JP3209015B2 - 制動エネルギ回収装置付車両用エンジン - Google Patents

制動エネルギ回収装置付車両用エンジン

Info

Publication number
JP3209015B2
JP3209015B2 JP24578194A JP24578194A JP3209015B2 JP 3209015 B2 JP3209015 B2 JP 3209015B2 JP 24578194 A JP24578194 A JP 24578194A JP 24578194 A JP24578194 A JP 24578194A JP 3209015 B2 JP3209015 B2 JP 3209015B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydraulic
switching valve
vehicle
engine
pressure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP24578194A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0874608A (ja
Inventor
洋一郎 河野
純也 渡邊
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Motors Corp filed Critical Mitsubishi Motors Corp
Priority to JP24578194A priority Critical patent/JP3209015B2/ja
Publication of JPH0874608A publication Critical patent/JPH0874608A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3209015B2 publication Critical patent/JP3209015B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Supercharger (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両、特に発進、停止
が頻繁にくり返される路線バスに採用されて好適な制動
エネルギ回収装置付車両用エンジンに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、路線バス等のエンジンに、油圧モ
ータを駆動源とする容積型の過給機を設けると共に、エ
ンジンのクランク軸に連動して駆動される可変容量型の
油圧ポンプを設け、同油圧ポンプから吐出された圧油を
上記過給機駆動用の油圧モータに供給するようにした過
給機付車両用エンジンが採用されている。
【0003】いま、上記従来の過給機付車両用エンジン
の概略構造を、図12の概念的構成図について説明する
と、図中符号10は路線バス用の4サイクルディーゼル
エンジンを総括的に示し、同エンジン10は吸気管12
及び排気管14を具えている。吸気管12の主吸気通路
16には、ルーツ式、リショルム式等適宜型式の容積型
過給機18が介装され、同過給機18は斜板式アキシャ
ルピストン型油圧モータ、ギヤモータ等適宜の油圧モー
タ20によって駆動される。
【0004】一方、エンジン10のクランク軸22に動
力取出用のクランク歯車24が設けられ、同クランク歯
車24はアイドラギヤ26を介してポンプ駆動歯車28
を駆動する。同ポンプ駆動歯車28は、可変容量型油圧
ポンプ30のポンプ軸30′に固着され、同油圧ポンプ
30には、ポンプ軸30′と一体に回転するシリンダブ
ロックと、同シリンダブロックに形成されポンプ軸の軸
線と同心の円筒面又は円錐面内に夫々の軸線が含まれる
複数のシリンダと、同シリンダ内に摺動自在に嵌装され
たポンプピストン又はプランジャと、ポンプ軸軸線に対
する傾斜角を変化させることができる可動斜板又は傾転
板と、同傾転板のポンプ軸軸線に直角な平面に対する傾
き角即ち傾転角を制御することによって上記ピストン又
はプランジャの有効ストロークを変化させ吐出作動油量
を制御するアクチュエータとからなる自体公知の斜板式
可変容量型油圧ポンプ、その他適宜の可変容量型油圧ポ
ンプが採用される。
【0005】なお、同図中、符号32はオイルタンク又
は油溜、34は上記クランク軸22の出力側端部に固着
されたフライホィール、36は上記排気管14の大気開
口端よりやや上流側に設けられたマフラである。また、
上記フライホィール34は、図示を省略されているクラ
ッチ装置と協働し、同クラッチ装置はトランスミッショ
ン装置、プロペラシャフト、ディファレンシャルギヤ装
置及び車軸を介して車両の駆動輪に連結されて、車両の
動力伝達系を構成する。さらに、上記の吸気管12に
は、必要に応じ容積型過給機18をバイバスして外気を
自然吸気としてエンジンに取り入れるバイパス吸気通路
38が設けられ、同バイパス吸気通路38には、同通路
を開閉する開閉弁40が設けられている。
【0006】上記従来の容積型過給機付車両用エンジン
を路線バスに採用した場合、発進時及び加速時等高負荷
時に、可変容量型油圧ポンプ30の吐出油量を増大させ
て油圧モータ20に対する圧油供給量を増量することに
より、容積型過給機18の吸気吐出量を、燃料の増量に
見合い増加させることができるので、排気ガス中のスモ
ーク量の増大を効果的に抑制することができる。しかし
ながら、頻繁に発進及び停止を繰り返す路線バス特有の
走行モードに起因する走行燃費の劣悪さを改善すること
はできなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑み創案されたもので、発進及び加速時における排気ガ
ス中のスモーク量を有効に低減することができると共
に、走行燃費を効果的に改善することができ、発進及び
停止を頻繁に繰り返す走行モードの路線バスに特に好適
な(勿論路線バス用に限定されるものではないが)車両
用エンジンを提供することを主たる目的とし、さらに制
動エネルギの吸収量が大きく、従って常用ブレーキの負
担を軽減することができるこの種車両用エンジンを提供
することを他の目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、吸気弁の開弁時期を変更することができ
る吸気弁閉鎖時期変更装置を具備した車両用エンジン
と、油圧モータによって駆動され上記エンジンに加圧さ
れた吸気を供給する容積型過給機と、車両の動力伝達系
に介装され上記エンジン及び車両の制動エネルギによっ
て駆動される可変容量型油圧ポンプと、上記油圧モータ
の作動油入口と上記可変容量型油圧ポンプの作動油吐出
口とを接続する主油圧回路と、同主油圧回路に接続され
た分岐油圧回路と、同分岐油圧回路に介装された蓄圧器
と、上記分岐油圧回路の分岐部と上記油圧モータとの間
