JP3211532B2 - プラスチックス表面改質方法 - Google Patents

プラスチックス表面改質方法

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JP3211532B2 JP34465793A JP34465793A JP3211532B2 JP 3211532 B2 JP3211532 B2 JP 3211532B2 JP 34465793 A JP34465793 A JP 34465793A JP 34465793 A JP34465793 A JP 34465793A JP 3211532 B2 JP3211532 B2 JP 3211532B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、C−F結合を有するプ
ラスチックスの表面への塗装、印刷、あるいはプラスチ
ックスの接着などが容易に行うことができるようにする
ためのC−F結合を有するプラスチックス表面の改質方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックスの表面改質方法として
は、例えばポリプロピレン系の樹脂を紫外線吸収性溶剤
と接触させて水銀ランプからの紫外光を照射すると良い
という技術が特開昭64−75079に開示され、19
91年4月号の「O plus E 第97頁〜第102頁」
には、弗素樹脂の処理に、アンモニア化合物や硼素化合
物と接触させてアルゴン弗素エキシマレーザから放射さ
れる紫外光193nmの光を照射すると良いことが示さ
れている。また最近では、弗素樹脂の表面改質を水酸化
アルミニウム水溶液と接触させてアルゴン弗素エキシマ
レーザからの波長193nmの紫外光を照射する方法
(レーザー学会学術講演会20周年記念(第13回)年
次大会 講演予稿集第130頁)、ポリエチレンフィル
ムの表面改質を、水と接触させて誘電体バリヤ放電ラン
プから放射される紫外光172nmの光を照射する方法
(第54回応用物理学会学術講演会 講演予稿集第1
頁)などが開示され、表面が低活性なために、塗装、印
刷、染色、接着のしにくいプラスチックスの表面改質の
研究が盛んに行われている。
【0003】これらの従来の方法において、例えば、特
開昭64−75079に記載の、紫外線吸収性有機化合
物と水銀ランプとの組み合わせでは、弗素樹脂の表面改
質が十分に行えないこと、アルゴン弗素エキシマレーザ
によるものでは、装置が高価で大型であり、かつ保守が
極めてやっかいであって、産業界での実用化にはまだ一
般化できていない。このエキシマレーザに代わって、最
近、装置が安価、小型、取扱容易な誘電体バリヤ放電エ
キシマランプが開発され、上記のとうり、プラスチック
スの表面改質のための光源として注目され始めた。
【0004】しかしながら、誘電体バリヤ放電エキシマ
ランプについては、表面が低活性なC−F結合を有する
プラスチックスの表面改質用としてのランプ設計技術や
使用方法について未解決な部分があり、特に、アルミニ
ウム化合物の水溶液、硼素化合物の水溶液との組み合わ
せについては最適技術は開発されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みなされたものであって、その目的とするところは、
(1)誘電体バリヤ放電ランプを用いて効率良く弗素樹
脂の表面改質が行える方法、(2)水銀放電ランプと、
アルミニウム化合物の水溶液、硼素化合物の水溶液との
組み合わせ方法、などを研究することによって、C−F
結合を有するプラスチックス表面改質のための光源と、
光源と被処理物との位置関係、ランプからの放射光取出
部の設計、ランプの管壁負荷などの最適条件を見出すこ
とにある。これによって、C−F結合を有するプラスチ
ックスの表面改質を高速で行い、大量処理に適するよう
にすることである。本発明の目的は、低活性な弗素樹脂
系のプラスチックスの表面改質を、安価で高速で実行で
きる方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明は、紫外線放射源として誘電体バリヤ放電ラ
ンプを選び、紫外線照射処理において弗素用スカベンジ
ャーを組み合わせ、それらを次のように組み合わせると
ともに、種々の条件を設定する。
【0007】(1)C−F結合を有するプラスチックス
の表面を、アルミニウム化合物の水溶液もしくは硼素化
合物の水溶液と接触させ、当該接触部分に、キセノンも
しくはキセノンを主成分とするガスを封入した誘電体バ
リヤ放電ランプからの放射光を照射して該接触部分のプ
ラスチックスの表面を改質するに際し、該ランプは、放
電空間を取り囲む容器の一部もしくは全部を放射光取出
部として構成し、水溶液の層の、放射光透過最短距離を
5μm以下に保持する。 (2)C−F結合を有するプラスチックスの表面を、ア
ルミニウム化合物の水溶液もしくは硼素化合物の水溶液
と接触させ、当該接触部分に、アルゴンと塩素を含むガ
スもしくは塩素化合物を含むガスを封入した誘電体バリ
ヤ放電ランプからの放射光を照射して該接触部分のプラ
スチックスの表面を改質するに際し、該ランプは、放電
空間を取り囲む容器の一部もしくは全部を放射光取出部
として構成し、水溶液の層の、放射光透過最短距離を2
0μm以下に保持する。 (3)C−F結合を有するプラスチックスの表面を、ア
ルミニウム化合物の水溶液もしくは硼素化合物の水溶液
と接触させ、当該接触部分に、アルゴンと弗素とを含む
ガスもしくは弗素化合物を含むガスを封入した誘電体バ
リヤ放電ランプからの放射光を照射して該接触部分のプ
ラスチックスの表面を改質するに際し、該ランプは、放
電空間を取り囲む容器の一部もしくは全部を放射光取出
部として構成し、水溶液の層の、放射光透過最短距離を
2000μm以下に保持する。
【0008】つまり、誘電体バリヤ放電ランプの種類と
弗素用スカベンジャーと処理条件との組み合わせに特徴
がある。
【0009】また、紫外線放射源として水銀放電ランプ
を選択した場合は、次の方法が良い。すなわち、C−F
結合を有するプラスチックスの表面を、アルミニウム化
合物の水溶液もしくは硼素化合物の水溶液と接触させ、
当該接触部分に、水銀を主発光物として封入した水銀放
電ランプからの放射光を照射して該接触部分のプラスチ
ックスの表面を改質するに際し、該ランプは、放電空間
を取り囲む容器の一部もしくは全部を放射光取出部とし
て構成し、水溶液の層の、放射光透過最短距離を80μ
m以下に保持する。
【0010】ここで、後述するように誘電体バリヤ放電
ランプは、従来のアーク放電ランプやグロー放電ランプ
とはかなり異なった特徴を有し、放電空間を取り囲む容
器の内壁表面積をS(cm2 )、電気入力をW(ワッ
ト)とする時、管壁負荷W/Sの値を0.2以上に当該
ランプを制御点灯すると良い。しかも、冷却しても分光
放射特性が殆ど変わらないので、容器の放射光取出部と
取出部以外の部分の少なくとも一方を二重壁構造とし、
その間隙に液体窒素を流すことによって、あるいは、容
器の放射光取出部を二重壁構造とし、その間隙に液体窒
素を流すことによって放射光取出部の温度を250℃以
下にしても良い。取出部を直接冷却する場合には冷却水
を用いてもよい。
【0011】また上記の冷却流体で、プラスチックスと
接触している水溶液の層を冷却するようにしても良い
し、放電用電極の少なくとも一方が容器と接している場
合、当該電極の接する容器壁部分の温度を300℃以下
に保持する。
【0012】
【作用】放電容器内にエキシマ分子を形成する放電用ガ
スを充満し、誘電体バリヤ放電(別名オゾナイザ放電あ
るいは無声放電。電気学会発行改定新版(放電ハンドブ
ック)平成1年6月再版7刷発行第263ページ参照)
によってエキシマ分子を形成せしめ、該エキシマ分子か
ら放射される光を取り出す放射器、すなわち誘電体バリ
ヤ放電ランプは、従来の低圧水銀放電ランプや高圧アー
ク放電ランプにはない種々の特徴を有している。このラ
ンプ自体は、例えば特開平2−7353等によって既知
である。
【0013】このランプにおいて、透光窓部材として合
成石英ガラスを使用し、放電用ガスとしてキセノンもし
くはキセノンを主成分とするガスを選定すると、波長1
72nmをピークとする波長160nmから波長190
nmにまたがる真空紫外エキシマ光が得られ、アルゴン
と塩素を含むガスもしくは塩素化合物を含むガスを選定
すると、波長165nmから波長190nmにまたがる
真空紫外エキシマ光が得られ、アルゴンと弗素を含むガ
スもしくは弗素化合物を含むガスを選定すると、波長1
80から波長200nmにまたがる真空紫外エキシマ光
が得られる。他方、アルミニウム化合物や硼素化合物の
水溶液の吸収波長帯域は波長200nm以下の真空紫外
光にあり、それぞれの溶液の層における放射光透過最短
距離を適切に選ぶと、C−F結合を有するプラスチック
スの表面において、C−F結合が切断されるとともに、
遊離したFを水溶液中のアルミニウムもしくは硼素が捕
獲し、C−F再結合を防止するとともに、Cに対して
は、OやOHなどの他のラジカルが結合する。これによ
ってC−F結合を有するプラスチックスの表面を親水性
に変えることが出来ると推定される。
【0014】誘電体バリヤ放電ランプは前記のとうり、
従来のアーク放電ランプやグロー放電ランプとは異な
り、強く冷却しても分光放射特性が殆ど変わらないの
で、電気入力を大きくしても十分に冷却できるので、一
般的に熱に弱いプラスチックスに極接近させて使用して
も、被照射物であるプラスチックスへの熱ダメージを与
えない長所を有する。特に、このランプにおいて、ラン
プの管壁負荷、(電気入力/管壁面積)の値を0.2W
/cm2 以上に設計し、液体窒素や水で冷却を十分に行
いながらプラスチックスに極接近させて使用すると、表
面改質のスピードが著しく大きい。
【0015】誘電体バリヤ放電ランプにおいて、該放電
から生ずるエキシマ光は、自己吸収が小さいので、ラン
プの容器を棒状あるいは板状に長く設計し、長手方向と
直交する方向に放電電流を流しておいて長手方向から
射光を取り出せる。したがって、強力なビーム光を得易
い。
【0016】真空紫外光としては、水銀放電ランプから
放射される波長185nmの光も利用でき、アルミニウ
ム化合物の水溶液、硼素化合物の水溶液の吸収率を考慮
しながらC−F結合を有するプラスチックスに極接近さ
せて使用すると、表面改質のスピードは著しく大きい。
この場合、冷却が必要な時は、液体窒素より水の方が良
い。また、ランプの冷却に水を使用する場合は、プラス
チックスの表面に接しているアルミニウム化合物の水溶
液、硼素化合物の水溶液をも同時に冷却し、液の沸騰の
防止やプラスチックスの昇温を防止する。
【0017】
【実施例】図1は、本発明に使用する誘電体バリヤ放電
ランプの設計例の説明図である。図において、1は偏平
な箱状をした容器であって、材料は、OHを400重量
ppm含む合成石英ガラスである。肉厚は1mmであっ
て、大きさは内寸法で、たて方向20cm、横方向3m
m、紙面に垂直な奥行方向30cmである。一対の電極
2,2が一対の広い面積の外壁に設けられる。したがっ
てバリヤ放電の距離dは3mmである。電極は、反射板
を兼ねる意味で厚さ0.3μmのアルミニウム膜から成
り、図面からは省略したが酸化防止保護膜でおおわれて
いる。バリヤ放電からの放射光を有効に利用するため、
放射光取出部3以外の他の外壁面には保護膜付の反射膜
4を設ける。保護膜としてはセラミックスによるコート
が良い。したがって、放電空間5に放電用ガスとしてキ
セノンを充填し、一対の電極2,2に電力を供給して放
電させると、ランプからの放射光の形状は、横約3m
m、幅約30cmのスリット状のビームとなる。前記の
とうり、自己吸収が小さいので、強力なビーム光が得ら
れる。
【0018】6は、前記奥行方向に沿って放射光取出部
3の近傍に設けた樋状の溝であって、底部にはスリット
7が設けられている。この溝に液体を入れると、スリッ
ト7から、ビーム光に沿って線状に液体が降下するよう
になっている。
【0019】図2は、上記の誘電体バリヤ放電ランプを
用いたプラスチックスの表面改質の方法の説明図であ
る。図において、100は誘電体バリヤ放電ランプであ
り、その放射光取出部の前方極近傍を、間隙102をお
いて、ポリ四弗化エチレンシート101が矢印方向へ送
行する。溝6からは水酸化アウミニウムの水溶液を落下
させ、シート101とともに間隙102を通過する。こ
の場合、ランプ100への電気入力を400Wとして、
走行スピードを6mm/分とすると、最初水に対する接
触角が120度であったシートが、30度になる。電気
入力が700Wの場合は、走行スピードが10mm/分
で、接触角が30度になる。水溶液の層の厚みは、この
場合5μm以下が良いので、間隙102の距離を調節す
ることによって、この層の厚みを調節することが出来
る。5μmより大きいと、実用上の表面改質ができなか
った。尚、間隙102は、数μmのオーダーに展延され
た白金箔をゲージとして使用した。
【0020】図3は、本発明に使用する誘電体バリヤ放
電ランプの他の設計例の説明図である。図において、放
電空間5を取り囲む四方の壁は、二重の壁81,82か
ら成り、他の対面する一対の壁も同様の構造をしてお
り、壁81,82の間14には、冷却流体である液体窒
素がらせん状に流れるように、階段状もしくはらせん状
の仕切9が設けられている。ランプ103の上面は、上
面部材10でおおい、電力供給線11を引き出す。ラン
プ103の下面は、放射光取出部3であるが、中央部1
2が、放射光が集光できるように凸レンズ状になってお
り、かつ溝6から流れる液体が、中央部12の頂点(頂
線)13に伝わり易く形成されている。集光のために、
中央部を凹レンズ状に形成しても、その周淵において頂
点(頂線)を形成させることができる。放電空間5の大
きさは、図1に示したランプ100と同様であって、内
寸法でたて方向20cm、横方向3mm、紙面に垂直な
奥行方向30cmである。したがって、放射光の形は前
記同様、線状のビームである。
【0021】上記ランプ103の放電空間5に、アルゴ
ンと塩素とを等モル封入し、バッファーガスとしてネオ
ン600トール封入して、400Wで点灯する。溝6に
注入する液体は、硼酸の水溶液であって、図2に示す方
法と同様に、ポリ四弗化エチレンシートと対接させて表
面改質を行った。この時、ランプ103とシート101
との間隙102は頂点(頂線)13とシート101との
距離であって、硼酸水溶液は一部はスリット7から降下
し、一部はその頂点(頂線)まで伝わって来る。この場
合は、シート101の走行スピードが2mm/分の時
で、水に対する接触角を30度まで小さく出来る。そし
て、硼酸水溶液の層の厚みが、20μmを越すと、ほと
んど表面改質効果が見られない。尚、上記ランプ103
では、ランプの上面、下面を除いた四辺を液体窒素で冷
却しており、電極2の附されている壁81の温度を10
0℃以下に保つことが出来るとともに、そのように低温
制御しても、ランプからの分光放射特性は変わらない。
むしろ、300℃を越えるとランプからの放射強度が低
下する。
【0022】また、上記の実施例では、放射光取出部3
の温度を100℃以下に冷却できるので、間隙102が
極端に小さくても、硼酸水溶液やシートの加熱を抑制で
きる。
【0023】上記の誘電体バリヤ放電ランプ103の放
電空間5に、アルゴンと弗素と、バッファーガスとして
ネオンを充填し、冷却流体として10℃の水を間14に
流す。被処理物としては、弗素樹脂のシートとし、溝6
には硼酸の水溶液を供給して表面改質を行うと、走行ス
ピード6mm/分で、シートの水に対する接触角を11
0度から30度にすることができる。この場合、水溶液
の層の厚みが2000μmを越えると表面改質効果が得
られず、したがってその厚みの値は2000μm以下と
する。
【0024】上記ランプを含め種々のランプで改質テス
トを行ったがランプの管壁負荷と改質速度に相関がある
ことが判明した。W/S≧0.2で実用的な反応速度が
得られた。上記いずれの実施例においても、放電空間5
を取り囲む内表面積は、1200cm2 であるので、そ
れらを例えば400W、700W等、240Wから10
00Wの電気入力で点灯すると、ランプの管壁負荷(W
/S)の値は0.2以上となり、封入ガスの種類に大き
く依存せずに効率良く所定の放射光を得ることができ
る。また、ランプその他の昇温については、冷却によっ
て十分に制御できる。
【0025】図4は、本発明に使用する低圧水銀ランプ
104の設計例の説明図である。図において、15は石
英ガラス製の管状バルブであって、一対の電極16,1
6間の距離は20cmである。放電空間17には、ラン
プ点灯始動用のアルゴン4トールと、水銀をバルブ内容
積1cm3 当たり1mg封入し、電流2.8A、約10
0Wの消費電力で点灯するよう設計されている。このラ
ンプ104からは、波長185nmと波長254nmの
紫外光が放射される。このランプ104を、図5に示す
ように、ポリ四弗化エチレンシート101に、間隙10
2を設けて極接近させ、シートの走行の上流側から、ラ
ンプのバルブ軸に平行な線状のノズル18から、シート
101に水酸化アルミニウムの水溶液を供給しながらラ
ンプ104でシート101を照射する。この場合、間隙
102を10μmに保っているので、水酸化アルミニウ
ムの水溶液の層の厚みも10μmである。この状態でシ
ートの走行スピードを4mm/分に保って表面改質を行
うと、シート101の水に対する接触角は120度から
30度になった。層の厚みは80μmを越えると改質効
果が著しく劣るので、80μm以下が良い。尚、従来、
ポリ四弗化エチレンの表面改質は、低圧水銀ランプによ
る照射では出来ないとされていたが、上記のように水酸
化アルミニウムの水溶液の層と接触させておくと表面改
質が可能であることが分かるとともに、水酸化アルミニ
ウムの水溶液に代えて、硼酸の水溶液でも同様の効果を
奏することが分かった。
【0026】図6は、本発明の他の実施例の説明図であ
る。図において、誘電体バリヤ放電ランプ105には、
放電空間5の寸法・形状は図1のランプと同じではある
が、溝6がなく、またランプ全体を冷却する構造とはな
っていない。しかし、放射光取出部3には、両側から冷
却流体ノズル26から噴射される冷却液によってその部
分のみ冷却できるようになっている。放電空間5には、
アルゴンと弗素とネオンが充填され、放射光取出部3
は、被処理物である弗素樹脂系のシートに極接近して配
置される。ここで冷却液を硼酸の水溶液にすれば、放射
光取出部3の冷却流体とスカベンジャー用水溶液19と
が兼務でき、かつ、その液の層の厚さも、間隙102の
距離によって実質上決めることができる。このシート
で、水に対する接触角は110度のものが20度にまで
小さくすることができ、表面改質効果が得られることが
分かる。
【0027】図7は、本発明の他の実施例の説明図であ
る。図において、誘電体バリヤ放電ランプ107の放電
空間5の寸法、形状は、図1に示すランプと同じである
が、充填ガスはアルゴンと塩素である。放射光取出部3
は二重構造になっており、中空部20には、液体窒素も
しくはその気化窒素ガスが流せるようにしてある。これ
によって、放射光取出部3とその周囲も昇温が抑制さ
れ、弗素樹脂のシート108との間に作られる間隙10
2を満たすスカベンジャー用流体、例えばアルミニウム
化合物の水溶液も十分に冷却できる。このシートで、水
に対する接触角は、110度のものが10度にまで小さ
くすることができ、表面改質効果が得られることが分か
る。
【0028】図8は、本発明の他の実施例の説明図であ
る。図において、21は、水溶液22を収容する水槽で
あって、その中に、誘電体バリヤ放電ランプ105が、
放射光取出部3の頂点(頂線)13を上方に位置して配
置されている。液面23と頂点(頂線)13との間11
1が液層の厚みになると同時に放射光透過最短距離を形
成する。プラスチックスシート109は、4個のローラ
24を介して、液面23近傍を通過するようになってお
り、間隙110は実質上零の方が良い。この状態で、ラ
ンプ105を点灯してシート109の表面改質処理作業
を続けると、液22の温度が昇温してしまうので、冷却
手段25を設ける。この結果、液とランプとの両者が冷
却できるとともに、ランプの高さを変えるだけで液層の
放射光透過最短距離を容易に決定できる長所がある。
【0029】以上の実施例の説明に使用されたランプ類
の構造と冷却方法、弗素捕獲用水溶液すなわちスカベン
ジャー用水溶液の供給方法、水溶液の層の放射光透過最
短距離の決定方法には、上記実施例以外にも種々の方式
が採用できることは明らかである。
【0030】
【発明の効果】本発明は、以上の実施例の説明からも理
解できるように、波長160nmから波長200nmの
真空紫外光を放射する誘電体バリヤ放電ランプとして、
キセノンエキシマもしくはアルゴン塩素エキシマもしく
はアルゴン弗素エキシマから放射されるエキシマ光を放
射するランプを選択し、もしくは低圧水銀ランプから放
射される波長185nmの真空紫外光を選択し、他方、
スカベンジャー用水溶液としては波長域約200nm以
下に吸収帯を有する硼素化合物の水溶液もしくはアルミ
ニウム化合物の水溶液を選択し、両者を組み合わせて、
従来表面改質が出来なかったC−F結合を有するプラス
チックスの表面改質を行ったり、あるいは著しく速いス
ピード処理が出来るようにしたものである。
【0031】前記のとうり、誘電体バリヤ放電ランプ
は、放電用ガスや放射光取出部が昇温すると放射強度が
落ちる反面、冷却を十分行っても分光放射特性は変わら
ないので、ランプを被処理物に極接近させて冷却を十分
に行い、ランプ自体の冷却とともに、水溶液、被処理物
も冷却できる長所があり、プラスチックスへの熱ダメー
ジは、従来のアーク放電ランプに比べ小さくすることが
できる。この冷却が十分可能なことから、ランプへの電
気入力も10W/cm2 以上とすることができ、他方、
電極を設けたランプ壁の温度を300℃以下、放射光取
出部の温度も250℃以下に保ことができ、ランプの分
光放射特性と放射強度との両者を維持しながらC−F結
合を有するプラスチックスの表面改質作業ができる。
【0032】各ランプから放射される真空紫外光は全く
同一ではないので、それぞれのランプに応じて、水溶液
の層の放射光透過最短距離を実験的に定め、実用上の最
適条件を見出したものであるので、従来のC−F結合を
有するプラスチックスの表面改質の処理スピードより著
しく速い表面改質方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用する誘電体バリヤ放電ランプの設
計例の説明図である。
【図2】プラスチックスシートの表面改質方法の説明図
である。
【図3】本発明に使用する誘電体バリヤ放電ランプの他
の設計例の説明図である。
【図4】本発明に使用する低圧水銀ランプの設計例の説
明図である。
【図5】本発明の他の実施例の説明図である。
【図6】本発明の他の実施例の説明図である。
【図7】本発明の他の実施例の説明図である。
【図8】本発明の他の実施例の説明図である。
【符号の説明】
1 容器 2 電極 3 放射光取出部 4 反射膜 5 放電空間 6 溝 7 スリット 9 仕切 18 ノズル 21 水槽 23 液面 24 ローラ 25 冷却手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 磯 慎一 兵庫県姫路市別所町佐土1194番地 ウシ オ電機株式会社内 審査官 森川 聡 (56)参考文献 特開 平5−306346(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 7/04 304

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C−F結合を有するプラスチックスの表
    面を、アルミニウム化合物の水溶液もしくは硼素化合物
    の水溶液と接触させ、当該接触部分に、キセノンもしく
    はキセノンを主成分とするガスを封入した誘電体バリヤ
    放電ランプからの放射光を照射して該接触部分のプラス
    チックスの表面を改質するに際し、 該ランプは、放電空間を取り囲む容器の一部もしくは全
    部を放射光取出部として構成し、 水溶液の層の、放射光透過最短距離を5μm以下に保持
    することを特徴とするプラスチックス表面改質方法。
  2. 【請求項2】 C−F結合を有するプラスチックスの表
    面を、アルミニウム化合物の水溶液もしくは硼素化合物
    の水溶液と接触させ、当該接触部分に、アルゴンと塩素
    を含むガスもしくは塩素化合物を含むガスを封入した誘
    電体バリヤ放電ランプからの放射光を照射して該接触部
    分のプラスチックスの表面を改質するに際し、 該ランプは、放電空間を取り囲む容器の一部もしくは全
    部を放射光取出部として構成し、 水溶液の層の、放射光透過最短距離を20μm以下に保
    持することを特徴とするプラスチックス表面改質方法。
  3. 【請求項3】 C−F結合を有するプラスチックスの表
    面を、アルミニウム化合物の水溶液もしくは硼素化合物
    の水溶液と接触させ、当該接触部分に、アルゴンと弗素
    とを含むガスもしくは弗素化合物を含むガスを封入した
    誘電体バリヤ放電ランプからの放射光を照射して該接触
    部分のプラスチックスの表面を改質するに際し、 該ランプは、放電空間を取り囲む容器の一部もしくは全
    部を放射光取出部として構成し、 水溶液の層の、放射光透過最短距離を2000μm以下
    に保持することを特徴とするプラスチックス表面改質方
    法。
  4. 【請求項4】 C−F結合を有するプラスチックスの表
    面を、アルミニウム化合物の水溶液もしくは硼素化合物
    の水溶液と接触させ、当該接触部分に、水銀を主発光物
    として封入した水銀放電ランプからの放射光を照射して
    該接触部分のプラスチックスの表面を改質するに際し、 該ランプは、放電空間を取り囲む容器の一部もしくは全
    部を放射光取出部として構成し、 水溶液の層の、放射光透過最短距離を80μm以下に保
    持することを特徴とするプラスチックス表面改質方法。
  5. 【請求項5】 容器内を流れる電流の方向と直交する方
    向から放射光を取り出すことを特徴とする請求項1乃至
    3のいずれかに記載のプラスチックス表面改質方法。
  6. 【請求項6】 放電空間を取り囲む容器の内壁表面積を
    S(cm)、電気入力をW(ワット)とする時、W/
    Sの値を0.2W/cm以上に当該ランプを制御点灯
    することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載
    のプラスチックス表面改質方法。
  7. 【請求項7】 放射光取出部もしくはその近傍を、室温
    程度もしくは室温以下の温度の冷却流体で冷却すること
    を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のプラス
    チックス表面改質方法。
  8. 【請求項8】 放電空間を取り囲む容器を室温程度もし
    くは室温以下の温度の冷却流体で冷却することを特徴と
    する請求項1乃至5のいずれかに記載のプラスチックス
    表面改質方法。
  9. 【請求項9】 冷却流体が容器もしくは放射光取出部に
    接触しており、プラスチックスと接触している水溶液の
    層も冷却することを特徴とする請求項7もしくは請求項
    8に記載のプラスチックス表面改質方法。
  10. 【請求項10】 冷却流体が、プラスチックスの表面に
    接触している水溶液であることを特徴とする請求項7も
    しくは請求項8に記載のプラスチックス表面改質方法。
  11. 【請求項11】 容器の放射光取出部と取出部以外の部
    分の少なくとも一方を二重壁構造とし、その間隙に液体
    窒素もしくはその気化窒素ガスを流すことを特徴とする
    請求項1乃至3のいずれかに記載のプラスチックス表面
    改質方法。
  12. 【請求項12】 容器の放射光取出部を二重壁構造と
    し、その間隙に冷却水を流すことを特徴とする請求項1
    乃至3のいずれかに記載のプラスチックス表面改質方
    法。
  13. 【請求項13】 放射光取出部の温度が250℃以下に
    保持されることを特徴とする請求項11もしくは請求項
    12に記載のプラスチックス表面改質方法。
  14. 【請求項14】 放電用の電極が一対設けられ、当該電
    極の少なくとも一方が容器と接している場合、当該電極
    の接する容器壁部分の温度を300℃以下に保持するこ
    とを特徴とする請求項11もしくは請求項12に記載の
    プラスチックス表面改質方法。
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