JP3209094U - 香料シート - Google Patents

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Abstract

【課題】有機溶剤の使用を不要とした香料シートを提供する。【解決手段】香料1を坦持させた無機多孔体からなる香料坦持体3と燃焼酸化剤4が水性バインダーを介して基材シート5に保持されている。【選択図】図1

Description

本考案は、薫香などの香りを楽しむことができる香料シートに関する。
従来、紙などに特殊な香料を含浸させ乾燥させた香料シートが知られている。この香料シートは、点火されることにより燃焼し、香りを出す。香料シートは、薫香など香りを楽しむ目的や、室内の悪臭を除去する目的のために用いられている。例えば、特許文献1には、香料と酸化剤とを紙に含浸させて作製された香料含有紙が開示されている。
実用新案登録第3166743号公報
香料シートを作製するためには、まず硝酸カリウムなどの酸化剤水溶液に紙などの基材シートを浸積するか、または酸化剤水溶液を基材シートに噴霧するなどして、酸化剤含有シートが作製される。この酸化剤含有シートは、乾燥された後、香料や香料アルコール溶液で賦香処理され、最後に再乾燥される。
このような従来の香料シートの作製工程においては、香料の溶剤としてアルコールなどの有機溶剤が用いられている。しかし、有機溶剤は、法律上危険物として指定されており、その取扱に一定の制限が課される。このため、香料シートの製造現場や製造者に制約が課され、製造が困難であった。
本考案はこのような事情を考慮してなされたもので、有機溶剤の使用を不要とした香料シートを提供することを目的とする。
本考案に係る香料シートは、上述した課題を解決するために、香料を無機多孔体に坦持させた香料担持体を、燃焼酸化剤とともに水性バインダーを介して基材シートに保持させることで解決できることを知見した。
本考案の香料シートはかかる知見に基づきなされたもので、請求項1記載の通り、香料を無機多孔体に坦持させた香料坦持体と燃焼酸化剤が水性バインダーを介してシート基材に保持されてなることを特徴とする。
また、請求項2記載の香料シートは、請求項1に記載の香料シートにおいて、前記基材シート100質量部に対し、前記香料5〜15質量部と、前記無機多孔体0.5〜1.5質量部と、前記燃焼酸化剤0.1〜1.5質量部と、前記水性バインダー0.1〜0.3質量部とを含むことを特徴とする。
また、請求項3記載の香料シートは、請求項1または2に記載の香料シートにおいて、前記基材シートは紙であることを特徴とする。
また、請求項4記載の香料シートは、請求項1乃至3の何れか1項に記載の香料シートにおいて、前記無機多孔体はシリカゲルであることを特徴とする。
また、請求項5記載の香料シートは、請求項4に記載の香料シートにおいて、前記シリカゲルの平均粒径は1.0〜40μmであることを特徴とする。
また、請求項6記載の香料シートは、請求項1乃至5の何れか1項に記載の香料シートにおいて、前記水性バインダーはカルボキシメチルセルロースであることを特徴とする。
また、請求項7記載の香料シートは、請求項1乃至5の何れか1項に記載の香料シートにおいて、前記水性バインダーはポリビニルアルコールであることを特徴とする。
また、請求項8記載の香料シートは、請求項1乃至7の何れか1項に記載の香料シートにおいて、前記燃焼酸化剤は硝酸カリウムであることを特徴とする。
本考案に係る香料シートにおいては、香料を無機多孔体に坦持させた香料担持体を燃焼酸化剤とともに水性バインダーを介して基材シートに保持させるため、有機溶剤の使用を不要とすることができる。
本考案に係る香料シートの一実施形態を説明するための斜視図 同一実施形態における香料坦持体の拡大説明図
本考案に係る香料シートの実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本考案に係る香料シートの一実施形態を説明するための斜視図であり、図2は同一実施形態における香料坦持体の拡大説明図である。
本考案では、図2に示すように香料1を無機多孔体2に坦持させた香料坦持体3を作成しておき、このようにして得られた香料坦持体3を、図1に示すように、燃焼酸化剤4とともに図略の水性バインダーを介して基材シート5に保持させたものである。
前記基材シート5としては、水などの液体を十分に吸収、含浸する必要があり、例えばパルプ100%からなる紙などが挙げられる。尚、基材シート5は前記パルプ100%からなる紙に限らず、コート紙や特殊印刷紙なども使用できる。但し、基材シート5は、燃焼時に臭いを発生させる合成繊維を含まないことが好ましい。
前記香料1としては、ベンゾイン、オリバナム、ミルラなどの植物性のレジノイド香料や、動物性のムスク系香料などが挙げられる。香料1は、商品のコンセプトにより適宜選択される。例えば、アロマテラピーなどで使用する場合や香りの残存性を持たせる場合、コンクリートおよびレジノイド系天然香料、固化結晶性天然香料、または合成香料を用いるのが好ましい。また、香料1の配合量は、香りの揮散性と保香残香性の観点から、前記基材シート100質量部に対して5〜15質量部とする必要があるが、8〜10質量部の範囲が好ましい。
香料坦持体3を形成するための無機多孔体2は、香料1を坦持することができる微粉末であり、例えばシリカゲルや、アルミナなどが挙げられる。無機多孔体2がシリカゲルである場合、結晶性の香料のみならず多種の香料を使用することができ、また油性原料に対する吸収力を有することから香料1の高い保持力を有するため好ましい。
燃焼酸化剤4は、香料シート10を継続して無炎燃焼させるものであり、硝酸カリウム、硝酸ナトリウムなどの各種硝酸塩や過塩素酸塩などが挙げられる。燃焼酸化剤4は、取り扱いの安全性の観点から、食品添加剤としても認められている硝酸カリウムを用いるのが好ましい。燃焼酸化剤4の配合量は、燃焼の継続性と安全性の観点から、前記基材シート100質量部に対して0.1〜1.5質量部とする必要があるが、0.5〜1.2質量部の範囲が好ましい。
水性バインダーは、香料坦持体3を分散させるとともに基材シート5に保持させるためのものであり、カルボキシメチルセルロース(CMC)またはポリビニルアルコール(PVA)などである。
これら香料1、無機多孔体2、香料坦持体3、燃焼酸化剤4、および水性バインダーは、食品または食品添加物グレードである材料を選ぶことにより、安全性の高い香料シートを作製することができる
香料シート10の使用に際しては、マッチ、火器などで香料シート10に点火した後、火を吹き消して、無炎燃焼させて使用する。香料1は、この燃焼熱により発香する。香料シート10は、薫香以外にも、室内のフレグランスオーナメントとしてテーブルの上に置かれたり、壁に貼られたりすることによりルームフレグランスとして使用される。
次に、香料シート10の製造方法について説明する。
まず、無機多孔体2の多孔内に香料1を坦持させることにより、香料坦持体3を作製する。並行して、燃焼酸化剤4と水とからなる酸化剤水溶液に、水性バインダーを混合、撹拌し、燃焼酸化剤4と水性バインダーを含有した水溶液を作製する。酸化剤水溶液濃度は、基材シート5の品質に依存する浸透度に応じて調節される。例えば、香料シート10の燃焼速度が速い場合には、硝酸カリウムの濃度が高い恐れがある。水は蒸留水、精製水、水道水などが使用できる。香料1に影響を及ぼす不純物やコストの観点から、水は精製水が好ましい。このように作製した水性バインダー含有水溶液に香料粉末を混合、撹拌し、香料液を作製する。
次ぎに、香料液を基材シート5に塗布または噴霧する。このとき、燃焼性の観点から、香料液が基材シート5に十分に浸透されることが好ましい。最後に、香料液が塗布または噴霧された基材シート5を、乾燥させる。乾燥が不十分な場合には、燃焼が不十分であったり、煙が多くなったりする恐れがあるため、十分に乾燥させる必要がある。これら工程により、香料シート10は製造される。
このような香料シート10は、従来の香料シートのように香料を水に溶解するための有機溶剤を使用する必要がなく、製造に際し原料の取扱が容易である。
[実施例1]
まず、平均粒径1〜30μmのシリカゲル微粉末(東ソー・シリカ株式会社 AZ−200)1質量部に、レジノイドベンゾイン9質量部を混合し、香料坦持体10質量部を作製した。また、硝酸カリウム1.5質量部と精製水98.5質量部とからなる硝酸カリウム水溶液100質量部を作製した。この硝酸カリウム水溶液に、カルボキシメチルセルロース0.1質量部を混合、撹拌し、粘性のカルボキシメチルセルロース水溶液を作製した。得られた粘性カルボキシメチルセルロース水溶液に、香料坦持体を混合、撹拌し、香料液を作製した。
次に、ステンレス製トレイの中に設置したネット(網)の上に置かれた基材シートとしてのA4サイズのパルプ100%からなる紙100質量部に、トリガータイプのスプレーディスペンサーを用いて、香料液を均一に噴霧した。最後に、香料液が噴霧された紙を、トレイの中のネット(網)の上で、28〜30℃で8〜10時間風乾し、香料シートを得た。
得られた香料シートは、アルコールを用いることなく作製され、優れた燃焼性、発香性が確認された。
[実施例2]
次ぎに、前記実施例1におけるカルボキシメチルセルロース0.1質量部をポリビニルアルコール0.2質量部に代えたこと以外は前記実施例1と同様にして香料シートを作成した。
得られた香料シートは、アルコールを用いることなく作製され、やはり優れた燃焼性、発香性が確認された。
1 香料
2 無機多孔体
3 香料坦持体
4 燃焼酸化剤
5 基材シート
10 香料シート

Claims (8)

  1. 香料を坦持させた無機多孔体からなる香料保持体と燃焼酸化剤が水性バインダーを介して基材シートに保持されている香料シート。
  2. 前記香料シートは、前記基材シート100質量部に対し、前記香料5〜15質量部と、前記無機多孔体0.5〜1.5質量部と、前記燃焼酸化剤0.1〜1.5質量部と、前記水性バインダー0.1〜0.3質量部とを含む請求項1に記載の香料シート。
  3. 前記シート基材は紙である請求項1または2に記載の香料シート。
  4. 前記無機多孔体はシリカゲルである請求項1乃至3の何れか1項に記載の香料シート。
  5. 前記シリカゲルの平均粒径は1.0〜40μmである請求項4に記載の香料シート。
  6. 前記水性バインダーはカルボキシメチルセルロースである請求項1乃至5の何れか1項に記載の香料シート。
  7. 前記水性バインダーはポリビニルアルコールである請求項1乃至5の何れか1項に記載の香料シート。
  8. 前記燃焼酸化剤は、硝酸カリウムである請求項1乃至7の何れか1項に記載の香料シート。
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