JP3207447B2 - 固定化微生物菌体を含む調製物およびその製造方法 - Google Patents

固定化微生物菌体を含む調製物およびその製造方法

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JP3207447B2 JP04664791A JP4664791A JP3207447B2 JP 3207447 B2 JP3207447 B2 JP 3207447B2 JP 04664791 A JP04664791 A JP 04664791A JP 4664791 A JP4664791 A JP 4664791A JP 3207447 B2 JP3207447 B2 JP 3207447B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、環境汚染物質の分解、
処理および生産工程などにおいて物質変換に利用され
る、固定化微生物菌体を含む調製物およびその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、産業廃棄物として排出される
有機性排ガス、有機性廃液、例えば、アルコール、カル
ボン酸、アルデヒド、ケトン、エステルなどの脱臭、除
去方法として、所謂バイオフィルターを利用した方法
(例えば、VT-Biofilter, BHL JJ W", Ing. Breau Van
Tongeren, Environ Technol, pp. 358-360, 1987など)
が知られている。
【0003】このように、微生物を利用して環境汚染物
質の分解、処理、および生産工程などにおいて物質変換
に利用するために、従来より、微生物の固定化として、
天然高分子または合成高分子からなるゲル内に微生物を
包埋する所謂包括固定化法によるものが大部分であった
(例えば、千畑一郎、「固定化生体触媒」、pp.69〜7
9、講談社、1986年など)。
【0004】この方法では、微生物を固定化する工程
と、その後の保存および使用中の微生物の活性低下を防
ぐために、各種の固定化担体と固定化操作が検討され、
使用目的に応じて選択されている。 すなわち、固定化
操作の難易、固定化担体の価格の面から、また、被固定
化微生物にとって苛酷な条件は好ましくないことから、
固定化の諸条件の面から、ならびに固定化担体の強度・
寿命、反応基質の透過性、担体内での微生物の増殖性お
よび固定化担体の活性などの面において、種々検討がな
されている。
【0005】例えば、微生物を固定化し、長期性能を保
持する担体としては、アルギン酸カルシウム、カラギナ
ンなどの天然高分子などが公知であり、優れた効果があ
るとの報告がある。 I.A. Veliky、R.E. Williams、"B
iotechnol. Lett."、vol. 3、pp. 275 (1981)では、菌
体懸濁液とアルギン酸ナトリウム水溶液を混合した後、
CaCl2水溶液に接触して、アルギン酸カルシウムに微生
物を固定化する方法が報告されている。 また、T. Tos
a等, "Biotechnol. Bioeng."、vol. 21、pp. 133 (197
9)では、菌体懸濁液とκ−カラギーナン水溶液を混合
後、(30〜60℃に)冷却してカラギナンに微生物を固定
化する方法が報告されている。
【0006】また、合成高分子を利用したものとして
は、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどを
利用する方法が一般に行われている。 例えば、I. Chi
bata等、"Microbiol."、vol. 27、pp. 878 (1974)で
は、菌体懸濁液、アクリルアミドモノマー、アクリル酸
誘導体の架橋剤の混液に重合促進剤、開始剤を添加して
混合してポリアクリルアミドに微生物を固定化する方法
が報告されている。
【0007】また、特開昭61−139385号には、菌体懸濁
液とポリビニルアルコール水溶液を混合後、−20〜−80
℃の低温条件下に放置して、ポリビニルアルコールに微
生物を固定化する方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、微生物の固
定化物を装置内に組み込む場合には、流路内での耐圧
性、広範な化学物質などに対する安定性、ならびに汚染
微生物に対する安全性など多数の要求を満足することが
必須である。
【0009】しかしながら、前述した従来のアルギン酸
カルシウム、カラギナンなどの天然高分子などを利用し
て微生物を固定化する方法では、担体が、酸に対して加
