JP3207819B2 - 断熱材組成物 - Google Patents

断熱材組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、断熱材組成物に関
する。更に詳しくは、自動車等の内燃機関及びその排気
系や燃料電池等に使用されるコンバーター等の断熱材と
して好適な断熱材組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】自動
車、航空機、船舶、鉄道車両、産業機器類等の内燃機関
及びその排気系や燃料電池等においては、高温での熱エ
ネルギーを保持し燃料効率を向上させたり、触媒効率を
上げてNOX等の排気中の有害物質を低減するために、
あるいは冷却系統の簡略化や高熱を発する機器周辺スペ
ースの有効利用を目的とした高性能の断熱材組成物が要
望されている。
【0003】かかる目的に使用される断熱材組成物とし
ては、これまでに2次粒子径約20μm程度の二酸化ケ
イ素、二酸化チタンあるいはセラミックス繊維等を乾式
で混合し、プレス成形を行った後、機械加工したものが
知られている。また、特開平6−219812号には、
シリカ−アルミナ系セラミックス繊維5部、二酸化チタ
ン粉末70重量部、二酸化ケイ素粉末20重量部、コロ
イダルシリカ固形分換算量5部を混合スラリーとし、脱
水抄造後乾燥してなるシート状物からなる断熱材が提案
されている。例えば、特開平7−237957号では、
セラミックス系無機繊維を5〜50重量%、無機粉体を
50〜95重量%、必要に応じて、無機結合材を3〜5
重量%及び有機弾性物質を3〜10重量%の割合で配合
し、嵩密度0.35〜0.45g/cm3とした断熱材
組成物が提案されている。
【0004】しかし、これら従来技術の断熱材組成物
は、使用材料の大半が微細な粉末からなるため、柔軟性
が悪く、曲面への使用については更にこれらの断熱材の
上から無機繊維クロス等で被覆する等の必要があった。
また、内燃機関及び排気系等の断熱材として用いる場合
には、振動により構成成分たる粉末が脱落し、断熱能の
低下や粉塵発生を招くという欠点を有していた。一方、
斯かる欠点を補い柔軟性を向上させるために有機弾性物
質等を配合すると、高温下で該有機物が消失して、空洞
部分を生じることにより断熱材全体の幅射熱の散乱・遮
断効果が低下し断熱効果が著しく低下するという欠点を
有していた。
【0005】そこで、本発明は、柔軟性が高く、機械的
強度が高く、高温時の断熱性能に優れ、且つ振動により
構成成分の脱落する虞の少ない断熱材組成物を提供する
ことを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる課
題を解決するため鋭意検討した結果、優れた断熱材組成
物を見い出し本発明を完成させた。即ち、チタン酸アル
カリ金属塩繊維を30〜80重量%(全無機繊維状物中
の重量%)、並びに、チタン酸アルカリ金属塩繊維以外
のセラミックス繊維、及び/又は、ガラス繊維を20〜
50重量%を含む、平均アスペクト比3以上(平均アス
ペクト比=繊維長/繊維径)の無機繊維状物を、50重
量%以上(全断熱材組成物中の重量%)含有する断熱材
組成物に係る。また、本発明は、更に、無機鉱物繊維
を、5〜30重量%(全断熱材組成物中の重量%)含有
する前記の断熱材組成物に係る。また、本発明は、更
に、無機質結合材を、2〜20重量%(全断熱材組成物
中の重量%)含有する前記の断熱材組成物に係る。
【0007】本発明の断熱材組成物に用いられるチタン
酸アルカリ金属塩繊維の形状としては、繊維径0.1〜
5μm、好ましくは0.2〜2μm、繊維長3〜200
μm、平均アスペクト比3以上、好ましくは7以上、よ
り好ましくは10以上の繊維を用いるのが好ましい。か
かるチタン酸アルカリ金属塩繊維の具体例としては、二
チタン酸ナトリウム繊維(融点985℃、融点は代表例
を表示、以下同じ)、三チタン酸ナトリウム繊維(融点
1030℃)、四チタン酸ナトリウム繊維(融点112
5℃)、五チタン酸ナトリウム繊維、六チタン酸ナトリ
ウム繊維(融点1300℃)、二チタン酸カリウム繊維
(融点942℃)、四チタン酸カリウム繊維(融点10
50℃)、六チタン酸カリウム繊維(融点1371
℃)、八チタン酸カリウム繊維(融点1370℃)、チ
タン酸アルミン酸カリウム繊維等を例示できる。
【0008】本発明の断熱材組成物は、前記チタン酸ア
ルカリ金属塩繊維30〜80重量%を含む平均アスペク
ト比3以上の無機繊維状物を、50重量%以上を含有す
るものであり、チタン酸アルカリ金属塩繊維以外の無機
繊維状物としては、チタン酸アルカリ金属塩繊維以外の
セラミックス繊維、ガラス繊維及び鉱物繊維が好ましく
配合される。チタン酸アルカリ金属塩繊維以外のセラミ
ックス繊維としては、アルミナ繊維(融点2040
℃)、シリカ繊維、ジルコニア繊維、アルミナ−シリカ
繊維、炭化ホウ素繊維(融点2450℃)、炭化ケイ素
繊維(融点2690℃)、窒化ケイ素繊維(融点190
0℃)、チタン酸バリウム繊維、チタン酸バリウムスト
ロンチウム繊維等を例示できる。中でもシリカ繊維、ア
ルミナ繊維、シリカ−アルミナ繊維、ジルコニア繊維よ
り選ばれる1種以上を配合したものが高い補強断熱性能
を発揮し得るため好ましい。
【0009】かかるセラミックス繊維の形状としては、
繊維径0.1〜20μm、好ましくは0.2〜5μm、
繊維長3〜3000μm、平均アスペクト比3以上、好
ましくは7以上、より好ましくは10以上のセラミック
繊維を用いるのが好適である。ガラス繊維としては、任
意のガラス繊維を配合することができる。上記チタン酸
アルカリ金属塩繊維以外のセラミックス繊維及び/又は
ガラス繊維(チタン酸アルカリ金属塩繊維以外のセラミ
ックス繊維及びガラス繊維の少なくとも何れか一方)
は、1種又は2種以上をその合計量で、全無機繊維状物
中に20〜50重量%の割合で配合するのが好ましい。
【0010】本発明の断熱材組成物には、更に無機鉱物
繊維を配合することができる。かかる鉱物繊維として
は、石膏繊維、アパタルジャイト、モンモリロナイト、
カオリン繊維、ケイソウ土、岩綿、β−ワラストナイト
等を例示できる。これらの無機鉱物繊維は、本発明の断
熱材組成物において必須の成分ではないが、全断熱材組
成物中に、5〜30重量%の割合で配合すると、空隙を
補填し熱伝導率を低減させる効果を奏するため好まし
い。
【0011】本発明の断熱材組成物中には、成形体とし
た際の高温時における機械的強度を一層向上させるた
め、必要に応じて無機質結合材を配合することができ
る。かかる無機質結合材としては、ケイ酸アルカリ、縮
合ケイ酸アルカリ、コロイダルシリカ(シリカゾル)、
アルミナゾル等を例示できる。無機質結合材の配合割合
としては、2〜20重量%の範囲とするのが好ましい。
【0012】本発明の断熱材組成物は、乾式プレス法、
湿式抄造法等により任意の形状に成形することができ
る。その際、嵩密度が0.3〜0.7g/cm3の範囲
となるように調整するのが好ましい。嵩密度が0.3g
/cm3を下回ると機械的強度が極端に低下するととも
に断熱材中に空隙を生じ対流発生及び分子伝熱が生じて
断熱性能が低下するため好ましくない。また、0.7g
/cm3を上回っても、固体伝熱が増大するため熱伝導
率が著しく上昇してしまい好ましくない。
【0013】本発明の断熱材組成物を乾式プレス法によ
り成形する際には、各繊維成分を適当な混合機で十分に
混合した後、所定の型枠に投入し、プレスして成形体と
した後、必要に応じて無機質結合材を含浸させるのが好
ましい。本発明の断熱材組成物を湿式抄造法により成形
する際には、各繊維成分及び必要に応じて添加される無
機質結合材を水中に分散させスラリーとした後、好まし
くは微量の凝集剤を添加し、このものを所定の型枠内に
注入して真空脱水あるいは圧搾等を施した後乾燥するこ
とにより所望の成形体とすることができる。添加する凝
集剤としては、各種のカチオン系高分子凝集剤、正電荷
のシリカゾル又はアルミナゾル、アルギン酸ナトリウ
ム、硫酸アルミニウム、キトサン、柿渋、ペプタイド等
を例示できる。
【0014】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を更
に詳細に説明する。尚、本実施例、比較例において単に
「部」とあるのは全て重量部を示す。
【0015】実施例1 水100l中に粗大な繊維を分級分離したアルミナ−シ
リカ繊維(平均繊維径2.9μm、平均繊維長2mm、
東芝モノフラックス株式会社製、商品名「ショットフラ
ックス」)30部、八チタン酸カリウム繊維(平均繊維
径0.4μm、平均繊維長13μm、大塚化学株式会社
製、商品名ティスモ−D)60部と無機鉱物繊維(カオ
リンクレーファイバー、平均繊維径2.8μm、平均繊
維長20μm、輸入品、商品名「カオウール」)5部を
分散させ、更にコロイダルシリカ(日産化学株式会社
製、商品名「スノーテックス30」)を固形分換算量で
5部添加しよく撹拌混合分散した後、ごく少量のカチオ
ン系高分子凝集剤(大塚化学株式会社製、商品名「OC
フロック」)を添加し、スラリーを調整した。次いで当
該スラリーを所定の真空成形機にて脱水成形した後乾燥
し、厚さ10mm、100mm角、嵩密度0.5g/c
3のシート状物を得た。
【0016】実施例2 水100l中に粗大な繊維を分級分離したアルミナ−シ
リカ繊維(平均繊維径2.9μm、平均繊維長2mm、
東芝モノフラックス株式会社製、商品名「ショットフラ
ックス」)20部、チタン酸ナトリウム繊維(平均繊維
径3μm、平均繊維長20μm、大塚化学株式会社製、
商品名ベルモス−S)50部と無機鉱物繊維(ケイソウ
土、平均繊維径3μm、平均繊維長120μm、輸入
品、商品名「ラジオライト」)25部を分散させ、更に
コロイダルシリカ(日産化学株式会社製、商品名「スノ
ーテックス30」)を固形分換算量で5部添加しよく撹
拌混合分散した後、ごく少量のカチオン系高分子凝集剤
(大塚化学株式会社製、商品名「OCフロック」)を添
加し、スラリーを調整した。次いで当該スラリーを所定
の真空成形機にて脱水成形した後乾燥し、厚さ10m
m、100mm角、嵩密度0.5g/cm3のシート状
物を得た。
【0017】実施例3 水100l中にシリカ繊維(平均繊維径15μm、平均
繊維長150μm)35部、六チタン酸カリウム繊維
(平均繊維径0.4μm、平均繊維長10μm、大塚化
学株式会社製、商品名ティスモ−N)60部を分散さ
せ、更にアルミナゾル(日産化学株式会社製)を固形分
換算量で5部添加しよく撹拌混合分散した後、ごく少量
のカチオン系高分子凝集剤(大塚化学株式会社製、商品
名「OCフロック」)を添加し、スラリーを調整した。
次いで当該スラリーを所定の真空成形機にて脱水成形し
た後乾燥し、厚さ10mm、100mm角、嵩密度0.
5g/cm3のシート状物を得た。
【0018】比較例1 水100l中に粗大な繊維を分級分離したアルミナ−シ
リカ繊維(平均繊維径2.9μm、平均繊維長2mm、
東芝モノフラックス株式会社製、商品名「ショットフラ
ックス」)5部、二酸化チタン粉末(平均2次粒子径
3.5μm)70部、シリカ粉末(平均粒子径7μm)
20部を分散させ、更にコロイダルシリカ(日産化学株
式会社製、商品名「スノーテックス30」)を固形分換
算量で5部添加しよく撹拌混合分散した後、ごく少量の
カチオン系高分子凝集剤(大塚化学株式会社製、商品名
「OCフロック」)を添加し、スラリーを調整した。次
いで当該スラリーを所定の真空成形機にて脱水成形した
後乾燥し、厚さ10mm、100mm角、嵩密度0.4
g/cm3のシート状物を得た。
【0019】比較例2 水100l中に粗大な繊維を分級分離したアルミナ−シ
リカ繊維(平均繊維径2.9μm、平均繊維長2mm、
東芝モノフラックス株式会社製、商品名「ショットフラ
ックス」)40部、二酸化チタン粉末(平均2次粒子径
3.5μm)50部を分散させ、更にコロイダルシリカ
(日産化学株式会社製、商品名「スノーテックス3
0」)を固形分換算量で10部添加しよく撹拌混合分散
した後、ごく少量のカチオン系高分子凝集剤(大塚化学
株式会社製、商品名「OCフロック」)を添加し、スラ
リーを調整した。次いで当該スラリーを所定の真空成形
機にて脱水成形した後乾燥し、厚さ10mm、100m
m角、嵩密度0.5g/cm3のシート状物を得た。
【0020】試験例1 断熱性試験 実施例1〜3及び比較例1、2の断熱材につき室温及び
800°Cにおける熱伝導率を測定した。結果を表1に
示す。試験例2 粉落ち試験 実施例1〜3及び比較例1、2の断熱材を針金を用いて
800°Cに加熱された振動板上に固定し24時間振動
を加えて粉体の脱落の有無を観察した。結果を併せて表
1に示す。尚、表中、○は、変化なし、×は、粉体の脱
落ありを示す。
【0021】
【表1】
【0022】試験例1の結果から、本発明の断熱材組成
物を用いた成形品は、従来の断熱材組成物を用いたもの
と比較して特に高温域の断熱物性に優れていることがわ
かる。また、試験例2の結果から、本発明の断熱材組成
物を用いた成形品は振動を伴う機器の断熱材として用い
た場合にも粉体の脱落を伴うことがないという優れた特
徴を有するものであることがわかる。
【0023】
【発明の効果】以上のように、本発明の断熱材組成物
は、優れた断熱性と高い機械的強度を併せ持つととも
に、賦形性の高い材料であるので、従来使用の難しかっ
た複雑な形状の部位にも採用可能であり、また従来より
も薄型に設計することができる。本発明の断熱材組成物
は、自動車、航空機、船舶、鉄道車両、産業機器類等の
内燃機関及びその排気系や燃料電池反応器等の断熱材と
して好適に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 599053481 マル美化成産業株式会社 愛知県名古屋市中区丸の内3丁目9番14 号 (72)発明者 太田 勝仁 愛知県名古屋市北区芦辺町二丁目7番地 株式会社マルモパック内 (72)発明者 岩田 逸樹 愛知県名古屋市中区丸の内3丁目9番14 号 マル美化成産業株式会社内 (72)発明者 大西 淳一 愛知県名古屋市中区丸の内3丁目13番21 号 大塚化学株式会社 名古屋支店内 (72)発明者 竹中 稔 大阪府大阪市中央区大手通3丁目2番27 号 大塚化学株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−315697(JP,A) 特開 昭63−319016(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 13/36 - 13/50

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン酸アルカリ金属塩繊維を30〜8
    0重量%、並びに、チタン酸アルカリ金属塩繊維以外の
    セラミックス繊維、及び/又は、ガラス繊維を20〜5
    0重量%を含む、平均アスペクト比3以上の無機繊維状
    物を、50重量%以上含有することを特徴とする断熱材
    組成物。
  2. 【請求項2】 更に、無機鉱物繊維を、5〜30重量%
    含有する請求項1記載の断熱材組成物。
  3. 【請求項3】 更に、無機質結合材を、2〜20重量%
    含有する請求項1又は2記載の断熱材組成物。
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CN112522997B (zh) * 2020-11-27 2022-10-18 山东鲁阳节能材料股份有限公司 一种无机隔热材料的增韧剂及其制备方法和应用

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