JP3213813U - 苗マット - Google Patents

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Abstract

【課題】マット中の高い含水率による望ましくない種子の発芽の開始を制御し、苗を効率よく移植できる苗マットを提供する。
【解決手段】上面領域の中又は上に種子05を固定するための種子接着剤04で一つの面が被覆されている発根基材06、種子05を被覆しており、それを通り抜けて苗が成長することが可能な種子被覆構成要素02、並びに、発根基材06の上面領域の中又は上に分散しており種子接着剤04によってそこに接着されている複数の種子05を含む苗マット10であって、種子被覆構成要素02は自立性であり、自立層へと圧縮された有機材料を含んでおり、有機材料はコイア、もみ殻、グァーガム、及び/又はバガスを含み、発根基材06は、(i)紙及びその誘導体、(ii)セルロース繊維、並びに(iii)コイア、もみ殻、グァーガム、木材を主体とする材料、及び/又はバガスから選択される自立層へと圧縮されたものである有機材料、からなる群から選択される材料を含む。
【選択図】図1

Description

本考案は、マットの有用性の最適化が意図された、改良された種/苗マット、特にはイネ苗マットを可能にする/提供する。本考案は、更に、特定の特徴を有する材料、そのような材料の苗マット中での使用、並びに、苗マットに組み込まれ得るそのような材料から作られた構成要素層も提供する。本考案は、更に、そのような苗マット及び/又は構成要素層の製造方法、特にはそのような苗マットの中で使用するための発根基材構成要素の製造方法にも及ぶ。
農業においては、及び一般的なガーデニングにおいては、苗は一般的に苗床、温室、又は専用の種床エリアなどの特化した環境で最初に育てられる。この方式では、特定の環境因子をより簡単に制御できるため、これらの早い生育の可能性及び質を向上させることができる。この後に、苗は長期的な生育のために田畑/庭に移植される。
種子マットは、初期の苗立ち及び苗の繁殖、貯蔵、並びに簡便な種/苗の苗床/温室への移動を容易にし、その後の長期的な栽培及び成長(例えば水田において)を促進する。
種を含むマットタイプの製品は市場で公知である。国際公開第01/60144号では、苗の栽培に関連する問題が論じられており、また、その製造に真空成形を必要とする、種床の土に対する軽量の代替物を提供することのみが意図されている実施例が開示されている。
これらの有用性を高めるためには、種子/苗マット(以降苗マットという)が、種子/苗の取り扱い及び繁殖に関連する様々な状況に対応する必要がある。例えば、種子(播種)の保護及び環境、マットの完全性(例えば取り扱い及び移植を容易にするため)、並びにマット中及び移植後の成長促進/制御に関して、同時にバランスをとることが望ましい。
先行技術には、種子及び異なる構成要素層を含む様々なマットが存在する。多くは、それらの製造の至る所で水性の接着剤を使用している。そのような接着剤が使用されると製造時に苗マットが高い含水量となる場合があり、これは(i)マットを乾燥させるために時間がかかること及び/若しくは特殊な装置を必要とすること、(ii)乾燥中にそのようなマットを保管するための場所が必要とされること、並びに/又は(iii)マット中に存在する高い湿度による望ましくない種子の早期発芽、のために不都合であることが見出された。
本考案は、2つの方法によって、すなわち、(i)ホットメルト接着剤の使用によって、及び(ii)圧縮され予備乾燥された形態の、種子被覆構成要素の製造によって、これらの問題に対処する。この構成要素は、マットを組み立て易くし、先行技術の組み立てられたマット中の高い含水量によって生じる望ましくない種子の発芽の開始を最小限にし、またそのような種子被覆構成要素を組み込んだマット中で成長する種子/苗の成長に対する予想外の有益な効果を有する。
先行技術の多くの苗マットは、苗の成長を補助するための土を主成分とする基材(本明細書では発根基材という)か、ミネラルウールなどの別の発根基材を利用する。しかし、これらは数多くの欠点を有する。例えば、土を主成分とする基材は嵩張る及び/又は重い場合があり、多くの場合取り扱いが困難である。また、ミネラルウールは例えば良好な基材ではあるものの、容易には生分解されず及び/又はリサイクルできず、大スケールでの使用に比較的費用がかかる。本考案は、紙を主体とする材料、自立層へと圧縮された有機材料、又は自立層へと成形されたセルロース繊維材料由来の、生分解性の自立性発根基材を使用することによって、これらの欠点のいくつかに対処する。本考案は、更に、本明細書に記載の発根基材及び組み立てられた苗マットのいずれもが土を全く含有しない点で先行技術と区別される。すなわち、土は本考案のいずれの構成要素の中にも見出されない。
かくして、本考案の第1の態様においては、
種根の成長を補助すると共に自立性である略平面状の発根基材であって、発根基材の上面領域の中又は上に種子を固定するための種子接着剤で一つの面が被覆されており、種子接着剤がホットメルト接着剤である発根基材;
種子を被覆しており、それを通り抜けて苗が成長することが可能な種子被覆構成要素;並びに、
発根基材の中及び上面領域の上に分散しており前記種子接着剤によってそこに接着されている複数の種子;
を含む苗マットであって、
種子被覆構成要素は自立性であり、自立層へと圧縮された有機材料を含んでおり、有機材料はコイア、もみ殻、グァーガム、及び/又はバガスを含み;
発根基材は、(i)紙及びその誘導体、(ii)セルロース繊維、並びに(iii)コイア、もみ殻、グァーガム、木材を主体とする材料、及び/又はバガスから選択される有機材料であって自立層へと圧縮されたものである有機材料、からなる群から選択される材料を含む
苗マットが提供される。
本考案の別の対応においては、本考案は、苗マットのための発根基材構成要素であって、前記発根構成要素は、
自立性であり;
略平面状の形態であり;
種根の成長を補助することが可能であり;
(i)紙及びその誘導体、(ii)セルロース繊維、並びに(iii)コイア、もみ殻、グァーガム/木材を主体とする材料、及び/又はバガスから選択される有機材料であって自立層へと圧縮されたものである有機材料、からなる群から選択される材料を含み;
ホットメルト接着剤である種子接着剤で一つの面が被覆されており、種子接着剤は発根基材構成要素の上面領域の中又は上に種子を固定することが可能である
発根基材構成要素を提供する。
基本的な苗マット構造の側面からの概略的な断面斜視図である。 発根基材の2つの実施形態A及びBの、側面からの概略的な断面斜視図である。 本考案での使用のために構成された3つのタイプの波形紙/紙誘導体の概略図である。
上述の本考案は苗マット及びその構成要素に関することから、当業者であれば、用語「発根基材」及び「発根基材構成要素」は、適切な場合には、本記載において互換的に使用され得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態においては、組み立てられた発根基材は、本明細書に記載の複数の発根基材構成要素を含んでいてもよい。そのような実施形態は、「積層発根基材」又は「複合発根基材」と呼ばれる場合がある。
いずれか構成要素に対して本明細書で使用される、用語「自立性」とは、形成されたままの構成要素が、その形状及び寸法を維持する個別の製品として取り扱うことができるような構造的完全性を有しており、別の支持要素を必要としないことを意味する。これは、例えば、崩壊を防ぐための他の何らかの支持要素なしでは個別の層として取り扱うことができないマルチ又は土の固まっていない層とは異なる。そのため、本考案の発根基材構成要素及び/又は種子被覆構成要素は、手で持てるほど頑丈である。
上で述べたように、発根基材は自立性であり、これが発芽の後に基材の中で種根の成長を補助するようにされている。これは、好ましくは強くて健康的であり理想的には白色である根の発達が可能なようにすべきであり、またその結果以降の移植で定着し易いようにすべきである。これは、組み立てられたマットの構造的完全性も、例えばバラバラにならずに連続的であるように、補助すべきである。
また、発根基材は、(i)紙及びその誘導体、(ii)セルロース繊維、並びに(iii)コイア、もみ殻、グァーガム、木材を主体とする材料、及び/又はバガスから選択される有機材料、からなる群から選択される材料を含み、前記有機材料は自立層へと圧縮されたものである。
発根基材/発根基材構成要素が紙及び/又はその誘導体から作られる、ある一連の実施形態においては、任意の適切な紙が使用されてもよく、例えば、適切な紙としては、エアレイド紙、マルチ紙、クレープ紙、DRC(ダブルリクレープ)紙、フラッフ紙、及び市販の様々な濾紙が挙げられる。硬材資源又は軟材資源を由来とする、再生の又は未使用の、パルプ紙及び/又は繊維板も本考案での使用に好適であり、軟材由来の未使用パルプ/繊維が特に好ましい。
そのような実施形態においては、発根基材構成要素は少なくとも1つの、任意選択的には穴が開けられていてもよい、紙/紙誘導体の層を含むであろう。任意の数の層が用いられてもよいが、発芽の後に基材の中での種根の成長を補助する自立性の発根基材としてそれらが全体として機能することが条件とされる。具体的な実施形態においては、発根基材構成要素は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12層の紙/紙誘導体の層を含む。2層以上が用いられる場合には、層は同じ又は異なる紙/紙誘導体から作られていてもよい。ある好ましい実施形態においては、発根基材構成要素は最大で3層の紙を含み、特に好ましい実施形態においては、それらは3層の紙を含む。
別の実施形態においては、このような多層構成要素は、それ自体が互いの上に重ねられて積層/複合発根基材を形成し、各2重又は3重等の層の発根基材構成要素が組み立てられた複合発根基材の中の1つの要素を形成してもよい。
紙/紙誘導体の層に穴が開けられる場合、これは例えば最大約5mm、好ましくは最大約4mm、より好ましくは最大約3mmの直径の、パンチでこれに開けられた穴を有していてもよい。具体的な実施形態においては、直径は3mm、2.5mm、2mm、1.5mm、1mm、又はそれより小さい領域であってもよい。あるいは、これは多数のスリットを含んでいてもよい。
紙/紙誘導体の層が多数のスリットを有する場合、これらは紙/紙誘導体の表面全体に形成され、紙/紙誘導体の深さまで部分的に延びていても完全に貫通していてもよい。このようなスリットによって、紙/紙誘導体を1つ以上のその寸法方向にゆがめたり伸ばしたりすることが可能になる場合があり、そのためこれは例えば紙/紙誘導体の深さまでロフトを設けることができる。重要な注意点は、スリットは紙/紙誘導体の深さを貫通していてもよいが、これらはいずれの他の寸法方向にも連続的ではないことである。これによって、紙/紙誘導体が自立性のままであり、取り扱い及び/又は組み立て時にバラバラになることなしに、その全体の形状及び構造的完全性の維持が確保される。
発根基材/発根基材構成要素の中の紙の任意の個々の層は、発根基材構成要素の水保持特性を最適化するために、例えばPAA(ポリアクリルアミド)、SAP(超吸収性ポリマー)、及び/又はHAP(ヒドロキシアパタイトポリマー)などのポリマーを含浸させたものであってもよい。
発根基材構成要素中の紙の任意の個々の層は、実質的に平面状であってもよいし、これは折り畳まれていたり、ひだを付けられていたり、溝をつけられていたり、波形にされていたりしてもよく、あるいは、使用時に本考案の苗マットに組み込まれる発根基材構成要素の上面及び/又は下面の平面に面した複数の溝が設けられるように成形されていてもよい。
一連の実施形態においては、発根基材構成要素は波形紙/紙誘導体からなる。波形紙/紙誘導体の種類としては、片面、一重壁、及び二重壁の波形紙/紙誘導体が挙げられる。一重壁型においては、フルート−連続的に波を打つように成形された波形中間物(この場合は紙又は紙誘導体)のシートである−が、紙/紙誘導体の実質的に平面状の(平らな)シートと接着されることで、波によって形成される1組の溝が紙/紙誘導体の平面状のシートによって封入される(図3a参照)。
一重壁型においては、フルートが紙/紙誘導体の2枚の実質的に平面なシートと接着されることで、波よって形成される両方の組の溝が封入され、1つの組の溝は紙/紙誘導体の各シートによって封入される(図3b参照;フルートはサンドイッチの「中身」を形成し、平面シートが「パン」を形成する)。
二重壁型においては、第2のフルートが一重壁構造体の平面表面の片面の上に置かれる/接着される。そして、別の紙の平面状シートが第2のフルートに接着されることで、フルートによって形成されたむき出しの溝が封入される(図3c参照)。
3つ全ての種類の波形紙/紙誘導体(例えば厚紙、リサイクル紙、リサイクル厚紙)は、様々な販売元から容易に入手可能である。
波形紙/紙誘導体は、フルートの波の振幅によって更に特徴付けることができ、これは波形構造体の深さに対応する(下の表1参照)。
Figure 0003213813
あるいは、紙は、セル状(例えばハニカム)構造へと成形されてもよく、その場合、セルの壁は本考案の苗マットの中での使用時の発根基材構成要素の上面(及び下面)と垂直に延びている。
ある一連の実施形態においては、発根基材構成要素が3層の紙を含む場合、上側の層と下側の層(本考案の苗マットを使用する際のそれらの相対的な位置に関しての記述)は実質的に平面状であり、中間層は、折り畳まれているか、ひだを付けられているか、波形にされているか、溝をつけられている。あるいは前記上側の層及び/又は下側の層に面した複数の溝が設けられるように成形される。あるいは、中間層は前述したセル状の構造体である。ある実施形態においては、複数の溝又はセルは、例えば、コイア、バーミキュライト、パーライト、水保持性のゲル/ペレット/結晶(例えばProfile Products LLC,Buffalo Grove,Ilinois,USAから入手可能なSeed Aide(登録商標) CoverGrowTM Spread or Spray Mulching Granules等)などの、発根基材の水保持特性を高め得る材料を含むであろう(すなわち、これらが部分的又は完全に充填され、好ましくは部分的に充填される)。発根基材構成要素が波形紙/紙のフルートを含む場合、いずれか1つの組、又は両方の組の溝に、このような材料が部分的に又は完全に充填されていてもよい。
発根基材構成要素が2層以上の紙を含む場合、発根基材として用いられるための単一の自立性構成要素を形成するために、層が互いに接着又は付加されてもよい。これは、接着剤の使用によるものであってもよいし、任意の好適な機械的手段(例えばステープル止め、縫い合わせ、クリップ止め、ピン止め等など)によるものであってもよい。
接着剤がこの目的のために使用される場合、任意の好適な接着剤、例えば水性接着剤又はホットメルト接着剤を用いることができる。特に好適な接着剤としては、本明細書の別の箇所で記載される水性及び/又はホットメルト接着剤が挙げられる。好ましくは、ホットメルト接着剤が用いられ、特には種子接着剤に関して本明細書で記載されているホットメルト接着剤が用いられるであろう。
ある具体的な実施形態においては、発根基材構成要素は3層のマルチ紙を含み、上側と中間の層(本考案の苗マットを使用する際のそれらの相対的な位置に関しての記述)には穴が開けられており、中間層は上側と下側の層に面した複数の溝を含み、上側の層と下側の層は実質的に平面状であり、層は典型的にはホットメルト接着剤で互いに接着されている。
別の具体的な実施形態においては、発根基材構成要素は3層の紙を含み、下側と中間の層(本考案の苗マットを使用する際のそれらの相対的な位置に関しての記述)はマルチ紙であり、上側の層はポリマー含浸紙であり、中間層は穴が開けられており上側と下側の層に面した複数の溝を含み、上側の層と下側の層は実質的に平面状であり、層はホットメルト接着剤で互いに接着されている。
別の具体的な実施形態においては、発根基材構成要素は3層の紙を含み、下側と中間の層(本考案の苗マットを使用する際のそれらの相対的な位置に関しての記述)は実質的に平面状であり、中間層はセル状の構造体であって、セルの壁は上側の層及び下側の層と垂直に延びており、セルには任意選択的にはコイアが部分的充填されていてもよく、下側の層と中間の層はマルチ紙であり、最上層はダブルリクレープ紙であり、層はホットメルト接着剤で互いに接着されている。
発根基材/発根基材構成要素は、セルロース繊維を含む材料から、例えば木質繊維(特には例えばlyocellTM又はtencelTMなどのユーカリ木質繊維)、綿繊維、ジュート、麻など、及びこれらの組み合わせから作られていてもよい。これらのセルロース繊維は、織布の自立層の形態であってもよいし、不織布の自立層の形態であってもよい。セルロース繊維の不織布の自立層は、繊維の集合体が、(i)ランダムなウェブ又はマットの機械的なかみ合い、(ii)繊維の融着、又は(iii)例えばデンプン、カゼイン、ゴムラテックス、セルロース誘導体、又は合成樹脂などの接着媒体による繊維の互いの結合、のうちのいずれかによって結び付いているものである。本考案の発根基材としての使用に特に有用なセルロース繊維材料としては、厚さ0.2〜3cmの自立層の形態の、不織の木材、綿、又はジュートの繊維が挙げられる。ある実施形態においては、発根基材は、不織木質繊維から成形され、例えば本明細書の実施例で使用されているような、約4mm又は約9mmの厚さの自立層へと成形されるであろう。別の好ましい実施形態においては、発根基材は、本明細書の実施例で使用されているような、例えばTencel Sure To Grow pads(The Sprout People,170 Mendell St.,San Francisco,CA94124)などのTencelマットである不織セルロース木質繊維材料を含むであろう。また別の好ましい実施形態においては、発根基材は、例えばNeaustima JSC,J.Basanaviciaus Street 103c,LT−76129 Siauliai,Lithuaniaから入手可能なもの(80%のセルロース繊維と20%のポリエステルを含有し、120gsmの密度を有する)などの不織再生繊維材料で構成される。
別の一連の実施形態においては、発根基材構成要素は、セルロース繊維の不織層の形態であって、繊維の集合体(特にはジュート、綿、又は麻の繊維、特にはジュート繊維)がランダムなウェブ又はマットの状態での機械的なかみ合いによって結び付いている形態であろう。例えば、セルロース繊維(例えばジュート、綿、麻、亜麻)は、プラスチック、ゴム、樹脂等などの天然フィルム又は合成フィルムの層を介してニードルパンチされていてもよい。そのような好適な不織材料の例は、Anglo Recycling(Rochdale,UK)から入手可能であり、これはジュート、綿等から製造され、特にはA8という記号で本明細書の実施例の中で使用されているものである。A8は、プラスチックフィルムを介してニードルパンチされた、ジュート繊維を含む不織材料であり、A8材料の深さは約4〜6mmである。
発根基材/発根基材構成要素は、コイア、もみ殻、グァーガム、木材を主体とする材料、及び/又はバガスから選択される有機材料から製造されてもよく、前記有機材料は自立層へと予め圧縮(すなわち、圧力が加えられることによって)されたものである。このような圧縮された発根基材構成要素は、好ましくは、これらが土、わら、及び/又は綿を含まないという点においても、先行技術で使用される材料と更に区別される。
コイアは篩分けされて標準粒径(例えば≦2.8mm)にされていてもよく、及び/又は、予め洗浄されていてもよく、pH調整されていてもよく(例えばpH6.0に)、また使用前に乾燥されていてもよい。もみ殻及びバガスは、製粉(粉砕)されていてもよいし、未製粉(未粉砕)であってもよい。好適な木材を主体とする材料としては、ウッドチップ、かんなくず、及び/又はおがくずが挙げられる。
好ましくは、発根基材構成要素は、有機材料として(i)コイア及びもみ殻、(ii)コイア、もみ殻、及びバガス、又は、(iii)特にはかんなくず及びおがくずである木材を主体とする材料、を含む。より好ましくは、発根基材構成要素は、有機材料としての(i)コイア及びもみ殻、(ii)コイア、もみ殻、及びバガス、又は、(iii)特にはかんなくず及びおがくずである木材を主体とする材料、からなる。
発根基材構成要素がコイア及びもみ殻を含む場合、コイア対もみ殻の好ましい重量比は、約10:1〜約1:1、好ましくは5:1〜約1:1、より好ましくは4:1〜約2:1の範囲である。ある実施形態においては、重量比は2/3:1/3のコイア対もみ殻(すなわち67:33)の範囲であろう。
発根基材構成要素がコイア、もみ殻、及びバガスを含む場合、コイア対もみ殻対バガスの好ましい重量比は、約10:1:1〜約1:1:1、好ましくは5:1:1〜約1:1:1、より好ましくは4:1:1〜約2:1:1の範囲である。これらの実施形態においては粉砕したバガスを使用することが好ましい。
任意選択的には、発根基材構成要素の有機材料は、圧縮の前に接着剤で一体化されていてもよい。発根基材構成要素の作製で使用するための好適な接着剤としては、例えばVAE(ビニルアセテートエチレン)、ポリビニルアセテート(PVA)、ポリビニルアルコール(PVOH)、及びアクリル系接着剤などの水性接着剤が挙げられる。例えばE3443CTM(Sealock)などのPVOH接着剤、及び例えばE1215CTM(これもSealock)などのVAE接着剤が好ましく、PVOHが特に好ましい。
(i)コイア及びもみ殻、(ii)コイア、もみ殻、及びバガス、又は、(iii)かんなくず及びおがくず、を含む発根基材構成要素の中にこのような接着剤が含まれることが特に好ましい。そのような実施形態においては、有機材料対接着剤の重量比は約5:1〜5:2の範囲である。好都合には、比率は約4:1〜約3:1である。
任意選択的には、圧縮された発根基材構成要素の有機材料は、植物保護用の化学的、農業化学的、生物化学的な処理剤及び/又は栄養剤(除草剤、殺虫剤、殺菌剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤、毒性緩和剤、植物成長調整剤、微量栄養素、多量栄養素、及び/又は肥料等)から選択される1種以上の追加的な薬剤と組み合わされていてもよい。特には、有機材料は肥料と組み合わされてもよい。
発根基材構成要素の有機材料は、任意選択的には本明細書で述べた接着剤及び/又は追加的な薬剤と混合され、その後に任意の適切なプレス機を用いて100〜250kgf/cm2、好ましくは120−220kgf/cm2の範囲の圧力で、圧縮される。接着剤が組み込まれる場合、発根基材構成要素は、貯蔵/梱包/輸送の前に、及び/又は、本明細書に記載の苗マットの中での以降の使用の前に、乾燥されてもよい。
3つの主な種類の発根基材構成要素(すなわち、(i)紙/紙誘導体発根基材構成要素、(ii)織布又は不織のセルロース繊維発根基材構成要素、及び(iii)圧縮された有機材料の発根基材構成要素)を、本考案での使用のために上で述べてきた。これも上で述べてきたように、組み立てられた発根基材は、2つ以上の発根基材構成要素を含んでいてもよく、そのような発根基材は積層発根基材又は複合発根基材として公知である。同じ種類の2つ以上の発根基材構成要素を含む実施形態についても本明細書で明示的に述べてきたが、当業者あれば、本考案が異なる種類の発根基材構成要素を含む複合発根基材にまで及ぶことも理解するはずである。例えば、本考案は、少なくとも1つの紙/紙誘導体の発根基材構成要素と、少なくとも1つの圧縮された有機材料の発根基材構成要素とを含む複合発根基材(及び、これを含む苗マット、そのような複合発根基材の使用等)、並びに、少なくとも1つの紙/紙誘導体の発根基材と、少なくとも1つの織布又は不織のセルロース繊維の発根基材構成要素とを含む複合発根基材、並びに、少なくとも1つの織布又は不織のセルロース繊維の発根基材構成要素と、少なくとも1つの圧縮された有機材料の発根基材構成要素とを含む複合発根基材、にも更に及ぶ。そのため、本考案の複合発根基材は、3種全ての発根基材構成要素を任意の順序で含んでいてもよく、また複数の任意の種類の発根基材構成要素(これらは同じであっても異なっていてもよい)を含んでいてもよい。
発根基材構成要素(及び結果として任意のその後に組み立てられる苗マット)は、苗床での種子の成長及びその後の田畑への移植に適切な任意の寸法であってもよいが、好ましくは長方形である。発根基材構成要素及び/又は苗マットの幅は、好都合には約20〜50cm、好ましくは約25〜40cm、より好ましくは約25〜30cm(上下限含む)の範囲であり、発根基材構成要素及び/又は苗マットの長さは、50〜100cm、好ましくは約50〜75cm、より好ましくは約55〜60cm(上下限含む)の範囲である。この方式では、苗マットを移植するための機械的な移植機を使用し易くすることができる。また、発根基材構成要素/苗マットは、より大きい長さ(例えば上述の長さの数倍程度)で製造され、最初にそのままの形態で貯蔵、輸送、及び/又は苗床環境での苗の初期成長のために使用され、その後、移植し易いように小さい長さに切断されてもよい。好ましくは、発根基材構成要素/苗マットの幅は約25〜30cmであり、発根基材構成要素/苗マットの長さは約55〜60cmである。具体的な実施形態においては、発根基材構成要素/苗マットの表面積は約28cm×58cmである。
発根基材構成要素の深さ(厚さ)は、0.2〜3cm、好ましくは0.2〜3cm、より好ましくは0.2〜2cm、更に好ましくは0.2〜1cmの範囲である。
発根基材が紙/紙誘導体からなる発根基材構成要素を2つ以上含む実施形態においては、組み立てられた発根基材構成要素の最大深さは約3cmであろう。
同様に、発根基材が織布又は不織布のセルロース繊維からなる発根基材構成要素を2つ以上含む実施形態においては、組み立てられた発根基材構成要素の最大深さは約3cmであろう。
発根基材構成要素が不織のセルロース木質繊維からなる場合には、上述のような深さは、0.3〜3cm、好ましくは0.4〜2cm、より好ましくは0.4〜1cmである。そのような構成要素の複数の層が複合発根基材又は積層発根基材に組み込まれた場合、複合発根基材の最大の全体の深さは約3cmであろう。
発根基材構成要素が上述したような圧縮された有機材料からなる場合、深さは好ましくは10mm未満、より好ましくは5mm未満、更に好ましくは3mm未満である。ある実施形態においては、発根基材構成要素の深さは2〜3mmの範囲である。別の実施形態においては、発根基材構成要素は、互いの上に積層された、2層以上の上述したような圧縮された有機材料を含むであろう。そのような場合、発根基材構成要素は2〜3mmの適切な倍数である深さを有し、2層の圧縮された有機材料(すなわち2つの発根基材構成要素)を含む複合発根基材又は積層発根基材は、4〜6mmの深さを有するであろう。3層の圧縮された有機材料(すなわち3つの発根基材構成要素)を含む複合発根基材又は積層発根基材は、6〜9mmの深さを有するであろう。より多重に発根基材構成要素を含む複合発根基材又は積層発根基材は、それに応じて深さが増加するであろう。
様々な種類の発根基材構成要素が組み合わされた複合(又は積層)発根基材においては、全体の深さは用いる個々の構成要素の合計になるであろう。しかし、そのような複合発根基材は、通常0.4cmの最小深さ及び3cmの最大深さを有するであろう。
当業者であれば、提示されている深さは、製造されたままの発根基材/発根基材構成要素に、及び/又は、これが後述する苗マットに組み込まれた直後に、適用されることを理解するであろう。使用時の組み立てられた苗マットにおいては、すなわち、水がかけられた場合には、及び/又は、種子が発芽している/発芽した場合、及び苗が成長している場合には、そのようなプロセスによって、いくつかの実施形態においては、上で提示されている数字を超える深さになる場合がある(例えば発根基材が本明細書に記載の自立層へと圧縮されている有機材料を含む実施形態において)。あるいは、これによって、上で提示されているよりも小さな数字へと深さが縮む/つぶれる場合がある(例えば発根基材が本明細書に記載の紙及びその誘導体を含む実施形態において)。
発根基材は、片面(本考案の組み立てられた苗マットの使用時における発根基材の最上面に相当)が種子接着剤で被覆される。種子接着剤は、種子を固定することによって、マット輸送の実用性を向上させる。
好適な種子接着剤としては、水性接着剤、特には種子被覆構成要素で用いられる接着剤に関連して以降で述べられる水性接着剤、及びホットメルト接着剤が挙げられる。種子接着剤としてはホットメルト接着剤を使用することが好ましい。
ホットメルト接着剤とは、100℃を超える温度において溶融形態で塗布され、冷却されると固化する、熱可塑性の接着剤を意味する。好ましくは、ホットメルト接着剤の使用温度は150℃〜200℃(上下限含む)、より好ましくは155℃〜190℃(上下限含む)、より好ましくは160℃〜185℃(上下限含む)、最も好ましくは160℃〜175℃(上下限含む)の範囲であろう。本考案での使用に好適なホットメルト接着剤の例としては、エチレン−ビニルアセテート系接着剤、エチレン−アセテート系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、ポリアミド及びポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、スチレンブロックコポリマー接着剤(スチレンコポリマー接着剤及びゴム系接着剤としても知られる)が挙げられる。感圧性接着剤であるホットメルト接着剤は、種子がない苗マットの構成要素部分の製造をし易くすることから、これは本考案で特に有用である。例えば、発根基材は、そのような接着剤で片面が被覆されていてもよく、これは固化した場合でもある程度の粘着性を維持し、圧力がかけられるまで接着しない。これは、種子をその後、種子に生じ得る熱損傷を最小限にする温度、更には回避する温度、例えば室温に接着剤がある時に播くことができるため、特に有利である。
スチレンコポリマー及びゴム系ホットメルト接着剤は、そのような感圧性を示すことから特に好ましい。例としては、75℃〜90℃の範囲の軟化点と、160℃〜175℃の使用温度と、160℃で14〜20ポアズ及び175℃で9〜14ポアズである典型的な粘度を有する、H1125/6TM、H1155TM(Sealock)などの熱可塑性ゴム、樹脂、及び可塑剤のブレンド物;88℃〜98℃の範囲の軟化点と、160℃〜170℃の使用温度と、170℃で6500±1700cPsの粘度とを有する、D74TM(Powerbond Adhesives Ltd)などのスチレン系ブロックコポリマーと合成樹脂のブレンド物;が挙げられる。したがって、ある実施形態においては、使用されるホットメルト接着剤は、75℃〜90℃の範囲の軟化点と、160℃〜175℃の使用温度と、160℃で14〜20ポアズ及び175℃で9〜14ポアズである典型的な粘度を有する、熱可塑性ゴム、樹脂、及び可塑剤のブレンド物であり、別の実施形態においては、ホットメルト接着剤は、88℃〜98℃の範囲の軟化点と、160℃〜170℃の使用温度と、170℃で48〜82ポアズの粘度とを有する、スチレン系ブロックコポリマーと合成樹脂のブレンド物であろう。
ホットメルト接着剤、特には感圧性ホットメルト接着剤の使用によって、本明細書に記載の構成要素の形態の、本明細書に記載の発根基材の製造が容易になる。構成要素の形態で製造される場合(本考案の苗マットに組み込まれる場合と対比して)、接着剤で被覆された発根基材には、梱包、貯蔵、及び/又は輸送をし易くするための分離層が追加的に含まれていてもよい。そのような分離層は、完全な苗マットへ使用される/組み込まれる前に取り除かれる。好適な分離層としては、シリコン紙、パラフィン紙、ライスペーパー、ジャガイモデンプン紙、及びPVOHフィルムが挙げられる。
本考案の苗マットにおいては、種子は発根基材の上面に播かれ、種子接着剤によってそこに接着される。そのような種子は好ましくは未発芽である。ある実施形態においては、そのような種子はイネ種子である。任意の好適な近交系又は雑種のイネ品種由来の種子を使用することができる(例えばIR64、NK3325、Koshihikari、TR−10、及びADT−34)。種子は、マットの中に組み込まれる前に、例えば殺虫剤、殺菌剤、除草剤、殺線虫剤、軟体動物駆除剤、毒性緩和剤、植物成長調整剤、微量栄養素、多量栄養素、及び/又は肥料などで前処理されてもよい。ある実施形態においては、種子はチアメトキサム(Cruiser(登録商標)、Syngenta)で前処理される。好ましくは、約58cm×28cmの寸法のマットのために、約100〜150gの種子が使用される。好都合には、近交系の種子に関してはそのようなマットのために約150gが使用され、交雑種の種子に関してはそのようなマットのために約100gが使用される。したがって、(イネ)種子の密度は、好都合には1〜20個の種子/cm2(上下限含む)、好ましくは1〜15個の種子/cm2(上下限含む)、より好ましくは1〜10個の種子/cm2(上下限含む)の範囲である。当業者であれば、種子の密度は任意の品種の千粒重に依存することを理解するであろう。例えばIR64種のイネ種子に関しては、好ましい播種密度は1〜5個の種子/cm2(上下限含む)の範囲であり、NK3325種のイネ種子に関しては、好ましい播種密度は1〜7個の種子/cm2(上下限含む)の範囲であろう。
本考案の組み立てられた苗マットにおいては、播種された発根基材には、圧縮された種子被覆基材が被せられる。この構成要素は、着実な苗の発芽及び成長を促進し、潜在的には水分及び養分も供給しながらも、様々な環境因子(例えば環境放射、温度、鳥、及び昆虫)から種を保護するのに役立つマルチマットとして機能する。圧縮され、予備乾燥された形態での種子被覆構成要素の製造によって、マットが組み立て易くなり、組み立てられた先行技術のマット中の高い含水量によって生じる望ましくない種子の発芽の開始が最小限にされ、またこれはそのような種子被覆構成要素が組み込まれたマットの中で生育される種子/苗の成長に対する予想外の有益な効果を有する。
本考案における使用のための種子被覆構成要素は、自立性であり、自立層へと圧縮された有機材料を含み、前記有機材料はコイア、もみ殻、グァーガム、及び/又はバガスを含む(好ましくはこれらからなる)。
種子被覆構成要素の目的は上に記載されており、それらの目的を達成するためには、そして苗マットでの使用に好適であるようにするためには、苗マットでの使用時に、これを通り抜けて苗が成長できるようにされなければならない。上述したように、種子被覆構成要素はコイア、もみ殻、グァーガム、及び/又はバガスを含む有機材料を含む。これは、好ましくはこれが土、木材パルプ、わら、及び/又は綿を含まないという点で、先行技術で使用される材料と更に区別される。
コイアは篩分けされて標準的な粒径(例えば≦2.8mm)にされていてもよく、及び/又は、予め洗浄されていてもよく、pH調整されていてもよく(例えばpH6.0に)、また使用前に乾燥されていてもよい。もみ殻及びバガスは、製粉(粉砕)されていてもよいし、未製粉(未粉砕)であってもよい。
好ましくは、種子被覆構成要素は、コイア、コイア及びグァーガム、コイア及びバガス、又はコイア及びもみ殻を含む。
種子被覆構成要素がコイア及びグァーガムを含む場合、コイア対乾燥グァーガムの好ましい重量比は、10:1である。
種子被覆構成要素がコイア及びバガスを含む場合、これは約1:1〜9:1の、任意の重量比のコイア対バガスであってもよい。好ましい重量比(コイア対バガス)には、1:1、3:2、7:3、4:1、及び9:1が含まれる。特に好ましくは3:2である。粉砕されたバガスの使用も特に好ましい。
種子被覆構成要素がコイア及びもみ殻を含む場合、コイア対もみ殻の好ましい重量比は、約10:1〜約1:1、好ましくは約5:1〜約1:1、より好ましくは約4:1〜約2:1の範囲である。ある実施形態においては、重量比は2/3:1/3の範囲のコイア:もみ殻であろう。
任意選択的には、種子被覆構成要素の有機材料は、圧縮の前に接着剤で一体化されていてもよい。種子被覆構成要素の作製で使用するための好適な接着剤としては、例えばVAE(ビニルアセテートエチレン)、ポリビニルアセテート(PVA)、ポリビニルアルコール(PVOH)、及びアクリル系接着剤などの水性接着剤が挙げられる。例えばE3443CTM(Sealock)などのPVOH接着剤、及び例えばE1215CTM(これもSealock)などのVAE接着剤が好ましく、PVOHが特に好ましい。
コイア、コイア及びバガス、又はコイア及びもみ殻を含む種子被覆構成要素の中にこのような接着剤が含まれることが特に好ましい。そのような実施形態においては、有機材料対接着剤の重量比は約5:1〜5:2の範囲である。好都合には、比率は約4:1〜約3:1である。
任意選択的には、有機材料は、植物保護用の化学的、農業化学的、生物化学的な処理剤及び/又は栄養剤(除草剤、殺虫剤、殺菌剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤、毒性緩和剤、植物成長調整剤、微量栄養素、多量栄養素、及び/又は肥料等)から選択される1種以上の追加的な薬剤と組み合わされていてもよい。特には、有機材料は肥料と組み合わされてもよい。
有機材料は、任意選択的には本明細書で述べた接着剤及び/又は追加的な薬剤と混合され、その後に任意の適切なプレス機を用いて100〜250kgf/cm2で、好ましくは120〜220kgf/cm2の範囲の圧力で、圧縮される。接着剤が組み込まれる場合、種子被覆構成要素は、貯蔵/梱包/輸送の前に、及び/又は、本明細書に記載の苗マットの中での後の使用の前に、乾燥されてもよい。梱包、貯蔵、及び/輸送をし易くするために、種子被覆構成要素に分離層が被せられてもよい。好適な分離層としては、例えばシリコン紙、パラフィン紙、ライスペーパー、ジャガイモデンプン紙、及びPVOHフィルムでできたものが挙げられる。
種子被覆構成要素は、苗マット中での後の使用に適切な任意の寸法であってもよいが、好ましくは正方形又は長方形である。好都合には、種子被覆構成要素の幅は20〜50cm、好ましくは約25〜40cm、より好ましくは約25〜30cm(上下限含む)の範囲であり、種子被覆構成要素の長さは20〜100cm、好ましくは約20〜75cm、より好ましくは約25〜60cm(上下限含む)の範囲である。種子被覆構成要素は、より大きい長さ及び/又は幅(例えば上述の長さの数倍程度)長さで製造され、最初にそのままの形態で貯蔵、及び/又は輸送のために使用され、その後、苗マット中でこれらが使用され易いように小さいサイズに切断されてもよい。好ましくは、種子構成要素の幅は約25〜30cmであり、マットの長さは約25〜30cm又は55〜60cmのいずれかである。ある実施形態においては、種子被覆構成要素の表面積は約27cm×28cm又は約28cm×58cmである。
種子被覆構成要素の深さは、10mm未満、好ましくは5mm未満、より好ましくは3mm未満である。ある実施形態においては、種子被覆構成要素の深さは、2〜3mmの範囲である。当業者であれば、提示されている深さは、製造されたままの種子被覆構成要素に、及び/又は、これが後述する苗マットの中に組み込まれた直後に、適用されることを理解するであろう。使用時の組み立てられた苗マットにおいては、すなわち、水がかけられた場合には、及び/又は、種子が発芽している/発芽した場合、及び苗が成長している場合には、そのようなプロセスによって、上で提示されている数字を超える深さになる場合がある。
適切な/望ましい場合には、マットは本明細書に記載の種子被覆構成要素をその下の層に貼り付けるための種子被覆接着剤を含んでいてもよい。好適な種子被覆接着剤としては、上述した水性接着剤が挙げられる。これは、種の上に塗布される。代替の実施形態では、種子被覆構成要素を保持するためには物理的な力だけの方が都合がよい場合がある。また代替の実施形態では、種子接着剤が種子被覆接着剤としても機能する場合がある。
本明細書に記載の種子被覆構成要素は、その後播種された発根基材の上に載せられる。
好ましくは、マットは防根構造体を更に含んでいてもよく、その中に、又はその上に、発根基材が収容され、防根構造体は、発根基材の外縁を越えて横方向及び/又は下方向に苗が成長するのを妨げるように構成される。防根構造体は、マット構造を支え、マットの取り扱いを容易にする必要がある。防根構造体は、発根基材の側面領域及び/又は基部領域の周囲に配置されていてもよい。この方式においては、苗の根が苗床の土の中に入り込んで成長しないように、及び/又は隣接するマットの苗の根と絡まないようにされる。ある実施形態においては、防根構造体は全ての側面の周囲に延在し、発根基材の底面を包囲する。
好ましくは、防根構造体は、発根基材、マルチカバー及び/又はトップカバー(後述)を支持及び拘束する助けとなる構造的な剛性を有する。この方式においては、例えばマルチカバー及び/又はトップカバーが落ちるのが防がれることにより、現場で及び輸送時の両方でマットが取り扱い易くなる。
防根構造体は、例えば密着の仕方及び防根構造体がどのくらい簡単に分離され得るかに応じて、他のマットの構成要素と別個とみなされてもよいし、一体にみなされてもよい。例えば、製造時/製造後に、苗マットは、例えばプラスチックトレーの中に形成/配置されてもよい。プラスチックトレーは、苗床での成長時に防根構造体として機能することができ、また取り扱い性を向上させ得る。マットは、その後、引き続いて行われる移植のためにプラスチックトレーから簡単に取り出すことができる。
防根構造体は、隣接する発根基材に面した複数の溝を備えていてもよい。これに関し、溝は、根の特定の方向への成長を促すことができる。例えば、防根構造体は、その底面領域の上面全体に延びた複数の略平行な溝を備えていてもよい。この方式においては、その後に苗がマットから機械的に引き抜かれて田畑に移植される際の苗の損傷を減らすことができる。溝は、例えば長方形のマットの短い方の縁などの、マットの縁に対して略平行に延びていてもよい。溝は、好都合には、防根構造体の中に一体化されたものとして見出すことができる。
ある実施形態においては、防根構造体は、底面領域と立ち上がった側壁とを有するトレーであり、トレーは好ましくはプラスチック材料又は(構造物的な)段ボールから形成される。
段ボールは一定の柔軟性を付与し、これはマットが自動化された移植装置と共に用いられる際に助けとなり得る。更に、苗の成長期間の後、段ボールが劣化することで、移植のために後にマットを巻いたり扱ったりすることが一層容易になる。したがって、段ボールは比較的薄いことが好都合である。防根構造体は、貯蔵時のマットの湿度の変化を軽減するようにも機能してもよい。
任意選択的には、苗マットは種子被覆構成要素を覆うトップカバーを更に含む。この方式においては、種子被覆構成要素を、例えば害虫から、偶発的な水分から、そして全般的には組み立てられたマットが取り扱われる際等に、保護することができる。ある実施形態においては、トップカバーは水溶性である及び/又は穴が開けられている。トップカバーは、ライスペーパー、ジャガイモデンプン紙、ポリビニルアルコール(PVOH)フィルム、又は接着剤フィルムなどの、紙又は(高分子)フィルムを含んでいてもよい。液体の化学コーティングも使用することができる。水性接着剤(PVOH接着剤等)、及びマットの他の場所で使用され得るものも(上述した通り)、トップカバーの中で/トップカバーとして使用することができる。
トップカバーのPVOHフィルムは10〜300ミクロンの厚さ(上下限含む)であることが好都合である。好ましくは、厚さは約30ミクロン〜45ミクロン(上下限含む)の範囲にあるであろう。
トップカバー接着剤が、種子被覆構成要素とトップカバーとの間で使用されてもよい。トップカバー接着剤は、必要に応じて/適切であれば、種子接着剤及び/又はマルチ接着剤と同じであっても異なっていてもよい。好適なトップカバー接着剤としては、上述したような水性接着剤が挙げられる。
接着剤(例えばPVOH接着剤などの水性接着剤等)をトップカバーとして使用することもできるであろう。
マットは、苗床での種子の成長及びその後の田畑への移植に適切な任意の寸法であってもよいが、好ましくは長方形である。好都合には、マットの幅は20〜50cmの範囲、好ましくは約25〜40cm、より好ましくは25〜30cmの範囲である(上下限含む)。また、マットの長さは50〜100cm、好ましくは約50〜75cm、より好ましくは約55〜60cmの範囲である(上下限含む)。この方式では、マットを移植するための機械的な移植機を使用し易くすることができる。また、マットは、より大きい長さ(例えば上述の長さの数倍程度)で製造され、最初にそのままの形態で貯蔵、輸送、及び/又は苗床環境での苗の初期成長のために使用され、その後、移植し易いように小さい長さに切断されてもよい。好ましくは、マットの幅は約25〜30cmであり、マットの長さは約55〜60cmである。具体的な実施形態においては、マットの表面積は約28cm×58cmである。
好都合には、1つ以上の苗マット構成要素(発根基材、防根構造体、接着剤、種子、種子被覆構成要素、及び/又はトップカバーを含む)は、1種以上の植物保護用の化学的、農業化学的、生物化学的な処理剤及び/又は栄養剤(除草剤、殺虫剤、殺菌剤、軟体動物駆除剤、殺線虫剤、毒性緩和剤、植物成長調整剤、微量栄養素、多量栄養素、及び/又は肥料等)で前処理されていてもよいし、またこれらを含んでいてもよい。
本考案の苗マットの実施形態を作製するためには、発根基材構成要素は必要とされる大きさに切断(必要に応じて)される。一体化された防根構造体が使用されない場合には、基材は例えばプラスチックトレーなどの中に入れられてもよい。あるいは、防根は使用されない。その後、種子接着剤が発根基材に塗布され(例えばスプレーにより)、前処理された(イネ)種子が基材上に播かれる。任意選択的には、種子被覆接着剤が、種子の上/全体にスプレーされる。その後、種子被覆構成要素が種子の上全体に取り付けられる。その後、種子被覆構成要素の上面にトップカバー接着剤がスプレーされてもよく、必要に応じてトップカバーが取り付けられる。その後、マットは貯蔵又は使用の前に乾燥されたままにされる。
かくして、別の態様においては、本考案は、本明細書に規定される苗マットの作製方法であって、
(a)種根の成長を補助すると共に自立性である略平面状の発根基材の片面を、種子接着剤で被覆する工程であって、発根基材は、(i)紙及びその誘導体、(ii)セルロース繊維、並びに(iii)コイア、もみ殻、グァーガム、木材を主体とする材料、及び/又はバガスから選択される有機材料であって自立層へと圧縮されたものである有機材料、からなる群から選択される材料を含み、種子接着剤はホットメルト接着剤である工程;
(b)発根基材構成要素の接着剤で被覆された表面の上に種を播く工程;
(c)種子被覆構成要素を播かれた種の上全体に取り付ける工程であって、種子被覆構成要素は自立性であり、自立層へと圧縮された有機材料を含み、有機材料はコイア、もみ殻、グァーガム、及び/又はバガスを含む工程
を含む作製方法を提供する。
組み立てられた後、乾燥されたマットは貯蔵することができ、又は苗床/温室中での(イネ)苗の成長のためにもっと早く使用することができる。苗立ちした苗を有するマットは、引き続き、田畑(水田)に移植することができる。苗の移植のために通常は市販の機械が使用され、その工程ではマットの小さな「塊」も移植されることになる。そのため、当業者であれば、本考案の発根基材/発根基材構成要素/苗マットが、移植機を通り抜けられることと、苗を効率よく移植できることがこれらの重要な特徴であることを理解するであろう。
図面の簡単な説明
図1は、基本的な苗マット構造の側面からの断面斜視図を概略的に示している。
図面は、略平面状の、直線的な苗マット(10)を示している。マットには、本明細書に記載の、厚さが0.3〜3cm、好ましくは0.3〜2.0cmであり略平面状である発根基材(06)が含まれる。発根基材(06)は、防根トレー(07)の中に収容されている。このトレーは、平らな底面部と、立ちあがった側壁とを有する。防根トレーの側壁は、発根基材(06)を取り囲んでいる。イネ種子(05)は、発根基材の上面全体に播かれる。発根基材(06)の上面にある、ホットメルト接着剤である種子接着剤(04)は、種子(05)を発根基材に固定する。種子の上には種子被覆構成要素(02)が存在し、これは、この実施形態においては種子接着剤(04)及び/又は物理的な力によって下の構成要素と接着されている。この種子被覆構成要素(02)の上は、ライスペーパーの保護用トップカバー(01)(任意)である。
図2は、略平面状の直線的な発根基材(09)の2つの実施形態A及びBの、側面からの断面斜視図を概略的に表している。
実施形態Aの発根基材構成要素(09)は、(i)紙及びその誘導体、(ii)セルロース繊維、並びに(iii)コイア、もみ殻、グァーガム、木材を主体とする材料、及び/又はバガスから選択される有機材料であって自立層へと圧縮されたものである有機材料、から形成されている略平面状の発根基材(06)を含む。発根基材(06)の片面を覆っているのはホットメルト接着剤(04)の層であり、これは種子接着剤として機能する(パートB又は実施例2も参照)。むき出しのホットメルト接着剤(04)表面の上には、シリコン紙の分離層(08)が存在する。
実施形態Bの発根基材構成要素(09)は、(i)紙及びその誘導体、(ii)セルロース繊維、並びに(iii)コイア、もみ殻、グァーガム、木材を主体とする材料、及び/又はバガスから選択される有機材料であって自立層へと圧縮されたものである有機材料、から形成されている略平面状の発根基材(06)を含む。発根基材(06)の片面を覆っているのはホットメルト接着剤(04)の層であり、これは種子(05)を発根基材に固定する種子接着剤として機能する。むき出しのホットメルト接着剤(04)及び種子(05)の表面の上には、シリコン紙の分離層(08)が存在する。
図3は、本考案での使用のための、3つのタイプの波形紙/紙誘導体の構造体を概略的に表している(3a、3b、及び3c)。
3aには、片面が波形の紙の構造体が側面からの断面斜視図で示されている。紙/紙誘導体のフルート(21)が紙/紙誘導体の実質的に平面状のシート(22)と接着されることで、波によって形成される1組の溝(231)が紙/紙誘導体の平面状のシートによって封入されている。フルートの波によって形成される第2の組の溝(232)は開放されている。
当業者であれば、このような構造体が、例えば発根基材/組み立てられた苗マットの水保持特性を向上させる材料で第2の組の溝を充填する/部分的に充填することが望ましい実施形態に適していることを理解するであろう。そのような実施形態においては、別の紙のシートを重ねることができ、任意選択的にはむき出しのフルート(21)に接着することで、第2の組の溝(232)を封入して一重壁型を形成することができる(図3bに図示のとおり)。
3bには、一重壁の波形紙の構造体が側面からの断面斜視図で示されている。一重壁構造体においては、フルート(21)は、2枚の紙/紙誘導体の略平面状のシート(22、24)と接着されることで、波によって形成される両方の組の溝(231、232)が封入され、1つの組の溝は紙/紙誘導体の各シートによって封入される(231は22によって、232は24によって)。
3cには、二重壁の波形紙の構造体が側面からの断面斜視図で示されている。二重壁構造体においては、第2のフルート(26)が一重壁構造体(25)の平面状の表面の片面の上に接着される。そして、別の平面状の紙のシート(27)が第2のフルート(26)のむき出しの表面に接着される。
実施例1:種子被覆構成要素の作製
種子被覆構成要素は、下の表2に定義されている組成で作成した。PVOH E3433TM接着剤は、Sealock(Scott Close,Walworth Industrial Estate,Andover,Hampshire,SP10 5NU,UK)から入手した。
寸法約27cm×28cmの構成要素のための種子被覆構成要素の組成
コイアは予め洗浄され、pH 6.0にpH調整され、乾燥され、≦2.8mmの粒径に篩分けされた。バガスは、粉砕されている場合には、180-1200μMの粒径になるように粉砕された。もみ殻は粉砕された(Robot Coupe 据置型カッター、R20型を使用して2分間)。
Figure 0003213813
成分を混合し、アップルプレス機を用いて数分間、約120kgf/cm2で圧縮した。圧縮された種子被覆構成要素をプレス機から取り出し、その後に苗マットに組み込む前に、室温で終夜乾燥させた。
乾燥された種子被覆構成要素は、下の表3に記載されているような特性を有していた。
乾燥させた種子被覆構成要素の特性
Figure 0003213813
追加的な種子被覆構成要素を、様々な比率のコイア:バガスで作製した(処理1: 3:2、処理2: 7:3、処理4: 4:1、処理5: 9:1)。各処理について、種子被覆構成要素は、上の1.1に記載されている方法に従って、50gの有機物質+16gのPVOH E3433TM接着剤を使用して作製した。
1.2 上の1.1に記載した種子被覆構成要素は、適切に作製されて播種されたミネラルウール製の発根基材の上に重ねることによって完全に形成された苗マットの中に組み込まれた場合に、全て上手く機能することを我々の手で既に示している。これは、本考案の苗マット中での使用のためのこれらの適用可能性を示している。
実施例2 発根基材構成要素の作製
2.1 紙を主体とする発根基材構成要素
発根基材構成要素に2つ以上の層が用いられる(あるいは複合発根基材に2つ以上の発根基材構成要素が用いられる)これらの実施例全体を通して、これらの層の相対的な位置は、使用時の本考案の苗マットの中にある際のそれらの相対的な位置に関して述べられる。複合(又は積層)発根基材においては構成要素が番号付けされる場合があり、その場合、構成要素1が組み立てられた苗マットの一番下の構成要素を表し、以降の構成要素の番号は構成要素が種を有するものに近づく順序で増加する。
発根基材構成要素の作製のために、次の紙/紙誘導体を使用した。
(i)青色エアレイド紙(リネンエンボス加工したバージンパルプ繊維からなるエアレイド生地)
(ii)褐色マルチ紙
(iii)Pate melangeパルプ板
(iv)Pate feuillusパルプ板
(v)Resineauxパルプ板
(vi)Eucalyptus Kraft BAHIAパルプ板
(vii)Panasoftパルプ板(漂白軟材クラフトパルプ板)
(viii)二重壁波形積層ボール紙39CB
(ix)Green DRC(ダブルリクレープ)紙
(x)White DRC紙
(xi)一重壁波形厚紙、フルートタイプC、リサイクル紙90gsmから作製
(xii)二重壁波形厚紙、1つはフルートタイプC、1つはフルートタイプB
(xiii)一重壁波形紙、フルートタイプB
(xiv)バージンパルプ紙100gsm
一重壁波形構造物に関しては、いくつかの実施例においては、平面状の紙のうちの1枚を取り除くことで、発根基材構成要素中で使用するための片面が波形の紙/厚紙を得た。
これらは様々な発根基材構成要素に組み込まれた。これらのうちのいくつかは例示のために以降で詳細に記載されており、残りは下の実施例4の表5にまとめられている。
いくつかの実施例では、紙/紙誘導体に穴が開けられ、他の実施例ではこれらは部分的に細かく刻まれた。すなわち、複数のスリットが設けられた(前述した通り)。紙/紙誘導体が「穴なし」として言及されている場合、これは穴が開けられておらず、また刻まれていない。
2.1.1 単一の種類の紙から作製される3層発根基材構成要素
3層の紙を主体とする発根基材構成要素を、褐色マルチ紙から作製した。2枚の褐色マルチ紙に、紙を貫通する直径約2.5cmの穴をパンチで開けた。これらのシートは、発根基材の上側の層と中間の層を形成するために使用した。これらのシートのうちの1枚を、波(すなわち複数の溝)が形成されるように成形し、これを発根基材構成要素の中間層を形成するために使用した。平らな褐色マルチ紙の3枚目のシート(穴なし)は、発根基材構成要素の下側の層として使用した。
3枚のシートを、ホットメルト接着剤(Sealock H1125/26TM)を用いて互いに積層することで、サンドイッチ状の構造を有する発根基材を得た。この中で、最下層は穴が開けられていない褐色マルチ紙の平らなシートから形成し、中間層は波形の穴が開けられた褐色マルチ紙から形成し、最上層は穴が開けられた褐色マルチ紙の平らなシートから形成した。組み立てられた発根基材構成要素は望ましい大きさに切断した(約28×58cm)。
2.1.2 異なる種類の紙から作製される3層発根基材構成要素
(i)3層の紙を主体とする発根基材構成要素を、褐色マルチ紙(上の2.1.1で使用)と、ポリマー含浸紙(Softcare HAP 10〜15% SAP100gsm)から作製した。最下層と中間層は褐色マルチ紙から形成し、最上層はポリマー含浸紙から形成した。
1枚の褐色マルチ紙に、紙を貫通する直径約2.5cmの穴をパンチで開け、次いでこれを波が形成されるように(すなわち複数の溝を含むフルートが形成されるように)成形した。これは発根基材構成要素の中間層を形成するために使用した。平らな褐色マルチ紙の2枚目のシート(穴なし)は、発根基材構成要素の下側の層として使用した。ポリマー含浸紙の平らなシートは最上層として使用した。
3枚のシートを、ホットメルト接着剤(Sealock H1125/26TM)を用いて互いに積層することで、サンドイッチ状の構造を有する発根基材を得た。この中で、最下層(1)は穴が開けられていない褐色マルチ紙の平らなシートから形成し、中間層(2)は波形の穴が開けられた褐色マルチ紙から形成し、最上層はポリマー含浸紙の平らなシート(3)から形成した。組み立てられた発根基材構成要素は望ましい大きさに切断した(約28×58cm)。この発根基材構成要素は一重壁の波形紙構造体の例である。
(ii)3層の紙を主体とする発根基材構成要素を、褐色マルチ紙(上述)と、セル状/ハニカム型の紙と、白色ダブルリクレープ(DRC)紙とから作製した。最初の(iia)では、最下層(1)としては穴が開けられていない褐色マルチ紙の平らなシートを、最上層(3)としては白色DRC紙の平らなシートを用いた。これらの間に挟まれたのはセル状の構造体の層(2)であった。この中で、セルの壁は上側の層及び下側の層と垂直に延びている。3つ全ての層は、ホットメルト接着剤(Sealock H1125/26TM)を用いて互いに接着し、組み立てられた発根基材構成要素は望ましい大きさに切断した(約28×58cm)。
2番目の(iib)では、最下層(1)として穴が開けられていない褐色マルチ紙の平らなシートを使用し、これはセル状/ハニカム型の紙(2;(iia)に記載のとおり)の層に積層した(iiaに記載されているホットメルト接着剤を使用して)。その後、篩分けされ、洗浄され、pH調整されたコイア(上述のとおり)をセルに部分的に充填した(おおよそ半充填)。その後、白色DRC紙の層(3)をコイアが充填されたセル状の層の上面に積層することで(ホットメルト接着剤を使用して)、中間層の中のコイアを封入して発根基材構成要素の構造を仕上げた。組み立てられた発根基材構成要素は望ましい大きさに切断した(約28×58cm)。
各様々な層のために異なる紙/紙誘導体を用いて、類似した方法で様々な発根基材構成要素を作製した。別の実施例においては、ハニカム型/セル状の層を部分的に充填するために使用されたコイアを、バーミキュライト、パーライト Seed Aide(登録商標) CoverGrowTM Spray Mulching Granules(上述)に置き換えた。
2.2 セルロース繊維を主体とする発根基材構成要素
発根基材構成要素は、次の材料から、これらを切断してサイズ合わせ(57.5cm×27.5cm)することによって作製した。
(i)厚さ約4mmの不織木質繊維マット
(ii)厚さ約9mmの不織木質繊維マット
(iii)ユーカリ繊維由来の不織材料マット(Tencel Sure To Grow pads,The Sprout People,170 Mendell St.,San Francisco,CA94124)
(iv)不織再生繊維マット(Neaustima JSC,J. Basanaviciaus Street 103c,LT−76129 Siauliai,Lithuaniaより供給、80%セルロース繊維、20%ポリエステル、密度120gsm)
(v)不織ジュート繊維マット(Anglo Recycling,Tong Lane,Whitworth,Rochdale,Lancashire,OL12 8BG,United Kingdomから供給されるA8)
2.3 圧縮された有機材料から作製される発根基材構成要素
発根基材構成要素は、下の表4に定義されている組成で作製した。PVOH E3433TM接着剤は、Sealock(Scott Close,Walworth Industrial Estate,Andover,Hampshire,SP10 5NU,UK)から入手した。
寸法約57.5cm×27.5cmの発根基材構成要素の組成
コイアは予め洗浄され、pH 6.0にpH調整され、乾燥され、≦2.8mmの粒径に篩分けされた。バガスは、粉砕されている場合には、180-1200μMの粒径になるように粉砕された。もみ殻は粉砕された(Robot Coupe 据置型カッター、R20型を使用して2分間)。
Figure 0003213813
成分を混合し、約120kgf/cm2で数分間圧縮した。圧縮された種子被覆構成要素をプレス機から取り出し、その後に苗マットに組み込む前に、室温で終夜乾燥させた。
実施例3 苗マットの組み立て
上の実施例2に記載した発根基材構成要素/基材を、Sealock H1125/26TMホットメルト接着剤を用いて作製した。この接着剤は、ITW Dynatec DDS Delta FxTM Fiberized噴霧塗布器又はReka TR 60 LCD手持ち式噴霧器(Rheological Ltd.,Moor Mead Road,Twickenham,Middlesex,TW1 1JN,UK)のいずれかを使用して、及びいずれかの5g/m2のホットメルト接着剤塗布速度を得るために3barの圧力の旋回噴流ノズルを用いて、発根基材構成要素/複合発根基材の上面に塗布した。イネ種子(KoshihikariとIR−64のいずれか)を、発根基材の接着剤で被覆された表面上に、約4種子/cm2の密度(すなわち、おおよそ28cm×58cmの寸法のマットについては150gの種子、おおよそ25cm×27cmの寸法のマットについては63gの種子)で播いた。播種した発根基材構成要素の上面に上の実施例1に記載した種子被覆構成要素を重ねて、完全に組み立てられた苗マットを形成した。
実施例4 苗マットからの苗の成長
実施例2に記載した発根基材構成要素と、コイア及びもみ殻を67:33の重量比で含む実施例1に記載した種子被覆構成要素とを用いて、実施例3に記載したとおりに組み立てられた苗マットを、(i)温室条件、及び(ii)田んぼ/苗床条件でイネの苗の成長におけるこれらの有効性について試験した。下の表5に試験した苗マットがまとめられている。
4.1 温室での成長
全ての試験について、苗マットを温室に運び、次の条件に設定されている仕切られた部屋の中に置いた:日中温度28℃、夜間温度18℃、光周期14時間、相対湿度70%。上から水をかけることによって、また水の表面が発根基材の上面のすぐ下になるまでトレーを水道水に浸すことにもよって、全てのマットに直ちに給水した。20分後、トレーから水を抜いた。その後、この方法を使用して全てのマットに一日おきに給水した。
4.2 田んぼ/苗床での成長
製造後、マットを屋外の苗床に置いた。全てのマットに基肥500g/m3及びZnSO420g/m3を含む肥料を施すと共に、1リットル/トレーの量で上から水をかけた。肥料を施した後、単層の黒い網を全ての処理物の全体に被せ、これらを鳥から保護した。マットは2日目以降1日に2回、浸水させ、排水した。イネ植物の成長段階が3.2葉期に達した際に、マットを丸め、Kubota移植機(供給元:Kubota)を使用して前処理された(すなわち平らにされ代掻きされた)田んぼに移植した。
試験した苗マットの組成(代表例)。IR-64 イネ種子を各発根基材の上に接着し、67コイア:33もみ殻の比率でコイアともみ殻を含む種子被覆構成要素を重ねた。略語: BL = 最下層, ML = 中間層, TL = 最上層 (層は、本発明の苗マット中での使用時の発根基材の中に組み込まれた際の構成要素中のこれらの相対的な位置に関して述べられている); nf = 充填物なし; pf = 部分的に充填, c = コイア, v = バーミキュライト, p = パーライト, sap = Seed Aide(登録商標) CoverGrowTM Spray Mulching Granules; - = 成分なし。用語「刻まれた」は、紙/カードのシュレッダーを用いて媒体の中にスリットを設けることをいう。
Figure 0003213813
Figure 0003213813
Figure 0003213813
Figure 0003213813
Figure 0003213813
4.3 結果
4.3.1 苗の成長
全ての苗マットは、移植に適した健康なイネ苗の成長を助けることが示された。成長は7〜10日後に評価され、苗は3.0〜3.6(上下限含む)葉期に到達した。1マット当たりの平均の苗の高さは、少なくともある程度は成長段階及び評価のタイミングに関係して大きくばらついていたものの、全体として良好であった。各マット内の成長の均一性は少なくとも75%であり、各マットから成長した苗は一様に緑であった(少なくとも70%)。根は概して強く、白色であり、よく発達していた。
4.3.2 移植性
全体として、苗マットは良好な/許容可能な移植特性を示した。これらは取り扱い易く、移植機の中にうまく入れることができ、極めて一貫した株を与え、典型的には<12%の欠株であった。A8不織材料を含むもの(最大23%)と同様に、二重壁の刻まれた波形厚紙構造体を含むマットは全体的にわずかに高い欠株割合となった(最大20%)。
概して、穴が開けられている材料の最下層を含むマットは、底部に穴が開けられていない材料の層を含むものと比較して、わずかに低い欠株割合を与えた。

Claims (15)

  1. 種根の成長を補助すると共に自立性である略平面状の発根基材であって、前記発根基材の上面領域の中又は上に種子を固定するための種子接着剤で一つの面が被覆されている発根基材;
    前記種子を被覆しており、それを通り抜けて苗が成長することが可能な種子被覆構成要素;並びに、
    前記発根基材の上面領域の中又は上に分散しており前記種子接着剤によってそこに接着されている複数の種子
    を含む苗マットであって、
    前記種子被覆構成要素は自立性であり、自立層へと圧縮された有機材料を含んでおり、前記有機材料はコイア、もみ殻、グァーガム、及び/又はバガスを含み;
    前記発根基材は、(i)紙及びその誘導体、(ii)セルロース繊維、並びに(iii)コイア、もみ殻、グァーガム、木材を主体とする材料、及び/又はバガスから選択される有機材料であって自立層へと圧縮されたものである有機材料、からなる群から選択される材料を含む
    苗マット。
  2. 前記種子接着剤が感圧性のホットメルト接着剤である、請求項1に記載の苗マット。
  3. 前記感圧性のホットメルト接着剤が、88℃〜98℃の範囲の軟化点と、160℃〜170℃の使用温度と、170℃で6500±1700cPsの粘度とを有する、スチレン系ブロックコポリマーと合成樹脂とのブレンド物;75℃〜90℃の範囲の軟化点と、160℃〜175℃の使用温度と、160℃で14〜20ポアズ及び175℃で9〜14ポアズである典型的な粘度を有する、熱可塑性ゴム、樹脂、及び可塑剤のブレンド物;88℃〜98℃の範囲の軟化点と、160℃〜170℃の使用温度と、170℃で48〜82ポアズの粘度とを有する、スチレン系ブロックコポリマーと合成樹脂とのブレンド物からなる群から選択される、請求項2に記載の苗マット。
  4. 前記発根基材構成要素が、少なくとも1つの、任意選択的には穴が開けられた、紙又は紙誘導体の層を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の苗マット。
  5. 前記少なくとも1つの紙又は紙誘導体の層が多数のスリットを含む、請求項4に記載の苗マット。
  6. 前記少なくとも1つの紙又は紙誘導体の層が実質的に平面状である、請求項4に記載の苗マット。
  7. 前記少なくとも1つの紙又は紙誘導体の層が、折り畳まれているか、ひだを付けられているか、波形にされているか、又は、前記苗マットに組み込まれる前記発根基材構成要素の上面及び/又は下面の平面に面した複数の溝が設けられるように成形されている、請求項4に記載の苗マット。
  8. 前記複数の溝に、コイア、バーミキュライト、パーライト、又は水保持性ペレットが少なくとも部分的に充填されている、請求項7に記載の苗マット。
  9. 前記少なくとも1つの紙又は紙誘導体の層が、複数のセルを含むセル状構造に成形されており、前記セルの壁は前記苗マットの中での使用時の前記発根基材構成要素の上面及び下面と垂直に延びている、請求項4に記載の苗マット。
  10. 前記複数の溝又は複数のセルに、コイア、バーミキュライト、パーライト、又は水保持性ペレットが少なくとも部分的に充填されている、請求項8に記載の苗マット。
  11. 前記発根基材が少なくとも1つのセルロース繊維材料の層を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の苗マット。
  12. 前記セルロース繊維材料が不織布である、請求項11に記載の苗マット。
  13. 前記種子被覆構成要素をその下の層に貼り付けるための種子被覆接着剤を更に含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の苗マット。
  14. 前記種子接着剤が前記種子被覆接着剤として機能する、請求項13に記載の苗マット。
  15. 任意選択的に水溶性であってもよい及び/又は穴が開けられていてもよいトップカバーを更に含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の苗マット。
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