の主油圧回路に設けられた第1切換弁と、上記分岐部と
蓄圧器との間の分岐油圧回路に設けられた第2切換弁
と、上記第1切換弁及び第2切換弁を車両及びエンジン
の運転状態に応じ開閉する制御装置とを有し、上記制御
装置は、車両の減速時に車速が第2の設定車速に低下す
るまでの間、上記第1切換弁を閉止すると共に上記第2
切換弁を開放することにより、上記可変容量型油圧ポン
プの吐出作動油を上記分岐油圧回路を介して上記蓄圧器
に蓄積させ、アクセル開度が第1の所定開度以上かつ上
記第1の所定開度より大きい第2の所定開度未満の車両
の加速時には、車速が上記第2の設定車速より高速の第
1の設定車速に上昇するまで、または上記蓄圧器内に蓄
積された作動油の圧力が設定圧力より低下するまでの
間、上記第1切換弁並びに第2切換弁を開放し上記容積
型過給機の吐出吸気圧が所定圧力とる流量の圧油を上
記蓄圧器から上記油圧モータに供給すると共に上記吸気
弁閉鎖時期変更装置により吸気弁の早閉じを行う一方、
アクセル開度が上記第2の所定開度以上の加速時は、上
記第1切換弁を開放すると共に上記第2切換弁を閉止
し、上記可変容量型油圧ポンプの吐出容量をアクセル開
度に応じて可変することにより、アクセル開度に応じて
変化する流量の圧油を上記可変容量型油圧ポンプから上
記油圧モータに供給すると共に上記吸気弁閉鎖時期変更
装置による吸気弁の上記早閉じを中止することを特徴と
する制動エネルギ回収装置付車両用エンジン、を提案す
るものである。
【0009】上記本発明において、上記可変容量型油圧
ポンプが、ポンプ軸に直角な平面に対してなす傾転角を
制御することによって吐出作動油量を制御することがで
きる傾転板を有する斜板式可変容量型油圧ポンプである
ことが好ましい。
【0010】また、上記本発明において、上記第2切換
弁と蓄圧器との間の上記分岐油圧回路に、車両及びエン
ジンの運転状態に応じて通路面積を制御される可変オリ
フィス又は絞り弁が介装されることが好ましい。
【0011】さらに、上記本発明において、上記制御装
置が、エンジンに対する燃料供給量を表わすアクセル開
度、常用ブレーキ作動用ブレーキペダルの踏力、及び車
速に応じて、上記可変容量型油圧ポンプの吐出作動油
量、上記第1切換弁及び第2切換弁の開閉、並びに吸気
弁閉鎖時期変更装置を夫々制御することが好ましい。
【0012】また、本発明の実施に際しては、上記アク
セル開度が設定開度以上で、車速が第1の設定車速未満
であり、さらに蓄圧器内の作動油圧力が第1設定値以上
のときに、上記制御装置により、第1切換弁及び第2切
換弁が共に開放されて上記蓄圧器の高圧作動油が油圧モ
ータに供給され容積型過給機が駆動されると共に、上記
吸気弁閉鎖時期変更装置が作動され吸気弁が早閉じされ
ることが望ましい
【0013】さらに、本発明の実施に当っては、上記ア
クセル開度が第1設定開度より大きい第2設定開度以上
のときに、上記制御装置により、可変容量型油圧ポンプ
がアクセル開度に応じ増大する作動油量を吐出するよう
に制御されると共に、第1切換弁が開放され、かつ第2
切換弁が閉止されて、上記油圧ポンプの吐出作動油によ
り油圧モータが駆動され上記容積型過給機により加圧さ
れた吸気がエンジンに供給されるように構成されること
が有利である。
【0014】なおまた、本発明の実施に当って、車速が
低速の第2設定車速以上でかつ常用ブレーキのブレーキ
ペダルが踏み込まれたときに、上記制御装置により、可
変容量型油圧ポンプがブレーキ踏力に応じて増大する作
動油を吐出するように制御されると共に、第1切換弁が
閉止されかつ第2切換弁が開放されて、上記油圧ポンプ
の吐出作動油が上記分岐油圧回路を通り蓄圧器に供給さ
れるように構成されることが望ましい。
【0015】さらにまた、本発明の実施に際しては、
記容積型過給機の吐出吸気圧力が、4〜12kg/cm
好ましくは10kg/cm程度であることが有利で
あり、また、上記蓄圧器内の高圧作動油が、上記可変オ
リフィス又は絞り弁、第2切換弁及び第1切換弁を経て
油圧モータに供給されるとき、同油圧モータにより駆動
される容積型過給機の吐出吸気圧力が設定圧力になるよ
うに、上記可変オリフィス又は絞り弁の通路面積が制御
されるように構成されることが望ましい
【0016】
【作用】本発明によれば、車両の走行中、ブレーキペダ
ルが踏み込まれたときに、上記可変容量型油圧ポンプが
車両の制動エネルギを効果的に吸収して高圧の圧油を吐
出し、この吐出圧油は上記分岐油圧回路に接続された蓄
圧器に貯えられる。車両の発進及び加速時には、上記蓄
圧器に貯えられた高圧の圧油が油圧モータに供給されて
容積型過給機が高速度回転され、吸気を4〜12kg/
cm、好ましくは10kg/cmの高圧に加圧す
る。一方、発進及び加速のために、アクセルペダルが設
定踏み込み量以上踏み込まれると、エンジンの吸気弁閉
鎖時期変更装置が作動して吸気弁が早期に閉じられ、サ
イクル熱効率が優れたミラーサイクルのエンジンとして
運転し、また吸気弁の早期閉鎖にも拘わらず、上記高圧
の過給吸気が供給されるので、エンジンは高出力、高効
率の運転を行なう。上記のように、車両の制動エネルギ
を可変容量型油圧ポンプにより圧油の圧力エネルギに変
換して蓄圧器に貯え、蓄圧器に貯えられた圧油のエネル
ギを利用して容積型過給機を駆動し高圧の吸気を得るこ
とと、エンジン側で吸気弁を早期に閉じて高効率のミラ
ーサイクル運転を行なうこととの相乗効果によって、発
進及び加速時のスモーク性能の向上と、走行燃費の改善
とが同時に達成される。
【0017】
【実施例】以下本発明の実施例を、図1ないし図11を
参照して説明する。(なお、図12を参照して前述した
従来の構成と実質的に同一又は対応する部材及び部分に
は同一符号を付し、重複説明は省略する。) 先づ、図1の概略図に示されているように、本発明によ
れば、容積型過給機18を駆動する油圧モータ20のオ
イル入口と、可変容量型油圧ポンプ30のオイル吐出口
とを接続する主油圧回路42に第1切換弁44が介装さ
れると共に、上記油圧ポンプ30のオイル吐出口と第1
切換弁44との間の主油圧回路42に分岐油圧回路46
が接続される。
【0018】上記分岐油圧回路46には、適宜の蓄圧器
48、好ましくはピストン・スプリング式の蓄圧器が接
続され、同蓄圧器48の上流側における分岐油圧回路4
6内に、上流側から順次に、第2切換弁50と可変オリ
フィス又は絞り弁52とリリーフ弁54及びオイルクー
ラ56とが接続され、同オイルクーラ56は勿論オイル
タンク又は油溜32に連通しており、エンジン10の冷
却水又は走行風を冷却媒体として作動油を冷却する。な
お符号58は可変容量型油圧ポンプ30の作動油吐出口
と、分岐油圧回路46の分岐部との間の主油圧回路42
に介装された逆流防止用の逆止弁、60は可変オリフィ
ス又は絞り弁52をバイパスしてその両端を分岐油圧回
路46に接続されたバイパス油路62に設けられた逆止
弁である。なおまた、上記第1及び第2切換弁44及び
50、可変容量型油圧ポンプ30、並びに可変オリフィ
ス又は絞り弁52、さらにその詳細については後述する
エンジン10の吸気弁閉鎖時期変更装置は、図1に概念
的に示されているコントローラ又は制御装置64によっ
て、夫々制御される。
【0019】上記容積型過給機18は、通常よりは可成
高圧例えば4〜12kg/cm、好ましくは10kg
/cmの過給吸気を得るために、リショルム型エアコ
ンプレッサ等高圧エアコンプレッサが採用され、また蓄
圧器48は、車両への搭載スペーサと高圧作動油として
貯えられるべきエネルギ即ち発進及び加速時に油圧モー
タ20に与えられるべき作動油の圧力エネルギの観点か
ら250kg/cm〜300kg/cmの高圧力に
対して十分な耐久性と安全性とを有し、しかも車両の搭
載スペース上許容され得る範囲でなるべく大きな容量を
有する、故障が少なく耐久性が優れた安価なピストン・
スプリング式蓄圧器が好適である。さらに、油圧モータ
20には、作動媒体として上記高圧作動油が使用される
ので、固定傾転角の傾斜板を有するアキシャルピストン
型油圧モータを採用することが好ましい。
【0020】また、上記可変容量型油圧ポンプ30に
は、図2及び図3に示されているような可変傾転角の斜
板又は傾転板を有するアキシャルピストン型油圧ポンプ
を使用することが好ましい。図示のように油圧ポンプ3
0は、ポンプ軸30′にスプライン結合されたシリンダ
ブロック66を具え、同シリンダブロック66には、ポ
ンプ軸の軸線と同心の円筒面又は円錐面(図示の場合は
後者が例示されている)内に夫々の軸線が含まれる複数
のシリンダ68が形成されている。上記シリンダ68に
夫々ピストン又はプランジャ70が摺動自在に嵌装さ
れ、各ピストン70のシリンダ外に突出した球状端部7
2にはシュー74が係合している。
【0021】上記シリンダブロック66は、略円筒状を
なす内周面を有するケーシング76内に自在に回転し得
るように収容され、同ケーシング76には、そのポンプ
軸線方向の両端部にエンドプレート78及び80が装着
されている。またケーシング76の内部に環状の斜板又
は傾転板82がポンプ軸30′の外側に同心的に配設さ
れ、同傾転板82の一側面に、上記各ピストン70のシ
ュー74が摺接している。
【0022】上記傾転板82には、同傾転板の上記シュ
ー74に摺接する一側面が、ポンプ軸30′の軸線に直
交する平面に対してなす角度、所謂傾転角(θ)を調
整するためのピン84が係合し、同ピン84は傾転角制
御用ピストン86の外側に突設されている。傾転角制御
用ピストン86は、ケーシング76に取付けられたシリ
ンダ88内に摺動自在に嵌装され、その両側の圧力室9
0a及び90bには、ピストン86を常時中立位置に向
い付勢する中立ばね92a及び92bが配設されてい
る。また上記エンドプレート78には、オイルタンク3
2内の作動油を吸入する吸入孔94a及び加圧された作
動油を吐出する吐出孔94bが設けられている。
【0023】上記傾転角制御用ピストン86は、図3に
総括的に符号96で示されている容量制御用電磁弁装置
によって制御される。同電磁弁装置96は4ポートサー
ボ弁であって、スプール98と、同スプール98の両端
部に設けられたソレノイド100a及び100bとを具
え、これらのソレノイド100a及び100bは、夫々
電源コネクタ100cを介して前記コントローラ又は制
御装置64に接続されている。上記スプール98は、ソ
レノイド100a及び100bに供給されるコントロー
ラ又は制御装置64からの駆動信号の制御電流値に応じ
て変位し、ソレノイド100a及び100bの何れにも
駆動信号が供給されないときは、同スプール98は図示
の中立位置に保持される。
【0024】また、コントローラ又は制御装置64から
ソレノイド100a及び100bの何れかに駆動信号が
与えられると、スプール98が駆動信号値に応じて変位
し、エンジン10に通常付設されているオイルポンプ
(後述する図4の符号154参照)からの作動油が上記
傾転角制御用ピストン86の一方の圧力室90a又は9
0bに供給されると共に、他方の圧力室90b又は90
aが後述するオイルタンク174又は上記オイルタンク
32に連通して排油され、この結果、傾転板82の傾転
角θが制御される。このとき、傾転角制御用ピストン
86の変位がフィードバック機構102を介して上記ス
プール98に伝達され、同スプール98が中立位置に復
帰して、傾転板82の傾転角θが所要の角度に制御さ
れる。ポンプ軸30′が回転することによって、ピスト
ン70が傾転角θに応じたストロークで往復動して吸
入孔94aから吸入した作動油を高圧に加圧して吐出孔
94bから上記主油圧回路42に供給する。また勿論傾
転角θが0のときは、ピストン70が往復動を行なわ
ず、油圧ポンプ30の吐出量は零となる。なお、上記可
変容量型油圧ポンプ30の構造はそれ自体公知であるの
で、より詳細な説明は省略する。
【0025】次に、上記エンジン10には、通常のディ
ーゼルエンジン又はガソリンエンジンよりも理論熱効率
が高いことで知られているミラーサイクルを具現するた
めの吸気弁閉鎖時期変更装置又は吸気弁早閉じ装置が設
けられている。いま、上記吸気弁閉鎖時期変更装置の具
体的構造の一例を、図4ないし図8を参照して説明す
る。
【0026】先づ、図4の装置全体を示した構成図にお
いて、符号104は上記エンジン10のクランクケー
ス、106は同クランクケース104内に支持され前記
クランク軸22に連動してその1/2の回転数で回転さ
れるカム軸、108は同カム軸106上に一体的に形成
された吸気カム、110は同吸気カム108に対向して
クランクケース104内に形成されたガイド孔、112
は同ガイド孔110内に摺動自在に嵌装され下端が開口
した有底円筒状又は下向きカップ状のタペットボディ、
114は同タペットボディ112内に摺動自在にかつ同
軸的に嵌装されたプランジャ、116は同プランジャ1
14に同軸的に形成された中空孔118内に摺動自在に
嵌装されたプッシュピン、120は上記プランジャ11
4の中空孔118内に収容され上記プッシュピン116
をタペットボディ112の上方閉端面に向い押圧すると
共に同プランジャ114の下端面を上記吸気カム108
に対し圧接させるリターンスプリングである。
【0027】上記タペットボディ112の上端面には、
プッシュロッド122の下端球面部を受容する凹所12
4が形成され、同プッシュロッド122の上端部は、図
示しないシリンダヘッド上にロッカシャフトを介し枢支
されたロッカアーム126の一端に螺合されたアジャス
ティングスクリュ128に作動的に連結され、また同ロ
ッカアーム126に他端は図中に二点鎖線でその一部の
みが示されている吸気弁Vのステム130に当接して
いる。また、タペットボディ112の下端部外周にエン
ドリング132が外嵌され、同エンドリング132はス
ナップリング134によってクランクケース104に固
定されている。