水分解する性質がある多糖質およびゲル状であるため、
耐酸性、機械的強度が不十分であり、処理すべき化学物
質の量、種類などによっては使用不可能であり、また、
繰り返し、長期使用などに到底耐え得るものとは言い難
いものであった。
【0010】一方、前述したポリアクリルアミド、ポリ
ビニルアルコールなどの合成高分子を利用して微生物を
固定化する方法では、使用環境によっては、その毒性が
問題となり、さらにはこれらの合成高分子では、加熱に
よるか、可塑剤、溶剤などを加えて加工する方法が一般
に行われるが、この加工法では、微生物の死滅、活性の
低下を招くため使用できず、所望の形状に成形するのが
難しく、使用目的に応じた形態とすることは困難であっ
た。
【0011】また、これら以外の従来の包括固定化担体
においても、これらと同様な問題を包含するものであっ
た。
【0012】さらに、前述したすべての従来の微生物固
定化法においては、ゲルであるため、機械的強度が不足
して、微生物菌体が簡単に短時間でゲルから漏洩してし
まい、微生物汚染、固定化物の使用回数の制限などの原
因となったり、さらには、ゲル内で微生物が増殖するた
めに、ゲルの崩壊が発生し、使用に耐えないものとなる
などの問題があった。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述した従来
技術の課題に鑑み発明なされたものであって、その目的
とするところは、広範な化学物質などに対する安定性、
汚染微生物に対する安全性、十分な機械的強度などを有
し、しかも毒性が問題とならず、簡単に調製でき、さら
には、繰り返し、長期使用に耐え得る固定化微生物菌体
を含む調製物およびその製造方法を提供することを目的
とする。
【0014】かかる目的を達成するために、本発明の調
製物は、固定化微生物菌体を含み、かつ環境汚染物質の
分解、処理および生産工程での物質変換のために用いら
れる調製物であって、微生物菌体を含有固定した天然高
分子ゲルを主成分とする微生物含有ゲル層と、このゲル
層の露出部分が存在しないよう該ゲル層全体を被包して
なる硬化被包層を含む構成を特徴としている。
【0015】また、本発明の調製物は、天然高分子ゲル
を主成分とする組成物に、微生物菌体を含有および固定
化せしめて微生物含有ゲル層を調製し、そして、このゲ
ル層の露出部分が存在しないよう、ゲル層全体を硬化被
包層で被包する工程を含む製造方法に従って製造するこ
とができる。
【0016】
【実施例】A.微生物菌体固定化ゲルの調製方法 本発明に使用する微生物菌体を固定化するための固定化
ゲルとしては、従来より微生物を固定可能な周知の天然
高分子なら全て使用可能であり、例を挙げれば、アルギ
ン酸カルシウム、カラギナン、寒天、ゼラチンなどが使
用可能である。また、固定化の方法は、使用する天然高
分子の種類に応じて、その濃度、添加すべき補助剤など
を適宜検討して使用するが、その際に重要なことは、固
定化すべき微生物の生理的性状に応じて、固定化時の温
度、pH、培地成分、攪拌混合方法など微生物学的に留意
すべき事項を満足し、固定化された微生物菌体が活性を
保持するようにすることが必須である。
【0017】実施例1:微生物固定化ゲルフィルムの調
アセトン分解性能を有する微生物として、ブレビバクテ
リウム sp. MEOH-4 菌(Brevibacterium sp. MEOH-4)
[工業技術院微生物工業技術研究所寄託菌(微工研菌寄
第11047号(FERM P-11047)]を準備した。 これを、
ニュウトリエント・ブロス (Difco社製) で37℃にて振
盪培養して得られた培養液を、5000rpmで5分間遠心分
離して菌体を集め、生理食塩水に懸濁して菌体懸濁液を
調製した。
【0018】この菌体懸濁液を、2%アルギン酸ナトリ
ウム水溶液に対して、10%加えて混合した。 これを、
平板上に2mmの厚さに拡げた後、0.05MのCaCl2水溶液
を入れた容器に5分間浸漬して、ゲル化させた。
【0019】その後、直径2.5cmの円板状に切断しニュ
ウトリエント・ブロス(Difco社製)に浸漬し、5日間培
養(37℃静置培養) して増殖固定することにより調製し
た。
【0020】B.微生物含有ゲル層を被包する硬化被包
層の調製 前述のように調製した微生物菌体固定化ゲルを被包する
硬化被包層に使用する高分子組成物としては、種々の樹
脂を配合することが可能である。 しかしながら、所期
の目的である親水性(吸水性)の保持、強度の保持、菌
の保持と増殖ならびに活性維持などのすべての性能を考
慮に入れれば、好ましくは、アクロイル基を有するも
の、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレートなどが使用可能であるが、N−メトキ
シメチル化ナイロンおよび/またはウレタンアクリレー
トと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの混
合物であるのが好適である。 また、この場合、最終調
製物たる固定化微生物菌体を含む調製物の強度、親水性
(吸水性)の観点から、N−メトキシメチル化ナイロン
および/またはウレタンアクリレートと、2−ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート樹脂の合計重量が、調製
物全体の重量の50重量%以上含有することが望ましい。
【0021】また、N−メトキシメチル化ナイロンおよ
び/またはウレタンアクリレートを、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレートに溶解、配合する場合には、
これらの樹脂がアクリル活性を有する樹脂であるため、
混合時の温度は100℃以下、好ましくは80℃にする必要
がある。 さらに、この場合には、N−メトキシメチル
化ナイロンおよび/またはウレタンアクリレートの溶解
性、使用時の粘度、ゲル化などを考慮すれば、N−メト
キシメチル化ナイロンおよび/またはウレタンアクリレ
ートの含有量が、硬化被包層の重量の30%以下、好まし
くは3〜30重量%であるのが実用上好適な濃度である。
【0022】一方、最終調製物の柔軟性と耐水性が求め
られる場合には、さらに2−ヒドロキシ−3−フェノキ
シプロピルアクリレート、フェノキシアクリレート、ジ
メチルアミノエチルアクリレート、ポリエチレングリコ
ールメタアクリレート、エポキシアクリレートからなる
グループから選択した1種若しくは2種以上の樹脂を適
宜添加することも可能である。
【0023】また、その他には、天然高分子のアクリレ
ート、例えば、セルロースアクリレート、サッカロース
アクリレートなどを必要に応じて適宜配合することも可
能である。
【0024】さらに、樹脂の混合を容易にするために、
水、アルコール類、油脂類、無機物、染料、顔料などを
添加することも可能である。
【0025】このように配合調製したものに、一般に使
用されている重合開始剤、例えば、ベンゾインエチルエ
ーテルを約1%添加する。 そして、微生物菌体固定化
ゲルを被包するには、ゲル体の表面にこの合成高分子組
成物を塗布、流延し、活性光を照射してアクリル系樹脂
を光硬化して固定化するか、または合成高分子組成物の
樹脂の中に微生物菌体固定化ゲルを埋め込んだ後、光硬
化する。 この場合、光硬化の時間、波長などの諸条件
は、樹脂の種類、配合割合などにより左右されるが、重
要なことは、微生物を固定化したゲル体の温度が50℃以
上にならないように慎重に選択することが必要である。
【0026】具体的には、ガラス板の上に流延し、光硬
化して固定化する方法の他(図2)、ガラス板の代わり
に、半円球、スパイラル状などの型中に、合成高分子組
成物を流し込み光硬化すれば、任意の形状、例えば、円
球状(図3)に本発明の固定化微生物菌体を含む調製物
を調製することが可能である。
【0027】実施例2:固定化微生物菌体を含む調製物
の調製(微生物含有ゲル層を被包する硬化被包層の形成) 10gのN−メトキシメチル化ナイロンを、40gの2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレートに、予め80℃で溶
解し、50gのジメチルアミノエチルアクリレートを加え
て混合し、重合開始剤として1gのベンゾインエチルエ
ーテルを添加混合して感光性樹脂を調製した。 この樹
脂を、厚さ2mmのガラス板の上に0.2mmの厚さに流延し
て、上下から10分間、近紫外線照射(中心波長 350nm)
して重合固化せしめた。
【0028】この時、空気に接触する面は重合が妨害さ
れ、表面層は固化せず粘性を保っているので、この上
に、前述の実施例1で調製した微生物固定化ゲルフィル
ムを並べて置き、さらにこの上に前述の感光性樹脂を1
mmの厚さに流延した後、樹脂表面に透明のポリエステル
フィルム(0.1mmの厚さ) を重ね、上下から10分間、近
紫外線照射(中心波長 350nm)して重合固化せしめて光
硬化を完了した。
【0029】実施例3:固定化微生物菌体を含む調製物
の活性 次に、前述の実施例2で調製した固定化微生物菌体を含
む調製物を、微生物固定化ゲルフィルムが切口から露出
しないように、直径5cmの円盤状に切り取ったものを5
枚使用し、アセトンを、0.5%、0.005%の酵母エキス
(Difco社製)を含む水溶液100mlに入れ(pH 6.5)、25
℃で、7日間振盪培養(92回/min、振幅6cm) して、
アセトンの消滅、固定化物の性状などの変化を測定し
た。
【0030】その結果を下記の表1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】表1に記載の結果から明らかなように、ア
セトンは時間の経過とともに完全に消滅した。また、固
定化物は使用の前後に剥離、崩壊などの変化は見られ
ず、繰り返し再利用することができ、その場合にも活性
の低下は殆ど見られなかった。
【0033】実施例4 20gのウレタンアクリレート、30gの2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、50gのジメチルアミノエチ
ルアクリレートを、80℃で攪拌溶解混合し、重合開始剤
として1gの2−ヒドロキシ−2−エチル−1−フェニ
ル−1−オンを添加混合して感光性樹脂液を調製した。
この樹脂液を、厚さ0.1mmのポリエステルフィルムの
上に0.2 mmの厚さになるように流延して、これをガラス
板上に載せ、上下から5分間、近紫外線照射(中心波長
350nm)して、ポリエステル面側を固化せしめ、重合固
化せしめた。
【0034】この上に、前述の実施例1で調製した微生
物固定化ゲルフィルムを並べて置き、さらにこの上に前
述の感光性樹脂を1mm の厚さに流延した後、樹脂表面
に透明のポリエステルフィルム(0.1mmの厚さ)を重
ね、上下から10分間、近紫外線照射(中心波長 350nm)
して重合固化せしめて光硬化を完了した。
【0035】次に、微生物固定化ゲルフィルムが切口か
ら露出しないように、直径5cmの円盤状に切り取ったも
のを5枚使用し、アセトンを、0.5%、0.005%の酵母エ
キス(Difco社製)を含む水溶液100mlに入れ(pH 6.
5)、25℃で7日間振盪培養(92回/min、振幅6cm)し
て、アセトンの消滅、固定化物の性状などの変化を測定
した。 その結果を下記の表2に示した。
【0036】
【表2】
【0037】表2に記載の結果から明らかなように、ア
セトンは時間の経過とともに完全に消滅した。 また、
固定化物は使用の前後に剥離、崩壊などの変化は見られ
ず、繰り返し再利用することができ、その場合にも活性
の低下は殆ど見られなかった。
【0038】実施例5 20gのウレタンアクリレート、30gの2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、50gのジメチルアミノエチ
ルアクリレートを、80℃で攪拌溶解混合し、重合開始剤
として1gの2−ヒドロキシ−2−エチル−1−フェニ
ル−1−オンを添加混合して感光性樹脂液を調製した。
この樹脂液を、厚さ0.1mmのポリエステルフィルムの
上に0.2mmの厚さになるように流延して、これをガラス
板上に載せ、上下から5分間、近紫外線照射(中心波長
350nm)して、ポリエステル面側を固化せしめ、重合固
化せしめた。
【0039】この上に、前述の実施例1で調製した微生
物固定化ゲルフィルムを並べて置き、さらにこの上に前
述の感光性樹脂を1mmの厚さに流延した後、樹脂表面に
透明のポリエステルフィルム(0.1 mmの厚さ)を重ね、
上下から10分間、近紫外線照射(中心波長 350nm)して
重合固化せしめて光硬化を完了した。
【0040】次に、微生物固定化ゲルフィルムが切口か
ら露出しないように、直径5cmの円盤状に切り取ったも
のを5枚使用し、アセトンを0.5%、0.005%の酵母エキ
ス(Difco社製)を含む水溶液100mlに入れ(pH 6.5)、
25℃で7日間振盪培養(92回/min、振幅6cm)して、ア
セトンの消滅、固定化物の性状などの変化を測定した。
【0041】その結果を下記の表3に示した。
【0042】
【表3】
【0043】この表3から明らかなように、アセトンは
時間の経過とともに完全に消滅した。また、固定化物は
使用の前後に剥離、崩壊などの変化は見られず、繰り返
し再利用することができ、その場合にも活性の低下は殆
ど見られなかった。
【0044】比較例1:従来の調製物の特性実験1 従来の通常の包括固定化操作による固定化物の特性を調
べるために、固定化物の作成を実施した。 すなわち、
合成高分子としてN−メトキシメチル化ナイロン20%と
2−ヒドロキシエチル(メタ) アクリレート80%の混合
物(80℃で攪拌溶解混合)に、2−ヒドロキシ−3−フ
ェノキシプロピルアクリレートを等量加えて混合し、ベ
ンゾインエチルエーテルを1%添加して調製した樹脂
(A)を調製した。
【0045】次に、5%アルギン酸ナトリウム水溶液1
重量部に対して、樹脂(A)をそれぞれ、1.25倍、2.0倍、
3.5倍、8.0倍の割合で加えて混合し、これを0.1Mの塩
化カルシウム水溶液へ滴下して、球状にゲル化させた
後、ただちに10分間近紫外線照射(中心波長 350nm)し
て光硬化して球体を調製した。
【0046】その結果を下記の表4に示した。
【0047】
【表4】
【0048】表4に記載の結果から明らかなように、ア
ルギン酸ナトリウムの割合が多くなると樹脂(A)はその
内部が不均一になり、逆に樹脂(A)の量が多くなると硬
化(ゲル化)しにくくなった。 また、水や培地に浸漬
すると、どのような混合比でも崩壊した。
【0049】比較例2:従来の調製物の特性実験2 微生物菌体を含まない以外は実施例1の操作と同様にし
て、天然高分子としてアルギン酸カルシウムのゲル体
(B)を調製してシート状としたものを、前出の樹脂(A)を
実施例2の操作と同様にシート状とし光硬化したものの
上に置き、その上に樹脂(A)を流して10分間近紫外線照
射(中心波長 350nm)して光硬化し、図1に示したよう
な3層からなるシートを作成し、このシートの特性を調
べるために、アセトンを、0.5%、0.005%の酵母エキス
(Difco社製)を含む生理食塩水に浸漬して種々の実験
を実施した。 その結果を下記の表5に示した。
【0050】表5に記載の結果から明らかなように、水
や培地に浸漬すると、(B)層に溶出や崩壊があり、各層
の剥離が発生した。
【0051】比較例3:本発明による調製物の特性実験 微生物菌体を含まない以外は実施例1の操作と同様にし
て、天然高分子としてアルギン酸カルシウムのゲル体
(B)を調製してシート状としたものを、前出の樹脂(A)を
実施例2の操作と同様にシート状とし光硬化したものの
上に置き、その上に樹脂(A)を流して被覆し、10分間近
紫外線照射(中心波長 350nm)して光硬化して(B)のシ
ートの切断面が露出していないもの、すなわちゲル体
(B)が全て樹脂(A)で被覆されているものを作成し(図
2)、この特性を調べるために比較例2と同様に種々の
実験を実施した。
【0052】その結果を下記の表5に示した。
【0053】
【表5】
【0054】表5に記載の結果から明らかなように、水
や培地に浸漬しても、(B)層に溶出や変形、崩壊が一切
発生しなかった。
【0055】このように、比較例1および比較例2の従
来の包括固定化による場合には、微生物菌体を含有固定
化すべき(B)層に溶出や崩壊があり、各層の剥離が発生
し、使用に耐え得ないものであるのに対して、比較例3
に示されたように、本発明による固定化調製物では、微
生物菌体を含有固定化すべき(B)層が、光硬化された(A)
層で全体が被包(保護)されているので、溶出や崩壊が
起こることがなく、本発明の方法、調製物が微生物固定
化物として有効であることがわかる。
【0056】
【作用・効果】本発明による固定化微生物菌体を含む調
製物及びその製造方法によれば、広範な化学物質などに
対する安定性、汚染微生物に対する安全性、十分な機械
的強度などを有し、しかも毒性が問題とならず、簡単に
調製でき、さらには、繰り返し、長期使用に耐え得る固
定化微生物菌体を含む調製物およびその製造方法を提供
することができる。
【0057】具体的には、本発明は、下記したような幾
多もの作用・効果を奏する。 (1) ゲル内の微生物菌体がゲルを被包している合成高分
子に保護されているので、処理装置内に組み込んだ場合
の苛酷な条件の下においても、長期にわたり活性を維持
することが可能で、環境汚染物質の処理、生体触媒とし
て使用する物質変換など、工業的用途に対して極めて有
効である。 (2) 被包に使用する合成高分子がアクロイル基を有する
ので、短時間の処理で光硬化でき、温度変化は殆どな
く、固定化すべき微生物への影響がない。 (3) 微生物菌体の固定化ゲル層を被包する合成高分子物
質として、N−メトキシメチル化ナイロンを含有してい
るため、ゲルを圧縮することなく被包できるので、ゲル
内の微生物が安定で、固定化物の外部から被処理物質で
ある汚染物質や原料が容易に滲入し、反応後の生成物を
速やかにゲル外へ浸出して系外へ移動することができる
ので極めて有効である。 (4) さらに、被包硬化する合成高分子の組成物を適宜選
択して添加することにより、比重を調整できるので、装
置内への組み込み、処理環境に応じた対応が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の固定化物の拡大断面図である。
【図2】 本発明の固定化物の一実施例の拡大断面図で
ある。
【図3】 本発明の固定化物の別の一実施例の拡大断面
図である。
【符号の説明】
A……硬化被覆層 B……微生物固定化ゲル層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−151789(JP,A) 特開 昭63−248391(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 11/04 C12N 11/08 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定化微生物菌体を含み、かつ環境汚染
    物質の分解、処理および生産工程での物質変換のために
    用いられる調製物であって、該調製物が、 微生物菌体を含有固定した天然高分子ゲルを主成分とす
    る微生物含有ゲル層と、該ゲル層の露出部分が存在しな
    いよう該ゲル層全体を被包してなる硬化被包層を含み、 該硬化被包層が、N−メトキシメチル化ナイロンおよび
    /またはウレタンアクリレートと、2−ヒドロキシエチ
    ル(メタ)アクリレートとの混合物を含む、 ことを特徴とする、固定化微生物菌体を含み、かつ環境
    汚染物質の分解、処理および生産工程での物質変換のた
    めに用いられる調製物。
  2. 【請求項2】 前記N−メトキシメチル化ナイロンおよ
    び/またはウレタンアクリレートの含有量が、前記硬化
    被包層の重量の3〜30重量%の量である請求項1に記載
    の調製物。
  3. 【請求項3】 前記硬化被包層が、2−ヒドロキシ−3
    −フェノキシプロピルアクリレート、フェノキシアクリ
    レート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ポリエチ
    レングリコールメタアクリレート、エポキシアクリレー
    トおよびこれらの組み合わせからなるグループから選択
    される合成樹脂をさらに含む請求項1または2に記載の
    調製物。
  4. 【請求項4】 前記硬化被包層が、セルロースアクリレ
    ート、サッカロースアクリレートおよびこれらの組み合
    わせからなるグループから選択される天然高分子のアク
    リレートをさらに含む請求項1乃至3のいずれかに記載
    の調製物。
  5. 【請求項5】 固定化微生物菌体を含む調製物の製造方
    法であって、下記の工程、すなわち、 (1) 天然高分子ゲルを主成分とする組成物に、微生物菌
    体を含有および固定化せしめて微生物含有ゲル層を調製
    し、および (2) 該ゲル層の露出部分が存在しないよう、該ゲル層全
    体を硬化被包層で被包する、 工程を含み、かつ該硬化被包層が、N−メトキシメチル
    化ナイロンおよび/またはウレタンアクリレートと、2
    −ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの混合物を
    含む、ことを特徴とする固定化微生物菌体を含む調製物
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記N−メトキシメチル化ナイロンおよ
    び/またはウレタンアクリレートの含有量が、前記硬化
    被包層の重量の3〜30重量%の量である請求項5に記載
    の調製物の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記硬化被包層が、2−ヒドロキシ−3
    −フェノキシプロピルアクリレート、フェノキシアクリ
    レート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ポリエチ
    レングリコールメタアクリレート、エポキシアクリレー
    トおよびこれらの組み合わせからなるグループから選択
    される合成樹脂をさらに含む請求項5または6に記載の
    調製物の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記硬化被包層が、セルロースアクリレ
    ート、サッカロースアクリレートおよびこれらの組み合
    わせからなるグループから選択される天然高分子のアク
    リレートをさらに含む請求項5乃至7のいずれかに記載
    の調製物の製造方法。
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