JP3205166U - 歯列矯正装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】裏側矯正用の歯列矯正装置として、施術が容易であり、従来の鋳造品に比べ安価に製造でき、かつ装着状態においてブラケットにより舌先を傷つける恐れがない歯列矯正装置を提供する。【解決手段】ブラケット2を、歯の裏面に接着される底板部4及び一対の支持壁5を備えたベース部材4と、両端部が支持壁5に形成されたピン溝8に嵌合して固定される略C型断面のロックピン6と、内面がロックピン6の外面に軸回りに回動可能な略C型断面のインロック部材7とで構成する。ロックピン6とインロック部材7の略C型断面の開口部を合わせた状態で歯列矯正用のワイヤーをロックピン6の内側に嵌め込み、インロック部材7をロックピン6の軸回りに回動させることによりワイヤーを覆う。ワイヤーの外側にインロック部材7の滑らかな外周面が位置することで、ブラケット2により患者の舌先が傷つくのを防止することができる。【選択図】図3

Description

本考案は、金属ブラケット及びワイヤーを歯列の裏側に装着する裏側矯正に用いる歯列矯正装置に関するものである。
ブラケットとワイヤーを用いた歯列矯正装置による歯列矯正としては、金属ブラケットによる表側矯正が一般的であるが、金属ブラケットの表側矯正は矯正装置が目立つことから、審美的な観点から装置が目立たないようにしたものとしては、白や透明色の審美ブラケットによる表側矯正、金属ブラケット及びワイヤーを歯列の裏側に装着する裏側矯正、表側矯正と裏側矯正を併用するハーフリンガル矯正などがある。
図5は金属ブラケット22を用いた歯列矯正装置21の従来例を示したものである。
この例ではブラケット22が歯の裏面に接着される底板部24とその両端部から立ち上がる一対の支持壁25とを備えたベース部材23と、上面を覆うカバー部材27とで中空に構成され、両端の支持壁25に矯正用のワイヤーwを通すための貫通孔28が形成されている。
特開2001−104340号公報 特開2003−070808号公報 特開2005−245919号公報 特開2010−274110号公報
前述した図5の従来例の場合、ワイヤーwの端部をブラケット22の2つの支持壁25の貫通孔28に通す必要があるため、施術が容易でない。特にブラケット22を歯の裏側に接着する裏側矯正の場合、施術が非常に困難となる。
また、裏側矯正用に実用化されている金属ブラケットとしては、ワイヤーを係止するための下からの斜めの溝を有する複雑な形状のブラケットを鋳造により製作するものがあるが、ブラケット自体が歯に接着される非常に小さなものである上に、細いワイヤーを係止するための溝も非常に細かい溝となるため、鋳造用の型の製造コストが非常に高くつくという課題がある。
本考案の歯列矯正装置は、上述のような背景のもとに考案されたものであり、裏側矯正用の歯列矯正装置として、施術が容易であり、従来の鋳造品に比べ安価に製造でき、かつ装着状態においてブラケットにより舌先を傷つける恐れがない歯列矯正装置を提供することを目的としている。
本考案は、歯列を構成する各歯の裏面に接着される複数のブラケットとブラケット間に架け渡される矯正用のワイヤーとからなる歯列矯正装置において、ブラケットが、歯の裏面に接着される底板部とその底板部のワイヤーの延長方向両端部から立ち上がる一対の支持壁とを備えたベース部材と、両端部がベース部材の支持壁に形成されたピン溝に嵌合して固定される略C型断面のロックピンと、内面がロックピンの外面に軸回りに回動可能な略C型断面のインロック部材とを備え、ロックピンとインロック部材の略C型断面の開口部を合わせた状態で開口部の側方からワイヤーをロックピンの内側に嵌め込み、インロック部材の軸回りに回動させることによりワイヤーをカバーできるようにしたことを特徴とするものである。
上記の構成において、ロックピンは略C型断面の内側に矯正用のワイヤーをワイヤーの側方に向けて納めることができ、かつロックピンを軸としてインロック部材を回動させることでインロック部材がカバー部材として機能する。
略C型断面のインロック部材は外面が滑らかな曲面をなすためブラケットの装着状態においてに患者の舌先を傷つける恐れがない。なお、インロック部材の外周面には操作用の突起を設けてもよい。
また、矯正用のワイヤーと併用して、あるいは矯正用のワイヤーの代わりに、ゴム製などのパワーチェーンを用いる場合のために、ベース部材の底板部の一側にパワーチェーンの孔部を係止するための係止突起を設けてもよい。
本考案の歯列矯正装置は、矯正用のワイヤーをブラケットの頂部に対し、ワイヤーの側方に向けて嵌め込むことができるため、審美目的で行われる裏側矯正においても、ワイヤーの装着を容易に行うことができる。
矯正用のワイヤーをロックピンの内側に嵌め込んだ後、インロック部材を回動させることでインロック部材がカバー部材として機能し、インロック部材は外面が滑らかな曲面をなすためブラケットの装着状態においてに患者の舌先を傷つける恐れがない。
製作において鋳型が不要であるため、従来の鋳造品に比べ安価に製造することができる。
(a)は施術前の歯列を表から見た図、(b)は施術前の歯列を裏から見た図、(c)は本考案の歯列矯正装置を用いて施術した後の歯列を表から見た図、(d)は同じく施術した後の歯列を裏から見た図である。 本考案の歯列矯正装置の一実施形態を示す斜視図である。 図2の実施形態に対応する分解斜視図である。 本考案の歯列矯正装置の他の実施形態を示す分解斜視図である。 金属ブラケットを用いた歯列矯正装置の従来例を示した斜視図である。
以下、本考案の歯列矯正装置の実施形態について、図面を参照して説明する。ただし、本考案は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本考案の歯列矯正装置を施術する前と施術した後の状態を概略的に示したものである。
図1(a)及び(b)は本装置の施術前、すなわち装置を装着していない状態であり、歯並びが不揃いになっている。
図1(c)及び(d)は本装置の施術後、すなわち装置を装着した状態であり、図1(c)に示すようにブラケット2及びワイヤーwは歯の裏に隠れ、表からは見えない。
矯正用のワイヤーwには記憶合金が用いられ、ブラケット2間に目標とする矯正後の歯列に合わせたワイヤーwが架設されることで、装着時に変形したワイヤーwが元の形状に戻ろうとする力で歯列が徐々に矯正されて行く。
図2は、本考案の歯列矯正装置の一実施形態を示す斜視図であり、図3は装置の分解斜視図である。
本実施形態におけるブラケット2は大きく分けて、ベース部材3、ロックピン6、インロック部材7の3つの部材からなる。
ベース部材3は、歯の裏面に接着される底板部4と、その底板部4の両端部から立ち上がる一対の支持壁5とからなり、支持壁5の頂部にロックピン6の両端部が嵌合されるピン溝8が形成されている。
ピン溝8は支持壁5の頂部で開口し、その開口部8aに続いて開口部8aより広幅の半円状のピン孔8bが形成されている。
ロックピン6は略C型断面の半筒状の部材からなり、ブラケット2の製作においては、別途、製作されたベース部材3のピン溝8のピン孔8bに対し支持壁5の側方から長手方向に挿入するようになっている。
インロック部材7は、内面がロックピン6の外面に軸回りに回動可能な略C型断面の部材からなり、略C型断面の開口幅がロックピン6の外径より小さい幅となっている。また、インロック部材7の長さはロックピン6より短く、ベース部材3の両端の支持壁5間に納まる寸法となっている。
ベース部材3と、ロックピン6及びインロック部材7の組み立ては、インロック部材7の両端をベース部材3の両端の支持壁5間に位置させ、ロックピン6を一方の支持壁5の外側からピン孔8bに通し、インロック部材7の内側を通して他方の支持壁5のピン孔8bまで差し込むことによって行う。その状態で支持壁5の上部をかしめるなどしてロックピン6が抜け出さないようにする。なお、かしめる代わりに、接着、溶接など他の固定手段を用いてもよい。
上述のように、支持壁5の頂部の開口部8aの幅はロックピン6の外径より小さい幅となっており、ピン孔8bの形状をロックピン6の外形に合わせて形成させることで、かしめる前においてもロックピン6の回転や開口部8aからの抜け出しはない。
また、上述のようにインロック部材7の略C型断面の開口幅がロックピン6の外径より小さい幅となっていることから、組立て状態において、インロック部材7が外れることもない。
矯正用の記憶合金からなるワイヤーwの装着は、ロックピン6とインロック部材7の略C型断面の開口部を合わせた状態で開口部の側方からワイヤーwをロックピン6の内側に嵌め込むことができ、ロックピン6の内側がワイヤースロットの働きをする。
その状態から、インロック部材7をロックピン6を軸として軸回りに回動させることで、インロック部材7の滑らかな外周面がワイヤーwを覆うことになり、患者の舌先を傷つけるのを防止することができる。
本実施形態において、インロック部材7の外周面には操作用の突起7aが設けられており、この突起7aを利用してインロック部材7の回動を容易に行うことができる。また、インロック部材7の略C型断面の開口部の一端に膨出させた形状の当部7bを設け、この当部7bの外面側がベース部材3に設けたストッパー4aの内面側に弾性的に当接することで、インロック部材7がワイヤーwを覆って閉じた状態から簡単に開いてしまうのを防止できるようになっている。
図4は、本考案の歯列矯正装置の他の実施形態を示す分解斜視図である。
本実施形態におけるブラケット12も大きく分けて、ベース部材13、ロックピン16、インロック部材17の3つの部材からなり、基本的な構成は図2、図3の実施形態と同じである。
ベース部材13は、歯の裏面に接着される底板部14と、その底板部14の両端部から立ち上がる一対の支持壁15とからなり、支持壁15の頂部にロックピン16の両端部が嵌合されるピン溝18が形成されている。
ピン溝18は支持壁15の頂部で開口し、その開口部18aに続いて開口部18aより広幅の半円状のピン孔18bが形成されている。
ロックピン16は略C型断面の半筒状の部材からなり、ブラケット12の製作においては、別途、製作されたベース部材13のピン溝18のピン孔18bに対し支持壁15の側方から長手方向に挿入するようになっている。
インロック部材17は、内面がロックピン16の外面に軸回りに回動可能な略C型断面の部材からなり、略C型断面の開口幅がロックピン16の外径より小さい幅となっている。また、インロック部材17の長さはロックピン16より短く、ベース部材13の両端の支持壁15間に納まる寸法となっている。
ベース部材13と、ロックピン16及びインロック部材17の組み立ては、インロック部材17の両端をベース部材13の両端の支持壁15間に位置させ、ロックピン16を一方の支持壁15の外側からピン孔18bに通し、インロック部材17の内側を通して他方の支持壁15のピン孔18bまで差し込むことによって行う。その状態で支持壁15の上部をかしめるなどしてロックピン16が抜け出さないようにする。かしめる代わりに、接着、溶接など他の固定手段を用いてもよい。
支持壁15の頂部の開口部18aの幅はロックピン16の外径より小さい幅となっており、ピン孔18bの形状をロックピン16の外形に合わせて形成させることで、かしめる前においてもロックピン16の回転や開口部18aからの抜け出しはない。
また、インロック部材17の略C型断面の開口幅がロックピン16の外径より小さい幅となっていることから、組立て状態において、インロック部材17が外れることもない。
矯正用の記憶合金からなるワイヤーwの装着は、ロックピン16とインロック部材17の略C型断面の開口部を合わせた状態で開口部の側方からワイヤーwをロックピン16の内側に嵌め込むことができ、ロックピン16の内側がワイヤースロットの働きをする。
その状態から、インロック部材17をロックピン16を軸として軸回りに回動させることで、インロック部材17の滑らかな外周面がワイヤーwを覆うことになり、患者の舌先を傷つけるのを防止することができる。
本実施形態において、インロック部材17の外周面には操作用の突起17aが設けられており、この突起17aを利用してインロック部材17の回動を容易に行うことができる。また、インロック部材17の略C型断面の開口部の一端に膨出させた形状の当部17bを設け、この当部17bの外面側がベース部材13に設けたストッパー14aに当接するようになっている。なお、当部17bとストッパー14aを、図2、図3の実施形態の場合と同様に弾性的に当接して、インロック部材7が簡単に開いてしまうのを防止ような形態としてもよい。
本実施形態においては、さらにベース部材13の底板部14の一側にゴム製のパワーチェーンpの孔部を係止するための係止突起14bが設けられており、パワーチェーンpを矯正用のワイヤーwと併用して、あるいは矯正用のワイヤーwの代わりに使用できるようにしてある。
1…歯列矯正装置、2…ブラケット、3…ベース部材、4…底板部、4a…ストッパー、5…支持壁、6…ロックピン、7…インロック部材、7a…操作用突起、7b…当部、8…ピン溝、8a…開口部、8b…ピン孔、
11…歯列矯正装置、12…ブラケット、13…ベース部材、14…底板部、14a…ストッパー、14b…係止突起、15…支持壁、16…ロックピン、17…インロック部材、17a…操作用突起、17b…当部、18…ピン溝、18a…開口部、18b…ピン孔、
21…歯列矯正装置(従来例)、22…ブラケット、23…ベース部材、24…底板部、25…支持壁、27…カバー部材、28…貫通孔
w…ワイヤー、p…パワーチェーン

Claims (2)

  1. 歯列を構成する各歯の裏面に接着される複数のブラケットと前記ブラケット間に架け渡される矯正用のワイヤーとからなる歯列矯正装置において、
    前記ブラケットは、
    歯の裏面に接着される底板部と該底板部の前記ワイヤーの延長方向両端部から立ち上がる一対の支持壁とを備えたベース部材と、
    両端部が前記ベース部材の支持壁に形成されたピン溝に嵌合して固定される略C型断面のロックピンと、
    内面が前記ロックピンの外面に軸回りに回動可能な略C型断面のインロック部材と、
    を備え、
    前記ロックピンと前記インロック部材の略C型断面の開口部を合わせた状態で該開口部の側方から前記ワイヤーをロックピンの内側に嵌め込み、前記インロック部材の軸回りに回動させることにより前記ワイヤーをカバーできるようにしたことを特徴とする歯列矯正装置。
  2. 請求項1記載の歯列矯正装置において、前記ベース部材の底板部の一側にパワーチェーンの孔部を係止するための係止突起が設けられていることを特徴とする歯列矯正装置。
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