【0028】上記プランジャ114の内部に、その中空
孔118と同中空孔内に嵌装されたプッシュピン116
とによって第1油室136が形成され、同第1油室13
6は油孔138を介してプランジャ114の外周に形成
された第1環状溝140に連通している。第1環状溝1
40は、油孔142を介してタペットボディ112の外
周に凹設された第2環状溝144に連通し、同第2環状
溝144に臨むガイド孔110の内周面には、タペット
ボディ112の上下変位に拘わらず常時第2環状溝14
4に連通する第3環状溝146が凹設されている。ま
た、タペットボディ112のランド148と上記エンド
リング132とによって、タペットボディ112の外周
を囲む環状の第2油室150が形成され、さらに上記ラ
ンド148に隣接するガイド孔110の内周面に環状の
第3油室152が形成されている。
【0029】上記第1油室136に油孔138、第1環
状溝140、油孔142及び第2環状溝144を介して
連通する第3環状溝146には、オイルポンプ154か
ら吐出圧油が逆止弁156を具えた第1オイル通路15
8から供給され、また同第3環状溝146又は逆止弁1
56より下流の第1オイル通路158に、常閉の電磁弁
160によって開閉を制御される第1排出通路162が
接続されている。また上記第2油室150には、上記オ
イルポンプ154の吐出圧油が逆止弁164を具えた第
2オイル通路166から供給され、同第2油室150又
は逆止弁164より下流の第2オイル通路166に、流
量制御用のオリフィス又は絞り弁168を具えた第2排
出通路170が接続されている。さらに、上記第3油室
152には第3排出通路172が接続され、上記第1及
び第2オイル通路158及び166、第1ないし第3排
出通路162,170及び172は、夫々オイルタンク
又は油溜174に導かれている。このオイルタンク17
4は、前記可変容量型オイルポンプ30及びオイルモー
タ20のためのオイルタンク又は油溜32と共通のタン
クでもよい。なおまた、上記電磁弁160は前記コント
ローラ又は制御装置64によって開閉される。
【0030】上記吸気弁閉鎖時期変更装置の作動態様を
説明する。エンジン10の運転中、コントローラ又は制
御装置64には、車両の速度V、エンジンの回転数N
、各シリンダのクランク角θその他後に詳述する情
報が夫々センサから入力信号として供給される。そし
て、後述する吸気弁V早閉じの条件が満足されるまで
は、コントローラ64から電磁弁160に対して駆動出
力が供給されず、同電磁弁は閉鎖している。
【0031】この状態では、オイルポンプ154から吐
出された圧油が、第1オイル通路158、第3環状溝1
46、第2環状溝144、油孔142、第1環状溝14
0及び油孔138を経て第1油室136に供給され、プ
ッシュピン116がプランジャ114に対し上方に延出
する方向に押圧されるので、同プッシュピン116に当
接しているタペットボディ112とプランジャ114と
は、図5に示されているように、最大の合計長さを維持
しており、タペットボディ112に当接しているプッシ
ュロッド122を介して、ロッカアーム126が吸気弁
のステム130に隙間なく当接し、またプランジャ
114の下端面が隙間なく吸気カム108に当接してい
る。
【0032】一方、第2油室150には、第2オイル通
路166から圧油が供給され、この圧油は、吸気弁が開
かれる際には、図5に示されているように、第3油室1
52を経て第3排出通路172に、また吸気弁Vが閉
じる際には、図6に示されているように、第2排出通路
170を通りオリフィス又は絞り弁168により流量を
制限されてオイルタンク174に還流する。従って、吸
気カム108の回転に伴ない吸気弁Vは、図7のバル
ブリフト線図(縦軸にバルブリフトLをとり、横軸に
クランク角θをとって示した線図)に実線の曲線l
で示されているように通常の弁リフトモードで開閉す
る。なお、同図7に点線で示した曲線lは、図示を省
略されている排気弁のリフトである。
【0033】次に、車両の運転状態が後述する吸気弁V
の早閉じ条件を満足する状態になると、コントローラ
又は制御装置64から電磁弁160に対して、吸気カム
108が実質的に最大リフトに達したクランク角θ
近で駆動出力が供給され、同電磁弁160が開放され
る。従って、上記クランク角θに達するまでは、上記
図7に示したと同様に、吸気弁Vは実線のリフト曲線
に従って開き、クランク角θ付近で電磁弁160
が開いて第1排出通路162が大気に開放されると、第
1油室136内の圧油が第1排出通路162を経てオイ
ルタンク174内に排出されるため、図6に示されてい
るように、プッシュピン116がリターンスプリング1
20を圧縮しながら下方に変位して、タペットボディ1
12とプランジャ114の軸線方向の寸度が急速に縮少
し、図7の吸気弁リフト線図に一点鎖線lirで示され
ているように急閉して遂に全閉する。このとき、第2油
室150がランド148によって第3油室152との連
通を遮断されると、その時点以後同第2油室150内の
圧油が第2排出通路170からオリフィス168により
流量を制限されながらオイルタンク174に流出するの
で、変位降下量δの増大に伴ない第2油室150内の作
動圧油の圧力が高くなり、上記のように早閉じする吸気
弁Vの閉弁速度を低減させることができ、吸気弁V
の弁シートに対する着座時即ち閉弁終了時の衝撃を緩和
し、エンジンの運転騒音を低減することができる。
【0034】上記のように吸気弁Vを早閉じすること
により、過給機付4サイクルディーゼルエンジン10の
場合、図8に示されているようなP−V線図が得られ
る。同図8において点Aは吸気弁Vの早閉じ時点を表
わす。吸気弁Vの早閉じと、前記容積型過給機18に
より高圧の吸気、好ましくは10kg/cmに加圧さ
れた吸気が吸気弁Vからエンジンのシリンダ内に供給
されることによって、図中に斜線を施して示した領域B
に相当する分だけ正の仕事が得られることとなり、高い
熱効率が得られる。(なお、同図中の点線で示した領域
Dは、吸気弁Vが早閉じしない通常の4サイクルディ
ーゼルエンジンのP−V線図における吸気行程の負の仕
事を示す。)従って、エンジン10の種々の運転状態の
うち、発進時及び加速時等に、上記吸気弁Vの早閉じ
を行なうと共に、上記のような高圧過給を行なうことに
より、排気ガスのスモーク性能を改善しながら、加速性
能を向上し、同時に、後に詳述するように、車両の制動
エネルギを圧力のエネルギとして吸収した圧油を利用し
て容積型過給機18を駆動することにより、燃費の改善
が達成されることが明らかである。
【0035】一方、車両例えば路線バスの運転席付近の
フロアには、上記エンジン10に対する燃料供給量を制
御するため、図9に示されているように、アクセルペダ
ル176が配設されている。同アクセルペダル176
は、その下端部分にペダル軸178が固着され、ペダル
軸178はフロア180上のブラケット182に枢支さ
れている。また、同ペダル軸178には、例えばポテン
シオメータのようなアクセル開度Accを示す信号を発
するアクセル開度検知装置184が連結されている。な
お、同図中符号186はその一端を上記アクセルペダル
176に連結され、他端を図示しない燃料供給装置、例
えば燃料噴射ポンプの燃料供給制御部材に連結されたア
クセルケーブル又はロッド、188はフロア180上に
設けられ上記アクセルペダル176の最大開度(100
%開度)を規定するストッパである。さらに、運転席付
近のフロア180上に、常用ブレーキ作動用のブレーキ
ペダル(図示せず)が配置され、運転者が車両の減速及
び停止のために同ブレーキペダルを踏み込むと、その踏
力を示す信号Bが、図示しないブレーキ踏力検知装置
から発せられるように構成されている。車両が路線バス
の場合、常用ブレーキ装置には、空気式倍力装置により
動力援助されるブレーキ装置が広く採用されているの
で、上記ブレーキ踏力検知装置には、空気式倍力装置の
作動空気圧力又は同倍力装置により付勢されるブレーキ
マスタシリンダの油圧力に応動して、可変の電気信号を
発生する通常の踏力検知装置を有利に採用することがで
きる。
【0036】そして上記アクセル開度Accを表わす信
号、及びブレーキペダルの踏力Bを示す信号は、図1
に略示されているコントローラ又は制御装置64に入力
される。また、同図に示されているように、コントロー
ラ又は制御装置64には、エンジン10の回転数N
各気筒のクランク角θ、車両の走行速度V、上記可
変容量型油圧ポンプ30の傾転板82の傾転角θ、及
び蓄圧器48に貯溜されている圧油の圧力P及び過給
機18の吐出吸気圧力Pを示す信号が夫々入力され
る。
【0037】上述した車両用エンジン10を路線バスに
搭載した場合、走行モードの各状態に応じた各部材の作
動態様を説明する。 (1)先づ、路線バスがバスストップ等で停止し、エン
ジン10がアイドル運転を行っている場合、勿論、アク
セルペダル176が踏み込まれていないのでアクセル開
度Accは零、車速Vも零である。また油圧ポンプ3
0の傾転板82の傾転角θは零、従って同ポンプの吐
出量も零である。通常、蓄圧器48には設定圧力Pao
以上の高圧の作動油が貯溜されており、この高圧作動油
の流出を防ぐため第2切換弁50は閉止されている。エ
ンジン10のアイドル運転時には過給は必要ではなく、
第2切換弁50が閉、油圧ポンプ30の吐出油量が零で
あるので、第1切換弁44は開閉何れでもよく、過給機
駆動用油圧モータ20は休止している。また、エンジン
10は出力を必要としないので、前述した吸気弁早閉じ
装置は休止しており、さらに可変オリフィス又は絞り弁
52は、後に過給機18が駆動される際に、蓄圧器48
内の圧油が一時に油圧モータ20に供給されてショック
が発生することを防止するため、小さい開度に保持され
ている。いうまでもなく、上記第1切換弁44、第2切
換弁50、傾転板82の傾転角制御、及び可変オリフィ
ス又は絞り弁52の開度制御は、すべてコントローラ又
は制御装置64の出力信号に基づき行なわれる。
【0038】(2)次に、路線バスが上記停止状態から
発進する場合、アクセル開度Accが第1設定開度A
cc1(一例として50%開度)未満の緩発進時(道路
渋滞等のため急発進しないとき)は、上記各部材及び装
置は上記アイドル運転時と全く同様の状態を保ち、エン
ジン10の過給は行なわれず、吸気弁早閉じ装置も作動
しない。なお、この場合、アクセル開度Accが小さく
燃料供給量が少ないので、排気ガス中のスモーク量が増
大する不具合はない。また発進に当り、アクセル開度A
ccが上記第1設定開度Acc1=50%以上で、車速
が第1設定車速VH1(一例として40km/h、
以下同じ)に達するまでの間は、もし蓄圧器48内に貯
溜されている作動油の圧力Pが第1設定圧力P
a1(一例として190kg/cm)以上の場合、コ
ントローラ又は制御装置64により、第一切換弁44及
び第2切換弁50が共に開かれて油圧モータ20に蓄圧
器48から高圧の作動油が供給される。このとき可変オ
リフィス又は絞り弁52は、過給機18の吐出吸気圧力
が設定圧力Ps0(例えば4〜12kg/cm
範囲で適宜選択される。ここでは一例として10kg/
cm)になるような圧油流量が得られる開度に制御さ
れる。油圧モータ20により過給機18が駆動されて圧
力Ps0の加圧吸気がエンジン10に供給されると共
に、前記吸気早閉じ装置が作動して、エンジン10は熱
効率が優れたミラーサイクル運転を行ない、この際、設
定圧力Ps0の高圧吸気が供給されるので、前述したよ
うにエンジン10は高出力を発揮することができると共
に、排気ガス中のスモーク増大を確実に防止することが
できる。なお、コントローラ又は制御装置64によっ
て、油圧ポンプ30の傾転角θは零、従って吐出油量
は零に制御されるので、エンジン10の出力が油圧ポン
プ30の駆動に消費されることはなく、良好な加速性能
が確保される。
【0039】(3)発進後、車速Vが上記第1設定車
速VH1以上になるか、又は蓄圧器48に貯溜されてい
る圧油の圧力Pが消費されて上記第1設定圧力Pa1
以下に低下し、かつこのときのアクセル開度Accが上
記第1設定開度Acc1より大きい第2の設定開度A
cc2(一例として60%開度)未満の場合、コントロ
ーラ又は制御装置64により第2切換弁50が閉じられ
蓄圧器48から油圧モータ20への作動油の供給が遮断
される。油圧モータ20が停止してエンジン10に対す
る過給が行なわれなくなるので、吸気弁早閉じ装置は休
止してエンジン10のミラーサイクル運転は停止され
る。同時に、可変オリフィス又は絞り弁52は、後の油
圧モータ作動時のショックを防止するために小開度に設
定される。また油圧ポンプ30の傾転角θは依然零で
あり、その吐出量は零である。
【0040】(4)発進加速時であれ、定常走行中の加
速であれ、アクセル開度Accが上記第2設定開度A
cc2を超えると、油圧ポンプ30の傾転角θが、図
10の線図に示されているように、アクセル開度に比例
した角度θpm(但し、θpm=K×Acc;K
定数)にコントローラ又は制御装置64によって制御さ
れ、同油圧ポンプ30から傾転角θpmに応じた量の高
圧作動油が吐出される。同時に、第1切換弁44が開か
れると共に、第2切換弁50が閉じられ、油圧ポンプ3
0の吐出作動油の実質的全量が油圧モータ20に供給さ
れるので、過給機18が駆動されて、加圧された吸気が
エンジン10に供給され、同エンジン10はアクセル開
度Accに応じた高出力を発生する。第2切換弁50が
閉止されているので、油圧ポンプ30の吐出圧油が、ア
キュムレータ48に供給されることはなく、また可変オ
リフィス又は絞り弁52は、上記と同様の理由で小さい
開度に制御され、さらに吸気早閉じ装置は作動せず休止
している。なお、上記のようにエンジン10が過給運転
して走行しているときに、緩やかな減速のためエンジン
ブレーキ走行を行なう場合、アクセル開度Accが勿論
第2設定開度Acc2以下に低減するので、コントロー
ラ又は制御装置64により、油圧ポンプ30は傾転角θ
が零、即ち吐出量が零に制御され、油圧モータ20に
は作動圧油が供給されなくなって過給機18は停止し、
エンジン10は無過給運転に移行する。
【0041】(5)さらに、走行中に運転者が常用ブレ
ーキを使用して減速を行なう場合、車速Vが第2の設
定車速VH2(一例として車速10km/h)に低減す
るまでの間は、常用ブレーキ作動用のブレーキペダルの
踏込みによって、前記踏力検知装置のブレーキ踏力B
を示す信号が発せられ、この信号に基づき、コントロー
ラ又は制御装置64が、油圧ポンプ30の傾転角θ
次のように制御する。即ち、上記ブレーキ踏力Bと油
圧ポンプの傾転角θとの関係を示した図11に示され
ているように、ブレーキペダルの踏込み開始から適宜の
設定踏力Br1(一例として踏力60%)までは、ブレ
ーキ踏力Bに比例した傾転角θpn(但し、θpn
×B;Kは定数)に制御され、油圧ポンプ30
は傾転角θpnに応じた量の高圧作動油を吐出する。こ
のとき、コントローラ又は制御装置64により第1切換
弁44が閉止されると共に、第2切換弁50が開放され
ているので、上記油圧ポンプ30の吐出圧油は油圧モー
タ20には供給されず、全量が蓄圧器48に充填され、
車輌の制動エネルギが作動油の圧力エネルギに変換され
て吸収される。この間、可変オリフィス又は絞り弁52
の開度は大きく設定されて、上記蓄圧器48に流入する
作動油の流通損失が低減され、また勿論エンジン10は
高出力の必要がないので、吸気弁早閉じ装置は作動せず
休止している。上記の結果、蓄圧器48内の圧油の圧力
が、上記第1設定圧力Pa1より高い第2の設定圧
力Pa2(蓄圧器48の耐圧性等を考慮して設定され、
一例としては270kg/cm)以上になると、リリ
ーフ弁54が開き、油圧ポンプ30の吐出圧油はオイル
クーラ56により冷却されてオイルタンク32に還流す
る。
【0042】(6)常用ブレーキの作動及び上記油圧ポ
ンプ30による制動エネルギ吸収の結果、車速Vが前
記第1設定車速VH1より十分低い第2の設定車速V
H2(一例として、10km/h)以下になるか、又は
渋滞等のため車速Vが第2設定車速VH2以下の極低
速走行を行なう場合は、コントローラ又は制御装置64
によって、第2切換弁50が閉止され、油圧ポンプ30
の傾転角θが零、従ってポンプ吐出量が零に制御され
る。油圧モータ20には、油圧ポンプ30及び蓄圧器4
8の何れからも圧油が供給されない。第1切換弁44は
開閉何れでもよいが、例えば開に制御され、可変オリフ
ィス又は絞り弁52は、後の過給機作動時のショックを
防止するため小さい開度に設定され、勿論エンジン10
は高出力を必要としないので、吸気弁早閉じ装置は作動
しない。
【0043】上述したように、頻繁に発進、停止を繰り
返す走行モードの路線バスにおいて、その制動エネルギ
を可変容量式油圧ポンプ30を介して作動圧油の圧力エ
ネルギに変換して蓄圧器48に蓄え、バスの発進時に蓄
圧器48内の圧油を油圧モータ20に供給して過給機1
8を駆動し、高圧の吸気をエンジン10に供給すると共
に、吸気弁早閉じ装置を作動させて同エンジン10にミ
ラーサイクル運転を行なわせることによって、燃費の向
上、発進加速性の向上、及び排気ガス中のスモークの低
減を同時に達成することができる。なお、本発明は、路
線バスと同様に、頻繁な発進及停止を繰り返す物品配送
用の車輌等に適用されて同様の利点及び効果を奏し得る
ことは、明らかである。
【0044】なお、上記実施例では、可変容量型油圧ポ
ンプとして、傾転板を具えた斜板式アキシャルピストン
型油圧ポンプが例示されているが、同油圧ポンプに代
え、自体周知の斜軸型アキシャルピストン(又はプラン
ジャ)型油圧ポンプを採用することができる。同斜軸型
油圧ポンプは、シリンダブロック支持軸と、同シリンダ
ブロック支持軸に装架され複数のシリンダを具えたシリ
ンダブロックと、上記シリンダ内に摺動自在に嵌装され
たピストン又はプランジャと、同ピストン又はプランジ
ャの端部にボール接手を介して作動的に連結された駆動
軸とを具え、同駆動軸と上記シリンダブロック支持軸と
のなす角度を変化させることによって、上記ピストン又
はプランジャのストロークを変化させ吐出油量を変化さ
せるようにした高圧ポンプである。また、上記実施例で
は、可変容量型油圧ポンプが、エンジンのクランク軸に
歯車列を介して直接連動するように構成されているが、
同油圧ポンプをトランスミッション等動力伝達系の適所
に作動的に連結し、車輌の制動時に、車輌の走行慣性に
より駆動されて制動エネルギを吸収し圧油の圧力エネル
ギに変換するように構成することもできる。さらに、エ
ンジンの吸気弁閉鎖時期変更装置即ち吸気弁早閉じ装置
には、例示した装置以外の適宜の装置を採用し得ること
は、明らかである。
【0045】叙上のように、本発明に係る制動エネルギ
回収装置付車両エンジンは、吸気弁の開弁時期を変更す
ることができる吸気弁閉鎖時期変更装置を具備した車両
用エンジンと、油圧モータによって駆動され上記エンジ
ンに加圧された吸気を供給する容積型過給機と、車両の
動力伝達系に介装され上記エンジン及び車両の制動エネ
ルギによって駆動される可変容量型油圧ポンプと、上記
油圧モータの作動油入口と上記可変容量型油圧ポンプの
作動油吐出口とを接続する主油圧回路と、同主油圧回路
に接続された分岐油圧回路と、同分岐油圧回路に介装さ
れた蓄圧器と、上記分岐油圧回路の分岐部と上記油圧モ
ータとの間の主油圧回路に設けられた第1切換弁と、上
記分岐部と蓄圧器との間の分岐油圧回路に設けられた第
2切換弁と、上記第1切換弁及び第2切換弁を車両及び
エンジンの運転状態に応じ開閉する制御装置とを有し、
上記制御装置は、車両の減速時に車速が第2の設定車速
に低下するまでの間、上記第1切換弁を閉止すると共に
上記第2切換弁を開放することにより、上記可変容量型
油圧ポンプの吐出作動油を上記分岐油圧回路を介して上
記蓄圧器に蓄積させ、アクセル開度が第1の所定開度以
上かつ上記第1の所定開度より大きい第2の所定開度未
満の車両の加速時には、車速が上記第2の設定車速より
高速の第1の設定車速に上昇するまで、または上記蓄圧
器内に蓄積された作動油の圧力が設定圧力より低下する
までの間、上記第1切換弁並びに第2切換弁を開放し上
記容積型過給機の吐出吸気圧が所定圧力とる流量の圧
油を上記蓄圧器から上記油圧モータに供給すると共に上
記吸気弁閉鎖時期変更装置により吸気弁の早閉じを行う
一方、アクセル開度が上記第2の所定開度以上の加速時
は、上記第1切換弁を開放すると共に上記第2切換弁を
閉止し、上記可変容量型油圧ポンプの吐出容量をアクセ
ル開度に応じて可変することにより、アクセル開度に応
じて変化する流量の圧油を上記可変容量型油圧ポンプか
ら上記油圧モータに供給すると共に上記吸気弁閉鎖時期
変更装置による吸気弁の上記早閉じを中止することを特
徴とし、車両減速時には動力伝達系にて制動エネルギに
より駆動される可変容量型油圧ポンプで制動エネルギを
回収して蓄圧器に蓄積し、アクセル開度が第1の所定開
度以上かつ上記第1の所定開度より大きい第2の所定開
度未満の加速時には容積型過給機の吐出吸気圧を所定圧
力とすると共に吸気弁の早閉じによりエンジンをミラー
サイクル運転とすることで、エンジンの高出力を維持し
つつスモークの発生を防止する一方、アクセル開度が上
記第2の所定開度以上となる急加速時にはアクセル開度
に応じて変化する流量の圧油を上記可変容量型油圧ポン
プから油圧モータに供給してアクセル開度に応じた圧力
の過給空気がエンジンに供給されることによりアクセル
開度に応じた高出力を得ることができるという効果を奏
するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す車両用エンジン全体の
概略構成図である。
【図2】図1における可変容量型油圧ポンプ30の一例
を示す断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿い矢印方向に視た
断面図である。
【図4】図1の車両用エンジンにおける吸気弁閉鎖時期
変更装置の一例を示す概略構成図である。
【図5】図4に示した吸気弁閉鎖時期変更装置の吸気弁
リフト途中の状態を示した概略構成図である。
【図6】図4に示した吸気弁閉鎖時期変更装置の吸気弁
早閉じ作動時の状態を示した概略構成図である。
【図7】図4に示した吸気弁閉鎖時期変更装置の作用を
説明する弁リフト線図である。
【図8】図1に示した車両用エンジンの吸気弁閉鎖時期
変更装置の作動時(吸気弁早閉じ作動時)のP−V線図
である。
【図9】図1に示した車両用エンジンを搭載した車両の
アクセルペダルを含む燃料供給制御装置の一例を示した
側面図である。
【図10】図9に示したアクセルペダルの踏込み量(ア
クセル開度)と可変容量ポンプの傾転角(吐出量)との
関係を示した線図である。
【図11】図1に示した車両用エンジンを搭載した車両
の常用ブレーキ作動時におけるブレーキペダル踏力と可
変容量ポンプの傾転角との関係を示した線図である。
【図12】容積型過給機を具えた車両用エンジンの通常
の構成を示した概略構成図である。
【符号の説明】
10…車両用エンジン、12…吸気マニホールド、14
…排気マニホールド、18…容積型過給機、20…油圧
ポンプ、22…クランク軸、30…可変容量型油圧ポン
プ、42…主油圧回路、44…第1切換弁、46…分岐
油圧回路、48…蓄圧器、50…第2切換弁、52…可
変オリフィス又は絞り弁、54…リリーフ弁、56…オ
イルクーラ、64…コントローラ(制御装置)、66…
シリンダブロック、68…シリンダ、70…ピストン又
はプランジャ、82…傾転板又は斜板、86…傾転角制
御用ピストン、104…クランクケース、106…カム
軸、108…吸気カム、122…プッシュロッド、12
6…ロッカアーム、130…吸気弁ステム、176…ア
クセルペダル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−1213(JP,A) 特開 平5−340290(JP,A) 特開 平3−64649(JP,A) 特開 昭55−148932(JP,A) 実開 昭63−7240(JP,U) 実開 昭64−36546(JP,U) 実開 平2−141562(JP,U) 実開 平2−43427(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 13/02 F02B 39/08 F02B 61/00 F02D 43/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸気弁の開弁時期を変更することができ
    る吸気弁閉鎖時期変更装置を具備した車両用エンジン
    と、油圧モータによって駆動され上記エンジンに加圧さ
    れた吸気を供給する容積型過給機と、車両の動力伝達系
    に介装され上記エンジン及び車両の制動エネルギによっ
    て駆動される可変容量型油圧ポンプと、上記油圧モータ
    の作動油入口と上記可変容量型油圧ポンプの作動油吐出
    口とを接続する主油圧回路と、同主油圧回路に接続され
    た分岐油圧回路と、同分岐油圧回路に介装された蓄圧器
    と、上記分岐油圧回路の分岐部と上記油圧モータとの間
    の主油圧回路に設けられた第1切換弁と、上記分岐部と
    蓄圧器との間の分岐油圧回路に設けられた第2切換弁
    と、上記第1切換弁及び第2切換弁を車両及びエンジン
    の運転状態に応じ開閉する制御装置とを有し、上記制御
    装置は、車両の減速時に車速が第2の設定車速に低下す
    るまでの間、上記第1切換弁を閉止すると共に上記第2
    切換弁を開放することにより、上記可変容量型油圧ポン
    プの吐出作動油を上記分岐油圧回路を介して上記蓄圧器
    に蓄積させ、アクセル開度が第1の所定開度以上かつ上
    記第1の所定開度より大きい第2の所定開度未満の車両
    の加速時には、車速が上記第2の設定車速より高速の第
    1の設定車速に上昇するまで、または上記蓄圧器内に蓄
    積された作動油の圧力が設定圧力より低下するまでの
    間、上記第1切換弁並びに第2切換弁を開放し上記容積
    型過給機の吐出吸気圧が所定圧力とる流量の圧油を上
    記蓄圧器から上記油圧モータに供給すると共に上記吸気
    弁閉鎖時期変更装置により吸気弁の早閉じを行う一方、
    アクセル開度が上記第2の所定開度以上の加速時は、上
    記第1切換弁を開放すると共に上記第2切換弁を閉止
    し、上記可変容量型油圧ポンプの吐出容量をアクセル開
    度に応じて可変することにより、アクセル開度に応じて
    変化する流量の圧油を上記可変容量型油圧ポンプから上
    記油圧モータに供給すると共に上記吸気弁閉鎖時期変更
    装置による吸気弁の上記早閉じを中止することを特徴と
    する制動エネルギ回収装置付車両用エンジン。
  2. 【請求項2】 上記可変容量型油圧ポンプが、ポンプ軸
    に直角な平面に対してなす傾転角を制御することによっ
    て吐出作動油量を制御することができる傾転板を有する
    斜板式可変容量型油圧ポンプであることを特徴とする請
    求項1記載の制動エネルギ回収装置付車両用エンジン。
  3. 【請求項3】 上記第2切換弁と蓄圧器との間の上記分
    岐油圧回路に、車両及びエンジンの運転状態に応じて通
    路面積を制御される可変オリフィス又は絞り弁が介装さ
    れたことを特徴とする請求項1記載の制動エネルギ回収
    装置付車両用エンジン。
  4. 【請求項4】 上記制御装置が、エンジンに対する燃料
    供給量を表わすアクセル開度、常用ブレーキ作動用ブレ
    ーキペダルの踏力、及び車速に応じて、上記可変容量型
    油圧ポンプの吐出作動油量、上記第1切換弁及び第2切
    換弁の開閉、並びに吸気弁閉鎖時期変更装置を夫々制御
    することを特徴とする請求項1記載の制動エネルギ回収
    装置付車両用エンジン。
JP24578194A 1994-09-02 1994-09-02 制動エネルギ回収装置付車両用エンジン Expired - Fee Related JP3209015B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24578194A JP3209015B2 (ja) 1994-09-02 1994-09-02 制動エネルギ回収装置付車両用エンジン

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24578194A JP3209015B2 (ja) 1994-09-02 1994-09-02 制動エネルギ回収装置付車両用エンジン

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0874608A JPH0874608A (ja) 1996-03-19
JP3209015B2 true JP3209015B2 (ja) 2001-09-17

Family

ID=17138735

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24578194A Expired - Fee Related JP3209015B2 (ja) 1994-09-02 1994-09-02 制動エネルギ回収装置付車両用エンジン

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3209015B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102006042390A1 (de) * 2006-06-02 2007-12-06 Brueninghaus Hydromatik Gmbh Antrieb mit Energiespeichereinrichtung und Verfahren zum Speichern von kinetischer Energie
JP2008025551A (ja) 2006-07-25 2008-02-07 Yanmar Co Ltd ディーゼルエンジンのバルブタイミング制御方法
WO2011071529A1 (en) * 2009-12-08 2011-06-16 Hydracharge Llc Hydraulic turbo accelerator apparatus
US20120180480A1 (en) * 2011-01-19 2012-07-19 Davorin Kapich Hybrid turbocharger system with brake energy revovery
US20120180481A1 (en) * 2011-01-19 2012-07-19 Davorin Kapich Hybrid turbocharger system with brake energy revovery
JP5966999B2 (ja) 2013-03-29 2016-08-10 マツダ株式会社 多気筒エンジンの制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0874608A (ja) 1996-03-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4395884A (en) Method and apparatus for improved engine braking and operation
US7370630B2 (en) Engine with a plurality of operating modes including operation by compressed air
CA1164290A (en) Engine braking apparatus
US5529549A (en) Hybrid internal combustion engine
CA1271675A (en) Engine retarding method and apparatus
EP1561625B1 (en) Engine based kinetic energy recovery system for vehicles
CN100516479C (zh) 用于涡轮增压的四冲程内燃机的增压系统
US5813231A (en) Engine compression braking apparatus utilizing a variable geometry turbocharger
US7607503B1 (en) Operating a vehicle with high fuel efficiency
US6062025A (en) Auxiliary brake system
US6829892B2 (en) Engine exhaust system pneumatic pump
JP2000509781A (ja) 可変弁作動を行う多気筒ディーゼルエンジン
CA2238616A1 (en) Turbocharged engine system with recirculation and supplemental air supply
US4128085A (en) Engine mechanical loss reducing system
JP3209015B2 (ja) 制動エネルギ回収装置付車両用エンジン
JPH0567770B2 (ja)
US5327857A (en) Vehicular drive system using stored fluid power for improved efficiency
JPS6352220B2 (ja)
CA1131452A (en) Engine braking system and method of braking
CN101285418A (zh) 改进型缸体转动中冷回热内燃机及其制动能量回收系统
US4392472A (en) Induction system for supercharged engine
JPH09133031A (ja) 圧縮開放型エンジン補助ブレーキ装置
JPH10141077A (ja) エンジンブレーキ装置
JP3298452B2 (ja) エンジン補助ブレーキ装置
KR950002620B1 (ko) 자동차의 낭비동력 저장식 가속용 과급분사 시스템

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20010612

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees