JP3208984B2 - リン酸形燃料電池セルのリン酸含浸方法 - Google Patents
リン酸形燃料電池セルのリン酸含浸方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はリン酸形燃料電池セルの
リン酸含浸方法に関し、特に電極,マトリックス及びリ
ン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板へのリン酸導入方法
に関するものである。
リン酸含浸方法に関し、特に電極,マトリックス及びリ
ン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板へのリン酸導入方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リン酸形燃料電池は燃料のもつ化学エネ
ルギを直接電気エネルギに変換する装置であり、例えば
図6に示すように電解質を含浸したマトリックス1の両
側に一対の基材部分2と触媒層部分3でなる燃料極及び
空気極の電極4、さらにその外側に一対の燃料又は空気
の流路5aとリブ部5bを有するリン酸貯蔵用リブ付多
孔質カーボン板5を配置してなる単位セルをセパレータ
6を介して複数個積層して形成されている。また、7は
集電板である。なお、図6は単位セルのみを示した部分
断面図であり図中一対のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カー
ボン板はその流路が同方向で示されているが実際は90
゜回転した直交配置である。
ルギを直接電気エネルギに変換する装置であり、例えば
図6に示すように電解質を含浸したマトリックス1の両
側に一対の基材部分2と触媒層部分3でなる燃料極及び
空気極の電極4、さらにその外側に一対の燃料又は空気
の流路5aとリブ部5bを有するリン酸貯蔵用リブ付多
孔質カーボン板5を配置してなる単位セルをセパレータ
6を介して複数個積層して形成されている。また、7は
集電板である。なお、図6は単位セルのみを示した部分
断面図であり図中一対のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カー
ボン板はその流路が同方向で示されているが実際は90
゜回転した直交配置である。
【0003】このような構成で外部の図示しないガス供
給系より各電極4へ燃料ガスおよび空気を分離供給し触
媒層部分3の上で燃料ガスと空気を個別に電気化学的に
反応させその結果として系外に電気エネルギをとり出す
ものである。ここでリン酸形燃料電池の電極4,マトリ
ックス1,リン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板5等の
構成部材には電気化学反応が起こり易いように予めリン
酸を含浸させておくことが知られている。図7は例えば
特開平3−254067号公報に示された従来の電極触
媒層へのリン酸含浸方法を示す説明図である。電極触媒
層8はカーボン担体などの触媒担体9に白金粒子などの
貴金属粒子10を担持した触媒粒子(触媒粉末)11と
フッ素樹脂12より構成されている。この電極触媒層8
にリン酸含浸後電極基材13の上に載置され組み立てら
れる。なお、図6はリブ付セパレータ形,図7はリブ付
電極のものを示しリブの向きが反対になっている。
給系より各電極4へ燃料ガスおよび空気を分離供給し触
媒層部分3の上で燃料ガスと空気を個別に電気化学的に
反応させその結果として系外に電気エネルギをとり出す
ものである。ここでリン酸形燃料電池の電極4,マトリ
ックス1,リン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板5等の
構成部材には電気化学反応が起こり易いように予めリン
酸を含浸させておくことが知られている。図7は例えば
特開平3−254067号公報に示された従来の電極触
媒層へのリン酸含浸方法を示す説明図である。電極触媒
層8はカーボン担体などの触媒担体9に白金粒子などの
貴金属粒子10を担持した触媒粒子(触媒粉末)11と
フッ素樹脂12より構成されている。この電極触媒層8
にリン酸含浸後電極基材13の上に載置され組み立てら
れる。なお、図6はリブ付セパレータ形,図7はリブ付
電極のものを示しリブの向きが反対になっている。
【0004】この電極触媒層8の触媒粒子11の内部1
4にリン酸を含浸させるための含浸方法として以下に示
すものがあった。電極触媒層をアルコールに浸漬後、リ
ン酸溶液に浸漬してリン酸溶液で置換後、リン酸と共存
するアルコールを真空乾燥等によって除去する方法。ま
た、電極触媒層8をアルコールとリン酸の混合液に浸漬
後、アルコールを真空乾燥等により除去する方法。ま
た、電極触媒層8をアルコールに浸漬後、水で置換し
て、濃硝酸に浸漬して濃硝酸で置換し、さらにリン酸溶
液に浸漬しリン酸溶液で置換しその後真空乾燥等の乾燥
を行う方法。
4にリン酸を含浸させるための含浸方法として以下に示
すものがあった。電極触媒層をアルコールに浸漬後、リ
ン酸溶液に浸漬してリン酸溶液で置換後、リン酸と共存
するアルコールを真空乾燥等によって除去する方法。ま
た、電極触媒層8をアルコールとリン酸の混合液に浸漬
後、アルコールを真空乾燥等により除去する方法。ま
た、電極触媒層8をアルコールに浸漬後、水で置換し
て、濃硝酸に浸漬して濃硝酸で置換し、さらにリン酸溶
液に浸漬しリン酸溶液で置換しその後真空乾燥等の乾燥
を行う方法。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の電極触媒層のリ
ン酸含浸方法ではいずれも電極で全体をアルコール,リ
ン酸などの液中に浸漬するため電極触媒層のガス拡散機
能部分のリン酸で濡れる必要のない部分や、ガス拡散層
も完全にリン酸で含浸してしまうため電極としてのガス
拡散性が損なわれる場合があった。特に図26に示すよ
うな電極4の触媒層部分3と基材部分2が一体になって
いる一体構造のものには含浸が困難である問題点があっ
た。また、電極触媒層をアルコールに浸漬後リン酸溶液
へ置換したり、アルコールに浸漬後水,濃硝酸,リン酸
溶液へ順次置換するため電極触媒層へのリン酸の置換割
合が一定せず、したがって電極触媒層中のリン酸量が一
定せず適正量に対して過不足を生じ、セル電圧等のセル
の特性にバラツキを生じる問題点もあった。
ン酸含浸方法ではいずれも電極で全体をアルコール,リ
ン酸などの液中に浸漬するため電極触媒層のガス拡散機
能部分のリン酸で濡れる必要のない部分や、ガス拡散層
も完全にリン酸で含浸してしまうため電極としてのガス
拡散性が損なわれる場合があった。特に図26に示すよ
うな電極4の触媒層部分3と基材部分2が一体になって
いる一体構造のものには含浸が困難である問題点があっ
た。また、電極触媒層をアルコールに浸漬後リン酸溶液
へ置換したり、アルコールに浸漬後水,濃硝酸,リン酸
溶液へ順次置換するため電極触媒層へのリン酸の置換割
合が一定せず、したがって電極触媒層中のリン酸量が一
定せず適正量に対して過不足を生じ、セル電圧等のセル
の特性にバラツキを生じる問題点もあった。
【0006】この発明は上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、予めリン酸を含浸しておくマト
リックス,電極およびリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボ
ン板にリン酸が必要部分のみ適正量一定して含浸できる
リン酸形燃料電池セルのリン酸含浸方法を得ることを目
的とする。
ためになされたもので、予めリン酸を含浸しておくマト
リックス,電極およびリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボ
ン板にリン酸が必要部分のみ適正量一定して含浸できる
リン酸形燃料電池セルのリン酸含浸方法を得ることを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明に係る請求項1
のリン酸形燃料電池セルのリン酸含浸方法は、電解質を
含浸したマトリックスの両側に一対の燃料極及び空気極
の電極、さらにその外側に一対の燃料流路及び空気流路
を有するリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板を配置し
積層してなるリン酸形燃料電池の単位セルで、マトリッ
クス,電極及びリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板
を、積層前に予めリン酸の濡れを促進する親和剤を用い
てリン酸を含浸しておくものにおいて、セルの組立後、
流路のいずれか一方側に燃料を他方側に空気を供給し、
セル内部に起電力を発生させることにより、一方側から
他方側へ直流電流を通電し他方側に含浸されているリン
酸の一部を一方側へ移動させ含浸するようにしたもので
ある。
のリン酸形燃料電池セルのリン酸含浸方法は、電解質を
含浸したマトリックスの両側に一対の燃料極及び空気極
の電極、さらにその外側に一対の燃料流路及び空気流路
を有するリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板を配置し
積層してなるリン酸形燃料電池の単位セルで、マトリッ
クス,電極及びリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板
を、積層前に予めリン酸の濡れを促進する親和剤を用い
てリン酸を含浸しておくものにおいて、セルの組立後、
流路のいずれか一方側に燃料を他方側に空気を供給し、
セル内部に起電力を発生させることにより、一方側から
他方側へ直流電流を通電し他方側に含浸されているリン
酸の一部を一方側へ移動させ含浸するようにしたもので
ある。
【0008】また、請求項2のリン酸形燃料電池セルの
リン酸含浸方法は、一対のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カ
ーボン板の内いずれか一方は積層前のリン酸の含浸をし
ないものとしセルの組立後、流路のいずれか一方側に燃
料を他方側に空気を供給し、セル内部に起電力を発生さ
せることにより、一方のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カー
ボン板側からリン酸の含浸された他方のリン酸貯蔵用リ
ブ付多孔質カーボン板側へ直流電流を通電して他方のリ
ン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板に含浸されたリン酸
の一部を一方のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板へ
移動させ含浸するようにしたものである。
リン酸含浸方法は、一対のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カ
ーボン板の内いずれか一方は積層前のリン酸の含浸をし
ないものとしセルの組立後、流路のいずれか一方側に燃
料を他方側に空気を供給し、セル内部に起電力を発生さ
せることにより、一方のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カー
ボン板側からリン酸の含浸された他方のリン酸貯蔵用リ
ブ付多孔質カーボン板側へ直流電流を通電して他方のリ
ン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板に含浸されたリン酸
の一部を一方のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板へ
移動させ含浸するようにしたものである。
【0009】また、請求項3のリン酸形燃料電池セルの
リン酸含浸方法は、一対の電極には積層前のリン酸の含
浸をしないものとしセルの組立後、流路のいずれか一方
側に燃料を他方側に空気を供給し、セル内部に起電力を
発生させることにより、空気流路を有するリン酸貯蔵用
リブ付多孔質カーボン板から燃料流路を有するリン酸貯
蔵用リブ付多孔質カーボン板の方向へ電流を流す直流電
流の通電と、燃料流路を有するリン酸貯蔵用リブ付多孔
質カーボン板から空気流路を有するリン酸貯蔵用リブ付
多孔質カーボン板の方向へ電流を流す直流電流の通電と
を交互に複数回繰り返し両リン酸貯蔵用リブ付多孔質カ
ーボン板に含浸されているリン酸の一部を一対の電極へ
移動させ含浸するようにしたものである。
リン酸含浸方法は、一対の電極には積層前のリン酸の含
浸をしないものとしセルの組立後、流路のいずれか一方
側に燃料を他方側に空気を供給し、セル内部に起電力を
発生させることにより、空気流路を有するリン酸貯蔵用
リブ付多孔質カーボン板から燃料流路を有するリン酸貯
蔵用リブ付多孔質カーボン板の方向へ電流を流す直流電
流の通電と、燃料流路を有するリン酸貯蔵用リブ付多孔
質カーボン板から空気流路を有するリン酸貯蔵用リブ付
多孔質カーボン板の方向へ電流を流す直流電流の通電と
を交互に複数回繰り返し両リン酸貯蔵用リブ付多孔質カ
ーボン板に含浸されているリン酸の一部を一対の電極へ
移動させ含浸するようにしたものである。
【0010】また、請求項4のリン酸形燃料電池セルの
リン酸含浸方法は、一対の電極の内いずれか一方は積層
前のリン酸の含浸をしないものとしセルの組立後、流路
のいずれか一方側に燃料を他方側に空気を供給し、セル
内部に起電力を発生させることにより、一方に位置する
リン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板側からリン酸の含
浸された他方の電極に位置するリン酸貯蔵用リブ付多孔
質カーボン板側へ電流が流れるよう直流電流を通電し一
方の電極にリン酸を含浸するようにしたものである。
リン酸含浸方法は、一対の電極の内いずれか一方は積層
前のリン酸の含浸をしないものとしセルの組立後、流路
のいずれか一方側に燃料を他方側に空気を供給し、セル
内部に起電力を発生させることにより、一方に位置する
リン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板側からリン酸の含
浸された他方の電極に位置するリン酸貯蔵用リブ付多孔
質カーボン板側へ電流が流れるよう直流電流を通電し一
方の電極にリン酸を含浸するようにしたものである。
【0011】また、請求項5のリン酸形燃料電池セルの
リン酸含浸方法は、請求項3又は4において、マトリッ
クスに塗布するリン酸は濃度が100%以上でありかつ
体積がマトリックスの空孔体積以上であるものである。
リン酸含浸方法は、請求項3又は4において、マトリッ
クスに塗布するリン酸は濃度が100%以上でありかつ
体積がマトリックスの空孔体積以上であるものである。
【0012】また、請求項6のリン酸形燃料電池セルの
リン酸含浸方法は、請求項1〜5のいずれかにおいて、
直流電流の通電を水蒸気を含みかつ空気,N2ガス,空
気とN2ガスの混合ガス,N2ガスとH2ガスの混合ガ
スの内いずれかを含む雰囲気中で行うものである。
リン酸含浸方法は、請求項1〜5のいずれかにおいて、
直流電流の通電を水蒸気を含みかつ空気,N2ガス,空
気とN2ガスの混合ガス,N2ガスとH2ガスの混合ガ
スの内いずれかを含む雰囲気中で行うものである。
【0013】また、請求項7のリン酸形燃料電池セルの
リン酸含浸方法は、セルの組立後一方の流路にH2ガス
を含むガスを他方の流路に不括性ガスをそれぞれ供給
し、負荷電流を流さずに単位セル当たりの端子電圧を測
定し、マトリックス中のリン酸の含浸程度を端子電圧が
300mVより小さいとき不充分な含浸,端子電圧が3
00mV以上のとき充分な含浸と判断しているものであ
る。
リン酸含浸方法は、セルの組立後一方の流路にH2ガス
を含むガスを他方の流路に不括性ガスをそれぞれ供給
し、負荷電流を流さずに単位セル当たりの端子電圧を測
定し、マトリックス中のリン酸の含浸程度を端子電圧が
300mVより小さいとき不充分な含浸,端子電圧が3
00mV以上のとき充分な含浸と判断しているものであ
る。
【0014】また、請求項8のリン酸形燃料電池セルの
リン酸含浸方法は、燃料電池の組立後一方の流路に燃料
を他方の流路に空気を供給し、負荷電流を定格電流の2
0%から120%まで上昇し、その後上記負荷電流を定
格電流の20%まで下降し、その間で、上昇中の定格電
流時の端子電圧E1と下降中の定格電流時の端子電圧E
2を測定し、セルのリン酸の含浸の程度をE1《E2〜
E1<E2のとき不充分な含浸,E1とE2が近似のと
き適度な含浸,E1>E2〜E1》E2のとき過剰な含
浸と判断しているものである。
リン酸含浸方法は、燃料電池の組立後一方の流路に燃料
を他方の流路に空気を供給し、負荷電流を定格電流の2
0%から120%まで上昇し、その後上記負荷電流を定
格電流の20%まで下降し、その間で、上昇中の定格電
流時の端子電圧E1と下降中の定格電流時の端子電圧E
2を測定し、セルのリン酸の含浸の程度をE1《E2〜
E1<E2のとき不充分な含浸,E1とE2が近似のと
き適度な含浸,E1>E2〜E1》E2のとき過剰な含
浸と判断しているものである。
【0015】
【作用】この発明における酸形燃料電池セルのリン酸含
浸方法は、リン酸の濡れを促進するリン酸親和剤とリン
酸を連続的に片面より所定量塗布することにより、リン
酸が必要部分にのみ必要量を過不足なく含浸できる。
浸方法は、リン酸の濡れを促進するリン酸親和剤とリン
酸を連続的に片面より所定量塗布することにより、リン
酸が必要部分にのみ必要量を過不足なく含浸できる。
【0016】さらにまた、リン酸塗布前の水の所定量塗
布が、リン酸親和剤の面内分布を均一化しかつ、リン酸
の粘度が低下して含浸しやすくする。さらに電極触媒層
の発火や燃焼の危険性をなくする。
布が、リン酸親和剤の面内分布を均一化しかつ、リン酸
の粘度が低下して含浸しやすくする。さらに電極触媒層
の発火や燃焼の危険性をなくする。
【0017】また、リン酸の濡れを促進するリン酸親和
剤が所定の片面より含浸するようにしてリン酸親和剤中
に浸漬することにより、リン酸親和剤が必要部分のみ容
易に含浸されリン酸の含浸に必要な濡れを作る。
剤が所定の片面より含浸するようにしてリン酸親和剤中
に浸漬することにより、リン酸親和剤が必要部分のみ容
易に含浸されリン酸の含浸に必要な濡れを作る。
【0018】また、このリン酸含浸方法は外部電源を用
いることなくセル組立後一方側から他方側へ流れる直流
電流がリン酸イオンを電流の流れと逆方向に流しこれに
よりリン酸を他方側から一方側へ移動させる。このこと
でセル部材のリン酸貯蔵量(含浸量)の分配に過不足の
アンバランスが生じた場合は例えばリン酸が不足してい
る一方側から他方側へ流れる直流電流を通電してリン酸
配分をバランス良くできる。
いることなくセル組立後一方側から他方側へ流れる直流
電流がリン酸イオンを電流の流れと逆方向に流しこれに
よりリン酸を他方側から一方側へ移動させる。このこと
でセル部材のリン酸貯蔵量(含浸量)の分配に過不足の
アンバランスが生じた場合は例えばリン酸が不足してい
る一方側から他方側へ流れる直流電流を通電してリン酸
配分をバランス良くできる。
【0019】さらに、一対のリン酸貯蔵用リブ付多孔質
カーボン板の内一方または一対の電極の内一方を積層前
のリン酸を含浸しないものにして外部電源を用いること
なくセル組立後の直流電流の通電でリン酸を移動させた
ことにより、セル部材の積層前のリン酸含浸個数を減ら
すことが可能となる。
カーボン板の内一方または一対の電極の内一方を積層前
のリン酸を含浸しないものにして外部電源を用いること
なくセル組立後の直流電流の通電でリン酸を移動させた
ことにより、セル部材の積層前のリン酸含浸個数を減ら
すことが可能となる。
【0020】さらにまた、セル組立後の直流電流の通電
時における雰囲気中に水蒸気を含みかつ空気,N2ガ
ス,空気とN2ガスの混合ガス,N2ガスとH2ガスの
混合ガスの内いずれかを含んでいることにより、リン酸
濃度が低下し体積が膨張する。これによりマトリックス
中のリン酸の一部が電極の電極触媒層に移動し電極触媒
層へリン酸を含浸させ電極反応が可能となりリン酸の移
動が円滑になる。
時における雰囲気中に水蒸気を含みかつ空気,N2ガ
ス,空気とN2ガスの混合ガス,N2ガスとH2ガスの
混合ガスの内いずれかを含んでいることにより、リン酸
濃度が低下し体積が膨張する。これによりマトリックス
中のリン酸の一部が電極の電極触媒層に移動し電極触媒
層へリン酸を含浸させ電極反応が可能となりリン酸の移
動が円滑になる。
【0021】また、組立後単位セル当たりの端子電圧の
測定または燃料電池の端子電圧の測定をすることによっ
て、セルのマトリックス中または電極中のリン酸の含浸
程度を知ることができリン酸含浸量が適度な運転状態に
あるかの判断を容易にする。
測定または燃料電池の端子電圧の測定をすることによっ
て、セルのマトリックス中または電極中のリン酸の含浸
程度を知ることができリン酸含浸量が適度な運転状態に
あるかの判断を容易にする。
【0022】
【実施例】実施例1. 本発明を利用した応用例について図1により以下に述べ
る。まず、親和剤を用いてリン酸を含浸したマトリック
ス1を1つ、親和剤を用いてリン酸を含浸した電極4を
2つ、リン酸を含浸していないリン酸貯蔵用リブ付多孔
質カーボン板5を1つ、親和剤を用いてリン酸を含浸し
たリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板5を1つ、セパ
レータ6を2つそれぞれ作成して準備した。次に、セパ
レータ6の上にリン酸を含浸したリン酸貯蔵用リブ付多
孔質カーボン板5をリブ5bを上にして乗せ、その上に
リン酸を含浸した電極4を電極触媒層を上にして乗せ
る。その上にリン酸を含浸したマトリックス1を乗せ、
その上にリン酸を含浸した電極4を電極触媒層を下にし
て乗せ、その上にリン酸を含浸していないリン酸貯蔵用
リブ付多孔質カーボン板5をリブを下にして乗せ、その
上にセパレータ6を乗せ上下に集電板を置き積層して、
所定の面圧をかけ、ガス供給・排出用マニホールドをつ
けセルを組み立てた。
る。まず、親和剤を用いてリン酸を含浸したマトリック
ス1を1つ、親和剤を用いてリン酸を含浸した電極4を
2つ、リン酸を含浸していないリン酸貯蔵用リブ付多孔
質カーボン板5を1つ、親和剤を用いてリン酸を含浸し
たリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板5を1つ、セパ
レータ6を2つそれぞれ作成して準備した。次に、セパ
レータ6の上にリン酸を含浸したリン酸貯蔵用リブ付多
孔質カーボン板5をリブ5bを上にして乗せ、その上に
リン酸を含浸した電極4を電極触媒層を上にして乗せ
る。その上にリン酸を含浸したマトリックス1を乗せ、
その上にリン酸を含浸した電極4を電極触媒層を下にし
て乗せ、その上にリン酸を含浸していないリン酸貯蔵用
リブ付多孔質カーボン板5をリブを下にして乗せ、その
上にセパレータ6を乗せ上下に集電板を置き積層して、
所定の面圧をかけ、ガス供給・排出用マニホールドをつ
けセルを組み立てた。
【0023】予めリン酸を含浸していないリン酸貯蔵用
リブ付多孔質カーボン板5から予めリン酸を含浸してい
るリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板5の方向へ電流
が流れるように直流電流を通電した。温度約200℃電
流密度約300mA/cm2,端子電圧約650mVで
時間約20時間行った。この通電は、上側の予めリン酸
を含浸していないリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板
5のガス流路にはH2ガス/CO2ガス=80/20の
ガスを下側の予めリン酸を含浸しているリン酸貯蔵用リ
ブ付多孔質カーボン板5のガス流路には空気を供給して
セルの内部で起電力を起こして行った。いずれのガスも
水蒸気で加湿して供給した。これは、リン酸の粘度を低
下させ、以下に述べるリン酸の移動を容易にするためで
ある。セル内部の直流電流は図1に示しているように水
素イオンとリン酸イオンが分担する。大部分の電流は水
素イオンが分担するが一部はリン酸イオンが分担する。
水素イオンは電流の方向に移動し、リン酸イオンは電流
と反対の方向に移動する。リン酸イオンが移動すること
によりリン酸が移動する。この移動量は原理的には電流
密度と通電時間の積に比例するが現実的には経験的に電
流密度や通電時間が決定される。電流密度はセルの定格
電流密度の50〜150%位が適当である。セル電圧は
500mV以上であることが望ましい。セル電圧が低過
ぎるときは電流密度を調整してセル電圧をモニターする
ことにより、安全にセルに損傷を与えずに通電できる。
通電後、セルを分解してリン酸量を分析してみると上側
と下側のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板はいずれ
も単位面積当たり濃度100%換算で約0.05cm3
/cm2であり、また、上側の電極の電極触媒層のリン
酸量がわずかだが増加していた。
リブ付多孔質カーボン板5から予めリン酸を含浸してい
るリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板5の方向へ電流
が流れるように直流電流を通電した。温度約200℃電
流密度約300mA/cm2,端子電圧約650mVで
時間約20時間行った。この通電は、上側の予めリン酸
を含浸していないリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板
5のガス流路にはH2ガス/CO2ガス=80/20の
ガスを下側の予めリン酸を含浸しているリン酸貯蔵用リ
ブ付多孔質カーボン板5のガス流路には空気を供給して
セルの内部で起電力を起こして行った。いずれのガスも
水蒸気で加湿して供給した。これは、リン酸の粘度を低
下させ、以下に述べるリン酸の移動を容易にするためで
