る。広範囲の標識が使用され得
る。成分は、いくつかの方法のいずれか1つによって標
識され得る。従来、3H、125I、35S、14C、または32Pを
取り込んだ放射性標識が使用された。非放射性標識とし
ては、標識抗体に結合するリガンド、フルオロフォア、
化学蛍光剤、酵素、および標識リガンドの特異的結合ペ
アメンバーとして供し得る抗体が挙げられる。標識の選
択は、必要な感度、化合物との結合の容易さ、安定性必
要条件、および利用し得る器具に依存する。使用され得
る種々の標識システムまたはシグナル生成システムの概
説については、米国特許第4,391,904号を参照のこと。
特定のタンパク質に反応性の抗体はまた、種々のイム
ノアッセイ法により測定され得る。イムノアッセイ技術
による抗体の測定に適用し得る免疫学的手順およびイム
ノアッセイ手順の概説については、StitesおよびTerr
(編)Basic and Clinical Immunology(第7版)前出;
Maggio(編)(1980)Enzyme Immunoassay,前出;なら
びにHarlowおよびLane(1989)Antibodies:A Laborator
y Manual前出を参照のこと。
簡略に述べると、チモカインタンパク質と反応性の抗
血清を測定するイムノアッセイは、競合的結合アッセイ
または非競合的結合アッセイであり得る。競合的結合ア
ッセイでは、サンプル分析物は、固相表面に結合してい
る捕獲剤の特異的結合部位に対して標識分析物と競合す
る。好ましくは、捕獲剤は上記のように生産された精製
組換えチモカインタンパク質である。単離された、また
は部分的に精製された天然に存在するタンパク質を包含
するチモカインタンパク質の他の供給源もまた使用され
得る。非競合的アッセイは、代表的にはサンドイッチア
ッセイであり、ここでは、サンプル分析物は2つの分析
物−特異的結合剤の間に結合する。結合剤の1つは、捕
獲剤として使用され、そして固相表面に結合する。第2
の結合剤は標識され、そして可視的手段または器具手段
により、得られた複合体を測定または検出するために使
用される。捕獲剤と標識結合剤との数多くの組み合わせ
が使用され得る。種々の異なるイムノアッセイ様式、分
離技術、および標識がまた、チモカインタンパク質の測
定について上記の方法と同様に使用され得る。
VI.精製チモカイン マウスチモカインアミノ酸配列は配列番号2に提供さ
れる。ヒトアミノ酸配列およびヌクレオチド配列は、配
列番号3および配列番号4に提供される。このペプチド
配列は、このようなセグメントを認識する抗体を生成す
るためのペプチドの調製を可能にし、そしてこのような
配列をコードするオリゴヌクレオチドの調製を可能にす
る。チモカインは分泌タンパク質であるようなので、こ
れらはN末端シグナル配列を有し、これは、プロセシン
グおよび分泌に際して取り除かれ、そして推定の切断部
位は配列番号2のアミノ酸20(Glu)と21(Gly)との間
である。最も密接に関連する報告された配列との比較に
おける構造的特徴の分析は、他のサイトカイン、特にケ
モカインとして公知のタンパク質のクラスとの類似性を
明らかにした。ケモカイン内には、2つのサブグルー
プ、C−CサブグループおよびC−X−Cサブグループ
がある。チモカインファミリーは、これらのグループの
それぞれと種々の特徴を共有するが、しかし、特徴の組
み合わせは区別され、関連したケモカインの新規のファ
ミリーを定義する。
VII.物理的変異体 本発明はまた、チモカインのアミノ酸配列と実質的な
アミノ酸類似性を有するタンパク質またはペプチドを包
含する。天然の変異体は、個体変異体、対立遺伝子変異
体、株変異体、または種変異体を包含する。
アミノ酸配列類似性または配列同一性は、必要であれ
ば、必要なギャップを導入して、残基のマッチを最適化
することにより決定される。これは、保存的置換をマッ
チとして考慮する場合は、変化する。保存的置換は、代
表的には以下のグループ内での置換を包含する:グリシ
ン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アス
パラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミ
ン;セリン、トレオニン;リジン、アルギニン;および
フェニルアラニン、チロシン。相同性のアミノ酸配列
は、それぞれのタンパク質配列における天然の対立遺伝
子変異体および種変異体を包含する。代表的な相同性タ
ンパク質またはペプチドは、チモカインのアミノ酸配列
と50〜100%類似性(ギャップを導入可能な場合)から7
5〜100%類似性(保存的置換が包含される場合)を有す
る。類似性の尺度は、少なくとも約50%、60%、65%、
70%、75%、80%、および80%であり、特に好ましい実
施態様では、少なくとも85%以上である。Needlehamら
(1970)J.Mol.Biol.48:443−453;Sankoffら(1983)Ti
me Warps,String Edits,and Macromolecules:The Theor
y and Practice of Sequence Comparison第1章,Addiso
n−Wesley,Reading,MA;およびIntelliGenetics,Mountai
n View,CAからのソフトウェアパッケージ;およびUnive
rsity of Wisconsin Genetics Computer Group,Madiso
n,WIもまた参照のこと。
哺乳動物チモカインタンパク質をコードする核酸は、
代表的にはストリンジェントは条件下で配列番号1また
は配列番号3の核酸配列とハイブリダイズする。例え
ば、マウスリンホタクチンタンパク質をコードする核酸
は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下
で配列番号1の核酸とハイブリダイズする。一般に、ス
トリンジェントな条件は、定義されるイオン強度および
pHで、ハイブリダイズするべき配列の融解温度(Tm)よ
りも約10℃低く選択される。Tmは、標的配列の50%が完
全にマッチするプローブにハイブリダイズする(定義さ
れたイオン強度およびpHの下での)温度である。代表的
には、ストリンジェントな条件は、pH7にて塩濃度が約
0.02Mであり、温度は少なくとも約50℃である条件であ
る。他の因子が、ハイブリダイゼーションのストリンジ
ェンシーに大いに影響し得、他の因子の中にはとりわ
け、塩基組成および相補鎖のサイズ、ホルムアミドのよ
うな有機溶媒の存在、および塩基のミスマッチの程度が
包含される。好ましい実施態様は、50%ホルムアミドお
よび200mM NaCl中で42℃にて開示された配列に結合する
核酸を包含する。
単離されたチモカインDNAは、ヌクレオチド置換、ヌ
クレオチド欠失、ヌクレオチド挿入、およびヌクレオチ
ドストレッチの転換により容易に改変され得る。これら
の改変により、チモカイン抗原、その誘導体、または非
常に似た生理学的、免疫原性または抗原性活性を有する
タンパク質をコードする新規のDNA配列が得られる。
改変された配列は、変異抗原を生成するため、または
発現を増強するために使用され得る。増強された発現
は、遺伝子の増幅、増大した転写、増大した翻訳、およ
び他の機構を包含し得る。このような変異チモカイン誘
導体は、それぞれのタンパク質またはそのフラグメント
の予め決定された(predetermined)変異体または部位
特異的変異体を包含する。「変異チモカイン」は、さも
なければ上述のマウスチモカインの相同性の定義の範囲
内であるが、しかし、欠失、置換、または挿入の方法の
いずれかにより天然に見出されるチモカインのアミノ酸
配列とは異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを包
含する。特に、「部位特異的変異チモカイン」は、一般
に配列番号2または配列番号4の配列を有するタンパク
質と有意な類似性を有し、そして種々の生物学的活性
(例えば、抗原性活性または免疫原性活性)をこれらの
配列と共有するタンパク質を包含し、そして好ましい実
施態様では、開示された配列の大部分または全てを含有
する。同様の概念は、異なるチモカインタンパク質、特
に種々の温血動物(例えば、哺乳動物およびトリ)に見
出されるチモカインタンパク質に適用される。前に述べ
たように、記載は、一般に他のチモカインタンパク質を
包含することを意図しており、特に議論したマウスまた
はヒトの実施態様に限定されないことを強調する。
部位特異的変異部位は予め決定されているが、変異が
部位特異的である必要はない。チモカイン突然変異誘発
がアミノ酸の挿入または欠失を作製することにより行わ
れ得る。置換、欠失、挿入、または任意の組み合わせが
生成されて、最終構築物に到達し得る。挿入は、アミノ
末端融合物またはカルボキシル末端融合物を包含する。
ランダムな変異誘発は、標的コドンにて行われ得、次い
で、発現された変異体が所望の活性についてスクリーニ
ングされ得る。公知の配列を有するDNA中の予め決定さ
れた部位での置換変異の作製方法は、当該分野で周知で
ある(例えば、M13プライマー変異誘発またはポリメラ
ーゼ連鎖反応(PCR)技術による)。DNA中の変異は、通
常、コード配列を読み取り枠の外にするべきではなく、
そして好ましくは、ハイブリダイズしてループまたはヘ
アピンのような2次的なmRNAの構造を生成し得る相補的
な領域を作らない。
本発明はまた、組換えタンパク質(例えば、これらの
タンパク質由来のセグメントを使用する異種融合タンパ
ク質)を提供する。異種融合タンパク質は、本来、同じ
方式では通常融合されないタンパク質またはセグメント
の融合物である。従って、チモカインポリペプチドと免
疫グロブリンとの融合産物は、代表的なペプチド結合で
融合される配列を有し、代表的には単一の翻訳産物とし
て作られ、そしてそれぞれの供給源のペプチドに由来す
る特性を示す連続的なタンパク質分子である。同様の概
念が異種核酸配列にも適用される。
さらに、新たな構築物が他のタンパク質由来の類似の
機能的ドメインの組み合わせから作製され得る。例え
ば、タンパク質結合セグメントまたは他のセグメント
が、異なる新たな融合ポリペプチドまたはフラグメント
の間で「交換」され得る。例えば、Cunninghamら(198
9)Science243:1330−1336;およびO'Dowdら(1988)J.B
iol.Chem.263:15985−15992を参照のこと。従って、特
異性の新たな組み合わせを示す新たなキメラポリペプチ
ドは、タンパク質結合特異性および他の機能的ドメイン
の機能的結合により得られる。
VIII.結合剤:チモカインタンパク質複合体 定義された免疫原(例えば、配列番号2または配列番
号4のアミノ酸配列からなる免疫原)に対して生成され
る抗体に特異的に結合する、または特異的に免疫反応性
であるチモカインタンパク質がイムノアッセイで測定さ
れる。イムノアッセイは、配列番号2または配列番号4
のタンパク質に対して惹起されたポリクローナル抗血清
を使用する。この抗血清は、他のケモカインに対して低
い交差反応性を有するように選択され、そして任意のそ
のような交差反応性は、イムノアッセイでの使用前に免
疫吸収により除去される。
イムノアッセイに使用するための抗血清を生成するた
めに、配列番号2または配列番号4のタンパク質が本明
細書中に記載のように単離される。例えば、組換えタン
パク質は哺乳動物の細胞株で産生され得る。balb/cのよ
うなマウスの近交系は、標準的なアジュバント(例え
ば、Freundのアジュバント)および標準的なマウス免疫
プロトコルを使用して配列番号2または配列番号4のタ
ンパク質で免疫される。
あるいは、本明細書中に開示した配列に由来し、そし
てキャリアタンパク質に結合した合成ペプチドが免疫原
として使用され得る。ポリクローナルな血清が収集さ
れ、そしてイムノアッセイ(例えば、個体支持体に固定
化された免疫原を用いる固相イムノアッセイ)において
免疫原タンパク質に対して力価決定される。104以上の
力価を有するポリクローナルな抗血清が選択され、そし
てC−CおよびCXCケモカインに対するそれらの交差反
応性が、HarlowおよびLane、前出、570−573頁に記載さ
れたような競合的結合イムノアッセイを使用することに
より試験される。好ましくは、2つのケモカインが、ヒ
トリンホタクチンまたはマウスリンホタクチンのいずれ
かとともにこの決定に使用される。
マウスリンホタクチンとともに、単球走化性タンパク
質1(MCP−1)およびマクロファージ炎症タンパク質
1α(Mip−1α)が、チモカインにより特異的に結合
される抗体を同定するために使用される。ヒトリンホタ
クチンとともに、単球走化性タンパク質2(MCP−2)
およびMip−1αが、チモカインにより特異的に結合さ
れる抗体を同定するために使用される。これらのケモカ
インは、本明細書中に記載のように標準的な分子生物学
の技術およびタンパク質化学の技術を使用することによ
り、組換えタンパク質として生成され、そして単離され
得る。
競合的結合様式でのイムノアッセイは、交差活性決定
のために使用され得る。例えば、配列番号2または配列
番号4のタンパク質が固体支持体に固定化され得る。ア
ッセイに添加されたタンパク質は、抗血清の固定化抗原
への結合と競合する。抗血清の固定化タンパク質への結
合と競合する上記タンパク質の能力は、配列番号2また
は配列番号4のタンパク質と比較される。上記タンパク
質に対する交差活性の百分率が、標準的な計算を使用し
て計算される。上で列挙したタンパク質のそれぞれに10
%より少ない交差反応性を有するこれらの抗血清が選択
され、そしてプールされる。次いで、交差反応する抗体
が、上に列挙したタンパク質での免疫吸収によりプール
された抗血清から除去される。
次いで、免疫吸収およびプールされた抗血清が、第2
のタンパク質を免疫原タンパク質(例えば、配列番号2
または配列番号4のチモカインタンパク質)と比較する
ために、上記のように競合的結合イムノアッセイに使用
される。この比較を行うために、2つのタンパク質は、
広範囲の濃度でそれぞれアッセイされ、そして固定化タ
ンパク質に対する抗血清の結合を50%阻害するために必
要なそれぞれのタンパク質の量が測定される。必要な第
2のタンパク質の量が必要な配列番号2のタンパク質の
量の2倍よりも少なければ、第2のタンパク質は、免疫
原に対して生成した抗体に特異的に結合するといわれ
る。
チモカインタンパク質は、2またはそれより多い遺伝
子からなる相同性タンパク質のファミリーであることが
理解される。特定の遺伝子産物(例えば、ヒトリンホタ
クチンタンパク質)については、この用語は本明細書中
で開示したアミノ酸配列のみならず対立遺伝子変異体、
非対立遺伝子変異体、または種変異体である他のタンパ
ク質もいう。用語「ヒトリンホタクチン」または「マウ
スリンホタクチン」は、単一部位変異のような従来の組
換え技術を使用する意図的な変異により、またリンホタ
クチンタンパク質をコードするDNAの短い部分を切り出
すことにより、または新たなアミノ酸の置換または新た
なアミノ酸の付加により導入された非天然の変異を包含
することもまた理解される。このような小さい改変は、
元の分子の免疫同一性(immunoidentity)および/また
はその生物学的活性を実質的に維持しなければならな
い。従って、このような改変は、指定された天然に存在
するリンホタクチンタンパク質(例えば、配列番号4で
示されるヒトリンホタクチンタンパク質)と特異的に免
疫反応性であるタンパク質を包含する。
改変されたタンパク質の生物学的な特性は、本明細書
中で記載のように、適切な細胞株中でのタンパク質の発
現およびリンパ球への走化性効果の測定により決定され
得る。小さいと考えられる特定のタンパク質改変は、チ
モカインファミリー全体について上に記したように類似
の化学的特性を有するアミノ酸の保存的置換を包含す
る。タンパク質を配列番号2および配列番号4のタンパ
ク質と最適に並べることにより、そして免疫同一性を決
定するための本明細書中に記載の従来のイムノアッセイ
を使用することにより、またはリンパ球走化性アッセイ
を使用することにより、本発明のタンパク質組成を決定
し得る。
IX.機能的変異体 チモカインに対する生理学的な応答のブロックは、例
えば、競合的阻害を介しての、そのレセプターへのタン
パク質の結合の阻害により生じ得る。従って、本発明の
インビトロアッセイは、しばしば単離されたタンパク
質、組換え膜結合チモカインを発現する細胞に由来する
膜、これらのタンパク質のレセプター結合セグメントを
含む可溶性のフラグメント、または固相基質に付着した
フラグメントを使用する。
これらのアッセイはまた、結合セグメント変異および
改変、またはタンパク質変異および改変(例えば、タン
パク質アナログ)のいずれかの効果の診断的測定を可能
にする。本発明はまた、競合的薬物スクリーニングアッ
セイ(例えば、ここで、抗原に対する中和抗体またはレ
セプターフラグメントが、タンパク質との結合について
試験化合物と競合する)の使用を包含する。この方式で
は、抗体はタンパク質の1またはそれより多い抗原結合
部位を共有する任意のポリペプチドの存在を検出するた
めに使用され得、そしてまた、さもなければレセプター
と相互作用し得るタンパク質上の結合部位を占めるため
に使用され得る。
チモカイン抗原の「誘導体」は、アミノ酸配列変異
体、グリコシル化変異体、および他の化学的部分との共
有結合的または凝集結合物を包含する。共有結合誘導体
は、チモカインのアミノ酸側鎖中あるいはN末端または
C末端で見出される基への、当該分野で周知の手段によ
る官能基の連結により調製され得る。これらの誘導体
は、カルボキシル末端またはカルボキシル側鎖を含有す
る残基の脂肪族エステルまたはアミド、ヒドロキシル基
含有残基のO−アシル誘導体、およびアミノ末端のアミ
ノ酸またはアミノ基含有残基(例えば、リジンまたはア
ルギニン)のN−アシル誘導体を包含し得るが、これに
限定されない。アシル基は、C3〜C18の直鎖アルキルを
包含するアルキル部分の群から選択され、その結果、ア
ルカノイルアロイル種を形成する。キャリアタンパク質
への共有結合的付着は、免疫原性の部分がハプテンであ
る場合には重要であり得る。
特に、グリコシル化改変(例えば、合成およびプロセ
シングの間、またはさらなるプロセシングの工程でのポ
リペプチドのグリコシル化パターンの改変により作られ
るもの)が包含される。これを達成する最も好ましい手
段は、通常そのようなプロセシングを提供する細胞に由
来するグリコシル化酵素(例えば、哺乳動物グリコシル
化酵素)にポリペプチドを曝すことによる。脱グリコシ
ル化酵素もまた、意図される。他の小さい改変を有する
同一の1次アミノ酸配列のバージョンもまた包含され、
これはリン酸化アミノ酸残基(例えば、ホスホチロシ
ン、ホスホセリン、またはホスホトレオニン)、または
他の部分(リボシル基または架橋結合剤を包含する)を
包含する。
誘導体の主要な群は、チモカインまたはそのフラグメ
ントと他のタンパク質またはポリペプチドとの共有結合
物である。これらの誘導体は、N末端またはC末端融合
物のような組換え培養物中で、または反応性側鎖基を介
してのタンパク質の架橋結合に有用な当該分野で公知の
薬剤の使用により合成され得る。架橋結合剤を用いる好
ましいタンパク質誘導体化部位は、遊離アミノ基、炭化
水素部分、およびシステイン残基である。
チモカインと他の相同性タンパク質または異種タンパ
ク質との融合ポリペプチドもまた、提供される。多くの
増殖因子およびサイトカインがホモ2量体の存在であ
り、そして反復構築物(repeat construct)は、タンパ
ク質加水分解的分解に対する感受性の減少を包含する種
々の利点を有し得る。さらに、多くのレセプターはシグ
ナルの伝達のために2量体化が必要であり、そして種々
の2量体タンパク質またはドメイン反復が所望され得
る。
異種ポリペプチドは、異なる表面マーカー間での融合
物であり得、例えば、レセプター結合特異性を示すハイ
ブリッドタンパク質が得られる。同様に、誘導体タンパ
ク質の特性または活性の組み合わせを示す異種融合物が
構築され得る。代表的な例は、融合タンパク質の存在ま
たは位置を容易に測定し得るための、レポーターポリペ
プチド(例えば、ルシフェラーゼ)とタンパク質のセグ
メントまたはドメイン(例えば、レセプター結合セグメ
ント)との融合物である。例えば、Dullら、米国特許第
4,859,609号を参照のこと。他の遺伝子融合パートナー
は、細菌のβ−ガラクトシダーゼ、trpE、プロテイン
A、β−ラムタマーゼ、α−アミラーゼ、アルコールデ
ヒドロゲナーゼ、および酵母のα接合因子を包含する。
例えば、Godowskiら(1988)Science241:812−816を参
照のこと。
そのようなポリペプチドはまた、リン酸化、スルホン
化、ビオチン化、または他の部分(特にリン酸基と類似
の分子形を有する部分)の付加または除去により化学的
に改変されたアミノ酸残基を有し得る。いくつかの実施
態様では、改変は有用な標識試薬であり、または精製の
標的(例えば、親和性リガンド)として作用する。
本発明はまた、アミノ酸配列またはグリコシル化での
変化以外のチモカインの誘導体の使用を意図する。その
ような誘導体は、化学部分との共有結合または凝集会合
を包含し得る。これらの誘導体は、一般に3つのクラス
に分類される:(1)塩、(2)側鎖および末端残基の
共有結合改変、および(3)例えば細胞膜との、吸着複
合体。
そのような共有結合誘導体または凝集誘導体は、免疫
原として、イムノアッセイにおける試薬として、あるい
は精製法(例えば、リガンドまたは他の結合リガンドの
親和性精製のための)において有用である。例えば、チ
モカイン抗原は、抗チモカイン抗体またはそのレセプタ
ーのアッセイあるいは精製に使用するために、臭化シア
ン活性化Sepharoseのような固体支持体への共有結合に
より、当該分野で周知の方法により固定化され得るか、
あるいは、グルタルアルデヒド架橋結合を有して、ある
いは有さないで、ポリオレフィン表面に吸着され得る。
チモカインはまた、検出可能な基で標識され得る。例え
ば、クロラミンT手順により放射性ヨウ素化され、希土
類キレートに共有結合され、または診断的アッセイで使
用するために別の蛍光部分と結合される。チモカインの
精製は、固定化抗体またはレセプターにより達成され得
る。
単離されたチモカイン遺伝子は、対応するチモカイン
の発現を欠く細胞(例えば、対応するタンパク質を欠
き、かつネガティブなバックグランド活性を示す種タイ
プまたは細胞のいずれか)の形質転換を可能にする。形
質転換された遺伝子の発現は、定義された、または単一
の種変異体を有する抗原的に純粋な細胞株の単離を可能
にする。このアプローチは、チモカインレセプタータン
パク質の生理学的効果のより敏感な検出および識別を可
能にする。サブ細胞(subcellular)フラグメント(例
えば、細胞質体または膜フラグメント)が単離され、そ
して使用され得る。
X.使用 本発明は、本明細書中の他所(例えば、発達異常につ
いての一般的記述、または以下の診断用のキットの記載
において)に記載されているように診断的適用における
使用が見出される試薬を提供する。
チモカインヌクレオチド(例えば、ヒトリンホタクチ
ンまたはマウスリンホタクチンのDNAまたはRNA)は、法
アッセイ(forensic assay)での成分として使用され得
る。例えば、提供されるヌクレオチド配列は例えば32P
またはビオチンを使用して標識され得、そして標識的な
制限フラグメント多形ブロットのプローブに使用され、
個体間の区別を援助する測定可能な特性を提供する。そ
のようなプローブは、遺伝子的フィンガープリンティン
グのような周知の法技術に使用され得る。さらに、チモ
カイン配列から作製されるヌクレオチドプローブは、染
色体異常を検出するインサイチュアッセイに使用され得
る。例えば、マウス第1染色体中の再編成は、他の公知
の第1染色体マーカーとともにチモカインプローブを使
用することにより、周知のインサイチュ技術で検出され
得る。
チモカインタンパク質は、プロT細胞のようなリンパ
球細胞を一般的な細胞集団から分離するための走化剤と
してインビトロまたはインビボで使用され得る。例え
ば、プロT細胞(CD44+CD25+CD3-CD4-CD8-細胞)のよう
なリンパ球サブ集団が、マウスリンホタクチンまたはヒ
トリンホタクチンのようなチモカインの走化特性に基づ
いて好中球および単球から分離され得る。細胞タイプの
集団におけるこのような細胞の相対的比率は、疾患の状
態の診断的指標として使用され得、このような疾患の状
態は、例えば、免疫系疾患および遺伝的欠損を包含す
る。さらに、単離された細胞は治療剤または遺伝子治療
の標的として使用され得る。この文脈では、プロT細胞
のような多能性細胞は、遺伝子治療のための特に望まし
い標的であることに留意されたい。
チモカインタンパク質または核酸に対する抗体および
他の結合剤は、対応するチモカイン分子を精製するため
に使用され得る。以下の実施例に記載のように、チモカ
イン成分の抗体精製は、可能であり、かつ実用的でもあ
る。抗体および他の結合剤はまた、チモカイン成分が組
織サンプルまたは細胞集団中に存在するか否かを決定す
るために、本明細書中に記載の周知の技術を使用して診
断様式に使用され得る。チモカインに対する結合剤の付
着能力は、チモカインの誤制御に関する疾患の診断手段
を提供する。抗体および他のチモカイン結合剤はまた、
組織学的マーカーとしても有用であり得る。以下の実施
例に記載のように、チモカインの発現は特定の組織タイ
プに限定されている。チモカインに対する抗体または核
酸のようなプローブを指示することにより、プローブを
インサイチュまたはインビトロで組織および細胞タイプ
を区別するために使用することが可能である。
本発明はまた、非常に治療的価値のある試薬を提供す
る。チモカイン(天然に存在するまたは組換えの)、そ
のフラグメント、およびそれに対する抗体、加えてチモ
カインに結合親和性を有すると同定された化合物は、異
常増幅(例えば、ガン状態、または変性状態)を包含す
る、異常な生理機能または異常な発達に関連する状態の
処置に有用である。異常増幅、再生、変性、および萎縮
は、本明細書中に提供される組成物を使用する適切な治
療処置により調整され得る。例えば、チモカインによる
異常な発現または異常なシグナルに関連する疾患または
障害は、このタンパク質のアゴニストまたはアンタゴニ
ストの標的である。このタンパク質は免疫学的応答(例
えば自己免疫疾患)に影響する造血細胞(例えば、リン
パ細胞)の制御または発達における役割を果たすようで
ある。
他の異常発達状態は、ノーザンブロット解析によって
チモカインmRNAを有することの示された細胞タイプ中で
公知である。Berkow(編)The Merck Manual of Diagno
sis and Therapy,Merck & Co.Rahway,NJ;およびThorn
らHarrison's Principles of Internal Medicine,McGra
w−Hill,NYを参照のこと。発達異常または機能異常(例
えば、免疫系の異常)は、本明細書中に提供される組成
物を使用する防止または処置に感受性であり得る、重大
な医学的異常および状態を引き起こす。
組換えチモカインまたはチモカイン抗体は精製され
得、次いで、患者に投与され得る。これらの試薬は、治
療的使用のために追加の活性成分または不活性成分、例
えば、従来の薬学的に受容可能なキャリア、または希釈
剤(例えば、免疫原性アジュバント)中で、生理学的に
無害な安定化剤および賦形剤とともに組み合わされ得
る。これらの組み合わせは、濾過滅菌され、そして凍結
乾燥により用量バイアル中で投与形態にされ得るか、ま
たは、安定化水溶性調製物中の貯蔵物として投与形態に
され得る。本発明はまた、補体結合でない形態を包含す
る、抗体またはその結合フラグメントの使用を意図す
る。
抗体またはレセプターまたはそれらのフラグメントを
使用する薬物スクリーニングは、結合成分の単離を包含
する、チモカインに対して結合親和性を有する化合物を
同定し得る。次いで、化合物が内因性の刺激活性を有
し、従って、タンパク質の活性をブロックする、プロッ
カーまたはアンタゴニストであるか否か決定するため
に、続いての生物学的アッセイが利用され得る。同様に
内因性の刺激活性を有する化合物は、レセプターを活性
化し得、従って、チモカインの活性を刺激するアゴニス
トである。本発明はさらに、アンタゴニストとしてのチ
モカインに対する抗体の治療的使用を意図する。このア
プローチは、他のチモカイン種変異体で特に有用である
はずである。
効果的な治療に必要な試薬の量は、多くの異なる因子
に依存する。この因子は、投与手段、標的部位、患者の
生理学的状態、および投与される他の薬物(medicant)
を包含する。従って、処置用量は、安全性および有効性
を最適化するために滴定(titrate)されるべきであ
る。代表的には、インビトロで使用される用量は、これ
ら試薬のインサイチュでの投与に有用な量における有用
な手引きを提供し得る。特定の疾患の処置に効果的な用
量の動物実験は、ヒトでの用量のさらなる予測的な指標
を提供する。以下には、種々の考察が記載されている。
例えば、Gilmanら(編)(1990)Goodman and Gilman'
s:The Pharmacological Bases of The rapeutics(第8
版)Pergamon Press:および(1990)Remington's Pharm
aceutical Sciences(第17版)Mack Publishing Co.Eas
ton PA.。投与法は、それらの中および以下で考察され
ている。例えば、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、
または筋肉内投与、経皮拡散など。薬学的に受容可能な
キャリアは、水、生理食塩水、緩衝液、および例えば、
Merck Index,Merck & Co.,Rahway,NJに記載された他の
化合物を包含する。
用量の範囲は、適切なキャリアを有して、通常1mM濃
度より低い量であり、そして10μM濃度、100nM、10pM
(picomolar)、および最も好ましくは約1fM(femtomol
ar)より少ない範囲であると期待される。徐放性処方物
または徐放性装置が、持続的な投与にしばしば使用され
る。
チモカイン、そのフラグメント、およびそれに対する
抗体またはそのフラグメント、アンタゴニスト、および
アゴニストは、処置される宿主に直接投与され得るか、
または、化合物のサイズに依存して、それらを投与前に
オバルブミンまたは血清アルブミンのようなキャリアタ
ンパク質に結合させることが所望され得る。
治療的処方物は、任意の従来の投与処方物中で投与さ
れ得る。活性な成分を単独で投与することは可能である
が、治療的処方物として呈することが望ましい。処方物
は、上記で定義したように、その1またはそれより多い
受容可能なキャリアとともに、代表的には少なくとも1
つの活性な成分を包含する。それぞれのキャリアは、他
の成分に適合性であり、そして患者に対して有害でない
という意味で薬学的におよび生理学的に受容可能である
べきである。処方物は、経口投与、直腸投与、鼻投与、
または非経口投与(皮下投与、筋肉内投与、および皮内
投与を包含する)に適切な処方物を包含する。処方物
は、便宜的に単位用量形態で存在し得、そして調剤分野
で周知の任意の方法により調製され得る。例えば、Phar
maceutical Dosage Forms:Parenteral Medications Dek
ker,NY;Liebermanら(編)(1990)Pharmaceutical Dos
age Forms:Tablets Dekker,NY;およびLiebermanら
(編)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse
Systems Dekker,NYを参照のこと。本発明の治療は、他
の化学治療剤または化学予防剤と併用されるかまたは関
連して使用され得る。
天然に存在する形態および組換えの形態の両方の本発
明のチモカインは、このタンパク質に対する結合活性に
ついて化合物をスクリーニングし得る、キットおよびア
ッセイ法に特に有用である。自動化アッセイのいくつか
の方法は、短期間に数万の化合物のスクリーニングを可
能にするように近年開発されている。例えば、Fodorら
(1991)Science251:767−773、および多数の化合物に
よる結合親和性の試験のための手段を記載している化学
的多様性ライブラリー(chemical diversity library)
の他の記述を参照のこと。適切なアッセイの開発は、本
発明で提供される大量の精製可溶化チモカインの利用可
能性により、非常に容易になり得る。
例えば、アンタゴニストは、一旦タンパク質が構造的
に定義されれば、通常見出され得る。潜在的なタンパク
質アナログの試験は、精製レセプターを使用する高度に
自動化されたアッセイ法の開発により、現在可能であ
る。特に、新たなアゴニストおよび新たなアンタゴニス
トは、本明細書中に記載のスクリーニング技術を使用す
ることにより発見される。特に重要であるのは、複数の
チモカインレセプターに対して組み合わされた結合親和
性を有することが見出された化合物(例えば、チモカイ
ンの種変異体に対するアンタゴニストとして作用し得る
化合物)である。
本発明は、種々の薬物スクリーニング技術において組
換えレセプターを使用することにより化合物をスクリー
ニングするために特に有用である。特異的リガンドのス
クリーニングに組換えタンパク質を使用する利点は、以
下を包含する:(a)特定の供給源由来のチモカインレ
セプターの改良された更新可能な供給源;(b)アッセ
イでより良いシグナル対ノイズ比をもたらす細胞あたり
の潜在的に非常に多数のリガンド;そして(c)種変異
体特異性(理論的にはより大きな生物学的特異性および
疾患特異性をもたらす)。
薬物スクリーニングの1つの方法は、チモカインレセ
プターを発現する組換えDNA分子で安定的に形質転換さ
れた原核または真核宿主細胞を利用する。他の全ての細
胞と分離して、レセプターを発現する細胞が単離され得
る。このような細胞は、生存形態または固定化形態のい
ずれかで、標準的なリガンド/レセプター結合アッセイ
に使用され得る。Parceら(1989)Science246:243−24
7;およびOwickiら(1990)Proc.Nat'l Acad.Sci.USA87:
4007−4011もまた参照のこと。これらは、細胞応答を検
出する敏感な方法を記載している。
競合的アッセイは特に有用である。ここで、細胞(チ
モカインの供給源)がリガンドに結合親和性を有するこ
とが知られている標識レセプターまたは抗体(例えば、
125I抗体)、および結合組成物に対するその結合親和性
が測定されている試験サンプルと接触およびインキュベ
ートされる。次いで、結合した標識結合組成物および遊
離の標識結合組成物が、リガンド結合の程度を評価する
ために分離される。試験化合物の結合量は、公知の供給
源への標識レセプター結合量と反比例する。数多くの技
術の任意の1つは、リガンド結合の程度を評価するため
に遊離のリガンドから結合したリガンドを分離するため
に使用され得る。この分離工程は、代表的には、フィル
ターへの接着とそれに続く洗浄、プラスチックへの接着
とそれに続く洗浄、または細胞膜の遠心分離のような手
順を包含し得る。生存細胞はまた、チモカイン仲介性機
能(例えば、第2メッセンジャーのレベル、すなわち、
Ca++;細胞増殖;イノシトールリン酸のプールの変化な
ど)に対する薬物の影響をスクリーニングするために使
用され得る。いくつかの検出方法は、分離工程の削除を
可能にする(例えば、近接感受性検出システム(proxim
ity sensitive detection system))。カルシウム感受
性の色素は、蛍光計測器または蛍光細胞選別装置を用い
てCa++レベルを検出するために有用である。
別の方法では、チモカインの供給源として形質転換さ
れた真核宿主細胞または原核宿主細胞由来の膜を利用す
る。これらの細胞は、(例えば、加工された膜結合形態
の)チモカインの発現をさせるDNAベクターで安定的に
形質転換される。本質的には、膜が細胞から調製され
て、そして上述の競合的アッセイのようなレセプター/
リガンド結合アッセイに使用される。
さらに別のアプローチは、形質転換された真核宿主細
胞または原核宿主細胞に由来する可溶化未精製チモカイ
ンまたは可溶化精製チモカインの使用である。これは、
増大した特異性、自動化の能力、および高い薬物試験処
理量の利点を有する「分子」結合アッセイを可能にす
る。
薬物スクリーニングの別の技術は、チモカインレセプ
ターに適切な結合親和性を有する化合物の高い処理量の
スクリーニングを提供するアプローチを包含し、そして
これは1984年9月13日に刊行されたGeysen、欧州特許出
願第84/03564号に詳細に記載されている。まず第1に、
多数の異なる小ペプチド試験化合物が固体基質(例え
ば、プラスチックピンまたはなんらかの他の適切な表
面)上で合成される(Fodorら、前出を参照のこと)。
次いで、全てのピンを可溶化未精製チモカインレセプタ
ーまたは可溶化精製チモカインレセプターと反応させ、
そして洗浄する。次の工程は、結合したチモカインレセ
プターの検出を包含する。
合理的なドラッグデザインはまた、チモカインおよび
他のエフェクターまたはアナログの分子の形の構造的研
究に基づき得る。エフェクターは、リガンド結合に応答
して他の機能を仲介する他のタンパク質、または通常は
レセプターと相互作用する他のタンパク質であり得る。
どの部位が特異的な他のタンパク質と相互作用するかを
決定する1つの手段は、物理的構造決定(例えば、x線
結晶学または2次元NMR技術)である。これらは、どの
アミノ酸残基が分子接触領域を形成するかについての手
引きを提供する。タンパク質の構造決定の詳細な記載
は、例えば、BlundellおよびJohnson(1976)Protein C
rystallography Academic Press,NYを参照のこと。
精製チモカインは、前述の薬物スクリーニング技術に
使用するプレートに直接コートされ得る。しかし、これ
らのリガンドに対する非中和抗体は、それぞれのリガン
ドを固相に固定化する捕獲抗体として使用され得る。
XI.キット 本発明はまた、チモカインまたはチモカインレセプタ
ーの存在を検出するための種々の診断キットおよび方法
におけるチモカインタンパク質、そのフラグメント、ペ
プチド、およびそれらの融合産物の使用を意図する。代
表的には、キットは、定義されたチモカインペプチドま
たは遺伝子セグメント、あるいはどちらか一方(例え
ば、レセプターフラグメントまたは抗体)を認識する試
薬のいずれかを含む区画を有する。
チモカインに対する試験化合物の結合親和性を測定す
るためのキットは、代表的には、試験化合物;標識化合
物(例えば、チモカインに対する既知の結合親和性を有
するレセプターまたは抗体);チモカインの供給源(天
然に存在するまたは組換えの);およびチモカインを固
定化するための固相のような、遊離標識化合物から結合
標識化合物を分離するための手段を含有する。一旦化合
物がスクリーニングされると、チモカインに対する適切
な結合親和性を有する化合物が、レセプターに対してア
ゴニストまたはアンタゴニストとして作用するか否かを
決定するために、当該分野で周知のように、適切な生物
学的アッセイで評価され得る。組換えチモカインポリペ
プチドの利用可能性は、そのようなアッセイを標準化す
るための良く定義されたスタンダードをまた提供する。
サンプル中の、例えばチモカインの濃度を測定するた
めの好ましいキットは、代表的には、標識化合物(例え
ば、チモカインに対する既知の結合親和性を有するレセ
プターまたは抗体)、チモカインの供給源(天然に存在
するまたは組換えの)、および遊離標識化合物から結合
標識化合物を分離するための手段(例えば、チモカイン
を固定化するための固相)を含有する。試薬および説明
書を含む区画が、通常提供される。
チモカインまたはリガンドフラグメントに特異的な、
抗原結合フラグメントを包含する抗体は、チモカインお
よび/またはそのフラグメントの上昇したレベルの存在
を検出する診断的適用に有用である。このような診断的
アッセイは、溶解物、生細胞、固定細胞、免疫蛍光、細
胞培養物、体液を用い得、そしてさらに血清などの中の
リガンドに関連する抗原の検出を包含し得る。診断アッ
セイは、等質(遊離試薬と抗原−チモカイン複合体との
間の分離工程を有しない)または異質(分離工程を有す
る)であり得る。ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素
結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素イムノアッセイ
(EIA)、酵素増幅イムノアッセイ技術(EMIT)、基質
標識蛍光イムノアッセイ(SLFIA)などのような種々の
市販のアッセイが存在する。例えば、未標識抗体は、第
2の抗体を使用することにより用いられ得、この第2の
抗体は標識され、そしてチモカインまたはその特定のフ
ラグメントに対する抗体を認識する。類似のアッセイが
また、文献で広範に考察されている。例えば、Harlowお
よびLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual,CSH
Press,NY;Chan(編)(1987)Immunoassay:A Practica
l Guide Academic Press,Orlando,FL;PriceおよびNewma
n(編)(1991)Principles and Practice of Immunoas
say Stockton Press,NY;およびNgo(編)(1988)Nonis
topic Immunoassay Plenum Press,NYを参照のこと。
抗イディオタイプ抗体は、種々の異常な状態の徴候で
あり得るチモカインに対する抗体の存在を診断するため
の類似の使用を有し得る。例えば、チモカインの過剰産
生により、種々の免疫学的応答の生成を生じ得、この応
答は、特にガンまたは異常な分化のような増殖性細胞状
態での、異常な生理状態の徴候であり得る。
しばしば、診断アッセイのための試薬が、アッセイの
感度を最適化するようにキット中に供給される。本発明
のために、アッセイ、プロトコル、および標識の性質に
依存して、標識または未標識の抗体またはレセプター、
あるいは標識チモカインのいずれかが提供される。これ
は通常、緩衝液、安定化剤、酵素の基質のようなシグナ
ル生産に必要な物質などのような他の添加剤とともに有
る。好ましくは、キットはまた、適切な使用および使用
後の内容物の処分のための説明書を含む。代表的には、
キットはそれぞれの有用な試薬のための区画を有する。
望ましくは、試薬は、乾燥した凍結乾燥粉末として提供
され、ここで、試薬は水性の媒体中で再構成され得、ア
ッセイを行うために適当な濃度の試薬を提供し得る。
薬物スクリーニングアッセイおよび診断アッセイの任
意の前述の成分は、改変せずに使用され得、または種々
の方法で改変され得る。例えば、標識は共有結合的に、
または非共有結合的に直接または間接的に検出可能なシ
グナルを提供する部分に連結することにより達成され得
る。これらのアッセイの任意のものにおいて、タンパク
質、試験化合物、チモカイン、またはそれらに対する抗
体が、直接または間接のいずれかで標識され得る。直接
標識の可能性は、以下の標識グループを包含する:125I
のような放射標識、ペルオキシダーゼおよびアルカリホ
スファターゼのような酵素(米国特許第3,645,090
号)、および蛍光強度、波長移動、または蛍光偏光の変
化をモニターし得る蛍光標識(米国特許第3,940,475
号)。間接標識の可能性は、1成分のビオチン化とそれ
に続く上記の標識グループの1つに結合したアビジンへ
の結合を包含する。
遊離のリガンドから結合リガンドを分離する、あるい
は、遊離の試験化合物から結合試験化合物を分離する多
数の方法がまた存在する。チモカインは、種々のマトリ
ックスに固定化され得、続いて洗浄され得る。適切なマ
トリックスは、ELISAプレート、フィルター、およびビ
ーズのようなプラスチックを包含する。チモカインをマ
トリックスに固定化する方法は、プラスチックへの直接
接着、捕獲抗体の使用、化学的カップリング、およびビ
オチン−アビジンを包含するがこれに限定されない。こ
のアプローチの最後の工程は、例えば、ポリエチレング
リコールのような有機溶媒または硫酸アンモニウムのよ
うな塩を利用する方法を包含する任意のいくつかの方法
による、リガンド/レセプター複合体またはリガンド/
抗体複合体の沈澱を包含する。他の適切な分離技術は、
Rattleら(1984)Clin.Chem.30:1457−1461に記載のフ
ルオレセイン抗体磁化粒子法、および米国特許第4,659,
678号に記載のような2重抗体磁性粒子分離を包含する
が、これに限定されない。
種々の標識へタンパク質またはそれらのフラグメント
を連結する方法は、文献で広範に報告されており、ここ
では詳細に考察する必要はない。技術の多くは、カルボ
ジイミドまたは活性エステルのいずれかの使用を介して
のペプチド結合の形成のための活性化カルボキシル基の
使用、連結のためのメルカプト基と活性化ハロゲン(例
えば、クロロアセチル)または活性化オレフィン(例え
ば、マレイミド)との反応によるチオエーテルの形成な
どを包含する。融合タンパク質はまた、これらの適用に
おける使用が見出され得る。
本発明の別の診断的局面は、チモカインの配列から得
られたオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの使
用を包含する。これらの配列は、異常な状態(例えば、
ガンまたは発達の問題)を有すると疑われる患者由来の
サンプル中のチモカインメッセージのレベルを検出する
ためのプローブとして使用され得る。RNAおよびDNAヌク
レオチド配列の両方の調製、配列の標識、および配列の
好ましいサイズは、文献中に充分記載および考察されて
いる。
標準的には、オリゴヌクレオチドプローブは、少なく
とも約14ヌクレオチド、通常は、少なくとも約18ヌクレ
オチドを有すべきであり、そしてポリヌクレオチドプロ
ーブは、数kbまでであり得る。種々の標識、最も一般的
には放射性核種、特に32Pが用いられ得る。しかし、ポ
リヌクレオチドに導入するためのビオチン改変ヌクレオ
チドの使用のような他の技術もまた用いられ得る。次い
で、ビオチンがアビジンまたは抗体への結合のための部
位として作用し、これは、広範囲の標識(例えば、放射
性核種、フルオロフォア、酵素など)で標識され得る。
あるいは、DNA2本鎖、RNA2本鎖、DNA−RNAハイブリッ
ド2本鎖、またはDNA−タンパク質2本鎖を認識し得る
抗体が用いられ得る。次いで、抗体が標識され得、そし
てアッセイが行われる。ここで、2本鎖は表面に結合さ
れ、そして表面での2本鎖の形成により2本鎖に結合す
る抗体の存在が検出され得る。新規なアンチセンスRNA
に対するプローブの使用は、任意の従来技術(例えば、
核酸ハイブリダイゼーション、プラスおよびマイナスス
クリーニング、組換えプローブ(recombinational prob
ing)、ハイブリッド放出翻訳(hybrid release transl
ation)(HRT)、およびハイブリッド停止翻訳(hybrid
arrested translation)(HART))で実行され得る。
これはまた、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような増
幅技術を包含する。
他のマーカーの質的存在または量的存在を試験する診
断キットもまた意図される。診断または予後は、マーカ
ーとして使用される多数の指標の組み合わせに依存し得
る。従って、キットは、マーカーの組み合わせを試験し
得る。例えば、Vialletら(1989)Progeress in Growth
Factor Res.1:89−97を参照のこと。
XII.レセプター単離 特異的相互作用の結合パートナーが単離されれば、対
のパートナーを単離するための方法が存在する。Gearin
gら(1989)EMBO J.8:3667−3676を参照のこと。例え
ば、そのレセプターとの結合に干渉せずにチモカインを
標識する手段が決定され得る。例えば、親和性標識がリ
ガンドのアミノ末端またはカルボキシル末端のいずれか
に融合され得る。発現ライブラリーが、例えば、細胞選
別により、またはそのような結合成分を発現するサブ集
団を検出するための他のスクリーニングにより、チモカ
インの特異的結合についてスクリーニングされ得る。例
えば、Hoら(1993)Proc.Nat'l Acad.Sci.USA90:11267
−11271を参照のこと。あるいは、パンニング法が使用
され得る。例えば、SeedおよびAruffo(1987)Proc.Na
t'l Acad.Sci.USA84:3365−3369を参照のこと。
標識とのタンパク質架橋結合技術は、チモカインの結
合パートナーを単離するために適用され得る。これによ
り、例えば、リガンド−レセプター様の方法でチモカイ
ンと特異的に相互作用するタンパク質の同定が可能とな
る。
本発明の広い範囲は、以下の実施例を参考にして最も
良く理解されるが、これは、特定の実施態様に発明を限
定することを意図しない。
実施例 一般方法 以下の標準的な方法の多くは、例えば、Maniatisら、
(1982)Molecular Cloning,A Laboratory Manual Cold
Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Pres
s,NY;Sambrookら、(1989)Molecular Cloning;A Labor
atory Manual(第2版)1〜3巻、CSH Press,NY;Ausub
elら、Biology Greene Publishing Associates,Brookly
n,NY;またはAusubelら、(1987および増補)Current Pr
otocols in Molecular Biology Wiley/Greene,NY;Innis
ら、(編)(1990)PCR Protocols;A Guide to Methods
and Applications Academic Press,NYに記載または引
用される。タンパク質精製の方法は、例えば、硫酸アン
モニウム沈澱、カラムクロマトグラフィー、電気泳動、
遠心分離、結晶化などの方法を包含する。例えば、Ausu
belら(1987および定期的に増補);Deutscher(1990)
「Guide to Protein Purification」、Methods in Enzy
mology182巻、およびこのシリーズの他の巻;およびタ
ンパク質精製産物の使用における製造業者の印刷物、例
えば、Pharmacia,Piscataway,NY、またはBio−Rad,Rich
mond,CAを参照のこと。組換え技術との組み合わせは、
適切なセグメント(例えば、プロテアーゼ除去配列を介
して融合され得るFLAG配列または等価物)との融合を可
能にする。例えば、Hochuli(1989)Chemische Industr
ie12:69−70;Hochuli(1990)「Purification of Recom
binant Proteins with Metal Chelate Absorbent」Setl
ow(編)Genetic Engineering,Principle and Methods1
2:87−98,Plenum Press,NJ;およびCroweら、(1992)QI
Aexpress:The High Level Expression & Prottein Pur
ification System QUIAGEN,Inc.,Chatsworth,CAを参照
のこと。
FACS分析は、Melamedら、(1990)Flow Cytometry an
d Sorting Wiley−Liss,Inc.,New York,NY;Shapiro(19
88)Practical Flow Cytometry Liss,New York,NY;およ
びRobinsonら、(1993)Handbook of Flow Cytometry M
ethods Wiley−Liss,New York,NYに記載されている。
実施例1:刺激CD44+CD25+CD3-CD4-CD8-細胞からのサブト
ランクティブハイブリダイゼーションによるマウスチモ
カイン遺伝子の単離 マウスリンホタクチンを単離するために用いたスクリ
ーニングアプローチは、ディファレンシャルスクリーニ
ング、またはサブトラクティブハイブリダイゼーション
によるディファレンシャルスクリーニングと呼ばれる。
一般に、この手順は、cDNAライブラリーの二つのカテゴ
リから生成されるRNAプローブを利用する。第1のカテ
ゴリは、特徴付けられていない細胞タイプから作製され
たcDNAライブラリー由来のプローブを含む。このスクリ
ーニングに用いられるcDNAライブラリーを、SP6およびT
7プロモーターを含有するPCDNA IまたはPCDNA IIプラス
ミド(Invitrogen)中に、D10.G4.1、HC7、およびHT−2
T細胞株から下記のように作製した。第2のカテゴリ
は、特徴付けられるcDNAライブラリー由来のプローブを
含む。このスクリーニングに用いられるcDNAライブラリ
ーを、下記のようにプロT細胞から調製した。
標準的な技術(Godfreyら、(1993)J.Immunol.150:4
244−52)を用いて適切な抗体でラベルすることによるF
ACSでの選別のために、Balb/cマウス由来のプロT細胞
(CD44+CD25+CD3-CD4-CD8-)を調製した。選別したプロ
T細胞を下記のように6時間活性化し、そして拡大する
まで12日間、IL−7、幹細胞因子、およびIL−2中で培
養した。次いで収集の前に、細胞を6時間再活性化し、
そして−70℃にて保存した。2回目の活性化の水準を評
価するために、6時間活性化し、そして一晩培養した後
に、細胞のアリコートを、新鮮な完全培地に移した。こ
れらの培養物の上清を、IL−2依存細胞株HT−2でアッ
セイした。活性化後高い力価のIL−2を示した培養物の
みを、cDNAライブラリーの作製において用いた。mRNAを
単離するために、このようにして細胞を集め、その後プ
ールした。
プロT細胞cDNAライブラリーをスクリーニングするた
めに、Th2表現型を示すD10.G4.1 T細胞株、Th1表現型を
示すHC7 T細胞株、および「ハウスキーピング遺伝子T
細胞株として用いられたHT−2 T細胞株を用いてcDNAラ
イブラリーを作製した。D10.G4.1株を培養物中で拡大
し、そして収集および−70℃での保存の前に6時間抗CD
3(Pharmingen)被覆培養プレート(10μg/mi)上で活
性化した。これらの細胞を上記のように活性化の水準に
ついてアッセイした。HT−2細胞をIL−2(490U/ml)
を含有する培養培地中で拡大し、PBS中で洗浄し、そし
て−70℃にて保存した。
本質的に製造業者に記載されたようにGIBCO−BRL(Ga
thersburg,MD)由来のcDNA合成のためのSuperScript Pl
asmid Systemを用いて生成したcDNAから、mRNAをFastTr
ack kit(Invitrogen)により調製した。手順に対する
一つの改変は、キットとともに提供されるSal Iアダプ
ターをBstX Iアダプター(Invitrogen)に置換すること
であった。これらの細胞から生じるcDNAを用いて、プラ
スミドPCDNA II(Invitrogen)においてライブラリーを
作製した。cDNAをポリリンカー中のBstX I/Not I部位に
クローン化し、そしてこれを用いてE.coliのDH10B株を
形質転換した。Qiagen system(Chatsworth,CA)で、プ
ラスミドを単離および精製した。これを用いて、SP6プ
ロモーター由来のRNAプローブを作製した。プロT細胞
由来の第2のcDNAライブラリーを、プラスミドpJFE14 S
Rα(J.F.Elliottら、(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA
87:6363−7)のBstX I/Not Iポリリンカー中に作製し
た。このライブラリーを用いてDH10Bを形質転換し、そ
してこの細菌をアガロース上にプレートし、3組でナイ
ロン膜に移し、そして他のライブラリーからRNAプロー
ブでスクリーニングした。ハイブリダイゼーションの化
学発光検出は、Genius system(Boerhringer Mannhei
m)を用いた。
製造業者による記載のようにGenius System(Boerhri
nger−Mannheim)を用いて、RNAプローブを標識した。
しかし、用いたSP6 RNAポリメラーゼおよびT7 RNAポリ
メラーゼは両方ともPromega(Madison,WI)から得た。H
T−2プローブおよびプロT細胞プローブは両方とも10n
g/mlでそれぞれ使用し、HC7プローブおよびD10.G4.1プ
ローブを5ng/mlでそれぞれ使用し、そして合わせて1つ
のプローブ混合物とした。プロT細胞pJFE cDNAライブ
ラリーのフィルターリフトを、Churchの緩衝液(50%ホ
ルムアミド、6×SSPE、50mM NaHPO4 pH7.2、7%SDS、
0.1%N−ラウリルサルコシン、2%Boerhringer−Mann
heim製ブロッキング試薬)中で3〜6時間42℃にて予備
ハイブリダイズした。フィルターを、適切なプローブを
含有する同一の緩衝液中で一晩プローブした。具体的に
は、3組フィルターのセットからのそれぞれのフィルタ
ーを、HT−2 RNAプローブ、プロT細胞RNAプローブ、ま
たはプールしたHC7+D10.G4.1 RNAプローブのいずれか
でプローブした。フィルターをGenius Systemに記載の
ように洗浄した。CD44+CD25-TNプローブでハイブリダイ
ズしたが、HT−2;またはD10.G4.1+HC7プローブでハイ
ブリダイズしなかったコロニーを、CD44+CD25-TN cDNA
ライブラリーに関してユニークであるとして選択した。
クローンを配列決定し、そして以前に報告されたクロー
ンとの間に相同性が存在するかを決定するために一連の
配列データバンクと比較した。このクローンm3C9は、以
前に報告されていないことが示され、そして上記のサブ
トラクションクローニング法から独立して単離された。
実施例2:刺激TcR+CD4-CD8-細胞からのサブトラクティブ
ハイブリダイゼーションによるマウスリンホタクチンの
単離。
抗体、およびフローサイトメトリーによる選別 CD4/CD8-PEおよびTcR-FITC mAb(PharMingen,San Die
go,CA)を用いて、αβTcR+CD4-CD8-(DN)胸腺細胞を
選別した。Zlotnikら、(1992)J.Immunol.4:1211−121
5を参照のこと。選別した細胞(約5×105)を、24時間
固相抗CD3上で刺激し、次いで1週間(約1×108細胞ま
で)IL−2(500U/ml)およびIL−7(100U/ml)中で拡
大および培養した。細胞を、培養1週間後に収集する
か、または抗−CD3上で6時間再び刺激し、次いで収集
した。
指向性cDNAライブラリーの構築 抗−CD3刺激αβDN胸腺細胞または非刺激αβDN胸腺
細胞由来のポリ(A)+RNAを用いて、Not I/オリゴ−d
Tプライマー(Gibco−BRL、Gaithersburg,MD)を用いる
ことにより、第1鎖のcDNAを合成した。二本鎖cDNAを合
成し、BstX Iアダプターと連結し、Not Iで消化し、〉
0.5キロ塩基対(kb)に関してサイズ分画し、そしてpJF
E−14(pCDSRaベクターの誘導体)のNot I/BstX I部位
中に連結した。Takebeら、Mol.Cell Biol.8:466−472を
参照のこと。エレクトロ受容能(Electro−competent)
E.coli DH10a細胞(Gibco−BRL)を形質転換のために用
いた。cDNAライブラリーの独立したクローンの総数はそ
れぞれ、刺激αβDNについて1.2×106、そして非刺激α
βDN胸腺細胞について8×105であった。
PCRに基づくライブラリーサブトラクション WangおよびBrown(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA88:
11505−11509により開発されたPCRに基づくサブトラク
ションシステムを改変し、プラスミドcDNAライブラリー
に適用した。活性化αβDN胸腺細胞に対して特異的なcD
NAライブラリーを、ドライバーDNAとしてXba I、Not
I、およびSca Iで消化した非刺激αβDN cDNAライブラ
リーDNAの100mg、およびトレーサーDNAとして刺激αβD
N cDNAライブラリーDNAの5mgを用いて作製した。
制限消化後、ドライバーDNAを、DNAポリメラーゼKlen
owフラグメントで処理し、制限部位を埋めた。エタノー
ル沈澱後、このDNAを、100mlの水に溶解し、熱変性さ
せ、そして100ml(100mg)のPhotoprobeビオチン(Vect
or Laboratories,Burlingame CA)と混合した。次いで
ドライバーDNAを、氷上で20分間270W太陽灯で照射し
た。50ml以上のPhotoprobeビオチンを加え、そしてビオ
チン標識反応を繰り返した。ブタノール抽出後、光ビオ
チン標識したDNA(ドライバー−U)をエタノール沈澱
し、そして30mlの10mM Tris−HClおよび1mM EDTA、pH8
(TE)に溶解した。トレーサーDNAとして、5mgの刺激α
βDN cDNAを、Xba IおよびNot Iで消化し;エタノール
沈澱し;そして4mlのTEに溶解した(トレーサー−
S)。トレーサー−Sを、15mlのドライバーU、1ml(1
0mg)のE.coli tRNA(Sigma,St.Louis,MO)、および20m
lの2×ハイブリダイゼーション緩衝液(1.5M NaCl、10
mM EDTA、50mM HEPES、pH7.5、0.2%SDS)と混合し、鉱
油を重層し、そして熱変性させた。
サンプルチューブを68℃水浴にただちに移し、20時間
インキュベートした。次いで反応混合物にストレプトア
ビジン処理を受けさせ、続いてフェノール/クロロホル
ム抽出を行った。サブトラクトされたDNAを沈澱させ、1
2mlのTEに溶解し、8mlのドライバ−Uおよび20mlの2×
ハイブリダイゼーション緩衝液と混合し、次いで2時間
68℃でインキュベートした。ストレプトアビジン処理
後、残存DNAを250ngのpJFE−14の精製Xba I/Not Iフラ
グメントと連結し、次いでエレクトロ受容能E.coli細胞
に形質転換し、活性化特異的αβDNサブトラクトライブ
ラリー(S1)を作製した。100の独立したクローンを、
無作為に選び取り、そして公知のサイトカインcDNAの反
応混液を用いてハイブリダイゼーションによりスクリー
ニングした。プラスミドDNAを、サイトカインプローブ
にハイブリダイズしなかったクローンから調製した。こ
れらのクローンを、挿入物のサイズによりグループ分け
し、そしてDNA配列決定によりさらに特徴付けた。上記
のm3c9クローンに相当するクローンを単離した。
実施例3:マウスリンホタクチン発現。
FastTrack mRNA kit(Invitrogen,San Diego,CA)を
用いて、ポリ(A)+RNAを選別した細胞集団から単離し
た。サンプルを、ホルムアルデヒド含有1%アガロース
ゲル中で電気泳動し、そしてGeneScreen膜(NEN Resear
ch Products,Boston,MA)にトランスファーした。107cp
m/mlの32P−dCTP標識リンホタクチンcDNAを用いて、ハ
イブリダイゼーションを、0.5M NaHPO4 pH7.2、7%SD
S、1mM EDTA、および1%BSA(画分V)中で65℃で実施
した。ハイブリダイゼーション後、フィルターを50℃で
0.2×SSC、0.1%SDS中で3回洗浄し、そして24時間フィ
ルムに露光した。非活性化細胞と比較すると、ホルボー
ルエステルで活性化したCD8+胸腺細胞および脾細胞なら
びにプロT細胞は、高レベルの発現を有した。CD4+胸腺
細胞および脾細胞ならびにDP胸腺細胞は、活性化におい
て発現の増加を示さなかった。
リンホタクチンは、プロT細胞cDNAライブラリーにお
いて豊富である(125クローン中1の頻度)。リンホタ
クチンをまた、αβTCR4+CD4-CD8-胸腺細胞から作製し
たcDNAライブラリーから単離した(Zlotnikら、(199
2)J.Immunol.149:1211−5)。T細胞サブセットのRNA
ブロット分析は、リンホタクチンが活性化プロT細胞中
に存在するが、新たに単離されたプロT細胞には存在し
ないことを確認した。
リンホタクチンの高レベルの発現は、活性化胸腺CD8+
CD3+細胞および脾臓由来の活性化CD8+CD3+T細胞の両方
において検出された。活性化成熟CD4+胸腺細胞において
低レベルの発現が検出された。この弱いハイブリダイゼ
ーションシグナルは、CD4+NK1.1+細胞の小さなサブ集団
に起因し得る(Araseら、(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.
USA89:6506−10)。活性化CD4+CD8+胸腺細胞ではリンホ
タクチンの発現は検出され得なかった。さらに、マウス
多重組織RNAブロットに対するハイブリダイゼーション
は、心臓、脳、脾臓、肺、肝臓、腎臓、睾丸、または骨
格筋においてリンホタクチンを検出し得なかった。
実施例4:インビボおよびインビトロでのプロT細胞サイ
トカインプロフィール 本発明者らは、プロT細胞、T細胞レセプターβ鎖遺
伝子の再配列の開始前の最終分化段階にあると思われる
未成熟胸腺細胞サブセットを以前に特徴付けた(Godfre
yら、(1993)Immunol.Today14:547−53;Godfreyら、
(1994)J.Immunol.152:4783−92)。プロT細胞は、ホ
ルボールエステル(PMA)、カルシウムイオノホア(A23
187)、およびIL−1によりインビトロで活性化される
と、高力価のIL−2、TNF−α、およびIFN−γを生産し
得る。この実施例において、本発明者らは、インビボお
よびインビトロのプロT細胞のサイトカイン生産プロフ
ィールを記載する。活性化プロT細胞から作製したcDNA
ライブラリーを、新規のサイトカインを同定するために
スクリーニングした。
プロT細胞のサイトカイン生産潜在力を特徴付けるた
めに、インビトロ活性化プロT細胞および新たに選別し
たプロT細胞の両方をPCRにより分析した。細胞を、1mM
DMSOに再懸濁して0.35μMの最終濃度で用いたカルシ
ウムイオノホアA23187(Calbiochem,San Diego CA)、
エタノール中に1mg/mlに再懸濁して10ng/mlで用いたホ
ルボール−12−ミリステート−13−アセテート(Calbio
chem)、およびIL−1(Genzyme,Cambridge MA)20U/m
l)で6時間活性化した。全RNAを、RNAzol(Tel−Test,
Inc.,Friendswood,TX)で細胞ペレットから単離した。c
DNAを、ポリdTプライマー逆転写により全RNAから作製し
た。cDNAをPCR増幅のために用いた。PCRに関して、逆転
写反応物から直接5μlのcDNAを増幅した。それぞれの
反応に、45μlの以下の混合物を添加した:5μlの10×
AmpliTaq PCR Buffer(Perkin−Elmer Cetus)、1μl
の10mM dNTP、37μlの滅菌水、0.2μlのAmpliTaqポリ
メラーゼ(Perkin−Elmer Cetus)、それぞれ1μlの1
0D/mlセンスおよびアンチセンスプライマー(Butchら、
(1993)J.Immunol.150:39−47)。PCRチューブにパラ
フィンオイルを重層し、DNA Thermal Cycler(Perkin−
Elmer Cetus)を用いて30サイクル増幅した。それぞれ
のサンプルを、2分間94℃で変性し、0.5分間55℃でア
ニールし、そして1分間72℃で伸長した。PCR産物およ
びマーカーを、Tris−ホウ酸緩衝液(Boehringer−Mann
heim)を用いて1.7%UltraPureアガロースゲル(Gibco
BRL)で分析した。UV光でcDNAを可視化するために、臭
化エチジウム(0.5μg/ml)を、ゲル中に入れた。HPRT
に対するプライマーを用いて、異なるサンプルについて
逆転写の効率を比較した。
表1に示すように、PMA、A23187、およびIL−1を用
いてインビトロで活性化したプロT細胞は、IL−2、IF
N−γ、TNF−α、GM−CSF、ならびにIL−12のP35および
P40両鎖のmRNAを生産した。IL−4またはIL−10に関す
るmRNAは、検出されなかった。同様に、新たに選別した
プロT細胞は、IL−2、INF−γ、TNF−α、およびGM−
CSFに関するmRNAを含有することが示された。再び、IL
−4またはIL−10に関するメッセージは検出されなかっ
た。新たに選別したプロT細胞およびインビトロ活性化
プロT細胞のこの共通のmRNAサイトカインプロフィール
は、プロT細胞がインビボで活性化されることを示す。
プロT細胞のサイトカイン生産潜在力をさらに検証す
るために、活性化プロT細胞cDNAライブラリーのサザン
ブロットをプローブした。プロT細胞プローブcDNAライ
ブラリーを、BstX I/Not Iで消化し、挿入物を遊離させ
た。1μgの消化物を、1%アガロースゲルのそれぞれ
のウェル中にロードした。それぞれのサイトカインプロ
ーブに対するcDNA挿入物を平行に電気泳動した。このゲ
ルを変性させ(1.5M NaOH、1.5M NaCl)、中和し(1.5M
NaCl、0.5M Tris pH7.4)、そしてGeneScreen膜(NEN
Research Products,Boston MA)にトランスファーし
た。レーンをフィルター片に切り、そしてそれぞれの片
を、ハイブリダイゼーション緩衝液(1%BSA、0.5M Na
HPO4 pH7.2、1mM EDTA、7%SDS)中で65℃で一晩32P−
dCTP標識サイトカインcDNA(106cpm/ml)でプローブし
た。フィルターを0.2×SCS、0.1%SDS中で50℃で30分間
3回洗浄した。フィルターをフィルムに感光した。
表2に示されるように、IL−2、IL−3、GM−CSF、I
FN−γ、およびIL−12のP40鎖が、このライブラリー中
で検出された。このライブラリーのサザンブロットと新
たに選別した細胞のPCR増幅との間の検出の差異は、そ
れぞれのサイトカインmRNAの相対的な豊富さにより説明
され得る。例えば、TNF−αが活性化プロT細胞におけ
るPCRにより検出されるが活性化プロT細胞cDNAライブ
ラリーのサザンブロット分析では検出されないことは、
用いられたインビトロ活性化条件下でこのmRNAの転写が
比較的低いレベルであるか、またはTNF−αmRNA誘導の
キネティクスが異なるかのいずれかを反映し得る。対照
的に、インビトロ活性化プロT細胞のPCRおよび活性化
プロT細胞cDNAのサザンブロット分析の両方によりGM−
CSFが検出されることは、このサイトカインに対するメ
ッセージがTNF−αのそれに対して豊富であるか、また
はそのmRNAの誘導のキネティクスが異なることを示す。
表1.ポリメラーゼ連鎖反応によるプロT細胞のサイトカ
イン生産プロフィール。プロT細胞を、記載のようにFA
CSにより選別し、そして新たに選別した非活性化細胞ま
たはインビトロで活性化した細胞としてPCR分析にかけ
た。ポジティブのPCRシグナルを(+)で示し、そしてP
CRシグナルが存在しないことを(−)で示す。
IL−2 + + IL−4 − − IL−10 − − P35 − + P40 − + IFN−γ + + TNF−α + + GM−CSF + + 表2.プロT細胞cDNAライブラリーを、公知のサイトカイ
ンを用いてサザンブロットによりプローブした。強いハ
イブリダイゼーションシグナル(++)で、中程度から
弱いハイブリダイゼーションシグナルを(+)で、そし
てハイブリダイゼーションシグナルが存在しないことを
(−)で示す。
サイトカイン ハイブリダイゼーション IL−2 ++ IL−3 + IL−4 − IL−5 − IL−6 − IL−10 − P35 − P40 + IFN−γ ++ TNF−α − GM−CSF ++ TGF− − 実施例5:マウスリンホタクチンとC−CおよびCXCスー
パーファミリーケモカインとの比較。
プロT細胞cDNAライブラリーをスクリーニングする間
に、そのタンパク質翻訳が、タンパク質および核酸デー
タベース(Altschulら、(1990)J.Mol.Biol.403−41
0)のBLAST検索において、C−Cケモカインタンパク質
鎖の短いカルボキシル末端セグメントに一貫してマッチ
するクローンを単離した。この領域におけるC−X−C
ケモカイン配列とのやや弱い類似性もまた、見い出し
た。その生物学的活性のために、本発明者らは、この分
子をリンホタクチン(LTn)と命名した。
2本鎖テンプレートおよびシーケンスキット(United
States Biochemicals,Cleveland,OH)を用いて、cDNA
クローンを配列決定した。得られた配列を、FASTDBを有
するデータバンク(Intelligenetics,Mountain View,C
A)中の以前に報告された配列と比較した。リンホタク
チンアミノ酸配列を、C−X−CケモカインGroαおよ
びC−CケモカインMip−1β(マクロファージ炎症性
タンパク質1β)とともに並置した。リンホタクチンと
C−CおよびC−X−Cの両ケモカインファミリーのメ
ンバーとを密接に比較することにより、この遺伝子の起
源が読み取られた。図1において、Mip−1βおよびGro
αのアミノ酸配列(それぞれC−CケモカインおよびC
−X−Cケモカインの代表である(Davatelisら、(198
8)J.Exp.Med.167:1939−44))を、それらのケモカイ
ン遺伝子ファミリーの保存エキソン機構に基づいて表示
する。表されるエキソン機構は、Mip−1βとの比較に
基づく。四角で囲った残基は、2つの配列間で相同であ
る。黒の四角で囲った残基は、C−X−CおよびC−C
の両ケモカインファミリーの特徴的な4つのシステイン
を表す。さらに、影のついた四角は、C−Cケモカイン
ファミリーの特徴である残基を表す(Bairoch(1993)N
ucleic Acids Res.21:3097−103)。
これらの分子とのリンホタクチン配列の並置は、同一
性の最も高い度合が、エキソン3のホモログ内に存在す
ることを示す。C−CおよびC−X−Cのケモカインフ
ァミリーは、それらのそれぞれのタンパク質アミノ末端
における2つの構造的に保存されたシステインにより定
義され、これは順次、カルボキシル末端に位置する1組
のシステイン残基への2つの別個のジスルフィド結合の
一部を形成する。リンホタクチン配列は、区別的なアミ
ノ末端C−CまたはC−X−Cモチーフの第1のシステ
イン、および鎖の他の位置にある対応するジスルフィド
パートナーを欠失していることに注目される(図1)。
それ故、リンホタクチンは、ケモカイン折り畳み(Lodi
ら、(1994)Science263:1762−1767)の2つのジスル
フィド架橋(Cys2−Cys4)のうちの1つのみを維持して
いる。この変則を除外すると、リンホタクチンは、C−
Cケモカインに特徴的なまばらな配列パターンにより判
断されるように、C−Cケモカインファミリーにより密
接に関連するようである。具体的には、C−Cケモカイ
ンファミリーに特徴的なフェニルアラニンおよびチロシ
ン残基(図1、影がついた四角)は、C−X−Cファミ
リーでは見い出されないが、リンホタクチンにおいて保
存されている。
脊椎動物のケモカイン遺伝子は、それらのC−Cまた
はC−X−Cファミリー関係に基づいて個々の染色体上
で密接にクラスターを形成している。例えば、以前に報
告された全てのC−Cケモカインは、ヒト第17染色体お
よびマウス第11染色体にマップされる。同様に、C−X
−Cケモカインは、ヒト第4染色体にマップされ、そし
てマウスとヒトとの染色体の類似性に基づいて、C−X
−Cケモカインは、おそらくマウス第5染色体にマップ
される。リンホタクチンは、Fas1、At3、Sele、およびO
tf1に連鎖するマウス第1染色体の遠位領域に明らかに
マップされる。配列比較と共に考慮すると、これらのデ
ータは、リンホタクチンが、新規のケモカインクラスの
構造的な原型を表すという仮説を支持する。
実施例6:第1染色体へのマウスリンホタクチンのマッピ
ング 以下の議論において、リンホタクチン遺伝子がLTnに
より、Fasリガンド遺伝子がFas1により、抗トロンビン
3遺伝子がAt3により、セレクチン内皮遺伝子がsele
(以前はElam)により、そして八量体結合転写因子1遺
伝子がOtf1により表されることに留意のこと。
LTnは、マウス第1染色体の遠位領域にマップされ
る。LTnは、種間戻し交雑分析により、マウス第1染色
体上に位置していた。種間戻し交雑子孫を、Copeland
ら、(1991)Trends Genet.7:113−118に記載のよう
に、[(C57BL/6J×Mus Spretus)F1雌およびC57BL/6
J]雄を交配することにより作出した。全体で205匹のF2
マウスを用いて、LTn遺伝子座をマップした。DNA単離、
制限酵素消化、アガロースゲル電気泳動、サザンブロッ
トトランスファー、およびハイブリダイゼーションを、
標準的な技術(Jenkinsら、(1982)J.Virol.43:26−3
6)に従って実施した。全てのブロットを、Hybond−N
ナイロン膜(Amersham)を用いて調製した。
プローブ(マウスLTn cDNAの536塩基対フラグメン
ト)を32P−dCTPで標識した;洗浄を、0.1×SSC、0.1%
SDS、65℃の最終ストリンジェンシーまで実施した。13.
0kbのフラグメントがSph1消化C57BL/6J DNAにおいて検
出され、そして8.6kbのフラグメントがSph1消化M.spret
us DNAにおいて検出された。8.6kb M.spretus特異的Sph
1フラグメントの存在または不在は、戻し交雑マウスに
引き継がれた。
コンピュータープラグラムSPRETUS MADNESS(Nationa
l Cancer Institute Frederick Cancer Center,Frederi
ck MD)を用いて、組換え距離を計算した。対立遺伝子
の分布パターンを明らかにするのに必要とされる組換え
事象の数を最小化することにより、遺伝子序列を決定し
た。遺伝子座のそれぞれのペアについて分析したマウス
総数に対する組換え染色体を示すマウス総数の比、およ
び最も考えられ得る遺伝子序列は以下の通りである:セ
ントロメア−Fast−0/180−At3−3/164−Sele−2/162−
LTn−1/170−Otf1。組換え頻度(センチモルガン(cM)
+/−標準誤差で遺伝子距離として表される)は、−
[Fas1,At3]−1.8+/−1.1−Sele−1.2+/−0.9−LT
n−0.6+/−0.7−Otf1である。
表3は、全ての遺伝子座について型分けした154匹の
戻し交雑動物におけるLTn遺伝子およびフランキング遺
伝子の分離パターンを示す。遺伝子座の個々のペアにつ
いて、154匹以上の動物を型分けした。それぞれの縦欄
は、(C57BL/6J×M.spretus)F1親から受け継いだ、戻
し交雑子孫において同定された染色体を表す。「+」
は、C57BL/6J対立遺伝子の存在を表し、そして「#」
は、M.spretus対立遺伝子の存在を表す。それぞれの型
の染色体を受け継ぐ子孫の数を、それぞれの縦欄の底部
に列挙する。連鎖遺伝子に関してLTnの位置を示す第1
染色体の部分的な連鎖地図を、表3の下部に記載する。
遺伝子座間の組換え距離をセンチモルガンで記載し、そ
してヒト染色体における遺伝子座の位置(公知)をも示
す。本研究において引用された遺伝子座のヒトの地図位
置に関する参照は、GDB(Genome Data Base)、The Wil
liam H.Welch Medical Library of The Johns Hopkins
University(Baltimore,MD)により維持されるヒト連鎖
情報のコンピューター処理されたデータベースから入手
可能であり得る。
表3:マウスリンホタクチンの遺伝子マッピング 遺伝子 Fas1 + # # + # + # + # + At3 + # + # # + # + # + Sele + # + # + # # + # + Ltn + # + # + # + # # + Otf1 + # + # + # + # + # 64 84 0 0 2 1 0 2 1 0 ヒトにおいて、Fas1およびAt3は、1q23−q25.1に位置
する;Seleは、1q22−q25に位置する;そしてOtf1は、1c
en−q32に位置する。マウスLtnは、マウス第1染色体上
のSeleとOtf1との間に、Seleから1.2センチモルガン、
そしてOtf1から0.6センチモルガンの位置にマップされ
る。Ltnは、Fas1およびAt3から3センチモルガンの位置
にマップされる。
実施例7:E.coliにおけるマウスリンホタクチンタンパク
質の発現。
Gly2(1は、成熟分泌タンパク質の予想上のN末端残
基である)の近位にHind III制限部位およびオープンリ
ーディングフレームの翻訳終止コドンの遠位にXho I部
位を挿入するために、PCRを用いて、リンホタクチンcDN
Aを変異誘発した。生じたHind III/Xho Iフラグメント
をHind IIIおよびXho Iで切断したpFLAG−1プラスミド
(International Biotechnologies,New Haven,CT)に挿
入した。生じた発現プラスミドを、Topp5 E.coli株(St
ratagene,La Jolla,CA)に形質転換し、アンピシリン耐
性(50μg/ml)形質転換体を、550nmの吸光度が0.7にな
るまで、37℃にてLuria Broth(Gibco)中で増殖させ
た。組換えタンパク質を0.4mΜイソプロピル−βD−チ
オガラクトピラノシド(Sigma,St.Louis,MO)で誘導
し、そして細胞のインキベーションをさらに18時間20℃
にて継続した。1リットルの培養物からの細胞を、遠心
分離により収集し、そして200mlの氷冷30%スクロー
ス、50mM Tris HCl pH8.0、1mΜエチレンジアミン四酢
酸中に再懸濁した。氷上で10分経過した後、氷冷水を、
2リットルの総容積まで添加した。氷上で20分経過した
後、細胞を遠心分離により除去し、上清を、5μM Mill
ipak60(Millipore Corp.,Bedford,MA)による濾過によ
り明澄化した。組換えタンパク質を、48時間4℃にて20
0ml/時で循環させ、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、0.
1MグリシンHCl pH3.0で溶出し、pH8.0までTris HClで中
和した後、25mlのM2アフィニティーマトリックス(Inte
rnational Biotechnologies)により精製した。
実施例8:マウスリンホタクチンの生物学的活性 組換えリンホタクチンを、上記の実施例7に示される
ようにE.coliにおける発現により生成し、生物学的活性
について試験した。一般に、C−Cケモカインが白血球
上のそれらのレセプターに結合する場合、適度な細胞内
Ca2+流動が存在する(Neoteら、(1993)Cell72,415−2
5)。それ故、本発明者らは、リンホタクチンがTHP−1
細胞(マウスMip−1αならびに大部分の他のマウスお
よびヒトC−CおよびC−X−Cケモカインに対して応
答性であるヒト単球細胞株)においてカルシウム流動を
開始する能力を調査した(THP−1細胞は、寄託番号TIB
203でTumor Immunology BankのATCCから入手可能であ
る)。用いたアッセイは、細胞内Ca2+流動アッセイと呼
ばれる。THP−1細胞を、3μM indol−1AM(Calbioche
m)の存在下でロードした。蛍光を、350nmの励起波長で
PTI分光蛍光光度計で測定した。二重同時発光(dual si
multaneous emission)を400nmおよび490nmで記録し
た。比を1秒当たり2点で計算した。蛍光比を400/490n
mで計算した。Mip−1αと異なり、マウスリンホタクチ
ンは、THP−1細胞においてカルシウム流動を生成し得
なかった。この結果は、リンホタクチンが、他の公知の
ケモカインにより使用されないレセプターを使用し得る
ことを示唆する。この可能性は、ヒトリンホタクチン
(lyphotactin)に関して本明細書中に示されるデータ
によりさらに強められる。このデータは、リンホタクチ
ンが、ヒトPBLにおいて細胞内カルシウム流動を引き起
こすことを示している。
ケモカインの別の定義されている特徴は、免疫系の細
胞において走化性応答を誘導するそれらの能力である。
1つの細胞タイプは、インビトロでケモカインの比較的
狭小の濃度範囲に対する走化性を示す。ここでは、高濃
度が接着を引き起こし、そして低濃度が走化性を誘起し
ない(Zigmondら、(1973)J.Exp,Med.137:387−41
0)。リンホタクチンの走化能を評価するために、チモ
カイン細胞走化性アッセイを用いて、いくつかの白血球
集団を、リンホタクチンに応じて遊走するそれらの能力
について試験した。種々の細胞が、リンホタクチンに対
して用量依存走化性応答を示した。最も応答性の高い細
胞タイプの1つは、10-10Mの濃度で走化性を誘発したCD
8+胸腺細胞であった。対照的に、胸腺CD4+細胞から走化
性応答を誘発するために、10-8Mの濃度が要求された。
これは、ケモカインMip−1αに対するこれらの2つの
細胞タイプの応答に対応している。リンホタクチンに対
する胸腺CD4+走化性応答に匹敵するものは、T細胞涸渇
脾臓細胞、15日目の胎児肝細胞、骨髄細胞、およびリン
パ節細胞による応答であった。これらの細胞集団は、Mi
p−1αに対して同様の走化性応答を示した。しかし、M
ip−1αとは異なり、リンホタクチンは、腹膜滲出細胞
(peritoneal exudate cell)またはヒト単球細胞株THP
−1のいずれに対しても走化性応答を誘発しなかった。
種々の供給源に由来する単球/マクロファージ集団およ
び好中球のさらなる分析は、リンホタクチンが、単球/
マクロファージまたは好中球において走化性を誘発しな
いという結論を支持した。従って、リンホタクチンは、
リンパ系集団においてのみ走化性応答を誘発するため、
ケモカインの間で独特である。
標準的な技術を用いる48−ウェルマイクロ走化性装置
(microchemotaxis apparatus)を用いて、チモカイン
細胞走化性アッセイを実施した(Baconら、(1988)Br.
J.Pharmacol.95:966−74)。遊走を、3つの実験のそれ
ぞれについて2点平行ウェルを用いて、5つの高倍率視
野(high power field)(×400)当たりの細胞数とし
て測定した。他に示さない限り、全ての細胞をBalb/cマ
ウスから得た。ある細胞集団と他の細胞集団とを比較す
ることにおける走化性応答の有意性の定性的な判定は、
以下のいくつかの特徴により決定される:走化性を示す
細胞の絶対数、最大の走化性応答を誘起する因子の濃
度;および最小濃度から最も至適な濃度までの走化する
(chemotax)細胞の数の差異。
実施例9:ヒトリンホタクチンの単離 ヒトリンホタクチンは、マウスLTnに対して60%のア
ミノ酸同一性を有する。これは、多くの局面においてそ
のマウスの対応物と類似しており、この局面は、T細胞
を走化性誘起するが単球を誘起しない能力を包含する。
LTnをコードするヒトcDNAクローンは、プローブとし
てマウスLTn cDNAを用いて、CD8+T細胞クローンA10(Co
cksら、(1993)Int.Immunol.5:657)から生成したライ
ブラリーをスクリーニングすることにより同定した。cD
NAライブラリーの構築は既に記載されている(Cocks
ら、上述)。プローブとしてマウスLTn cDNAを用いて、
ライブラリーを標準的な方法(Maniatisら、1982)によ
りスクリーニングした。LTnについて4つの異なるcDNA
クローンを単離した。これらは、730bp、625bp、562b
p、および520bpの種で表される。
テンプレートとして2本鎖DNAを用いて、T7ポリメラ
ーゼ(U.S.Biochemicals,Cleveland,OH)を用いるダイ
デオキシヌクレオチドチェーンターミネーショ法によ
り、ヒトリンホタクチンの完全長のcDNAを配列決定し
た。IntelliGeneticsプログラム(Mountain View,CA)
を用いて、データベース検索および配列分析を実施し
た。これらのクローンの全ては、114アミノ酸の同一の
オープンリーディングフレームを含有していた(例外と
して、625bp種は、N末端配列に2つの保存的なアミノ
酸変化を有していた)が、それらの3′非翻訳領域の長
さが異なっていた。562bpおよび520bpのクローンが、こ
のライブラリーにおいても最も優勢であった。2つのク
ローンのみが、625bp種により表され、1つのクローン
のみが730bpにより表された。cDNAの3′非翻訳領域
は、2つのポリアデニル化シグナル部位を含有する。62
5bpおよび520bpクローンは、第1のポリアデニル化シグ
ナル部位を使用し、一方730bp種は、第2のポリアデニ
ル化シグナル部位を利用するが、第1のポリアデニル化
シグナル部位の上流に2つのより大きなポリアデニル化
シグナル部位を含有する180bpの挿入物を含有する。
実施例10:ヒトリンホタクチンとC−Cケモカインとの
比較 ヒトcDNAクローンから推定されるアミノ酸配列とマウ
スLTnとの比較は、それらが60%の配列同一性を有して
いることを示した。この2つのチモカインは、同様のサ
イズであり、ヒトLTnは、約12,000ダルトンの推定分子
量を有し、そしてマウスLTnは、約11,500ダルトンの推
定分子量を有する(それぞれの分子についていかなるグ
リコシル化も除く)。ヒトリンホタクチンのタンパク質
配列を、Swiss Protein Data Baseと比較した場合、C
−Cケモカインファミリーのメンバーの単球走化性タン
パク質2(MCP−2)およびマクロファージ炎症性タン
パク質−1α(Mip−1α)は、ヒトリンホタクチン
(ヒトLTn)に対して有意な相同性を共有すると認めら
れる。従って、マウスLTnと同様に、ヒトLTnは、C−C
ケモカインと、特にエキソン3に相当する領域におい
て、最も高いアミノ酸同一性を有する。ヒトTnもまた、
対合してC−CおよびC−X−Cケモカインファミリー
に特徴的な2つのジスルフィド架橋のうちの1つを形成
する第1および第3のシステイン残基を欠失している
(Lodiら、1994)。
興味深いことに、マウスおよびヒトのLTnの尾部領域
において、高い度合の相同性が存在する。同様のC末端
伸展がマウスMCP−1において見い出され得るが(Rolli
nsら、1988)、この尾部領域はヒトの対応物においては
欠失している(Changら、1989;Furutaniら、1989;Yoshi
muraら、1999)。従って、LTnは、この尾部領域を保存
しているヒトケモカインの最初の例である。
実施例11:ヒトLTn mRNAの発現および分布 RNAzol B法(TM Cinna Scientific Inc.,Friendswoo
d,TX)を用いて、選別したCD8+胸腺細胞、選別したCD4+
胸腺細胞、Th1クローンTA20、およびTh2クローンNP44由
来の全RNAを調製した。このRNAサンプルを、Cocksら、1
993に記載のように、0.85%変性アガロースゲル上で分
画し、そしてBA−Sニトロセルロース(Schleicherおよ
びSchuell,Keone,NH)にトランスファーした。脾臓、胸
腺、前立腺、睾丸、卵巣、小腸、大腸、および末梢血白
血球由来のRNAを、Clontech(Palo Alto,CA)からノー
ザンブロットとして購入した。フィルターに、LTnコー
ド領域を含有するpJFELTnのXmn I−Pvu IIフラグメント
をハイブリダイズさせた。
ヒトLTn mRNAについての発現パターンは、マウスLTn
の発現パターンと非常に類似している。活性化CD8+胸腺
細胞はLTnを発現するが、一方活性化CD4+胸腺細胞は検
出不能なレベルのLTnを有する。ヒトLTnはまた、活性化
Th1クローンにおいては豊富に発現されるが、活性化Th2
クローンにおいては、非常に低いレベルでのみ発現され
る。ヒトLTn mRNAは、静止期の脾臓、胸腺、小腸、およ
び末梢血白血球(PBL)においてかなり高いレベルで検
出され、そして前立腺および卵巣組織において大いによ
り低レベルで検出された。
実施例12:組換えhLTnの生産 ヒトLTn cDNAを含有する細菌の発現プラスミドを構築
した。結果として生じるフラグメントがpFLAG−1プラ
スミド(International Biotechnologies,New Haven,C
T)中にサブクローン化し得るように、成熟タンパク質
のVal残基の近位にHind III制限部位およびオープンリ
ーディングフレームの翻訳終止コドンの遠位にXho I部
位を挿入するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を
用いてこのcDNAを変異誘発した。この発現プラスミド
を、Topp5 E.coli株(Stratagene,La Jolla,CA)に形質
転換し、そして組換えタンパク質を、既に上述したよう
に誘導および精製した。画分を回収し、プールした。
実施例13:ヒトリンホタクチンの生物学的特性 上記の細胞走化性アッセイを用いて、ヒトLTnの走化
性活性(マウスリンホタクチンについて上に記載のよう
に決定される)を、リンパ球集団の遊走へのその影響に
より測定した。ヒトLTnは、マウスLTnを用いた場合(上
記を参照のこと)にCD8+およびCD4+胸腺細胞において走
化性応答を誘発することが示された濃度と同様の濃度
で、ヒトCD8+およびCD4+T細胞クローンにおいて走化性
を誘発した。CD8+T細胞は、10-10Mの濃度のLTnに応答性
であり、そしてCD4+T細胞は、10-7Mの濃度のLTnに応答
性であった。ヒト単球は、ヒトLTnに応答しなかった。
Ca++流動を誘導するLTnの能力 細胞内Ca++流動の測定は、一般的にケモカインによる
白血球レセプター結合の指標であり、そしてそれは、種
々のケモカインが同一のレセプターを通してシグナルを
発するのか、または異なるレセプターを通してシグナル
を発するのかを推測するために用いられ得る。細胞内Ca
+2流動アッセイを用いて、マウスリンホタクチンについ
て上述したように、細胞集団におけるヒトリンホタクチ
ンの影響をモニターした。ヒト末梢血白血球を、カルシ
ウム指標の3μM indol−1 AM(calbiochem,San Diego,
CA)の存在下でロードし、次いでLTnまたはLTnおよびIL
−8組み合わせでチャレンジした。蛍光を、350nmの励
起波長でPTI分光蛍光光度計で測定した。同時発光(sim
ultaneous emission)を400nmおよび490nmで記録し、比
を1秒当たり2点で計算した。
組換えLTnを用いてヒトPBLにおいて細胞内Ca++流動を
誘発した場合、細胞内Ca++濃度の明らかな上昇が観測さ
れた。さらに、LTn処置後にIL−8を添加した場合、第
2のカルシウム流動が観測された。これは、LTnがIL−
8とは異なるレセプターを使用することを示唆する。LT
n処置後にC−Cケモカインを添加した場合、同様の結
果が得られた。
実施例14:マウスチモカインのためのレセプターの単離 チモカインは、結合のその特異性を利用することによ
り、抗体が用いられるのと同様に、特異的結合試薬とし
て使用され得る。結合試験は、上記のように標識される
(例えば、蛍光またはその他の方法)か、パンニング法
のために基質に固定化される。
結合組成物は、チモカインを発現する細胞株から作製
された発現ライブラリーをスクリーニングするために用
いられる。標準的な染色技術が細胞内または表面発現リ
ガンドを検出または選別するために用いられるか、ある
いは表面発現形質転換細胞がパンニングによりスクリー
ニングされる。細胞内発現のスクリーニングは、種々の
染色または免疫蛍光手順により実施される。McMahan
ら、(1991)EMBO.J.10:2821−2832も参照のこと。
例えば、0日目に、30分間室温にて、フィブロネクチ
ンのチャンバー当たり1ml(PBS中に10ng/ml)で2−チ
ャンバ−パーマノックススライド(2−chamber perman
ox slide)を予備被覆する。PBSで1回リンスする。次
いで1.5mlの増殖培地中に、チャンバーあたり2〜3×1
05細胞でCOS細胞を播く。37℃で一晩インキュベートす
る。
それぞれのサンプルについて1日目に、血清非含有DM
E中に66mg/ml DEAE−デキストラン、66mMクロロキン、
および4mg DNAの溶液0.5mlを調製する。それぞれのセッ
トについて、ポジティブコントロール(例えば、1およ
び1/200倍の希釈度のマウスチモカイン−FLAG cDNA)、
およびネガティブな模擬物を調製する。血清非含有DME
で細胞をリンスする。DNA溶液を添加し、37℃で5時間
インキュベートする。培地を除去し、0.5mlのDME中10%
DMSOを2.5分間添加する。これを除去し、DMEで1回洗浄
する。1.5mlの増殖培地を添加し、そして一晩インキュ
ベートする。
2日目に、培地を交換する。3日目または4日目に、
細胞を固定および染色する。細胞を、Hankの緩衝生理食
塩溶液(HBSS)で2回洗浄し、そして5分間4%パラホ
ルムアルデヒド(PFA)/グルコース中で固定する。HBS
Sで3回洗浄する。全ての液体を除去した後、このスラ
イドを−80℃で保存し得る。それぞれのチャンバーにつ
いて、0.5mlのインキベーションを以下のように実施す
る。20分間32ml/mlの1M NaN3とともにHBSS/サポニン
(0.1%)を添加する。次いで細胞を、HBSS/サポニンで
1回洗浄する。細胞にチモカインまたはチモカイン/抗
体複合体を添加し、そして30分間インキュベートする。
HBSS/サポニンで細胞を2回洗浄する。適切である場
合、一次抗体を30分間添加する。1/200の希釈度で二次
抗体(例えば、Vector抗マウス抗体)を添加し、そして
30分間インキュベートする。ELISA溶液(例えば、Vecto
r Elite ABC西洋ワサビペルオキシダーゼ溶液)を調製
し、そして30分間予備インキュベートする。例えば、2.
5mlのHBSS/サポニン当たり、1滴の溶液A(アビジン)
および1滴の溶液B(ビオチン)を用いる。HBSS/サポ
ニンで2回細胞を洗浄する。ABC HRP溶液を添加し、30
分間インキュベートする。HBSSで2回細胞を洗浄し、2
分間の2回目の洗浄で細胞を閉じ込める。次いでVector
ジアミノ安息香酸(DAB)を5〜10分間添加する。5mlの
ガラス滅菌水あたり2滴の緩衝液+4滴のDAB+2滴のH
2O2を用いる。注意深くチャンバーを取り出し、水中で
スライドをリンスする。数分間風乾し、次いで1滴のCr
ystal Mountおよびカバー片を添加する。85〜90℃で5
分間ベークする。
あるいは、チモカイン試薬は、レセプターを発現する
細胞をアフィニティー精製するかまたは選別するために
用いられる。例えば、Sambrookら、またはAusubelらを
参照のこと。
他のストラテジーは、パンニングにより膜結合レセプ
ターをスクリーニングすることである。レセプターcDNA
を、上記のように構築する。リガンドは、固定化され
得、そして発現細胞を固定化するために用いられ得る。
固定化は、例えば、チモカイン融合構築物のFLAG配列を
認識する適切な抗体の使用、または一次抗体に対して惹
起された抗体の使用により達成され得る。選択と増幅と
の回帰的サイクルにより、適切なクローンの濃縮および
リガンド発現クローンの最終的な単離が得られる。
ファージ発現ライブラリーは、チモカインによりスク
リーニングされ得る。適切な標識技術(例えば、抗FLAG
抗体)は、適切なクローンの特異的な標識を可能にす
る。
本発明の多くの改変および変化は、当業者に明らかな
ように、その意図および範囲を逸脱することなく行われ
得る。本明細書中に記載した特定の実施様態は、例示の
ためのみに提供され、そして本発明は、添付した請求項
およびそのような請求項が与えられる均等の全範囲によ
ってのみ限定される。
配列提出 配列番号1は、マウスm3C9チモカインクローンのヌクレ
オチド配列である。
配列番号2は、マウスチモカインの対応アミノ酸配列で
ある。
配列番号3は、ヒトA10−4チモカインクローンのヌク
レオチド配列である。
配列番号4は、ヒトチモカインの対応アミノ酸配列であ
る。
フロントページの続き (31)優先権主張番号 329,704 (32)優先日 平成6年10月25日(1994.10.25) (33)優先権主張国 米国(US) 前置審査 (72)発明者 ズロトニック, アルバート アメリカ合衆国 カリフォルニア 94306, パロ アルト,アルガー ド ライブ 507 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/12 - 15/28 C07K 14/435 - 14/79 BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ(G ENETYX) WPI(DIALOG)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の(1a)または(1b)である単離され
    た核酸: (1a)配列番号1または配列番号3の塩基配列を有する
    核酸;または (1b)(1a)の核酸とストリンジェントな条件下でハイ
    ブリダイズし、かつ単球/マクロファージ、または好中
    球において走化性を誘発しない、リンパ球系集団におい
    てのみ走化性応答を誘発するケモカインであるチモカイ
    ンタンパク質をコードする核酸。
  2. 【請求項2】以下の(2a)または(2b)のポリペプチド
    をコードする単離された核酸: (2a)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列を有
    するポリペプチド;または (2b)(2a)のアミノ酸配列において1つもしくは数個
    のアミノ酸が置換、欠失および/または付加されたアミ
    ノ酸配列を有し、かつ単球/マクロファージ、または好
    中球において走化性を誘発しない、リンパ球系集団にお
    いてのみ走化性応答を誘発するケモカインであるチモカ
    インタンパク質であるポリペプチド。
  3. 【請求項3】以下の(4a)または(4b)であるポリペプ
    チド: (4a)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列を有
    するポリペプチド;または (4b)(4a)のアミノ酸配列において1つもしくは数個
    のアミノ酸が置換、欠失および/または付加されたアミ
    ノ酸配列を有し、かつ単球/マクロファージ、または好
    中球において走化性を誘発しない、リンパ球系集団にお
    いてのみ走化性応答を誘発するケモカインであるチモカ
    インタンパク質であるポリペプチド。
  4. 【請求項4】請求項3に記載のポリペプチドに特異的に
    結合する、抗体。
  5. 【請求項5】前記チモカインタンパク質が特異的に抗体
    に結合し、該抗体が配列番号2のポリペプチドおよび配
    列番号4のポリペプチドからなる群より選択される免疫
    原に対して作製された、チモカインタンパク質をコード
    する、請求項1または2に記載の単離された核酸。
  6. 【請求項6】前記単離された核酸が: a)天然に存在するチモカインタンパク質と同一の完全
    な配列を有するチモカインポリペプチドをコードする; b)配列番号2のポリペプチドおよび配列番号4のポリ
    ペプチドからなる群より選択されるチモカインタンパク
    質をコードする;または c)配列番号1の核酸;および配列番号3の核酸からな
    る群より選択される、請求項5に記載の単離された核
    酸。
  7. 【請求項7】非グリコシル化の形態の場合、約11,000〜
    12,500ダルトンの単離されたチモカインタンパク質であ
    って、ここで、該チモカインタンパク質が、単球/マク
    ロファージ、または好中球において走化性を誘発しな
    い、リンパ球系集団においてのみ走化性応答を誘発する
    ケモカインであって、以下からなる群より選択さえる免
    疫原に対して作製された抗体に特異的に結合する: a)配列番号2のポリペプチド;および b)配列番号4のポリペプチド; そして、ここで、該チモカインタンパク質がさらに以下
    の生物学的特性により定義される: i)チモカイン細胞走化性アッセイにおいて胸腺細胞に
    よる用量依存性走化性応答を誘導する能力があること; ii)該チモカイン細胞マイクロ走化性アッセイにおいて
    ヒトTHP−1細胞に用量依存性走化性応答を誘導する能
    力がないこと;および iii)細胞内Ca+2流出アッセイにおいてヒトTHP−1細胞
    に細胞内Ca+2流出を誘導する能力がないこと。
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