JP3209488B2 - イオン交換式純水製造装置の終点検知方法及び装置 - Google Patents

イオン交換式純水製造装置の終点検知方法及び装置

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イオン交換による純水
の製造装置に用いるイオン交換樹脂の終点検知方法及び
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】純水製造装置には、種々の形式のものが
あるが、そのうちの一つとして、図3に示すようなカー
トリッジ形式のものがある。これは、予めH形に再生さ
れたカチオン交換樹脂とOH形に再生されたアニオン交
換樹脂とを混合したイオン交換樹脂22を筒24内に充
填した形式のものである。原水がイオン交換樹脂22を
通過することで処理水(純水)が得られる。このような
カートリッジ式純水製造装置20は、比較的小型なもの
で、例えば実験室や分析室等の比較的少量の純水を必要
とする分野で主に使用されている。
【0003】この装置20で純水の製造を行う際に、内
部に充填されているイオン交換樹脂22の能力が低下
し、所定の純度が得られなくなった場合には、直ちにイ
オン交換樹脂22を交換しなければならず、能力の低下
した樹脂22を取り出して、再生済みのイオン交換樹脂
22を再充填して使用するか、あるいは、容器(筒)2
4ごと新しいものと交換して純水製造を再開するように
している。
【0004】そして、通常、イオン交換樹脂の能力の低
下を検知するのは、図3に示すように、純水の出口に電
気伝導率計30を設置して純水の電気伝導率を監視する
と共に、測定値が所定値を超えた場合には、例えば警報
を発して終点に達したことを知らせる。
【0005】ところが、イオン交換装置は、純水の製造
を比較的長時間停止した後に、製造を再開すると、図4
に示すように、再開前まではイオン交換樹脂の能力が低
下していないにもかかわらず、再開直後の純水の純度が
樹脂からの溶出物や空気中の炭酸ガス等により一時的に
悪化し、その後時間の経過と共に徐々に水質が良好にな
って元の電気伝導率に戻るという特性がある。すなわ
ち、イオン交換装置には、長時間の停止後の水の流しは
じめは採水の電気伝導率が大きく、流し続けると時間と
共に電気伝導率が指数関数的に低下し、約15秒ぐらい
経つと安定状態に至る特性がある。このため、長期間停
止後に装置の運転を再開すると、イオン交換樹脂の終点
に達していないにもかかわらず、初期の電気伝導率によ
って警報が発せられてしまうこととなる。
【0006】そこで、従来から用いられている方法は、
通水から一定時間(15秒〜30秒程度)経過後からの
電気伝導率を測定し、基準の電気伝導率と比較して測定
値が基準値を上回った場合には、イオン交換樹脂の終点
と判断して報知するようにしている。すなわち、通水時
から一定時間は警報が作動しないように装置をマスキン
グしているのである。
【0007】具体的には、図5に示すような終点検知装
置が用いられている。図において、1は電気伝導率計電
極、2は電気伝導率測定回路で電極1からの検出交流信
号を増幅、整流、平滑等を行いアナログの電気伝導率信
号として出力する回路である。3はアナログのコンパレ
ータで、電気伝導率測定回路2の出力と、基準電気伝導
率設定回路4で予め設定してある基準値とを比較して、
電気伝導率測定回路2の出力がこの基準値を超えていた
ら信号H(High)を出力するように構成されている。
【0008】また、図中の5は、通水信号発生回路で、
フロースイッチ等からなり、通水開始と同時に信号Hを
出力する。6はデジタル遅延素子で、通水信号発生器5
からの信号を遅延させるもので、遅延時間は通常15〜
30sec 程度にセットされている。7はAND回路で、
このAND回路7により、デジタル遅延素子6の出力信
号がHで、コンパレータ3の出力信号もHの場合に、終
点信号Hを出力して報知を行うように構成されている。
すなわち、この装置では、通水時から一定時間経過後の
純水の電気伝導率を測定し、基準値を超えている場合に
は、イオン交換装置の寿命が終点に達しているとして報
知する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、近年イオン
交換装置の用途が多様になり、通水の時間や停止時間も
多様になってきており、通水時間が数秒という場合もあ
る。この場合、従来の終点検知方法では、通水開始から
15sec以降に終点の判別を行うようにしているので、
終点の判別が行われる機会がなく、気づかぬうちに質の
悪い純水を製造し続ける恐れがある。
【0010】本発明は、通水時間の短い用途に用いた場
合にも、イオン交換装置の終点を有効に検知することが
できるイオン交換式純水製造装置の終点検知方法及びそ
の装置の提供を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述の目的を
達成するためになされたものであって、イオン交換によ
って純水を製造し、製造された純水の純度を電気伝導率
計によって測定して、その電気伝導率からイオン交換樹
脂の終点を検知するイオン交換式純水製造装置の終点検
知方法において、製造されつつある純水の単位時間にお
ける電気伝導率の変化を測定し、該測定された変化が予
め定められた基準変化率よりも小さいときに安定状態と
判断し、該安定状態において電気伝導率の測定値が予め
定められた電気伝導率の基準値を超える場合には、イオ
ン交換樹脂の終点と判断して報知するようにしたことを
特徴とする。
【0012】また、本発明は、イオン交換によって純水
を製造し、製造された純水の純度を電気伝導率計によっ
て測定して、その電気伝導率からイオン交換樹脂の終点
を検知するイオン交換式純水製造装置の終点検知装置に
おいて、製造されつつある純水の単位時間における電気
伝導率の変化を測定し、該測定された変化が予め定めら
れた基準変化率よりも小さいときに安定状態と判断する
手段と、安定状態と判断された時点での電気伝導率の測
定値と予め定められた電気伝導率基準値とを比較する手
段と、前記安定状態と判断された時点での電気伝導率の
測定値が前記電気伝導率基準値を越える場合に警報を発
生する手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
【作用】図2を参照して説明する。同図は、イオン交換
装置が長時間停止後に短時間で通水と停止とを繰り返し
た場合に処理水の電気伝導率が変化する様子を示すグラ
フで、横軸に時間をとり、縦軸に計測される伝導率(μ
S/cm)をとっている。電気伝導率は、通水及び停止
で波のように下降と上昇を繰り返すが、全体の基調とし
ては通水当初の電気伝導率は徐々に低下し、やがて安定
状態になる。この安定状態になった時点での電気伝導率
を電気伝導率基準値(終点基準値)と比較することで、
有効にイオン交換樹脂の終点の判断が可能となる。本発
明は、上述のように構成されているので、単位時間にお
ける電気伝導率の変化を予め設定した電気伝導率の変化
率基準値と比較し、単位時間の変化が基準値より小さい
と安定状態に入ったと判断する。そして、安定状態と判
断されれば電気伝導率の値を予め設定した電気伝導率基
準値と比較して、超えていればイオン交換装置の終点と
判断し報知する。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照し、本発明の実施例に基づ
いて本発明を更に詳細に説明する。なお、従来の技術の
項で説明した要素と同一または相当する要素には同一符
号を付す。図1は、本発明に係るイオン交換式純水製造
装置の終点検知方法に用いる終点検知装置の一実施例を
ブロック図で示したものである。図において、8はアナ
ログ遅延素子、9は差動増幅器、10はアナログコンパ
レータ、11は変化率基準値設定回路、12は3入力A
ND回路である。
【0015】この回路の動作を説明すると、電源がオン
されて通水が開始されるに従い、通水信号発生回路5か
ら信号H(High)がAND回路12に出力される。ま
た、装置の採水出口に配置された電気伝導率計電極1か
らの検出信号は、電気伝導率測定回路2で増幅、整流、
平滑等が行われアナログの電気伝導率信号として出力さ
れる。そして、この電気伝導率信号は、アナログコンパ
レータ3の非反転入力端子(+)に入力され、基準電気
伝導率設定回路4からの基準値と比較されて、基準値を
超えていたら信号Hがコンパレータ3からAND回路1
2に出力される。
【0016】また一方、上記電気伝導率信号は差動増幅
器9の入力信号として用いられ、反転入力端子(−)に
は時間差なしに、非反転入力端子(+)にはアナログ遅
延素子8を介して入力される。アナログ遅延素子8の遅
延時間は、例えば1sec とか0.1sec とかいうような
単位時間が設定されている。差動増幅器9の出力として
は、電気伝導率信号の単位時間を挟んだ前後の数値の差
が増幅されて現れる。すなわち、単位時間における電気
伝導率信号の変化率が出力として現れることになる。
【0017】この差動増幅器9の出力信号は、アナログ