ある。セル内部の直流電流は図1に示しているように水
素イオンとリン酸イオンが分担する。大部分の電流は水
素イオンが分担するが一部はリン酸イオンが分担する。
水素イオンは電流の方向に移動し、リン酸イオンは電流
と反対の方向に移動する。リン酸イオンが移動すること
によりリン酸が移動する。この移動量は原理的には電流
密度と通電時間の積に比例するが現実的には経験的に電
流密度や通電時間が決定される。電流密度はセルの定格
電流密度の50〜150%位が適当である。セル電圧は
500mV以上であることが望ましい。セル電圧が低過
ぎるときは電流密度を調整してセル電圧をモニターする
ことにより、安全にセルに損傷を与えずに通電できる。
通電後、セルを分解してリン酸量を分析してみると上側
と下側のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板はいずれ
も単位面積当たり濃度100%換算で約0.05cm3
/cm2であり、また、上側の電極の電極触媒層のリン
酸量がわずかだが増加していた。
【0024】以上述べたように、セル内部に直流電流を
通電することにより、予めリン酸を含浸しているリン酸
貯蔵用多孔質カーボン板5中のリン酸の一部を予めリン
酸を含浸していないリン酸貯蔵用多孔質カーボン板5中
へ移動させるとともに、予めリン酸を含浸していないリ
ン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板5に臨接した電極の
リン酸の濡れを促進しリン酸の含有量を増加させる効果
がある。本実施例のような場合、本発明の効果を有効に
作用させるためには電極内部をリン酸イオンが流れやす
くするために本実施例のように電極の電極基材部分にも
若干のリン酸を含有させておくことが望ましい。しかし
電極の電極基材部分のリン酸含有量が多すぎると電極基
材のガス拡散層としての機能が低下するので好ましくな
い。本実施例では、1つのリン酸貯蔵用リブ付多孔質カ
ーボン板5のみリン酸を含浸しておけばよいのでセルの
製造コストの低減に効果がある。本実施例の応用例とし
て、セルを積層して燃料電池を組み立て後に燃料流路及
び空気流路を有するリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン
板5中のリン酸貯蔵量の分配に過不足のアンバランスが
生じたとき、リン酸の貯蔵量の少ないリン酸貯蔵用リブ
付多孔質カーボン板5からリン酸の貯蔵量の多いリン酸
貯蔵用リブ付多孔質カーボン板5の方向へ電流が流れる
ように直流電流を通電してリン酸の貯蔵量の多いリン酸
貯蔵用リブ付多孔質カーボン板5中のリン酸の一部をリ
ン酸の貯蔵量の少ないリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボ
ン板5中へ移動させるとともに、リン酸の貯蔵量の少な
かったリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板5に臨接し
た電極のリン酸の濡れを促進し、リン酸含有量を増加さ
せることもできる。これにより2つのリン酸貯蔵用リブ
付多孔質カーボン板5のリン酸の分配の過不足のアンバ
ランスを改善でき、リン酸の分配を適正化できる。本実
施例では、1つのセルの場合について述べたが、工業的
には複数セルの方が望ましく、積層組立の完了した燃料
電池のスタックに対して適用すると効果が大きい。
通電することにより、予めリン酸を含浸しているリン酸
貯蔵用多孔質カーボン板5中のリン酸の一部を予めリン
酸を含浸していないリン酸貯蔵用多孔質カーボン板5中
へ移動させるとともに、予めリン酸を含浸していないリ
ン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板5に臨接した電極の
リン酸の濡れを促進しリン酸の含有量を増加させる効果
がある。本実施例のような場合、本発明の効果を有効に
作用させるためには電極内部をリン酸イオンが流れやす
くするために本実施例のように電極の電極基材部分にも
若干のリン酸を含有させておくことが望ましい。しかし
電極の電極基材部分のリン酸含有量が多すぎると電極基
材のガス拡散層としての機能が低下するので好ましくな
い。本実施例では、1つのリン酸貯蔵用リブ付多孔質カ
ーボン板5のみリン酸を含浸しておけばよいのでセルの
製造コストの低減に効果がある。本実施例の応用例とし
て、セルを積層して燃料電池を組み立て後に燃料流路及
び空気流路を有するリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン
板5中のリン酸貯蔵量の分配に過不足のアンバランスが
生じたとき、リン酸の貯蔵量の少ないリン酸貯蔵用リブ
付多孔質カーボン板5からリン酸の貯蔵量の多いリン酸
貯蔵用リブ付多孔質カーボン板5の方向へ電流が流れる
ように直流電流を通電してリン酸の貯蔵量の多いリン酸
貯蔵用リブ付多孔質カーボン板5中のリン酸の一部をリ
ン酸の貯蔵量の少ないリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボ
ン板5中へ移動させるとともに、リン酸の貯蔵量の少な
かったリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板5に臨接し
た電極のリン酸の濡れを促進し、リン酸含有量を増加さ
せることもできる。これにより2つのリン酸貯蔵用リブ
付多孔質カーボン板5のリン酸の分配の過不足のアンバ
ランスを改善でき、リン酸の分配を適正化できる。本実
施例では、1つのセルの場合について述べたが、工業的
には複数セルの方が望ましく、積層組立の完了した燃料
電池のスタックに対して適用すると効果が大きい。
【0025】実施例2. 実施例1で説明したように各々のリン酸貯蔵用リブ付多
孔質カーボン板5には、リン酸貯蔵用リブ付多孔質カー
ボン板5に必要なリン酸量に加えて、電極4に必要なリ
ン酸量をも含浸することができる。また、セルに電流を
流すことにより、リン酸貯蔵用多孔質カーボン板5中の
リン酸を電極4へ移動させ、例えば電極触媒層中へリン
酸を含浸させることもできる。このことを利用した応用
例について以下に述べる。併せて、燃料電池のマトリッ
クスのリン酸の含浸の程度を判断する方法やセルのリン
酸の含浸の程度を判断する方法について以下説明する。
まず、親和剤を用いてリン酸を含浸したマトリックス1
を1つ、リン酸を含浸していない電極4を2つ、親和剤
を用いてリン酸を含浸したリン酸貯蔵用リブ付多孔質カ
ーボン板5を2つ、セパレータ6を2つそれぞれ作成し
準備した。但し、マトリックス1には濃度が約105%
のリン酸を単位面積当たり、空孔体積より若干多めの約
0.008cm3/cm2含浸させた。また、各々のリ
ン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板5には濃度が約10
0%のリン酸を単位面積当たり0.056cm3/cm
2含浸させた。以下実施例1と同様にセルを組み立て
た。下から、セパレータ6,リン酸を含浸したリン酸貯
蔵用リブ付多孔質カーボン板5,リン酸を含浸していな
い電極4,リン酸を含浸したマトリックス1,リン酸を
含浸していない電極4,リン酸を含浸したリン酸貯蔵用
リブ付多孔質カーボン板5,セパレータ6の順に乗せ上
下に集電板7を置き、積層して所定の面圧をかけマニホ
ールドを組み立てた。
孔質カーボン板5には、リン酸貯蔵用リブ付多孔質カー
ボン板5に必要なリン酸量に加えて、電極4に必要なリ
ン酸量をも含浸することができる。また、セルに電流を
流すことにより、リン酸貯蔵用多孔質カーボン板5中の
リン酸を電極4へ移動させ、例えば電極触媒層中へリン
酸を含浸させることもできる。このことを利用した応用
例について以下に述べる。併せて、燃料電池のマトリッ
クスのリン酸の含浸の程度を判断する方法やセルのリン
酸の含浸の程度を判断する方法について以下説明する。
まず、親和剤を用いてリン酸を含浸したマトリックス1
を1つ、リン酸を含浸していない電極4を2つ、親和剤
を用いてリン酸を含浸したリン酸貯蔵用リブ付多孔質カ
ーボン板5を2つ、セパレータ6を2つそれぞれ作成し
準備した。但し、マトリックス1には濃度が約105%
のリン酸を単位面積当たり、空孔体積より若干多めの約
0.008cm3/cm2含浸させた。また、各々のリ
ン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板5には濃度が約10
0%のリン酸を単位面積当たり0.056cm3/cm
2含浸させた。以下実施例1と同様にセルを組み立て
た。下から、セパレータ6,リン酸を含浸したリン酸貯
蔵用リブ付多孔質カーボン板5,リン酸を含浸していな
い電極4,リン酸を含浸したマトリックス1,リン酸を
含浸していない電極4,リン酸を含浸したリン酸貯蔵用
リブ付多孔質カーボン板5,セパレータ6の順に乗せ上
下に集電板7を置き、積層して所定の面圧をかけマニホ
ールドを組み立てた。
【0026】セルの温度を約160℃に設定し、水蒸気
を含むN2ガスをマニホールドより供給し約10時間保
管し、セル内のリン酸濃度を低下させ、体積を膨張させ
た。リン酸体積は、リン酸温度が高いほどリン酸濃度が
低いほど大きくなるが上記操作条件は経験的に決定でき
る。この操作によりマトリックス中のリン酸の一部が電
極の電極触媒層に移動し、電極触媒層へリン酸を含浸さ
せ電極反応が可能になる。次に、セルの温度を約200
℃にして下側のリン酸貯蔵用リブ付多孔体のガス流路へ
は燃料であるH2ガス/CO2ガス=80/20のガス
を、上側のリン酸貯蔵用リブ付多孔体のガス流路へは空
気をいずれも水蒸気で加湿しつつ供給して定格電流密度
300mA/cm2で運転を行った。(以下正運転操作
と略す)10時間後、上側と下側のガスを入れかえ同様
に運転を行った。(以下逆運転操作と略す)この正運転
操作と逆運転操作を数回繰り返し、電流を流さないとき
のセルの開路電圧E0と電流密度300mA/cm2の
ときのセルの端子電圧Etを測定した。ガス利用率は燃
料80%,空気60%とした。また、この上側と下側の
ガスを入れかえるときに、下側ガス流路にH2ガス/C
O2ガス=80/20のガスを上側ガス流路にN2ガス
を流して、電流を流さずに開路電圧V0を測定した。
尚、運転操作の回数Nは正運転,逆運転1回ずつの1サ
イクルを1回とした。これらの運転回数Nに対する開路
電圧E0と端子電圧Etの関係を図2に,運転回数Nに
対する開路電圧E0と開路電圧V0の関係を図3に示
す。また、途中で端子電圧−電流密度特性を測定した。
その一例を図4に示す。定格電流密度は300mA/c
m2として、電流密度を定格電流密度の20%の60m
A/cm2から上昇し、定格電流密度の120%の36
0mA/cm2まで上昇し、その後、20%の60mA
/cm2まで下降し、ヒステリシスカーブを測定した。
ガス利用率は燃料80%,空気60%一定とした。
を含むN2ガスをマニホールドより供給し約10時間保
管し、セル内のリン酸濃度を低下させ、体積を膨張させ
た。リン酸体積は、リン酸温度が高いほどリン酸濃度が
低いほど大きくなるが上記操作条件は経験的に決定でき
る。この操作によりマトリックス中のリン酸の一部が電
極の電極触媒層に移動し、電極触媒層へリン酸を含浸さ
せ電極反応が可能になる。次に、セルの温度を約200
℃にして下側のリン酸貯蔵用リブ付多孔体のガス流路へ
は燃料であるH2ガス/CO2ガス=80/20のガス
を、上側のリン酸貯蔵用リブ付多孔体のガス流路へは空
気をいずれも水蒸気で加湿しつつ供給して定格電流密度
300mA/cm2で運転を行った。(以下正運転操作
と略す)10時間後、上側と下側のガスを入れかえ同様
に運転を行った。(以下逆運転操作と略す)この正運転
操作と逆運転操作を数回繰り返し、電流を流さないとき
のセルの開路電圧E0と電流密度300mA/cm2の
ときのセルの端子電圧Etを測定した。ガス利用率は燃
料80%,空気60%とした。また、この上側と下側の
ガスを入れかえるときに、下側ガス流路にH2ガス/C
O2ガス=80/20のガスを上側ガス流路にN2ガス
を流して、電流を流さずに開路電圧V0を測定した。
尚、運転操作の回数Nは正運転,逆運転1回ずつの1サ
イクルを1回とした。これらの運転回数Nに対する開路
電圧E0と端子電圧Etの関係を図2に,運転回数Nに
対する開路電圧E0と開路電圧V0の関係を図3に示
す。また、途中で端子電圧−電流密度特性を測定した。
その一例を図4に示す。定格電流密度は300mA/c
m2として、電流密度を定格電流密度の20%の60m
A/cm2から上昇し、定格電流密度の120%の36
0mA/cm2まで上昇し、その後、20%の60mA
/cm2まで下降し、ヒステリシスカーブを測定した。
ガス利用率は燃料80%,空気60%一定とした。
【0027】その間に、電流密度を上昇中の定格電流密
度時の端子電圧E1と電流密度を下降中の定格電流密度
時の端子電圧E2を測定した。運転操作回数Nに対する
端子電圧E1と端子電圧E2の関係を図5に示す。図 2
及び図5によれば、運転操作回数Nが増加するにつれ
て、セルの開路電圧E0は上昇し、Nが6回以上で、飽
和する。一方、セルの端子電圧は、Nが6〜8回で最大
値を示し、それ以上では低下する。これは、運転操作回
数Nが増加とともに電極4やマトリックス1のリン酸量
が増加し、Nが6〜8回で適正値となりそれ以上で、特
に電極4のリン酸量が過剰になっているためである。ま
た、図3によれば、運転操作回数Nが増加するにつれ
て、セルの開路電圧E0及びV0は上昇し、Nが6回以
上で飽和する。しかし、セルの開路電圧E0が運転操作
回数Nに対して徐々に増加し、最大1000mV程度に
なる。一方、セルの開路電圧V0は運転操作回数Nが6
回でステップ関数的に上昇し、最大600mV程度であ
る。セルの開路電圧E0の変化幅が約800mVから約
1000mVへの約200mVと小さいのに対し、セル
の開路電圧V0の変化幅は約0mVから約600mVへ
の約600mVであり大きい。開路電圧V0測定時、運
転操作回数Nが少ないうちは、マトリックス1や電極
4,特にマトリックス1中のリン酸量が不足するため、
H2ガス/CO2ガス=80/20のガス中のH2ガス
がマトリックス1中を通過して、対極のN2ガス中へ混
入して対極の電位を下げ、したがって、開路電圧V0が
低くなっている。また運転操作回数Nが多くなるとマト
リックス1や電極4,特にマトリックス1中のリン酸量
が充分になり、H2ガス/CO2ガス=80/20のガ
ス中のH2ガスがマトリックス1中を通過して対極へ到
達することがなくなり、開路電極V0が高くなる。
度時の端子電圧E1と電流密度を下降中の定格電流密度
時の端子電圧E2を測定した。運転操作回数Nに対する
端子電圧E1と端子電圧E2の関係を図5に示す。図 2
及び図5によれば、運転操作回数Nが増加するにつれ
て、セルの開路電圧E0は上昇し、Nが6回以上で、飽
和する。一方、セルの端子電圧は、Nが6〜8回で最大
値を示し、それ以上では低下する。これは、運転操作回
数Nが増加とともに電極4やマトリックス1のリン酸量
が増加し、Nが6〜8回で適正値となりそれ以上で、特
に電極4のリン酸量が過剰になっているためである。ま
た、図3によれば、運転操作回数Nが増加するにつれ
て、セルの開路電圧E0及びV0は上昇し、Nが6回以
上で飽和する。しかし、セルの開路電圧E0が運転操作
回数Nに対して徐々に増加し、最大1000mV程度に
なる。一方、セルの開路電圧V0は運転操作回数Nが6
回でステップ関数的に上昇し、最大600mV程度であ
る。セルの開路電圧E0の変化幅が約800mVから約
1000mVへの約200mVと小さいのに対し、セル
の開路電圧V0の変化幅は約0mVから約600mVへ
の約600mVであり大きい。開路電圧V0測定時、運
転操作回数Nが少ないうちは、マトリックス1や電極
4,特にマトリックス1中のリン酸量が不足するため、
H2ガス/CO2ガス=80/20のガス中のH2ガス
がマトリックス1中を通過して、対極のN2ガス中へ混
入して対極の電位を下げ、したがって、開路電圧V0が
低くなっている。また運転操作回数Nが多くなるとマト
リックス1や電極4,特にマトリックス1中のリン酸量
が充分になり、H2ガス/CO2ガス=80/20のガ
ス中のH2ガスがマトリックス1中を通過して対極へ到
達することがなくなり、開路電極V0が高くなる。
【0028】このように開路電圧V0を測定することに
より、セルのマトリックス1中のリン酸の含浸の程度を
知ることができる。一般的には、マトリックス1中のリ
ン酸の程度をV0が300mVより小さいとき不充分な
含浸,V0が300mV以上のとき適度な含浸で判断で
きる。この300mVの水準はこれに限定されるもので
なく、電極触媒層等により異なるが、経験的に決定でき
る。いずれにしろ、開路電圧E0の800〜1000m
Vに比べて開路電圧V0は非常に低く、かつ変化幅が約
600mVと大きく、明確であるので、開路電圧V0を
測定することにより、セルのマトリックス1中のリン酸
の含浸の程度を知ることは、セル、特に電極4の電極触
媒層に対して損傷を与えず、カーボン担体の腐食や白金
粒径の増大といった問題を起こさないという効果があ
る。この判断をする操作を電気回路を用いて表示するよ
うにすればより効果的である。
より、セルのマトリックス1中のリン酸の含浸の程度を
知ることができる。一般的には、マトリックス1中のリ
ン酸の程度をV0が300mVより小さいとき不充分な
含浸,V0が300mV以上のとき適度な含浸で判断で
きる。この300mVの水準はこれに限定されるもので
なく、電極触媒層等により異なるが、経験的に決定でき
る。いずれにしろ、開路電圧E0の800〜1000m
Vに比べて開路電圧V0は非常に低く、かつ変化幅が約
600mVと大きく、明確であるので、開路電圧V0を
測定することにより、セルのマトリックス1中のリン酸
の含浸の程度を知ることは、セル、特に電極4の電極触
媒層に対して損傷を与えず、カーボン担体の腐食や白金
粒径の増大といった問題を起こさないという効果があ
る。この判断をする操作を電気回路を用いて表示するよ
うにすればより効果的である。
【0029】さらに、図4及び図5より次のことが言え
る。セルの端子電圧−電流密度特性の測定時、運転操作
回数Nが少ないうちは、マトリックス1や電極4のリン
酸量が不足するため、負荷電流を定格電流の約20%か
ら約120%まで上昇したときにセルの発生水によりマ
トリックス1や電極4のリン酸の濡れが促進され、セル
の端子電圧E2がE1より上昇する(図4参照)。ま
た、運転操作回数Nが多くなるとマトリックス1や電極
4のリン酸量が充分になり負荷電流を定格電流の約20
%から約120%まで上昇した時に、セルの発生水によ
り、マトリックス1や電極4特に電極4のリン酸の濡れ
が過剰となりセルの端子電圧E2がE1より低下する。
このように、一般的には負荷電流を定格電流の20%か
ら120%以上まで上昇し、その後負荷電流を定格電流
の20%まで下降し、その間に負荷電流を上昇中の定格
電流時の端子電圧E1と負荷電流を下降中の定格電流時
の端子電圧E2を測定し、燃料電池のセルのリン酸の含
浸の程度を E1《E2〜E1<E2 のとき不充分な含浸 E1とE2が近似 のとき適度な含浸 E1>E1〜E2》E2 のとき過剰な含浸 と判断できる。
る。セルの端子電圧−電流密度特性の測定時、運転操作
回数Nが少ないうちは、マトリックス1や電極4のリン
酸量が不足するため、負荷電流を定格電流の約20%か
ら約120%まで上昇したときにセルの発生水によりマ
トリックス1や電極4のリン酸の濡れが促進され、セル
の端子電圧E2がE1より上昇する(図4参照)。ま
た、運転操作回数Nが多くなるとマトリックス1や電極
4のリン酸量が充分になり負荷電流を定格電流の約20
%から約120%まで上昇した時に、セルの発生水によ
り、マトリックス1や電極4特に電極4のリン酸の濡れ
が過剰となりセルの端子電圧E2がE1より低下する。
このように、一般的には負荷電流を定格電流の20%か
ら120%以上まで上昇し、その後負荷電流を定格電流
の20%まで下降し、その間に負荷電流を上昇中の定格
電流時の端子電圧E1と負荷電流を下降中の定格電流時
の端子電圧E2を測定し、燃料電池のセルのリン酸の含
浸の程度を E1《E2〜E1<E2 のとき不充分な含浸 E1とE2が近似 のとき適度な含浸 E1>E1〜E2》E2 のとき過剰な含浸 と判断できる。
【0030】また、運転操作時の温度、電流密度、ガス
種、運転操作の回数は本実施例に限定されるものではな
く、経験により適宜決定される。実施例2では、2つの
電極4ともリン酸を含浸していない場合について説明し
たが、2つの電極4とも少量のリン酸を含浸している場
合や、1つの電極4のみリン酸を含浸している場合も同
様に応用できるのはいうまでもない。尚、実施例14と
同一条件でセルを組み立て6回の運転操作をしたものを
分解して電極のリン酸量を分析すると実施例9のセルN
o.cと同様の分布をしており好ましい状態であった。
種、運転操作の回数は本実施例に限定されるものではな
く、経験により適宜決定される。実施例2では、2つの
電極4ともリン酸を含浸していない場合について説明し
たが、2つの電極4とも少量のリン酸を含浸している場
合や、1つの電極4のみリン酸を含浸している場合も同
様に応用できるのはいうまでもない。尚、実施例14と
同一条件でセルを組み立て6回の運転操作をしたものを
分解して電極のリン酸量を分析すると実施例9のセルN
o.cと同様の分布をしており好ましい状態であった。
【0031】
【発明の効果】以上のように、この発明の請求項1によ
れば、電解質を含浸したマトリックスの両側に一対の燃
料極及び空気極の電極、さらにその外側に一対の燃料流
路及び空気流路を有するリン酸貯蔵用リブ付多孔質カー
ボン板を配置し積層してなるリン酸形燃料電池の単位セ
ルで、マトリックス,電極及びリン酸貯蔵用リブ付多孔
質カーボン板を、積層前に予めリン酸の濡れを促進する
親和剤を用いてリン酸を含浸しておくものにおいて、セ
ルの組立後、流路のいずれか一方側に燃料を他方側に空
気を供給し、セル内部に起電力を発生させることによ
り、一方側から他方側へ直流電流を通電し他方側に含浸
されているリン酸の一部を一方側へ移動させ含浸するよ
うにしたので、外部電源を用いることなくリン酸の分配
の過不足のアンバランスを改善でき、リン酸の分配を適
正化できてセル特性を向上させる効果がある。
れば、電解質を含浸したマトリックスの両側に一対の燃
料極及び空気極の電極、さらにその外側に一対の燃料流
路及び空気流路を有するリン酸貯蔵用リブ付多孔質カー
ボン板を配置し積層してなるリン酸形燃料電池の単位セ
ルで、マトリックス,電極及びリン酸貯蔵用リブ付多孔
質カーボン板を、積層前に予めリン酸の濡れを促進する
親和剤を用いてリン酸を含浸しておくものにおいて、セ
ルの組立後、流路のいずれか一方側に燃料を他方側に空
気を供給し、セル内部に起電力を発生させることによ
り、一方側から他方側へ直流電流を通電し他方側に含浸
されているリン酸の一部を一方側へ移動させ含浸するよ
うにしたので、外部電源を用いることなくリン酸の分配
の過不足のアンバランスを改善でき、リン酸の分配を適
正化できてセル特性を向上させる効果がある。
【0032】また、請求項2によれば、一対のリン酸貯
蔵用リブ付多孔質カーボン板の内いずれか一方は積層前
のリン酸の含浸をしないものとしセルの組立後、流路の
いずれか一方側に燃料を他方側に空気を供給し、セル内
部に起電力を発生させることにより、一方のリン酸貯蔵
用リブ付多孔質カーボン板側からリン酸の含浸された他
方のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板側へ直流電流
を通電して他方のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板
に含浸されたリン酸の一部を一方のリン酸貯蔵用リブ付
多孔質カーボン板へ移動させ含浸するようにしたので、
セル部材の予めリン酸含浸する個数を減らせ製造コスト
を低減できる効果がある。
蔵用リブ付多孔質カーボン板の内いずれか一方は積層前
のリン酸の含浸をしないものとしセルの組立後、流路の
いずれか一方側に燃料を他方側に空気を供給し、セル内
部に起電力を発生させることにより、一方のリン酸貯蔵
用リブ付多孔質カーボン板側からリン酸の含浸された他
方のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板側へ直流電流
を通電して他方のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板
に含浸されたリン酸の一部を一方のリン酸貯蔵用リブ付
多孔質カーボン板へ移動させ含浸するようにしたので、
セル部材の予めリン酸含浸する個数を減らせ製造コスト
を低減できる効果がある。
【0033】また、請求項3によれば、一対の電極には
積層前のリン酸の含浸をしないものとしセルの組立後、
流路のいずれか一方側に燃料を他方側に空気を供給し、
セル内部に起電力を発生させることにより、空気流路を
有するリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板から燃料流
路を有するリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板の方向
へ電流を流す直流電流の通電と、燃料流路を有するリン
酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板から空気流路を有する
リン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板の方向へ電流を流
す直流電流の通電とを交互に複数回繰り返し両リン酸貯
蔵用リブ付多孔質カーボン板に含浸されているリン酸の
一部を一対の電極へ移動させ含浸するようにしたので、
電極に予めリン酸を含浸しておく工程が不要となりコス
トを低減できる効果がある。
積層前のリン酸の含浸をしないものとしセルの組立後、
流路のいずれか一方側に燃料を他方側に空気を供給し、
セル内部に起電力を発生させることにより、空気流路を
有するリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板から燃料流
路を有するリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板の方向
へ電流を流す直流電流の通電と、燃料流路を有するリン
酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板から空気流路を有する
リン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板の方向へ電流を流
す直流電流の通電とを交互に複数回繰り返し両リン酸貯
蔵用リブ付多孔質カーボン板に含浸されているリン酸の
一部を一対の電極へ移動させ含浸するようにしたので、
電極に予めリン酸を含浸しておく工程が不要となりコス
トを低減できる効果がある。
【0034】また、請求項4によれば、一対の電極の内
いずれか一方は積層前のリン酸の含浸をしないものとし
セルの組立後、流路のいずれか一方側に燃料を他方側に
空気を供給し、セル内部に起電力を発生させることによ
り、一方に位置するリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン
板側からリン酸の含浸された他方の電極に位置するリン
酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板側へ電流が流れるよう
直流電流を通電し一方の電極にリン酸を含浸するように
したのでセル部材の予めリン酸を含浸する個数を減らせ
製造コストを低減できる効果がある。
いずれか一方は積層前のリン酸の含浸をしないものとし
セルの組立後、流路のいずれか一方側に燃料を他方側に
空気を供給し、セル内部に起電力を発生させることによ
り、一方に位置するリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン
板側からリン酸の含浸された他方の電極に位置するリン
酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板側へ電流が流れるよう
直流電流を通電し一方の電極にリン酸を含浸するように
したのでセル部材の予めリン酸を含浸する個数を減らせ
製造コストを低減できる効果がある。
【0035】また、請求項5によれば、請求項3又は4
において、マトリックスに塗布するリン酸は濃度が10
0%以上でありかつ体積がマトリックスの空孔体積以上
であるようにしたのでマトリックスに必要なリン酸量の
最低限が確保されセルの安全運転も可能とする。
において、マトリックスに塗布するリン酸は濃度が10
0%以上でありかつ体積がマトリックスの空孔体積以上
であるようにしたのでマトリックスに必要なリン酸量の
最低限が確保されセルの安全運転も可能とする。
【0036】また、請求項6によれば、請求項1〜5の
いずれかにおいて、直流電流の通電を水蒸気を含みかつ
空気,N2ガス,空気とN2ガスの混合ガス,N2ガス
とH2ガスの混合ガスの内いずれかを含む雰囲気中で行
うようにしたので、リン酸の移動が円滑になる効果があ
る。
いずれかにおいて、直流電流の通電を水蒸気を含みかつ
空気,N2ガス,空気とN2ガスの混合ガス,N2ガス
とH2ガスの混合ガスの内いずれかを含む雰囲気中で行
うようにしたので、リン酸の移動が円滑になる効果があ
る。
【0037】また、請求項7によれば、セルの一方組立
後一方の流路にH2ガスを含むガスを他方の流路に不括
性ガスをそれぞれ供給し、負荷電流を流さずに単位セル
当たりの端子電圧を測定し、マトリックス中のリン酸の
含浸程度を端子電圧が300mVより小さいとき不充分
な含浸,端子電圧が300mV以上のとき充分な含浸と
判断するようにしたので、セル部材へのリン酸の含浸程
度が運転状態に適度なものであるかの判定が容易にでき
る。
後一方の流路にH2ガスを含むガスを他方の流路に不括
性ガスをそれぞれ供給し、負荷電流を流さずに単位セル
当たりの端子電圧を測定し、マトリックス中のリン酸の
含浸程度を端子電圧が300mVより小さいとき不充分
な含浸,端子電圧が300mV以上のとき充分な含浸と
判断するようにしたので、セル部材へのリン酸の含浸程
度が運転状態に適度なものであるかの判定が容易にでき
る。
【0038】また、請求項8によれば、燃料電池の組立
後一方の流路に燃料を他方の流路に空気を供給し、負荷
電流を定格電流の20%から120%まで上昇し、その
後上記負荷電流を定格電流の20%まで下降し、その間
で、上昇中の定格電流時の端子電圧E1と下降中の定格
電流時の端子電圧E2を測定し、セルのリン酸の含浸の
程度をE1《E2〜E1<E2のとき不充分な含浸,E
1とE2が近似のとき適度な含浸,E1>E2〜E1》
E2のとき過剰な含浸と判断するようにしたので、セル
部材へのリン酸の含浸程度が適度なものであるかの判定
が容易にできる。
後一方の流路に燃料を他方の流路に空気を供給し、負荷
電流を定格電流の20%から120%まで上昇し、その
後上記負荷電流を定格電流の20%まで下降し、その間
で、上昇中の定格電流時の端子電圧E1と下降中の定格
電流時の端子電圧E2を測定し、セルのリン酸の含浸の
程度をE1《E2〜E1<E2のとき不充分な含浸,E
1とE2が近似のとき適度な含浸,E1>E2〜E1》
E2のとき過剰な含浸と判断するようにしたので、セル
部材へのリン酸の含浸程度が適度なものであるかの判定
が容易にできる。
【図1】 この発明の実施例1におけるリン酸形燃料電
池セルのリン酸含浸方法の原理構成を示す説明図であ
る。
池セルのリン酸含浸方法の原理構成を示す説明図であ
る。
【図2】 この発明の実施例2で運転操作の回数に対す
るセルの端子電圧と開路電圧を示す図である。
るセルの端子電圧と開路電圧を示す図である。
【図3】 この発明の実施例2で運転操作の回数に対す
るセルの回路電圧を示す図である。
るセルの回路電圧を示す図である。
【図4】 この発明の実施例2でセルの端子電圧と電流
密度の関係例を示す図である。
密度の関係例を示す図である。
【図5】 この発明の実施例2でセルの端子電圧と運転
操作の回数の関係を示す図である。
操作の回数の関係を示す図である。
【図6】 リン酸形燃料電池セルの構成を示す模式図で
ある。
ある。
【図7】 従来の電極触媒層へのリン酸含浸方法を示す
説明図である。
説明図である。
1 マトリックス、4 電極、5 リン酸貯蔵用リブ付
多孔質カーボン板、6 セパレータ。
多孔質カーボン板、6 セパレータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−254067(JP,A) 特開 昭62−98569(JP,A) 特開 平4−259757(JP,A) 特開 平5−325995(JP,A) 特開 昭57−113560(JP,A) 特開 平5−258757(JP,A) 特開 平2−162654(JP,A) 特開 平4−39869(JP,A) 特開 昭62−216172(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 8/02
Claims (8)
- 【請求項1】 電解質を含浸したマトリックスの両側に
一対の燃料極及び空気極の電極、さらにその外側に一対
の燃料流路及び空気流路を有するリン酸貯蔵用リブ付多
孔質カーボン板を配置し積層してなるリン酸形燃料電池
の単位セルで、上記マトリックス,電極及びリン酸貯蔵
用リブ付多孔質カーボン板を、積層前に予めリン酸の濡
れを促進する親和剤を用いてリン酸を含浸しておくもの
において、上記セルの組立後、上記流路のいずれか一方
側に燃料を他方側に空気を供給し、セル内部に起電力を
発生させることにより、上記一方側から上記他方側へ直
流電流を通電し他方側に含浸されているリン酸の一部を
一方側へ移動させ含浸するようにしたことを特徴とする
リン酸形燃料電池セルのリン酸含浸方法。 - 【請求項2】 電解質を含浸したマトリックスの両側に
一対の燃料極及び空気極の電極、さらにその外側に一対
の燃料流路及び空気流路を有するリン酸貯蔵用リブ付多
孔質カーボン板を配置し積層してなるリン酸形燃料電池
の単位セルにおいて、上記マトリックス,電極及び上記
一対のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板の内いずれ
か一方のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板は、積層
前に予めリン酸の濡れを促進する親和剤を用いてリン酸
を含浸し、上記一対のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボ
ン板の他方は上記積層前のリン酸の含浸をしないものと
し上記セルの組立後、上記流路のいずれか一方側に燃料
を他方側に空気を供給し、セル内部に起電力を発生させ
ることにより、上記一方のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カ
ーボン板側から上記リン酸の含浸された他方のリン酸貯
蔵用リブ付多孔質カーボン板側へ直流電流を通電して上
記一方のリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板に含浸さ
れたリン酸の一部を上記他方のリン酸貯蔵用リブ付多孔
質カーボン板へ移動させ含浸するようにしたことを特徴
とするリン酸形燃料電池セルのリン酸含浸方法。 - 【請求項3】 電解質を含浸したマトリックスの両側に
一対の燃料極及び空気極の電極、さらにその外側に一対
の燃料流路及び空気流路を有するリン酸貯蔵用リブ付多
孔質カーボン板を配置し積層してなるリン酸形燃料電池
の単位セルにおいて、上記マトリックス,リン酸貯蔵用
リブ付多孔質カーボン板は積層前に予めリン酸の濡れを
促進する親和剤を用いてリン酸を含浸し、上記一対の電
極には上記積層前のリン酸の含浸をしないものとし、上
記セルの組立後、上記流路のいずれか一方側に燃料を他
方側に空気を供給しセル内部に起電力を発生させること
により、上記空気流路を有するリン酸貯蔵用リブ付多孔
質カーボン板から上記燃料流路を有するリン酸貯蔵用リ
ブ付多孔質カーボン板の方向へ電流を流す直流電流の通
電と、上記燃料流路を有するリン酸貯蔵用リブ付多孔質
カーボン板から上記空気流路を有するリン酸貯蔵用リブ
付多孔質カーボン板の方向へ電流を流す直流電流の通電
とを交互に複数回繰り返し、上記両リン酸貯蔵用リブ付
多孔質カーボン板に含浸されているリン酸の一部を上記
一対の電極へ移動させ含浸するようにしたことを特徴と
するリン酸形燃料電池セルのリン酸含浸方法。 - 【請求項4】 電解質を含浸したマトリックスの両側に
一対の燃料極及び空気極の電極、さらにその外側に一対
の燃料流路及び空気流路を有するリン酸貯蔵用リブ付多
孔質カーボン板を配置し積層してなるリン酸形燃料電池
の単位セルにおいて、上記マトリックス,電極及びリン
酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板および一対の電極の内
いずれか一方の電極は、積層前に予めリン酸の濡れを促
進する親和剤を用いてリン酸を含浸し、上記一対の電極
の他方には上記積層前のリン酸の含浸をしないものとし
上記セルの組立後、上記流路のいずれか一方側に燃料を
他方側に空気を供給しセル内部に起電力を発生させるこ
とにより、他方に位置するリン酸貯蔵用リブ付多孔質カ
ーボン板側からリン酸の含浸された一方の電極に位置す
るリン酸貯蔵用リブ付多孔質カーボン板側へ電流が流れ
るよう直流電流を通電し上記他方の電極にリン酸を含浸
するようにしたことを特徴とするリン酸形燃料電池セル
のリン酸含浸方法。 - 【請求項5】 マトリックスに塗布するリン酸は濃度が
100%以上でありかつ体積が上記マトリックスの空孔
体積以上であることを特徴とする請求項3又は請求項4
に記載のリン酸形燃料電池セルのリン酸含浸方法。 - 【請求項6】 直流電流の通電を水蒸気を含みかつ空
気,N2ガス,空気とN2ガスの混合ガス,N2ガスと
H2ガスの混合ガスの内いずれかを含む雰囲気中で行う
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のリン
酸形燃料電池セルのリン酸含浸方法。 - 【請求項7】 電解質を含浸したマトリックスの両側に
一対の燃料極及び空気極の電極、さらにその外側に一対
の燃料流路及び空気流路を有するリン酸貯蔵用リブ付多
孔質カーボン板を配置し積層してなるリン酸形燃料電池
の単位セルで、上記マトリックス,電極及びリン酸貯蔵
用リブ付多孔質カーボン板を、積層前に予めリン酸の濡
れを促進する親和剤を用いてリン酸を含浸しておくもの
において、上記セルの組立後一方のガス流路にH2ガス
を含むガスを他方のガス流路に不括性ガスをそれぞれ供
給し、負荷電流を流さずに上記単位セル当たりの端子電
圧を測定し、上記マトリックス中のリン酸の含浸程度を
上記端子電圧が300mVより小さいとき不充分な含
浸,上記端子電圧が300mV以上のとき充分な含浸と
判断していることを特徴とするリン酸形燃料電池セルの
リン酸含浸方法。 - 【請求項8】 電解質を含浸したマトリックスの両側に
一対の燃料極及び空気極の電極、さらにその外側に一対
の燃料流路及び空気流路を有するリン酸貯蔵用リブ付多
孔質カーボン板を配置し積層してなるリン酸形燃料電池
の単位セルで、上記マトリックス,電極及びリン酸貯蔵
用リブ付多孔質カーボン板を、積層前に予めリン酸の濡
れを促進する親和剤を用いてリン酸を含浸しておくもの
において、上記燃料電池の組立後一方のガス流路に燃料
を他方のガス流路に空気を供給し、負荷電流を定格電流
の20%から120%まで上昇し、その後上記負荷電流
を上記定格電流の20%まで下降し、その間で、上記上
昇中の定格電流時の端子電圧E1と上記下降中の定格電
流時の端子電圧E2を測定し、上記セルのリン酸の含浸
の程度をE1《E2〜E1<E2のとき不充分な含浸,
E1とE2が近似のとき適度な含浸,E1>E2〜
E1》E2のとき過剰な含浸と判断していることを特徴
とするリン酸形燃料電池セルのリン酸含浸方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07725094A JP3208984B2 (ja) | 1994-04-15 | 1994-04-15 | リン酸形燃料電池セルのリン酸含浸方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07725094A JP3208984B2 (ja) | 1994-04-15 | 1994-04-15 | リン酸形燃料電池セルのリン酸含浸方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07288132A JPH07288132A (ja) | 1995-10-31 |
JP3208984B2 true JP3208984B2 (ja) | 2001-09-17 |
Family
ID=13628619
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP07725094A Expired - Fee Related JP3208984B2 (ja) | 1994-04-15 | 1994-04-15 | リン酸形燃料電池セルのリン酸含浸方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3208984B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102211547B1 (ko) * | 2017-09-08 | 2021-02-02 | 애플 인크. | 전자 디바이스 내의 투명 기판을 위한 코팅 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20070023115A1 (en) * | 2005-07-27 | 2007-02-01 | Adriano Ferreira | Method of making metal surfaces wettable |
JP5112211B2 (ja) * | 2008-07-22 | 2013-01-09 | 本田技研工業株式会社 | 固体高分子型燃料電池のエージング方法 |
-
1994
- 1994-04-15 JP JP07725094A patent/JP3208984B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102211547B1 (ko) * | 2017-09-08 | 2021-02-02 | 애플 인크. | 전자 디바이스 내의 투명 기판을 위한 코팅 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07288132A (ja) | 1995-10-31 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |