JP3213165U - 非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】扇形形状のダクトとフィン構造物の相互作用を通じて船尾流場の流れを改善して船舶のエネルギーを節減する装置を提供する。【解決手段】プロペラの前方に位置し、ダクト、第1〜第3のフィン構造物を含む非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置であって、ダクト10は扇形形状にプロペラ軸の中心線の上部に位置し、中心線を基準として右舷方向に非対称に設置され、第1のフィン構造物21はプロペラ軸の中心線からダクトの方向に伸長してダクトの左側終端に連結されるように設置され、第2のフィン構造物22はプロペラ軸の中心線からダクトの方向に伸長してダクトの右側終端に連結されるように設置され、第3のフィン構造物23はプロペラ軸の中心線からダクトの反対方向に伸長して第1のフィン構造物と第2のフィン構造物との間に位置するように設置される。【選択図】図1

Description

本考案は、非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置に関する。
最近、持続的な国際原油価格の上昇による船舶運航コストの急上昇に従ってエネルギー節減のための新概念船舶の開発が要求されている。一方、地球温暖化による国際的な環境規制の動向に従って国際海事機構(IMO)では船舶に対する二酸化炭素設計指標(ship design CO2 emission index)を定めて強制規定の発効を推進している。この場合、特に船舶のエネルギー節減技術は、このような設計指標値に直接に影響を及ぼすことができる。これに関連した従来技術によると、船型最適化を通じる推進性能向上技術はほぼ臨界値に到達する状況であり、船舶のエネルギー節減のための多様な付加物装置が開発されている。しかしながら、これらは、船舶付着費用対比効率性が低下するだけでなく、新たな船型にのみ適用が可能であり、既存の船型には適用できないという限界があった。
したがって、船舶付着費用対比効率性が高く、新たな船型だけでなく既存の船型にも適用できる新概念のエネルギー節減装置の開発が切実に要求されている。
したがって、上記した従来記述の問題点を解決するために、本考案の目的は、扇形形状のダクトとフィン構造物の相互作用を通じて船尾流場の流れを改善して船舶のエネルギーを節減する装置を提供することにある。
上記のような目的を達成するために、本考案の一態様によれば、半径がRであるプロペラの前方に位置し、ダクト、第1のフィン構造物、第2のフィン構造物、及び第3のフィン構造物を含む非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置が提供される。上記装置では、ダクトは、扇形形状にプロペラ軸の中心線の上部に位置し、中心線を基準として右舷方向に非対称となるように設置され、第1のフィン構造物は、プロペラ軸の中心線からダクトの方向に伸長してダクトの左側終端に連結されるように設置され、第2のフィン構造物は、プロペラ軸の中心線からダクトの方向に伸長してダクトの右側終端に連結されるように設置され、第3のフィン構造物は、プロペラ軸の中心線からダクトの反対方向に伸長して第1のフィン構造物と第2のフィン構造物との間に位置するように設置されることを特徴とする。
本考案は、扇形形状のダクトとフィン構造物の相互作用を通じて船舶のエネルギーを低減することができる。より具体的には、ダクトの作用で船尾流場の流れを整流及び加速化することによって、船体抵抗性能を改善し、フィン構造物の作用でプロペラに流入される伴流変化を通じてプロペラ推進性能を改善し、さらに予め回転流を生成してプロペラの効率を改善することができる。
本考案が船尾に設置された様子を示す図である。 本考案によるダクトの望ましい設置形態を示す図である。 本考案によるフィン構造物の望ましい設置形態を示す図である。 本考案の実施形態により、CFD技法を使用してダクトとフィン構造物の最適形状の値を導出する例を示す図である。 図4に示したCFD技法が適用される対象船型を示す図である。 本考案の実施形態により、本考案の設置前後自航(self-propulsion)状態の馬力低減効果を比較した表(CFDシミュレーション結果)を示す図である。 本考案の実施形態において、本考案の設置前後プロペラ前方流場解析結果を示す図である。 本考案の実施形態により、模型試験のために製造された模型を示す図である。 図8に示した模型試験の結果を示す図である。 図8に示した模型試験の結果を示す図である。
以下、本考案の望ましい実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本考案が船尾に設置された様子を示す。図2は、本考案によるダクトの望ましい設置形態を示す。図3は、本考案によるフィン構造物の望ましい設置形態を示す。
本考案は、ダクト10とフィン構造物21,22,23をプロペラ30の前方に設置し、これらの相互作用を通じて船尾流場の流れを改善して船舶のエネルギーを低減するための装置である。
本考案では、船体の船尾形状とプロペラ面の伴流分布と船体表面の圧力分布を精密に検討し、これに基づいてダクト10とフィン構造物21,22,23の最適形状及び組み合わせを決定し、これについては、次に詳細に説明する。
まず、ダクト10に関して説明する。
ダクト10は、扇形形状にプロペラ軸の中心線の上部に設置される(図1及び図2を参照)。これは、通常に船体抵抗性能に重要な影響を及ぼすことが主に船尾上部に形成される流動であることを考慮したもので、ダクト10を通じて船尾の上部流動の流れを整流し加速させることによって、船体抵抗性能を大幅に改善できる。このような扇形形状のダクト10は、一般的な円形状のダクトに比べて重量や体積が小さい代わりにその効果は円形状のダクトに比べて大きく落ちなく、何よりも円形状のダクトに比べて付加抵抗を小さく発生させるので、船舶のエネルギー低減という観点から見れば、多くの部分で利点を有する。
ダクト10は、中心線を基準として右舷方向に非対称になるように設置される。これは、ダクト10の後方に位置したプロペラ30の回転方向が時計方向であることに鑑みて、ダクト10が船尾上部に形成される流動の中で右舷方向に流入される流動の流れを整流し加速させる効果を一層向上させるためのものである。
ダクト10は、翼型断面(hydrofoil section)を有し、この場合、翼型断面の前縁は船首方向に向かい、後縁は船尾方向に向かう。このようにダクト10が翼型断面を有し、これとともに流入流場に対する適した迎え角(angle of attack)を有する場合、付加物であるダクト10自体の抗力が最小化するだけでなくダクト10自体の付加的な推力までも期待できる。すなわち、船尾形状に従ってプロペラ30の回転面に流入される流動は、ダクト10の吸込面(suction side)に沿って加速化してプロペラ30に流入され、プロペラ30による半径方向の誘導速度(induced velocity)成分と相互作用するようになる。このとき、ダクト10の圧力面(pressure side)と吸込み面に作用する圧力との差により揚力が発生し、これは、追加的な推力として作用する。
ダクト10は、後端部の半径がプロペラ30の半径(R)対比0.7Rの大きさを有し(図3を参照)、断面の迎え角が12〜14度の大きさを有する。ダクト10のコード長は扇形形状の弧に沿って同一に維持されるか、変わることができる。ダクト10は、作業の便宜のために、プロペラ面から所定距離だけ離隔されるように装着する(図2を参照)。参考として、図2の実施形態では、ダクト10のコード長が扇形形状の弧に沿って変化する様子を確認することができる。
次に、フィン構造物21,22,23について説明する。
フィン構造物21,22,23は、より具体的に第1のフィン構造物21、第2のフィン構造物22、及び第3のフィン構造物23に区分される。第1のフィン構造物21は、プロペラ軸の中心線からダクト10の方向に伸長してダクト10の左側終端に連結されるように設置され、第2のフィン構造物22は、プロペラ軸の中心線からダクト10の方向に伸長してダクト10の右側終端に連結されるように設置され、第3のフィン構造物23は、プロペラ軸の中心線からダクト10の反対方向に伸長して第1のフィン構造物21と第2のフィン構造物22との間に位置するように設置される。
第1のフィン構造物21と第2のフィン構造物22は、優先的にダクト10を支持する役割をするが、工学的な観点において重要な点は、第1のフィン構造物21、第2のフィン構造物22、第3のフィン構造物23がすべて電流固定羽根の役割を果たすということである。したがって、これらの作用によって、プロペラ30に流入される伴流変化を通じてプロペラの推進性能を改善し、加えて予め回転流を発生させてプロペラ効率を向上することができる。すなわち、フィン構造物は、プロペラ30により誘導される回転方向誘導速度と反対方向の回転方向誘導速度を生成させることによって、プロペラ30の後方でプロペラ軸の回転方向の全体誘導速度を最小化してプロペラ30の後流の回転による運動エネルギーの損失を減少させて推進効率を向上させる。フィン構造物21,22,23は、ダクト10との相互作用を通じてその効果が一層増加する。
第1のフィン構造物21、第2のフィン構造物22、第3のフィン構造物23は、すべて翼型断面を有し、この場合、翼型断面の前縁は船首方向に向かい、後縁は船尾方向に向かう。このようにフィン構造物21,22,23が翼型断面を有するとともに流入流場に対する適切な迎え角を有する場合、付加物であるフィン構造物21,22,23は、それ自体の抗力を最小化できる。
第1のフィン構造物21、第2のフィン構造物22、第3のフィン構造物23は、10〜12度の断面の迎え角を有する。この迎え角の大きさは、各々のフィン構造物21,22,23ごとに相互に同一であるか、あるいは異なることがある。また、第1のフィン構造物21、第2のフィン構造物22、及び第3のフィン構造物23は、相互に同一であるか、あるいは異なるコード長を有し、同一の間隔、又は異なる間隔で設置される。
フィン構造物21,22,23の設置に関連して、図3は、第1のフィン構造物21、第2のフィン構造物22、第3のフィン構造物23の望ましい設置形態を示す。
本考案の望ましい実施形態によれば、第2のフィン構造物22は右舷に設置され、第1のフィン構造物21と第3のフィン構造物23は左舷に設置され、この場合、第2のフィン構造物22の迎え角と第1のフィン構造物21及び第3のフィン構造物23の迎え角は、相互に反対方向となる(図4の赤色表示部分を参照)。プロペラ30に流入される船尾流動は、左舷と右舷から対称的に上方に向かう速度成分が存在する。左舷の場合には、プロペラ30の回転方向と同一方向の流入速度が大きくなる効果があり、右舷の場合には、プロペラ30の回転方向と反対方向の流入速度が大きくなる効果がある。したがって、プロペラ30の回転方向と同一の誘導速度成分を最小化するために左舷により多くのフィン構造物(すなわち、電流固定羽根)を設置し、左舷と面舷の迎え角の方向を反対にすることが効果的である。
一般的な船舶の船尾船型と伴流分布を考慮して、第2のフィン構造物22は、右舷方向へ水平に設置し、第3のフィン構造物23は、第2のフィン構造物22から時計方向に135度だけ離隔して設置し、第1のフィン構造物21は、第3のフィン構造物23から時計方向に90度だけ離隔して設置することが望ましい。
本考案では、船体の船尾形状とプロペラ面の伴流分布と船体表面の圧力分布を精密に検討し、これに基づいてダクト10とフィン構造物21,22,23の最適形状(大きさ及び位置)を決定する。図4は、ダクト10とフィン構造物21,22,23の最適形状を数値として定義した表を示す。このとき、ダクト10とフィン構造物21,22,23の最適形状は、図5に示す対象船型(KVLCC2:KRISO 300K VLCC Tanker)に適用してCFD(計算流体力学)技法を使用して各設計パラメータの最適値を導出する。
本考案の効果に関連して、図6は、本考案の設置前後自航状態の馬力低減効果を比較した表(CFDシミュレーション結果)を示す。図6に示すように、自航状態で本考案の設置前後の実際馬力減少(伝達馬力=2π*n(回転数)*Q(トルク))比を説明すれば、本考案の設置時に約7%以上の馬力低減の効果を有することがわかる。
さらに、本考案の効果に関連して、図7は、本考案の設置前後プロペラ前方流場解析結果を示す。図7に示すように、本考案の設置前後プロペラ面での伴流分布を比較して見ると、本考案の設置後にプロペラ面に向かう伴流がより多く整流されていることを視覚的にも確認できる。
一方、本考案では、曳航水槽で模型試験(抵抗及び自航試験)を通じて本考案の馬力低減効果を検証する。これと関連して、図8は、模型試験のために製造された模型を、図9及び図10は、模型試験結果(各船速対比有効馬力(EHP)と伝達馬力(DHP)の減少率を比較)を各々示す。これに関して説明すれば、本考案の設置の際に全速度領域で平均3.5%、最高4.1%の馬力低減効果を有することが検証されることを理解できる。
以上、上記したように本考案によれば、扇形形状のダクト10とフィン構造物21,22,23の相互作用を通じて船舶のエネルギーを低減することができる。より具体的には、ダクト10の作用で船尾流場の流れを整流し加速させることによって、船体抵抗性能を改善し、フィン構造物21,22,23の作用でプロペラ30に流入される伴流変化を通じてプロペラ推進性能を改善し、予め回転流を生成してプロペラ効率を改善させることができる。
本考案は、ダクトの作用で船尾流場の流れを整流し加速させることによって船体抵抗性能を改善し、フィン構造物の作用でプロペラに流入される伴流変化を通じてプロペラの推進性能を改善し、予め回転流を生成してプロペラ効率を改善することができる。本考案は、造船海洋産業分野で幅広く利用して実用的で経済的な価値を実現できる技術である。
10:ダクト
21:第1のフィン構造物
22:第2のフィン構造物
23:第3のフィン構造物
30:プロペラ

Claims (15)

  1. 半径がRであるプロペラ(30)の前方に位置し、ダクト(10)、第1のフィン構造物(21)、第2のフィン構造物(22)、及び第3のフィン構造物(23)を含む非対称ダクト及びフィン構造物の結合を通じる船舶流動制御装置であって、
    前記ダクト(10)は、扇形形状にプロペラ軸の中心線の上部に位置し、中心線を基準として右舷方向に非対称となるように設置され、
    第1のフィン構造物(21)は、プロペラ軸の中心線から前記ダクト(10)の方向に伸長して前記ダクト(10)の左側終端に連結されるように設置され、
    第2のフィン構造物(22)は、プロペラ軸の中心線から前記ダクト(10)の方向に伸長して前記ダクト(10)の右側終端に連結されるように設置され、
    第3のフィン構造物(23)は、プロペラ軸の中心線から前記ダクト(10)の反対方向に伸長して前記第1のフィン構造物(21)と前記第2のフィン構造物(22)との間に位置するように設置されることを特徴とする非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置。
  2. 前記ダクト(10)は、後端部の半径が0.7Rの大きさを有することを特徴とする請求項1に記載の非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置。
  3. 前記ダクト(10)は、翼型の断面を有することを特徴とする請求項1に記載の非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置。
  4. 前記ダクト(10)は、断面の前縁が船首方向に向かい、後縁が船尾方向に向かうように設置されることを特徴とする請求項3に記載の非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置。
  5. 前記ダクト(10)は、迎え角が12〜14度の大きさを有することを特徴とする請求項1に記載の非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置。
  6. 前記ダクト(10)のコード長は、扇形形状の弧に沿って同一に維持され、あるいは変化することを特徴とする請求項1に記載の非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置。
  7. 前記第1のフィン構造物(21)、前記第2のフィン構造物(22)、及び前記第3のフィン構造物(23)は、翼型の断面を有することを特徴とする請求項1に記載の非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置。
  8. 前記第1のフィン構造物(21)、前記第2のフィン構造物(22)、及び前記第3のフィン構造物(23)は、翼型の断面を有することを特徴とする請求項1に記載の非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置。
  9. 前記第1のフィン構造物(21)、前記第2のフィン構造物(22)、及び前記第3のフィン構造物(23)は、迎え角が10〜12度の大きさを有することを特徴とする請求項1に記載の非対称ダクト及びフィン構造物の結合を通した船舶流動制御装置。
  10. 前記第1のフィン構造物(21)、前記第2のフィン構造物(22)、及び前記第3のフィン構造物(23)は、相互に同一の迎え角、あるいは異なる迎え角を有することを特徴とする請求項1に記載の非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置。
  11. 前記第1のフィン構造物(21)、前記第2のフィン構造物(22)、及び前記第3のフィン構造物(23)は、相互に同一のコード長、あるいは異なるコード長を有することを特徴とする請求項1に記載の非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置。
  12. 前記第1のフィン構造物(21)、前記第2のフィン構造物(22)、及び前記第3のフィン構造物(23)は、相互に同一の間隔、あるいは異なる間隔で設置されることを特徴とする請求項1に記載の非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置。
  13. 前記第2のフィン構造物(22)は右舷に設置され、前記第1のフィン構造物(21)と前記第3のフィン構造物(23)は左舷に設置されることを特徴とする請求項1に記載の非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置。
  14. 前記第2のフィン構造物(22)は、右舷方向へ水平に設置され、前記第3のフィン構造物(23)は前記第2のフィン構造物(22)から時計方向に135度だけ離隔して設置され、前記第1のフィン構造物(21)は、前記第3のフィン構造物(23)から時計方向に90度だけ離隔して設置されることを特徴とする請求項13に記載の非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置。
  15. 前記第2のフィン構造物(22)の迎え角は、前記第1のフィン構造物(21)と前記第3のフィン構造物(23)の迎え角とその方向が反対であることを特徴とする請求項13に記載の非対称ダクト及びフィン構造物の結合による船舶流動制御装置。
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