コンパレータ10の反転入力端子(−)に入力され、非
反転入力端子(+)に入力する変化率基準値設定回路1
1からの基準値と比較され、予め定められた基準値より
も小さい場合には、コンパレータ10からAND回路1
2への出力はHとなる。AND回路12の入力が全てH
となったときに,AND回路12の出力はHとなり終点
信号として報知される。すなわち、装置の通水後の安定
状態に近い状態の電気伝導率の単位時間における変化率
を基準値としてコンパレータ10に入力しておけば、測
定している純水の電気伝導率の変化率が基準値より小さ
くなると、装置は安定状態に入ったことになる。そし
て、このときの電気伝導率が基準として定めた電気伝導
率よりも大きければ、イオン交換装置は終点に至ったこ
とが判明する。
【0018】なお、上記アナログ遅延素子8、差動増幅
器9、アナログコンパレータ10、変化率基準値設定回
路11等により本発明にいう安定状態の判断手段が構成
され、アナログコンパレータ3、電気伝導率基準値設定
回路4等により本発明にいう電気伝導率基準値と比較す
る手段が構成され、更にAND回路12により報知手段
が構成されている。アナログ遅延素子8は、デジタル遅
延素子に比してかなり安価なため、従来の装置に比して
コンパレータの個数が増加したことによるコスト上昇の
一部を相殺する。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のイオン交
換式純水製造装置の終点検知方法及び装置によると、通
常の用途においては勿論、数秒というような短時間で通
水と停止とを繰り返す用途においても、イオン交換装置
の終点を有効に検知してこれを報知することができる。
このため、製造する純水の水質の安定性を保つことがで
き、純水を用いる各種の産業においても不良品の減少を
図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るイオン交換式純水製造装置の終点
検知装置の一実施例をブロック図で示したものである。
【図2】短時間で通水と停止とを繰り返す場合の、純水
の電気伝導率の変化を示した一例である。
【図3】カートリッジ式純水製造装置の概略図である。
【図4】いったん採水を停止し長時間経過後に再開した
場合の、電気伝導率の変化を示した図である。
【図5】従来の終点検知装置のブロック図である。
【符号の説明】
1 電気伝導計電極 2 電気伝導計測定回路 3 アナログコンパレータ 4 電気伝導率基準値設定回路 5 通水信号発生回路 8 アナログ遅延素子 9 差動増幅器 10 アナログコンパレータ 11 変化率基準値設定回路 12 3入力AND回路 20 純水製造装置。 22 イオン交換樹脂 24 筒 30 電気伝導率計

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン交換によって純水を製造し、製造
    された純水の純度を電気伝導率計によって測定して、そ
    の電気伝導率からイオン交換樹脂の終点を検知するイオ
    ン交換式純水製造装置の終点検知方法において、 製造されつつある純水の単位時間における電気伝導率の
    変化を測定し、該測定された変化が予め定められた基準
    変化率よりも小さいときに安定状態と判断し、該安定状
    態において電気伝導率の測定値が予め定められた電気伝
    導率の基準値を超える場合には、イオン交換樹脂の終点
    と判断して報知するようにしたことを特徴とするイオン
    交換式純水製造装置の終点検知方法。
  2. 【請求項2】 イオン交換によって純水を製造し、製造
    された純水の純度を電気伝導率計によって測定して、そ
    の電気伝導率からイオン交換樹脂の終点を検知するイオ
    ン交換式純水製造装置の終点検知装置において、 製造されつつある純水の単位時間における電気伝導率の
    変化を測定し、該測定された変化が予め定められた基準
    変化率よりも小さいときに安定状態と判断する手段と、
    安定状態と判断された時点での電気伝導率の測定値と予
    め定められた電気伝導率基準値とを比較する手段と、前
    記安定状態と判断された時点での電気伝導率の測定値が
    前記電気伝導率基準値を越える場合に警報を発生する手
    段とを備えたことを特徴とするイオン交換式純水製造装
    置の終点検知装置。
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